2024年07月20日
2024年04月21日
1級建築施工管理技士 令和5年 一次検定 解答 解説
【 午前 】
1. 問題番号[ No. 1 ]〜[ No.15 ]
2. 問題番号[ No.16 ]〜[ No.20 ]
3. 問題番号[ No.21 ]〜[ No.30 ]
4. 問題番号[ No.31 ]〜[ No.39 ]
5. 問題番号[ No.40 ]〜[ No.44 ]
【 午後 】
6. 問題番号[ No.45 ]〜[ No.54 ]
7. 問題番号[ No.55 ]〜[ No.60 ]
8. 問題番号[ No.61 ]〜[ No.72 ]
2024年04月20日
1級建築施工管理技士 令和5年 一次 問題1 解答解説
(午前の部)令和5年6月11日(日)
※問題番号[ No.1 ]〜[ No.15 ]までの15問題のうちから、12問題を選択し、解答してください。
ただし、12問題を超えて解答した場合、減点となりますから注意してください。
問題は、四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
[ No.1 ]
日照及び日射に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.北緯35°における南面の垂直壁面の可照時間は、夏至日より冬至日のほうが長い。
2.日影規制は、中高層建築物が敷地境界線から一定の距離を超える範囲に生じさせる、冬至日における日影の時間を制限している。
3.水平ルーバーは東西面の日射を遮るのに効果があり、縦ルーバーは南面の日射を遮るのに効果がある。
4.全天日射は、直達日射と天空日射を合計したものである。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
可照時間とは、障害物のない水平面であれば晴れた日の日の出から日没までの時間に日照があるべき時間をいう。北緯35度における南面の垂直壁の可照時間は、太陽が東西軸より南側にある時間となる。夏至(約7時間)よりも春分または秋分(約12時間)の方が長くなり、冬至はそれよりも長くなる。
2.◯
日影規制とは、中高層建築物により生ずる日影を一定の時間な内に抑えることで、周辺の居住環境を保護する規制である。中高層建築物の敷地境界線から定められた距離を越える範囲(5m及び10m)で、冬至日における日影の時間を制限する。
3.×
羽根が水平に並ぶ水平ルーバーは、日射を遮るために南側の開口部に取り付けると、太陽の高度が高くなる夏季に南面の日射を防ぐのに効果がある。羽根が垂直に並ぶ縦ルーバーは、冬季の高度が低くなった西日を遮るのに効果がある。
4.◯
日射とは、地表面または大気中における太陽放射の総称である。大気層を通り抜けて直接地表面に達する太陽光線の日射量を直達日射量、途中で乱反射されて地上に達する太陽光線の日射量を天空放射量といい、直達日射量と天空放射量を合計したものを全天日射量という。
[ No.2 ]
採光及び照明に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.横幅と奥行きが同じ室において、光源と作業面の距離が離れるほど、室指数は小さくなる。
2.設計用全天空照度は、快晴の青空のときのほうが薄曇りのときよりも小さな値となる。
3.照度は、単位をルクス(lx)で示し、受照面の単位面積当たりの入射光束のことをいう。
4.光度は、単位をカンデラ(cd)で示し、反射面を有する受照面の光の面積密度のことをいう。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
室指数とは光源から出た光束がどれぐらい作業面に達するかを示す計算方法の一つで、光源の距離が被照面(作業面)から離れるほど、室指数は小さくなる。室の形による指数で、照明率を求めるために用いられる。
室指数(k) =( X × Y ) / ( H ×( X × Y ) )
X:室の間口 [ m ]
Y:室の奥行き [ m ]
H:被照面から光源までの距離 [ m ]
2.◯
設計用全天空照度は、快晴の青空のときが薄曇りのときよりも小さな値となる。全天空照度とは、直射日光を除いた全天空の照度をいう。
晴れ 10,000 ルクス
曇り 30,000 ルクス
雨 5,000 ルクス
覚え方:俳句もさまになる雨の甲子園(原口秀明氏より)
晴 1 雲 3万 雨 5千
3.◯
照度とは、受照面の明るさを表し、単位面積当たりに入射する光束の量をいう。単位はルクス(lx)で示す。
4.×
光度は、光源から発散される光のエネルギーの強さを表す尺度であり、物理的には光源の中のある点からあらゆる方向に向けて発散される単位立体角あたりの光束をいう。単位は cd(カンデラ)で示す。反射面を有する受照面の光の面積密度とは輝度であり、単位はカンデラ毎平方メートル [ cd/m2]で示す。。
[ No.3 ]
吸音及び遮音に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.吸音材は、音響透過率が高いため、遮音性能は低い。
2.多孔質の吸音材は、一般に低音域より高音域の吸音に効果がある。
3.単層壁において、面密度が大きいほど、音響透過損失は小さくなる。
4.室間音圧レベル差の遮音等級はD値で表され、D値が大きいほど遮音性能は高い。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
壁面に音が入射されると、入射音エネルギーは、反射、吸音等により減少し、一部が透過する。
透過率 = 透過音エネルギー/入射音エネルギー
反射率 = 反射音エネルギー/入射音エネルギー
上記の公式により、音を吸収する吸音材は、透過率が高いため、反射音エネルギーは少なくなり、遮音性能は低くなる。
2.◯
多孔質の吸音材は、一般に低音域より高音域の方が吸音率(音を吸収する程度を表す指数)は大きい。すなわち、低い音よりも高い音の方が吸収されやすい。
3.×
透過損失とは、壁体等の遮音の程度を示すもので、値が大きいほど、壁体等の遮音性能が高いことを表す。単層壁の透過損失は、単位面積当たりの単位面積あたりの質量(面密度)と、周波数が大きいほど大きくなる。これを単層壁の質量則という。
4.◯
室間音圧レベル差とは、音が発生している室の音圧レベルと音が透過する側の室の音圧レベルの差をいい、この差が大きいほど、遮音性能が高い。したがって、室間音圧レベル差の遮音等級を表すD値は、その値が大きいほど遮音性能が高い。
[ No.4 ]
免震構造に関する一般的な記述として、最も不適当なものはどれか。
1.アイソレータは、上部構造の重量を支持しつつ水平変形に追従し、適切な復元力を持つ。
2.免震部材の配置を調整し、上部構造の重心と免震層の剛心を合わせることで、ねじれ応答を低減できる。
3.地下部分に免震層を設ける場合は、上部構造と周囲の地盤との間にクリアランスが必要である。
4.ダンパーは、上部構造の垂直方向の変位を抑制する役割を持つ。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
アイソレータは、地震入力に対して絶縁機能を持つもので、地震の水平方向の動きに対して縁を切り、上部構造を動かないようにする。水平方向の変位を抑制する役割はダンパーが受け持つことが多い。
2.◯
ねじれ応答とは、地震時に建物全体がねじれるような挙動をいう。免震部材の配置を調整し、上部構造の重心と免震層の剛心を合わせることで、ねじれ応答を低減できる。
3.◯
大きな地震動を免震構造が受けた場合、上部構造は長周期で大きく水平移動するため、上部構造と周囲の地盤との接触、衝突を避けるため十分なクリアランスが確保することが必要である。設計で考えられる変位量の1.5 〜 2.0倍程度の離隔寸法を確保する。
4.×
免震構造におけるダンパー(減衰器)の役割は、免震層の過大な変形を抑制し、地震時の応答を安定化させることである。
[ No.5 ]
鉄筋コンクリート構造の建築物の構造計画に関する一般的な記述として、最も不適当なものはどれか。
1.普通コンクリートを使用する場合の柱の最小径は、その構造耐力上主要な支点間の距り離の1/15以上とする。
2.耐震壁とする壁板のせん断補強筋比は、直交する各方向に関して、それぞれ0.25%以上とする。
3.床スラブの配筋は、各方向の全幅について、コンクリート全断面積に対する鉄筋全断面積の割合を0.1%以上とする。
4.梁貫通孔は、梁端部への配置を避け、孔径を梁せいの1/3以下とする。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
普通コンクリートを使用する場合の柱の最小径は、構造耐力上主要な支点間の距離(通常上下の梁の内法寸法)の1/15以上とする。(建築基準法施行令第77条第五号)
2.◯
鉄筋コンクリート構造の壁板のせん断補強筋比は、地震力により生ずるせん断ひび割れを分散化し、急激な剛性低下を防ぐため、直交する各方向に関して、それぞれ0.0025(0.25%)以上とする。
3.×
床スラブの配筋は、温度応力や収縮応力に対する配筋として、各方向の全幅について、鉄筋全断面積のコンクリート全断面に対する割合は、0.2%以上をする。
4.◯
梁に貫通孔が設けられると、梁断面の欠損によりせん断強度が低下するので、適切に補強を行う必要がある。鉄筋コンクリート構造の場合、円形孔の直径は梁せいの1/3以下とし、梁端部への配置は避ける。
[ No.6 ]
鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.角形鋼管柱の内ダイアフラムは、せいの異なる梁を1本の柱に取り付ける場合等に用いられる。
2.H形鋼は、フランジやウェブの幅厚比が大きくなると局部座屈を生じにくい。
3.シヤコネクタでコンクリートスラブと結合された鉄骨梁は、上端圧縮となる曲げ応力に対して横座屈を生じにくい。
4.部材の引張力によってボルト孔周辺に生じる応力集中の度合は、高力ボルト摩擦接合より普通ボルト接合のほうが大きい。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
角形鋼管柱(BCPとBCR)と梁との仕口部には通しダイアフラム方式と内ダイアフラム方式とがある。柱サイズに対して、梁フランジの幅が小さく、せいの異なる梁を1本の柱に取り付ける場合等には、内ダイアフラム方式とする。
鋼管柱とダイヤフラム、梁フランジとダイヤフラム若くは鋼管柱は、一体とするため、完全溶け込み溶接とする必要がある。梁せいが異なるときに通しダイアフラムとすると、その間隔が狭い部分が発生し、完全溶け込み溶接の検査に必要な超音波探傷試験ができなくなる箇所が生じる。
内ダイヤフラムと鋼管内側の溶接も完全溶込み溶接にする必要があるが、溶接の工程を分けることにより、超音波探傷試験を行うことができる。
2.×
H 形鋼は、フランジ及びウェブの幅厚比が大きくなると、部材形状に対し板厚が薄いということになり、局部座屈を生じやすくなる。
3.◯
シアコネクタとは、2つの部材を一体化するための接合部材をいう。シアコネクタでコンクリートスラブと結合された鋼製梁は、梁の上端が圧縮となるような曲げ応力に対して、梁の水平方向への座屈である横座屈が生じにくい。
4.◯
普通ボルト接合の場合、部材に引張力が作用すると接合部にずれが生じ、ボルトと鋼板が支圧力で支持するため、ボルト孔周辺に応力が集中する。一方、高力ボルトによる摩擦接合が、ボルトの支圧力ではなく、スプライスプレート(添え板)の摩擦力で支持するため、普通ボルト接合と比較すると小さくなる。
[ No.7 ]
杭基礎に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.杭の周辺地盤に沈下が生じたときに杭に作用する負の摩擦力は、支持杭より摩擦杭のほうが大きい。
2.杭と杭の中心間隔は、杭径が同一の場合、埋込み杭のほうが打込み杭より小さくすることができる。
3.杭の極限鉛直支持力は、極限先端支持力と極限周面摩擦力との和で表す。
4.杭の引抜き抵抗力に杭の自重を加える場合、地下水位以下の部分の浮力を考慮する。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
杭周囲の地盤沈下によって杭の沈下より地盤の沈下が大きくなると、杭周囲面には下向きの摩擦力が働くが、摩擦杭は杭と共に沈下するため、負の摩擦力は支持杭の方が摩擦杭より大きくなる。
2.◯
杭と杭との中心間隔の最小値は、埋込み杭の場合は、その杭頭部の径2.0倍以上、打込み杭の場合は、その杭頭部の径の2.5倍以上かつ75cm以上とする。よって、埋込み杭の方が打込み杭より、中心間隔を小さくすることができる。
3.◯
杭の極限鉛直支持力は、極限先端支持力と極限周面摩擦力を加算したものとする。
4.◯
杭の引抜き力は、杭自体の引張強度と、地盤の引抜き抵抗の小さい方で決まる。地盤の引抜き抵抗による値は、極限の引抜き抵抗の1/3を長期許容引抜き力とするが、杭の自重も引抜きに抵抗すると考えてよい。その場合、地下水位以下の部分の浮力を考慮する。
tRa = 1/3 × tRu + Wp
tRa:杭の長期許容引抜き抵抗力
tRu:地盤による杭の極限引抜き抵抗力
Wp:杭の自重(地下水位以下の部分については浮力を考慮する)
[ No.8 ]
図に示す柱ABの図心Gに鉛直荷重Pと水平荷重Qが作用したとき、底部における引張縁応力度の値の大きさとして、正しいものはどれか。ただし、柱の自重は考慮しないものとする。
1.3N/mm2
2.7N/mm2
3.10N/mm2
4.13N/mm2
答え
2
[ 解答解説 ]
組合わせ応力度の問題
鉛直荷重 P による 応力度 P/A
P/ 300×200 = P/6 ×104
= 180k /6 ×104
= 3
水平荷重 Qより
M/Z = Q×ℓ/bD2/6
= Q × 2,000 / 200 × 3002/6
= Q × 2,000 / 3,000,000
= Q × 2 / 3,000
= 15kN × 2 / 3,000
= 10
P/A < M/Z であるので、
引張側の縁応力度は、
P/A - M/Z となり、
10 − 3 = 7 N/mm2
ゆえに、正答は2となる。
(補足)
Z:断面係数( bD2/6)
曲げ応力度を求めるときに使う
※柱の縁応力度の問題は、1級建築施工管理技士の試験では、初出題である。
[ No.9 ]
図に示す3ヒンジラーメン架構のDE間に等分布荷重wが作用したとき、支点Aの水平反力HA及び支点Bの水平反力HBの値として、正しいものはどれか。ただし、反力は右向きを「+」、左向きを「−」とする。
1.HA=+9kN
2.HA= –6kN
3.HB= 0kN
4.HB= –4kN
答え
4
[ 解答解説 ]
A点及びB点における垂直反力をVA、VBとする。
点Aについてのモーメント(ΣMc = 0)を考える
等分布荷重は点Aから 3m離れた集中荷重と考える。
MA = 3 [ kN/m ] × 3 [m] − VB × 6 [m] = 0
これを解くと VB = 9[ kN ]
等分布荷重は、合計で 18 [ kN ] であるから
VA = 9[ kN ]
となる。
点Cについての右側のモーメントを考える
Mc右 = 3 × 2 × 1 – HB × 3 – 2 × 9 = 0
これを解くと、
HB = 4 [ kN ]
水平方向のつり合いより
HA + HB = 0 なので、
HA = –4 [ kN ]
題意より、反力は右向きを「+」、左向きを「−」
とあるので、
HA = 4 [ kN ]
HB = –4 [ kN ]
ゆえに、正答は4となる。
[ No.10 ]
図に示す3ヒンジラーメン架構の点Dにモーメント荷重Mが作用したときの曲げモーメント図として、正しいものはどれか。ただし、曲げモーメントは材の引張側に描くものとする。
答え
2
[ 解答解説 ]
点Dのモーメントは梁材DC及び柱材DAを伝わり、ピン節点であるC及びAでゼロになる。
ゆえに、3番ではない。
「曲げモーメントは材の引張側に描くものとする」
とあるので、梁DC材は下側、柱DA材は外側になる。
ゆえに、正答は、2番となる。
[ No.11 ]
コンクリート材料の特性に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.減水剤は、コンクリートの耐凍害性を向上させることができる。
2.流動化剤は、工事現場で添加することで、レディーミクストコンクリートの流動性を増すことができる。
3.早強ポルトランドセメントを用いたコンクリートは、普通ポルトランドセメントを用いた場合より硬化初期の水和発熱量が大きく、冬期の工事に適している。
4.高炉セメントB種を用いたコンクリートは、普通ポルトランドセメントを用いた場合より耐海水性や化学抵抗性が大きく、地下構造物に適している。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
