UA-42523422-5 UA-42523422-5

1級建築施工管理技士
実地 過去問と解説


令和二年度
詳細

 問題1 経験記述問題
 問題2 施工(仮設)計画
 問題3 躯体工事(記述・正誤)
 問題4 仕上工事(記述・正誤)
 問題5 施工管理
 問題6 法  規


令和元年度
詳細

 問題1 経験記述問題
 問題2 施工(仮設)計画
 問題3 躯体工事(記述・正誤)
 問題4 仕上工事(記述・正誤)
 問題5 施工管理
 問題6 法  規


平成30年度
詳細

 問題1 経験記述問題
 問題2 施工(仮設)計画
 問題3 躯体工事(記述・正誤)
 問題4 仕上工事(記述・正誤)
 問題5 施工管理
 問題6 法  規


平成29年度
詳細

 問題1 経験記述問題
 問題2 施工(仮設)計画
 問題3 躯体工事(記述・正誤)
 問題4 仕上工事(記述・正誤)
 問題5 施工管理
 問題6 法  規


平成28年度
詳細

 問題1 経験記述問題
 問題2 施工(仮設)計画
 問題3 躯体工事(記述・正誤)
 問題4 仕上工事(記述・正誤)
 問題5 施工管理
 問題6 法  規


平成27年度
詳細

 問題1 経験記述問題
 問題2 施工(仮設)計画
 問題3 躯体工事(記述・正誤)
 問題4 仕上工事(記述・正誤)
 問題5 施工管理
 問題6 法  規


平成26年度
詳細

 問題1 経験記述問題
 問題2 施工(仮設)計画
 問題3 躯体工事(記述・正誤)
 問題4 仕上工事(記述・正誤)
 問題5 施工管理
 問題6 法  規


平成25年度
詳細

 問題1 経験記述問題
 問題2 施工(仮設)計画
 問題3 躯体工事(記述・正誤)
 問題4 仕上工事(記述・正誤)
 問題5 施工管理
 問題6 法  規


平成24年度
詳細

 問題1 経験記述問題
 問題2 施工(仮設)計画
 問題3 躯体工事(記述・正誤)
 問題4 仕上工事(記述・正誤)
 問題5 施工管理
 問題6 法  規


平成23年度
詳細

 問題1 経験記述問題
 問題2 施工(仮設)計画
 問題3 躯体工事(記述・正誤)
 問題4 仕上工事(記述・正誤)
 問題5 施工管理
 問題6 法  規


1級建築施工管理技士
学科 過去問と解説


令和二年度
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]
5. [ No.46 ] 〜[ No.50 ]
【 午後 】
6. [ No.51 ] 〜[ No.70 ]
7. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]


令和元年度
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]
5. [ No.46 ] 〜[ No.50 ]

【 午後 】
6. [ No.51 ] 〜[ No.70 ]
7. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]


平成30年度
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]
5. [ No.46 ] 〜[ No.50 ]

【 午後 】
6. [ No.51 ] 〜[ No.70 ]
7. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]


平成29年度
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]
5. [ No.46 ] 〜[ No.50 ]

【 午後 】
6. [ No.51 ] 〜[ No.70 ]
7. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]


平成28年度
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]

【 午後 】
5. [ No.46 ] 〜[ No.70 ]
6. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]


平成27年度
詳細

【 午前 】      
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]

【 午後 】
5. [ No.46 ] 〜[ No.70 ]
6. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]


平成26年度
詳細

【 午前 】      
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]

【 午後 】
5. [ No.46 ] 〜[ No.70 ]
6. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]


平成25年度
詳細

【 午前 】      
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]

【 午後 】
5. [ No.46 ] 〜[ No.70 ]
6. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]


平成24年度
詳細

【 午前 】      
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]

【 午後 】
5. [ No.46 ] 〜[ No.70 ]
6. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]


平成23年度
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]

【 午後 】
5. [ No.46 ] 〜[ No.70 ]
6. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]

1級建築施工管理技士試験
過去問題

令和02年 学科試験
令和01年 学科試験
平成30年 学科試験
平成29年 学科試験
平成28年 学科試験

令和02年 実地試験
令和01年 実地試験
平成30年 実地試験(臨時)
平成30年 実地試験
平成29年 実地試験
(建設業振興基金)

1級建築施工管理技士
合格基準と統計データ


令和02年度
1級(学科)
2級(学科後期)
2級(実地)

令和01年度
1級(学科)
1級(実地)
2級(学科前期)
2級(学科後期)
2級(実地)

平成30年度
1級(学科)
1級(実地)

平成29年度
1級(学科)
1級(実地)
建築工事監理指針
6章 コンクリート工事
01節 一般事項
02節 種類及び品質
03節 材料及び調合
04節 発注、製造及び運搬
05節 普通コンの品質管理
06節 現場内運搬並びに
   打込み及び締固め

07節 養  生
08節 型  枠
適用範囲
一般事項
材  料
型枠の加工及び組立
型枠の存置期間及び取外し
型枠締付け金物の頭処理
09節 試  験
適用範囲
フレッシュコンクリートの試験
コンクリートの強度試験の総則
調合管理強度の管理試験
構造体コンクリート強度の推定試験
仕上り及びかぶり厚さの確認
10節 軽量コンクリート
11節 寒中コンクリート
12節 暑中コンクリート
13節 マスコンクリート
14節 無筋コンクリート
15節 流動化コンクリート
 [ 参考文献 ]
7章 鉄骨工事
01節  一般事項
02節  材  料
03節  工作一般
04節  高力ボルト接合
05節  普通ボルト接合
06節  溶接接合
07節  スタッド,デッキプレート溶接
08節  錆止め塗装
09節  耐火被覆
10節  工事現場施工
11節  軽量形鋼構造
12節  溶融亜鉛めっき工法
13節  鉄骨工事の精度
14節  資  料
★鉄骨特集★

構造図の見方
(日本建築構造技術者協議会)

鉄骨工事 工場製作
材料
めっきFAQ
(日本溶融亜鉛鍍金協会)

★鉄骨工事特集


鉄骨用語集
(日鉄エンジニアリング)

ここに注意!
鉄骨工事管理のポイント

工場製作編及び現場施工編
((一社) 日本建設業連合会)

スタッド溶接の施工と管理 技術資料
(日本スタッド工業(株))

10章 石工事
1節 一般事項
2節 材料 石材
    取付金物
  その他の材料
3節 外壁湿式工法
4節 内壁空積工法
5節 乾式工法
6節 床および階段の石張り
7節 特殊部位の石張り

石材種類の分類
いしらべ
ADVAN
設備工事のポイント
(若手向け)

【 着工時 】
1-1 設備工事実施施工計画
1-2 施工図・機器製作図等 作成計画
1-3 電力、電話,上下水道,ガスガス引込計画
1-4 主要機器搬入揚重計画
1-5 設備工事実施施工計画
1-6 総合プロット図の作成
1-7 鉄骨スリーブ、取付ピースの検討
1-8 RC躯体スリーブの検討
1-9 配管の腐食対策
1-10 設備関係官公署手続一覧表
1-11 工事区分表

【 地業・土工事 】
2-1 接地工事
2-2 土間配管

【 地下工事 】
3-1 地中外壁貫通
3-2 機械室・電気室工事
3-3 ピットの検討

【 躯体工事 】
4-1 打込電線管
4-2 デッキスラブのコンクリート打込工事
4-3 防火・防煙区画貫通処理
4-4 防水層貫通処理
4-5 設備機器の耐震対策

【 屋上工事 】
5-1 屋上設備機器設置
5-2 屋上配管・配線・ダクト工事
5-3 防振対策検討
5-4 屋上ハト小屋

【 下地・間仕切り 】
6-1 天井割付と設備器具
6-2 天井内設備工事
6-3 間仕切内配管
6-4 天井内機器取付
6-5 遮音壁貫通処理
6-6 ALCパネル貫通処理
6-7 換気・エアバランス
6-8 性能検査実施要領(工程内検査(配管))

【 中間検査 】
7-1 社内中間検査

【 受 電 】
8-1 受電に向けて
【 内 装 】
9-1 電気・空調機器取付(仕上材との取合い)
9-2 衛生器具取付(仕上材との取合い)

【 外 装 】
10-1 扉・ガラリ関連工事
10-2 外壁面設備器具取付け(1)
10-3 外壁面設備器具取付け(2)
10-4 EVオーバーヘッドの感知器用点検口の防水対策
10-5 保温・塗装工事

【 外 構 】
11-1 外構配管設備工事検討
11-2 外構設置機器検討

【 竣工前 】
12-1 試運転調整
12-2 建築確認完了検査
12-3 消防完了検査
12-4 総合連動試験
12-5 性能検査実施要項(竣工編)

【 引渡し 】
13-1 建物設備取扱説明・保守管理説明
13-2 完成図・保証書
13-3 竣工図書、備品、メーター読合せ

【 その他 】
14-1 社内竣工検査「関係法令、不具合予防」の留意点
★施工計画書雛型
施工計画書の雛型データ
(エクセル形式)
((一社)日本建設業連合会)
公共標仕 標準仕様書
建築工事編
 平成31年度版

公共建築木造工事標準仕様書
木造工事
 平成31年版
建設物価建築費指数
★建築費指数 2020 .12
Computational Design

グラマジオ・コーラー研究室
/ETHZ

自律システム研究所

ICD/Univ. Stuttgart
(Institute of C.D.)

CAAD/ETHZ

★☆BIM活用ツール☆★

ArchiCad編

ARCHICAD 21ではじめる BIM設計入門 [企画設計編]

ARCHICAD 22ではじめるBIM設計入門[基本・実施設計編]

ARCHICADでつくるBIM施工図入門

コンクリート工事に関するJIS規格

JIS検索
(日本工業標準調査会)

【 種類・強度・品質 】
JIS A 5308に適合する
レディミクストコンクリートの種別
> JIS A 5308  
 レディーミクストコンクリート

【 コンクリートの材料 】
■セメント
> JIS R 5210  
 ポルトランドセメント
> JIS R 5211  
 高炉セメント
> JIS R 5212  
 シリカセメント
> JIS R 5213  
 フライアッシュセメント
> JIS R 5214  
 エコセメント

−−−−−−−−−−−−
■骨材
> JIS A 5005  
 コンクリート用砕石及び砕砂
> JIS A 5011-1  
 コンクリート用スラグ骨材
 −第 1 部:高炉スラグ骨材

> JIS A 5011-2  
 コンクリート用スラグ骨材
 −第 2 部:フェロニッケルスラグ骨材

> JIS A 5011-3  
 コンクリート用スラグ骨材
 −第 3 部:銅スラグ骨材

> JIS A 5011-4  
 コンクリート用スラグ骨材
 −第 4 部:電気炉酸化スラグ骨材

> JIS A 5021  
 コンクリート用再生骨材 H
> JIS A 5022  
 再生骨材Mを用いたコンクリート
> JIS A 5023  
 再生骨材Lを用いたコンクリート
> JIS A 5031  
 一般廃棄物,下水汚泥又は
 それらの焼却灰を溶融固化した
 コンクリート用溶融スラグ骨材


――――――――――――
■混和剤
> JIS A 6204  
 コンクリート用化学混和剤
> JIS A 6201  
 コンクリート用フライアッシュ
> JIS A 6202
  コンクリート用膨張材
> JIS A 6203  
 セメント混和用
 ポリマーディスパージョン及び
 再乳化形粉末樹脂



鉄骨工事に関するJIS規格 
【 溶接材料 】
> JIS B 1198
 頭付きスタッド
【 デッキプレート 】
> JIS G 3302 Z08 フェローデッキ
 JIS G3302
 溶融亜鉛めっき鋼板及び綱帯

【 錆止め塗装 】
> JIS K 5674
鉛・クロムフリーさび止めペイント
> JIS H 8641 溶融亜鉛めっき



建築工事標準仕様書・同解説 5
―JASS 5 2015 鉄筋コンクリート工事




建築工事標準仕様書JASS〈6〉鉄骨工事

品質マネジメントに関するJIS 規格
> JIS Q 9000
 品質マネジメントシステム
 − 基本及び用語
 


> JIS Q 14001
 環境マネジメントシステム
 −要求事項及び利用の手引


リンク(その他)

> 気象庁
 南海トラフ地震に関連する情報


> NHK そなえる防災
いつくる南海トラフ【巨大地震】


> (社)地震予兆研究センター

> 高感度地震観測網(Hi-net)

> 地震調査研究推進本部

> 木村政昭のHP

> 東海大学 長尾教授

> 東海大学地震予知研究センター

> 第三管区津波防災情報図

> 浸水マップ

> 栃木の研究者

> 大気中ラドン濃度

> 地震前兆ラボ

> 揺れやすい地盤診断

> SDGs とは?
NEWSチャンネル
ディテール



納まりのしくみを徹底解剖 構造ディテール図集




木造・S造・RC造 ディテール集 (エクスナレッジムック)




名作住宅から学ぶ 窓廻りディテール図集
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2020年10月23日

第7章 鉄骨工事 01 一般事項

第7章 鉄骨工事


01節 一般事項

7.1.1 適用範囲


(a) 「標仕」で規定している「構造上主要な部材に鋼材を用いる工事」とは、建物を鉄骨構造とするもののほか、鉄骨造の玄関ひさし、車庫等を想定しており、既製の鋼製階段、水槽の架台等は対象外と考えてよい。

(b) 工事の流れを図7.1.1 に、作業の流れを図7.1.2 に示す。

(c) 施工計画書の記載事項は、7.1.5 を参照されたい。

(d) 構造上主要な部材にステンレス鋼を使用する場合は特記による。その際には、(-社) 日本鋼構造協会「ステンレス建築構造設計基準・同解説」を参照されたい。

図7.1.1鉄骨工事の流れ.jpg
図7.1.1 鉄骨工事の流れ




7.1.2 基本要求品質

(a) 鉄骨工事で使用する鋼材は,建物の構造耐力上必要な材質並びに断面形状及び寸法が設計図内で指定される。

基本要求品質としては、指定された材料が正しく使用されていることを求めているので、材質や寸法等を含めて、これを証明できるようにしておく必要がある。

板材等を切断して鉄骨部材を製作する場合は、一般に、鋼材は製造工場(メーカー)又は商社等から切板工場(シャーリング工場)等に出荷され、ここで必要な断面形状に切断され、更に、鉄骨製作工場(ファプリケーター等)で加工・組立が行われる。この過程において、鋼材の大半を物件ごとにロール注文する場合には問題になることは少ないが、鋼材問屋(特約店)を通して市中購入する場合には、鋼材は順次小口に細分され、多様なユーザー等にわたっていくことがある。この時、鋼材そのものと、その規格品証明書(ミルシート) が対になって動いていないことがある。特に鋼材等を部品に切断した場合、その切断された部品とミルシートの対応ができていないことがある。切断する前の鋼材の製品番号等とミルシートが一致していることを前提とし、ミルシートの内容をリスト化して鋼材の品質証明を行う方法の一例として(-社)日本鋼構造協会・建築鉄骨品質管理機構から、2009年12月に「建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン」が提案されている。すなわち、流通段階ではミルシートの内容をリスト化した「原品証明書」で品質証明を行い、これに基づいて鉄骨製作工場の材料管理買任者(鉄骨製作管理技術者資格保有者が望ましい。)が「鉄骨工事使用鋼材等報告書」を作成・発行する。施工者側は、鉄骨工事管理買任者がこの報告書で品質を確認する。更に、これを工事監理者に提出して、使用鋼材等の品質を確認するシステムである(7.14.2参照)。

