※ 問題番号[ No.1 ]〜[ No.15 ]までの 15 問題のうちから、12 問題を選択し、解答してください。
[ No. 1 ]
伝熱に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.複数の材料で構成された多層壁の熱伝導抵抗は、材料ごとの熱伝導抵抗の合計値で表される。
2.壁の内部に中空層を設け2重壁とする場合、中空層が厚くなればなるほど断熱効果が高くなる。
3.熱放射は、電磁波による熱移動現象であり、真空中であっても放射による熱移動は生じる。
4.熱損失係数は、建物の断熱性能評価の指標であり、この値が小さいほど断熱性能が高い。
答え
2
壁の中空層(空気層)の熱抵抗は、中空層の厚さが20〜30mmを超えると、厚さに関係なくほぼ一定となる。
1 ◯
複数の建築材料で構成される多層壁における個体や静止した液体中うでは温度差によって熱が伝達され、その熱伝導抵抗は、材料ごとの熱伝導抵抗の合計値で表される。
3 ◯
熱放射は、電磁波によって起こる熱移動現象である、真空中でも放射による熱移動が生じる。
4 ◯
熱損失係数は、建物の断熱性、気密性を統合した熱的性能の評価の指標として用いられるもので、各室の貫流熱損失及び換気、すき間風等による熱損失の合計を求め、これを述べ面積と室内外の温度差で除した値である。この値が小さいほど、床面積当たりの熱損失が少なく、エネルギー消費も少ない。
[ No. 2 ]
採光に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.全天空照度とは、天空光が遮蔽されることのない状況で、直射日光を除いた全天空による、ある点の水平面照度をいう。
2.形状と面積が同じ側窓は、その位置を高くしても、昼光による室内の照度分布の均斉度は変わらない。
3.昼光による室内の採光では、一般に天空光を活用することを考える。
4.ある点における間接昼光率は、壁や天井などの室内表面の反射率の影響を受ける。
答え
2
形状と面積が同じ窓でも、高い位置にあるほど、昼光による室内の照度分布の均斉度は高くなる。
1 ◯
全天空照度とは、全天空が望める水平面の天空光のみによる照度であり、直射日光は含まない。曇天の場合は、曇天光のみによる照度であり、全天照度、全天空照度ともいう。
3 ◯
太陽の光を昼光といい、昼光は直射光と天空光に大別される。直射光は直射の太陽光のことで、天空光は太陽の光が空中に拡散したもので空の明るさのことである。一般に室内の採光は、天空光を活用する。
4 ◯
ある点における間接昼光率は、内部の壁や天井などの室内表面の反射率の影響を受ける。
[ No. 3 ]
マンセル表色系に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.マンセル記号で表示された「5 RP 3/8」のうち、数値「3」は彩度を表す。
2.マンセル色相環の相対する位置にある色相は、互いに補色の関係にある。
3.明度は、理想的な白を 10、理想的な黒を0として、10 段階に分割している。
4.彩度は、色の鮮やかさの程度を表し、マンセル色立体では、無彩色軸からの距離で示す。
答え
1
マンセル記号で表示された「5RP3/8」のうち、数値「3」は明度、「8」は彩度を表す。
2 ◯
たとえば、紫色と黄緑色の絵の具を混ぜると灰色になる。このように2種の色を混合した無彩色を補色という。マンセル色相環の相対する位置にある色相は、互いに補色の関係にある。
3 ◯
マンセル表色系では、Nは無彩色を示し、Nは0の場合は純粋な黒で、Nが10の場合は純粋な白を表す。
4 ◯
彩度は、色の鮮やかさの程度を表し、無彩色を0とし、色があざやかになるにしたがって段階的に数値が大きくなる。
[ No. 4 ]
鉄筋コンクリート造の建築物の構造計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.建物間に設けるエキスパンションジョイント部のあき寸法は、建物相互の変形量を考慮する。
2.同一階に同一断面の長柱と短柱が混在する場合は、地震時に短柱の方が先に破壊しやすい。