コンクリートなどの中にある多数の微細な独立した空気泡を一様に分布させてワーカビリティ及び耐凍害性を向上させるために用いる化学混和剤は、AE剤である。減水剤は、所要のスランプを得るのに必要な単位水量を減少させるために用いる化学混和剤である。
2.◯
流動化剤は、あらかじめ現場で練り混ぜられたコンクリートに添加する混和剤で、流動性(流れやすさ)を向上させることが目的であり、スランプロスを低減させる効果がある。
3.◯
早強ポルトランドセメントは、粒子の細かさを比表面積(ブレーン値(単位:cm2/g))で表し、粒子が細かいほど質量当たりの表面積が大きい。ブレーン値の値が大きくなるほど細かく、早期強度が得られる。水和発熱量が大きく、冬期の工事に適している。
4.◯
高炉セメントB種は、耐海水性、化学抵抗性が大きいので、海水の作用を受けるコンクリートや、地下構造物に使用される。普通ポルトランドセメントと比較するとセメントの水和反応時に生成する遊離石灰が少ないので、次のような特徴がある。
@アルカリ骨材反応の抑制に効果がある。
A耐海水性や化学抵抗性が大きい。
B初期強度はやや小さいが、4週以降の長期強度は同等以上。
[ No.12 ]
建築に用いられる金属材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.ステンレス鋼は、ニッケルやクロムを含み、炭素量が少ないものほど耐食性が良い。
2.銅は、熱や電気の伝導率が高く、湿気中では緑青を生じ耐食性が増す。
3.鉛は、X線遮断効果が大きく、酸その他の薬液に対する抵抗性や耐アルカリ性にも優れている。
4.チタンは、鋼材に比べ密度が小さく、耐食性に優れている。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
ステンレスは、ニッケル、クロムを含んだ炭素量の少ない、耐食性の極めて大きい特殊鋼である。炭素量が少ないものほど軟質で耐食性がよい。
2.◯
銅は、軟らかく加工性が大きい。大気中のガスや水分によって緑青の保護被膜がつくられる。
3.×
鉛は、X線・放射線の遮断効果は大きいが、他の金属と比べると錆やすい。
4.◯
チタンは、比重が4.51と鋼材に比べて軽い密度が小さい。また、極めて腐食しにくく、耐食性が高い。
[ No.13 ]
石材に関する一般的な記述として、最も不適当なものはどれか。
1.花崗岩は、結晶質で硬く耐摩耗性や耐久性に優れ、壁、床、階段等に多く用いられる。
2.大理石は、酸には弱いが、緻密であり磨くと光沢が出るため、主に内装用として用いられる。
3.粘板岩(スレート)は、吸水率が小さく耐久性に優れ、層状に剥がれる性質があり、屋根材や床材として用いられる。
4.石灰岩は、柔らかく曲げ強度は低いが、耐水性や耐酸性に優れ、主に外装用として用いられる。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
花崗岩はいわゆる御影石と呼ばれ、地下深部のマグマが地殻内で冷却固結した結晶質の石材で、硬く、耐摩耗性、耐久性に優れた石材として、建築物外部の壁、床、階段等に最も多く用いられている。ただし、耐火性の点でやや劣る。
2.◯
大理石は石灰岩が結晶化したもので、美観に優れ強度も十分ある。しかし、耐酸性、耐火性に劣り、外装材には用いることができないため、主に内装用の材料として用いられる。
3.◯
粘板岩(スレート)(変成岩)は、吸水性が少なく、耐久性に優れていることに加えて、剥がれる際は層状となる性質があるため、屋根材や床材として用いられる。
4.×
石灰岩(堆積岩)は、軟らかく、加工が容易なため、コンクリートの骨材や、セメント材料に用いられる。一方で、取付け部耐力、曲げ強度等は他の石材に比べて小さく、耐水性、耐酸性に劣る。
[ No.14 ]
日本産業規格(JIS)に規定する防水材料に関する記述として、不適当なものはどれか。
1.2成分形のウレタンゴム系防水材は、施工直前に主剤、硬化剤の2成分に、必要によって硬化促進剤や充填材等を混合して使用する。
2.防水工事用アスファルトは、フラースぜい化点の温度が低いものほど低温特性のよいアスファルトである。
3.ストレッチルーフィング1000の数値1000は、製品の抗張積(引張強さと最大荷重時の伸び率との積)を表している。
4.改質アスファルトルーフィングシートは、温度特性によりT類とU類に区分され、低温時の耐折り曲げ性がよいものはT類である。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
ウレタンゴム系防水材は、湿気硬化形の1成分形、反応硬化形の2成分形がある。2成分形のウレタンゴム系防水材は、主剤と硬化剤を施工直前に配合する。必要に応じて硬化促進剤や充填材等を混合して使用する。
2.◯
フラースぜい化点温度とは、アスファルトの低温における変形しやすさを示すもので、鋼板の表面に作製したアスファルト薄膜を曲げたとき、亀裂の生じる最初の温度を示す。つまり、フラースぜい化点温度が低いものは、低温でも脆性破壊を生じることなく変形する、低温特性のよいアスファルトである。
3.◯
ストレッチルーフィングの種類及び品質はJIS A 6022に定められており、ストレッチルーフィング1000の数値1000は、製品の抗張積(引張強さと最大荷重時の伸び率との積)を表ている。
4.×
改質アスファルトルーフィングシートにはT類とU類にがあり、U類の方が低温時の耐折り曲げ性がよい。(JIS A6013)
[ No.15 ]
屋内で使用する塗料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.アクリル樹脂系非水分散形塗料は、モルタル面に適しているが、せっこうボード面には適していない。
2.クリヤラッカーは、木部に適しているが、コンクリート面には適していない。
3.つや有合成樹脂エマルションペイントは、鉄鋼面に適しているが、モルタル面には適していない。
4.2液形ポリウレタンワニスは、木部に適しているが、ALCパネル面には適していない。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
アクリル樹脂系非水分散形塗料は、屋内のコンクリート面やモルタル面等、平滑な箇所の仕上げには適しているが、微細な隙間のあるガラス繊維補強セメント面やせっこうボード面には適していない。(下地処理が必要となる)
2.◯
クリヤラッカーは、顔料の入っていない透明な塗料である。自然乾燥で、短時間に溶剤が蒸発して塗膜を形成するもので、木部面に適していることが特徴である。コンクリート面には適していない。
3.×
つや有合成樹脂エマルションペイント(EP-G)は、木部(屋内)、鉄鋼・亜鉛めっき鋼面(屋内)、モルタル・プラスター面(屋内外共)、コンクリート・ALCパネル・押出成形セメント板面(屋内外共)、せっこうボード・その他ボード面(屋内外共)に適している。
4.◯
2液形ポリウレタンワニスは、主剤と硬化剤を混合させて作る塗料であり、顔料が入っていない透明な塗料である。クリヤラッカーと同様、木部面に適していることが特徴である。ALCパネル面には適していない。
2024年04月19日
1級建築施工管理技士 令和5年 一次 問題2 解答解説
(午前の部)令和5年6月11日(日)
※問題番号[ No.16 ]〜[ No.20 ]までの5問題は、全問題を解答してください。
問題は、四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
[ No.16 ]
植栽に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.枝張りは、樹木の四方面に伸長した枝の幅をいい、測定方向により長短がある場合は、最短の幅とする。
2.支柱は、風による樹木の倒れや傾きを防止するとともに、根部の活着を助けるために取り付ける。
3.樹木の移植において、根巻き等で大きく根を減らす場合、吸水量と蒸散量とのバランスをとるために枝抜き剪定を行う。
4.樹木の植付けは、現場搬入後、仮植えや保護養生してから植え付けるよりも、速やかに行うほうがよい。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
枝張り(葉張り)は、樹木の四方面に伸長した枝の幅をいい、測定方向により長短がある場合は、最長と最短の平均値とする。(平成24年 No.17 変形)
2.◯
支柱は、中高木を新植する際に、樹木の風による倒れや傾きを防止、根部の活着を助けるために用いられる。
3.◯
樹木を移植に際は、樹木が移植に耐え得る状態としなければならない。根巻き等で大きく根を減らすと、養分や水分の吸収量が低くなるため、枝抜き剪定を行い、吸水量と蒸散量のバランスをとるようにする。枝抜き剪定とは、太めの枝を付け根から切り、形を良くすることである。これにより、風通しが良くなることや、養分を効率よく利用することで成長を促進する。
4.◯
樹木は、現場搬入後速やかに植え付ける。なお、搬入日に植え付けが不可能な場合は、仮植えまたは十分な保護養生により乾燥などによる傷みを防止する。
[ No.17 ]
電気設備に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.合成樹脂製可とう電線管のうちPF管は、自己消火性があり、屋内隠ぺい配管に用いることができる。
2.電圧の種別で低圧とは、直流にあっては600V以下、交流にあっては750V以下のものをいう。
3.低圧屋内配線のための金属管は、規定値未満の厚さのものをコンクリートに埋め込んではならない。
4.低圧屋内配線の使用電圧が300Vを超える場合における金属製の電線接続箱には、接地工事を施さなければならない。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
合成樹脂製可とう電線管には、CD管やPF管が用いられている。PF管は、自己消火性がある(耐熱性)ため、屋内隠ぺい配管に用いることができる。
2.×
電圧の種別における低圧とは、直流にあっては750V以下、交流にあっては600V以下のものをいう。(電気設備に関する技術基準を定める省令第2条第一号)
3.◯
低圧屋内配線に使用する金属管の厚さは、コンクリートに埋込む場合、規定値(1.2mm)未満のものを用いてはならない。(電気設備の技術基準の解釈第159条第2項第二号イ)
4.◯
低圧屋内配線の使用電圧が300Vを超える場合における金属製の電線接続箱には、原則として、C種接地工事を施さなければならない。(電気設備の技術基準の解釈第159条第3項第五号)
機械機器の区分による設置工事の適用
(機械器具の区分) (設置工事)
300V以下の低圧用のもの D種設置工事
300V超えの低圧用のもの C種設置工事
高圧用のもの A種設置工事
[ No.18 ]
給排水設備に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.高置水槽方式は、一度受水槽に貯留した水をポンプで建物高所の高置水槽に揚水し、高置水槽からは重力によって各所に給水する方式である。
2.圧力水槽方式は、受水槽の水をポンプで圧力水槽に送水し、圧力水槽内の空気を加圧して、その圧力によって各所に給水する方式である。
3.屋内の自然流下式横走り排水管の最小勾配は、管径が100mmの場合、1/100とする。
4.排水槽の底の勾配は、吸い込みピットに向かって1/100とする。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
高置水槽方式(高置タンク方式)は、上水や井水を一度受水槽に貯留し、ポンプで屋上等の高置水槽に揚水し、この水槽から重力によって各所に給水する方式で、中層、中規模以上の建物の一般的な給水方式である。
2.◯
圧力水槽方式は、上水や井水を一旦受水槽に貯水し、これをポンプで圧力水槽に送水し、圧力水槽内の空気を圧縮・加圧して、その圧力により各所に給水する方式である。建物の意匠上や地下街等の理由で、高置水槽を設けることができない場合等に設置する。
3.◯
横走り排水管設備は、汚水・雑排水、雨水に分類される。配管勾配は、緩勾配にすると排水の流下が悪く、急勾配にすると水だけが流下して固形物が残る。標準的な勾配は、管径75〜100mmの場合、1/100以上とする。
4.×
排水槽の底の勾配は、吸い込みピットに向かって1/15以上1/10以下とする。また、下り勾配とし、排水・汚泥の排出及び清掃が容易かつ安全に行える構造とする。
[ No.19 ]
建築物に設けるエレベーターに関する記述として、最も不適当なものはどれか。ただし、特殊な構造又は使用形態のものは除くものとする。
1.乗用エレベーターには、停電時に床面で1ルクス以上の照度を確保することができる照明装置を設ける。
2.乗用エレベーターには、1人当たりの体重を65kgとして計算した最大定員を明示した標識を掲示する。
3.火災時管制運転は、火災発生時にエレベーターを最寄階に停止させる機能である。
4.群管理方式は、エレベーターを複数台まとめた群としての運転操作方式で、交通需要の変動に応じて効率的な運転管理を行うことができる。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
乗用エレベーターまたは寝台用エレベーターにあっては、停電時に置いても、床面で1ルクス以上の照度を確保することができる照明装置を設けなければならない。(建築基準法施行令第129条の10第3項第四号ロ)
2.◯
乗用エレベーターにあっては、1人当たりの体重を65kgとして計算する。最大積載量750kgのエレベーターの場合は、750 ÷ 65 ≒ 11.54 となるため、最大定員11名と明示する。(建築基準法施行令第129条の6第3第五号)
3.×
火災時管制運転は、火災発生時にエレベーターを避難階に呼び戻す機能である。この装置は防災センターで切換スイッチによる火災報知器の防炎信号によってすべてのエレベーターを一斉に避難階に呼び戻し帰着させるものである。(機械設備工事監理指針)
4.◯
エレベーターの群管理方式とは、絶えず変動するビル内の交通需要に応じて、エレベーター運転方式を適応的に選定し、複数台あるエレベーターを効率的に運転することを目的とする。
[ No.20 ]
請負契約に関する記述として、「公共工事標準請負契約約款」上、誤っているものはどれか。
1.設計図書とは、図面及び仕様書をいい、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書は含まない。
2.発注者は、工事の完成を確認するために必要があると認められるときは、その理由を受注者に通知して、工事目的物を最小限度破壊して検査することができる。
3.工期の変更については、発注者と受注者が協議して定める。ただし、予め定めた期間内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
4.工事の施工に伴い通常避けることができない騒音、振動、地盤沈下、地下水の断絶等の理由により第三者に損害を及ぼしたときは、原則として、発注者がその損害を負担しなければならない。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
設計図書とは、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質疑応答書をいう。(公共工事標準請負契約約款第1条)現寸図その他これらに類する物(施工図・施工計画書等)を除く。
2.◯
発注者は、工事完成の通知を受けたときは、通知を受けた日から14日以内に受注者の立会いの上、設計図書に定めるところにより、工事の完成を確認するための検査を完了し、当該検査の結果を受注者に通知しなければならない。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは、その理由を受注者に通知して、工事目的物を最小限度破壊して検査することができる。(公共工事標準請負契約約款第32条第2項)
3.◯
工期の変更については、発注者と受注者が協議して定める。ただし、あらかじめ定めた期間内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。(公共工事標準請負契約約款第24条第1項)
4.◯
公共工事標準請負契約約款第29条第2項により正しい。ただし、その損害のうち工事の施工につき、受注者(請負者)が善良管理者の注意義務を怠ったことにより生じたものについては、受注者(請負者)が負担する。
2024年04月18日
1級建築施工管理技士 令和5年 一次 問題3 解答解説
(午前の部)令和5年6月11日(日)
※問題番号[ No.21 ]〜[ No.30 ]までの10問題のうちから、7問題を選択し、解答してください。
ただし、7問題を超えて解答した場合、減点となりますから注意してください。
問題は、四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