なお、SN材の識別については、7.2.1(b)(9)を参照されたい。


(b)「鉄骨は、所定の形状及び寸法を有し、所定の位置に架構されていること」とは、鉄骨の部材が設計図書あるいは工作図のとおりに製作され、工事現場において架構されていることを要求したものである。この場合の鉄骨の製作精度及び建方精度は、建物等の規模や構造的重要度等を勘案して特記することとしているので、特記事項を満たしていること、また、特記のない場合は、(ー社)日本建築学会「JASS 6 鉄骨工事」付則6[鉄骨精度検査規準]によることとしているので、これに適合していることが条件となる。


(c)「鉄骨は、構造耐力、耐久性、耐火性等に対する有害な欠陥がなく、接合部及び定着部は、作用する力を伝逹できるものであること」とは、(b)が仕上りの状態に関する要求事項であるのに対し、鉄骨の製品が有すべき性能に関する要求である。

構造耐力、耐久性、耐火性等に対する有害な欠陥とは、例えば、溶接割れ等、部材の加工・組立時の欠陥のほかに、運搬及び建方中の損傷や建方後の補助部材の溶接等による損傷も含まれるので、有害な欠陥を生じさせないような施工の手順や品質基準、養生方法等を品質計両で明確にし、これによって施工を進める。また、有害な欠陥を発生するおそれのある場合は、その処置や補修方法についてもあらかじめ定めておくことが望ましい。

接合部や定着部の力の伝達では、構造設計上必要な断面寸法等が指定されている。しかし、例えば、高力ボルト摩擦接合の場合では、ボルトの種類や数量等は指定されたものであっても、摩擦面の処理やボルトの保管方法等が適切でなかった場合、あるいは、溶接部では、溶接の方法や施工条件、母材の材質と溶接材料の種類との組合せ等が適切でなかったりすると、作用する力を伝達することができなくなる。したがって、これらのことについても品質計画に適切な施工方法と管理方法について定め、更に、これらに従って適切に管理が行われたことの分かる資料があれば、要求品質を満たしているものといえる。


鉄骨工事1-2章図表(現場施工).jpg
----------------------------------------------------------------------
鉄骨工事1-2章図表(工場製作).jpg
図7.1.2 鉄骨工事の作業の流れ




7.1.3 鉄骨製作工場

(a)鉄骨製作工場は,設計図書に特記された加工能力等及び施工管理技術者の適用に適合するものとする。これらの特記がない場合は、受注者等が選定した適切な鉄骨製作工場について、次の事項を記載した文書等から加工能力等を確認すればよい。

(1) 工事経歴
(2) 鉄骨製作工場の規模,契約電力及び機械設備
(3) 生産能力(月産能力及び加工能力の余裕)
(4) 他工事の製品の出来ばえ
(5) 鉄骨製作業者の資格基準
(6) 鉄骨製作管理技術者、溶接施工管理技術者、非破壊検査技術者、溶接技能者の資格・人数
(7) 品質管理システム等
(8) その他


(b)「指定性能評価機関」による工場認定制度とは、所定の要件を整えて国土交通大臣から指定された民間機関が、工場の品質管理体制、規格類の整備状況等を評価し、その評価を基に国土交通大臣が認定を行うものである。

指定性能評価機関には、鞄本鉄骨評価センター及び椛S国鉄骨評価機構がある。どちらも評価基準は共通であり、その内容は表 7.1.1 及び 2のとおりである。



表7.1.1 工場認定に関わる評価項目
表7.1.1工場認定に関わる評価項目.jpg



表7.1.2 工場認定のグレード別の適用範囲と別記事項(その1)
表7.1.2工場認定のグレード別の適用範囲と別記事項(その1).jpg


表7.1.2 工場認定のグレード別の適用範囲と別記事項(その2)
表7.1.2工場認定のグレード別の適用範囲と別記事項(その2).jpg


表7.1.2 工場認定のグレード別の適用範囲と別記事項(その3)
表7.1.2工場認定のグレード別の適用範囲と別記事項(その3).jpg


表7.1.2 工場認定のグレード別の適用範囲と別記事項(その4)
表7.1.2工場認定のグレード別の適用範囲と別記事項(その4).jpg


表7.1.2 工場認定のグレード別の適用範囲と別記事項(その5)
表7.1.2工場認定のグレード別の適用範囲と別記事項(その5).jpg




7.1.4 施工管理技術者

(a)「標仕」7.1.3 の規定により「施工管理技術者を適用する」旨の特記がある場合には、次の事項を記載した施工計画書を提出させ、当該製作工場に、監督職員が「標仕」7.1.4(a)で規定する能力があると認める者が常駐することを確認する必要がある。

なお、(3)又は(4)の資格に該当するものの例としては、(b)及び(c)(4)に示すものがある。

(1) 工事実績
(2) 鉄骨製作工場での立場(役職等)
(3) 資格証明
(4) ほかの有資格
(5) その他


(b) 平成 9年版「共仕」で規定されていた鉄骨製作管理技術者は、「建築設計等関連業務に関する知識及び技術の審査・証明事業認定規程」に基づき認定された資格であったが、審査・証明事業の廃止に伴い民間資格となった。しかし、この有資格者は、「標仕」7.1.4(a)で規定する能力のある者の一例と見なすことができる。

なお、「鉄骨製作管理技術者」は、(-社)鉄骨建設業協会及び(-社)全国鐵構工業協会の 2団体で設立した「鉄骨製作管理技術者登録機構」により評価されている。


(c)「標仕」では規定されていないが、(-社)日本鋼構造協会の「建築鉄骨品質管理機構」では、鉄骨造建築物の安全性と品質の確保を目的として、平成 10年度から「建築鉄骨技術者制度」を実施し、現在、次の 4資格について技術者の認定登録を行っている。平成 25年 4月 1日 現在の認定登録状況を表7.1.3 に示す。

(1)建築高力ボルト接合管理技術者

建築鉄骨の高カボルト接合が適切に実施されるよう、作業者を指導し、工事の監理・管理・検査をする技術者


(2)建築鉄骨超音波検査技術者

建築鉄骨の溶接部の施工の良否を判断する超音波探傷検査(UT)技術者


(3)建築鉄骨製品検査技術者

建築鉄骨の製作過程及び製作後に、製品の良否を判定する検査技術者


(4)鉄骨工事管理責任者

鉄骨工事が適正に施工されるよう、施工計画から工事の完了に至るまでの品質管理・施工管理等の全般を管理する技術者


表 7.1.3 技術者の認定登録状況(平成 25年 4月1日現在)
表7.1.3技術者の認定登録状況.jpg





7.1.5 品質管理

(a) 鉄骨工事の品質管理とは、要求される鉄骨の品質をつくり出すために、設計から製作・建方までの各工程で品質をつくり込む一連の活動であり、この品質管理の確実な実施によって品質保証を可能にする。


(b) 施工品質を保証する受注者等・鉄骨製作業者の品質管理は、次の 4段階に大きく分けられる。

(1) 設計図書の把握と疑義事項の解明

(2) 要求された品質を実現するための計画作成

(3) 計画どおりの継続的な実施

(4) 施工品質が要求された品質を確保していることの証明


(c) 受注者等は、鉄骨製作業者の品質管理システムを十分に理解し、双方の合意に基づき、品質管理実施要領を計画する。また、計画の実施においても、協力して効果的な体制をつくることが重要である。


(d) 受注者等及び鉄骨製作業者が、要求品質を確保するため、保有すべき機能は次のとおりである。

(1) 品質管理方針を提示する機能

(2) 設計図料の内容を確認し、製作・施工の目標品質を設定する機能

(3) 製作・施工の目標品質を実現するための計画を行う機能

(4) 計画に従って品質をつくり込む機能

(5) 施工品質を確認・評価する機能

(6) 品質評価情報に基づき品質改善・生産性向上を行う機能

(7) 標準化を促進する機能

(8) 不具合の再発防止と予防する機能

(9) 品質の証明に必要な記録を残す機能

(10) 鋼材の製造工場又は商社等から最終の鉄骨製作工場までの流通経路を証明する機能


(e) 受注者等及び鉄骨製作業者が工場製作及び工事税場施工に先立ち作成する施工計画書・工場製作要領書・工事現場施工要領書の記載事項は、おおむね次のとおりである。

なお、☆を考慮しながら品質計画を作成する。

(1) 施工計画書:(鉄骨工事全体の品質管理要領を含む)

@ 総則及び工事概要
A 実施工程表
B 受注者等の管理組織、工事担当及び協力業者
C 仮設計画
D 建方計画
E 接合計画
F 他工事との関連
G 安全管理
☆H 作業のフロー、管理の項目・水準・方法、品質管理体制、管理責任者、品質記録文書の書式とその監理方法


(2)工場製作要領書(工場製作範囲の品質管理要領を含む)

@ 総則及び工事概要
A 鉄骨製作業者の管理組織、工事担当(施工管理技術者・溶接施工管理技術者・検査技術者の氏名、所持資格等)
B 溶接技能者の氏名、所持資格等
C 製造設備の能力(製作関連の機械設備、配置図等)
D 工程表(工作図・材料調達・製作・製品検査・搬出等の時期)
☆E 使用材科の名称、規格、製造所及び使用箇所
☆F 工作・溶接(加工・組立・溶接の製作手順、開先形状、溶接工法等 )
☆G 品質管理・検査計画( 管理・検査項目、方法、管理値、不具合処置方法等)
☆H 塗装計画(材料・エ法・塗装範囲等)
I 製品の輸送計画(輸送方法・養生方法・安全対策等)


(3)工事現場施工要領書(工事現場施工範囲の品質管理要領を含む)

@ 総則及び工事概要
A 工程表(アンカーボルトの設置・建方・高力ボルト締付け・溶接作業・完成検査等の時期)
B 作業の管理組織及ぴ協力業者、工事担当(施工管理技術者・溶接施工管理技術者・非破壊検査技術者・溶接技能者の氏名、所持資格等)
☆C アンカーボルトの保持及び埋込み工法と検査方法
☆D 定着の工法
☆E 建方作業順序と建入れ直し及び建入れ検査方法並びに不具合処理方法
☆F 高力ボルト接合作業手順と締付け後の検在方法並びに不合格処理方法
☆G 溶接接合作業手順と精度・外観・内部検査方法並びに不合格処理方法
☆H 超音波探協試験の検査機関及ぴその管理組織

(f) 提出された施工計画書・工場製作要領書・工事現場施工要領書から、品質管理実施要領及び保有する品質管理機能が適切であるかを判断する。

(g) 工場製作及び工事現場施工における検査の項目・方法・管理値等の基準は、特記がなければ、JASS 6 付則6[鉄骨精度検査規準]を満足しなければならない。検査の項目・方法・管理値等を満足することが不可能な場合は、満足することができない原因を明確にし、問題の原因を取り除く処置方法や、品質を損なわない対処方法を受注者等と協議して確定する。

(h) 鉄骨製作業者と受注者等が実施する検査内容は、次のとおりである。

(1) 鉄骨製作業者の社内検査

 工場製作要領書・工事現場施工要領書に記載した計画に基づき、工場製作・工事現場施工の各工程と完了時に自主的に社内検査を実施し、検査の結果を記録して、受注者等に報告する。

(2) 受注者等の中間検査・受入検査

鉄骨製作業者の社内検査結果の報告を受け、検査成績書の内容確認と抜取りによる製品と施工結果の現物検査を実施する受入検査を行い合格したものを受け入れる。受入検査の結果を記録し監督職員に提出する。

なお.最終の製品となってしまってからでは検査できない項目については、各製作工程途中で検査が終了していなくてはならない。このような検査を中間検査といい、社内検査、中間検査、受入検査の3種類の検査で製品の品質が確保される。


(i) 監督職員の検査については、受注者等が作成した受人検査成績書の内容を確認し、適否を判断することが原則であるが、必要に応じて受注者等の受入検査時に実際の製品に対して直接検査を行う。


(j) 鉄骨工事の品質管理を合理的に行うためには、設計者、受注者等、鉄骨製作工場間の情報の伝逹が、確実に行われることが不可欠である。そのような品質管理の具体的あり方を述べたものとして、「国土交通省総合技術開発プロジェクト「建設事業の品質管理体系に関する技術開発」報告者 建築分野編」(平成13年 3月)の第3章[鉄骨造建築物の品質管理]がある。




7.1.6 環境問題への配慮

(a) 鉄骨工事と環境問題の関わりとしては、次の 3つに分けられる。

(1) 地球環境への配慮

(2) 地域環境への配慮

(3) 室内環境への配慮

中でも、地球環境問題については、気候変動抑止に向けた低炭素社会実現の動きが、一層加速しつつある。特に高炉鋼材は1t製造するのに 約 2tのCO2 が排出されることが知られており天然資源枯渇はもとより、CO2排出削減の観点からもその利用に当たっては充分な配慮が必要である。


(b) 地球環境問題の関わりとして留意すべき事項には、次のようなものが挙げられる。

(1) 電炉鋼材の活用等リサイクルの促進

(2) 鋼材のリュースの促進

(3) 鉄骨製作段階における加工スクラップ等の削減

(4) 建物の長寿命化の雅進

電炉鋼材の活用は、天然資源の枯渇抑止の観点からはもとより、CO2 排出量が高炉鋼材の約1/4 程度に削減されることからも、有用である。従来、電炉鋼材は、不純物の混入により、溶接性・破壊靭性等が高炉材に比べ劣ることがいわれてきた。しかし、近年においては、不純物の除去技術の進歩により、性能において高炉材とそん色のない製品が供給されるようになってきており、建築構造用の規格であるSN規格を満足する製品も多く出回っている。

ただし、JISでは成分量の規定のない元素で、溶接性、破壊靱性に悪影評を及ぼす元素が一部存在するので注意が必要である。溶接性、破壊靭性等において特に通常より高い性能を期待する部位等においては、規格とは別に当該元素の含有量、目標靭性値等を指定することが望ましい。

建物の長寿命化推進もまた、天然資源の枯渇抑止、CO2排出削減の観点から重要である。最近、構造躯体等の長寿命化を意図して、ステンレス鋼材等の活用が提案される場合がある。しかし、例えばステンレス鋼材と普通鋼材の混用は、場合によっては電食等の新たな問題を引き起こすおそれもあり、十分な注意が必要である。


