5節 屋上緑化
23.5.1 一般事項
(1) この節は、設計許容荷重が比較的大きい建物の構造的な負担を軽減するために構築された屋上緑化システム及び植物種を限定し60kg /m2以下での植栽を可能にした屋上緑化軽量システムを使用して、屋上防水層の上に植栽を行う屋上緑化工事を対象としている。
「標仕」では、荷重の大きな屋上緑化システムは、緑化工事の施工時及び施工後の維持管理作業中に衝撃等により防水層損傷のおそれがあるため、保護コンクリートのある保護防水工法の場合に限って、使用できると規定している。したがって、「標仕」では、屋上緑化システムを採用する場合の屋上の防水は、保護防水工法が認められているアスファルト防水のみとなっている。
しかし、「標仕」では規定されていないが、民間工事では、各種防水層の上にも、屋上緑化システムが施工されている場合がある。
(2) 屋上緑化(植栽基盤 + 植栽)でよく行なわれる分類には、形態によるもの、必要な管理の程度によるものなどがあるが、それらの分類と「標仕」で規定している屋上緑化システム及び屋上緑化軽量システムとの関係を次に示す。
(ア) 形態による分類
屋上緑化は形態により、庭園型、芝生型、菜園型、ビオトープ型、粗放型等に分類される。
屋上緑化システムは、植栽基盤荷重を大きく設定できることから、全ての形態に対応可能であるが、庭園型、菜園型及びビオトープ型を中心に適用される。
一方、屋上緑化軽量システムは、粗放型や芝生型を中心に適用される。
各型の概要を次に示す。
@ 庭園型(屋上緑化システム用)
庭園型の屋上緑化は、地上に設けられる庭園と同等の心安らぐ美的空間を屋上に実現しようとするものである。長期にわたり美観性、利用性等の機能を維持する必要がある。また、高木を使用することも多く、植物の生長による建物への荷重の増加、病虫害等にも対処しなければならない。
A 芝生型(屋上緑化システム用及び屋上緑化軽量システム用)
芝生型の屋上緑化は、芝生に覆われた明るくのびのびとした空間を屋上に実現しようとするものである。常に人がその上に乗る(歩く、座る、寝そべる、体操等の軽い運動を行う)ため、植物及び植栽基盤に踏圧が掛かるとともに、人の利用により芝生が荒れやすい。また、雑草が侵入し、繁茂しやすい。これらに対処した種々の維持管理作業が必要になる。
B 菜園型(屋上緑化システム用)
菜園型の屋上緑化は、野菜等の作物を栽培し収穫の喜びを味わうことのできる空間を屋上に実現しようとするものである。短期間で栽培する作物が変わるため、その都度土壌を掘り返すことになる。維持管理作業を使用者が自己の楽しみ、喜びとして行うことができる。
C ビオトープ型(屋上緑化システム用)
ビオトープ型の屋上緑化は、多様な生物が生息する空間を屋上に実現しようとするものである。生物多様性に寄与するために、人為による周到な管理が必要になる。
D 粗放型(屋上緑化軽量システム用)
粗放型の屋上緑化は、緑のもつ修景性、熱環境等の環境改善効果を維持しながら、維持管理作業の負担の軽い緑地を屋上に実現しようとするものである。一般的に、乾燥に強いセダム類や芝草等の植物種を用い、植栽基盤もかなり薄くして軽量化したものを採用することが多い。
(イ) 管理の程度による分類
屋上緑化は必要となる管理の程度によっても、分類される。
屋上緑化システムは、土壌厚が厚く、草本類や木本類等様々な植物が植栽されることから、一般的に管理項目が多いシステムといえる。すなわち、所定の維持管理作業を継続して行うことにより、屋上緑化を特定の好ましい状態に維持することを前提としたシステムである。
一方、屋上緑化軽量システムは、屋上緑化システムと比較して、管理項目の少ないシステムといえる。すなわち、土壌厚が薄いことから、植栽できる植物種が限定されるからである。例えば、セダム類を植栽した場合では、かん水の程度を少なくでき、雑草の繁茂を抑制できることから、比較的維持管理の省力化を図ることが可能となる。
23.5.2 植栽基盤
(1) 「標仕」では、屋上緑化用植栽基盤は、目的、用途、緑化形態等を踏まえて、屋上緑化システムと屋上緑化軽量システムの2種類としている。
(ア) 屋上緑化システム
屋上緑化システムは、草本類だけでなく低木から高木までの木本類も植栽できる基盤で構成されることから、土壌厚も厚く質量も大きくなる。このため、様々な環境改善効果が期待できる反面、屋上床面の点検、補修、改修等にはかなりの手間と労力が必要になる。
なお、防水層や耐根形を衝撃等による損傷から保護するために、保護コンクリート等の耐根層保護層(衝撃緩衝層)が必要である。
(イ) 屋上緑化軽量システム
屋上緑化軽量システムは、主に特殊成形パネル等のユニット化されたシステムを用いたもので、「標仕」では植栽基盤の質量は60kg/m2以下とすると規定している。植栽される植物は、セダム類、芝等の地被植物が中心になる。屋上緑化システムに比較して環境改善効果は小さいものの、屋上床面のメンテナンスを比較的容易に実施することができる。