[ No.21 ]
乗入れ構台及び荷受け構台の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.乗入れ構台の支柱の位置は、基礎、柱、梁及び耐力壁を避け、5m間隔とした。
2.乗入れ構台の高さは、大引下端が床スラブ上端より10cm上になるようにした。
3.荷受け構台の作業荷重は、自重と積載荷重の合計の10%とした。
4.荷受け構台への積載荷重の偏りは、構台の全スパンの60%にわたって荷重が分布するものとした。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
乗入れ構台の支柱の位置は、地下構造図と重ね合わせるなどして、基礎、柱、梁及び耐力壁の位置を重ならないように配置し、支柱の間隔は 3〜6m程度として計画する。
2.×
乗入れ構台の大引下端は、躯体コンクリート打設時に床の均し作業ができるように、1階のスラブ上端より20〜30cm程度上に設定する。(建築工事監理指針)
3.◯
荷受け構台の構造計算に用いる作業荷重は、自重と積載荷重の合計の10%とする。
4.◯
荷受け構台を構成する部材については、積載荷重の偏りを考慮して検討し、通常は構台全スパンの60%にわたって、積載荷重が分布するものと仮定する。
[ No.22 ]
地下水処理工法に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.ディープウェル工法は、初期のほうが安定期よりも地下水の排水量が多い。
2.ディープウェル工法は、透水性の低い粘性土地盤の地下水位を低下させる場合に用いられる。
3.ウェルポイント工法は、透水性の高い粗砂層から低いシルト質細砂層までの地盤に用いられる。
4.ウェルポイント工法は、気密保持が重要であり、パイプの接続箇所で漏気が発生しないようにする。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
ディープウェル工法は、掘削溝内・外にディープウェル(深井戸)を設置し、ウェル内に流入する地下水をポンプで排水させる工法である。施工時の特徴として、初期のほうが安定期よりも地下水の排水量が多い。
2.×
ディープウェル工法は、砂層や砂礫層等で、透水性の高い地盤で、排水量が多い場合に適している。(建築工事監理指針)
3.◯
ウェルポイント工法は、吸水管を地中に設置し、真空ポンプにより強制的に地下水を集めて排水する工法で、透水性の高い粗砂層から低いシルト質細砂層までの地盤に適用可能である。
4.◯
ウェルポイント工法の留意事項は、地下水位低下の際に地盤た多少沈下するため、周辺環境の調査をすること、ポンプの故障に備え予備ポンプの設置をすること、気密保持のため、パイプの接続箇所で漏気が発生しないようにすること等が挙げられる。(建築工事監理指針)
[ No.23 ]
既製コンクリート杭の施工に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.荷降ろしのため杭を吊り上げる場合、安定するように杭の両端から杭長の1/10の2点を支持して吊り上げる。
2.杭に現場溶接継手を設ける際には、原則として、アーク溶接とする。
3.継ぎ杭で、下杭の上に杭を建て込む際には、接合中に下杭が動くことがないように、保持装置に固定する。
4.PHC杭の頭部を切断した場合、切断面から350mm程度まではプレストレスが減少しているため、補強を行う必要がある。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
既製コンクリートの杭の吊り上げは、支持点(杭の両端から杭長の1/5の点)近くの2点で支持する。
2.◯
既製コンクリート杭に現場溶接継手を設ける場合は、原則としてアーク溶接とする。
3.◯
継ぎ杭とは、1本の杭では長さが不足し、継手を設けてもう1本の杭を連結させて打込む杭をいう。下杭の上に杭を建て込む場合、下杭を保持する装置を設けて、接合時に動かないように留意する。
4.◯
PHC杭(プレテンション方式遠心力高強度プレストレスとコンクリート杭)の杭頭を切断した場合は、切断面から350mm程度まではプレストレスが減少しているので、設計図書により補強を行う。(建築工事監理指針)
[ No.24 ]
鉄筋の機械式継手に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.トルク方式のねじ節継手とは、カップラーを用いて鉄筋を接合する工法で、ロックナットを締め付けることで鉄筋とカップラーとの間の緩みを解消する。
2.グラウト方式のねじ節継手とは、カップラーを用いて鉄筋を接合する工法で、鉄筋とカップラーの節との空隙にグラウトを注入することで緩みを解消する。
3.充填継手とは、異形鉄筋の端部に鋼管(スリーブ)をかぶせた後、外側から加圧して鉄筋表面の節にスリーブを食い込ませて接合する工法である。
4.端部ねじ継手とは、端部をねじ加工した異形鉄筋、あるいは加工したねじ部を端部に圧接した異形鉄筋を使用し、雌ねじ加工されたカップラーを用いて接合する工法である。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
トルク方式のねじ節継手は、ねじ節鉄筋とねじ鉄筋に、カップラー(接合金具)を用いて接合し、ロックナットにより締め付け固定する方法で、鉄筋とカップラーとの間の緩みを解消する。
2.◯
グラウト方式のねじ節継手とは、ねじ節鉄筋とねじ筋鉄筋を、カップラーを用いて鉄筋を接合し、グラウト材を充填して鉄筋とカップラーの節を固定する方法で、グラウト材を注入することで緩みを解消する。
3.×
異形鉄筋の端部に鋼管(スリーブ)をかぶせた後、外側から加圧して鉄筋表面の節にスリーブを食い込ませて接合する工法は、圧着継手である。充填継手とは、内面の凹凸のついた比較的径の大きい鋼管(スリーブ)に異形鉄筋の端部を挿入した後、スリーブ内に高強度の無収縮モルタル等を充填して接合する工法である。
4.◯
端部ねじ継手とは、端部をねじ加工した異形鉄筋、または加工したねじ部を端部に圧接した異形鉄筋を使用し、雌ねじ加工されたカップラーを用いて接合する工法である。
[ No.25 ]
型枠支保工に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.支柱として用いるパイプサポートの高さが3.5mを超える場合、高さ2.5m以内ごとに水平つなぎを2方向に設けなければならない。
2.支柱として用いる鋼管枠は、最上層及び5層以内ごとに水平つなぎを設けなければならない。
3.支柱としてパイプサポートを用いる型枠支保工は、上端に作業荷重を含む鉛直荷重の5/100に相当する水平荷重が作用しても安全な構造でなければならない。
4.支柱として鋼管枠を用いる型枠支保工は、上端に作業荷重を含む鉛直荷重の2.5/100に相当する水平荷重が作用しても安全な構造でなければならない。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
支柱として用いるパイプサポートの高さが3.5mを超える場合、水平つなぎを設ける位置は、高さ2.0m以内ごとに水平つなぎを2方向に設けなければならない。(労働安全衛生規則第242条第六号イ、第七号ハ)
2.◯
「最上層及び5層以内ごとの箇所において、型枠支保工の側面並びに枠面の方向及び交差筋かいの方向における5枠以内ごとの箇所に、水平つなぎを設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。」と定められている。(労働安全衛生規則第242条第八号ロ)
3.◯
「鋼管枠以外のものを支柱として用いるものであるときは、当該型枠支保工の上端に、設計荷重の5/100に相当する水平方向の荷重が作用しても安全な構造のものとすること。」と定められている。(労働安全衛生規則第240条第3項第四号)
4.◯
「鋼管枠を支柱として用いるものであるときは、当該型枠支保工の上端に、設計荷重の2.5/100に相当する水平方向の荷重が作用しても安全な構造のものとすること。」と定められている。(労働安全衛生規則第240条第3項第三号)
[ No.26 ]
コンクリートの運搬、打込み及び締固めに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.コンクリートの圧送開始前に圧送するモルタルは、型枠内に打ち込まないが、富調合のものとした。
2.圧送するコンクリートの粗骨材の最大寸法が20mmのため、呼び寸法100Aの輸送管を使用した。
3.コンクリート棒形振動機の加振は、セメントペーストが浮き上がるまでとした。
4.外気温が25℃を超えていたため、練混ぜ開始から打込み終了までの時間を120分以内とした。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
コンクリートの圧送に先立ち圧送される先送りモルタルは、型枠内に打ち込まなず破棄する。また、先送モルタルは、セメントの配分を多くした富調合のものとする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編6.6.1(3)(ウ))
2.◯
コンクリート輸送管の径は、コンクリートポンプの圧送性に直接影響し、径が大きいほど圧力損失が少なくなり、圧送性も良くなる。粗骨材の最大寸法が20mmの場合の輸送管の呼び寸法は100A以上とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編6.6.1(3)(イ)、表6.6.1)
3.◯
コンクリート打込み時におけるコンクリート棒形振動機によるコンクリートへの加振は、セメントペーストが浮き上がるまで実施する。(公共建築工事標準仕様書建築工事編6.6.5(3))
4.×
コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間の限度は、外気温が25℃以下で120分以内、25℃を超える場合は90分以内とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編6.6.2(1))
[ No.27 ]
鉄骨の建方に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.架構の倒壊防止用に使用するワイヤロープは、建入れ直し用に兼用してもよい。
2.スパンの寸法誤差が工場寸法検査で計測された各部材の寸法誤差の累積値以内となるよう、建入れ直し前にスパン調整を行う。
3.建方に先立って施工するベースモルタルは、養生期間を3日間以上とする。
4.梁のフランジを溶接接合、ウェブをボルトの配列が1列の高力ボルト接合とする混用接合の仮ボルトは、ボルト1群に対して1/3程度、かつ、2本以上締め付ける。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
鉄骨の建方時に架構の倒壊防止としてワイヤロープを使用する場合、このワイヤロープを建入れ直し用に兼用してもよい。(JASS6)
2.◯
工場で計測した寸法と現場で測定した寸法は、鋼製巻尺の違いや、搬入時までの温度変化による材料の伸縮により、異なる場合がある。そのため、各部材の寸法誤差は、累積値以内となるように、建入れ直し前にスパン調整を行う必要がある。
3.◯
建方に先立って施工するベースモルタルは、モルタル中心塗り部分のモルタルの塗厚さを30mm以上50mm以下とし、養生期間を3日とらなければならない。(JASS6)
4.×
高力ボルト接合における仮ボルトの締付けは、1群のボルト数の1/2以上、かつ2本以上バランスよく配置して締め付ける。(公共建築工事標準仕様書建築工事編7.10.5(3))
また、ウェブを高力ボルト接合、フランジを工事現場溶接接合とする混用継手は、原則としてウェブの高力ボルトを先に本締めまで行った後、フランジ溶接を行う。
[ No.28 ]
大断面集成材を用いた木造建築物に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.梁材の曲がりの許容誤差は、長さの1/1,000とした。
2.集成材にあけるドリフトピンの下孔径は、ドリフトピンの公称軸径に2mmを加えたものとした。
3.集成材にあける標準的なボルト孔の心ずれは、許容誤差を±2mmとした。
4.接合金物にあけるボルト孔の大きさは、ねじの呼びがM16未満の場合は公称軸径に1mmを、M16以上の場合は1.5mmを加えたものとした。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
梁材の曲がりの許容誤差は、長さの1/1,000以下とする。
2.×
集成材にあけるドリフトピンの孔の径の許容誤差は、特記がなければピン径と同径とする。
木造建築物に用いる大断面集成材の許容誤差は下表のとおりである。
3.◯
大断面集成材に設ける標準的なボルト孔の心ずれは、許容誤差を±2mm以内とする。
4.◯
接合金物にあけるボルトの孔あけ加工の大きさは、ねじの呼びがM16未満の場合は公称軸径に1mmを加えたものとし、M16以上の場合は1.5mmを加える。(公共建築木造工事標準仕様書5.2.4(1)(c)F,表5.2.1)
[ No.29 ]
建設機械に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.ブルドーザーは、盛土、押土、整地の作業に適している。
2.ホイールクレーンは、同じ運転室内でクレーンと走行の操作ができ、機動性に優れている。
3.アースドリル掘削機は、一般にリバース掘削機に比べ、より深い掘削能力がある。
4.バックホウは、機械の位置より低い場所の掘削に適し、水中掘削も可能だが、高い山の切取りには適さない。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
ブルドーザーは、車体の前方にブレード(排土板)がついており、地面を整地するために用いられる。盛土、押土、整地の作業に適している。
2.◯
ホイールクレーンは、同じ運転室内でクレーンと走行の操作ができ、小回りが利くので狭い場所でも設置できる。つり上げ荷重はトラッククレーンに比べて小さい。
3.×
リバース掘削機は、一般にアースドリル掘削機に比べて深い掘削能力がある。リバース掘削機の施工深さは約70m程度、アースドリル掘削機は約50m程度である。
4.◯
バックホウは、アームの先端にバケットを装着した掘削に用いられる建設機械で、機械の位置より低い場所の掘削に適し、水中掘削も可能だが、高い山の切取りには適さない。
[ No.30 ]
鉄筋コンクリート造の耐震改修工事における現場打ち鉄筋コンクリート耐震壁の増設工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.増設壁上部と既存梁下との間に注入するグラウト材の練上り時の温度は、練り混ぜる水の温度を管理し、10〜35℃の範囲とする。
2.あと施工アンカー工事において、接着系アンカーを既存梁下端に上向きで施工する場合、くさび等を打ってアンカー筋の脱落防止の処置を行う。
3.コンクリートポンプ等の圧送力を利用するコンクリート圧入工法は、既存梁下との間に隙間が生じやすいため、採用しない。
4.増設壁との打継ぎ面となる既存柱や既存梁に施す目荒しの面積の合計は、電動ピック等を用いて、打継ぎ面の15〜30%程度となるようにする。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
耐震改修工事における現場打ち鉄筋コンクリート耐震壁の施工においては、現場施工時の水温の管理を十分に行い、水温10℃以上の水を用いてグラウト材を練り上げ、練り上げ時の温度が10〜35℃の範囲のものを注入する。
2.◯
あと施工アンカー工事の接着系アンカーの固着において、上向き作業の場合は、接着剤の漏出防止及び取り付けボルトまたはアンカー筋脱落防止の処置を行う。(公共建築改修工事標準仕様書建築工事編 8.12.5(2)(オ))
3.×
コンクリート圧入工法は、既存の梁面との間にすき間が生じないように、ポンプ等で圧力で加えながら打込む工法なので、打継ぎ面の施工には適している。圧入工法は、既存梁と増築壁との接合をより確実を行うことができる。
4.◯
既存コンクリート表面は、平滑であり、打継ぎ面として適当ではないので、目荒しを施す。この目荒しの程度は、特記によるが、特記のない場合、一般には、既存柱・梁の目荒しは、電動ピック等を用いて、平均深さ2〜5mm(最大で5〜7mm)程度の凹面を合計が打継ぎ面の15〜30%程度の面積となるように全体にわたってつける。(建築改修工事監理指針)
2024年04月17日
1級建築施工管理技士 令和5年 一次 問題4 解答解説
(午前の部)令和5年6月11日(日)
※問題番号[ No.31 ]〜[ No.39 ]までの9問題のうちから、7問題を選択し、解答してください。
