10節 ウレタン樹脂ワニス塗り(UC)
18.10.1 一般事項
この節は、建築物内部の建具、手すり、床等の木質系部材に対する仕上げを対象としている。
18.10.2 ウレタン樹脂ワニス塗り
(1) 材 料
(ア) 油性顔料着色剤
一般的にはピグメントステインと呼称される着色剤であり、顔料をボイル油や合成樹脂などで練り合わせて添加剤や溶剤を加えたものである。その品質は JASS 18 M-306に規定されている。油性顔料済色剤は1液形油変性ポリウレタンワニス塗りの場合に特記により適用する。
なお、ピグメントステイン(油性顔料着色剤)のみを利用した建築物外部及び内部の木部仕上げについては、18.11.2(1)に[ピグメントステイン塗り]として示している。
(イ) 溶剤形顔料着色剤
18.5.2(1)(イ)を参照する。
なお、溶剤形顔料着色剤は2液形ポリウレタンワニス塗りの場合に特記により適用する。
(ウ) 1液形油変性ポリウレタンワニス(JASS 18 M-301)
イソシアネートと乾性油との反応により得られる、ウレタン結合を有する樹脂を主要な塗膜形成要素とした透明の酸化重合形塗料である。その品質は「JASS 18 塗装工事」M-301に規定されている。
(エ) 2液形ポリウレタンワニス(JASS 18 M-502)
ポリオールとイソシアネート化合物を、主要な塗膜形成要索とした透明の2液反応硬化形塗料で、その品質はJASS 18 M-502に規定されている。
常温で硬化乾燥して溶剤が蒸発すると、ポリオールとイソシアネート樹脂が反応してウレタン結合を有する透明塗膜を形成する。
(2) 塗 装
(ア) 「標仕」では、塗装種別をA種(3回塗り)とB種(2回塗り)としており、特記がなければB種としている。
(イ) 「標仕」表18.10.1の (注)3に示すように着色は特記により行う。また、(注)4に示すように、下塗りとの相性を考慮して、1液形湘変性ポリウレタンワニスの場合は油性顔料着色剤(JASS 18 M-306(ピグメントステイン))とし、2液形ポリウレタンワニスの場合は溶剤形顔料着色剤を使用する。
着色を行わない場合は、素地の色調を活かした木地(生地)仕上げとなる。
(ウ) 下塗り、中塗り及び上塗りの工程には、同一材料を使用する。
「標仕」には規定されていないが、上塗りに 2液形ポリウレタンワニスを使用する場合は、下塗りに2液形ポリウレタンシーラー、中塗りには 2液形ポリウレタンサンディングシーラーを使用する塗装工程も一般的である。2液形ポリウレタンシーラー及び2液形ポリウレタンサンデイングシーラーの品質はJASS 18 M-302に規定されている。
(エ) 下塗りは、素地に塗料を十分に浸透させることにより、吸込みが均ーになり、むらを防止するとともに登股の付着性を向上させる。
(オ) 1液形油変性ポリウレタンワニスは、油性成分の酸化重合により硬化するため、最短でも24時間程度の硬化時間を必要とする。したがって、乾燥硬化の不良による縮みやしわの発生に注意する。余裕をもった工程間隔時間及び最終養生時間が必要であり、特に、厚膜になると縮みやしわが発生しやすいため、厚塗りを避ける。
なお、ワニスの乾燥塗膜には、塗重ね時間の制約があり、長時間放置してから塗り重ねると層間はく離を生じやすくなるため注意する。
(カ) シンナーは、塗装方法や乾燥条件に応じて使い分けるのが一般的である。肌あれや発泡等の仕上り塗膜の欠陥を生じるため、塗料の製造所が指定するシンナーを用いる。
(キ) 塗装方法は、はけ塗り又はローラーブラシ塗りとする。
(ク) 2液形ポリウレタンワニスに使用しているイソシアネート化合物は反応性が強く、粘膜や皮膚に触れるとかぶれることがあるため、使用の際は安全衛生上十分な措置を講ずる。
(ケ) 各塗装工程の標準工程間隔時間及び標準最終養生時間を、表18.10.1に示す。
表18.10.1 ウレタン樹脂ワニス塗りの標準工程間隔時間及び標準最終養生時間