なお、屋上緑化システムと同様に、防水層や耐根層を衝撃等による損傷から保護するための耐根層保護層(衝撃緩衝層)の敷設が必要になる。
(2) 「標仕」では、土壌層の厚さについて、屋上緑化システムでは特記による、屋上緑化軽量システムではシステムの製造所の仕様によるとしているのは、屋上緑化での必要な土壌層の厚さは土壌と植物の種類によって決まるためである。植物の種類と土壌厚による生育状況の相違を表23.5.1に示すが、望ましい土壌厚は表の凡例Cに相当するものである。
表23.5.1 植物の種類と土壌厚による生育状況の相違(目安)
また、土壌層の質量は、土壌の湿潤時の比重から求められる。土壌等の比重を参考に表23.5.2に示す。
表23.5.2 土壌、排水材及び見切り材の比重(新・緑空間デザイン技術マニュアル:一部改編)
23.5.3 材 料
(l) 屋上緑化システムは、次の(ア) から(オ) の各層により構成される。
(ア) 耐根層
(a) 耐根層には、その材料特性等から、不透水性のものと透水性のもの、根茎侵入を材料強度等によって物理的に防止するものと植物ホルモン系の根茎調節資材の使用によって化学的に防止するものに分類できる。しかしながら現状では、建物屋上やルーフバルコニーに使用できる耐根層は、物理的に根茎侵入を防止する不透水性のものに限定されている。
なお、防水層の中には耐根層を兼ねるものもある。
(b) 耐根層(耐根シート)に求められる性能は、植物根茎が防水層を貫通しないこと、防水層重ね合せ部に根茎が侵入しないことであり、この性能が長期(2年以上)にわたり維持されることである。そのため、クマザサとノシバの2種類の草本類を性能指標植物の1つとしている。これは、これら植物の地下茎先端部が鋭いとともに、その押し付け力が強く、防水層を貫通するおそれがあるためである。また、タブノキとヤシャブシの2種類の木本類をもう一方の性能指標植物としている。これは、木本類の根は根先端部の押し付け力は小さいものの、根系の肥大生長が防水層に与える影響を無視できないためである。すなわち防水層重ね合せ部を肥大生長した根系が押し広げることが懸念されるためである。同試験方法と判定方法の詳細は、「JASS 8 防水工事」のJASS 8 T-401(屋上緑化用メンブレン防水工法の耐根性試験方法(案))に記述されている。したがって適用する耐根層は、この耐根性試験に合格したものを用いるか、公的認定機関でその使用が認可されているものが適当である。
(c) 耐根層は、技術的なデータや施工実績を基にして、重ね合せ部の接合方法等を検討し、場合によっては防水層の材質の硬さや平たん性等も考慮に入れ、総合的に判断して採用されるものである。
(イ) 耐根層保護層(衝撃緩衝層)
(a) 耐根層保護層(衝撃緩衝層)は、緑化工事の施工中及び施工後の維持管理作業中の衝撃や器具による損傷から耐根層や防水層を守る目的で、耐根層の上に設置されるものである。
なお、「標仕」では、「耐根層を保護コンクリートの下に設ける場合は、保護コンクリートを耐根層保護層とすることができる。」と規定している。しかし、屋上緑化システムの施工面積が屋上の一部分又は小面積の場合で、保護コンクリートの上に、耐根層を設置した場合には、耐根層の下となる保護コンクリートは、耐根層保護層とならない。
(b) 耐根層保護層(衝撃緩衝層)の材料として、「標仕」では、合成樹脂等と規定されている。合成繊維の不織布マットは、衝撃の吸収可能な厚手のものとし、厚さ5mm以上、かつ、600g/m2以上のものがよい。このほかの材料には、アス ファルト成形板、ゴムマット、コンクリート平板等がある。
(c) 緑化工事で大型機械工具を使用しない場合は、耐根層保護層(衝撃緩衝層)は合成繊維の不織布マット程度でもよいが、車両や大型の機械工具で高木を植栽する場合は、アスファルト成形板、ゴムマット等にするほうがよい。さらに 安全な保護機能を必要とする場合は、保護コンクリートにすることが望ましい。
(ウ) 排水層
(a) 近年頻発する集中豪雨に対しても、屋上に滞水することがないように、土壌表面及び土壌中の余剰水を速やかに排水するための排水層が必要になる。屋上における排水層の機能不備は、植物には根腐れを、建物には漏水などをもたらす危険性がある。
屋上は、地上のように雨水の地下浸透がないため、排水層の排水機能の不備は直ちに過湿状態を招き、植物にとっては根腐れ、建物にとっては荷重の増大や漏水の原因となる。
(b) 排水層には、保水機能を有しない「排水型」及び一定量の水をためることのできる「貯留排水型」がある。
排水型と貯留排水型の特徴等を表23.5.3に、その説明図を図23.5.1に示す。
表23.5.3 排水型と貯留排水型の特徴等
図23.5.1 排水型と貯留排水型の説明図
