01節 共通事項
21.1.1 一般事項
(1) この章は、構内の屋外雨水排水及び街きょ、縁石、側溝等を設置する工事を対象としており、原則として、汚水排水等をする工事は対象としていない。
なお、施工範囲は、車両の通行が少なく、切土等の通常の支持地盤に管路を敷設する場合を対象としている。軟弱地盤又は地下水位が高い場合で、排水施設の支持地盤に関して十分な支持力を得られない場合には、不同沈下や浮上がり等を生じる場合があるため、基礎形状等沈下を防止するために適切な設計がなされる必要があり、現場の状況により埋戻し部等に施工を行う場合は、設計者と打ち合わせ、支持力が得られる工法にする必要がある。
(2) 構内排水に関しては、国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課監修「構内舗装・排水設計基準及び参考資料 平成31年版」(以下「構内舗装・排水設計基準」という。)がある。
(3) 作業の流れを図21.1.1に示す。
図21.1.1 排水工事の作業の流れ
(4) 設計図書の確認は、主として次の事項について行う。
@ 工事範囲の確認
A 工事範囲内の埋設物及び障害物の確認
B 既設排水管、接続桝の管底高さの設計図書との対比
C 関連工事との取合いの検討
(5) 施工計画書の記載事項は、概ね次のとおりである。
なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。
@ 工程表(着工、完成、通水試験等の時期)
A 使用材料の名称、規格、製造所名及び使用箇所
B 排水管敷設の工法
C コンクリートの調合及び打込み工法
D 掘削の工法及び建設発生土の処分方法
E 官公署への届出文書名及び提出予定日
F 安全管理対策、公害対策
G 作業のフロー、管理の項目、水準・方法、
品質管理体制・管理責任者、
品質記録文書の書式とその管理方法等
(6) 注意事項
(ア) 給水管と排水管が、平行して埋設される場合は、原則として両配管の間隔を、500mm以上とし、給水管は排水管の上方に埋設する。
(イ) 一般的に、上下水道工事では、土圧、荷重等の関係から埋設管の最小土かぶりを0.5〜1.0mとしているが、建築工事で行う外構工事程度のもので、大きな荷重を受けることのない箇所であれば、通常0.6mあればよい。
埋設管の最小土かぶりは、土圧、荷重による管の押しつぶし、その振動による継手の損傷の防止、温度変化による管の伸縮防止、凍結による劣化防止等のために必要である。
(ウ) 排水工事の施工に伴う関係官庁への申請及び届出書が遅滞すると、工程に影響がでるため注意する。
21.1.2 基本要求品質
(1) 排水工事に用いられる材料で、排水管や側塊等についてはJIS等が定められているので、これに適合する材料を使用することを要求している。
なお、その他の材料で、コンクリートについては、使用量も少なく強度等をあまり重視しない軽易な場合には、現場容積調合とすることができる。
(2) 配管、桝、街きょ、縁石、側溝等については、設計図書でその形状や寸法、排水勾配等が指示される。現場に敷設された配管や桝等が指定された形状や寸法のとおりに設置されていることを要求している。
(3) 「標仕」で要求している「排水に支障となる沈下や漏水」をなくすためには、次のような事項に留意して工事監理を行うことが必要である。
(ア) 埋戻し、盛土等を行った箇所に、排水桝、埋設管等を設けることは極力避けるべきである。
やむを得ず設ける場合は、建物本体等から支持材を出して受けるか又は最初の桝を建物の近くに設けるなどして管が不同沈下により破断しないように考慮する。
(イ) 本章は、雨水排水工事を対象としているが、排水計画によっては雨水と汚水の合流排水となる現場もある。このような場合には、特に、排水勾配が適切であることが重要である。
急勾配の場合は、水だけ先に流れ、汚物が停滞していて次第に管を閉塞してしまう。また、緩勾配にし過ぎると、汚水を流す能力が不足することになる。下水道法施行令第8条では、管きょ(管及び掘割り)の勾配、マンホールの設置について次のように定めている。
(a) 管きょの勾配は、やむを得ない場合を除き、1/100以上とすること。
(b) 暗きょである構造の部分の次に掲げる箇所には、桝又はマンホールを設けること。
@ もっぱら雨水を排除すべき管きょの始まる箇所。
A 下水の流路の方向又は勾配が変化する箇所。ただし、管きょの清掃に支障がないときは、この限りでない。
B 管きょの長さがその内径又は内法幅の120倍を超えない範囲内において管きょの清掃上適切な筒所。