5節 コンクリート舗装
22.5.1 一般事項
(1) ここで対象とするコンクリート舗装は、路盤の上に車路又は歩行者用通路に応じた版厚のコンクリート版を設けたものである。
(2) 作業の流れを図22.5.1に示す。
図22.5.1 コンクリート舗装工事の作業の流れ
22.5.2 舗装の構成及び仕上り
(1) コンクリート舗装の標準構成は、図22.5.2に示すとおりである。
車路のコンクリート舗装は、大型車両(重量5t以上の車両をいう。)の通行が見込まれない場合は、コンクリート版厚は150mm、路盤厚は150mmとし、大型車両の通行が見込まれる場合には、コンクリート版厚は200mm、路盤厚は200mmとする。また、「標仕」では歩行者用通路のコンクリート版の厚さは、70mmを標準としているが、管理用車両が頻繁に通行するような場合には、コンクリート版厚100mmについても検討するとよい。
図22.5.2 コンクリート舗装の標準構成
(2) 溶接金網を敷き込む場合は、コンクリート版の厚さが150mmの場合は、表面から 1/2程度の位置に設ける。また、コンクリート版の厚さが200mmの場合は、表面から1/3程度の位置に設ける。
(3) 「標仕」では、舗装の平たん性は特記による。特記がなければ、通行の支障となる水たまりを生じない程度とすると規定している。その確認方法は散水して目視で確認すればよい。
22.5.3 材 料
(1) コンクリートは、「標仕」では6章14節[無筋コンクリート]により、コンクリートの種類、設計基準強度、スランプ及び粗骨材の最大寸法は、特記による。特記がなければ、普通コンクリートとし、表22.5.1によると規定している。
(2) コンクリートの調合は、所要の品質、作業に対するワーカビリティーが得られるように調合するものとする。寒冷期の初期凍害が懸念されるような場合には、早強ポルトランドセメントの使用も検討するとよい。
コンクリート舗装版には、走行車両の輪荷重等により版に曲げ応力が発生する。このため、土木工事においてはコンクリートの曲げ強度4.5N/mm2のコンクリートを指定する場合が多いが、「標仕」22.5.3(1)では、主として建築工事に伴う構内舗装を対象にしているため、特記がなければ、設計基準強度は圧縮強度24N/mm2(歩行者用通路は18N/mm2)と規定している。
(3) プライムコートは、コンクリートの混合水が路盤に浸入するのを防ぐとともに、路盤とコンクリート版との絶縁を目的として使用されるものである。
(4) 注入目地材は、コンクリート版の膨張収縮に順応し、コンクリートによく付着し、水に溶けず、水を通さず、高温時に流れ出さず、かつ、低温時にも衝撃に耐える材料でなければならない。その目地の種類及び間隔は、「標仕」表22.5.3に定められている。その良否はコンクリート版の寿命に大きく影響するので、あらかじめ試験を行って選択するとよい。
(5) 注入目地材は、通常低弾性タイプのものを用いるが、寒冷地やトンネル内等の維持作業が困難な箇所には、常温時にはゴム状の弾性をもち、低温時の引張り量が大きい高弾性タイプのものを用いるとよい。
(6) 溶接金網は、「標仕」ではJIS G 3551(溶接金網及び鉄筋格子)に基づき、鉄線径6mm、網目寸法150mmと規定している。
22.5.4 施 工
(1) コンクリートの打込み準備
(ア) 初期凍害を受けるような場合には、コンクリートの打込みを行ってはならない。ただし、他工種との関係等によって工程上やむを得ずコンクリートを打ち込む場合には、22.5.5(3) に示すような養生対策を講じる必要がある。
(イ) コンクリート版の施工に先立って路盤の状態を点検し、不良箇所を発見した場合は置換えを行うなどの処置をとる。