(c) 地域環境問題の関わりとして留意すべき事項は、工事中の近隣への錆の飛散等の問題が挙げられる。


(d) 室内環境問題としてはシックハウス・シックビル問題があるが、それと鉄骨工事の関連については、塗装の問題が挙げられる。これについての詳細は、18章、19章等を参照されたい。

通常、塗装の仕様については、設計段階で十分に配慮がなされており、その指示に従って施工が行われれば比較的問題は少ないと思われるが、まれに工事現場において安易に仕様変更が行われ、結果として問題が生じることがあるので注慈する。

その他の室内環境問題としては、耐火被覆の問題が挙げられる。従来、耐火被覆には主成分として長くアスベスト(石綿)が使用されてきたが、発がん性等の理由からその危険性が指摘されていた。

アスベストを原材料とする吹付け耐火被覆材については大気汚染防止法により、解体工事の届出、マニュアル遵守等が義務付けられている。また、平成 18年 9月に改正された労働安全衛生法施行令により石綿等の製造等が全面禁止とされ、石綿障害予防規則により更なる石綿暴露防止対策の充実が図られた。平成18年 10月には建築基準法が改正され、石綿の飛散のおそれのある建築材料の使用が規制された。

「標仕」でも平成19年版の改定で、工事に使用する材料はアスベストを含有しないものとされている。

今日では、耐火被覆材の脱アスベスト化が達成されている。



2020年08月31日

鉄骨工事 特集 工場製作及び現場施工

1級建築施工管理技士 鉄骨工事特集


【 工場製作 】

 1.材料@材料A材料B
 2.工作@工作A


【 工事現場施工 】

 1.工事現場溶接@AB
 2.デッキ・スタッド@A



2020年08月30日

鉄骨工事 工場製作1 材料@

鉄骨工事
工業製作 材料@


【 鋼材規格 】

各鋼材記号の数字が意味するもの

鋼材や鉄筋には、指定建築材料としてJIS規格適合品および大臣認定品がある。

下表に示すように、JIS規格の鋼材の呼称の数字(SS400の400等)は引張強さの下限値を表わす。一方、鉄筋とほとんどの大臣認定鋼材は、呼称の数字が降伏点又は0.2%耐力※の下限値の数値が使用されている。そのため、強度の高低が数字の大小から判断しづらい面がある。

鋼材の規格.jpg

鋼材の応力-ひずみ曲線.jpg



高張力鋼の応力-ひずみ曲線.jpg

※引張試験において、規定された伸びを生じるときの試験力を平行部の原断面積で除した値。
降伏点が明確でない材料では、降伏点の代わりに耐力が用いられる。JIS規格では、特に規定のない場合には、塑性伸びの値を0.2%としている。耐力の測定は、JIS規格では、次のいずれかの方法による(詳細は略)。

a)耐力(オフセット法)
b)耐力(永久伸び法)
c)耐力(全伸び法)


【 平鋼と厚板 】

平鋼と厚板の違い

平鋼は、長方形断面の4面を熱間圧延して製造されるもので、このうち幅が180mmを超えるものを広幅平鋼という。平鋼には、丸コバ平鋼,テーパー平鋼,開先平鋼などの様々な異形平鋼もある。


厚板は、板厚6mm以上の鋼板をいい、2面を圧延した後、長さを切断(場合によっては幅も切断)して出荷する。

板状鋼材の分類.jpg

平鋼の圧延.jpg
平鋼の圧延


平鋼製品の例.jpg
平鋼製品の例


(参考) JIS規格に規定されている平鋼の定義を以下に示めす。

1.JIS G 0204 「鉄鋼用語(鋼製品の分類及び定義)」より
 @長方形の断面をした棒鋼。
 A製品は、4面とも圧延される。
 B一般に、厚さは5mm以上、幅は500mmを超えない。
 C熱間圧延された平鋼をとくに「熱間圧延平鋼」と呼ぶ。冷間圧延された平鋼を「冷間圧延平鋼」と呼ぶ。


2.JIS G 3194 「熱間圧延平鋼の形状、寸法、質量及びその許容差」より
平鋼は、厚さ100mm以下、幅1250mm以下の寸法のものをいう。


出典:(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018



【 BCP(冷間プレス成形角形鋼管)】

BCP原板のミルシート確認の必要性


通常施工者は、工事監理者の指定のない限り原板ミルシートの確認を行わない場合が多い。

これは、BCPが大臣認定品であり、原板についても規定を満足したものが使われている事による。

原板に使用される材料の規定は、以下に示すように定義(「一般社団法人日本鉄鋼連盟」)されている。

「BCP235,325は冷間プレス成形設備によって、JIS G 3136に規定される建築構造用圧延鋼材に、N(窒素)の上限規定を付加した規格を満足する鋼帯または鋼板を角形断面または一対の溝形断面に成形し、溶接継目部を半自動もしくは自動アーク溶接して製造される直及びテーパー形の角形鋼管」

BCPの種類の記号.jpg


下記に示す内容が、特記仕様書に示されている場合など必要に応じて、原材料のミルシートを入手の上、仕様を満足しているか確認する。


・主要構造部の鋼材に対して高炉材が指定されている場合

・電炉材を主要構造部に使用するときの成分や機械的性質の確認規定がある場合


参考として、建築構造用冷間プレス成形角形鋼管(BCP235、BCP325)の日本鉄鋼連盟製品規定の「13.報告」を以下に示す。


「検査及び試験に合格した角形鋼管に対して、検査証明書を発行する。報告内容は、製造履歴※1が確認できる識別番号※2の他、以下の内容を含むものとする。

(1)受注内容
  種類の記号、注文寸法、注文数量

(2)鋼帯または鋼板の化学成分
  表2に規定されるすべての元素、Ceq又はPCMと、
  それに係る元素(表2は出典を参照)
  表2の備考1によった場合の添加元素(表2は出典を参照)

(3)引張試験結果
  平板部分の降伏点又は耐力、引張強さ、降伏比、伸び

(4)衝撃試験結果
  平板部分の0℃における吸収エネルギー

(5)外観、寸法検査結果

上記識別番号を記載する目的は、必要な場合に素材製造業者が発行する鋼材検査証明書との照合を可能とするためである。

※1 製造履歴の範囲は、溶鋼から冷間成形角形鋼管メーカー出荷時点の製品までとする。

※2 識別番号は、鋼帯又は鋼板の製造業者が発行する鋼材検査証明書(ミルシート)番号、製鋼番号、鋼材の製造番号、及び冷間成形角形鋼管の製造番号、等である。」


注文者である鉄骨製作工場には、成績表や品質証明書が、製造会社から提出されているで、この中に記されている製品番号(厚板)から、原板メーカーを確認し原板のミルシートを取り寄せる事が可能である。


出典:(一社)日本鉄鋼連盟製品規定MDCR ‪003-2017‬ 建築構造用冷間プレス成形角形鋼管




【 BCRとBCP 】

BCR(ロール成形角形鋼管)とBCP(プレス成形角形鋼管)の違い

BCR(ロール成形角形鋼管)は、鋼帯を一度、円形に成形し、シーム部を溶接したものを角形に成形する。よって、平坦部も冷間加工されている。

BCP(プレス成形角形鋼管)は、厚板の鋼管の角になる部分をプレス成形し、シーム部を溶接する。

両者は、コーナー部の曲率半径も異なる。更に告示により設計法も異なっているので、同じ径・板厚であっても取り替えて使用することは出来ない。機械的な性質については、下表を参照。

BCR成形.jpg

BCR.jpg
--------------------------------------------------
BCP成形.jpg

BCP.jpg

BCPとBCRの機械的性質の比較表.png


【 BCP325T 】

BCP325Tの「T」の意味と、BCP325との違い


冷間成形角形鋼管のうちプレス成形角形鋼管は、プレスにより鋼管の4隅の部分を塑性加工している。そのために、窒素量の上限を制限するなどした鋼管用の素材が、使用されている。

一般的な建築構造用冷間プレス角形鋼管( 例: BCP325 ) は、平坦部のみシャルピー吸収エネルギー27J(0℃)が規定されている。

一方、建築構造用高性能冷間プレス角形鋼管(例:BCP325T)は角部・平坦部ともシャルピー吸収エネルギー70J(0℃)を保証した材料。なお、引張試験の規定は両者とも同じ。「T」は「Tough」(タフ)のTを示している。

この材料を使用して「脆性破壊防止溶接積層法」(注)で溶接を行う場合、構造設計上、有利になる。

もし、BCP325TからBCP325に変更する場合は構造設計に用いる係数が異なるので、構造設計者に確認する必要があり、構造計算をやり直す可能性がある。

ちなみに,BCPは一般名称ではなく,(一社)日本鉄鋼連盟の登録商標である。

(注):「脆性破壊防止溶接積層法」:下記、2018年版マニュアルでは、NBFW法の呼称を変更している。

出典: 2018年版冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアル


【 超高力ボルト 】

超高力ボルト(例えばSHTB)と一般の高力ボルトの違い


超高力ボルトは、一般のトルシア形高力ボルト(S10T)の引張強さ(1000N/mm2 級)の約1.5倍(1400N/mm2 級)に高強度化したボルト。強度が高いと、締付け後に遅れ破壊が起きる可能性があるので、耐遅れ破壊特性に優れた素材開発、応力集中を緩和できるボルト形状、新ねじ形状を採用している。締付け方法、手順は一般のトルシア形高力ボルトと同じであるが、導入張力が高いため専用機器を使用する。


M20の場合の一次締付けトルクは、一般のトルシア形高力ボルト(S10T)の約150N・mに対し超高力ボルトは約300N・mである。

なお、下記文献では、「室内環境で使用することとしているなど一般の高力ボルトと異なる部分もあるのでメーカーの技術資料を参照されたい」としている。

超高力ボルト.jpg

SHTBねじ形状の改良.jpg

出典:(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018


2020年08月29日

鉄骨工事 工場製作1 材料A

鉄骨工事
工業製作 材料A


【 被覆アーク溶接棒 】


被覆アーク溶接棒の記号の意味


JIS Z 3211(軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用被覆アーク溶接棒):2008
従来からのJIS Z3212,3241はこのJIS Z 3211に統合され廃止された。

JISZ3211.jpg


溶着金属の引張特性の記号は、溶着金属の引張強さMpaの上2桁を示す。
例:E4916は、引張強さの下限値が490MPaなので、上2桁の49が記号となる。

改正JIS規格JISZ3211.jpg

出典:JIS Z 3211:2008 解説


【 被覆アーク溶接棒 】

被覆アーク溶接棒のJIS規格改正前後の記号の違い


JIS Z 3211(軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用被覆アーク溶接棒):2008とそれ以前の分類の違い
各メーカーにより異なるので注意する。
なお、JIS では、イルミナイト系が「01」から「19」へ改定されている。

JIS Z 3211(軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用被覆アーク溶接棒):2008 と旧分類の比較

被覆アーク溶接棒のJIS規格改正前後の記号の違い.jpg

溶着金属の引張特性の記号は、溶着金属の引張強さMpaの上2桁を示す。
例:E4319Uは、引張強さの下限値が430MPaなので、上2桁の43が記号となる。

YP:降伏点(Yield Point)又は耐力(Yield Strength)
TS:引張強さ(Tensile Strength)
El:伸び(Elongation)
vE :シャルピー吸収エネルギー


出典:開KW資料

【 ソリッドワイヤ 】

YGW11〜YGW19などのソリッドワイヤの記号の意味

JIS Z 3312(軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接及びミグ溶接ソリッドワイヤ):2009の内、YGW11から19について。
溶接ワイヤのJIS規格は2009年にISOに準拠して改正され、符号の付け方がISOのスタイルとなった。
しかし、日本国内ではYGW11〜19は建築鉄骨をはじめとし広く使用されているので、これら業界の混乱を防ぐため従来通りの符号が残った。
なお、JIS Z 3312の改正に伴い、JIS Z 3325は廃止されている。
従来のYGW21〜24については、種類名称がISOにならって変更された。

JISZ3312.jpg

改正JIS規格JISZ3312.jpg


出典:JIS Z 3312:2009解説




【 ソリッドワイヤの記号の意味 】


JIS Z 3312の内、ISOにならった表現をする場合の記号の意味。
YGW11〜19は従来通りの記号が使用できるが、YGW21〜24については下記の記号のみとなった。

ソリッドワイヤの種類の記号.jpg


出典:JIS Z 3312:2009解説

【 ソリッドワイヤ 】

ソリッドワイヤの記号について2009年のJIS改正前後の違い

旧YGW21,23の表現方法の変更は下記のようになる。これはメーカーの呼称なので注意する。

旧YGW21,23の表現方法の変更
旧YGW21.23の表現方法の変更.jpg

YP:降伏点(Yield Point)又は耐力(Yield Strength)
TS:引張強さ(Tensile Strength)
El:伸び(Elongation)
vE :シャルピー吸収エネルギー

・YGW11〜19:種類名称は変更なし。
・YGW21〜24:種類名称がISOにならって変更。


出典:鰍iKW資料


【 フラックス入りワイヤ 】


フラックス入りワイヤの記号の意味

JIS Z 3313(軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤ):2009
フラックス入りワイヤの種類の区分記号.jpg

出典:JIS Z 3313:2009解説

フラックス入りワイヤの記号について2009年の JIS規格改正前後の違い

JIS Z 3313(軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤ):2009
銘柄はメーカー独自のものなので注意する。

JIS Z 3313(軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤ):2009と旧分類の比較
JISZ3313旧分類の比較.jpg

溶着金属の引張特性の記号は、溶着金属の引張強さMpaの上2桁を示す。
例:T49・・・は、引張強さの下限値が490MPaなので、上2桁の49が記号となる。

YP:降伏点(Yield Point)又は耐力(Yield Strength)
TS:引張強さ(Tensile Strength)
El:伸び(Elongation)
vE :シャルピー吸収エネルギー


出典:(株)JKW資料


2020年08月28日

鉄骨工事 工場製作1 材料B

鉄骨工事
工業製作 材料B


【 アンカーボルト 】

アンカーボルトの転造ねじと切削ねじの違い


転造ねじは、強い力を加えて素材を変形させる塑性加工でねじ山を形成するもので、切削加工と異なり、メタルフロー・ファイバーフロー(繊維状金属組織)が切断されない。
また、塑性変形によって被加工面が塑性硬化する。このため、ねじ部と軸部の強度差も小さく、軸部降伏後の耐力上昇も可能で、結果として靭性に富んだ性能を確保できる。

一方、切削ねじは、ねじ山を軸から削り出すことで形成する。転造に比べ断面欠損が大きく、ねじの谷部で降伏が先行するために、使用する素材の降伏比上限値を低く設定する必要性が生じる。