3.特定の階だけ階高を高くすると剛性が不連続になるので、耐震壁を増やすなど、その階の剛性増加を図る。
4.重心と剛心が一致しない建築物では、地震時にねじれ変形が生じ、剛心に近い構面ほど層間変形が大きくなる。
答え
4
剛心に近い構面ほど、層間変形が小さくなる。
1 ◯
建物間に設けるエキスパンションジョイント部のあき寸法は、複雑な平面または立面形状の建物では地震時の位相差による応力などに建物相互の変形量を考慮する。
2 ◯
同一階に長柱と短柱が混在した場合、水平力が作用し変形したときは、同一変形量でも短柱の変形角が大きくなるので、地震時には短柱の方が先に破壊しやすい。
3 ◯
特定の階だけ階高を高くすると、水平力を受けた場合、剛性が小さいために層間変形が大きくなる。
[ No. 5 ]
鉄筋コンクリート構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.柱の主筋の断面積の和は、コンクリートの断面積の 0.8 % 以上とする。
2.床スラブは、地震力に対し同一階の水平変位を等しく保つ役割をし、面内剛性が高いほどよい。
3.梁貫通孔は、梁端部への配置を避け、孔径を梁せいの1/2以下とする。
4.柱のじん性を確保するため、短期軸方向力を柱のコンクリート全断面積で除した値は、コンクリートの設計基準強度の1/3以下とする。
答え
3
梁に設ける貫通孔の径は、一般に梁せいの1/3以下とする。
1 ◯
柱の主筋の断面積の和は、コンクリートの断面積の 0.8 % 以上とする。(建築基準法施行令第77条第六号)
2 ◯
床スラブは、地震力に対し同一階の水平変位を等しく保つ役割をし、面内剛性が高いほどよい。
4 ◯
柱のじん性を確保するため、短期軸方向力を柱のコンクリート全断面積で除した値は、コンクリートの設計基準強度の1/3以下とする。
[ No. 6 ]
鉄骨構造における接合部に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.引張力とせん断力を同時に受けるときの摩擦接合部の高力ボルトの軸断面に対する許容せん断応力度は、引張力を受けないときの許容値より低減させる。
2.十分な管理が行われる場合、完全溶込み溶接の許容応力度は、接合される母材の許容応力度とすることができる。
3.応力を負担させるT継手の隅肉溶接の場合、母材間の交角は、60度から120度の範囲とする。
4.せん断応力のみを受ける高力ボルト摩擦接合の場合、繰返し応力によるボルトの疲労を考慮する必要がある。
答え
4
せん断応力のみを受ける高力ボルトを摩擦接合の高力ボルトは、繰返し応力の影響を考える必要はない。
1 ◯
引張力( N )とせん断力( Q )とを同時に受けるような高力ボルト接合では、引張力によって被接合材の接触面の摩擦力が低下するので、その許容せん断応力度は低減させる。(建築基準法施行令第92条の2)
2 ◯
完全溶込み溶接(突合せ溶接)ののど断面の許容応力度は、接合される母材の許容応力度とする。
3 ◯
T継手の交角が 60度以下の場合は、隅肉溶接の底の溶込みを完全施工することが困難であるので、隅肉溶接を用いてはならない。また、交角が120度以上の場合も溶接の構造や施工の点から見て好ましくないので、隅肉溶接を禁止している。T継手が交角が 60度以下あるいは 120度以上の場合は、完全溶け込み溶接とする。
[ No. 7 ]
杭基礎に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.杭と杭の中心間隔は、杭径が同じ場合、打込み杭の方が埋込み杭より小さくすることができる。
2.杭の極限鉛直支持力は、極限先端支持力と極限周面摩擦力との和で表す。
3.既製コンクリート杭の継手の方法には、溶接継手のほか、接続金具による無溶接継手工法がある。
4.支持杭の場合、周囲地盤の沈下によって杭周面に働く負の摩擦力を考慮する。
答え
1
杭と杭の中心間隔は、打込み杭が杭径の2.5倍以上、埋込み杭は杭径の2倍以上とする。よって、中心間隔は打込み杭の方が大きい。