(ウ) コンクリート舗装は、施工後の補修が困難であり、コンクリートの打込み前に、型枠据付け、舗設の準備、材料品質の確認等、特に入念な施工を行う必要がある。
(2) 型枠の据付け
(ア) 型枠は、天端が計画高さに合致するように据え付ける。型枠の下面と路盤面が密着しない場合は、高いところは削り、低い所はその隙間にモルタル等を薄く敷き込んで型枠を据え付けるとよい。
(イ) 据付けが完了した型枠の内側は、取り外した際にコンクリートが付着しないよう平滑であることが望ましい。平滑でない場合には、鉱油等のはく離剤を薄く一様に塗り付ける。このときはく離剤の塗付けが過多にならないように注意する。
(ウ) 型枠はコンクリートの打込み後、3日以上経過してからコンクリート版を傷めない方法で取り外す。
(3) 敷均し及び締固め
(ア) 雨水の浸透防止、コンクリートの中の水の吸収防止及び作業車による破損防止のため、路盤面にプライムコートを行う。散布量は1.5L/m2(「標仕」22.4.5 (2))程度とし、プライムコート後の作業を容易にするため薄く砂をまく。
(イ) 手作業による敷均しは、型枠の縁、隅、目地部等にスコップがえしをしながら打ち込み、粗骨材の多く集まったようなコンクリートは、良好なコンクリートの中に分散して敷き均すとよい。
(ウ) コンクリートの敷均しは、はじめから横断勾配の高い側の余盛りを多くしておくとよい。
(エ) 敷均し後、直ちに平面バイブレータを用いて、はじめは型枠に接した部分を平行に締め固め、次に、間があき締め固めないところがないよう注意し十分に締め固める。型枠の縁、隅、目地等コンクリートの回りの悪い所はハンドタンパと棒状バイブレータを併用するとよい。
(オ) 締固め作業は、ペーストの上がり具合に注意する。適度にペーストが上がり、これを均しながらタンパのたたき仕上げが楽にできる状態まで十分に締め固める。
(カ) 溶接金網を敷き込む場合は、下層のコンクリートを敷き均して、その上に長手方向に200mm程度重ねね、焼きなまし鉄線で結束しながら敷き込み、速やかに上層のコンクリートを打ち込む。
(4) 表面仕上げ
(ア) 荒仕上げは、簡易フィニッシャ又はテンプレートタンパを使用して施工する。簡易フィニッシャは進行方向に直角にし、左右が同じ方向に進むようにする。また、テンプレートは片方ずつ持ち上げて落下させ、コンクリート表面を十分たたくようにして施工する。
なお、簡易フィニッシャとは、図22.5.3のように I型のビームの上に振動機を乗せた表面仕上げ機で、フィニッシングスクリードとも呼ばれる。
また、テンプレートとは、表面仕上げ用の器具である(図22.5.4参照)。
(イ) 平たん仕上げは、幅1 〜1.5mのフロートを用いて、幅の半分ずつを重ねながら順次縦方向の小波をとり平たんに仕上げる。フロートとは表面仕上げ用の器具で図22.5.5は1人用である。
図22.5.3 簡易フィニッシャ(例)
図22.5.4 テンプレート
図22.5.5 フロート
(ウ) 粗面仕上げは、均ーな粗面が得られるように進行方向と直角に足場を置いて、はけ目を引く。はけについたモルタルは時々水の中で洗い蕗としながら、この作業によってコンクリートの表面が荒れる状態にならないうちに完了させる。
(エ) 表面仕上げのー工法として、コンクリートの打込み直後に、真空マット、真空ポンプ等の装置を用い、硬化に必要のない余剰の水分を吸引除去する真空コンクリート工法がある。この工法は、養生期間の短縮と強度並びに摩耗抵抗性の増大を目的として施工される。また、勾配が大きい路面に滑止め用の円形溝、横溝等を付ける場合にも用いられる。
(5) 目 地
(ア) コンクリート版の目地の種類及び間隔は「標仕」表22.5.3に示されているとおりであり、舗装規模に応じて全体に均等な間隔になるように設定する。
(イ) 横方向は収縮目地として用いられ、工法としては次の3種類がある。