以上のメカニズムの違いにより、転造ねじの方が伸び能力が大きくなるため、転造ねじが指定されるケースが多くみられる。

ただし、同じボルトの呼びの場合、転造ねじの方が切削ねじより軸径が細いため、全て転造ねじが良いという事ではない。

アンカーボルトは、建方用と構造用に分類さるが、建築構造用両ねじアンカーボルトは
 ABR:構造用転造両ねじアンカーボルトセット(JIS B 1220)
 ABM:構造用切削両ねじアンカーボルトセット(JIS B 1220)
として、その耐力と性能がJIS規格化されている。

また、JIS規格の元となった(一社)日本鋼構造協会(JSSC)のJSS規格
JSSU13「建築構造用転造ねじアンカーボルト・ナット・座金のセット」
JSSU14「建築構造用切削ねじアンカーボルト・ナット・座金のセット」
については、日本鋼構造協会によるJSS工場認定制度が2015年3月末をもって終了し、現在はJSS規格品に対しての第三者機関による製造、品質保証体制の保証はない。

  転造ねじと切削ねじ.jpg
 構造用アンカーボルトのねじ形状の違い

ABRとABMの伸びの比較データ.jpg

メタルフロー・ファイバーフロー.jpg


出典:建築用アンカーボルト協議会パンフレット「構造用アンカーボルト」


構造用アンカーボルトのABRとABM


ABR、ABMは、兵庫県南部地震での露出柱脚の被害の反省から、露出柱脚用として制定された構造用アンカーボルトのセットの規格における種類の記号である。

(一社)日本鋼構造協会の規格(JSS規格)が2000年に制定され(2004年改定)、その規格を元に、2010年にJIS規格が制定されたが、2015年3月にJSS規格ボルトを製造する工場の認定制度が廃止になった。
ABR、ABMとも、ボルトの材料はSNR400B,SNR490B,SUS304A(JIS規格のみ)で、ABRは転造ねじ加工したボルトを使い、ABMは切削ねじ加工したボルトを使う。
転造ねじは、強い力を加えて素材を変形させる塑性加工でねじ山を形成するもので一方、切削ねじは、ねじ山を軸から削り出すことで形成する。

・(一社)日本鋼構造協会規格
 JSS U13 「建築構造用転造ねじアンカーボルト・ナット・座金のセット」
 (炭素鋼:ABR400/490)
 JSS U14 「建築構造用切削ねじアンカーボルト・ナット・座金のセット」
 (炭素鋼:ABM400/490)

・JIS規格(ステンレス製のものやめっきの表面処理法が追加されている)
 JIS B 1220 「構造用両ねじアンカーボルトセット」
 (炭素鋼:ABR400/490、ABM400/490、ステンレス鋼:ABR520SUS、ABM520SUS)


建築基準法では、指定建築材料(主要構造部材等に使用する建築材料)は、JIS規格適合品ないし大臣認定品
となっているが、このアンカーボルトのJIS規格は指定建築材料に含まれていない。
JSS規格が制定された際、国土交通省の見解として、「これらのアンカーボルトは両端に定着用のねじ部を有
するだけの棒鋼であり、指定建築材料としては、JIS G 3183 建築構造用圧延棒鋼SNR400/490として扱う」とされている。


出典:建築用アンカーボルトメーカー協議会パンフレット「構造用アンカーボルト」




【 電炉鋼材 】

電炉材の使用制限の理由

鋼材のJIS規格では、高炉、電炉といった製鋼法は規定していないので、その意味で公的な制限はない。
従って、設計図書で「JIS規格適合品とする」といった場合は、高炉材、電炉材に限らず使用できることになる。
しかしながら、電炉材の主原料が「スクラップ」であることから感覚的に材料が悪いというイメージをもたれることがある。
また、スクラップを原料とするためにSn、Cr、Cuといった電炉材特有の化学成分が高炉材に比べ多いといったこともある。
これらは必ずしも鋼材の性質に悪い影響を与えるものではないが、多すぎると悪い影響を与える場合もある。
このようなことから、鋼材の機械的性質や化学成分について、高炉材の有するレベルを目標として特記される場合があるので、構造特記を十分照査することが重要である。
電炉材は高炉材に比べコストが低いので使用したいといった要求は有るが、使用箇所と予定メーカーを明確にして予め工事監理者と協議することが重要である。
製品が完成し、製品検査時のミルシート確認で初めて電炉材が使用されていることが分かる、といったことのないようにしたい。
もし、「使用しない」ことが指示事項として事前にあった場合、再製作といわれても仕方がない。

最近、電炉メーカーでもJIS規格よりも化学成分、機械的性質の規定を厳しくしている「高規格」材といったものを製造しているので、電炉メーカーのホームページなどで確認をする。

高炉製鋼法と電炉製鋼法.jpg


出典:東京製鐵潟zームページより


【 AW検定と溶接ワイヤ 】


溶接ワイヤの規格・種類、ワイヤ径をAW検定受験時のものに合わせるとの特記がある場合、変更できるか


溶接ワイヤの硬さが、溶接のしやすさや、しにくさに影響するといわれている。YGW11、YGW18クラスであればその化学成分に大きな差は無い(硬さも差が無い)ので両者による技量の差は無いと考えられる。また、ワイヤ径についても、通常使用されている1.2φもしくは1.4φであれば技量に差がでるとは考えにくく、AW受検時と違っていても特段問題は無いと考えられる。

ただし、FR鋼用ワイヤや590N/mm2級などの高強度鋼用ワイヤ等は、その合金成分の影響などによりYGW11,18クラスと比較して、溶接技能者の溶接作業時の溶接のしやすさ、しにくさに影響するという意見もあり、別途試験が要求される場合がある。

溶接ワイヤの化学成分.jpg

出典:JIS Z 3312:軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接及びミグ溶接ソリッドワイヤ


2020年08月27日

鉄骨工事 工場製作2 工作@

鉄骨工事 工業製作 工作@


【 床書き現寸 】

一般的には、工作図で現寸の役割が代替できる場合に省略できるとされている。細かい納まりが 工作図だけでは分かりにくい場合は、現寸フィルムで確認する。 最近では、CADのデータをディスプレイに映す「CAD現寸」という方法もある。部分的な詳細を確認するには良いが、全体像がわかりにくいことやスケール感が無いという欠点もある。

床書き現寸図の例.jpg
床書き現寸図の例


現寸フィルムによる確認例.jpg
現寸フィルムによる確認例

基準墨を床に書き、その上に現寸フィルムを置き確認する。

出典:(一社)日本建築学会_建築工事標準仕様書 JASS6 鉄骨工事、2018
   (一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018


【 シナイ 】

鉄骨工事技術指針でいう「定規」の一種で、鋼帯に長尺部材の長さ方向の各種寸法(切断位置、 部材取付位置、孔位置など)を記載したもの。最近では、NC切断やNC孔あけが採用されるケースが多く、シナイの使用頻度は少なくなっている。

  シナイの使用例.jpg

  現寸場でシナイに組立部材位置を記入.jpg


出典:建築構造・構造力学・設備・測量編 職業能力開発大学校研修研究センター 編集


【 鋼材の材質確認の方法 】

ミルメーカーなどから搬入された鋼板や形鋼は規格品証明書と照合することで材質確認ができる。また、SN材の鋼板では、プリントマークで、形鋼では印字などでも確認できる。間接的には、 ネスティングシートによる方法もある。400N級鋼と490N級鋼を識別する時は、「スチールチェッカー」も目安になる。 スチールチェッカーのメーカー・ホームページによると、左側のタイプの生産は2008年12月末日で終了、修理対応期間も2015年12月末日で終了している。

鋼材識別方法.jpg

この「400」という表示はメーカーがサービスでSS400に付けている印で、SM材には、特にマークが付かない。 SN材には、SN400,SN490といった表示される。

出典:(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018


【 切板の識別方法 】

鋼材種ごとに決められた色でプロジェクト名、材質、部品名を書くのが一般的である。鋼材種と識別色は製作要領書に表で記載し、同じものを工場内に掲示しておく。
(一社)日本建築学会 鉄骨工事技術指針・工場製作編(2018)では、付13に「鋼材の識別表示標 準(JSSI02-2017より抜粋)」が掲載され、鋼材の識別方法としての標準の採用を推奨している。 これまでは、鉄骨製作会社や切板会社によって異なる標準を採用している場合があったが、この標準により同一の識別方法に統一されていくものと思われる。

切板の識別方法.jpg

出典: (一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018




【 切板の鋼材識別塗色マーキングのルール 】

鋼材の識別表示標準としては、日本鋼構造協会が2017年に制定した「鋼材の識別表示標準 JSSI02-2017」があり、これは(一社)日本建築学会 鉄骨工事技術指針・工場製作編(2018)の 付13に掲載されている。この標準は、「建築などに使用されるJIS規格又はそれに準ずる規定に基づいて品質表示のなされている鋼材の流通過程で、切断等を施した加工部材の鋼種(種類の記号)を識別する場合の表示方法を規定」したものである。鋼材の識別は、文字表示と塗色表示の2 種類があり、このいずれかで識別することになっている。 これまで識別表示は、それぞれの鉄骨製作工場で「社員のだれでも分かること」を基本に工夫して 独自に取り決められていたが、今後はこの識別表示標準に統一されていくことと思われる。

鋼材識別1.jpg鋼材識別2.jpg
  これまでの工場での表示例

  矢印.jpg統一されていく 

鋼材の識別表示標準JSSI02-2017(日本鋼構造協会)より抜粋
鋼材の識別表示標準JSSI02-2017.jpg
 

出典: (一社)日本鋼構造協会_鋼材の識別表示標準JSSI02-2017
(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018


【 けがき(鋼材面へポンチ) 】


鋼材面へのポンチについて、認められない場合。
@曲げ加工される部分の外面
A490N/mm2以上の高張力鋼や疲労を考慮する部材(曲げ加工される部分の外面に限らず全ての部分)

いずれも、けがき部分が亀裂発生の起点となるおそれがある。 溶接後に完全に溶込む場合は問題はない。

ハンチで曲げ加工される外面.jpg

上から溶接されない部分はNG.jpg

 上から溶接される部分はOK.jpg


出典: (一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018


【 スカラップ工法とノンスカラップ工法の構造性能の違い 】

従来型のスカラップの問題点を踏まえ、複合円形スカラップ、ノンスカラップ工法が提案されている。グラフは、現場溶接、工場溶接のスカラップ(複合円形)およびノンスカラップの累積塑性変形倍率、耐力上昇率の比較を示す。グラフからわかるようにノンスカラップの方が良好な変形性能、耐力性能を有している。なお、複合円形スカラップでも溶接材料や溶接条件を十分管理して溶接を行い、溶接金属が十分強度があれば十分な性能を示すことが分かっている。

複合円スカラップ.jpg

累積塑性変形倍率の比較.jpg

耐力上昇率.jpg


出典:2009年度日本建築学会大会_材料施工部門PD「梁端現場溶接接合が抱える課題」


【 鋼板の曲げ半径の規定 】


JASS6と建設省告示2464号

JASS6の規定は学術的な立場から作成されているので、一部で告示と異なっている部分があるが、告示は法律なので、実務では告示を優先する必要がある。JASS6および告示における曲げ加工による曲げ半径に関する記述がどのように異なるかを示す。

常温曲げ加工による内側曲げ半径.jpg

出典:(一社)日本建築学会_建築工事標準仕様書 JASS6 鉄骨工事、2018




【 「仮組」の対象工程 】

一般的には、橋梁などで行われている。建築鉄骨では、複雑な形状のもの、大型のトラス、曲面を有する構造体などで行われる場合があるが、一般的なラーメン構造では不要と考えられる。 工場で一旦、組立て、組立て後の部材寸法や取合部の精度などを確認し、その後、解体して工事現場へ運ぶ。 もし、仮組の指示があった場合は、仮組範囲を特定し要領書を作成して工事監理者の承認を得る。

送電鉄塔の仮組.jpg

鉄骨トラスの仮組.jpg

仮組み時の現場溶接の精度確認.jpg


出典:(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018

【 孔あけをレーザで行う場合の留意点 】

2015年版以前のJASS6では、高力ボルト用の孔あけはドリルあけのみとされていたが、2018年 に改定されたJASS6では「ただし、特記がある場合または工事監理者の承認を受けた場合は、 レーザ孔あけとすることができる」となっている。さらに、(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術 指針・工場製作編(2018)の4.9.5項にはレーザ孔あけの留意事項が述べられている。

高力ボルト用の孔の径は建築基準法施行令で規定されている。ドリルで孔あけの場合はドリルの取り付けなどが適正であり、がたが無い状態であれば、その孔径が変化することは考えにくいが、レーザであける場合は孔径の精度管理が重要となり、孔径を守ることのできる機械の 調整と加工後の検査方法について十分な検討を要する。また、レーザの熱による孔壁の硬さの 変化(入熱硬化)を検討すること、ボルト孔周上のノッチ状の溶損部の有無確認・対応も必要となる。(下記の文献では、「外周部に溶損部が発生するが、高力ボルト接合部として問題無い」と 報告されている。)

レーザで孔あけとする場合は、下記の3つが最低限、確認すべき項目である。
@溶損部(ノッチ、突起)を含む孔径の精度を±0.5mm以下とする(JASS6)
A板厚と最小孔径の確認
B孔壁の傾き精度

溶接部の孔径の精度.jpg


出典:
(一社)日本建築学会_建築工事標準仕様書 JASS6 鉄骨工事、2018
(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018
(一社)日本建築学会_技術報告書,第21巻第48号 広島工大 清水他
「高力ボルト摩擦接合の孔あけ加工にレーザー加工を用いた場合のすべり係数および引張耐力に関する実験的研究」 他

【 高力ボルト摩擦接合でボルト孔をルーズ(拡大孔)にする場合 】

高力ボルト接合における高力ボルト孔径については、建築基準法施行令第68条第二項において以下のように規定されており、拡大孔についての規定はなく、認められていない。
建築基準法におけるボルト孔径の基準.jpg


高力ボルトの孔の食い違い.jpg


参考として、拡大孔に関しての各種規定を紹介する。
日本建築学会「鋼構造接合部設計指針」(2012年改訂)においては、「母材に限り下記に示す拡大 孔を使用できる。ただし、一面せん断の場合には、添え板と同厚以上の補強版を添え板と反対側(拡大孔を設けた板側)に用いなければならない」と示されており、低減係数も記載されている。

拡大孔の耐力低減係数(設計指針).jpg

また、アルミニウム合金構造においては、告示にて2面せん断の場合の拡大孔を高力ボルト径の 1.25倍まで大きくすることが出来ることが規定されている。 なお、AISCやユーロコードでは、規定で以下の条件で拡大孔が認められている。

