03節 床コンクリート直均し仕上げ
15.3.1 適用範囲
(a) 床コンクリート直均し仕上げの適用の対象となるものは、次のように直均し仕上げのまま使用される場合と、張物・敷物等の下地がある。
なお、直均しのまま使用される工場・倉庫等の耐摩耗性を要求される床では、表面仕上げ材を散布して仕上げることもあり、「モノリシック仕上げ」とも呼ばれている。
(1) 一般室内床の張物・敷物等の下地
(2) 工場、倉庫、駐車場、建物外構等で耐摩耗性・ノンスリップ効果を要求される床仕上げ
(b) 「標仕」では、木ごて等によるタンピング仕上げまでを「標仕」6.6.6で規定し、木ごてによる中むら取り以降の工程について、この節で規定している。
15.3.2 床面の仕上り
仕上げの精度としては、一般室内床の場合で張物等の下地となるときも仕上げの精度が、そのまま張物仕上げ面に表れるので注意を要する。合成高分子系ルーフィングシート防水・塗膜防水の露出工法の場合も防水層の厚さが 1〜2mm程度であるため、下地の精度がそのまま仕上げ面に表れ、防水層の耐久性にも影響する。したがって、仕上げの程度については、それぞれ要求される精度が異なるので各部分の使用目的、用途等を十分に考えて仕上げを行う。
床コンクリート直均し仕上げの程度として、「標仕」表6.2.5では床コンクリート直均し仕上げの程度として平たんさの程度を 3mにつき 7mm以下としている。
なお、平たんさの測定方法については、(-社)日本建築学会「JASS 5 鉄筋コンクリート工事」に、日本建築学会規格としてJASS 5 T-604(コンクリートの仕上がりの平たんさの試験方法)が定められているので、参考にするとよい。
また、床の材料・施工に関連する団体、研究者、技術者等で構成される日本床施工技術研究協議会では、コンクリート床下地表面の凹凸や不陸の簡易測定方法を団体規格「コンクリート床下地表層部の諸品質の測定方法、グレード」(2006年4月)に定めているので、併せて参考にするとよい。
15.3.3 工 法
(a) コンクリートを打ち込む前に、床仕上げに必要な造り方定規やレーザーレベルの設置を行う。仕上げ精度が要求される場合にはガイドレール(鉄骨鉄筋コンクリートの場合はピアノ線等を張ることもある。)等を3.5〜4.0m間隔に設置し、基準となる造り方定規は鉄骨その他狂いの生じない箇所に設け、常に点検して正確に水平又は所要の勾配を保持するようにする。
(b) コンクリート打込み後、所定の高さに荒均しを行い、タンパ等で粗骨材が表面より沈むまでタンピングし同時に造り方定規にならい、定規ずりして平たんに敷き均す。
ガイドレール等の造り方定規は、定規均し後取り外し、その跡はコンクリートを充填し、木ごてで平らに均す。
壁や柱際等で均し定規等を使用できない部分は、特に不陸の生じないよう、十分に木ごて等でタンピングして平たんに均す。
定規均しをむらなく行ったのち、中むら取りを木ごてを用いて行う。
木ごてずりは、コンクリート面を指で押しても少ししか入らない程度になった時機に行う。
(c) 金ごて仕上げの初回は跨板の上に乗ってもほとんど沈まなくなったときに行い、セメントペースト類を十分に表面に浮き出させる。屋内の作業や多湿又はブリーデイングが多い場合、中ずりを木ごてで行うとよい。
金ごて中ずりは、こてむらと凹凸をなくして、表面が十分に平滑になるように行う。この場合、表面にペーストがあまり浮き出るほどこそをかけ過ぎてはならない。
(d) 金ごて仕上げの最終回は、コンクリートの硬さがとそのかかる最終段階の時機に、締まり具合を見ながら適切な力で押さえる。この最終の押さえは、コンクリートの調合、気温、スラブ厚さ等により、その時機の判断が難しく、真夜中になることもあるのでおろそかにならないように注意する。
(e) 粗面仕上げとする場合は(c)の工程ののち定規を当てがいデッキブラシ等で目通りよく粗面に仕上げる。
(f) こて仕上げに際しては移動歩み板等を使用し、直接コンクリート面上を歩行してはならない。
(g) 金ごて仕上げの段階で、コンクリートが締まり過ぎ、不陸・こてむらがとれなくなったりしたとき、セメントや水等を表面に散布したりすると、耐摩耗性がなくなったり、その部分がはく離するなどの支障を来す。部分的にモルタルを散布して押さえたときもタイミングが悪いとはく離し、モルタルの乾燥収縮等の影響によるひび割れ・はく離等の故照が生じやすいので注意する。
(h) 最近、機械ごて(トロウェル)が使用されることが多いが、夏季にスラブ硬化の速度が急激で人力では仕上げ作業が間に合わない場合や仕上げ作業の省力化目的で使用されている。しかし、比較的差し筋の多いスラブ、小さな間口部やだめ穴が多いスラブ等には、機械ごてを使用できない場合もある。
(i) 最終金ごて押えに機械ごてを用いる場合、押え過ぎに注意する。機械ごてを何度も強くかけ過ぎると故障が生じやすい。また、機械ごてを用いても、必ず最終仕上げは金ごてで行う。
15.3.4 養 生
表面仕上げ後はコンクリートが急激に乾燥しないように適切な養生を行う。一般には金ごて仕上げのまま、張物下地等では最終こて押え後、12時間程度を経てから 2〜3日間散水養生を行い、また、ポリエチレンシート等を敷き詰めるか、砂・おがくず等を敷き詰める。このようにしておけば上階のコンクリートのこぼれ、セメントペースト等も付着しにくくなる。防水下地等では散水養生を3日間以上続ける。特に夏期等急激な乾燥のないように注意する。
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