(c) 「標仕」では、排水層の種類は、軽量骨材、透水排水管(合成樹脂系透水管、黒曜石パーライト詰め透水管)又は板状成形品(成型パネル)とし、種類は特 記によるとされている。
@ 軽量骨材
1) 「標仕」では、軽量骨材の種類は、火山砂利、黒曜石パーライト、膨張性頁岩等の粒径3〜25mm程度のものと規定しており、砂利及び砕石は質量(かさ密度)が大きいことから除外している。
また、「標仕」で層の厚さは、特記によるとされているのは、排水層の厚さは、スラプの排水勾配や勾配方向の排水経路の距離等を勘案した水平方向の必要排水能力によって決まるためである。
2) 排水層は、集中豪雨への対応及び目詰まり防止の観点から広い面積を緑化する場合、透水排水管を併用する。透水排水管は、合成樹脂系透水管、黒曜石パーライト詰め透水管等とされているが、円形の合成樹脂系透水管の管径は75mm以上、板状の透水管は200 × 30(mm)以上、黒曜石パーライト詰め透水管の管径は150mm以上とするのがよい。
A 透水排水管は、合成樹脂系透水管、黒曜石パーライト詰め透水管等とする。
B 板状成形品(成型パネル)
1) 板状成形品(成型パネル)には、二重構造のものや卵パックのような形状のものなど様々な形態の製品があり、大きく分けると、水をためないタイプと皿状部分に水をためるタイプがある。
水をためないタイプは、厚さ7 〜 50mm程度と薄く、軽量で施工性に優れている。
水をためるタイプは、厚さ25 〜 70mm程度で、貯水能力は 3〜20ℓ/m2程度と幅がある。また、このタイプには製造所独自の工夫が施された製品が多いが、土壌との間に空気層ができるものが望ましい。
2)「標仕」では、排水性能は、鉛直方向で 240ℓ/m2・h 以上とし、水平方向は直ちに排水可能なものと規定している。この鉛直方向の排水性能値 0.24m3/m2・ h ( 240ℓ/m2・h )は、換言すると降雨強度240mm/h までの降雨を排水できる能力を示すものである。近年の日本における局地的大雨の記録によれば、40〜 50mm/10min( 240〜300mm/h)程度が最大値になっており、この値に相当するものである。すなわち排水層の排水性能を検討する場合は、このような10分程度の短時間における排水性能を満足することが不可欠になっている。
3) 板状成形品(成型パネル)の強度は、積載荷重に対して、破損、有害なひずみ等がなく、材質は合成樹脂等のものとする。
(エ) 透水層(フィルター層)
(a) 透水層(フィルター層)の役割は、排水層への土壌の流れ込みを防止するとともに、土壌層の重力水を滞りなく排水層に移行させることであり、目詰まりがなく土壌粒子を確実に遮断するものでなければならない。
(b) 「標仕」では、材質は合成樹脂等としており、通常、フィルター(ろ過)機能を備えた合成繊維不織布系のものが多く使用されている。
(c) 透水層(フィルター層)は、十分な目詰まり防止性能を備え、透水性能に優れ、耐腐食性や耐久性があるものの中から、技術的なデータと施工実績により、総合的に判断して採用されるものである。
(d) 透水層(フィルター層)の品質・性能については、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」の評価項目に透水フィルターの透水性能試験の方法が規定されているので参考にするとよい。
(オ) 土壌層
(a) 屋上緑化用土壌は、限られた土壌厚でより健全な植物の生育を確保するため、高い透水性や保水性が要求される。また、使用場所を考慮に入れ、湿潤時のかさ比重、土壌の飛散と目減り、耐久性、コスト及び再使用の可否等について検討し、総合的に判断して採用されるものである。
(b) 屋上緑化に用いられる土壌には、自然土壌、人工軽量土壌及び改良土壌があるが、「標仕」では、人工軽量土壌又は改良土壌を使用すると規定している。
@ 各種土壌の特徴等を表23.5.4に示す。
表23.5.4 土壌の種類と特徴等
A 人工軽量土
1) 人工軽量土壌は、無機質系、有機質・無機質混合系及び有機質系に分類されるが、「標仕」では、無機質系、有機質・無機質混合系を使用すると規定している。各種人工軽量土壌の特徴等を、表23.5.5に示す。
なお、人工軽量土壌の場合、その種類に関係なく、一般的に常設のかん水施設が必要となる。
表23.5.5 人工軽量土壌の種類と特徴等
2) 「標仕」では、人工軽量土壌の性能として、飽和透水係数と水素イオン濃度指数(pH)が規定されている。この項目以外には、人工軽量土壌として明確に規定された性能表示項目や性能値はなく、また、性能の測定方法についても統一されていないためである。参考として、性能の目安及び性能の測定方法の例を、表23.5.6及び表23.5.7に示す。
表23.5.6 人工軽量土壌の性能評価項目と目安の例
表23.5.7 人工軽量土壌の性能の測定方法の例