拡大孔の耐力低減係数.jpg

しかし、前述のように拡大孔はそのままでは基準法違反となりますので、採用にあたってはボルト 孔形状を含めた性能評価を受けて大臣認定を得る必要がある。

出典:建築鉄骨工事の新たな課題への取り組み
(一社)日本建築学会_鉄骨工事運営委員会調査研究報告会・資料集、2010
(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018


2020年08月26日

鉄骨工事 工場製作2 工作A

鉄骨工事 工業製作 工作A


【 摩擦面処理 】


・発錆促進剤や溶融亜鉛めっき面へのりん酸塩処理を採用する場合の留意点

発錆促進剤もりん酸塩処理も工事監理者の承認もしくはすべり試験が必要であったが、2018 年に改定され、JASS6ではこれらの使用が標準として認められた。
ただし、発錆促進剤の場合は、黒皮除去も同時に行うものは認められておらず、また、下地処理の管理、希釈条件の確認、塗布後の時間確保に注意が必要となる。発錆促進剤もりん酸塩処理も、メーカーの取り扱い仕様を十分に参考にした上で接合部の製作を行う必要がある。参考までに、過去に行われた発せい促進剤、りん酸塩処理の試験結果を示す。

発せい促進剤の場合の滑り係数値.jpg


りん酸塩処理の場合のすべり係数値.jpg



出典:建築鉄骨工事の新たな課題への取り組み
(一社)日本建築学会_鉄骨工事運営委員会調査研究報告会・資料集 2010
(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018


【 発生促進剤 】

・発錆促進剤を使用するに当たっての留意点


2018年に改定されたJASS6では高力ボルトの摩擦面処理として、自然発生の赤さび、ブラスト処理に加えて薬剤発せいの使用が標準として認めらた。ただし、薬剤発せいの場合は、黒皮除去も同時に行うものは認められててはなく、また、下地処理の管理、希釈条件の確認、塗布後の 時間確保に注意が必要で、メーカーの取り扱い仕様を十分に確認する。


(1)発せい促進剤の現状

発せい促進剤として、一般に販売されているもののうち、代表的な銘柄とその特徴について下表に示す。これらの発せい促進剤は、グラインダあるいはブラスト等により黒皮を除去した後の発せいを促進させるタイプのものである(一部には黒皮上から塗布するものもあるが、腐食が必要以上に継続する場合もあるので使用しない)。

 代表的な発せい促進剤.jpg


(2)発せい促進剤による摩擦面のすべり係数
各薬剤メーカーが示しているカタログに記載されたすべり係数を下表に示す。カタログ値によればここに示したものはいずれもすべり係数として0.45を確保されたものである。

カタログ記載の摩擦係数.jpg


(3)発せい促進剤使用の留意点


@発せい促進剤塗布前の下地処理管理を厳格に行う(黒皮を除去する)


A発せい促進剤の希釈の必要性の有無を確認する(原液のままのものと希釈タイプがある)


B発せい促進剤塗布後、所定のすべり係数が得られるまでの時間を確認する(24時間タイプと 48時間タイプがある)所定のすべり係数が得られるまでの時間は、塗布後の温度・湿度に大きく依存している。特に気温 5°C以下、湿度80%以上などの悪条件ではその効果がほとんどないことも報告されている。このように塗布後ボルト締付けまでに必要な時間は気象条件と関連して決めるべきであるが、各社カタログ等では平均的な温度・湿度に対しての時間設定のみの記載なので注意が必要である。

C発せいするまで、雨に掛からないようにする。


出典:建築鉄骨工事の新たな課題への取り組み
(一社)日本建築学会_鉄骨工事運営委員会調査研究報告会・資料集、2010
(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018


【 サンブラスト 】

・サンドブラスト処理の場合の赤さび                                   
摩擦接合に必要なすべり係数 0.45を確保する方法として自然発生の赤さびによる場合、薬剤発せいによる場合(2018年JASS6改定より)およびブラスト処理による場合がある。ブラスト処理とは、研削材を圧縮空気などを利用して加工面に高速で噴射し、その衝撃力で黒皮などの異物を除去するとともに、適度の粗さを持った粗面を作る表面加工である。研削材の種類によってショットブラスト、グリットブラストおよびサンドブラストなどがある。 JASS6では表面粗さを50μmRz(マイクロメーターアールゼット)以上確保すれば、ショットブラスト、 グリットブラスト面を摩擦面として良いとしている。しかし、サンドブラスト処理面は所定のすべり係数が得られないことがあり認められていないため、赤さびの発生が必要になる。

■ショットブラスト
鋼製の球形の粒を吹き付ける。
ショットブラスト.jpg

ショットブラスト機械.jpg



■グリッドブラスト
鋼製の鋭く尖った角を持つ粒を吹き付ける。
グリットブラスト.jpg


■サンドブラスト
ガーネットや各種粉砕スラグなどを吹き付ける。ケイ砂は研削材のJISから削除されている。
サンドブラスト.jpg



出典:(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018


【 CFT造のコンクリート圧入口 】

・CFT造のコンクリート圧入口の誘導管(エルボ)

(一社)新都市ハウジング協会から省略できる根拠は公表されていない。施工会社各社が独自に実験を行なった結果により省略できる根拠としたり、過去の文献等を参考にして資料作成し設計者・工事監理者の承認を得ている。

参考文献を以下に示す。圧入工法における誘導管の役割は、コンクリートの流動方向を上に 誘導することで鋼管に余分な圧力をかけないようにするためであるが、文献1)の結果では誘導管を設置するほうが圧入圧力は大きくなるとの報告もあり、また各文献とも鋼管の水平方向歪に対する影響はほとんどないとされている。

CFT誘導管を設置した例.jpg

    CFT誘導管が無い場合.jpg


出典:
・文献1)「CFT柱の圧入工法における誘導管の検討」
 日本建築学会大会梗概集1999年1261 大成建設 谷垣ら
・文献2)「誘導管の有無によるCFT柱の圧入時角形鋼管挙動の相違」
 日本建築学会大会梗概集2002年1415 熊谷組 宮原ら
・文献3)「CFT造柱の圧入工法における誘導管の影響」
 日本建築学会大会梗概集2003年1251 竹中工務店 三好ら




【 バンドプレート 】


・十字柱のバンドプレートピッチの規定

一般にバンドプレートは、T字形または十字形鉄骨を組み立てるための形状維持として設置さいるので製作側の精度保持方法によりそのピッチは決まってくる。 しかし、逆打ち工法などで柱に大きい圧縮力が生じるときに、フランジが局部座屈を起こさないように設ける場合があるので、この場合はバンドプレートの仕様を設計者・工事監理者に確認する必要がある。

バンドプレートのピッチに規定はないが、タラップとして兼用することもあるので、その場合は 400mm程度の間隔で取り付けることが多いようである。タラップとしてバンドプレートを使用する場合は、安全管理上、バンドプレート取付溶接部の品質も管理する必要がある。

十字柱のバンドプレート.jpg


【 ひずみ矯正 】


・ひずみを加熱で矯正する場合の留意点


全ての鋼材は、化学成分の調整と圧延温度、圧下量※ の制御、熱処理の組合せにより造り込ま れている。したがって、加熱矯正が実施された場合、材質への影響は免れることはできない。 影響因子としては、@加熱温度、A加熱時間、B加熱範囲、C冷却条件であり、これらの条件と 鋼材成分の相互関係により加熱矯正部分の材質への影響度合いは異なる。
鉄骨工事技術指針・工場製作編では、下記のような加熱矯正基準が示されているので、この基準を遵守する管理が必要である。また、熱影響を表面近傍のみに止めるように、管理することも重要である。
平成12年建設省告示第2464号では、「500度を超える加熱を行う場合は加工前の当該鋼材等の品質と同等以上であることを確認しなければならない。」とされているが、同告示のただし書きには、「局部的な加熱はこの限りではない」とされている。加熱矯正は温度は500度を超えているが、局部的な加熱なので、告示に抵触することはないと考えられる。

※圧下量:圧延材料が1回の圧延で薄くなった量

加熱矯正基準.jpg
[注」 上表温度は加熱表面での温度である
*600 °Cを超えてその後空冷または水冷する場合は、確認実験を実施してその条件で行う
(凡例)
表中の◎は実施可、×は実施不可である。 ○はさらに厳密な温度管理と加熱時間、加熱範囲を 最小限とすることを前提に実施してもよい。



出典:(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018

【 ダイアフラムの出寸法 】


・ 冷間成形角形鋼管の通しダイアフラム出寸法


「2018年版 冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアル」では、ダイアフラムの出寸法 eは下記の値 が推奨されている。
 e=25mm(tc<28mm) e=30mm(tc≧28mm)
 tc:角形鋼管厚さ

これは次の点を考慮して決められている。

@板厚方向応力に対するダイアフラムの安全性確保(ラメラテアによる開裂防止など)
Aダイアフラムと柱・梁フランジの溶接による熱影響部の干渉及び性能低下の防止
B柱とダイアフラムの溶接によるダイアフラムのかさ折れの発生の防止


@については、当該溶接部位が入熱の小さいガスシールドアーク溶接であり、またダイアフラムの 材種もSN材でかつ板厚方向の特性( Z方向絞り値・材料UT検査 )が規定されたC種を用いること が一般的であることから、板厚方向のラメラテア(開裂)の問題は無いと考えられる。


Aについては、@と同様に当該溶接部位が入熱の小さいガスシールドアーク溶接であることから、 母材への熱影響の範囲は数mmと小さく、ダイアフラム製作出寸法を25~30mm程度確保すれば、 熱影響部同士が干渉して溶接部の性能を低下させる、ということは無いと考えられる。


Bについては、ダイアフラム出寸法を大きくすると、溶接の順序にもよるが、かさ折れ量が大きくなる。特にトッププレートの場合、片側溶接になるためかさ折れが発生するケースが多く、事前に逆ひずみをつけるなど対策を講じても、中々コントロールできないのが現状である。かさ折れが発生した場合、ダイアフラム板厚が厚い場合は加熱矯正でも完全な修正は困難であり、梁フラン ジとの溶接で食違いが生じ易くなる。したがって、@とAを満足したうえでダイアフラムの出寸法は短くする(一般に25~30mm程度)のが良い。


かさ折れ・食違いの発生.jpg

   ダイアフラムの出寸法.jpg



出典:2018年版 冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアル


【 アンカーボルト 】

・構造用アンカーボルト(ABR、ABM)の加工(L形・J形)及びめっき処理


@ABR、ABMのアンカーボルトのセットを図に示す。図のようにナット4個、丸座金1枚及び直形状のアンカーボルト1本のセットでJIS規格化されている。なお定着板は規格に入っていない。
JISマーク表示認証取得工場で曲げ加工する場合、曲げ加工自体は可能であるが、形状が変わってしまうのでアンカーボルトの「セットとしてのミルシート」は発行されないので注意する。


Aアンカーボルトの表面処理について、JIS規格の附属書(規定)の抜粋を示す。
・JISB1220:2015 附属書A.7 ボルトの表面処理

A.7.1 ABR用ボルトに表面処理を施す場合は、電気めっき又は溶融亜鉛めっきとする。 溶融亜鉛めっきを施す場合は、ナットのはめあいを考慮してJIS H 8641に規定する HDZ35とする。

A.7.2 ABM用ボルトの表面処理にめっきを施す場合は、電気めっきとする。

@のようにボルト・ナット・座金はセットで構成されている。表面処理としてめっきを施す場合は、 ボルトの表面処理と同等の表面処理を施したナット及び座金を組み合わせることが規定されているので、材料が入荷された際、現物や検査証明書で組合せを確認する必要がある。

アンカーボルトのセット.jpg



出典:建築用アンカーボルトメーカー協議会パンフレット「構造用アンカーボルト」 JISB1220:2015 構造用両ねじアンカーボルトセット


【 開先角度 】

・完全溶込み溶接のレ形開先角度を30°に変更したい場合


開先角度が小さくなることにより高温割れが問題となる場合があるが、過去の実験や実績から、 開先角度を通常の35°から30°に変更する程度であれば、高温割れが発生しないことが知られている。ただし30°開先にするには以下の注意が必要である。

@鉄骨製作工場の開先加工機が30°に対応できる場合とできない場合があるので、事前に確認する。

A溶接ワイヤの突出し長さの確保やテーパノズル形状、 および、固形エンドタブを使う場合は、 事前に確認する必要がある。

B溶接技能者に狭開先の溶接経験がない場合は、適正な溶接ができるか施工試験で確認する。
この場合、 30°より狭くなる側の開先角度管理値と、溶接時の積層図や溶接条件 を事前に定めておく。

なお、開先標準を変更することになるので、設計者、工事監理者の承認が必要となる。

狭開先用のテーパノズル.jpg

30°レ形開先用の固形エンドタブ.jpg

30°レ形開先に対応できる開先加工機.jpg



2020年08月14日

鉄骨工事 工事現場1溶接@

鉄骨工事
工事現場溶接@


【 裏当て金 】

ブラケット形式のフランジ現場溶接(固形エンドタブ)の裏当て金の組立て溶接位置

鉄骨工事技術指針・工事現場施工編においては、
「現場溶接の時に特に下フランジ側では、応力状態の厳しくなるフランジ外面に組立て溶接を行なうと組立て溶接の止端から梁フランジが破壊する可能性がある。また、上向き姿勢で適切な組立 て溶接を行なうことは困難である。したがって、現場溶接における組立て溶接は、エンドタブの部分で行なうのが望ましい。」 と示されている。

しかし、固形エンドタブを使用する場合は、エンドタブの部分で溶接が出来ないため、 同じく技術指針の以下のただし書きに従って、開先内で組立て溶接を行うことになる。

「ただし、工事監理者の承認を得て、組立て溶接を開先内に行うことができる。この場合の組立て 溶接の位置は、梁フランジの1/4とし、かつ、本溶接時に組立て溶接を確実に再溶融させる。組立て溶接に用いる溶接は、本溶接時と同じ溶材を用いて行なう。」

 下フランジの現場溶接.jpg

下フランジ開先内での組立て溶接.jpg



【 柱継手 】

コラム柱の柱継手で、裏当て金を差し込み式にした場合の留意点

柱継手部の食違い防止で採用される例が多い方法であるが、採用にあたっては以下の注意が必要


@柱内に雨水等が入らないように養生する処置が必要


A下柱の裏当て金は、施工性を考慮してテーパ加工がされているが、このテーパによる柱材との隙間に雨水や塵埃が侵入している可能性があるために、溶接前にバーナ等で加熱・蒸散させる必要がある。


B裏当て金に塗布してある溶接用の下塗りが、上柱挿入時に剥がれて、上柱と裏当て金の間に 不純物として残る場合があり、溶接前に除去する必要がある。


C上柱内部に取付けた、裏当て金の受けピースおよび裏当て金に、自重が掛かるので強度上必要な溶接量を確保する必要がある。

コラム柱の柱継手の裏当て金(差し込み式).jpg



【 AW検定 】

AW検定の工事現場溶接資格

工事現場溶接の場合、横向き溶接を代替エンドタブで行う場合は比較的少ないため、両者を分けている。但し、代替エンドタブV類の資格には、代替エンドタブ下向(F)、横向き(H)両方の試験合格が必要である。

