【 応用能力問題 】
■ 躯体工事 ■
( 1 )
鉄筋の継手に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。(令和4年前期_No.39)
1.鉄筋の継手には、重ね継手、圧接継手、機械式継手、溶接継手等がある。
2.重ね継手の長さは、コンクリートの設計基準強度にかかわらず同じである。
3.フック付き重ね継手の長さには、フック部分の長さを含める。
4.鉄筋の継手の位置は、原則として、構造部材における引張力の小さいところに設ける。
答え
2,3
[ 解答解説 ]
1.◯
鉄筋継手は、重ね継手、ガス圧接継手、溶接継手、機械式継手などがある。(日本鉄筋継手協会)
2.×
鉄筋の重ね継手の長さは、コンクリートの設計基準強度の違いにより異なる場合がある。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 5.3.4(3)(イ))
3.×
フック付き定着とする場合の重ね継手の長さは、定着起点からフックの折曲げ開始点までの距離とし、フックの折曲げ開始点から末端までの距離を含まない。
4.◯
建築基準法施行令第73条第2項「主筋又は耐力壁の鉄筋の継手の重ね長さは、継手を構造部材における引張力の最も小さい部分に設ける場合にあっては、主筋等の径の25倍以上とし、継手を引張り力の最も小さい部分以外の部分に設ける場合にあっては、主筋等の径の40倍以上としなければならない。」の規定を適用しない鉄筋の継手は、構造部材における引張力の最も小さい部分に設ける圧縮継手、溶接継手及び機械式継手で、それぞれの規定による構造方法を用いるものとする。
( 2 )
鉄筋の加工及び組立てに関する記述として、不適当なものを2つ選べ。(令和3年後期_No.39)
1.鉄筋の折曲げ加工は、常温で行う。
2.壁筋は、鉄筋相互の交点の半数以上を結束する。
3.鉄筋相互のあきの最小寸法は、鉄筋の強度によって決まる。
4.鉄筋末端部のフックの余長の最小寸法は、折曲げ角度が大きいほど長くなる。
答え
3,4
[ 解答解説 ]
1.◯
鉄筋の折曲げ加工は、常温で加工(冷間加工)して組み立てる。
2.◯
交差する鉄筋相互の結束は、帯筋、あばら筋では四隅の交点で全数、その他の交点の半数以上、スラブ、壁では交点の半数以上を標準とする。
3.×
鉄筋のあき・間隔の最小寸法は、鉄筋の径と粗骨材の最大寸法によって決まる。鉄筋のあきは、鉄筋とコンクリートの付着による応力の伝達が十分に行われ、かつコンクリートが分離することなく密実に打ち込まれるよう過小であってはならない。
4.×
鉄筋末端部のフックの余長は、折曲げ角度180°の場合は 4d以上、135°の場合は6d以上、90°の場合は 8d以上であり、折曲げ角度が大きいほど短くなる。
( 3 )
型枠の締付け金物等に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。(令和3年前期_No.39)
1.セパレータは、せき板に対して垂直となるよう配置した。
2.打放し仕上げとなる外壁コンクリートの型枠に使用するセパレータは、コーンを取り付けないものを用いた。
3.塗り仕上げとなる壁コンクリートの型枠に使用するフォームタイと座金は、くさび式を用いた。
4.柱の型枠に用いるコラムクランプは、セパレータと組み合わせて使用した。
答え
2,4
[ 解答解説 ]
1.◯
型枠は、コンクリートに垂直に接するせき板、せき板を支える支保工及びせき板と支保工を緊結するセパレータ、締付け金物等からなり、セパレータは、せき板に対して直交するように設置する。
2.×
打放し仕上げや直接塗装仕上げとなる外壁コンクリートの型枠に使用するセパレータは、コーンを取り付けたものを用いる。型枠解体後、セパレータの穴はモルタルで埋めて仕上げる。
3.◯
塗り仕上げとなる壁コンクリートの型枠に使用するフォームタイと座金は、くさび式を用いるのが一般的である。
4.×
周囲に壁がついていない独立柱の型枠の組立てには、セパレータやフォームタイが不要なコラムクランプ(柱型枠締付金具)が用いられる。したがって、柱の型枠に用いるコラムクランプは、セパレータと組み合わせずに使用される。
( 4 )
レディーミクストコンクリートに関する記述として、不適当なものを2つ選べ。(令和3年前期_No.40)
1.コンクリート荷卸し時のスランプの許容差は、スランプの値に関係なく一定である。
2.コンクリートに含まれる塩化物は、原則として塩化物イオン量で0.30kg/m3以下とする。
3.空気量の許容差は、普通コンクリートよりも高強度コンクリートの方が大きい。
4.単位水量は、最大値を185kg/m3とし、所定の品質が確保できる範囲内で、できるだけ少なくする。
答え
1,3
[ 解答解説 ]
1.×
公共建築工事標準仕様書では、コンクリートのスランプの許容差は、スランプが 8cm未満の場合は ±1.5cm、スランプが 8cm以上18cm以下の場合は ±2.5cm、スランプが18cmを超える場合は、±1.5cmである。したがって、コンクリート荷卸し時のスランプの許容差は、スランプの値により異なる。
2.◯
コンクリートに含まれる塩化物HA、鉄筋の腐食原因となるので、原則として塩化物イオン量で、0.3kg/m3以下とする。
3.×
普通コンクリートの空気量は 4.5±1.5%である。高強度コンクリートの空気量は 4.5±1.5%である。(JIS A 5308:2019 レディミクストコンクリート)したがって、空気量の許容差は、普通コンクリートも高強度コンクリートも同じである。
4.◯
コンクリート1m3当たりの水の質量 [ kg ] である単位水量は、最大値を 185kg/m3とし、所定の品質が確保できる範囲内で、できるだけ少なくする。
( 5 )
