令和4年度 2級建築施工管理技術検定(前期)
第一次検定問題 [ No.01 ] 〜[ No.14 ] 解答・解説令和4年6月12日(日)※
問題番号[ No.1 ] 〜[ No.14 ] までの
14問題のうちから、
9問題を選択し、解答してください。
[ No.1 ]
換気に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.全般換気方式は、室内全体の空気を外気によって希釈しながら入れ替える換気のことである。
2.局所換気方式は、局所的に発生する汚染物質を発生源近くで捕集して排出する換気のことである。
3.第1種機械換気方式は、映画館や劇場等外気から遮断された大きな空間の換気に適している。
4.第2種機械換気方式は、室内で発生した汚染物質が他室に漏れてはならない室の換気に適している。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
全般換気方式とは、室内全体の空気を外気によって希釈しながら、外気の空気と室内の空気を入れ替える換気方式をいう。なお、室内の一部の空気を入れ替える換気方式を局所換気という。
2.◯
局所換気方式とは、局所的に発生した有毒ガスや熱、臭気等の汚染物質を室全体に希釈、拡散させないように、発生源近くで捕集して排出する換気方式である。
3.◯
第1種機械換気方式は、給気、排気ともに送風機(ファン)などの機械換気を用いる換気方式で、映画館や劇場など外気から遮断された大空間の換気に適している。
4.×
第2種機械換気方式は、給気は送風機などの機械換気、排気は排気口による換気方式で、室外の汚染物質が室内に侵入してはならない室の換気に適している。室内で発生した汚染物質が他室に漏れてはならない室の換気には、給気は給気口、排気は送風機などの機械換気を用いた第3種機械換気方式が適している。
第1種換気
第2種換気
第3種換気
[ No.2 ]
採光及び照明に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.輝度は、光源からある方向への光度を、その方向への光源の見かけの面積で除した値をいう。
2.昼光率は、全天空照度に対する室内のある点の天空光による照度の割合である。
3.光源の色温度が低いほど青みがかった光に見え、高いほど赤みがかった光に見える。
4.照度の均斉度が高いほど、室内の照度分布は均一になる。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
輝度とは、光源からある方向への光度を、その方向への光源の見かけの面積で除した値である。単位は、[ cd/m2]で表される。なお、光度とは、光源から単位立体角当たりに発する光束をいい、単位は [ cd(カンデラ) ]で表される。
2.◯
全天空照度とは、すべての障害物を取り払った全天空からの直射光を除く照度をいう。全天空照度に対する室内の測定点の照度の比を百分率 [ % ] で表したものを昼光率という。
D(昼光率)=
E(室内の測定点の照度 [ lx ])/ Es(全天空照度 [ lx ])× 100(%)
3.×
色温度とは、光色を同じ色の黒体(完全放射体)の温度で表したもので、色温度が低くなると赤みががった光色、色温度が高くなると青みがかった光色となる。
4.◯
照度とは、被照射面の単位面積当たりに入射する光束の量で、均斉度が高いほど、室内の照度分布は均一になる。
[ No.3 ]
音に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.吸音率は、壁面に入射した音のエネルギーに対する吸収された音のエネルギーの割合である。
2.正対する反射性の高い壁面が一組だけ存在する室内では、フラッターエコーが発生しやすい。
3.窓や壁体の音響透過損失が大きいほど、遮音性能は高い。
4.材料が同じ単層壁の場合、壁の厚さが厚いほど、一般に音響透過損失は大きくなる。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
物体に入射した音は、反射、吸収、透過する。吸音率とは、入射する音のエネルギーに対する反射音以外の音のエネルギー(吸収音と透過音の音のエネルギーの和)の割合をいう。
2.◯
フラッターエコーとは、反射音における音響障害のことで、平行な2つの壁で起こる現象である。正対する反射性の高い壁面が一組だけ存在する室内では、フラッターエコーが発生しやすい。
3.◯
遮音とは、壁などに入射する音を吸収又は反射させて、透過させないようにすることをいう。また、音響透過損失とは、材料や構造体の遮音の程度を表す量であり、音が壁や窓などを透過するときの損失するエネルギーを表す。よって、窓や壁体の音響透過損失が大きいほど、遮音性能は高い。
