7節 アルミニウム製笠木
14.7.1 適用範囲
(a) 「標仕」ではアルミニウム製笠木は、通常の鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の屋上パラペットに使用するオープン形式(国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課「建築工事標準詳細図」の屋上パラペット(アルミニウム製笠木)参照)を想定している。
(b) 作業の流れを図14.7.1に示す。
図14.7.1 アルミニウム製笠木工事の作業の流れ
(c) 施工計画書等
(1) 施工計画書の記載事項は、おおむね次のとおりである。
なお、赤文字は品質計画に関する事項を示す。
@ 工程表(必要に応じて場所別の工程表の作成)
A 製造所名、施工業者及び管理組織
B 使用材料の材質(表面処理方法も含む)、寸法
C 風圧力及び積雪荷重に対応した固定金具の間隔、固定方法、管理の方法等
D 施工手順及び養生方法
(2) 施工図の検討は、次の事項について行う。
(i) 場所別割付け図
(ii) 各部取合いの納まり
(3) 見本品又はカタログを提出させ、設計担当者と打ち合わせて決定する。
14.7.2 材 料
(a) 「標仕」14.7.2では、アルミニウム製笠木の構成部材による種類を、250・300・350形の3種類とし、その適用は特記によるとしている。材質等については、JIS H 4100(アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材)に規定する種類及び等級がA6063S(普通級)のものとしている。
なお、断面寸法の許容差の普通級とは、建材に使用する押出形材の通常の精度を示したものである。
(b) また、「標仕」表14.7.1の最小呼称肉厚は、経済性を考慮し、かつ、耐久性、剛性等についての必要な性能を満たす寸法とし、表に示された寸法を上回るものは同等以上の材料と見なされている。
なお、部材の断面寸法に対する耐積雪耐力や耐風圧力等の安全性については、製品や設置条件等により異なるため、「標仕」14.7.3(a)の規定により、検討されることになる(14.7.3(c)(1)参照)。
(c) 笠木を受雷部システム(棟上げ導体)として利用する場合については、JIS A 4201(建築物等の雷保護)に断面寸法の最小値等が規定されているので注意する。
(d) 表面処理については、「標仕」14.7.2(c)では、特記によるとされている。一般的には、「標仕」表14.2.1のB-1種又はB-2種が適用されている(14.2.2参照)。
14.7.3 工 法
(a) アルミニウム製笠木の構成部材の概要及び取付け状態(図14.7.2及び3参照)製造所により細部で違いがあるが、構成部材の概要、取付けについて次に示す。
図14.7.2 部材の構成例
図14.7.3 笠木の取付け状態の例
(b) 笠木本体は固定金具に対し、はめあい方式により固定される断面形状のものである。
直線部材及びコーナ一部材(入隅、出隅)が用意されている。
(c) 笠木と笠木との継手部(ジョイント部)は、ジョイント金具とはめあい方式によりはめあい、取付けを行うものとする。ジョイント部はオープンジョイントを原則とし、温度変化による部材の伸縮への対応のため、5〜10mmのクリアランス(目地)を設ける(定尺が4m程度の場合)。
(1) 固定金具
(i) 固定金具は、通常1.3m程度の間隔で取り付けられるが、「標仕」14.7.3(a) (1)では、建築基準法に基づき定まる風圧力及び積雪荷重に対応した固定金具の間隔、固定方法等は特記によることとしている。
(ii) 固定金具は、パラペット天端にあと施エアンカー等により所定の位置に堅固に取り付ける。
(iii) コンクリート下地モルタル塗りの上に取り付ける場合は、コンクリート部分へのアンカー長さを確保する。
(2) ジョイント金具
笠木と笠木の各ジョイント部に取り付けられるジョイント金具は、笠木のジョイントでの雨水に対して排水機構の溝形断面形状をもつものとする。
(d) 施工上の注意
(1) 固定金具は笠木が通りよく、かつ、天端の水勾配が正しく保持されるように、あらかじめレベルを調整して取り付ける。
(2) あと施エアンカーによる固定金具、ジョイント金具の取付けに際して、特に強い風圧の予想される箇所に使用する場合は、風荷重に対して十分な引抜き耐力を有するようアンカーの径・長さ・取付け間隔を検討し、施工に注意する。
(3) 笠木部材の割付け
施工図により、割付け、各部の納まり(端部、壁付き、ほかとの取合い)及び取付け手顛を事前に検討する。
取付けは、コーナ一部分笠木(通常 l = 500mm程度)を先に取り付け、直線部材については、パラペット全体の形状を勘案し、定尺を中心に割り付ける。調整部分を中心部にもってくる方法、両端に割り振る方法、片端にもってくる方法がある。
(e) コーナー、その他の役物の笠木は、パラペットの形状によりあらかじめ用意するが、直角コーナー以外は特注となる場合が多い。各種コーナー笠木の例を図14.7.4に示す。
(イ) 入隅・出隅コーナー
(ロ) T字形ジョイント
(ハ) Z形コーナー
(ニ) 角違いコーナー
(ホ) 下り勾配
(ヘ) 上がり勾配
(ト) 幅違いコーナー
(チ) Rコーナー
図14.7.4 各種コーナー笠木の例