鉄骨の加工に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。(令和4年後期_No.39)
1.鋼材の加熱曲げ加工は、青熱脆性域で行った。
2.鋼材のガス切断は、自動ガス切断機を用いた。
3.板厚が13mm以下の鋼材のアンカーボルト孔は、せん断孔あけで加工した。
4.高力ボルトの孔径は、高力ボルトの公称軸径に5mmを加えた値とした。
答え
1,4
[ 解答解説 ]
1.×
200〜400℃の範囲は青熱脆性域といわれ、鋼材が常温よりもろくなるので、この範囲での加熱による曲げ加工は行ってはならない。JASS6では、通常赤熱状態(850〜900℃の温度範囲)で行うこととしている。
2.◯
ガス切断法とは、鉄と酸素の急激な化学反応を利用した切断法であり、用いる機器としては手動ガス切断器、自動ガス切断機、形鋼切断機、鋼管切断機、フレームプレーナ、NCガス切断機等がある。(建築工事監理指針)
3.◯
板厚が13mm以下の場合に限り、せん断加工機を使用することができる。(JASS6)せん断加工は、速度は速いが、切断面のまくれ・かえり等が発生し、板の変形、接断面の硬化などの問題がある。
4.×
高力ボルト孔の径は、高力ボルトの径より2mmを加えたてはならない。ただし、高力ボルトの径が27mm以上であり、かつ、構造耐力上支障がない場合においては、高力ボルト孔の径を高力ボルトの径より3mmまで大きくすることができる。(建築基準法施行令第68条第2項)
( 6 )
鉄骨の建方に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。(令和4年前期_No.40)
1.玉掛け用ワイヤロープでキンクしたものは、キンクを直してから使用した。
2.仮ボルトの本数は、強風や地震等の想定される外力に対して、接合部の安全性の検討を行って決定した。
3.油が付着している仮ボルトは、油を除去して使用した。
4.建方時に用いた仮ボルトを、本締めに用いるボルトとして使用した。
答え
1,4
[ 解答解説 ]
1.×
事業者は、キンク(ねじれ、よじれ)したワイヤロープをクレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛用具として使用してはならない。(クレーン等安全規則第215条)キンクしたものは、直しても強度が低下している可能性が高いため使用しない。
2.◯
仮ボルトは、建方作業における部材の組立に使用し、本締め又は溶接までの間、予想される外力に対して架構の変形及び倒壊を防ぐためのである。
3.◯
建方時、仮ボルトに油が付着している場合は、ウエス等で油を除去して使用する。油が付着しているとゆるむ可能性がある。
4.×
本締め時に仮ボルトを使用すると、精度調整などでねじ山が傷むなどの不具合が生じ、本締め時に正規の軸力が導入されない可能性があるため、使用しない。
( 7 )
在来軸組構法における木工事に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。(令和3年後期_No.40)
1.土台を固定するアンカーボルトは、土台の両端部や継手の位置、耐力壁の両端の柱に近接した位置に設置した。
2.根太の継手は、大引の心を避けて突付け継ぎとし、釘打ちとした。
3.火打梁は、柱と梁との鉛直構面の隅角部に斜めに入れた。
4.内装下地や造作部材の取付けは、屋根葺き工事が終わった後に行った。
答え
2,3
[ 解答解説 ]
1.◯
「木造住宅工事仕様書:住宅金融支援機構」において、土台を固定するアンカーボルトは、土台の両端部や継手の位置、耐力壁の両端の柱に近接した位置に設置する旨が規定されている。
2.×
根太の継手位置は、大引等の受け材の心として、突付け継ぎとし、釘打ちとした。
3.×
火打梁は、梁と梁との水平構面の隅角部に斜めに入れる。
4.◯
一般的に、内装下地や造作部材の取付けは、屋根葺き工事が終わり、建物内への雨水浸入のおそれがなくなった後に行う。
( 8 )
鉄筋コンクリート造建築物の解体工事に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。(令和4年後期_No.40)
1.解体作業に先立ち、各種設備機器の停止並びに給水、ガス、電力及び通信の供給が停止していることを確認した。
2.壁及び天井のクロスは、せっこうボードと一緒に撤去した。
3.騒音防止やコンクリート片の飛散防止のため、全面をメッシュシートで養生した。
4.各階の解体は、中央部分を先行して解体し、外周部を最後に解体した。
答え
2,3
[ 解答解説 ]
1.◯
建設工事に係る資材の再資源化の関する法律施行規則第2条第3項には、「建築物の係る解体工事の工程は、次に掲げる順序に従わなければならない。」と規定されている。
@建築設備、内装材その他の建築物の部分(屋根ふき材、外装材及び構造耐力上主要な部分)の取り外し
A屋根ふき材の取り外し
B外装材並びに構造耐力上主要な部分のうち基礎及び基礎ぐいを除いたものの取り壊し
C基礎及び基礎ぐいの取り壊し
そのため、解体作業に先立ち、各種設備機器の停止並びに給水、ガス、電力及び通信の供給が停止していることを確認する。確認の後に設備機器を解体する。
2.×
せっこうボードの表面に仕上材として使用されているクロス類はできる限り分離・分別を行う。(国土交通省 廃石膏ボード現場分別解体マニュアル)
3.×
騒音・粉塵等の対策として、防音パネルを隙間なく取り付けることや、防音シートをジョイントの重ねと十分に結束して設置することがある。メッシュシートではない。
4.◯
解体は、まず作業開始面の外壁を1面解体し、躯体外周部をコの字型に残し、中央部分を先行して解体する。外周部を自立状態にする場合は、その高さは2層以下とし、安全性を確認する。