4.◯
音響透過損失
= 入射音の強さ[ dB ] ー 透過音の強さ [ dB ]
となる。
したがって、音の音響透過損失はその値が大きいほど遮音性能が高く、単層壁の透過損失は、同じ材料の場合、厚さが厚いほど大きい。
[ No.4 ]
鉄筋コンクリート構造に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.大梁は、曲げ破壊よりもせん断破壊を先行するように設計する。
2.柱は、軸方向の圧縮力、曲げモーメント及びせん断力に耐えられるように設計する。
3.床スラブの厚さは、8cm以上で設計する。
4.耐力壁の厚さは、12cm以上で設計する。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
大梁などの破壊形式は、脆性破壊(粘りがなくもろい破壊)を生じさせないために、降伏しながら変形が進むうちに地震エネルギーを吸収できる曲げ降伏型とする。せん断破壊は、脆性破壊の要因となる。
2.◯
柱は、梁とともにラーメン構造の骨組を構成している。地震時には鉛直荷重による圧縮力のほか、大きな曲げモーメントとせん断力が生じるのでこれに耐えられるように設計する。また、柱はできるだけ等間隔に配置し、基本的に各階とも同じ位置になるようにする。
3.◯
床スラブの厚さは、8cm以上で設計しなければならない。構造耐力上主要な部分である床版は、建築基準法施行令第77条の2第1項で以上のように定める構造としなければならないと規定されている。
一 厚さは、8cm以上とし、かつ、短辺方向における有効張り間長さの 1/40以上とすること。
二 最大曲げモーメントを受ける部分における引張鉄筋の間隔は、短辺方向において 20cm以下、長辺方向において 30cm以下で、かつ、床版の厚さの3倍以下とすること。
4.◯
耐力壁の厚さは、12cm以上で設計しなければならない。耐力壁は、同法施行令第78条の2第1項で以下のように定める構造としなければと規定されている。
一 厚さは、12cm以上とすること。
二 開口部周囲に径12mm以上の補強筋を配置すること。
三 径 9mm以上の鉄筋を縦横に 30cm(複配筋として配置する場合においては 45cm)以下の間隔で配置すること。ただし、平家建ての建築物にあっては、その間隔を 35cm(複配筋として配置する場合においては、50cm)以下とすることができる。
四 周囲の柱及びはりとの接合部は、その部分の存在応力を伝えることができるものとすること。
[ No.5 ]
鉄骨構造に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.圧縮材は、細長比が小さいものほど座屈しやすい。
2.軽量鉄骨構造に用いる軽量形鋼は、通常の形鋼に比べ、部材にねじれや局部座屈が生じやすい。
3.鉄骨構造の柱は、鉄筋コンクリート構造の柱に比べ、小さな断面で大きな荷重に耐えることができる。
4.大空間を必要とする建築物に用いる長大な梁は、軽量化を図るためにトラス梁とすることが多い。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
細長比とは、部材の細長さを示すもので、細長いものほど細長比が大きい。したがって、圧縮材は、細長比が大きいものほど、細長くなり、座屈しやすい。
2.◯
軽量鉄骨構造に用いる軽量形鋼は、通常の形鋼に比べて、厚みが小さく軽量に製造されており、強度が低いので、部材にねじれや局部座屈が生じやすい。
3.◯
鉄骨構造の骨組の部材は、鉄筋コンクリート構造の部材に比べて、部材の断面積当たりの強度が高く、小さな断面の部材で大きな荷重に耐えることが可能である。
4.◯
トラス構造とは、三角形を組み合わせた構成の構造形式で、比較的細い部材で、大きな空間をつくることができるという特徴がある。
[ No.6 ]
鉄骨構造に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.フィラープレートは、厚さの異なる板をボルト接合する際に、板厚の差による隙間を少なくするために設ける部材である。
2.添え板(スプライスプレート)は、梁のウェブの座屈防止のために設ける補強材である。
3.柱の形式には、形鋼等の単一材を用いた柱のほか、溶接組立箱形断面柱等の組立柱がある。
4.合成梁に用いる頭付きスタッドは、鉄骨梁と鉄筋コンクリート床スラブが一体となるように設ける部材である。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
フィラープレートとは、厚さの異なる板をボルト接合する際に、板厚の差による隙間を少なくするために挿入する板状の部材をいう。
2.×
