2023年12月18日
18章 塗装工事 4節 合成樹脂調合ペイント塗り(SOP)
4節 合成樹脂調合ペイント塗り(SOP)
18.4.1 一般事項
この節は、建築物内外部の一般部、構造体、建具等の木部及び錆止め塗料を施した鉄鋼面や亜鉛めっき鋼面に対する汎用的な着色塗装仕上げを対象としている。
塗膜の耐アルカリ性が劣るため、コンクリート、モルタル、ボード類等の素地には適用できない。
本節で適用する材料の特徴は、以下のとおりである。
(1) 合成樹脂調合ペイント(JIS K 5516)
JIS K 5516に規定されており、隠ぺい力や耐候性に優れた着色顔料、体質顔料等と、耐水性や耐候性に優れる長油性フタル酸樹脂ワニスとを組み合わせて、空気中の酸素によって乾性油が酸化重合して硬化乾燥する塗料である。一般的に、鉄鋼面や亜鉛めっき鋼面に対する各種錆止めペイントを下塗りとする塗り仕様の中塗りと上塗りに、また、木部塗装における上塗りに用いられる。JISでは、1種は主に建築用、2種は大型鋼構造物用に分類されており、「標仕」では、1種を用いると規定している。
この塗料の特徴は、次のとおりである。
(a) はけ塗り作業に適しており、はけ目やだれが少なく、表面光沢をもつ平滑な仕上り塗膜が得られる。
(b) 酸化重合で硬化するため、乾燥時間は8〜16時間程度と遅く、固形分が多く肉持ち感があり、硬くて汚れが付着しにくい塗膜を形成する。
(c) 硬化した塗膜は黄変しにくく、耐油性や80℃程度までの耐熱性をもつ。
(d) 塗膜の吸水性が比較的大きく、長期間に渡る耐水性は期待できない。
(e) 塗膜の耐アルカリ性が劣るため、コンクリート、モルタル等のアルカリ性を有する素地の塗装には使用できない。
(f) 暗い場所に塗装した場合、塗膜が黄味をおびて変色(黄変)する現象(暗所焼け)を生じることがあるため、白や淡彩色を暗い場所に塗装することは避けることが望ましい。
(2) 木部下塗り用調合ペイント
18.2.2(1)(ア) を参照する。木部合成樹脂調合ペイント塗りの下塗り工程に適用している。
(3) 合成樹脂エマルションパテ
18.2.2(1)(ウ) を参照する。
18.4.2 木部合成樹脂調合ペイント塗り
(1) 材 料
木部下塗り用調合ペイント及び合成樹脂エマルションパテについては、18.4.1(2)及び(3)を参照する。
(2) 塗 装
(ア) 「標仕」では、素地ごしらえ工程4「節止め」にも、「JASS 18 塗装工事」M-304(木部下塗り用調合ペイント)が規定されている。
(イ) 下塗りは、素地に対して塗料を十分なじませる目的で実施する。
(ウ) 合成樹脂エマルションパテは、耐水性が劣り、塗膜のふくれやはがれの原因になるため、浴室や洗面所等の水回りや外部には「耐水形」であっても用いない。
(エ) 塗装方法は、はけ塗り又は吹付け塗りとする。
(オ) 各塗装工程の標準工程間隔時間及び標準最終養生時間を、表18.4.1に示す。
表18.4.1 木部合成樹脂調合ペイント塗りの標準工程間隔時間及び標準最終養生時間
18.4.3 鉄鋼面の合成樹脂調合ペイント塗り
(1) 塗装方法は、はけ塗り又は吹付け塗りとする。
(2) 素地ごしらえ工程3「錆落し」の後は、発錆を防ぐため、標準工程間隔時間以内に次工程に移ることが重要であるが、標準工程間隔時間を超えて上に塗り重ねる場合は、適切な処理を行う。塗料の標準工程間隔時間及び標準最終養生時間を表 18.4.2に示す。また、錆止め塗料塗りに用いる錆止め塗料の標準工程間隔時間及び標準最終養生時間は表18.3.1による。
表18.4.2 鉄鋼面合成樹脂調合ペイント塗りの標準工程間隔時間及び標準最終養生時間
18.4.4 亜鉛めっき鋼面の合成樹脂調合ペイント塗り
(1) 塗装方法は、18.4.3(1)による。
(2) 塗料の標準工程間隔時間及び標準最終養生時間は、表18.4.2による。また、錆止め塗料塗りに用いる錆止め塗料の標準工程間隔時間及び標準最終養生時間は表18.3.2による。
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/12198092
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。