B 改良土
改良土壌とは、黒土等の自然土壌にパーライト、ピートモス、パーク堆肥等の軽量な土壌改良材を混入して軽量化した土壌をいう。土壌及び土壌改良材の種類とその混合割合は、表23.5.8を参考にして品質計画を作成する。
屋上緑化においては、地上部での緑化と異なる資材、改良項目、考え方があるため、表23.2.6とは異なるので注意する。
表23.5.8 土壌改良材と改良項目
(2) 「標仕」では、屋上緑化軽量システムは、次に示す(ア) から(オ) までの層により構成されたものとし、その工法はシステムの製造所の仕様によると規定している。
なお、このシステムでは強風によるシステム全体の飛散に対する対応が不可欠であり、耐風強度及びその対策が明記されたものを選定する。
(ア) 耐根層
耐根層については、(1)(ア) を参照する。
(イ) 耐根層保護層(衝撃緩衝層)
(a) 露出防水層は、機械的衝撃に弱く、施工中についたわずかな傷からも漏水する危険性がある。耐根層保護層(衝撃緩衝層)は、緑化工事の施工中及び施工後の維持管理作業中における衝撃から、防水層、耐根層を保護するためのものである。
(b) 耐根層保護層(衝撃緩衝層)は、長期にわたり機能を維持しなければならないため、耐久性のある材料とする。簡易な保護材としては質量 600g/m2以上の不織布があるが、資材の運搬、スコップ等の使用を考慮する場合には、厚さ 4mm以上の合成樹脂、アスファルト成形板、ゴムマット等が望ましい。
(ウ) 排水層
(a) 排水機能のほかに保水機能を備えた成形パネルは、それぞれにシステムの製造所独自の工夫が施されたものが多い。
(b) 成型パネルは、供用時の載荷重に対して有害な変形や損傷が生じない適度な強度を有するものとする。
(c) 鉛直方向の排水性能は、毎時 240ℓ/m2が確保されること、水平方向の排水性能は、植栽部の水上から水下までの水平方向の長さ、集水面積、排水空間断面積、水勾配等を勘案し、雨水を速やかに排水できること、見切り材の水抜き管も同様に対応することが望ましい。
(エ) 透水層
透水層については、(1)(エ) を参照する。ただし、ユニットタイプには、ユニット内で土壌流失を防ぐ工夫がされたものもある。
(オ) 土壌層(培地)
屋上緑化軽量システムでは、セダム類、芝等の植物が多く用いられているが、それぞれに植物特性が異なる。セダム類は乾燥に耐えるため、かん水は比較的少なくてすむが、芝は定期的なかん水と刈込みが必要である。このように、植物によって土壌(培地)に要求される性能に違いがあるため、「標仕」では、植込み用土はシステムの製造所の仕様によると規定している。土壌を使用した場合の性能の目安は、表23.5.6を参考にするとよい。
(カ) 屋上緑化軽品システムについては、「標仕」で要求する品質を満たすものとして、(-社)公共建築協会の「建築材科・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4 (5)参照)で評価した製品があるので参考にするとよい。
(3) 屋上緑化に用いる樹木
(ア) 屋上の植物の生育環境は、制約された植栽基盤、建物の祖熱やふく射熱による熱ストレス、強風の影響やこれらの現象によって引き起こされる水分蒸散量の増大等厳しい条件下にあり、植物の環境適応特性に配慮した植栽計画が求められる。
使用できる植物種は、可能性としては多くの種があるが、経年変化も含めた実績のある植物の使用が望ましい。植物種は、求められるデザインや機能あるいは文献調査や使用実績調査に基づき、植栽地の環境、植栽基盤条件、植物特性、植栽の形態、維持管理の頻度、コスト等について検討し、総合的に判断して採用されるものである。
(イ) 「標仕」では、樹木は「標仕」23.3.2 (1)によるとして地上と同等としているが、屋上緑化は、生育環境が厳しいことや枯死した場合の植替えの困難さ等から、地上より厳しい品質が求められる。屋上緑化に用いる樹木に要求される品質には、次のようなものがある。
(a) 樹木は、根回し又は床替えをしたもので十分に細根が発達し、根鉢の崩れがないものとする。ただし、細根性の低木については、根回し又は床替えの必要はない。
(b) 樹木の根鉢の厚みは、植栽基盤の土層厚より薄いものとする。
(c) 植栽地の土壌と根鉢土壌は、なじみのよいものとし、かさ比重の軽い土壌層に植栽する樹木は、粘土質土壌の根鉢は避ける。
(d) 樹木は必要以上に徒長したり、肥大生長したものでなく、それぞれの樹種の特性に応じて枝葉が適度に密生し、バランスの良い状態に育成栽培されたものとする。
(ウ) 屋上緑化では、地上と違って樹木の質量にも注意を払わなくてはならない。樹木の質量は、生長するにつれて増加していく。また、植栽の維持管理の仕方によっても異なってくる。
(a) 中高木等の質量
