■□ 基本事項 □■
部材断面の最小寸法が大きく、かつ、セメントの水和熱による温度上昇で有害なひび割れが入るおそれのあるコンクリートに適用する。
JASS5にはその目安の断面寸法として、
(1) 壁・梁状部材で厚さ 80p以上
(2)マット状部材・柱状部材で 100p以上
マスコンクリートのひび割れ対策は設計段階と施工段階の両方で行う。
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「マスコンクリートの温度ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説(2008)」
材料の種類
(1) 中庸熱ポルトランドセメント
(2) 低熱ポルトランドセメント
(3) 高炉セメントB種
(4) フライアッシュセメントB種
(5) 普通ポルトランドセメントに混和材を混合したもの
混和材
JIS A 6201(コンクリート用フライアッシュ)によるフライアッシュT種若しくはU種、又は
JIS A 6206(コンクリート用高炉スラグ微粉末)による高炉スラグ微粉末の3000又は4000
※低熱ポルトランドセメントに膨張材を併用する場合、後続の小さな初期の低強度時に膨張することで、強度低下を生じる可能性があるので注意する。
※材料はできるだけ温度が低いものを用いる。
※調合は、コンクリートの所要の品質が得られる範囲内で、単位セメント量をできだけ小さくなるように試し練りによって定める。
その他、注意事項
◆マスコンクリートの温度ひびわれ抑制対策
【 土木学会示方書 】(設計編)では、コンクリートの断熱温度上昇特性として次式をあたえている。
Q( t ) = Q∞( 1- e <-γt >)
Q( t ) :材齢 t 日における断熱温度上昇量 [ ℃ ]
Q∞ :終局断熱温度上昇量[ ℃ ]
Q∞ = a + b・Ta
Ta:打込み時の温度[ ℃ ]
γ:温度上昇速度に関する係数
t :材齢 [ 日 ]
◆打込み開始前から型枠面を保温することは、内部拘束応力の低減には有効であるが、外部拘束応力の低減効果は小さい。
◆ひび割れ発生に関する照査式
I cr( t ) ≧ γcr
I cr( t ) :ひび割れ指数
I cr( t ) = ftk( t )/σt( t )
ftk( t ):材齢 t 日におけるコンクリート引張強度
σt( t ):材齢 t 日におけるコンクリート最大主引張応力度
γcr:ひび割れ発生確率に関する安全係数
また、一般に、
最大ひび割れ幅はひび割れ指数および鉄筋比が大きくなると小さくなる。
【 マスコンクリートの配合問題 】
マスコンクリートの温度ひび割れを抑制するため、単位結合材量 300 kg/m3とし、
その質量の 20%をフライアッッシュで置換する。
水結合材比 空気量 細骨材率 単位結合材量
( % ) ( % ) ( % ) ( kg/m3 )
55.0 4.5 46.5 300
セメントの密度:3.16 g/p3
フライアッシュの密度:2.30 g/p3
細骨材の密度:2.55 g/p3
粗骨材の密度:2.63 g/p3
細骨材の表面水率: 2.8%
※ 粗骨材は表乾状態
水、および粗骨材の計量値は?
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セメント、水、フライアッシュ、細骨材および粗骨材の単位量 [ kg/m3 ]
セメント:C
水:W
フライアッシュ:F
細骨材:S
粗骨材:G
とする。
単位結合材料:C + F =300
フライアッシュ置換率: F/( C + F ) = 0.2
水結合材比: W/( C + F ) = 0.55
細骨材率: ( S/2.55 )/( S/2.55 + G/2.63 ) = 0.465
単位量: W + C/3.16 + F/2.30 + S/2.55 + G/2.63 + 45 = 1000
以上を解くと
W = 165
C = 240
F = 60
S = 816
G = 968 [ kg/m3 ]
表面水率 2.8%より 表面水率を w とすると
w /( S + w ) = w/( 816 + w ) = 0.028
w = 23.5 [ kg/m3 ]
よって、水の計量設定値 W’ および粗骨材の計量設定値 G’は
W’ = 165 - 23.5 = 141.5
G’ = G = 968(Gは表乾状態で使用)
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