添え板(スプライスプレート)は、柱や梁の高力ボルト接合に用いられる部材である。梁のウェブの座屈防止のために設ける補強材は、スチフナーである。
3.◯
鉄骨構造の柱の形式には、H形鋼等の形鋼の単一材を用いた柱のほか、溶接組立箱形断面柱等の組立柱がある。
4.◯
頭付きスタッドとは、鉄骨と鉄筋コンクリートで構成される合成梁において、鉄骨に対するコンクリートの付着性をよくするために設けられる部材である。
[ No.7 ]
基礎構造に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.べた基礎は、地盤が軟弱で、独立基礎の底面が著しく広くなる場合に用いられる。
2.杭基礎は、一般に直接基礎で建築物自体の荷重を支えられない場合に用いられる。
3.同一建築物に杭基礎と直接基礎等、異種の基礎を併用することは、なるべく避ける。
4.直接基礎の底面は、冬季の地下凍結深度より浅くする。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
べた基礎とは、直接基礎の一種で、底板のコンクリート一面と基礎の立上がりとが一体になっている基礎のことをいう。特徴として、地盤が軟弱で、独立基礎の底面が著しく広くなる場合に用いられる。
2.◯
杭基礎は、一般的に地盤が軟弱で支持層が深い位置にあり、直接基礎では建物を十分支持できない場合に用いられる。
3.◯
基礎は、直接地盤に支持させる直接基礎と杭に支持させる杭基礎に大別される。同一建築物に杭基礎と直接基礎など、異なる種類の基礎を併用しないようにする。
4.×
地下凍結深度とは、温水が氷点下になる地表からの深さをいう。直接基礎の底面は、冬季の地下凍結深度より深くする。
[ No.8 ]
構造材料の力学的性質に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.部材の材軸方向に圧縮力が生じているとき、その力がある限界を超えると、その部材が安定を失って曲がる現象を座屈という。
2.ヤング係数は、熱による材料の単位長さ当たりの膨張長さの割合である。
3.ポアソン比とは、一方向の垂直応力によって材料に生じる縦ひずみと、これに対する横ひずみの比をいう。
4.座屈荷重は、座屈軸まわりの断面二次モーメントに比例する。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
座屈とは、細長い材の材軸方向に圧縮力が生じているとき、その力がある限界を超えると、その材が安定を失って曲がる現象を現象という。
2.×
ヤング係数とは、弾性係数の一つで、垂直応力度と材軸方向のひずみ度との比(σ/ε)をいう。ヤング係数の大きな物体は剛性が高い性質を有している。熱による材料の単位長さ当たりの膨張長さの割合は、線膨張係数という。
3.◯
ポアソン比とは、横のひずみ度ε’を縦のひずみ度εで除した値をいう。
−ε’/ε = 1/m
( m = 1/ (1/ポアソン比) )
をポアソン数といい、材料によって一定である。
4.◯
座屈荷重とは、座屈を生じさせる荷重の大きさをいう。また、断面二次モーメントとは、部材の曲げにくさを表す値である。座屈に対する抵抗力が最も大きい場所(曲げづらい)及び図心を通る軸を強軸という。座屈荷重が大きくなれば大きくなるほど、この強軸の断面二次モーメントは比例して大きくなる。
[ No.9 ]
図に示す単純梁ABに集中荷重P1及びP2が作用するとき、CD間に作用するせん断力の値の大きさとして、
正しいものはどれか。
1.1 kN 2.3 kN 3.4 kN 4.5 kN
答え
1
[ 解答解説 ]
点AにおけるモーメントをMAとすると、
MA = 0より
MA = 3kN × 2m + 6kN × 4m − VB [ kN ] × 6m =0
よって、VB = 5kN ・・・@
鉛直方向の力のつり合いより
VA [ kN ] + VB [ kN ] − 3kN − 6kN = 0
VA + VB = 9kN
@を代入して、VAについて解くと
VA = 4kN
よって、せん断力図(Q図)は以下のようになる。
VA = 4kNより、A点はプラス方向に4とし、C点へせん断力が伝わる。
P1 = 3kNより、C点で 4 – 3 = 1kNとなり、D点まで伝わる。
よって、CD間に作用するせん断力は1kNとなる。
D点では、P2 = 6kNにより、1-6 =−5kNとなり、B点へ伝わる。
B点は、VB = −5kNより、−5 + 5 = 0kNとなり、
せん断力図が完成する。
ゆえに、CD間に作用するせん断力は、1kNなので、
正答肢は 1
[ No.10 ]
図に示す片持ち梁ABの点Cに曲げモーメントMが作用する場合の曲げモーメント図として、