中高木等の質量は、地上部の幹、枝及び葉の質量と地下部の根を取り込んだ根鉢の質量に分けられるが、一般的には、地下部の質量の方がはるかに大きく、根鉢の大きさが樹木の質量を大きく左右するといえる。
(b) 低木等の質量
低木等の質量については、明確な資料はないが、ある実測値によると、1m以下の低木で500g 〜12kg/株(地上部+地下部)と幅がある。
(4) 屋上緑化に用いる芝及び地被類
「標仕」では、芝及び地被類は、「標仕」23.4.2 (1)及び(4)によるとし、地上と同様としているが、屋上緑化の場合、これらに加えて要求される品質には、次のようなものがある。
(a) 冬期に地上部が休眠して冬枯れ状態になっても土壌の緊縛力があり、丈があまり高くならないで密に表面を覆うものとする。
(b) 薄層の植栽基盤に使用する植物種は、耐乾性に優れているものとする。
(5) 見切り材(土留め材)
(ア) 植栽地の見切り材(土留め材)には、現場打ちコンクリート、コンクリートブロック、れんが等を用いた造成型、組立式のシステムコンテナ型、金属成形型等があり、「標仕」では、特記によると規定している。見切り材は、風による飛散防止策、質量、強度、耐転倒性、固定方法、経年変化、取替えの簡便さ、デザイン性等を考慮して、使用する材料が選定される。
(イ) 屋上緑化軽量システムの場合、見切り材もシステムの部材として組み込まれているものが多い。
(ウ) 見切り材の排水孔は、雨水の集水面積、排水勾配、見切り材置材等を考慮し、費材、形状、間隔、寸法が決められる。排水孔には目詰まり防止、土壌流出防止のための処理を行う。
(6) 舗装材(床材)
屋上の舗装材(床材)に要求される品質は、次のようなものがある。
(a) 屋外の使用に耐える素材とする。
(b) 強風時でも風に飛ばされない構造とする。
(c) 雨水を速やかに排水できる構造とする。
(d) 階下への騒音等が発生しにくいものとする。
(e) 防水層に影響を与えないものとする。
(f) 降雨時においても防滑性能を有するものとする。
※屋上での転倒事例は、降雨時や表面が湿潤時に多く発生する。特に、ウレタン途膜防水、塩ビシート防水層の表面は湿潤状態になるとかなり滑りやすくなるので、メンテナンス通路とする場合には注意が必要である。
(7) 支柱材
支柱には、植栽基盤上に設置する地上支柱と地下に埋設する地下支柱とがある。土層厚が40cm以上あるような場所では、従来型の八ッ掛け支柱、布掛け支柱又はワイヤ掛け支柱を行う場合もある。
(8) マルチング材
(ア) マルチングとは、地表面の乾燥防止、雑草防止、土壌の飛散・流失防止、保温等の目的で地表面を覆うことをいい、そのための材料をマルチング材という。屋上緑化は、特に土壌が薄く、水分保持量も少ないことから、可能な限りマルチングを実施することが望ましい。
(イ) マルチング材は、素材によってそれぞれ特徴があり、使用に当たっては、目的に応じた適切な材料とする。一般的には、松のバークチップ、ヤシガラ、間伐材や伐採木のチップ等が使用されている。風が強い場所では、火山砂利、人工骨材の比較的重いもの、接着剤入り樹皮繊維等を使用するとよい。また、火気について懸念される場合、難燃性の資材を使用する。
(9) かん水装置
(ア) 屋上緑化における植栽地への水の供給は、自然状態においては雨水によるが、無降雨の日が統くときを考慮して、可能な限りかん水装置を設けることが望ましい。かん水装置は、植物の維持に必要な水分の補給のため、植栽規模に応じた管径の給水箭、かん水制御装置及びかん水装置により構成されている。
(イ) かん水に使用できる水には、上水、貯留雨水、井戸水、中水があるが、多くは上水が使用される。上水以外の水を使用する場合、相応の対策が必要となる。
(ウ) かん水の制御方法には、手動と自動があり、自動にはタイマ一方式と土壌水分計の設定値による管理方式等がある。管理方法と密接にかかわるため、制御方法と管理方法の両者を勘案して選定される。
(エ) かん水方式には、地表・地中・底面かん水がある。地表かん水は、スプリンクラーや散水パイプ等があるが、水が風で流されたり、植物の根元に行きわたらないなどの問題がある。かん水装置は、上水の飲料水の配管設備及びこれと給水系統をおなじくする配管設備と直接連結させないこと(建築基準法施行令第5章の四 建築設備等、水道法施行令第五条による)。すなわち給水タンクを設層し、上水(飲料水)の吐出口と水面を離し、給水タンク内の水をポンプで加圧してかん水する方法になる。ただし、給水後の管内残留水をオートドレンで排出し、(公社)日本水道協会が認定するストレーナー、バキュームバルブなどのバルブ類、逆止弁を設層した場合では、上水配管との直結が認められることがある。
23.5.4 工 法
(1) 設計内容について次のようなことを確認するとよい。
(ア) 植栽部及び舗装部の総積載荷重が、設計時に想定した荷重以内になっていること。特に次のことに注意して確認する。
