6節 畳敷き
19.6.1 適用範囲
(a) この節は、一般事務庁舎内の和室等の畳敷きを対象としている。
なお、柔道場床等の特殊な用途は対象としていない。
(b) 作業の流れを図19.6.1に示す。
図19.6.1 畳敷きの作業の流れ
(c) 施工計画書等
(1) 施工計画書の記載事項は、おおむね次のとおりである。
なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。
@ 工程表(必要に応じて室別、場所別の工程表の作成)
A 製造所名、施工業者及び管理組織
B 使用材料の材質(畳表、畳床へり、糸も含む)、寸法
C 工法
D 養生方法
(2) 施工図の検討内容は、おおむね次のとおりである。
(i) 各室別及び場所別畳割付け図(均等割り)
(ii) 各部取合いの納まり(出入口、柱回りの段差及び隙間)
(3) 見本品を提出させ,設計担当者と打ち合わせて決定する。
19.6.2 材 料
(a) 畳
(1) 畳の分類
畳の規格には、畳表と畳床とを組み合わせた畳のJISと、畳床のみのJISとがあり、畳表についてはJASがある(図19.6.2参照)。
なお、「標仕」19.6.1に規定する畳は、標準的なものに限定しており、畳表、畳床、へり等の畳を構成する材料については、表19.6.1及び(b)〜(f)に記載するとおりである。
図19.6.2 畳の分類
(2) 畳の表示
(i) 畳は、図19.6.3 の表示事項を表示させる。
図19.6.3 畳の表示事項
表19.6.1 畳の種別
(ii) JIS A 5902(畳)による製品の呼び方(種類又は記号)の例を次に示す。
(b) 畳床
(1) 種類及び等級
稲わら畳床は等級により4種類に区分されているが、その他の畳床は等級による区分はない。
畳床は、心材の厚さ,畳床1枚の質量、縦糸の間隔、横糸の間隔、縫目の間隔等が決められている(表19.6.1参照)。
(2) 品質
JISでは、外観、含水率及び曲げ試験によるたわみ量によって、品質を規定している。
(3) 構造
JIS A 5901(稲わら畳床及び稲わらサンドイッチ畳床)に規定する稲わら畳床 1級品及び2級品の構造を図19.6.4に、ポリスチレンフォームサンドイッチ稲わら畳床の構造を図19.6.5に、JIS A 5914(建材畳床)に規定するI形、II形、V形、K形及び N形の構造を図19.6.6に示す。
図19.6.4 稲わら畳床6層形畳床の構造(JIS A 5901:2004)
図19.6.5 ポリスチレンフォームサンドイッチ稲わら畳床の構造(JIS A 5901:2004)
図19.6.6 建材畳床の構造(JIS A 5914 : 2013)
(4) 防虫処理
A種・B種及びC種は、JIS A 5901により、人体に無害で、ダニ、その他の害虫が発生しないように、加熱による方法又は防虫紙(布)による方法若しくはこれらを組み合わせた方法で防虫処理を施したものとされている。ただし、フェンチオン、フェニトロチオン等の有機りん系の薬剤を含有する防虫紙(布)を使用する場合は、当該製品の製造について薬事法による承認を受けたものを用いることとされている。
(c) 畳 表
畳表は、JIS A 5902では縦糸の種類により大きく2つに区分され、更にそれぞれ 3つの等級に区分されている。このうち「標仕」表19.6.1に規定する畳表は、 A種は縦糸が麻糸の1等、B種は縦糸が綿糸の1等、C種及びD種は縦糸が綿糸の 2等である(表19.6.1参照)。
(d) 畳べり
畳べりは、JIS L 3108(畳へり地)に規定する畳へり地とし、種類は、柄へり地、綿・ Pへり地、P・Pへり、地金糸へり地、及び綿糸へり地である(表19.6.1参照)。
なお、あらかじめ畳へり地の見本により、設計担当者と打ち合わせておく。
(e) へり下紙
へり下紙は、JIS A 5902に規定するように、ハトロン紙と厚手の紙を張り合わせたものなどとし、寸法が正しく色むらがないものとする。
(f) 縫 糸
畳の仕上げに使用する縫糸は、JIS A 5902では、付属書に規定する糸又はそれらと同等以上の性能をもつ糸とされている。ただし、これらの糸に害虫予防等のための薬剤を含浸又は浸透させたものは使用しないこととされている。
なお、針足間隔は、表19.6.1に示すJIS A 5902に規定するものとする。
19.6.3 工 法
(a) 下 地
畳は本来、床下を換気できる下地に敷き込むことを前提とするが、床工法の多様化によって、かさ上げ用の軽量モルタルやコンクリートスラブ等、床下換気が不可能な下地も対象となる。
これらの下地の場合、平たんで、不陸、目違い、凹凸がないことを確認する。また、湿潤しているおそれのある下地の場合は、十分乾媒させたのち防湿シート(発泡ポリエチレンフォーム厚さ2mm程度)等の防湿層を全面的に敷設する。
(b) 畳割り
畳割りは、室の縦横・対角線の寸法及び床面から畳寄せ天端までの寸法を実測して決定する。
部屋の用途、大きさ.出入口の位置等によって、畳割りは異なるが、出人口、押入等の敷居部分には畳へりの付く側を当てること及び、4枚畳の角が1箇所に集中しないように考慮する。
(C) 加工・製作
畳割りに従って畳床を切り合わせ、畳を製作するが、その際へり幅は、表2目を標準として、表の筋目通りよく、たるまないようにして縫い付ける。また、畳へりの角止めは、縫い止め又はタッカー止めとする。
なお、畳床には取っ手を付ける。
(d) 敷込み
敷込みは、敷居、畳寄せ等と、不陸、目違い、隙間等のないように行う。