ただし、7問題を超えて解答した場合、減点となりますから注意してください。
問題は、四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
[ No.31 ]
防水工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.アスファルト防水密着工法における平場部のルーフィングの張付けに先立ち、入隅は幅300mm程度のストレッチルーフィングを増張りした。
2.改質アスファルトシート防水トーチ工法における平場部の改質アスファルトシートの重ね幅は、縦横とも100mm以上とした。
3.アスファルト防水における立上り部のアスファルトルーフィング類は、平場部のアスファルトルーフィングを張り付けた後、150mm以上張り重ねた。
4.改質アスファルトシート防水絶縁工法におけるALCパネル目地の短辺接合部は、幅50mm程度のストレッチルーフィングを張り付けた。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
アスファルトルーフィング類の張付けにおいて、出隅、入隅には一般平場のルーフィング類の張付けに先立ち、幅300mm以上のストレッチルーフィングを用いて均等に増張り(捨張り)する。(公共建築工事標準仕様書建築工事編9.2.4(4)(ア)(c)表9.2.10)
2.◯
改質アスファルトシートの重ね幅は幅方向、長手方向とも100mm以上とし、2層の場合は上下層の改質アスファルトシートの接合部が重ならないようにする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編9.2.4(5)(ア)(a)A)
3.◯
立上り部よりも水下側の平場部が下側になるよう、立上り部のアスファルトルーフィング類の張付けに先立ち、平場部のルーフィング類を150mm以上張り重ねる。(公共建築工事標準仕様書建築工事編9.2.4(4)(イ)(f))
4.×
ALCパネル下地の短辺接合部は、ルーフィングシート張付けに先立ち、目地部に幅 50mm程度の絶縁用テープを張付ける。(公共建築工事標準仕様書建築工事編9.3.4(3)(ア)(c))
[ No.32 ]
乾式工法による外壁の張り石工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.厚さ30mm、大きさ500mm角の石材のだぼ孔の端あき寸法は、60mmとした。
2.ロッキング方式において、ファスナーの通しだぼは、径4mmのものを使用した。
3.下地のコンクリート面の精度を考慮し、調整範囲が±10mmのファスナーを使用した。
4.石材間の目地は、幅を10mmとしてシーリング材を充填した。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
石材のだぼ孔の端あき寸法は、石材の厚みの3倍以上の90mm以上とし、石材幅の辺長の1/4程度である125mm程度の位置にバランスよく設ける。(JASS9)
2.◯
乾式工法のロッキング方式において、ファスナーの通しだぼは、上下固定で径4.0mm、埋込み長さ20mmのものを使用する。(公共建築工事標準仕様書建築工事編10.5.2(2)(ア))
3.◯
外壁乾式工法において、下地のコンクリート面の寸法精度は、±10mm以内とする。この精度を考慮するため、±10mmが調整できるのファスナーを用いる。(公共建築工事標準仕様書建築工事編10.1.3(3)表10.1.1)
4.◯
石材間の目地には、シーリング材を充填する。目地幅は特記がなければ幅、深さとも8mm以上とする。
(公共建築工事標準仕様書建築工事編10.5.3(6)(イ))
[ No.33 ]
金属製折板葺屋根工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.端部用タイトフレームは、けらば包みの下地として、間隔を1,800mmで取り付けた。
2.重ね形折板の重ね部分の緊結ボルトは、流れ方向の間隔を600mmとした。
3.軒先の落とし口は、折板の底幅より小さく穿孔し、テーパー付きポンチで押し広げ、10mmの尾垂れを付けた。
4.軒先のアール曲げ加工は、曲げ半径を450mmとした。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
端部用タイトフレーム(けらば用タイトフレーム)は、けらば包みの下地として、間隔を 1,200mmで取り付ける。(建築工事監理指針)
2.◯
重ね形折板は、各山ごとにタイトフレームに固定し、重ね部分の緊結ボルトは流れ方向の間隔を600mm程度とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編13.3.3(3)(ウ))
3.◯
折板の底に設ける雨水の落とし口は円形にし、孔の周囲に5〜15mm程度の尾垂れを付け、裏側への雨水の回り込みを防止する。
4.◯
金属製折板葺屋根の軒先のアール曲げ加工は、曲げ半径450mmとする。
[ No.34 ]
特定天井に該当しない軽量鉄骨天井下地工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.天井のふところが1,500mm以上あったため、吊りボルトの振れ止めとなる水平方向の補強は、縦横間隔を1,800mm程度とした。
2.下り壁による天井の段違い部分は、2,700mm程度の間隔で斜め補強を行った。
3.下地張りのある天井仕上げの野縁は、ダブル野縁を1,800mm程度の間隔とし、その間に4本のシングル野縁を間隔を揃えて配置した。
4.野縁は、野縁受にクリップ留めし、野縁が壁と突付けとなる箇所は、野縁受からのはね出しを200mmとした。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
天井のふところが3mを超える場合は、特記による。天井のふところが1.5m以上の場合は、原則として、吊りボルトの水平補強、斜め補強を行う。水平補強は縦横方向に間隔1.8m程度に配置し、斜め補強は相対する斜め材を1組とし、縦横方向に間隔3.6m程度に配置する。(公共建築工事標準仕様書建築工事編14.4.4(8))
2.◯
下り壁、間仕切壁等を境としてに天井に段違いがある場合は、野縁受けと同材またはL-30×30×3 [ mm ]程度の部材で、間隔 2.7m程度に斜め補強を行う。(公共建築工事標準仕様書建築工事編14.4.4(7))
3.◯
下地張りのある場合の野縁の間隔は、シングル野縁360mm程度、ダブル野縁1,800mm程度とする。ただし、屋外の場合は、特記による。ダブル野縁1,800mm程度の間隔の間隔であり、ダブル野縁の間隔に4本のシングル野縁を間隔を揃えて配置すると、シングル野縁の間隔は1,800÷5 = 360mmとなり、適当と判断できる。(公共建築工事標準仕様書建築工事編14.4.3(2)表14.4.2)
4.×
野縁は、野縁受にクリップ留めし、野縁が壁と突付けとなる箇所は、野縁受からのはね出しは150mm以内とする。
[ No.35 ]
内壁コンクリート下地のセメントモルタル塗りに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.下塗りは、吸水調整材の塗布後、乾燥を確認してから行った。
2.下塗り用モルタルの調合は、容積比でセメント1:砂 3とした。
3.下塗り後の放置期間は、モルタルの硬化が確認できたため、14日間より短縮した。
4.中塗りや上塗りの塗厚を均一にするため、下塗りの後に、むら直しを行った。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
吸水調整材塗布後の下塗りまでの間隔は、一般に1時間以上とし、乾燥を確認してから行う。
2.×
下塗り用モルタルの調合(容積比)は、セメント1:砂 2.5、むら直し、中塗り、上塗りは、セメント1:砂 3とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 表15.3.3)
3.◯
下塗りは、14日以上放置して、ひび割れ等を十分発生させてから、次の塗り付けを行う。ただし、気象条件等により、モルタルの接着が確保できる場合には、放置期間を短縮することができる。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 15.3.5(1)(ア)(e))
4.◯
むら直しとは、塗厚または仕上厚が大きいとき、あるいは塗りむらが著しい時に、下塗りの上にモルタルを塗りつけることをいう。これにより、中塗り、上塗りの塗厚が均一となる。セメントモルタル塗りの工程は、下塗り → むら直し → 中塗り → 上塗りの順で行う。
[ No.36 ]
鋼製建具に関する記述として、最も不適当なものはどれか。ただし、1枚の戸の有効開口は、幅950mm、高さ2,400mmとする。
1.外部に面する両面フラッシュ戸の表面板は鋼板製とし、厚さを1.6mmとした。
2.外部に面する両面フラッシュ戸の見込み部は、上下部を除いた左右2方を表面板で包んだ。
3.たて枠は鋼板製とし、厚さを1.6mmとした。
4.丁番やピポットヒンジ等により、大きな力が加わる建具枠の補強板は、厚さを2.3mmとした。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
鋼板類の厚さは、特記による。特記がなければ、片開き、親子開き及び両開き戸の1枚の戸の有効幅が950mmまたは有効高さが 2,400mmを超える場合を除き下記の表とする。外部に面する両面フラッシュ戸の表面板は鋼板製とし、厚さを1.6mmとする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 16.4.4(1)表16.4.2)
2.×
内部建具の両面フラッシュ戸の見込み部は、上下部を除いた左右2方を表面板で包めばよいが、、外部に面する戸は、下部を除き三方の見込みを表面板で包む。(建築工事監理指針)
3.◯
上表により、たて枠は鋼板製とし枠類に分類される。厚さを1.6mmとする。
4.◯
枠の丁番、ドアクローザー、ピポットヒンジ等が取り付く箇所には、裏面に補強板を取り付ける。大きな力が加わる建具枠の補強板は、厚さを2.3mmとする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 16.4.4表16.4.2)
[ No.37 ]
塗装工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.アクリル樹脂系非水分散形塗料塗りにおいて、中塗りを行う前に研磨紙P220を用いて研磨した。
2.せっこうボード面の合成樹脂エマルションペイント塗りにおいて、気温が20℃であったため、中塗り後3時間経過してから、次の工程に入った。
3.屋外の木質系素地面の木材保護塗料塗りにおいて、原液を水で希釈し、よく攪拌して使用した。
4.亜鉛めっき鋼面の常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗りにおいて、下塗りに変性エポキシ樹脂プライマーを使用した。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
アクリル樹脂系非水分散形塗料塗りの工程は、素地調整、下塗り、パテかい、研磨、中塗り、上塗りと進む。研磨には研磨紙P220を用いる。
2.◯
合成樹脂エマルションペイント塗りでは、各塗装工程の標準工程間隔時間は、気温20℃においては3時間以上である。
3.×
木材保護塗料塗りは通常屋外で使用される木質系素地に対して適用される。木材保護塗料は、原液で使用することを基本とし、希釈はしない。
4.◯
亜鉛めっき鋼面の常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗りの下塗りには、変性エポキシ樹脂プライマーを使用する。(JASS18)
[ No.38 ]
ALCパネル工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.床版敷設筋構法において、床パネルへの設備配管等の孔あけ加工は1枚当たり1か所とし、主筋の位置を避け、直径100mmの大きさとした。
2.横壁アンカー構法において、地震時等における躯体の変形に追従できるよう、ALCパネル積上げ段数3段ごとに自重受け金物を設けた。
3.縦壁フットプレート構法において、ALC取付け用間仕切チャンネルをデッキプレート下面の溝方向に取り付ける場合、下地として平鋼をデッキプレート下面にアンカーを用いて取り付けた。
4.床版敷設筋構法において、建物周辺部、隅角部等で目地鉄筋により床パネルの固定ができない箇所は、ボルトと角座金を用いて取り付けた。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
床版敷設筋構法において、床パネルへの設備配管等が貫通する場合の孔あけは、直径50mm以下とする。(建築工事監理指針)
2.◯
横壁アンカー構法においては、パネル重量による下段パネルの損傷を避けるため、ALCパネル積上げ段数3〜5段以下毎にALCパネルの重量を支持する自重受け金物を設ける。(一般社団法人 ALC協会ALCパネル取付く構法標準・同解説第2章第2節3.1b)
3.◯
縦壁フットプレート構法において、デッキプレート下面への下地鋼材の取付けは、下地鋼材がデッキプレートの溝方向と平行となる場合、下地鋼材の取付けに先立ち、下地として平鋼をデッキプレート下面にアンカーなどにより取り付けておく必要がある。(一般社団法人 ALC協会ALCパネル取付く構法標準・同解説第3章第2節2.2)
4.◯
床版敷設筋構法において、建物周辺部、隅角部、階段室廻りなどで目地鉄筋によりALCパネルの固定ができない箇所は、ボルトと座金(丸座金または角座金・角座金R)を用いて取り付ける。(一般社団法人 ALC協会ALCパネル取付く構法標準・同解説第4章第1節3c)
[ No.39 ]
内装改修工事に関する記述として、最も不適当なものはどれか。ただし、既存部分は、アスベストを含まないものとする。
1.ビニル床シートの撤去後に既存下地モルタルの浮き部分を撤去する際、健全部分と縁を切るために用いるダイヤモンドカッターの刃の出は、モルタル厚さ以下とした。
2.既存合成樹脂塗床面の上に同じ塗床材を塗り重ねる際、接着性を高めるよう、既存仕上げ材の表面を目荒しした。
3.防火認定の壁紙の張替えは、既存壁紙の裏打紙を残した上に防火認定の壁紙を張り付けた。
4.既存下地面に残ったビニル床タイルの接着剤は、ディスクサンダーを用いて除去した。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
ビニル床シート張りの下地モルタルの浮き部分の撤去の際、ダイヤモンドカッターの刃の出は、モルタル厚さ以下とする。(公共建築改修工事標準仕様書6.2.2(1)(ア))
2.◯
既存合成樹脂塗床材を除去せずに同じ塗床材を塗り重ねる場合は、既存仕上げ材の表面をディスクサンダー等により目荒しして接着性を高める。(公共建築改修工事標準仕様書6.2.2(1)(イ)(b))
3.×
壁紙の張替えは、既存の壁紙を残さず撤去し、下地基材面を露出させてから新規の壁紙を張り付けなければ防火材料に認定されない。(建築改修工事監理指針)
4.◯
既存床仕上材の撤去に関して、下地面に残ったビニル床タイルの接着剤は、アスベストを含有していない場合、新規仕上げの施工に支障のないように、ディスクサンダー等により除去する。(建築改修工事監理指針)
2024年04月16日
1級建築施工管理技士 令和5年 一次 問題5 解答解説
(午前の部)令和5年6月11日(日)
※問題番号[ No.40 ]〜[ No.44 ]までの5問題は、全問題を解答してください。
問題は、四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
[ No.40 ]
事前調査や準備作業に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.地下水の排水計画に当たり、公共下水道の排水方式の調査を行った。
2.タワークレーン設置による電波障害が予想されたため、近隣に対する説明を行って了解を得た。
3.ベンチマークは、移動のおそれのない箇所に、相互にチェックできるよう複数か所設けた。
4.コンクリートポンプ車を前面道路に設置するため、道路使用許可申請書を道路管理者に提出した。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
地下水の排水計画に当たっては、公共下水道の排水方式等の必要な調査を行う。
2.◯
鉄骨工事計画に当たって、タワークレーンによる電波障害が予想される場合には、近隣に対する説明を行って了解を得る必要がある。
3.◯
