2023年12月16日
20章 ユニット工事 2節ユニット工事 2.フリーアクセスフロア
02節ユニット工事等
20.2.1 一般事項
この節は、現場において取付けを行うユニット製品類を対象としている。
20.2.2 フリーアクセスフロア
(1) この項は、事務室、電子計算機室等に用いるフリーアクセスフロアを対象としている。
(2) 材料等
(ア) フリーアクセスフロアに関する JIS A 1450(フリーアクセスフロア試験方法)には、試験方法のみで製品規格は規定されていない。フリーアクセスフロアのパネルの材料を表20.2.1に、また、JIS A 1450で定義されている用語を次に示す。
(a) フリーアクセスフロア
建築における二重床システムのうち、床天端のパネル等を簡易に取り外して床下空間の設備等のメンテナンスができる構造のフロア。
(b) パネル
フロアの部材のうち、上面を形成する部材(表面仕上げ材が製造工程で張られたものも含む。)。
(c) 支柱
フロア部材のうち、パネルを支持するもので緩衝材を含む。
(d) シート
下地床上に敷き、フロアのずれなどを防止する部材。
(e) ユニット
繰返し配列されるパネルと支柱とを組み合わせたもので、緩衝材及びシートを含む。
表20.2.1 フリーアクセスフロアのパネルの材料
(イ) 表面材
(a) 表面仕上材は、タイルカーペット又はビニル床タイルが一般的である。
パネルに張り付けられたものと置敷きのものがある。
(b) 表面材は、OA機器、コンビューター等の誤動作の原因にならないように、帯電防止性能のあるものを使用するのが望ましい。
(ウ) 品質・性能
品質、性能を確認する試験方法( )内は、基本的に JIS A 1450による。
(a) 耐震性能(振動試験)
地震による変形及び損傷に関する性能。
床高さ300mm以下の場合、振動台試験を定めている。
載荷荷重 3,000N、5,000Nそれぞれの場合について、国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「(平成25年制定)官庁施設の総合耐震・対津波計画基準及び同解説(令和3年版)」に示される建築非構造部材の設計用標準水平震度(Ks)0.6及び1.0をそれぞれ適用して性能区分しており、合計で4区分としている。
(b) 帯電防止性能(帯電性試験)
人体やOA機器に影響を与える帯電に関する性能。
評価方法は、JIS A 1455(床材及び床の帯電防止性能 − 測定・評価方法)に制定されており、フリーアクセスフロア工業会では、帯電防止性能評価値(U値)を、事務室は 0.6以上、電子計算機室は 1.2以上で評価している。
(c) 漏えい抵抗(漏えい抵抗試験)
感電に関する性能。
「フリーアクセスフロアの仕上げ面とアース端子との間の電気抵抗」を規定したもので、漏えい抵抗(R)が1× 106 Ωより大きいこととしている。
(d) 耐荷重性能(静電荷重試験)
静的荷重による荷重及び変形に関する性能。
一般事務室を想定した 3.000N、重量機器設置を想定した5,000Nの二つの性能区分としている。荷諏試験は、パネル及び支柱要素を含めた実際の施工状態に近い試験であり、3.000N又は5,000N 載荷時の変形量を5.0mm以下、残留変形量を3.0mm以下としている。
(e) 耐衝撃性能(衝撃試験)
衝撃による変形及び損傷に関する性能。
砂袋20kgを400mmの高さから落下加撃後の残留変形量を、3.0mm以下で損傷がないこととしている。
(f) ローリングロード性能(ローリングロード試験)
台車走行による変形及び損傷に関する性能。
1車輪に所定荷重を加え、5,000往復走行後の残留変形量を3.0mm以下で損傷がないこととしている。
(g) 耐燃焼性能(燃焼試験)
ケーブル火災等の残炎時間に関する性能。
建築基準法に基づく不燃材料の指定又は認定を受けたもの、若しくは残炎時間が0秒であることとしている。
(h) 寸法精度(寸法測定)
パネルの長さ、高さ、厚さ、平面形状及び平たん度の寸法精度。
JIS A 1450では、製品の構成上必要ない寸法(水平方向に可とう性や調整代をもつ場合のパネル要素の長さの寸法精度等)には寸法測定を適用しないことが規定されているが、施工性及び部分的な配置換えを考慮した寸法精度としている。
「標仕」20.2.2(2)(オ) では、寸法精度は、特記による。特記がなければ、次によると規定されている。
1) パネルの長さの精度は、各辺の長さが500mmを超える場合は、± 0.1%以内、500mm以下の場合は、± 0.5mm以内とする。
2) パネルの平面角度は、各辺の長さが500mmを超える場合は、± 0.1%以内、500mm以下の場合は、± 0.5mm以内とする。
3) フリーアクセスフロア高さは、± 0.5mm以内とする。ただし、高さ調節機能のあるものは、この限りでない。
(i) フリーアクセスフロアについては、「標仕」で要求する品質を満たすものとして、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4 (5)参照)で評価した製品があるので参考にするとよい。
(3) 工 法
フリーアクセスフロアの工法は、種類により敷設方法が異なる。支柱等をスラブに固定するタイプと固定しないタイプの2種類がある。また、仕上げレベルの調整が可能な支柱調整式と調整の必要のない置敷式に分類される。
フリーアクセスフロアの種類について、表20.2.2に示す。
施工手順としては、墨出し後、支柱分離型はパネル下部の支柱等を敷設し、その上にパネルを配置し、表面材で仕上げる。支柱一体型は、パネルを直接配置し表面材で仕上げる。ただし、製品により取付け工法が異なるため、「標仕」では、工法は、フリーアクセスフロアの製造所の仕様によると規定している。
表20.2.2 フリーアクセスフロアの種類
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