一方、工場溶接の場合は、下向き、横向きを分けて管理するのは難しいため両方保持するとしている。下表に示す、資格毎の●で示した試験項目を全て合格する事が必要である。代替エンドタブ資格は、鋼製エンドタブ資格を保有することが必要。 なお、工事現場溶接のV類資格保有者は、非常に少ないのが現状である。

AW検定の資格毎の試験項目
AW検定工場溶接試験.jpg

AW検定工事現場溶接試験.jpg






【 混用溶接 】

混用接合で、溶接熱による高力ボルトの導入張力の影響を回避する方法


鉄骨の現場接合において、H形鋼のウェブ・ 高力ボルト接合、フランジ・現場溶接接合、 いわゆる混用接合が多くの物件で採用されている。 この場合、ウェブ高力ボルトを先行して本締めまで行なった後に、フランジ溶接を行う。

混用継手の施工順序.jpg


(一社)日本建築学会・鉄骨工事技術指針・ 工事現場施工編では、本締めされた高力ボ ルトのフランジ溶接における熱の影響により ボルト張力が低下するという研究例があることが指摘されている。
また、過去の研究事例では、本締めされた ボルトの温度が100°Cを超えると、導入張力 が設計張力を下回る事が報告されています。

高力ボルトの温度と導入張力の関係.jpg


これを回避する施工方法の一例として、右図 に示した高力ボルト温度測定管理フロー に基づき、高力ボルトの温度が最も大きくな ると予想されるフランジ板厚の最も厚い部材で試験を行い、溶接部に最も近い高力ボルト温度を測定して、高力ボルトの温度が100°C を超えない溶接条件を確認する方法がある。

高力ボルト温度測定管理フロー.jpg


高力ボルト表面温度測定.jpg


出典:2009年度日本建築学会大会_材料施工部門PD「梁端現場溶接接合が抱える課題」



【 デッキ受け 】

コラム柱で、ノンブラケット(梁フランジ現場溶接)の場合の柱周りデッキ受け

デッキ受けをダイアフラムに現場溶接するのは難しく、ほとんど行なわれていない。
直交する梁間でアングルを梁フランジに溶接する方法や、デッキ受けをボルト止めで掛け渡す方法などがある。

柱周りデッキ受けの事例.jpg



【 焼抜き栓溶接 】

焼抜き栓溶接の現場管理

焼抜き栓溶接の施工方法は、通称デッキプレート版告示(告示606号:平成14年国土交通省告示 第326号の一部を改正)に規定されており、その内容は以下のとおり。

@鋼板の厚さを1.6mm以下とすること。

A溶接部に割れ、内部欠陥等の構造耐力上支障のある欠陥のないこと。

B溶接部周辺における鋼板と鉄骨その他の鋼材との隙間を2mm以下とすること。

C溶接部の直径を18mm以上とすること。

D溶接部相互の中心間距離を60cm以下とすること。

E溶接部(端抜けのおそれのない部分を除く。)の縁端距離(当該溶接部の中心から接合する鋼材等の縁端部までの距離のうち最短のものをいう。)を20mm以上とすること。

F焼き切れ及び余盛不足のないものとすること。 


この告示では、溶接棒、溶接電流などの溶接仕様を規定していないが、2項や7項の規定で 溶接部の品質について規定されている。 焼抜き栓溶接の溶接条件や作業要領は、各デッキメーカーの設計施工標準などにも規定があるのでこれらの資料も参考にする。これらの規定に準拠していることを確認する。

焼抜き栓溶接の手順.jpg

焼抜き栓溶接の規定.jpg

出典:(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場現場施工編、2018


2020年08月13日

鉄骨工事 工事現場1溶接A

鉄骨工事
工事現場溶接A


【 タイトフレーム溶接 】

折板屋根で、小梁上のタイトフレーム取付けに際して溶接長さの規定

タイトフレームの幅、板厚および必要溶接長は、想定される風荷重に対する必要強度で決定される。
参考として、(一社)日本金属屋根協会のHPに、「タイトフレームを溶接する」というタイトルの テクニカルレポートが公開されており、その中にタイトフレーム耐風強度計算について記述されている。

タイトフレームの形状逆V型.jpg

タイトフレームの形状逆レ型.jpg
タイトフレームの形状


タイトフレーム1本あたりの溶接許容荷重.jpg
ただし、小梁などの母材に直接タイトフレームを溶接する際には、ショートビートにならないよう溶接長40mm以上を確保すること。

タイトフレーム溶接長さが短い場合.jpg
溶接長さが短い例


出典:(一社)日本金属屋根協会 テクニカルレポート
「(8)タイトフレームを溶接する」



【 タイトフレーム溶接 】

さび止めペイントの上から行なうタイトフレームの溶接


さび止めペイントは、溶接のアークの熱により消失しますので強度的な影響は、ほとんどないと考えらるが、製作工場でさび止めペイントの塗装を行なう場合は、塗膜厚が厚い場合があるので、その場合は、ケレンを行う。
いずれも、溶接後のアンダーカット、ピット、割れ等の外観検査は十分に行う。また、溶接後のさび止めペイントのタッチアップを忘れずに行う。

さび止めの上から溶接を行なった例.jpg
さび止めペイントの上から溶接を行った例



【 風養生 】


ノンブラケット梁の工事現場溶接における効果的な風養生方法

防風設備に用いる養生シートは、ガス溶断、ガウジングによる火花から着火しない不燃性のものとし、これをユニット足場などの溶接足場設備の周りや建物外周に沿って取り付ける。
また補助的な防風対策としてフランジに左右からプレートで作成された防風装置をはめ込むなどの方法がある。 工事現場溶接業者と協議して検討を行う。

溶接部近傍の防風措置.jpg

溶接部近傍の防風措置の例.jpg
溶接部近傍のみを囲う防風装置の例


出典:(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工事現場施工編、2018



【 材料保管 】


溶接材料の保管に関して注意すべき点

工事現場溶接を対象とした溶接ワイヤ、溶接棒や副資材は、雨水がかからないように保管する必要がある。保管方法としてコンテナが最適であるが、無い場合は直置きはせず、木製すのこなどの上に置き、シートを掛ける、特に被覆棒はビニールでしっかりとくるみ、溶接するときは携帯用乾燥器を使用する。

溶接材料保管庫.jpg

溶接材料保管庫(内部).jpg

被覆アーク溶接棒の携帯用乾燥器.jpg
被覆アーク溶接棒の携帯用乾燥器


出典:(一社)日本建築学会 鉄骨工事技術指針・工事現場施工編、2018





【 電磁波 】

工事現場溶接時の電磁波が、既存の病院の機器類に与える影響

一般のガスシールドアーク溶接では電流は200~300A程度あり、影響が懸念される場合の対 策として以下の方法などがある。

@電気の流れ道(キャブタイヤケーブル)から機器までの離隔を大きくする。
A電流を小さくする。

Bアースを溶接位置に近づける。

ちなみにスタッド溶接は1回あたりの電流が2000A前後となり、影響が大きくなる。 磁気センサを用いた離隔距離、アース長を各々変えて、溶接時の磁気雑音の大きさを磁気セン サーなどで測定する実験等で、確認をするのが望ましい。

離隔距離(アース長)と磁気雑音の大きさの関係.jpg
離隔距離(アース長)と磁気雑音の大きさの関係


(注)
JEITA:(一社) 電子情報技術産業協会

イミュニティレベル : 特定の機器、装置、またはシステムにおいて、それらが要求される程度の性能で動作しうる電磁妨害の最大印加レベル


【 示温塗料 】


示温塗料がパス間温度を管理できる原理

示温材とは、温度チョークのように所定温度で融解するものとは異なり、物質の組成が熱により変 化する現象を利用して温度を視覚で感知できるようにしたもの。こうした示温材の中で、いった ん変色すると元に戻らない不可逆性を利用して開発されたものが、示温塗料。

示温塗料はその目的とする温度および加熱時間と加熱速度などに応じて変色する。従って同じ 温度といえども、その温度を何度も繰り返すほど、変色域が長くなります。 このように示温塗料は 変色する長さを制限することで、「熱の総量」を管理するものであり、各パスでの具体的なパス間温 度を確認・管理するものではないので注意が必要である。各パスのパス間温度の確認・管理 には各種温度計や温度チョークを用いる。

示温塗料 青色-高温用薄ピンク色-低温用.jpg

 溶接前の示温塗料塗布位置.jpg

 溶接後の示温塗料変色長さの測定.jpg

 示温塗料を塗布した使用事例.jpg



2020年08月12日

鉄骨工事 工事現場1溶接B

鉄骨工事
工事現場溶接B


【 溶接禁止範囲 】

仕上工事、設備工事などに付随する工事現場溶接を行う場合の注意事項

内外装工事や設備工事の下地として必要な金物等は原則として工場製作の時に設置する必要がある。しかし、止む得ず、鉄骨本体に取り付けるために工事現場溶接が行われることもある。これらの溶接は十分に管理された中で行われる必要がある。

例えばショートビードや溶接欠陥は、母材(構造体)の性能に悪影響を及ぼす原因となる。


公共建築工事標準仕様書(平成28年版)の「7.6.9 関連工事による溶接」には、
『関連する工事のため、金物等を鉄骨部材に溶接する場合は、母材に悪影響を与えないように、表7.6.1に示す最小ビード長さを遵守するとともに、必要に応じて予熱等の処置を行う。なお、溶接は、7.6.3による技量を有する溶接技能者が行う。』
とある。

 組立溶接の最小ビード長さ.jpg

公共建築工事標準仕様書 7.6.3による溶接技能者
•手溶接の場合は、JIS Z 3801に示す試験等による技量を有するもの
•半自動溶接の場合は、JIS Z 3841に示す試験等による技量を有するもの

特に、大梁端部のように大地震時に塑性化する可能性がある部位や冷間成形角形鋼管のコーナー部等のように塑性変形した部位、また応力集中が起きやすい部位などには、これらの溶接は避けることが望ましいといえる。 やむを得ず、これらの部位に金物を取り付ける必要がある場合は、

@構造体に直接工事現場溶接をすることの無いように、捨てプレートなどを製作工場で取付ける
A溶接方法、溶接材料や溶接技能者の資格を明確にし、十分に品質管理された中で作業を行う

等の計画を立て、設計者・工事監理者の承認を受ける

なお、鉄骨工事技術指針では、軽微な溶接といえども、溶接技能者は原則として、JASS6の5.4「溶接技能者および溶接オペレータに規定する溶接技能者のうち、少なくとも基本となる級(下向き)の有資格者とすることを求めている。

 梁端部の金物溶接禁止位置.jpg

 梁下フランジへの溶接.jpg

 冷間成形角形鋼管柱の角部.jpg

尚、塑性化が想定される領域とは一般に、材端からL/10又は2d以上までの部分程度。(L:梁の長さ、d:梁せい)

出典:公共建築工事標準仕様書(建築工事編)(平成28年版)
(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工事現場施工編、2018


【 アーク光障害 】

溶接時のアーク光による目や皮膚にどのような障害

溶接時のアークは、目に見える可視光と目に見えない紫外線および赤外線を発生する。その中で、特に目に有害な光は、紫外線(200~380nm)および可視光の青光(400~570nm)である。

・紫外線による障害 :
電気性眼炎。角膜の表層部に障害を与え、目に異物が入った感じになり、涙が流れ、まぶたの痙攣を伴った急性症状が数時間後に現れ、48時間程度で消滅する。皮膚に受けると日焼け同様の水脹れの症状となる。


・青光による障害 :
網膜障害。視力低下、視野の一部が見えなくなる、かすんで見えるなどの 症状が数週間から数ヶ月続く。


これらの障害を避けるために、適切な遮光保護具(保護面と保護めがね)を使用する必要がある。保護面のプレート、めがねレンズの遮光度番号は、遮光保護具のJIS規格に記載されている 使用標準を参考に選択する。例えば、100A~300Aのガスシールドアーク溶接を行う場合は遮光度番号11か12を使用する。



【 溶接作業影響 】

溶接作業が人体に与える有害な影響

溶接作業では、ヒュームやガスによる呼吸器障害、アーク光による眼炎・皮膚障害、スパッタなど による火傷、感電による死亡災害などが懸念される。

溶接作業の際の危険・有害要因と人体への影響および防止するための保護具
溶接技能者はもとより溶接技術者、施工管理者も適切な保護具を使用し、自ら身を守ることが必要である。

 溶接作業における保護具.jpg


注) 人体への影響ではないが、溶接がペースメーカーに与える影響も注意が必要である
出典:溶接・接合技術総論 産報出版




【 開先防錆範囲 】

開先の防せい(錆)塗装の範囲

開先防錆塗装は一般の下塗りとは目的が異なり、溶接開始までに開先部にさびを発生させないために行う。

塗装を行う範囲例.jpg

その範囲は、おおよそ開先部から50mm程度で、裏当て金の付く面も同様である。 開先防錆塗装は特にはがすことなく溶接されるので、あまり厚く塗るとブローホールが発生することがあるので注意が必要である。

塗膜厚は一般的には5~7μm程度が良いとされている。

また、一般の下塗りに比べると耐候性に劣るので、開先防錆塗装された状態で長期間保管する間に発せいすることがある。 このような製品を保管する場合は、劣化した塗膜とさびを十分に除去してから再塗装する必要がある。溶接する前でも塗膜が劣化していればさびとともに充分に除去することが必要である。

開先部のさびの除去.jpg


この開先防錆塗装は開先部が発せいしていないことを確認してから行うが、そのことを確認するために透明度の高い色を指定される場合もある。


クリア.jpg

シルバー.jpg


※クリア/シルバーのどちらとするかは設計者・工事監理者に確認する
出典:(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工事現場施工編(2018)



【 CFT柱等への後溶接 】

コンクリートが充填されたCFT柱への鉄骨ピース等の溶接による熱影響

高温加熱が高強度コンクリート( 70 N/mm2:加熱時材齢91日)の圧縮強度およびヤング係数に及ぼす影響についての研究1)によると、

@圧縮強度については300°Cまでは常温と同程度の強度を示す
Aヤング係数については100°Cまでは常温と同程度の係数値を示す
つまり、加熱温度が100°C以下であれば高強度コンクリートの力学特性は常温時と変わりないと考えてよいといえる。


加熱温度と圧縮強度.jpg
加熱温度と圧縮強度および
圧縮強度残存比

加熱温度とヤング係数.jpg
加熱温度とヤング係数および ヤング係数残存比


また、コンクリートが予め充填されたCFT柱を工事現場溶接(柱継手および柱・梁仕口)する場合の、 溶接熱がコンクリートに与える影響についての研究2)によると、

柱形状:大丸2︎-600x600x32(BCP325)、梁フランジ:t=32mm、ダイアフラム:t=32mm、 充填コンクリート:50N/mm2、パス間温度:250°C、300°C、350°C、連続溶接の4種類、
という溶接条件下で、

