2.材 料
10.2.1 石 材
JIS A5003:1995
表 建築用石材の分類
花こう岩
花こう岩は石材の中でもっとも建築石材として適している。その主成分は雲母、長石、石英の3種である。その中の長石の大きさ、色、配列によって荒目、中目、小目、細目、また色も白、桜(ピンク)、赤等に区分される。石質は硬く優美であり、光沢も優れている。耐久性、耐摩耗性、風化に強いが、耐火性に弱く、時にサビが出ることがある。また、硬いため加工性がよくないのが欠点である。
閃緑(せんりょく)岩
閃緑岩は一般に「黒御影」と言われる火成岩で、主成分は中性斜長石、角閃石である。組織は細粒で石質は硬い。したがって加工性が悪く、特につや出しが難しい。また傷が多く目利き出ないと良材や大材を切り出すのが難しい。耐久性や耐摩耗性などに優れている。
班れい岩
黒色結晶質の石で、主成分は中性斜長石、異剥石で磨くと美しい黒色の絹光沢を発する。石質は硬く石目が目立たない。その他については閃緑岩と同じである。
石英班岩
石質はおおよそ花崗岩と同じであるが、成因が違うため花崗岩より硬いが美しさでは劣る。
石英粗面岩
成分は花崗岩、石英斑岩と同じであるが、第三紀以降の噴出でできたという時代の相違があり、流状石理を呈するか、板状に剥離のあるのが普通である。色は灰色、濃灰色であるが、青、緑、褐、赤、黄を帯びているものもある。軽石状の石材も石英粗面岩に属する。
安山岩
一般に輝石安山岩、角閃安山岩のことをいう。一般的に耐久性、耐火性は花崗岩より優れているが他は劣る。採掘が比較的容易で、建築、土木用石材としては花崗岩と双璧をなす。
玄武岩
だいたい黒褐色で、硬く緻密な基性岩である。磁鉄鉱等を成分としていて多孔質で柱状節理のものが多く、自然の形のまま使用する場合が多い。
結晶片岩
変成岩の総称。はっきりと層状に剥離する。石英または長石に緑泥岩、雲母、石墨を成分とする。趣があるので自然のまま使う場合が多い。
粘板岩
別名「スレート」とも称する。硬く固まった粘土に炭素物質や酸化鉄分が加わって、完全な板状組織をもつ岩石である。スレートとして要求される石質は、
@剥離して平坦な薄板ができる
A破面に凹凸が少なく大板がとれる
B石英脈などがない
C緻密で、あまり湿気を吸収しない
D薄板にしてももろくならず堅牢である
等
砂 岩
いろいろな砂が、ある物質で膠着されたものである。その膠着物質は、珪酸、炭酸石英、酸化鉄、粘土質等である。膠着物質が何であるかによって、色、硬さが決まる。耐久性はあるが一般に衝撃には弱い。砂粒が大きいときは礫岩、角粒であれば角礫岩と呼ぶ。
凝灰岩
噴出した灰、砂、岩塊片等に他から加わった物質が水中または陸上で堆積し凝固したもので、産出地によって石質や色はかなり異なる。質は軟らかく加工性に富む。一般に風化しやすい(一部には強いものもある)が加熱には強い。砂質凝灰岩と角礫凝灰岩に大別されるが建築用材としては前者が適している。
石灰岩および大理石
炭酸石灰を主成分としているが常に多くの不純物、主として粘土物質、硅酸物質、酸化鉄、軟体動物の残屍等が入っている。正確には非結晶質のものを単に石灰石と呼び、結晶質石灰岩を大理石とよんでいるが、わが国では両方ひっくるめて大理石とよんでいる。磨くと美しい色と紋様と光沢を発する。耐圧、耐屈、耐伸に優れ、吸水性も小さいが、外部に使うと光沢がなくなり風化や劣化が早い。また、不純物が斑紋をなしており、傷となることも多い。
橄欖岩および蛇紋岩
橄欖岩はカンラン石、クローム鉄鉱からなっている。カンラン石には縦横に不規則な割条があるが、この割目
に蛇紋石が生じ増加する。蛇紋石は、カンラン石を分解して、その周囲や割目に沿ってできる、いわゆる変成岩である。蛇紋岩の名称は、色や斑紋が蛇の皮に似ているところから名付けられたのである。また、閃緑岩や班れい岩が変成作用を受けたものを蛇灰石とよぶが、これも蛇紋岩に含まれる。濃緑色で斑紋もたいへん美しいが、耐候性ともろさの点で問題がある。