工業製作 材料@
以下、(一社)日本建設連合会HPより引用
【 鋼材規格 】
各鋼材記号の数字が意味するもの
鋼材や鉄筋には、指定建築材料としてJIS規格適合品および大臣認定品がある。
下表に示すように、JIS規格の鋼材の呼称の数字(SS400の400等)は引張強さの下限値を表わす。一方、鉄筋とほとんどの大臣認定鋼材は、呼称の数字が降伏点又は0.2%耐力※の下限値の数値が使用されている。そのため、強度の高低が数字の大小から判断しづらい面がある。
※引張試験において、規定された伸びを生じるときの試験力を平行部の原断面積で除した値。
降伏点が明確でない材料では、降伏点の代わりに耐力が用いられる。JIS規格では、特に規定のない場合には、塑性伸びの値を0.2%としている。耐力の測定は、JIS規格では、次のいずれかの方法による(詳細は略)。
a)耐力(オフセット法)
b)耐力(永久伸び法)
c)耐力(全伸び法)
【 平鋼と厚板 】
平鋼と厚板の違い
平鋼は、長方形断面の4面を熱間圧延して製造されるもので、このうち幅が180mmを超えるものを広幅平鋼という。平鋼には、丸コバ平鋼,テーパー平鋼,開先平鋼などの様々な異形平鋼もある。
厚板は、板厚6mm以上の鋼板をいい、2面を圧延した後、長さを切断(場合によっては幅も切断)して出荷する。
平鋼の圧延
平鋼製品の例
(参考) JIS規格に規定されている平鋼の定義を以下に示めす。
1.JIS G 0204 「鉄鋼用語(鋼製品の分類及び定義)」より
@長方形の断面をした棒鋼。
A製品は、4面とも圧延される。
B一般に、厚さは5mm以上、幅は500mmを超えない。
C熱間圧延された平鋼をとくに「熱間圧延平鋼」と呼ぶ。冷間圧延された平鋼を「冷間圧延平鋼」と呼ぶ。
2.JIS G 3194 「熱間圧延平鋼の形状、寸法、質量及びその許容差」より
平鋼は、厚さ100mm以下、幅1250mm以下の寸法のものをいう。
出典:(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018
【 BCP(冷間プレス成形角形鋼管)】
BCP原板のミルシート確認の必要性
通常施工者は、工事監理者の指定のない限り原板ミルシートの確認を行わない場合が多い。
これは、BCPが大臣認定品であり、原板についても規定を満足したものが使われている事による。
原板に使用される材料の規定は、以下に示すように定義(「一般社団法人日本鉄鋼連盟」)されている。
「BCP235,325は冷間プレス成形設備によって、JIS G 3136に規定される建築構造用圧延鋼材に、N(窒素)の上限規定を付加した規格を満足する鋼帯または鋼板を角形断面または一対の溝形断面に成形し、溶接継目部を半自動もしくは自動アーク溶接して製造される直及びテーパー形の角形鋼管」
下記に示す内容が、特記仕様書に示されている場合など必要に応じて、原材料のミルシートを入手の上、仕様を満足しているか確認する。
・主要構造部の鋼材に対して高炉材が指定されている場合
・電炉材を主要構造部に使用するときの成分や機械的性質の確認規定がある場合
参考として、建築構造用冷間プレス成形角形鋼管(BCP235、BCP325)の日本鉄鋼連盟製品規定の「13.報告」を以下に示す。
「検査及び試験に合格した角形鋼管に対して、検査証明書を発行する。報告内容は、製造履歴※1が確認できる識別番号※2の他、以下の内容を含むものとする。
(1)受注内容
種類の記号、注文寸法、注文数量
(2)鋼帯または鋼板の化学成分
表2に規定されるすべての元素、Ceq又はPCMと、
それに係る元素(表2は出典を参照)
表2の備考1によった場合の添加元素(表2は出典を参照)
(3)引張試験結果
平板部分の降伏点又は耐力、引張強さ、降伏比、伸び
(4)衝撃試験結果
平板部分の0℃における吸収エネルギー
(5)外観、寸法検査結果