@コンクリートの最大温度はパス間温度の上昇に伴い高くはなるが200°C以下である。

Aコンクリート温度が100°Cを超える範囲は、パス間温度に限らず溶接部からの鉛直・奥行 方向の距離が100mm~135mm程度以下に限定される。(溶接線に沿った方向は別)

B最高温度に近い領域では、コンクリートの温度は鋼材裏面の温度よりも平均的に50°C 程度低くなっている。
という結果が得られている。

当然、検討対象の構造物の板厚等の溶接条件が異なれば、上述の結果をそのまま用いることはできないが、こうした既往の研究結果をもとにコンクリートに生じる最大温度等を推定することができる。 溶接を行う場合は鋼材表面の温度管理の条件を定め、溶接によるコンクリートへの影響を最小化する方法を示し、工事監理者と協議の上、承認を得る必要がある。

出典:
1)「高温加熱を受けた高強度コンクリートの強度回復」
(コンクリート工学年次論文集、VOL.25,NO.1,2003)
日本建築学会学術講演梗概集 2000年9月
2)「プレキャストCFT柱(Pca-CFT)接合部に関する研究 その6、その8」
(日本建築学会学術講演梗概集 2000年9月)



【 溶接順序 】

3層1節の場合の柱、梁の高力ボルト本締め及び工事現場溶接の手順


通常は、下記に示す手順で高力ボルト本締め、溶接作業が行なう。

@柱継手部の溶接は、柱継手部のエレクションピースの本締めを行い、その柱(節)の最上階梁の高力ボルト本締め完了した後に実施する。

A柱-梁継手もしくは梁-梁継手で、ウェブ高力ボルト接合、フランジ溶接接合の混用継手の場合は、ウェブの高力ボルト本締め終了後に、フランジの工事現場溶接を行なう。


3層1節の基本的な施工順序 .jpg
高力ボルト本締めと工事現場溶接の基本的な施工順序

出典:鉄骨現場溶接の基本と監・管理(JSSCテクニカルレポート1998)


2020年08月11日

デッキプレート、頭付きスタッドの注意事項@

鉄骨工事
デッキプレート、頭付きスタッドの注意事項@


【技能資格】

頭付きスタッド、鉄筋スタッドの溶接技能者の資格と条件

スタッド溶接に従事できる溶接技能者は、(一社)スタッド協会のスタッド溶接技術検定試験に合格した有資格者である。

この資格は、スタッド協会で統一した試験を行い、技術証明書として発行される。

資格にはA級、B級およびF級(2012年から実施)があり、各資格の作業範囲は下表に示す内容で規定されている。

スタッド溶接技能資格者.jpg


一方、鉄筋スタッド溶接の資格は、特にないので表を参考にする。

横向きの場合はスタッドの軸径は16mmが最大、
下向きの場合はスタッドの軸径は 22mm(F級を持っていれば25mm)が最大
となっている。

なお、表に示す値を超える軸径を要求される場合は、鉄骨工事担当者と十分な検討を行い、作業環境、機器、溶接条件等をより厳しく管理し、技量試験を行い溶接技能者の技量の確認を行った上で十分注意して施工を行う。



【コンクリート止め】

コンクリート止め鉄板支持用丸鋼を梁に溶接付けする場合のショートビード

写真に示すような丸鋼のショートビード溶接は母材への影響が無視できず、問題がないとはいえず、できるだけ避ける必要がある。

ショートビード溶接.jpg


特に梁の端部は避けたい部分である。 最近では、Z形状およびL形状として先端部で溶接長が取れるタイプのものがあり、こうしたものの採用等でショートビードを回避する必要がある。

Z型、L型コン止め.jpg



【 焼抜き栓溶接 】

焼抜き栓溶接の溶接棒でE4316又はE4916を使い分ける判断基準

E4316及びE4916の頭文字Eは被覆アーク溶接棒を示し、数字の前半2文字の「43」または「49」は 溶着金属のJIS規格における引張強さ(N/mm2)の下限値を、後半2文字の「16」は被覆材が低水素系であることと全姿勢溶接が可能であることを表している。

従って、溶接する鉄骨梁の母材強度により、軟鋼(400N/mm2級)の場合は「E4316」、高張力鋼 (490 N/mm2級)の場合は「E4916」を使い分けることになる。

各メーカー別に各種銘柄があるが、使用前には溶接棒の容器に記載されている「JIS Z 3211 E4316」または「JIS Z 3211 E4916」を確認する。

溶接棒の記号の意味.jpg





【 電気配管 】

合成スラブのデッキ上に、電気配管を敷設する場合の注意すべき事項

合成スラブにおいて床電路システムとしてフロアダクトシステムがよく使用されている。フロアダクトを使用した際に以下の4つの耐火要求を満足させる必要がある。
 
 1) 耐火区画機能
 
 2) 火災時の構造耐力
 
 3) ダクトによる延焼・漏煙防止
 4) 支持梁の耐火性能確保

合成デッキ電気配管不具合.jpg
合成スラブデッキ電気配管不具合事例
(50Φと配管が太く、鉄筋、デッキと接している)


1)、2)については、ダクトによるコンクリートの断面欠損を差し引いた有効コンクリート厚さが、火災時の構造耐力上、耐火区画性能上必要な厚さを確保する必要がある。
特に一方向性スラブの場合、コンクリート厚さが比較的薄くなるため耐火構造上問題になる恐れがあるため、十分なコンクリート厚さの確保が必要となる。

3)、4)についてはコンクリートスラブに埋設されることから、必然的に要件を満足している場合が多いようあるが、ダクト下側のコンクリート厚さが4cm以上確保されていなければならない。
仮にデッキ山部にフロアダクトを埋設した場合、コンクリート厚さの不足によりダクト下側のコンクリート厚さが耐火性能を満足しないことがある。その場合には耐火被覆を施す必要がある。

合成デッキの有効コンクリート厚さ.jpg


・電路底面からデッキ山部までのかぶり厚さを15mm以上(2時間耐火構造)確保し、吹付けロックウールを電路の下面のデッキ谷部に吹付け厚20mm、吹付け幅75mm + 電路幅 + 75mmで吹付ける。

フロアダクトのコンクリート厚さが40mm以下の場合.jpg

フロアダクト下側のコンクリート厚さが40mm以下の場合


・デッキ谷部に埋設し、デッキ底面から1時間耐火構造で25mm、2時間耐火構造で40mm以上のかぶり厚さを確保する。
・また、φ30mm程度のPF菅であればデッキ谷部に 2d(d=直径)以下の間隔で2本埋設することができる。

デッキ谷部にフロアダクトを埋設する場合.jpg
デッキ谷部にフロアダクトと埋設する場合


(参考)

建築基準法施行令 第107条
耐火性能に関する技術的基準

法第2条 第七号の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。

一 次の表に掲げる建築物の部分にあっては、当該部分に通常の火災による火熱がそれぞれ次の表に掲げる時間加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。

施行令107条耐火性能に関する技術的基準.jpg

二 壁及び床にあっては、これらの通常の火災による火熱が1時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分にあっては、30分間)加えられた場合に、当該火熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が当該面接する可燃物が燃焼するおそれのある温度として国土交通大臣が定める温度(以下「可燃物燃焼温度」という。)以上に上昇しないものであること。

三 外壁及び屋根にあっては、これらに屋内において発生する通常の火災による火熱が1時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分及び屋根にあっては、30分間)加えられた場合に、屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものであること。



【 スタッド取付けピッチ 】

梁の高力ボルト継手部(スプライスプレート設置部)にスタッドを打設できない場合


不足分を増し打ちする場合が多いが、もともとのピッチが狭い場合には、増し打ちできない場合もあるのでスタッドの最小ピッチの規定(スタッド軸径の7.5倍以上)をクリアするように施工する。

スタッド打増ししてない例.jpg
スタッド打増ししてない例

スタッド打増ししてる例.jpg
スタッド打増ししてる例

※増打ちが必要か否かは工事監理者に確認する。



【 デッキ受け 】

柱周りの納まりで柱幅と梁幅の差が少ない場合のデッキ受けの要否


デッキプレート溝部(フラットな谷部)が柱周りにかかる場合はデッキ受けが必要となる。

端部の納まりはデッキプレートの割付けにより決まるので、FB等の受け材が不要な最小寸法はないと考える。
下図右側ように、デッキプレートの割付けが梁からスタートして梁に50mm載っている場合、端部の溝部が60mm、山部が180mmなので、柱-梁間の差(150mm)の部分に溝部がない ので受け材は不要。
反対に、下図左側のように梁際に調整板(薄くてデッキ床荷重を支持できない)を用いると、柱-梁間の差が50mmでもデッキの溝部がこの範囲に存在するので、端部のデッ キ受けが必要となる。

デッキプレートは溝部にて荷重が伝達するので、その部分には必ず受け材が必要となる。

柱際デッキプレート受け材の有無.jpg



【 メッシュ筋のかぶり 】

合成スラブでメッシュ筋が4枚重なる部分のかぶり確保


溶接金網の重ね継手は、一般的に直交筋の効果を活用した重ね継手としており、応力伝達を期待する継手では、「横筋間隔+50mm以上、かつ150mm以上」の重ね継手を採用している。

メッシュ筋の重ね継手長さ.jpg
応力伝達継手の場合、重ね継手長さL1は横筋間隔+50mm以上かつ150mm以上とする。

規格寸法の溶接金網を端から順に並べると、溶接金網の重なり通り最大で4枚重ねとなってしまうので、下図のように継手の位置をずらして、最大3枚にする。
ただし、3枚重ねにした場合でも背の低いバーサポートを使用するなど跳ね上がり防止に工夫が必要。

メッシュ筋4枚重ね.jpg

位置をずらす工夫をすると

メッシュ筋3枚重ね.jpg

一方、異形鉄線を使用した溶接金網や普通の異形鉄筋を格子状に配置した鉄筋格子を使用した場合、直交筋の効果を期待しない延長筋型の重ね継手(いわゆる鉄筋の重ね継手のイメージ)を採用するケースもある。この継手を採用した場合は、重なりを緩和できるのでかぶり厚さの確保は容易になる。
この延長筋型の重ね継手は性能評価機関の評定を取得していたり、特許に関連する技術も含まれているので、詳しくは各メーカーに確認する。


2020年08月10日

デッキプレート、頭付きスタッドの注意事項A

鉄骨工事
デッキプレート、頭付きスタッドの注意事項A



【 母材への影響 】

スタッド溶接や焼抜き栓溶接の母材に対しての影響

鉄骨工事技術指針・工場製作編にスタッド溶接が母材に及ぼす影響と留意点について下記の通りに記載されている。

「スタッド溶接部は、母材の材質と板厚の違いにより溶融金属の影響を受ける。これは、スタッド 溶接が大電流で瞬間的な溶接であり、溶接部の性状が材質により変化するほか、板厚の違いに より急冷効果の影響が異なることによる。このため溶接部の靭性指標の一つである硬さは、母材の炭素当量が大きいほど、またスタッド軸径と母材板厚の組合わせによっては最高ビッカース硬 さ(Hvmax)が350を上回ることもある。しかし、母材にとってスタッド溶接が局部的な溶接であり、 Hvmaxが測定される部分は微小部分であること。また極端な曲げ変形が生じない部分で使用することを前提とし、建築構造分野で一般的に使用される材質・板厚について表に示す範囲で使用 することを原則としている。」

スタッド母材の材質とスタッド軸径等.jpg

炭素当量とHAZの最高硬さの関係.jpg
炭素当量とHAZの最高硬さの関係


また、指針では留意点として以下の点がある。


@最小板厚は、母材の溶落ちや大きなひずみを生じさせないためスタッド軸径の1/2.5 ~1/3を下限とする


A母材の曲げ延性(スタッド溶接側を外側にして曲げた場合)が大きく低下するデータも有るためスタッド溶接位置に注意する


B490N/mm2級鋼材、520N/mm2級鋼材で板厚の大きい場合は、硬さ等に注意が必要となる


C520N/mm2級を超える高強度の鋼材あるいは板厚の厚いものについては施工試験により硬さ等を確認することが望ましい



【 アークスポット溶接 】

デッキプレートのアークスポット溶接が梁に及ぼす影響

アークスポット溶接は、急熱急冷により母材に悪影響を及ぼす恐れがある。特に、大梁端部のような塑性変形が生じる部位では避けるのが望ましいとされている。 場合によっては、事前にアークスポット溶接の施工試験を行い、溶接欠陥が出ないように溶接要領を確認しておく必要がある。

標準的なアークスポット溶接仕様

a. 溶接技能者
溶接技能者は、薄板溶接に対して十分な技量が必要であり、原則としてJIS Z 3801 (手溶接技術検定における試験方法及び判定基準:1997)の有資格者とする。

b. 溶接仕様
@溶接棒 :
 E4316(低水素系)
 E4319(イルミナイト系)
 E4303(ライムチタニア系)

A溶接棒径 : 径3.2mm


B溶接電流 : 100~140A
一般に溶接電流は低めに、アークタイムは長めにすれば、アンダーカットや溶込み不足が避けられる。

c. 施工試験
施工試験では上記要領で溶接後、デッキを剥がしてアンダーカット等の溶接欠陥がないことを確認する。



【 スタッド溶接 】

スタッド溶接後にスタッドを曲げることは可能か?