ベンチマークは、建物の高さ及び位置の基準となるものであり、敷地付近の移動のおそれのない箇所に設置し、監理者の検査を受ける。またベンチマークは通常2箇所以上設け、相互にチェックを行う。
4.×
コンクリートの打設ではコンクリートポンプ車等を道路上に一時駐車するため、施工者は道路使用許可申請書を所轄警察署長に提出しなければならない。(道路交通法第77条第1項第一号)
[ No.41 ]
仮設設備の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.作業員の仮設男性用小便所数は、同時に就業する男性作業員40人以内ごとに1個を設置する計画とした。
2.工事用電気設備の建物内幹線の立上げは、上下交通の中心で最終工程まで支障の少ない階段室に計画した。
3.仮設電力契約は、工事完了まで変更しない計画とし、短期的に電力需要が増加した場合は、臨時電力契約を併用した。
4.仮設の給水設備において、工事事務所の使用水量は、1人1日当たり50Lを見込む計画とした。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
男性用大便器の便房の数は、同時に就業する男性労働者 60人以内ごとに1個以上、男性用小便所数は、同時に就業する男性労働者 30人以内ごとに1個以上とする。
2.◯
工事用電気設備の建物内幹線の立上げは、できるだけ最終工程まで支障の少ない場所で計画する。
3.◯
仮設電力契約は、工事完了まで変更しない計画とするが、短期的に電力需要が増加する場合は、工事に影響がでないよう臨時電力契約をして、使用する電力の量を増量する。臨時電力契約は、通常の電力供給契約に比べて割高となる。
4.◯
仮設の給水設備において、工事事務所の使用水量は、40〜50L/ 人・日を目安とする。
[ No.42 ]
工事現場における材料の保管に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.長尺のビニル床シートは、屋内の乾燥した場所に直射日光を避けて縦置きにして保管した。
2.砂付ストレッチルーフィングは、ラップ部(張付け時の重ね部分)を下に向けて縦置きにして保管した。
3.フローリング類は、屋内のコンクリートの床にシートを敷き、角材を並べた上に保管した。
4.木製建具は、取付け工事直前に搬入し、障子や襖は縦置き、フラッシュ戸は平積みにして保管した。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
長尺のビニル床シートは、屋内の乾燥した場所に、直射日光を避けて縦置きする。(JASS26)
2.×
砂付ストレッチルーフィングは、接着不良にならないように砂の付いていないラップ部分(張付け時の重ね部分)を上に向けて縦置きとし、ラップ部分の保護のため2段積みは行わない。
3.◯
フローリング類は、木質材の湿気を含むと変形するので、保管には十分に注意する。やむを得ずコンクリートの上の置く場合は、シートを敷き、角材を並べた上に保管する。
4.◯
木製建具は、取付け工事直前に搬入し、障子や襖は縦置き、フラッシュ戸は平積みとする。(JASS 16)
[ No.43 ]
建築工事に係る届出に関する記述として、「労働安全衛生法」上、誤っているものはどれか。
1.高さが31mを超える建築物を建設する場合、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。
2.共同連帯として請け負う際の共同企業体代表者届を提出する場合、当該届出に係る仕事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に届け出なければならない。
3.つり上げ荷重が3t以上であるクレーンの設置届を提出する場合、その計画を当該工事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。
4.耐火建築物に吹き付けられた石綿を除去する場合、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
高さ31mを超える建築物または工作物の建設、改造、解体または破壊の仕事を行う場合は、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。(労働安全衛生法第88条第3項、同規則第90条第一号)
2.◯
二以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯として請け負った場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、そのうちの一人を代表者として定め、届出に係る仕事の開始の日の14日前までに、届書を、当該仕事が行われる場所を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。届書の提出は、当該仕事が行われる場所を管轄する労働基準監督署長を経由して行うものとする。(労働安全衛生法第5条第1項、同規則第1条2,4項)
3.×
つり上げ荷重が 3 t 以上のクレーンを設置する場合は、工事開始日の 30日前までにクレーン設置届を労働基準監督署長に届け出なければならない。(労働安全衛生法第88条第1項、クレーン等安全規則第5条)
4.◯
耐火建築物で石綿等の除去の作業を行う場合は、仕事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。(労働安全衛生法第88条第3項、同規則第90条第五の三号)
[ No.44 ]
工程計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.工程計画では、各作業の手順計画を立て、次に日程計画を決定した。
2.工程計画では、工事用機械が連続して作業を実施し得るように作業手順を定め、工事用機械の不稼働をできるだけ少なくした。
3.工期短縮を図るため、作業員、工事用機械、資機材等の供給量のピークが一定の量を超えないように山崩しを検討した。
4.工期短縮を図るため、クリティカルパス上の鉄骨建方において、部材を地組してユニット化し、建方のピース数を減らすよう検討した。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
工程計画を作成するためには、まず各作業をどのような手順で行うかの手順計画を立て、次にその手順をいつ実施するかの日程計画を決定して作成する。
2.◯
工程計画の立案においては、工事用機械が連続して作業を実施し得るように作業手順を定め、作業量を平準化し、工事用機械の不稼働をできるだけ少なくする。
3.×
山積工程表における山崩しは、人員、機械、資材の量を考慮して、労働者の投入人数などをなるべく一定にし、バランスの取れた経済的な工程計画にするものであり、工期短縮に用いる手法ではない。工程圧縮できるのは、フォローアップによる工程の見直しである。
<-- [ 令和2年 問題54 ] -->
4.◯
クリティカルパスとは、工程上、最も重要な経路で、クリティカルバスの工程経路が遅れると、工程全体が遅れることとなる。また、鉄骨工事の地組とは、鉄骨躯体に用いられる柱や梁をあらかじめ地上で組み立てることで、鉄骨躯体組立て時の作業量を減らすことができる。そのため、工期短縮を図る上で、クリティカルバス上の鉄骨建方は、部材を地組してユニット化し、建方のピース数を減らすよう検討する。
2024年04月15日
1級建築施工管理技士 令和5年 一次 問題6 解答解説
(午後の部)令和5年6月11日(日)
※問題番号[ No.45 ]〜[ No.54 ]までの10問題は、全問題を解答してください。
問題は、四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
[ No.45 ]
一般的な事務所ビルの鉄骨工事において、所要工期算出のために用いる各作業の能率に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.鉄骨のガスシールドアーク溶接による現場溶接の作業能率は、1人1日当たり6mm換算溶接長さで80mとして計画した。
2.タワークレーンのクライミングに要する日数は、1回当たり1.5日として計画した。
3.建方用機械の鉄骨建方作業占有率は、60%として計画した。
4.トルシア形高力ボルトの締付け作業能率は、1人1日当たり300本として計画した。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
鉄骨のガスシールドアーク溶接による現場溶接は、1人1日当たり6mm換算で80mとして計画する。一般に現場溶接の1日の平均能率は、溶接技能者1人当たり箱形(ボックス)柱で2本、梁で5箇所といわれている。(鉄骨工事技術指針・工事現場施工編)
2.◯
タワークレーンの1回のクライミングに要する日数は、準備を含めて1.5日である。(鉄骨工事技術指針・工事現場施工編)
3.◯
ビルの鉄骨建方において、タワークレーンの鉄骨建方作業占有率(鉄骨建方作業のみに占める時間の割合)は、同時期作業が多く、補助クレーンを用いる場合でおおむね60%前後とされている。(鉄骨工事技術指針・工事現場施工編)
4.×
トルシア形高力ボルトの1日における締付け作業効率は、ビルで450〜700本、工場建屋等で400〜600本である。(鉄骨工事技術指針・工事現場施工編)したがって、トルシア形高力ボルトの締付け作業は、3人1組で作業するものなので、1人1日当たり 150〜200本として計画する。
[ No.46 ]
ネットワーク工程表に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.一つの作業の最早終了時刻(EFT)は、その作業の最早開始時刻(EST)に作業日数(D)を加えて得られる。
2.一つの作業の最遅開始時刻(LST)は、その作業の最遅終了時刻(LFT)から作業日数(D)を減じて得られる。
3.一つの作業でトータルフロート(TF)が0である場合、その作業ではフリーフロート(FF)は0になる。
4.一つの作業でフリーフロート(FF)を使い切ってしまうと、後続作業のトータルフロート(TF)に影響を及ぼす。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
最早終了時刻(EFT)は、作業が最も早く完了できる時刻である。よって、最早開始時刻(EST)に作業日数(D)を加えて得られる。
2.◯
最遅開始時刻(LST)は、全体の工期を守るために、必ず着手しなけらばならない時刻である。よって、当該作業の最遅終了時刻(LFT)から作業日数(D)を減じた値となる。
3.◯
トータルフロート(TF)は、当該作業の最遅終了時刻(LFT)から当該作業の最早終了時刻(EFT)を差し引いて求められる。当該作業のトータルフロートが 0 となる場合、フリーフロート(後続作業の開始時時刻に影響を及ぼさない余裕時間))は0になる。
4.×
フリーフロートとは、その作業の中で使い切ってしまうと後続作業の最早開始時刻に影響を及ぼすようなフロートをいう。
フリーフロートは次式で定まる。
フリーフロート
=後続作業の最早開始時刻 − 当該作業の最早終了時刻
したがって、フリーフロートに影響を及ぼすものは、後続作業の最早開始時刻と当該作業の最早終了時刻である。
トータルフロートに影響を及ぼすものは、最遅終了時刻である。
[ No.47 ]
建築施工の品質を確保するための管理値に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.鉄骨工事において、スタッド溶接後のスタッドの傾きの許容差は、5°以内とした。
2.構造体コンクリートの部材の仕上がりにおいて、柱、梁、壁の断面寸法の許容差は、0〜+20mmとした。
3.鉄骨梁の製品検査において、梁の長さの許容差は、±7mmとした。
4.コンクリート工事において、薄いビニル床シートの下地コンクリート面の仕上がりの平坦さは、3mにつき7mm以下とした。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
鉄骨工事においるスタッド溶接後のスタッドの傾きの限界許容差は、5°以内とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編7.7.3(2))
2.◯
構造体コンクリートの部材の仕上がりにおける 柱、梁、壁の断面寸法の許容差は、0〜+20mmである。(公共建築工事標準仕様書表6.2.3)
3.×
鉄骨梁の製品検査で梁の長さの管理許容差は±3mm、限界許容差は ±5mmである。(JASS 6)
4.◯
コンクリート工事において、ビニル系床材張りなど仕上げ厚さが極めて薄い場合、下地コンクリートの仕上がりの平たんさは、3mにつき7mm以下とする。(公共建築工事標準仕様書同編表6.2.5)
[ No.48 ]
品質管理に用いる図表に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.ヒストグラムは、観測値若しくは統計量を時間順又はサンプル番号順に表し、工程が管理状態にあるかどうかを評価するために用いられる。
2.散布図は、対応する2つの特性を横軸と縦軸にとり、観測値を打点して作るグラフ表示で、主に2つの変数間の相関関係を調べるために用いられる。
3.パレート図は、項目別に層別して、出現度数の大きさの順に並べるとともに、累積和を示した図である。
4.系統図は、設定した目的や目標と、それを達成するための手段を系統的に展開した図である。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
ヒストグラムは、ばらつきをもつデータの範囲をいくつかの区間に分け、各区間を底辺とし、その区間で出現度数を高さとした長方形(柱状)を並べた図で、柱状図とも呼ばれる。データの分布の形を見たり、規格値との関係(目標値からのばらつき状態)をみることができる。計量特性の度数分布のグラフ表示で、製品の品質の状態が規格値に対して満足のいくものか等を判断するために用いられる。
観測値若しくは統計量を時間順またはサンプル番号順に表し、工程が管理状態にあるかどうかを評価するために用いられる図は、管理図である。
2.◯
散布図とは、2つの特性を横軸と縦軸にとり、観測値を打点して作るグラフ表示でる。QCの7つ道具の1つとして広く普及しており、主に2つの変数間の関連を調べるために用いられる。
3.◯
パレート図とは、不良品、欠点、故障等の発生個数を現象や要因別に分類し層別して、出現度数の大きい順に並べるとともに、累積和を示した図である。
4.◯
系統図は、目的や目標を達成するために、目的と手段を系統づけて、枝分かれに展開した図である。
[ No.49 ]
品質管理における検査に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.中間検査は、製品として完成したものが要求事項を満足しているかどうかを判定する場合に適用する。
2.無試験検査は、サンプルの試験を行わず、品質情報、技術情報等に基づいてロット合格、不合格を判定する。
3.購入検査は、提出された検査ロットを、購入してよいかどうかを判定するために行う検査で、品物を外部から受け入れる場合に適用する。
4.抜取検査は、ロットからあらかじめ定められた検査の方式に従ってサンプルを抜き取って試験し、その結果に基づいて、そのロットの合格、不合格を判定する。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
中間検査は、不良なロットが次工程に渡らないように、事前に取り除くことによち損害を少なくするために行う。完成したものを判定する検査は完了検査である。
2.◯
無試験検査とは、品質情報・技術情報に基づいてサンプルの試験を省略できる検査をいう。検査なしで次の工程で流すものであり、一般に次のような場合に適用する。
@管理図に異常がなく製造工程が安定状態にあり、そのまま次工程に流しても損失は問題にならない状態の場合、ロットの試験を省略する。
AJIS指定商品等、品質保証のある商品の場合、購入検査を省略する。
B長期にわたって検査結果が良く使用実績も良好な品物の受入検査の場合、供給者の検査成績表の確認によってサンプルの試験を省略する間接検査に切り替える。
3.◯
提供品の受入可否判定のための検査であり、特に外部からの購入品の検査を購入検査という。不適合品が生産工程に流入したり顧客に流出したりすることを防止し、品質上の責任の所在を明確化する。購入検査において、供給側が行った検査結果を必要に応じて確認することによって、購入者の試験を省略する検査を間接検査という。
4.◯
抜取検査とは、調査を行う製品、材料の一定の範囲から無作為に抜き取り、少数のサンプルを検査しその値をもとに全体の品質を決定する方法をいう。そして、その結果の基づき、ロットの合否を判定する。
[ No.50 ]