2 ◯
杭の極限鉛直支持力は、極限先端支持力と極限周面摩擦力との和で表す。
3 ◯
既製コンクリート杭の継手工法には、アーク溶接または接続金具による無溶接継手工法がある。
4 ◯
支持杭を用いた基礎で上部に圧密を起こす地盤がある場合は、地盤沈下に伴い杭の表面の地盤と一緒に杭を沈下させる下向き摩擦力が生じる。この負の摩擦力を考慮しなければならない。
[ No. 8 ]
図に示す鉄筋コンクリートの部材に、上下方向から 19 kN の荷重を断面に一様に作用させた場合、コンクリート部分の負担する軸力として、正しいものはどれか。 ただし、鉄筋の断面積は 1,000 mm2、鉄筋のコンクリートに対するヤング係数比は 10 とする。
1.6 kN
2.7 kN
3.8 kN
4.9 kN
答え
4
(1)鉄筋の負担面積を求める。
1,000mm2 = 10cm2
にヤング係数比10を掛ける。
10cm2 × 10 = 100cm2
(2)コンクリートの負担面積を求める。
10cm × 10cm = 100cm2から、
鉄筋の断面積を引く。
100cm2 − 10cm2 = 90 cm2
(3)上下方向から19kNの荷重を
断面に一様に作用させた場合の
クンクリート部分の負担する軸力(Nc)を求める。
90cm2 / (100+90)cm2 = Nc/19
より
Nc ≒ 9 kN
∴ 正解 4
[ No. 9 ]
図に示す3ヒンジラーメンに等分布荷重 w が作用したときの曲げモーメント図として、 正しいものはどれか。 ただし、曲げモーメントは材の引張り側に描くものとする。
1.
2.
3.
4.
答え
1
3ヒンジラーメンに等分布荷重wが作用したときの曲げモーメントを求める。
(1)支点反力を求めるために、3ヒンジラーメンを下図のように仮定する。
(2)上記図の支点反力を題意の3ヒンジラーメンに設定しモーメント図を作成すると下記のようになる。
∴正解は1
[ No. 10 ] 図は、架構のC点に水平荷重Pが作用したときの柱の曲げモーメントを示したものである。 このときにおける支点Bの垂直反力 VB の値の大きさとして、正しいものはどれか。
1.25 kN
2.50 kN
3.75 kN
4.90 kN
答え
2
(1)C・D材とA・B材の曲げモーメントは、下記図のようになる。
(2)C・D材のせん断力QCDは、
QCD=(60kN・m + 60kN・m)/6m = 20kN
(3)A・B材のせん断力QABは、
QAB=(90kN・m + 90kN・m)/6m = 30kN
(4)支点Bにおける垂直反力VBは、C・D材のせん断力とA・B材のせん断力の和なので、
VB = QCD + QAB = 20kN + 30kN = 50kN
∴ 正解は2
[ No. 11 ]
鋼材に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.銅を添加すると、耐候性が向上する。
2.炭素量が増加すると、引張強さと伸びが増加する。
3.クロムを添加すると、耐食性が向上する。
4.モリブデンを添加すると、高温時の強度低下が少なくなる。
答え
2
炭素含有梁が増加すると強度は向上するが、伸びやじん性が低下し溶接性は悪くなる。
1 ◯
銅は、耐候性を向上させるので耐候性鋼には欠かせない元素で、必要に応じて 0.20 〜 0.60%が添加される。。
3 ◯
鋼材にクロム酸の液を添加すると、耐食性が向上し劣化を防ぐことができる。
4 ◯
耐火鋼(FR鋼)は耐熱性を高めるために、モリブデン、パナジウム、タングステン等の元素を添加して高温強度を向上させ、耐火被覆を軽減もしくは無被覆にできる鋼材である。
[ No. 12 ]
石材に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.花崗岩は、耐摩耗性、耐久性に優れ、建物の外部、床、階段に用いられる。
2.砂岩は、耐火性に優れるが、吸水率の大きなものは耐凍害性に劣る。
3.大理石は、美観に優れるが、耐酸性、耐火性に劣り、屋外に使用すると表面が劣化しやすい。