(a) ベンチ、パーゴラ等、付帯施設も含んだ荷重になっていること。
(b) 樹木の荷重は、植栽時ではなく生長して成木になったときの荷重になっていること。
(c) 使用する土壌の種類及び土壌厚の湿澗状態における荷重になっていること。屋上緑化空間では、風が吹くと植裁基盤や樹木に風圧力が作用する。とりわけ屋上緑化軽量システムを採用する場合では、軽量な植栽基盤そのものが風による負の風圧力によって飛ばされることが懸念される。植栽基盤に作用する負圧は、国土交通省告示第1231号「屋根ふき材及び屋外に面する帳煕の風圧に対する構造耐力上の安全性を確かめるための構造計管の基準を定める件」に準拠して求めることができる。同基準によれば、植栽基盤には大きな負圧が作用するため、植栽基盤の確実な固定は必須になる。以上の観点から、屋上緑化軽量システムを採用する場合は、屋上面の風圧力を計算し、耐根層を含む植栽基盤の固定方法を確認することが不可欠といえる。
(イ) 防水層に適した耐根対策、保護対策が取られていること。
(ウ) 防水立上り上端は、最も漏水等の事故が多い箇所である。植栽の土壌面は防水立上り上端より低くなっていること。安全を考慮すると土壌面は防水立上り上端より150mm以上低くすることが望ましい。
防水立上り上端と土壌面との納まりの例を、図23.5.2に示す。
図23.5.2 防水立上り上端と土壌面との納まりの例
(エ) 耐根層は、特に次のことに注意して確認する。
(a) 耐根層が平面部、重ね合せ部、立上り入隅部、貫通パイプ周囲等において同等の性能をもつようになっていること。
(b) 耐根層が保護コンクリートの上部又は防水層直上部に設置されるようになっていること。
(c) 植栽が部分的な場合、植栽範囲が耐根層の敷設範囲に納まること。耐根層は、植栽範囲の周囲 1m程度まで、敷設することが望ましい。
(d) 立上り部に直接土壌が接する場合は、耐根層は土壌面より高く立ち上げてあること。
(オ) 耐根層保護層(衝撃緩衝層)が耐根層の上部に設置されていること。予想される衝撃の種類、現場状況等に応じて、適切な耐根層の保護処置が講じられていること。
(カ) かん水装置の設置は、特記によるが、屋上緑化は植物の生育環境が極めて厳しいことから、かん水装置の設置が望ましい。
かん水装置の設置に当たっては、かん水装置と上水(飲料水)の給水系統と同じくする配管設備を直接に連結させないこと(建築基準法施行令第5章の4、水道法施行令第5条による)及びかん水管の引込み箇所、かん水装置、かん水方法及びかん水量が適切であること。
(キ) 屋上緑化工事以外ではあるが、排水関係については、次のようなことを確認するとよい。
(a) ルーフドレンは、排水面に最低2箇所以上設置されていること。ルーフドレンの口径は目詰まりを考慮して余裕のある管径になっていること。
(b) 皿形ストレーナーは、目詰まりを起こしやすいので、山形又はドーム形ストレーナーになっていること。
(c) 植込み内にルーフドレンを設置する場合は、土壌の流入や落葉による目詰まりを防止するため、点検可能な桝を取り付けるようになっていること。
(d) オーバーフロー管が設置されている場合は、オーバーフロー管の排出孔には目詰まり防止用の対策がなされていること。
(e) パラペットや壁面に直接土壌が接する場合は、壁面等の雨水を速やかに排水できる対策がなされていること。流速のついた雨水による土壌の流失、ルーフドレンの排水阻害を防ぐため、壁面等と土壌の間に排水溝の設置又は雨水が浸透しやすい砂利の敷設等の排水対策がなされていること。
壁際の排水溝の例を図23.5.3に示す。
(f) 植栽部が排水勾配と直交又は排水路を分断する場合は、雨水が停滞しないように、排水経路が確保されていること。
(g) 土壌の種類によっては、集中豪雨時に地中に浸み込みきれずに、あふれて表面を流れる場合があるため、排水溝や排水桝等の表面排水設備が設置されていること。
(ク) 屋上緑化のメンテナンス通路の安全性が確保されていること。
(ケ) 屋上緑化利用者の安全対策が図られていること。
図23.5.3 壁際の排水溝の例
(2) 施工上、次のようなことに注意する。
(ア) 屋上緑化システムの場合は、耐根層が損傷を受けると耐根層を貫通した根が防水層へ達して防水層を損傷させる危険性があるため、施工に当たっては不用意に耐根層を損傷することのないよう細心の注意を払うとともに、耐根層を保護する耐根層保護層(衝撃緩衝層)を敷設してから、工事を行うことが必要である。
(a) 保護コンクリートの上に耐根層を配置する場合で、植栽部と舗装部が一体となったものは、メンテナンス時に舗装部への根の侵入を確認できないため、植栽部と舗装部を連続して耐根層を敷設する。植栽部が見切り材で仕切られ、植栽部からの根の侵出が確認できメンテナンス時に根を切り取ることができるものは、見切り材外部下まで耐根層を敷設する。耐根層上部には施工中及び管理時の損層防止のため耐根層保護層(衝撃緩衝層)を敷設する。