正しいものはどれか。ただし、曲げモーメントは、材の引張側に描くものとする。
答え
2
[ 解答解説 ]
片持ち梁に集中モーメントが生じている場合のモーメント図は、下図のようになる。
AC間はなんの荷重も作用していないフリーの状態である。
C点で曲げモーメントが生じているので、選択肢2 のようになる。
[ No.11 ]
鋼の一般的な性質に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.弾性限度内であれば、引張荷重を取り除くと元の状態に戻る。
2.炭素含有量が多くなると、溶接性は向上する。
3.熱処理によって、強度等の機械的性質を変化させることができる。
4.空気中で酸化し、錆を生じるため、防食を施す必要がある。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
鋼に引張荷重を加えると伸びるが、加えられた引張荷重が鋼の弾性限度内であれば、引張荷重を取り除くと元の状態に戻る。
2.×
鋼は、炭素の含有量が増加すると溶接性が低下し、溶接しにくくなる。
3.◯
鋼は、焼入れ、焼きなましなどの熱処理によって、強度等の機械的性質を変化させることができる。
4.◯
鋼は、空気中で酸化するため、錆を生じさせないよう防食処理を施す必要がある。
[ No.12 ]
日本産業規格(JIS)に規定する建具の性能試験における性能項目に関する記述として、
不適当なものはどれか。
1.防火性とは、火災時の延焼防止の程度をいう。
2.面内変形追随性とは、地震によって生じる面内変形に追随し得る程度をいう。
3.水密性とは、風雨による建具室内側への水の浸入を防ぐ程度をいう。
4.遮熱性とは、熱の移動を抑える程度をいう。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
防火性とは、火災時の拡大防止の程度と規定されている。(JIS A 1513)
2.◯
面内変形追随性とは、地震によって生じる面内変形に追随し得る程度と規定されている。(JIS A 1513)
3.◯
水密性とは、風雨による建具室内側への水の浸入を防ぐ程度と規定されている。(JIS A 1513)
4.×
遮熱性とは、日射熱を遮る程度と規定されている。熱の移動を抑える程度は、断熱性である旨、規定されている。(JIS A 1513)
[ No.13 ]
シーリング材の特徴に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.ポリウレタン系シーリング材は、紫外線によって黄変することがある。
2.ポリサルファイド系シーリング材は、表面に塗った塗料を変色させることがある。
3.シリコーン系シーリング材は、表面への塗料の付着性がよい。
4.アクリル系シーリング材は、未硬化の状態では水に弱く、雨に流されやすい。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
ポリウレタン系シーリング材は、耐候性が劣ることや、紫外線によって黄変することが特徴である。
2.◯
ポリサルファイド系シーリング材は、表面の仕上塗材や塗料を変色、軟化させることがある。また、ムーブメントの大きい目地には適さない。
3.×
シリコーン系シーリング材は、表面への塗料の付着性が悪いが、耐候性、耐熱性、耐寒性及び耐久性に優れている。
4.◯
アクリル系シーリング材は、水性タイプのシーリング材であり、未硬化の状態では水に弱く、雨に流されやすいことが特徴である。
[ No.14 ]
内装材料に関する一般的な記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.インシュレーションボードは、断熱性に優れている。
2.ロックウール化粧吸音板は、吸音性、耐水性に優れている。
3.フレキシブル板は、セメント、無機質繊維を主原料とし、成形後に高圧プレスをかけたものである。
4.せっこうボードは、せっこうを心材として両面をボード用原紙で被覆して成形したものである。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
インシュレーションボードは、天然の木材繊維を絡ませて多孔質のボードに成形したものをいい、断熱性に優れている。
2.×
ロックウール化粧吸音板は、吸音性に優れている。吸水すると強度が低下するので、耐水性には優れていない。
3.◯
フレキシブル板は、無機質(石綿以外)の繊維を多く配合し、高圧プレスをかけたものであり、強度が高く、可とう性がある。床・間仕切・内外装・天井に用いる。
4.◯
せっこうボードは、せっこうを心材として両面をボード用原紙で被覆し、板状に成形したものであり、壁及び天井に防・耐火構造を形成する材料として使用される。