5節 押出成形セメント板(ECP)
8.5.3 外壁パネル工法
(1) 取付け方法
取付け方法は、パネルの縦張り工法と横張り工法の2方法がある。地震時の層間変位にパネルが追従できるように、縦張り工法の場合は、ロッキングできるように、また、横張り工法の場合は、スライドするように取り付ける。
外壁パネル工法の種別を表8.5.2に、その取付け例を図8.5.3及び図8.5.4に示す。
表8.5.2 外壁パネル工法
姿図
平面図
図8.5.3 縦張り工法(ロッキング方式)の取付け例(その1)
図8.5.3 縦張り工法(ロッキング方式)の取付け例(その2)
開口部断面詳細図
開口部平面詳細図
図8.5.3 縦張り工法(ロッキング方式)の取付け例(その3)
姿図
平面図
図8.5.4 横張り工法(スライド方式)の取付け例(その1)
断面部
図8.5.4 横張り工法(スライド方式)の取付け例(その2)
開口部断面詳細図
開口部平面詳細図
コーナー部出隅平面詳細図
図8.5.4 横張り工法(スライド方式)の取付け例(その3)
(2) 風圧力
風圧力により支持間隔が決められる。建物の形状や使用部位等によって風圧力が異なるため、パネルの取付け耐力の検討を行う必要がある。
詳細については、ECP(押出成形セメント板)協会「ECP施工標準仕様書」等を参照するとよい。
(3) 地震カ
躯体の層間変形角に対する追従性能と、躯体から仕上げ材までの耐力の検討を行う必要がある。
詳細については、「ECP施工標準仕様書」等を参照するとよい。
(4) 耐火構造
耐火構造は、建築基準法施行令第107条の規定に基づく技術基準に適合したものである。そのため所定の耐火性能を満足するパネル及び仕様により行う。
(5) パネル下地金物
パネルの下地金物は、構造体にパネルを確実に取り付けるためのものであり、必要な強度が十分確保できるものを用いる。パネル下地金物は、S造の場合は溶接、 RC造の場合は埋込みアンカー等により安全性を確認し取り付ける(14.1.3(1)参照)。
(6) パネル幅の最小限度
パネル幅が小さい場合は、衝撃による破損のおそれが大きくなるため、「標仕」8.5.3(6)ではパネルモジュールの1/2である300mmを最小限度としている。
(7) 欠け、傷等の補修
軽微な損傷があるパネルで、パネルの構造耐力の低下がないと判断されるもの、防水性能が確保できると判断されるもの及び外観が著しく損なわれないものは、補修して用いることができる。
補修手順については、「ECP施工標準仕様書」を参照するとよい。
(8) パネル相互の目地幅
パネル相互の目地帳は、地震時の変形に対応する縦張り工法及び横張り工法の場合も短辺の方が大きな目地幅が必要である。「標仕」8.5.3(9)では、目地幅は、特記によるとしているが、長辺は10mm以上、短辺は15mm以上としている。
長辺の目地は、パネル同士をかみ合わせるため製品ごとに一定の幅となる。短辺の目地幅は、地震時の層間変位を吸収できるように設定する。また、日常の温度変化によるパネルの長さ変化に対してシーリング材の伸縮が許容範囲内に入るように設定する。
(9) 出隅及び入隅のパネルの目地幅
目地の動きは、建物部位によって様々であることから、部位ごとの変形量を考慮して目地幅を設定する必要がある。特に、出隅及び入隅のパネル目地幅は、大きくする必要があり、「標仕」8.5.3 (10)では特記によるとしているが、特記がなければ 15mm程度としている。また、開口部周囲の目地についても同様な考慮が必要である。
(10) パネルの表裏確認
パネルの表裏の確認方法は、パネル短辺、又は長辺の小口面に表裏が記載されているので、それにより確認する。強度上、表裏による違いはないが、表面はパネル製造所で仕上げ面としての表面処理や検査が行われている。