4.凝灰岩は、軟質で加工しやすく、耐火性、耐久性に優れる。
答え
4
凝灰岩は、軟質で加工しやすく、加工性、耐火性、吸水性は大きいが、風化しやすく耐久性は劣る。
1 ◯
花崗岩は御影石とも呼ばれ、地下深部のマグマが地殻内で冷却固結したものである。結晶質の石材で耐久性に富む石材として建築物の外部を中心に多く使われている。耐摩耗性があり、床、階段にも用いられる。
2 ◯
砂岩は、種々の岩石が租粒となり水中に堆積し固結したもので、一般に耐火性に優れてものが多いが、吸水性が大きく耐摩耗性、耐凍害性、耐久性に劣り、磨いても光沢は出ない。
3 ◯
大理石は石灰岩が結晶化したもので、美観に優れ強度もそこそこあるが、耐酸性、耐火性に劣り、屋外に使用することは不適である。
[ No. 13 ]
日本工業規格(JIS)において、外壁面に用いる次の金属製建具における性能項目として、 規定されているものはどれか。
1.スライディングドアセットー ねじり強さ
2.スライディングサッシ ー 耐衝撃性
3.スイングドアセット ー 開閉繰り返し
4.スイングサッシ ー 鉛直荷重強さ
答え
3
1.スライディングドアセットの性能項目には、ねじりの強さは規定されていない。
2.スライディングサッシの性能項目には、耐衝撃性ではなく耐風圧性が規定されている。
3.記述のとおり。
4.スイングサッシの性能項目には、鉛直荷重強さは規定されていない。
[ No. 14 ]
建築用シーリング材に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.日本工業規格(JIS)によるタイプFは、グレイジング以外の用途に使用するシーリング材である。
2.シリコーン系シーリング材は、耐候性、耐熱性、耐寒性に優れている。
3.不定形シーリング材とは、施工時に粘着性のあるペースト状のシーリング材のことである。
4.2成分形シーリング材は、空気中の水分や酸素と反応して表面から硬化する。
答え
4
2成分計シーリング材とは、施工直前に基剤と硬化剤を調合し、化学反応で硬化するシーリング材である。
1 ◯
建築用シーリング材において、タイプは用途による区分を表し、タイプGはグレイジングに使用するシーリング材、タイプFはグレイジング以外の用途に使用するシーリング材を示す。日本工業規格(JIS)
2 ◯
シリコーン系シーリング材は、耐候性、耐熱性、耐寒性に優れている。
3 ◯
不定形シーリング材とは、ペースト状のシーリング材で、一方、定形シーリング材は、ガスケット等工場で成形されたゴム・樹脂・発泡体などによるものからなる。
[ No. 15 ]
内装材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.だんつうは、製造法による分類で織りカーペットの手織りに分類される。
2.日本工業規格(JIS)のパーティクルボードは、ホルムアルデヒド放散量による区分がある。
3.日本農林規格(JAS)のフローリングブロックは、ひき板を2枚以上並べて接合したものを基材とした複合フローリングである。
4.日本農林規格(JAS)の普通合板は、接着の程度によって1類と2類に分類されている。
答え
3
フローリングブロックはひき板、単板または構成層が1の集成材を2枚以上並べて接合したものを基材とした単層フローリングであって、素地床の上のみ張り込むのに適当な強度を有するものをいう。
1 ◯
だんつうは、機械織りではなく手織りで、麻や綿等の糸にパイル糸を絡ませ長さを切りそろえながら織ったもので、ペルシャだんつう、インドだんつうなどがある。
2 ◯
日本工業規格(JIS)のパーティクルボードは、木材の小片を接着剤を用いて熱圧成形したボードで遮音性、断熱性、耐久性、防火性に優れている。ホルムアルデヒド放散量による区分がある。
4 ◯
日本農林規格(JAS)の普通合板は、接着の程度により、1類と2類に分類されている。 1類は継続的に湿潤状態となる場所に、2類はときどき湿潤状態となる場所に使用される。
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