市街地の建築工事における公衆災害防止対策に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.敷地境界線からの水平距離が 5mで、地盤面からの高さが3mの場所からごみを投下する際、飛散を防止するためにダストシュートを設けた。
2.防護棚は、外部足場の外側からのはね出し長さを水平距離で2mとし、水平面となす角度を15°とした。
3.工事現場周囲の道路に傾斜があったため、高さ3mの鋼板製仮囲いの下端は、隙間を土台コンクリートで塞いだ。
4.歩車道分離道路において、幅員3.6mの歩道に仮囲いを設置するため、道路占用の幅は、路端から1mとした。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
建築工事等において工事現場の敷地境界線からの水平距離が 5m以内で、かつ、地盤面からの高さが3m以上の場所からくず、ごみその他飛散する恐れのある物を投下する場合においては、ダストシュートを用いる等、当該くず、ごみ等が工事現場の周辺に飛散することを防止するための措置を講じなければならない。(建築基準法施行令第136条の5第1項)
2.×
防護柵は、骨組の外側から水平距離で 2m以上突き出させ、水平面とのなす角度を 20° 以上とし、風圧、振動、衝撃、雪荷重等で脱落しないように骨組に堅固に取り付ける。(建設工事公衆災害防止対策要綱建築工事編第4章第28四)
3.◯
仮囲いは1.8m以上としなければならない。(建築基準法施行令第136条の2の20)また、傾斜地に設置した鋼板製仮囲いの下端に生じた隙間は、土台コンクリート等で塞ぐ計画とする。
4.◯
道路法施行令第7条第四号より、道路の占用許可対象とされているものに、工事用板囲、足場が含まれている。道路占有許可は、道路管理者の許可が必要であり、道路管理者の基準に従う必要がある。国土交通省北陸地方整備局や関東地方整備局等で、仮囲いの幅は、1m以内と定められている。
[ No.51 ]
作業主任者の職務として、「労働安全衛生法」上、定められていないものはどれか。
1.建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者は、器具、工具、要求性能墜落制止用器具等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと。
2.有機溶剤作業主任者は、作業に従事する労働者が有機溶剤により汚染され、又はこれを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
3.土止め支保工作業主任者は、要求性能墜落制止用器具等及び保護帽の使用状況を監視すること。
4.足場の組立て等作業主任者は、組立ての時期、範囲及び順序を当該作業に従事する労働者に周知させること。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
事業者は、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者に、器具、工具、要求性能墜落制止用器具等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くことを行わせなければならない。(労働安全衛生規則第517条の5第二号)
2.◯
有機溶剤作業主任者は、作業に従事する労働者が有機溶剤により汚染され、又はこれを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮することと規定されている。(有機溶剤中毒予防規則第19条の2第一号)
3.◯
事業者は、土止め支保工作業主任者に、要求性能墜落制止用器具等及び保護帽の使用状況を監視することを行わせなければならない。(労働安全衛生規則第375条第三号)
4.×
事業者は、つり足場、張出し足場または高さが2m以上の構造の足場の組立て、解体または変更の作業を行うときは、組立て、解体または変更の時期、範囲及び順序を当該作業に従事する労働者に周知させなければならない。(労働安全衛生規則第564条第1項第一号)
[ No.52 ]
足場に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.枠組足場に設ける高さ8m以上の階段には、7m以内ごとに踊場を設けた。
2.作業床は、つり足場の場合を除き、床材間の隙間は3cm以下、床材と建地の隙間は12cm未満とした。
3.単管足場の壁つなぎの間隔は、垂直方向5.5m以下、水平方向5m以下とした。
4.脚立を使用した足場における足場板は、踏さん上で重ね、その重ね長さを20cm以上とした。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
踊場は、階段と一体になって機能する架設通路であり、労働安全衛生規則第552条を準用し、高さが8m以上の階段には、7m以内ごとに踊場を設ける。(労働安全衛生規則第552条第1項第六号)
2.◯
つり足場の場合を除き、幅、床材間の隙間及び床材と建地との隙間は、次に定めるところによること。(労働安全衛生規則第563条第1項第二号)
イ 幅は、40cm以上とすること。
ロ 床材間の隙間は、3cm以下とすること。
ハ 床材と建地の隙間は12cm未満とすること。
3.×
単管足場の壁つなぎの間隔は、垂直方向 5m 以下、水平方向 5.5m 以下とする。(労働安全衛生規則第570条1項第五号イ)
4.◯
脚立は、脚と水平面との角度を75° 以下とし、足場板を長手方向に重ねるときは、踏さん上で重ね、その重ね長さは、20cm以上とする。(労働安全衛生規則第528条、第563条4項第一号ハ)
[ No.53 ]
事業者又は特定元方事業者の講ずべき措置に関する記述として、「労働安全衛生法」上、誤っているものはどれか。
1.特定元方事業者は、特定元方事業者及びすべての関係請負人が参加する協議組織を設置し、会議を定期的に開催しなければならない。
2.事業者は、つり足場における作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、脚部の沈下及び滑動の状態について点検を行わなければならない
3.事業者は、高さが2m以上の箇所で作業を行う場合、作業に従事する労働者が墜落するおそれのあるときは、作業床を設けなければならない。
4.特定元方事業者は、作業場所の巡視を、毎作業日に少なくとも1回行わなければならない。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
協議組織の設置及び運営を行うことは、労働安全衛生法第30条第1項第一号に規定されており、すべての関係請負人が参加する協議組織を設置し、会議を定期的に開催する必要がある。
2.×
事業者は、つり足場における作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、同規則第567条第2項第一号から第五号まで、第七号及び第九号に掲げる事項について、点検し、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならないと規定されている。(労働安全衛生規則第568条)
しかし、同規則第567条第2項で脚部の沈下及び活動の状態は第六号に、建地、布及び腕木の損傷の有無は第八号に規定されているため、つり足場における作業開始前の点検項目から除外されている。
☆令和5年10月1日施行の同規則第567条・第568条の改正により、事業者が自ら点検する義務が、点検者を指名して、点検者に点検させる義務に変更された。したがって、現在では、この部分も誤りとなる。
3.◯
事業者は、高さが2m以上の箇所で作業で、墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、作業床を設けなければならない。(労働安全衛生規則第518条第1項)
4.◯
特定元方事業者は、作業場所を巡視することについては、毎作業日に少なくとも1回、これを行わなければならない。(労働安全衛生規則第637条第1項)
[ No.54 ]
クレーンに関する記述として、「クレーン等安全規則」上、誤っているものはどれか。
1.つり上げ荷重が0.5t以上のクレーンの玉掛用具として使用するワイヤロープは、安全係数が6以上のものを使用した。
2.つり上げ荷重が3t以上の移動式クレーンを用いて作業を行うため、当該クレーンに、その移動式クレーン検査証を備え付けた。
3.設置しているクレーンについて、その使用を廃止したため、遅滞なくクレーン検査証を所轄労働基準監督署長に返還した。
4.移動式クレーンの運転についての合図の方法は、事業者に指名された合図を行う者が定めた。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
クレーン、移動式クレーンまたはデリックの玉掛用具であるワイヤロープの安全係数については、6以上でなければならない。のものを使用した。(クレーン等安全規則第213条第1項)
2.◯
移動式クレーンを用いて作業を行うときは、当該移動式クレーンに、その移動式クレーン検査証を備え付けておかなければならない。(クレーン等安全規則第63条)
3.◯
クレーンを設置している者が当該クレーンについて、その使用を廃止したとき、またはつり上げ荷重を3t未満に変更したときは、その者は、遅滞なく、クレーン検査証を所轄労働基準監督署長に返還しなければならない。(クレーン等安全規則第52条)
4.×
事業者は、移動式クレーンを用いて作業を行うときは、移動式クレーンの運転について一定の合図を定め、合図を行う者を指名して、その者に合図を行わせなければならない。ただし、運転者に単独で作業を行わせるときは、この限りでない。(クレーン等安全規則第71条第1項)
指名されたものが合図を定めるのではなく、定めるのは事業者である。
2024年04月14日
1級建築施工管理技士 令和5年 一次 問題7 解答解説
(午後の部)令和5年6月11日(日)
※問題番号[ No.55 ]〜[ No.60 ]までの6問題は応用能力問題です。全問題を解答してください。
問題は五肢択二式です。正解と思う肢の番号を2つ選んでください。
[ No.55 ]
鉄筋の加工及び組立てに関する記述として、不適当なものを2つ選べ。ただし、鉄筋は異形鉄筋とし、dは呼び名の数値とする。
1.D16の鉄筋相互のあき寸法の最小値は、粗骨材の最大寸法が20mmのため、25mmとした。
2.D25の鉄筋を90°折曲げ加工する場合の内法直径は、3dとした。
3.梁せいが 2mの基礎梁を梁断面内でコンクリートの水平打継ぎとするため、上下に分割したあばら筋の継手は、180°フック付きの重ね継手とした。
4.末端部の折曲げ角度が135°の帯筋のフックの余長は、4dとした。
5.あばら筋の加工において、一辺の寸法の許容差は、±5mmとした。
答え
2,4
[ 解答解説 ]
1.◯
鉄筋相互のあきは、次の値のうち最大のもの以上とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編535(4))
@ 粗骨材の最大寸法の1.25倍
A 25mmとした。
B 隣り合う鉄筋の平均径(異形鉄筋の呼び名の数値)の1.5倍
設問の場合、
@ 20mm × 1.25 = 25mm
A 25mm
B 16mm × 1.5 =24mm
となり、25mmのあき寸法は適切である。
2.×
D25の鉄筋を90°折曲げ加工する場合、鉄筋の種類がSD295、SD345の場合、4d以上。SD390、SD490の場合、5d以上とする。
3.◯
基礎梁の梁せいが 2m以上となり、基礎梁断面内でコンクリートの水平打継ぎを設ける際、あばら筋に重ね継手を設ける場合は、異形鉄筋でフック付きとする。
4.×
あばら筋・帯筋・スパイラル筋の末端は、原則として135° フックとする。末端部の135° フックの余長は 6d(d は異形鉄筋の呼び名の数値)以上とする。 (鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説)
5.◯
あばら筋の加工については、幅、高さの加工寸法の許容差をそれぞれ ±5mmとする。
[ No.56 ]
普通コンクリートの調合に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。
1.粗骨材は、偏平なものを用いるほうが、球形に近い骨材を用いるよりもワーカビリティーがよい。
2.AE剤、AE減水剤又は高性能AE減水剤を用いる場合、調合を定める際の空気量を4.5%とする。
3.アルカリシリカ反応性試験で無害でないものと判定された骨材であっても、コンクリート中のアルカリ総量を3.0kg/m3以下とすれば使用することができる。
4.調合管理強度は、品質基準強度に構造体強度補正値を加えたものである。
5.調合管理強度が21N/mm2のスランプは、一般に21cmとする。
答え
1,5
[ 解答解説 ]
1.×
ワーカビリティーはコンクリートの運搬、締固め、仕上げ等の作業のしやすさのことをいう。粗骨材の粒径が揃っておらず、偏平した骨材や角ばった骨材を使用すると、ワーカビリティーがよくならないため、球形に近い骨材を使用する。
2.◯
JASS5の寒中コンクリートの項に「使用するコンクリートはAEコンクリートとし、空気量は特記による。特記の無い場合は、4.5〜5.5%の範囲で定め、工事監理者の承認を受ける。」と規定されている。したがって、AE剤、AE減水剤または高性能AE減水剤を用いる普通コンクリートについては、調合を定める場合の空気量を4.5〜5.5%の範囲で定める。
3.◯
国土交通省「アルカリ骨材反応抑制対策(土木・建築共通)」において、下記のように記述されている。構造物に使用するコンクリートは、アルカリ骨材反応を抑制するため、次の3つの対策の中のいずれか1つについて確認をとらなければならない。
@コンクリート中のアルカリ総量の抑制
アルカリ量が表示されたポルトランドセメント等を使用し、コンクリート 1m3に含まれるアルカリ総量をNa2O換算で3.0kg/m3以下にする。
A抑制効果のある混合セメント等の使用
B 安全と認めらる骨材を使用。
したがって、アルカリシリカ反応性試験で無害でないものと判定された骨材であっても、コンクリート中のアルカリ総量を3.0kg/m3以下とすれば使用することができる。
4.◯
コンクリート調合管理強度は、調合強度を管理する場合の基準となる強度で、品質基準強度(設計基準強度と耐久設計基準強度の大きい方)に構造体強度補正値を加えた値とする。(JASS5)
5.×
調合管理強度が21N/mm2の普通コンクリートのスランプは、18cm以下とする。(JASS5)
コンクリートの強度は、調合管理強度で管理するが、調合管理強度とは、
調合管理強度 = 設計基準強度 + 構造体補正値(S値)
である。
一般には、
呼び強度(発注強度)= 調合管理強度
となる。
[ No.57 ]
鉄骨の溶接に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。
1.溶接部の表面割れは、割れの範囲を確認した上で、その両端から50mm以上溶接部を斫り取り、補修溶接した。
2.裏当て金は、母材と同等の鋼種の平鋼を用いた。
3.溶接接合の突合せ継手の食い違いの許容差は、鋼材の厚みにかかわらず同じ値とした。
4.490N/mm2級の鋼材の組立て溶接を被覆アーク溶接で行うため、低水素系溶接棒を使用した。
5.溶接作業場所の気温が−5℃を下回っていたため、溶接部より100mmの範囲の母材部分を加熱して作業を行った。
答え
3,5
[ 解答解説 ]
1.◯
溶接部の表面割れの範囲を確認した上で、その両端から50mm以上をアークエアガウジングではつり取って船底型の形状に仕上げ、補修溶接する。
2.◯
裏当て金の材質は、原則として母材の鋼種と同等のものを使用する。裏当て金は母材に適し溶接性に問題のない材質で、溶落ちが生じない板厚のものを使用する。一般的に、裏当て金は、板厚9mmの平鋼が用いられる。
3.×
溶接接合の突合せ継手の食い違いの許容差
鋼材の厚みが 15mm以下の場合
管理許容差 限界許容差
e ≦ 1mm e ≦ 1.5mm
鋼材の厚みが 15mmを超える場合
管理許容差
e ≦ t /15 かつ e ≦ 2mm
限界許容差
e ≦ t /10 かつ e ≦ 3mm
4.◯
490N/mm2級以上の高張力鋼の組立て溶接を被覆アーク溶接で行う場合には、耐割れ性、耐気孔性、耐衝撃性に優れた低水素系溶接棒を使用する。(公共建築工事標準仕様書建築工事編7.6.5(4)(オ))延性や靱性等の機械的性能も良好であり、重要構造物や、良好な耐割れ性が要求される高強度鋼や低合金鋼、厚板の溶接等にも広く使用さえれている。
5.×
気温が低いと溶接部の冷却速度が速くなり、溶接部に割れが生じやすくなるので、溶接作業場所の気温が−5℃を下回る場合は、溶接を行ってはならない。なお、溶接作業場所の気温が−5℃から5℃までの場合は、溶接部より100mmの範囲の母材部分を加熱して溶接することができる。(公共建築工事標準仕様書建築工事編7.6.8(1)(2))