通常、建築鉄骨では、頭付きスタッドは直立した状態でコンクリートと鋼材を合成するための構造計算がされているので、試験や施工後の検査時に打撃曲げすることを除き、溶接後に頭付きスタッドを曲げて使用することは通常認められていない。 施工後に何らかの事情で頭付きスタッドを曲げる必要がある場合には、工事監理者に確認する必要がある。

スタッド曲げ試験.jpg
通常のスタッド打撃曲げ試験





【 頭付きスタッド 】

頭付きスタッドがJISに適合していることの確認方法


JIS Q 1001の「JIS認証の表示」によれば、JISマークは、認証に係る鉱工業製品等又は包装、容器もしくは送り状に表示することになっている。

頭付きスタッドの場合、製品自体にJISのマーク等はついていないので、メーカーのヘッドマーク により当該メーカーの製品であることを確認する。
JIS認証記号などは箱に記載されている内容で確認し、更にミルシートで機械的性質などがJIS規格適合品であることを確認することになる。 なお、そのメーカーがJIS認証を取得しているか、認証工場名、認証番号などは日本工業標準調査会のホームページで検索が可能。

オカベスタッドのヘッドマーク.jpg

ダイヘンスタッドのヘッドマーク.jpg

箱に記載されたJIS適合マーク.jpg
箱に記載されたJIS規格適合マーク

参考文献
・JISQ1001 適合性評価-日本工業規格への適合性の認証-一般認証指針
・日本工業標準調査会ホームページ JISデータベース検索ページ


【 スタッド溶接の検査 】

スタッド溶接の打撃曲げ試験

工事現場で施工するスタッド溶接の打撃曲げ試験の頻度について標準仕様書の規定は以下となっている。

・日本建築学会JASS6 スタッド100本または主要部材1本または1台に溶接した本数のいずれか少ないほうを 1ロットとし、1ロットにつき1本行う。

・公共建築工事標準仕様書 スタッドの種類及びスタッド溶接される部材が異なるごとに、かつ、100本ごと及びその 端数について試験ロットを構成し、1ロットにつき1本以上抜き取る。

従って、打撃曲げ試験は基本的には部材が異なるごとに、100本に1本の割合で必要となる。 ただし、1本または1台の部材に打たれるスタッドの数が十分に小さい場合には、それらの部材をまとめて1群として取扱い、スタッド100本に1本の割合で打撃曲げ試験を行うことが認められる場 合もあるので、このような場合には工事監理者の承認を得る。

出典 :(一社)日本建築学会_建築工事標準仕様書 JASS6 鉄骨工事、2018
  公共建築工事標準仕様書(建築工事編)(平成28年版)



【 焼抜き栓溶接 】

デッキ合成スラブにおける焼抜き栓溶接とアークスポット溶接の役割の違い

下の表に示されるように、デッキ合成スラブの場合は、骨組みと床とのシャーコネクタの方法として、 焼抜き栓溶接と頭付きスタッドの2つの方法がある。 頭付きスタッドの場合は、デッキとのずれ止めと落下防止としてアークスポット溶接や隅肉溶接によりデッキと鉄骨梁を接合する。 この両者(下表の黄色部分)の焼抜き栓溶接とアークスポット溶接の区別が分からずに施工管理し ている場合がある。焼抜き栓溶接は、頭付きスタッドに替わるものですので、デッキプレートのずれ止めが目的であるアークスポット溶接とは、溶接量が違う。

デッキ合成スラブおよびデッキ型枠スラブの接合仕様
デッキ合成スラブ及びデッキ型枠スラブの接合仕様.jpg
※デッキ合成スラブで頭付きスタッドが無い場合は、「焼抜き栓溶接」仕様とする必要がある

焼抜き栓溶接余盛径不足事例.jpg

上の写真は、焼抜き栓溶接の余盛径不足の不具合事例。 デッキを敷き込みずれ止めと落下防止の為に梁と接合するアークスポット溶接と同等の溶接で施工されている。

焼抜き栓溶接
・溶接技能者:
 JIS Z 3801またはJIS Z 3841のうち
 少なくとも基本となる級(下向溶接)の有資格者
・溶接棒 :低水素系被覆アーク溶接棒φ4mm
・溶接電流 :190~230(標準210A)A
・フランジとの隙間2mm以下
・長手方向のピッチは600mm以下
・溶接時間:8~10秒

出典: (一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工事現場施工編、2018


【 鉄筋付きデッキ(フェローデッキ)】

鉄筋付きデッキと梁との固定時の注意点

トラス状の鉄筋と鋼製捨て型枠で構成される鉄筋付きデッキは、所定のスパンまでノンサポートで 施工が可能。スラブ鉄筋付きのデッキであることから工期短縮や、南洋材の使用削減に効果 を発揮できる省略化工法として、S造の物件を中心に多くの現場で採用されている。


(1)梁との固定方法について

合成デッキや型枠鋼製デッキは、デッキプレートと梁との接合にアークスポット溶接もしくは焼き抜き栓溶接で直接デッキプレートと梁を溶接固定する。鉄筋トラスデッキにおいては、デッキプレー ト自体が平板であり打設したコンクリートの荷重はトラス筋が負担するために、例えばあるメーカーの製品では、鉄筋端部のL形鉄筋(端部材)を梁に架けて、工事現場溶接することで固定している 。


(2)注意点

鉄筋付きデッキ敷き込み後に設備開口等のサイズ変更対応で、現場で鉄筋を切断すると、L形鉄筋(端部材)を失った状態となり荷重がかかった時点で、床が崩落する可能性がある。
特に、柱周りや、梁継手部のスプライスプレート部分などは、鉄筋付きデッキプレートと鉄筋トラス を現場切断して納めることになる。その際に、 L形鉄筋(端部材)をトラス筋に工事現場溶接して取り付け、デッキ受けにしっかり工事現場溶接することが必要なので注意する。


2020年08月05日

鉄骨工事 施工管理の基本

★ 鉄骨工事 施工管理の基本


鉄骨工事 基本事項についての特集


鉄骨工事において、ミル(mill)とは、製鉄所のことで、鉄鉱石などから鋼をつくり、それを圧延(圧力をかけて延ばす)してH形鋼、角形鋼管などの鋼材製作するところです。
こそで発行される引張強度や成分が表示されている検査証明書(Inspection Certificate)のことをミルシートといいます。

ミルシート.jpg

ミルシートにて、設計図に記載されている鋼材の寸法、鋼材種、その成分などや、本工事のため政策された部材か、その流通経路に問題がないかなどを確認します。
同じ断面寸法で鋼材種(SS400やSM490Aなど)が違うものがある場合は特に注意する必要があります。



その鋼材を仕入れて加工し、柱、梁などの建築部材を製作するのが、鉄工所、ファブ(fabricator)です。

鋼材は重量が大きく、現場での取扱い上危険がともなったり、溶接部位の品質は安定した姿勢と状況でする方が望ましいので、なるべくファブの工場にて加工製作を行います。

鉄骨造の構造体は以下の手順で進みます。

【ファブにて】

工作図、現寸図→ 切断 → 溶接 → 塗装
  ↓
製品検査 適合
  ↓
出荷 運搬
  ↓

【現場にて】

現場入荷 <入荷時の検査>
  ↓
柱・梁の組み立て
  ↓
ボルト又は溶接による接合
  ↓
床(デッキプレートとコンクリートなど)
を載せる

といった行程です。


工作図は、設計図書から鉄骨部材を製作、工作するために起こす図面で、現寸図は工作図ではわかりにくいおさまりや代表的な部材などを実物と同じ寸法で描いた図面のことです。

これらは、製作者;鉄工所(ファブ)が起こします。

現寸図は、現寸場という広い黒板状の床にチョークで描いて、全体の寸法、細部のおさまりなどを設計監理者の立会いのもとチェックを行い、おさまりを決定します。最近では、工作図を作ること3Dモデルを作ることで省略するケースもあります。


それでは、まずはファブにおける加工について見ていきます

鋼材の加工

けがき
けがき針、タガネ、ポンチなどで鋼材の切断位置、孔あけ位置などを鋼材上にとること。
タガネは六角形、丸形、長方形断面の鋼の先を尖らせて先端を刃にしたもので、鋼材を削ったり、はつったりする道具。石を削るタガネもある。
けがき寸法には、製作中の収縮、変形、仕上げ代(切断際の幅)など
考慮するする必要があります。
高張力鋼、軟鋼には、ポンチ、タガネなどによる打痕(だっこん)を残してはいけない。切断や孔あけにより残らないとこのみに行なう。大きな傷を付けると、強度に影響してしまいます。


鉄骨の切断
大型の鋼材は帯のこ盤(バンドソー)などで、小型の鋼材はメタルソー(高速カッター、丸のこ)などで、鋼板はせん断切断機(シャーリングマシン)などで切断する。

バンド(band)は帯、ソー(saw)はのこ、バンドソーは帯のこのことで、帯状ののこを一方向や左右方向に動かして切断する。メタルソーは金属用のこのことで、円形状の丸のこが回転して切断する。シャー(shear)とはせん断のことで、シャーリングマシンはせん断で鋼板を切断する機械のこと。

高速カッターは、メタルソーのうち小型で持ち歩きできるものを指すことが多い。ディスクグラインダーで手持ちで切断することもあり。
その他、レーザー切断機、プラズマ切断機、ガス切断機などもあり

ガス溶断は手持ちのガスバーナーの熱で焼き切る切断法で、切断面はきれいにならず、熱の影響も鉄骨内部に残る。エレクションピースの切断や、解体時の切断などに用いられる。


鋼材の孔あけ
原則としてドリルによる。
普通ボルト、アンカーボルトの孔で板厚が13mm以下の場合は、せん断孔あけをすることができる。高力ボルト用の孔は、必ずドリルあけとする。(JASS6による)


曲げ加工
鋼材を曲げる方法は、べンディングローラーの、複数のローラーの中を通すことにより、常温で行う。
ベンド(bend)とは曲げることで、ベンディングローラーは曲げるためのローラー。H形鋼、角形鋼管、円形鋼管、鋼板などを曲げることができる。

アングル(山形鋼、L形鋼)やフラットバー(平鋼)などを曲げる小型の機械はアングルベンダーと呼ばれている。

バーベンダーは鉄筋を曲げるもの。

常温加工での内側曲げ半径は柱材、梁材などの塑性変形能力を要求されている部材で、厚さの4倍以上、それ以外では厚さの2倍以上とJASSで規定されている。塑性変形能力とは、力と変形が比例しなくなった後(弾性限界を超えた後)でも、耐力が急激に減少せずに変形を続ける能力のこと。


加熱曲げ加工

赤熱(せきねつ)状態(850〜900℃)で行うこと。鋼材は加熱すると変形抵抗性が減少し、曲げやすくなる。しかし、青熱脆性域(せきねつぜいせいいき:200〜400℃)では、強度が増すとともに変形抵抗が増加し、硬くなって割れて壊れやすくなる。赤熱脆性域では曲げ加工はできない。

脆性とは、破壊するまでの変形が少ないこと。反意語は靱性(じんせい)で、粘り強く、弾性(力と変形とが比例し、力を除くと元の状態に戻る)限界をこえも、破壊するまでに大きく変形する。

ディスクグラインダー
円盤を高速で回して、やすりをかけたり切断したりする手持ちの機械。
ディスク(disk)は円盤、グラインド(grind)はこすって研ぐ(とぐ)、磨く、削る、グラインダーは研磨機、研削機という意味。

鋼材のまくれ、たれ、ひずみ、バリ、ミルスケール(黒皮、黒い酸化被膜)などは、ディスクグラインダーで削って取り除き、平滑にする。バリとは材料を切断した際に角にできるギザギザしたでっぱりのこと。

ミル(mill)は製鉄所、スケール(scale)は酸化物の薄い層のことで、ミルスケールは製鉄所の製鋼時についた黒さびの薄い層。



2017年12月08日

1級建築施工管理技士 く体工事 鉄骨工事 / 製品検査


鉄骨造の製品検査には
中間検査と受入検査というのがあります。

中間検査というのは
製作の途中で行うもので
全数作ってしまってからの検査で不良が発生した場合に
被害が大きくなるようなケースで行うもので、
比較的規模の大きいものの場合に行います。

受け入れ検査というのは
すべての鉄骨部材ができあがった(出来高 100%)時、
現場へ受け入れる前に行う検査です。

製品検査で行う内容は
大きく分けて書類検査と現物の検査があります。
鉄骨製造工場へついて、
まず行うのが書類検査です。

1)書類検査
 ・承認済みの鉄骨製作図の確認
 ・鋼材のミルシートの確認
 ・鉄骨部材の流通経路の確認
 ・溶接部分の試験結果の確認
 ・その他、防錆塗装の膜厚検査記録

2)対物検査
 実際の物の寸法などの検査を行います。
 一般には、対物検査2と呼ばれる検査です。
「対物検査2」とは
 鉄骨業者の自主検査済みの材料から
 柱・梁を5本づつ抽出し、
 その製品と承認図との製品誤差が
 規定の範囲内にあるのを確認します。
 つぎに、同じ製品を
 今度は作業所側の人が検測を行い、
 その製品誤差と、鉄骨業者の製品誤差とを比較します。

 その誤差が規定値の範囲にあることで判断します。
 「t 検定、F検定」といいます。

 その他、対物検査では、
 加工状況や、溶接の状況なども、目視、検測して確認します。

 代表的な材料のUT検査やサムスチール
 膜厚の検査をする場合もあります。

 それで問題がなければ、
 作業所が出荷を許可します。
 
 通常、その検査には、監理者が立会います。

以上が、鉄骨の製品検査の流れになります。

検査内容については、それぞれにおいて費用が変わってくるので、細かく設計図書(構造図)(契約図)に記載しておく必要があります。

(参考)下記書籍





2017年11月07日

1級建築施工管理技士 く体工事 高力ボルト接合に関する用語

鉄骨工事の用語
そのうち高力ボルトに関する基本的な用語をまとめました。
覚書にどうぞ

スプライスプレート:
 添え板。継手を構成するために母材に添える板。

フィラープレート:
 厚さの異なる板を高力ボルトで摩擦接合する場合、
 その差が 1mm 以内になるように充填する板。

JIS形高力六角ボルト:
 頭が六花形の高力ボルト。
 ボルトの頭にF10T と刻印されている。
 Friction Joint(摩擦接合)
 10 tf/p2 = 100 N/mm2
 Tensile Strength(引張強度)

トルシア形高力ボルト
 トルシア形は、頭が丸く先端はピンテール
 と呼ばれる締付け反力を受けて破断する部分で構成されている。
 ボルトの頭に S10T と刻印されている。

溶融亜鉛めっき高力ボルト:
 溶融めっき処理された高力ボルト。
 ボルトの頭にF8T と刻印されている。

摩擦面処理
 摩擦面の黒皮・浮きさび・塵埃・油・塗装・溶接スパッタなどを取り除き、
 すべり係数 0.45以上を確保する処理を行うこと。
 すべり係数を確保する方法として、
 自然発錆による赤さび、
 ショットブラストまたは
 グリッドブラストがある。
 ショットブラスト、グリットブラストの場合は
 50 μmRz以上の表面粗さを確保できれば赤さびとしなくてもよい。
 範囲はスプライスプレート全面に行う。(JASS6)

 溶融亜鉛めっきの場合
 摩擦面はめっき後軽くブラスト処理を行って、表面粗さを 50μmRz以上とする。
 摩擦面にブラスト以外の処理を行う場合は、監理者に確認する必要がある。
 その場合はすべり耐力試験を実施する。その工場の実績により確認する場合もある。
 ブラスト以外の処理の例)りん酸処理など

参考文献
建築高力ボルト接合管理美術者講習テキストより(建築鉄骨品質管理機構)






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風水先生―地相占術の驚異 (集英社文庫―荒俣宏コレクション)

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バックミンスター・フラーの宇宙学校

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郵便配達夫シュヴァルの理想宮
岡谷公二 作品社 1992

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ルイス・カーン―光と空間
ウルス・ビュッティカー

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ルネサンス理想都市 (講談社選書メチエ)

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建築ツウへの道 (Oshima bon (02))

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