(b) 保護コンクリートの下の防水層直上に耐根層を設置する場合は、保護コンクリートが防水層及び耐根層の保護機能を兼ねているため、耐根層保護層(衝撃緩衝層)を設置する必要はない。この場合は、耐根層は立上りを含む防水層全面に施工することになり、庭園型、菜園型、ビオトープ型等全ての緑化形態に対応することができる。
(イ) 屋上緑化軽量システムでは、アスファルト保護防水と露出防水の2種類が適用される。アスファルト保護防水の場合では、防水層の上に耐根層が敷設され、保護コンクリートが耐根層保護層(衝撃緩衝層)を兼ねることになる。一方、露出防水の場合では、耐根性がある防水層又は耐根層の上に耐根層保護層(衝撃緩衝層)が敷設されることになる。
なお、適用する耐根層は、23.5.3[材料](1)(ア) [ 耐根層]による。
また、風に対する抵抗性に関しては、23.5.4[工法](1)(ア)を満足する仕様とする。図23.5.4に風圧力を考慮した屋上緑化軽量システムの設置方法の一例を示す。
図23.5.4 シート防水(接着工法)の場合の連結固定の対応例
(ウ) 土壌については、飛散と水分量について注意する。
屋上空間は、風が強く、乾燥しやすい環境のため土壌が飛散しやすい。特に人工軽量土壌は軽く飛散しやすいため注意する。土壌の飛散は建築設備への汚れ、ルーフドレンヘの流人による排水管の詰まり等の原因となる。また、近隣周辺への影響も配慮する必要がある。施工中、土壌の飛散が予想される場合には、あらかじめ水を吸わせてから施工したり、頻繁に散水するなどして飛散防止に努める。
また、粒径の大きな土壌に一時に大量の水を掛けると微粒子分が洗い流されて底に堆積し、フィルターやルーフドレンの目詰まりを起こすため注意する。
気乾状態の人工土壌の場合、必ず十分に水分を含ませてから植物を植え付ける。これをしないと、気乾状態の土壌が、植物、根鉢から水分を奪うため、急激に枯死に至ることがあるため注意する。
(エ) 屋上は、一般的に風が強いため、樹木の転倒防止及びパーゴラやトレリス等の構築物の飛散防止のため固定する必要がある。
(a) 樹木の固定方法としては、幹を押さえる方法、根鉢を押さえる方法等がある。
(b) 土壌厚があり従来型支柱により固定する場合は、屋上には耐根層があるためそれらを傷つけることがないよう、根杭やアンカーの留め方に十分注意して施工する。
(c) 地際で幹をベルトで固定する地下支柱の場合は、樹木の生長に伴いベルトが幹に食い込むおそれがあるため、数年経過後、ベルトを緩めるなどの対策が必要となる。
(d) 必要に応じて、施工者から、樹木等の固定方法、樹木等の風圧力計算書等を施工計画書
とともに提出させるとよい。
23.5.5 新植樹木、芝及び地被類の枯補償
(1) 屋上緑化工事における新植樹木、芝及び地被類の枯補償は、23.3.4を参照する。
(2) 「標仕」では、屋上緑化工事の枯補償についても地上と同じ扱いとしているが、屋上は、植物の生育環校として極めて厳しい条件下にある。したがって、完成引渡し後の管理不備による植物の枯損等が起こらないように、維持管理体制及び管理方法について、発注者、施設管理者及び受注者等間で協議しておくとよい。
23.5.6 屋上緑化の維持管理
(1) 施設管理者への引継ぎ
植物を健全な状態で維持するためには、関連施設を含めた維持管理計画書を作成し、施設管理者に確実に引き継ぐ必要がある。
なお、維持管理計画書とは、機器類等の取扱い説明書に当たるものである。
(2) 維持管理計画
維持管理計画書に記載する主な内容は、次のとおりである。
(a) 定期点検及び台風や強風前後の臨時点検の実施
植物・植栽基盤の状態及び防水層・耐根層の健全性の確認並びにルーフドレンの点検、かん水設備等の動作・設定確認を行い、管理作業に反映させる。
なお、ルーフドレンの清掃、目立つ害虫の捕殺、障害枝の切除等の簡易な作業は、点検時に処置するのがよい。点検の頻度は、1回/月を目安とする。
台風や強風のおそれがある場合は、事前に飛散物の有無や、ルーフドレン回りの堆量物を点検して必要な処置を行い、風が収まった後に再点検し、必要に応じて復旧作業を行う。
(b) 施設管理
@ 防水層及び耐根層の健全性の確認
外観診断により、防水層等の破損及び固定状態を確認する。
A ルーフドレン
ごみ詰まりの有無を点検し、必要に応じて清掃を行う。
B かん水設備
かん水の制御方法には、ソーラー、AC100V及び電池式がある。主な管理作業は次のとおりである。
1) 春夏秋冬の季節の変わり目にタイマーの設定を変更し、1回/年フィルターの清掃を行う。
2) 寒冷地においては、冬期はかん水装置の破損を防ぐため、水抜きやヒーティング処理を行い、春先に給水を開始する。