[ No.58 ]
シーリング工事に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。
1.ボンドブレーカーは、シリコーン系シーリング材を充填するため、シリコーンコーティングされたテープを用いた。
2.異種シーリング材を打ち継ぐ際、先打ちしたポリサルファイド系シーリング材の硬化後に、変成シリコーン系シーリング材を後打ちした。
3.ワーキングジョイントに装填する丸形のバックアップ材は、目地幅より20%大きい直径のものとした。
4.ワーキングジョイントの目地幅が20mmであったため、目地深さは12mmとした。
5.シーリング材の充填は、目地の交差部から始め、打継ぎ位置も交差部とした。
答え
1,5
[ 解答解説 ]
1.×
シリコーン系シーリング材を充填する場合、ポリスチレンテープのボンドブレーカーを用いるのが一般的である。(JASS 8 )
2.◯
ポリサルファイド系シーリング材に後打ちできるシーリング材には、変成シリコーン系、シリコーン系、ポリウレタン系等がある。(JASS8)
3.◯
ワーキングジョイントに装填する丸形ポリエチレン発泡体は、目地幅より20〜30%大きい直径のものを選定する。(JASS8)
4.◯
ワーキングジョイントの寸法、打継ぎ目地及びひび割れ誘発目地は、幅20mm以上、深さ10mm以上とする。
5.×
シーリング材の打継ぎ箇所は、目地の交差部及びコーナー部を避け、そぎ継ぎとする。シーリング材の打始めは、原則として、目地の交差部あるいは角部から行う。(公共建築工事標準仕様書建築工事編9.7.4(4)(キ))
[ No.59 ]
内装ビニル床シート張りに関する記述として、不適当なものを2つ選べ。
1.寒冷期の施工で、張付け時の室温が5℃以下になることが予想されたため、採暖を行い、室温を10℃以上に保った。
2.床シートは、張付けに先立ち裁断して仮敷きし、巻きぐせをとるために8時間放置した。
3.床シートは、張付けに際し、気泡が残らないよう空気を押し出した後、45kgローラーで圧着した。
4.熱溶接工法における溶接部の溝切りの深さは、床シート厚の1/3とした。
5.熱溶接工法における溶接部は、床シートの溝部分と溶接棒を180〜200℃の熱風で同時に加熱溶融した。
答え
2,4
[ 解答解説 ]
1.◯
施工時の作業環境温度が5℃以下になると、床タイルは硬く下地になじみにくくなり、割れ・欠けが生じるものもある。さらに接着剤のオープンタイム、張付け可能時間が極端に長くなるので、ジェットヒーターなどで寒冷期の施工で採暖を行い、室温を10℃以上に保つようにする。(JASS26)
2.×
ビニル床シートは、施工に先立って温度20℃以上の室温にて仮敷きし、24時間以上放置して巻きぐせをとる。
3.◯
床シートの張付けは、床シートを送り込みながら圧着棒を用いて空気を押し出すように行い、その後45kgローラーで圧着する。
4.×
接合部の処理は、特記がなければ、熱溶接工法とし、溝は、V字またはU字とし、均一な幅に床シート厚の2/3程度まで溝切りする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編19.2.3(2)(ウ)(b))
5.◯
熱溶接工法におけては、熱風溶接機を用いて床シートの溝部分と溶接棒を180〜200℃の熱風で溶融し、余盛が断面両面にできる程度に圧着溶接する。
[ No.60 ]
仕上工事における試験及び検査に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。
1.防水形仕上塗材仕上げの塗厚の確認は、単位面積当たりの使用量を基に行った。
2.シーリング材の接着性試験は、同一種類のものであっても、製造所ごとに行った。
3.室内空気中に含まれるホルムアルデヒドの濃度測定は、パッシブサンプラを用いて行った。
4.アスファルト防水下地となるコンクリート面の乾燥状態の確認は、渦電流式測定計を用いて行った。
5.壁タイルの浮きの打音検査は、リバウンドハンマー(シュミットハンマー)を用い行った。
答え
4,5
[ 解答解説 ]
1.◯
施工に先立ち、見本帳または見本塗板を監督職員に提出する。なお、見本塗板は、所要量または塗り
厚が工程ごとに確認できるものとする。所要量等の確認方法は、防水形の仕上塗材の場合、単位面積当たりの使用量によることを標準とする。
2.◯
シーリング材は、同一種類のものであっても、製造所ごとに組成が異なっていて性能に問題が起こる場合があるので、接着性試験は製造所ごとに行う。
3.◯
室内空気中に含まれるホルムアルデヒド等の化学物質の濃度測定を実施する場合には、パッシブ型採取機器を用いるパッシブ法と吸引ポンプなどの動力を用いて強制的に採取するアクティブ法が用いられる。
4.×
アスファルト防水下地となるコンクリート面の乾燥状態は、次のような方法によって判断する。(建築工事監理指針)
@ 高周波水分計による下地水分の測定
A 下地をビニルシートやルーフィングで覆い、一昼夜後に結露の状態を確認
B コンクリート打込み後の経過日数
C 目視による乾燥状態の確認
過電流式測定計は、アルミニウム製外壁パネルの陽極酸化被膜の厚さの測定に使用される。
5.×
屋外及び屋内の吹抜け部分等の壁タイル張上げ面は、施工後2週間以上経過した時点で、全面にわたりタイル用テストハンマーを用いて打音検査を行い、浮きの有無を確認する。リバウンドハンマー(シュミットハンマー)はコンクリートの表面を打撃したときの反発度を測定し、その反発度音から反縮強度を推定するための機器である。
2024年04月13日
1級建築施工管理技士 令和5年 一次 問題8 解答解説
(午後の部)令和5年6月11日(日)
※問題番号[ No.61 ]〜[ No.72 ]までの12問題のうちから、8問題を選択し、解答してください。
ただし、8問題を超えて解答した場合、減点となりますから注意してください。
問題は、四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
[ No.61 ]
用語の定義に関する記述として、「建築基準法」上、誤っているものはどれか。
1.建築物の構造上重要でない間仕切壁の過半の模様替は、大規模の模様替である。
2.建築物の屋根は、主要構造部である。
3.観覧のための工作物は、建築物である。
4.百貨店の売場は、居室である。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
大規模の模様替とは、建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。構造上重要でない間仕切壁は主要構造部ではないため、大規模の模様替えには該当しない。(建築基準法第2条第1項第十五号)
2.◯
主要構造部とは、壁(構造上重要出ない間仕切壁を除く)、柱、床(最下階の床を除く)、はり、屋根、階段(屋外階段を除く)等をいう。したがって、屋根は主要構造部に含まれる。(建築基準法第2条第1項第五号)
3.◯
観覧のための工作物は、建築物である。(建築基準法第2条第1項第一号)
4.◯
居室とは、居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。したがって、百貨店の売場は居室である。(建築基準法第2条第1項第四号)
[ No.62 ]
建築確認等の手続きに関する記述として、「建築基準法」上、誤っているものはどれか。
1.延べ面積が150m2の一戸建ての住宅の用途を変更して旅館にしようとする場合、建築確認を受ける必要はない。
2.鉄骨造2階建て、延べ面積200m2の建築物の新築工事において、特定行政庁の仮使用の承認を受けたときは、建築主は検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物を使用することができる。
3.避難施設等に関する工事を含む建築物の完了検査を受けようとする建築主は、建築主事が検査の申請を受理した日から7日を経過したときは、検査済証の交付を受ける前であっても、仮に、当該建築物を使用することができる。
4.防火地域及び準防火地域内において、建築物を増築しようとする場合、その増築部分の床面積の合計が10m2以内のときは、建築確認を受ける必要はない。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
延べ面積が200m2を超えない一戸建ての住宅の用途を変更して旅館にしようとする場合、建築確認を受ける必要はない。(建築基準法第6条第1項第一号、第87条第1項)
2.◯
木造以外の建築物で延べ面積が200m2を超えるもののの新築工事においては、検査済証の交付た後でなければ、使用することができない。ただし、特定行政庁の仮使用の承認を受けたときは、建築主は検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物を使用することができる。(建築基準法施行規則第4条の16)
3.◯
避難施設等に関する工事を含む建築物の完了検査を受けようとする建築主は、建築主事の検査申請受理日から7日を経過したときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物を使用し、または使用させることができる。(建築基準法第7条の6第1項)
4.×
建築物の建築等に関する申請及び確認の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、または移転しようとする場合で、その増築、改築または移転に係る部分の床面積の合計が10m2以内であるときについては、適用しない。(建築基準法第6条第2項)
[ No.63 ]
次の記述のうち、「建築基準法施行令」上、誤っているものはどれか。
1.共同住宅の各戸の界壁を給水管が貫通する場合においては、当該管と界壁との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない。
2.劇場の客席は、主要構造部を耐火構造とした場合であっても、スプリンクラー設備等を設けなければ、1,500m2以内ごとに区画しなければならない。
3.主要構造部を準耐火構造とした建築物で、3階以上の階に居室を有するものの昇降機の昇降路の部分とその他の部分は、原則として、準耐火構造の床若しくは壁又は防火設備で区画しなければならない。
4.換気設備のダクトが準耐火構造の防火区画を貫通する場合においては、火災により煙が発生した場合又は火災により温度が急激に上昇した場合に自動的に閉鎖する構造の防火ダンパーを設けなければならない。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
給水間、配電管その他の管が、1時間準耐火構造の防火区画を貫通する場合においては、当該管と防火区画との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない。(建築基準法施行令第112条第20項)
2.×
主要構造部を耐火構造とした建築物で、延べ面積が1,500m2を超えるものは、床面積の合計1,500m2以内ごとに1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁または特定防火設備で区画しなければならない。ただし、次の各号のいづれかに該当する建築物の部分でその用途上やむを得ない場合においては、この限りでない。(建築基準法施行令第112条第1項柱書)同項第一号に、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場の客席、体育館、工場その他これらに類する用途に供する建築物の部分が規定されている。
3.◯
主要構造部が準耐火構造で3階以上の階に居室を有する建築物の昇降機の昇降路の部分は、準耐火構造の床、壁または遮炎性能のある防火戸等の防火設備で区画しなければならない。(建築基準法第2条第九の二号ロ、同条第九の三号イ、同施行令第112条第11項)
4.◯
換気空調設備等のために設けられた風道(ダクト)が準耐火構造の防火区画を貫通する場合、当該風道が火災により煙が発生した場合または火災により温度が急激に上昇した場合に自動的に閉鎖するものを設けなければならない。(建築基準法第2条第九の二号ロ、同条第九の三号、同施行令第112条第21項柱書、第一号)
[ No.64 ]
建設業の許可に関する記述として、「建設業法」上、誤っているものはどれか。
1.許可に係る建設業者は、営業所の所在地に変更があった場合、30日以内に、その旨の変更届出書を国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
2.建築工事業で一般建設業の許可を受けた者が、建築工事業の特定建設業の許可を受けたときは、その者に対する建築工事業に係る一般建設業の許可は、その効力を失う。
3.木造住宅を建設する工事を除く建築一式工事であって、工事1件の請負代金の額が4,500万円に満たない工事を請け負う場合は、建設業の許可を必要としない。
4.内装仕上工事など建築一式工事以外の工事を請け負う建設業者であっても、特定建設業者となることができる。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
許可に係る建設業者は、建設業法第5条第一号から第五号までに掲げる事項(営業所の名称及び所在地は第5条第二号)について変更があったときは、国土交通省令の定めるところにより、30日以内に、その旨の変更届出書を国土交通大臣または都道府県知事に提出しなければならない。(建設業法第11条第1項)
2.◯
一般建設業の許可を受けた者が、当該許可に係る建設業について特定建設業の許可を受けたときは、一般建設業の許可はその効力を失う。(建設業法第3条第6項)
3.×
建設業を営もうとする者は、2以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては国土交通大臣の、1の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。(建設業法第3条第1項柱書)法第3条第1項のただし書きの政令で定める軽微な建設工事は、工事1件の請負代金の額が 500万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあっては、1,500万円)に満たない工事または建築一式工事のうち延べ面積が150m2に満たない木造住宅を建設する工事とする。(建設業施行令第1条の2第1項)
したがって、建築一式工事の場合、工事1件の請負代金の額が1,500万円以上の場合は、建設業の許可が必要となる。
4.◯
許可は、別表第一の上欄に掲げる建設工事の種類ごとに、それぞれ同表の下欄に掲げる建設業に分けて与えるものとする。(建設業法第3条第2項)建設業の許可は、内装仕上工事など建設業の種類ごとに与えられ、建築一式工事以外の工事を請け負う建設業者であっても、特定建設業者となることができる。
[ No.65 ]
請負契約に関する記述として、「建設業法」上、誤っているものはどれか。
1.注文者は、請負人に対して、建設工事の施工につき著しく不適当と認められる下請負人があるときは、あらかじめ注文者の書面等による承諾を得て選定した下請負人である場合を除き、その変更を請求することができる。
2.建設業者は、共同住宅を新築する建設工事を請け負った場合、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。
3.請負契約の当事者は、請負契約において、各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金に関する事項を書面に記載しなければならない。
4.請負人は、請負契約の履行に関し、工事現場に現場代理人を置く場合、注文者の承諾を得なければならない。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
注文者は、請負人に対して、建設工事の施工につき著しく不適当と認められる下請負人があるときは、その変更を請求することができる。ただし、あらかじめ注文者の書面等による承諾を得て選定した下請負人については、この限りでない。(建設業法第23条第1項)
2.◯
共同住宅の新築工事を請け負った建設業者は、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。(建設業法第22条第1項、第3項、同施行令第6条の3)
3.◯
