08節 ロックウール吹付け
15.8.1 適用範囲
この節は.JIS A 9504(人造鉱物繊維保温材)に規定される材料を用いて、吸音・耐火・断熱を目的とした半乾式工法及び乾式工法によるロックウール吹付け工事を対象としている。
なお、耐火被覆は7章節による。
(1) ロックウール吹付け工法には、現場配合のセメントスラリーによる半乾式工法と工場配合による乾式工法がある。現場配合による半乾式工法は、吹付け時にノ ズル先でロックウールとセメントスラリーを混ぜ合わせて吹き付ける工法である。工場配合による乾式工法は、ロックウールとセメントをあらかじめ工場で配合混合し、吹付け時にノズル先で水と合わせて吹きつける工法である。
(2) 工場配合による乾式工法は粉塵等により衛生環境が悪くなるので、粉塵の少ない現場配合による半乾式工法が多く使われるようになってきている。
15.8.2 材料
(a) ロックウールは、JIS A 9504に適合するもので、特記がなければホルムアルデヒド放散による区分がF☆☆☆☆等級であり、かつ、国土交通大臣から不燃材料としての認定を受けたものを使用する。
なお、ロックウール保温材は、認定番号NM-8600として認定されている。また、JIS A 9504に規定された品質基準を表15.8.1に示す。
表15.8.1 ロックウール保温材の品質基準(JIS A 9504 : 2011)
(b) セメントは、ポルトランドセメント、高炉セメント又は白色セメントを使用する。
(c) 接着剤は、合成樹脂系のもので、ホルムアルデヒド放散量は、特記がなければ F☆☆☆☆のものを使用する。一般的には、アクリル樹脂系エマルション形や酢酸ビニル・アクリル共重合樹脂エマルション形のものなどが使用されている。
15.8.3 配合及び密度等
(a) 「標仕」では、防火材料として使用することを想定して、吹付けロックウールの配合及び密度を、「標仕」表15.8.1のように定めている。
なお、この配合は、吹付けロックウール(認定番号NM-8601)として認定された構造方法又は建築材料に適合している。
(b) 材料は、「標仕」で規定された品質が得られるように、所定の品質となるようにロックウールとセメントスラリーを現場で結合させる現場調合のもの(15.8.4 (b)(1)に対応)と、セメントとロックウールをあらかじめ工場で配合したもの(5.8.4 (b) (2)に対応)とがある。「標仕」表15.8.1の配合は、工場配合及び現場配合の両方に適用される。
(c) 「標仕」では、仕上げ吹付け厚さは、特記によることとしている。
15.8.4 施工
(a) 下地調整
下地調整は、下地の種類により必要に応じて行いコンクリート、プレキャストコンクリート部材、セメントモルタル及びコンクリートブロックの場合は、水湿しでドライアウト防止の調整を行い、ALCパネルの場合は、合成樹脂エマルションシーラーで吸込み防止の調整を行う。また、プレキャストコンクリート部材で、型枠はく離剤が塗られている場合は、接着力を高めるため合成樹脂エマルションシーラーで下地調整を行う。
(b) 吹付けは、次による。
(1) 現場配合のセメントスラリーによる半乾式工法の場合
(i) 専用吹付け機を使用し、作業開始に先立って予備運転を行い、吹付け機が安全、かつ、正常に作動するかを確認する。
(ii) 水100kgに対しセメント50kg (2袋)を標準とし、かくはん機でセメントスラリーを調合する。
(iii) ロックウールとセメントスラリーの吐出量を点検し「標仕」表15.8.1の範囲となるよう吐出量を調整する。
(iv) 吹付けは、吹付け機より輸送ホースを経て吹付けノズルより吐き出されるロックウールをノズルから噴霧されるセメントスラリーで混合させながら均一に吹き付ける。
(2) 工場配合の乾式工法の場合
(i) 専用吹付け機を使用し、作業開始に先立って予備運転を行い、吹付け機が安全、かつ、正常に作動するか、また、吹付けノズルにより水が正常に噴霧されるかを確認する。
(ii) 材料の吐出量及び噴霧水量を点検し、材料の吐出量に対し必要、かつ、十分な水量を保持できるように調整する。
(iii) 吹付けは、下塗りが乾かないうちに行い、吹付け機より輸送ホースを経て吹付けノズルより吐き出される材料をノズル周囲より噴霧される水で十分湿潤させながら均ーに吹き付ける。
(c) 表面仕上げ
(1) こて均し
吹付け終了後、均ーな所定厚さを確保するため、木製の平こてにて、こて均しして仕上げる。
(2) 表面硬化
こて均し終了後、吹付け材表面を硬化させる必要がある場合、セメントスラリー0.1〜0.2kg/m2程度の吹付けを行う。
15.8.5 施工後の確認
(a) 防火材料は吹付け完了後、厚さ及び密度の検査を行う。
なお、検査は施工者の管理担当者が行う。
(b) 吹付け厚さの確認は、7.9.8による。
(c) 密度の確認は、建物1層あるいは、1,000m2に付き5箇所とする。測定器及び計算方法は7.9.8による。
参考文献
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