3) 電池式制御の場合は、電池交換の時期を取扱い説明書等で確認し、電池切れが生じないよう早めに交換する。
4) ソーラー式制御の場合は、ソーラーセル(太陽光が当たる部分)の清掃、日当たりの確認、充電器の寿命等を確認し、必要な処置を行う。
5) かん水パイプ等が破損した場合は、発見次第直ちに復旧作業を行う。
6) 給水元栓に「常時開」の札を付け、点検時に開となっていることを確認する。
C デッキ、ベンチ、手すり等施設
腐食、塗装、固定状態等の確認を行い、問題があれば早急に補修する。
(c) 植物管理
@ 屋上緑化システム
植栽基盤、植栽形態、植栽樹種等、多種・多梯であり、また、利用目的及 び利用状況によって異なるため、それぞれの条件によって管理内容は異なる。
本項では、一般的、かつ、基本的な管理(東京標準)について概要を述べる。
1) 高中木せん定
常緑樹は、新業が固まった5月下旬〜6月上旬、落葉樹は落葉している休眠期に、樹種固有の美しさを維持するための透かしせん定を行い、夏期に混み過ぎた部分の枝抜きと樹冠から突出した枝を切り詰める。
なお、花木については、花芽の分化期を考慮してせん定時期を決定する。
2) 生垣・低木刈込み
6月下旬と10月の2回を標準とする。なお、花木については、前項に準ずる。
3) 芝刈り
ノシバ及びコウライシバの場合、5月〜9月の生長期に毎月1回を目安に刈り込む。
4) かん水
夏期は日中の暑い時間帯を避け、朝夕の涼しい時間帯に行う。冬期は朝にかん水する。
自動かん水の場合は、間隔及び量が過剰にならないようにセットする。
手動かん水の場合は、無降雨日の連続状況、土壌厚、土壌の保水性等を勘案し、適切にかん水する。1回のかん水量は、植栽基盤底部まで十分に届く量とする。
5) 除草
樹木の植栽地については、2回/年、芝生地については3回/年を標準とする。
6) 施肥
樹木の植栽地の施肥量は、積載荷重を勘案し急激に伸長しないよう、樹木の大きさや状態に応じて決定する。
頻繁に利用する芝生地については2回/年を標準とし、1回当たり低度化成肥料を適宜施す。
7) 病害虫防除
病害虫の早期発見に努め、発見したら直ちに適切な方法にて防除する。
8) その他の作業
必要に応じ、高中木の支柱結束直しを行う。芝生地のエアレーション及び目土かけは、積載可能荷重、かん水装層の状況等を勘案し判断する。
A 屋上緑化軽量システム
代表的な植物である芝生並びにセダム類の管理概要は、次のとおりである。
なお、維持管理方法の詳細については、システムの製造所によって屋上緑化軽量システムの仕様が異なるので、システムの製造所に相談するとよい。
1) かん水
@4)に準ずる。
2) 除草
芝生については、3回/年を標準に行う。また、セダムの場合、施工後、繁茂するまでの1 〜2箇月は、特に雑草が侵入しやすいので注意する。その後は1〜2回/年の手抜き除草を行う。
3) 施肥
芝生については、2回/年を標準とし、1回当たり低度化成肥料を適宜施す。
なお、セダムの場合、過剰な施肥は、徒長を助長し、蒸れの原因となるので避ける。
4) 病害虫防除
発見したら直ちに適切な方法にて防除する。
なお、セダムの代表的な病気としては白絹病がある。害虫で特に問題となるのは、ヨトウガの幼虫(ヨトウムシ)の大量発生である。
5) その他の作業
利用者の踏圧により芝が損耗した場合には、日土かけ、エアレーション、補植・張替え作業等が必要となるが、積載可能荷重、かん水装置の状況等を勘案し対応する。枯死した箇所には補植を行う。また、セダム類が繁伐し蒸れが懸念される場合、シュートの大半が花茎に発達した場合には、刈込みを行う。
土壌の飛散によって厚みにムラが生じた場合、薄い場所には土壌を補充する。
公共用緑化樹木等品買寸法規格基準(案)の解説(第5次改訂対応版)(2009)
著者:(-財)日本緑化センター
発行所:(-財)日本緑化センター
植栽基盤整備技術マニュアル (2013)
著者:(-財)日本緑化センター
発行所:(-財)日本緑化センター
植栽基盤整備ハンドプック (2017)
著者:(-社)日本造園建設業協会
発行所:(-社)日本造園建設業協会
道路土工一切土工・斜面安定工指針 (2009)
著者:(公社)日本道路協会
発行所:(公社)日本道路協会
造園施工管理(技術編)(2021)
著者:(-社)日本公園緑地協会
発行所:(-社)日本公園緑地協会
建築工事標準詳細図(令和4年版)
著者:(-社)公共建築協会
発行所:(-社)公共建築協会
建築工事標準仕様書・同解説 JASS 8 防水工事(2022)
著者:(-社)日本建築学会
発行所:(-社)日本建築学会
新版知っておきたい屋上緑化のQ&A (2012)
著者:(公財)都市緑化機構、特殊緑化共伺研究会
発行所:鹿島出版会
新版屋上緑化設計・施工ハンドプック(2014)
著者:特定非営利活動法人、屋上開発研究会
発行所:(株)マルモ出版