建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際して、工事内容、請負代金の額、工事着手の時期及び工事完成の時期、天災その他不可抗力による工期の変更または損害の負担及びその額の算定方法に関する定め、第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め、請負代金の支払の時期及び方法、各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金、契約に関する紛争の解決方法等について、書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付しなければならない。(建設業法第19条)
4.×
請負人は、請負契約の履行に関し工事現場に現場代理人を置く場合においては、当該現場代理人の権限に関する事項及び当該現場代理人の行為についての注文者の請負人に対する意見の申出の方法を、書面により注文者に通知しなければならない。(建設業法第19条の2第1項)注文者の承諾を得る必要はない。
[ No.66 ]
次の記述のうち、「建設業法」上、誤っているものはどれか。
1.建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。
2.特定建設業者は、発注者から建築一式工事を直接請け負った場合、当該工事に係る下請代金の総額が4,000万円以上のときは、施工体制台帳を作成しなければならない。
3.注文者は、前金払の定がなされた場合、工事1件の請負代金の総額が500万円以上のときは、建設業者に対して保証人を立てることを請求することができる。
4.特定専門工事の元請負人及び建設業者である下請負人は、その合意により、元請負人が置いた主任技術者が、その下請負に係る建設工事について主任技術者の行うべき職務を行うことができる場合、当該下請負人は主任技術者を置くことを要しない。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。(建設業法第4条)
2.×
特定建設業者は、発注者から直接建築一式工事を請け負った場合において、下請契約の請負代金の総額が 7,000万円以上になるときは、施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え置かなければならない。(建設業法第24条の8第1項、同施行令第7条の4)
※公共工事を、発注者から直接請け負った建設工事を施工するためには、下請契約を締結した場合は、請負代金の額にかかわらず施工体制台帳を作成しなければならない。(同法第24条の8第1項、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第15条第1項)
3.◯
注文者は、建設業者に対して前金払いをする前に、保証人を立てることを請求することができる。ただし、政令で定める軽微な工事については、この限りでない。軽微な建設工事は、工事1件の請負代金の額が500万円に満たない工事である。500万円以上の場合であれば、軽微な工事に該当しないため、保証人を立てることを請求できる。(同法第21条、同法施行令第6条の2)
4.◯
特定専門工事の元請負人及び下請負人は、その合意により、当該元請負人が当該特定専門工事につき主任技術者を置かなければならないが、その行うべき職務と併せて、当該下請負人がその下請負に係る建設工事につき、置かなければならないこととされる主任技術者の行うべき職務を行うべき職務を行うこととすることができる。この場合において、当該下請負人は、その下請負に係る建設工事につき主任技術者を置くことを要しない。(同法第26条の3第1項)
[ No.67 ]
労働時間等に関する記述として、「労働基準法」上、誤っているものはどれか。
1.使用者は、削岩機の使用によって身体に著しい振動を与える業務については、1日について2時間を超えて労働時間を延長してはならない。
2.使用者は、災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、行政官庁の許可を受けて、法令に定められた労働時間を延長して労働させることができる。
3.使用者は、労働者の合意がある場合、休憩時間中であっても留守番等の軽微な作業であれば命ずることができる。
4.使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10労働日の有給休暇を与えなければならない。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
使用者は、坑内労働その他厚生労働省で定める健康上特に有害な業務(削岩機、鋲打機等の使用によって身体に著しい振動を与える業務)について、1日について労働時間は2時間を超えないこと。(労働基準法第36条第6項第一号、同施行規則第18条第六号)
2.◯
災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において、労働時間を延長し、または休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。(労働基準法第33条第1項)
3.×
使用者は、労働者に対して与える所定の休憩時間を、自由に利用させなければない。したがって、労働者の合意があっても、軽微な作業であっても、労働者に作業を命ずることはできない。(労働基準法第34条第3項)
4.◯
使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、または分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。(労働基準法第39条第1項)
[ No.68 ]
建設業の事業場における安全衛生管理体制に関する記述として、「労働安全衛生法」上、誤っているものはどれか。
1.事業者は、常時10人の労働者を使用する事業場では、安全衛生推進者を選任しなければならない。
2.事業者は、常時50人の労働者を使用する事業場では、産業医を選任しなければならない。
3.事業者は、統括安全衛生責任者を選任すべきときは、同時に安全衛生責任者を選任しなければならない。
4.事業者は、産業医から労働者の健康を確保するため必要があるとして勧告を受けたときは、衛生委員会又は安全衛生委員会に当該勧告の内容等を報告しなければならない。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
事業者は、事業場で、厚生労働省令で定めるところにより、安全衛生推進者を選任し、その者に各号の業務を担当させなければならない。(労働安全衛生法第12条の2)厚生労働省令で定める規模の事業場は、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場とする。(同規則第12条の2)
2.◯
事業者は、医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。(同法第13条第1項)法第13条第1項の政令で定める規模の事業場は、常時50人以上の労働者を使用する事業場とする。(同施行令第5条)
3.×
統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人で、当該仕事を自ら行うものは、安全衛生責任者を選任し、その者に統括安全衛生責任者との連絡その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。(労働安全衛生法第16条第1項)
4.◯
事業者は、産業医から労働者の健康管理等について必要な勧告を受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該勧告の内容その他の厚生労働省令で定める事項を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない。(労働安全衛生法第13条第6項)
[ No.69 ]
建設現場における就業制限に関する記述として、「労働安全衛生法」上、誤っているものはどれか。
1.不整地運搬車運転技能講習を修了した者は、最大積載量が1t以上の不整地運搬車の運転の業務に就くことができる。
2.移動式クレーン運転士免許を受けた者は、つり上げ荷重が5t未満の移動式クレーンの運転の業務に就くことができる。
3.フォークリフト運転技能講習を修了した者は、最大荷重が1t以上のフォークリフトの運転の業務に就くことができる。
4.クレーン・デリック運転士免許を受けた者は、つり上げ荷重が1t以上のクレーンの玉掛けの業務に就くことができる。
答え
4
[ 解答解説 ]
事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者または都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技術講習を終了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。(労働安全衛生法第61条第1項)法第61条第1項の政令で定める業務は、次に示す。(同施行令第20条)
1.◯
最大積載量が1t以上の不整地運搬車の運転の業務(技能講習)。(同施行令第20条第十四号)
2.◯
つり上げ荷重が5t以上のクレーンの運転の業務(クレーン運転免許)。(同施行令第20条第六号)
3.◯
最大荷重が1t以上のフォークリフトの運転の業務(技能講習)。(同施行令第20条第十一号)
4.×
制限荷重が1t以上の揚貨装置またはつり上げ荷重が1t以上のクレーン、移動式クレーン若しくはデリックの玉掛けの業務(技能講習)。(同施行令第20条第十六号)
玉掛けの業務は、免許ではなく、技能講習である。
[ No.70 ]
次の記述のうち、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」上、誤っているものはどれか。ただし、特別管理産業廃棄物を除くものとする。
1.事業者は、産業廃棄物の運搬又は処分を委託した場合、委託契約書及び環境省令で定める書面を、その契約の終了の日から5年間保存しなければならない。
2.事業者は、工事に伴って発生した産業廃棄物を自ら運搬する場合、管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
3.多量排出事業者は、当該事業場に係る産業廃棄物の減量その他その処理に関する計画の実施の状況について、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に報告しなければならない。
4.天日乾燥施設を除く汚泥の処理能力が1日当たり10m3を超える乾燥処理施設を設置する場合、管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
事業者は、産業廃棄物の運搬又は処分を委託した場合、委託契約書及び環境省令で定める書面を、その契約の終了の日から5年間保存しなければならない。(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第6条の2第五号、同規則第8条の4の3)
2.×
産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く)の収集または運搬を業として行おうとする者は、管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。 ただし、事業者が自らその産業廃棄物を運搬する場合は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条第1項)
3.◯
事業活動に伴い多量の産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者として政令で定めるもの(多量排出事業者)は、環境省令で定める基準に従い、当該事業場に係る産業廃棄物の減量その他その処理に関する計画を作成し、計画及び実施の状況について、都道府県知事に報告しなければならない。(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第12条第9項、第10項)都道府県知事は、この計画の実施の状況について、公表するものとする。(同条第11項)
4.◯
汚泥の処理能力が1日当たり10m3(天日乾燥施設にあっては100m3)を超える乾燥処理施設を設置する場合、管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第15条第1項、 同施行令第7条第二号)
[ No.71 ]
宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成工事に関する記述として、「宅地造成及び特定盛土等規制法(旧宅地造成等規制法)」上、誤っているものはどれか。なお、指定都市又は中核市の区域内の土地については、都道府県知事はそれぞれ指定都市又は中核市の長をいう。
1.宅地造成に関する工事の許可を受けていなかったため、地表水等を排除するための排水施設の一部を除却する工事に着手する日の7日前に、その旨を都道府県知事に届け出た。
2.高さが2mの崖を生ずる盛土を行う際、崖の上端に続く地盤面には、その崖の反対方向に雨水その他の地表水が流れるように勾配を付けた。
3.宅地造成に伴う災害を防止するために崖面に設ける擁壁には、壁面の面積3m2以内ごとに1個の水抜穴を設け、裏面の水抜穴周辺に砂利を用いて透水層を設けた。
4.切土又は盛土をする土地の面積が1,500m2を超える土地における排水設備の設置については、政令で定める資格を有する者が設計した。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
宅地造成等工事規制区域内の土地において、擁壁等に関する工事その他の工事で政令で定めるもの(地表水等を排除するための排水施設の一部を除却する工事)を行おうとする者は、その工事に着手する14日前までに、主務省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。(宅地造成及び特定盛土等規制法第21条第3項、同法施行令第16条)
2.◯
盛土をした土地の部分の高さが1mを超える崖を生ずることとなった場合、盛土をした後の土地の部分に生じた崖の上端に続く当該土地の地盤面には、特別の事情がない限り、その崖の反対方向に雨水その他の地表水が流れるよう、勾配を付けること。(同施行令第3条第一号、第7条第2項第一号)
3.◯
盛土または切土をした土地に生ずる崖面で擁壁を設置する場合、その裏面の排水を良くするため、壁面の面積3m2以内ごとに少なくとも1個の内径が7.5cm以上の陶管その他これに類する耐水性の材料を用いた水抜穴を設け、かつ、擁壁の裏面の水抜穴の周辺その他必要な場所には、砂利その他の資材を用いて透水層を設けなければならない。(同施行令第12条)
4.◯
宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事、政令で定める技術的基準に従い、擁壁、排水設備その他宅地造成等に伴う災害を防止するため必要な措置が講ぜられたものでなければならない。この規定により講ずべきものとされる措置のうち政令で定めるものの工事は、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。(同施行令第3条第1項、第2項)法第13条第2項の政令で定める措置は、盛土または切土をする土地の面積が1,500m2 を超える土地における排水施設の設置である。(同施行令第21条第二号)
[ No.72 ]
次の作業のうち、「振動規制法」上、特定建設作業に該当しないものはどれか。ただし、作業は開始した日に終わらないものとし、作業地点が連続的に移動する作業ではないものとする。
1.油圧式くい抜機を使用する作業
2.もんけん及び圧入式を除くくい打機を使用する作業
3.鋼球を使用して建築物その他の工作物を破壊する作業
4.手持式を除くブレーカーを使用する作業
答え
1
[ 解答解説 ]
振動規制法第2条第3項は、この法律において「特定建設作業」とは、建設工事として行われる作業のうち、著しい振動を発生する作業であって政令で定めるものをいうと規定され、同施行令第2条で、法第2条第3項の政令で定める作業は、別表第2に掲げる作業とする。ただし、当該作業がその作業を開始した日に終わるものを除くと規定している。
1.×
くい打機(もんけん及び圧入式くい打機を除く)、くい抜機(油圧式くい抜機を除く)及びくい打くい抜機(圧入式くい打くい抜機を除く)を使用する作業
2.◯
問題1の解説参照
3.◯
鋼球を使用して建築物その他の工作物を破壊する作業
4.◯
ブレーカー(手持式のものを除く)を使用する作業(作業地点が連続的に移動する作業にあっては、1日おける当該作業に係る二地点間の最大距離が50mを超えない作業に限る。)
上記より、特定建設作業に該当しないものは1である。
配点:72問出題し,そのうち60問解答を要する試験であり,各問題1点,60点満点です。応用能力問題は,選んだ肢の番号が2つとも正しい場合のみ正答となります。