上記識別番号を記載する目的は、必要な場合に素材製造業者が発行する鋼材検査証明書との照合を可能とするためである。
※1 製造履歴の範囲は、溶鋼から冷間成形角形鋼管メーカー出荷時点の製品までとする。
※2 識別番号は、鋼帯又は鋼板の製造業者が発行する鋼材検査証明書(ミルシート)番号、製鋼番号、鋼材の製造番号、及び冷間成形角形鋼管の製造番号、等である。」
注文者である鉄骨製作工場には、成績表や品質証明書が、製造会社から提出されているで、この中に記されている製品番号(厚板)から、原板メーカーを確認し原板のミルシートを取り寄せる事が可能である。
出典:(一社)日本鉄鋼連盟製品規定MDCR 003-2017 建築構造用冷間プレス成形角形鋼管
【 BCRとBCP 】
BCR(ロール成形角形鋼管)とBCP(プレス成形角形鋼管)の違い
BCR(ロール成形角形鋼管)は、鋼帯を一度、円形に成形し、シーム部を溶接したものを角形に成形する。よって、平坦部も冷間加工されている。
BCP(プレス成形角形鋼管)は、厚板の鋼管の角になる部分をプレス成形し、シーム部を溶接する。
両者は、コーナー部の曲率半径も異なる。更に告示により設計法も異なっているので、同じ径・板厚であっても取り替えて使用することは出来ない。機械的な性質については、下表を参照。
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【 BCP325T 】
BCP325Tの「T」の意味と、BCP325との違い
冷間成形角形鋼管のうちプレス成形角形鋼管は、プレスにより鋼管の4隅の部分を塑性加工している。そのために、窒素量の上限を制限するなどした鋼管用の素材が、使用されている。
一般的な建築構造用冷間プレス角形鋼管( 例: BCP325 ) は、平坦部のみシャルピー吸収エネルギー27J(0℃)が規定されている。
一方、建築構造用高性能冷間プレス角形鋼管(例:BCP325T)は角部・平坦部ともシャルピー吸収エネルギー70J(0℃)を保証した材料。なお、引張試験の規定は両者とも同じ。「T」は「Tough」(タフ)のTを示している。
この材料を使用して「脆性破壊防止溶接積層法」(注)で溶接を行う場合、構造設計上、有利になる。
もし、BCP325TからBCP325に変更する場合は構造設計に用いる係数が異なるので、構造設計者に確認する必要があり、構造計算をやり直す可能性がある。
ちなみに,BCPは一般名称ではなく,(一社)日本鉄鋼連盟の登録商標である。
(注):「脆性破壊防止溶接積層法」:下記、2018年版マニュアルでは、NBFW法の呼称を変更している。
出典: 2018年版冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアル
【 超高力ボルト 】
超高力ボルト(例えばSHTB)と一般の高力ボルトの違い
超高力ボルトは、一般のトルシア形高力ボルト(S10T)の引張強さ(1000N/mm2 級)の約1.5倍(1400N/mm2 級)に高強度化したボルト。強度が高いと、締付け後に遅れ破壊が起きる可能性があるので、耐遅れ破壊特性に優れた素材開発、応力集中を緩和できるボルト形状、新ねじ形状を採用している。締付け方法、手順は一般のトルシア形高力ボルトと同じであるが、導入張力が高いため専用機器を使用する。
M20の場合の一次締付けトルクは、一般のトルシア形高力ボルト(S10T)の約150N・mに対し超高力ボルトは約300N・mである。
なお、下記文献では、「室内環境で使用することとしているなど一般の高力ボルトと異なる部分もあるのでメーカーの技術資料を参照されたい」としている。
出典:(一社)日本建築学会_鉄骨工事技術指針・工場製作編、2018
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