(a) 仮挿入物を、コンクリートの平たん仕上げが終わった後に約40mm程度の深さまで埋め込み、コンクリートの硬化を待ってこの挿入物を除去する方法
(b) コンクリートの平たん仕上げが終わった時点で目地板(アスファルト系又は剛性自着性目地板)を挿入する方法
(c) コンクリート硬化後、速やかにカッターで切断する方法
(ウ) コンクリート版の養生が終わった後、目地をよく清掃してから目地材を注入する。
(エ) 構造物と取合う場合には、伸縮調整目地(構造物付近は後で打ち込む。)とする(「標仕」表22.5.3及び図22.5.1)。
なお、マンホール等がコンクリート版の中にある場合は図22.5.6のように目地を設けるとよい。また、交差部の目地割りは鋭角部をできるだけつくらないようにする。
図22.5.6 マンホールとの目地
(オ) 目地の種類
(a) 収縮目地
コンクリート版の収縮を容易にするための目地をいい、打込み目地又はカッター目地に注入して作る。
(b) 突合せ目地
硬化したコンクリート版に突き合わせて隣り合ったコンクリート版を、舗設することによって作る目地で、収縮目地と同様の働きをする。
(c) 伸縮調整目地
建築物や構造物との取合い部に設ける目地で、「標仕」図22.5.1による。
22.5.5 養 生
(1) 表面仕上げに引き続き、表面を荒らさず養生作業ができる程度にコンクリートが硬化するまで初期養生を行う。
初期養生は水分の蒸発を少なくし、直射日光及び風を避け、にわか雨を防ぐなど の目的であるが、具体的な例として、表面仕上げ面に直接触れないように枠をおき、その上にキャンバスその他の適当な材料で覆って表面の乾燥を防ぐ方法がある。
(2) 初期養生に引き続いて、マット、麻袋等をコンクリート版表面に敷いて散水しながら後期養生を行う。その期問は、現場の条件等により異なるが、作業荷重によりコンクリートが損傷を受けることのない程度の強度が得られるまでとし、施工計画書に記載させる。
(3) コンクリートの初期棟害を防ぐためには、コンクリート温度を2℃以上に保つような養生方法としなければならない。例えば、気温が 0〜2℃の場合はシート等を掛けて保温する程度の簡単な注意でよい。−3〜0℃の場合には、コンクリートの練上がり温度を極力高めるための対策を取るとともに、シート等を掛けて保温する必要がある。−3℃以下の場合にあっては、シート掛け等の保温に加えて、ジェットヒーターや加温マット等による給熱等を行い、所要の温度に保つなどの処置が必要となる。
なお、過去に同様の気温下で初期凍害が生じなかった養生方法があれば、それを採用するとよい。
(4) 夏期は、表面に傷がつかない程度まで硬化した後、濡れたシート、散水、ビニル乳剤皮膜等の湿潤養生を行う。
22.5.6 試 験
(1) 「標仕」では、コンクリート版の厚さは、型枠据付け後、水糸又はレベルにより測定するとし、測定箇所数は500m2ごと及びその端数につき1箇所測定すると規定している。
(2) 舗装の平たん性の確認は、22.4.6(3)を参照する。
22.5.7 透水性コンクリート舗装
「標仕」では、透水性コンクリート舗装に関する規定はないが、現場での適用を勘案し、参考として次に記述する。
(ア) コンクリート版に空隙率の高い透水性コンクリートを使用し、路面の滞水をなくし、歩きやすさを確保する透水性コンクリート舗装がある。
(イ) 透水性コンクリート舗装の構造及び透水性コンクリートの設計基準強度は、コンクリート舗装と同様とすることが多いが、その仕様は特記による。
(ウ) 透水性コンクリート舗装は、主に歩道部で用いられ、その標準的な構成は図 22.5.7に示すとおりである。管理用車両が通行する場合には、透水性コンクリートの版厚100mmについて検討するとよい。
図22.5.7 透水性コンクリート舗装の標準構成