学科試験問題 [ No.01 ] 〜[ No.14 ] 解答・解説
令和2年11月8日(日)
※問題番号[ No. 1 ]〜[ No. 14 ]までの14問題のうちから、9問題を選択し、解答してください。
[ No. 1 ]
換気に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.第1種機械換気方式は、地下街や劇場など外気から遮断された大きな空間の換気に適している。
2.第2種機械換気方式は、室内で発生した汚染物質が他室に漏れてはならない室の換気に適している。
3.事務室における必要換気量は、在室者の人数でその値が変動し、室の容積に関係しない。
4.室内外の空気の温度差による自然換気では、温度差が大きくなるほど換気量は多くなる。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
第1種機械換気方式は、給気、排気ともに送風機(ファン)などの機械換気を用いる換気方式で、地下街や劇場など外気から遮断された大きな空間の換気に適している。
2.×
第2種機械換気方式は、給気は送風機などの機械換気、排気は排気口による換気方式で、室外の汚染物質が室内に侵入てはならない室の換気に適している。室内で発生した汚染物質が他室に漏れてはならない室の換気方式は、給気が給気口、排気が送風機などの機械換気を用いた第3種機械換気方式である。
3.◯
事務室の必要換気量は、在室者の人数により算定され、室の容積には直接関係しない。
4.◯
室内外の空気の温度差による自然換気では、温度差が大きくなるほど、空気の密度差が大きくなり、換気量は多くなる。
[ No. 2 ]
照明に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.光束は、視感度に基づいて測定された単位時間当たりの光のエネルギー量である。
2.照度は、単位面積当たりに入射する光束の量である。
3.輝度は、光源の光の強さを表す量である。
4.グレアは、高輝度な部分や極端な輝度対比などによって感じるまぶしさである。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
光束とは、人の視感度に基づいて測定された単位時間当たりの光のエネルギー量と定義されている。
2.◯
照度とは、被対象面に単位面積当たりに入射する光束の量と定義されている。
3.×
光源の光の強さを表す量は、光度である。輝度とは、ある方向への光源の単位投影面積当たりの光度と定義され、人が感じるまぶしさを表す量である。
4.◯
グレアとは、輝度の高い部分や極端な輝度対比などにより、人が感じるまぶしさのことをいう。なお、輝度対比とは、対象物と周辺や背景との輝度の相違の程度をいう。
[ No. 3 ]
吸音及び遮音に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.遮音とは、壁などに入射する音を吸収又は透過させて反射させないようにすることをいう。
2.遮音による騒音防止の効果を上げるには、壁や窓などの透過損失の値を高めるようにする。
3.有孔板と剛壁の間に空気層があるとき、主に中音域の音を吸音する。
4.グラスウールなどの多孔質材料は、主に高音域の音を吸音する。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
遮音とは、壁などに入射する音を、吸収又は反射させて、透過させないようにすることをいう。
2.◯
透過損失とは、音が壁や窓などを透過するときに損失するエネルギーを表す。透過損失が大きいと、音が透過しにくくなり、遮音効果が大きくなる。
3.◯
吸音のため合板などに孔をあけた有孔板とコンクリート壁などの剛壁の間に空気層がある壁は、主に中音域の音を吸音に効果がある。中音域とは、800Hz〜2kHzの周波数帯域の音域で、人の聴覚が最も認識しやすい帯域である。尚、人の可聴音域は、一般に 低周波20Hz〜高周波20kHzである。
4.◯
グラスウールなどの多孔質材料は、主に高音域の音を吸音に効果がある。高音域とは、2kHz〜20kHzの周波数帯域の音域である。
[ No. 4 ]
鉄筋コンクリート構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.片持ちスラブの厚さは、原則として、持出し長さの1/10以上とする。
2.柱の最小径は、原則として、その構造耐力上主要な支点間の距離の1/20以上とする。
3.腰壁やたれ壁が付いた柱は、地震時にせん断破壊を起こしやすい。
4.大梁は、せん断破壊よりも曲げ降伏が先行するように設計する。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
片持ちスラブ(チャンチスラブ)とは、ひさしやバルコニーのように突出した床のことをいう。片持ちスラブの厚さは、持出し長さ(突出している長さ)の1/10以上とする必要がある。
2.×
柱の最小径は、その構造耐力上主要な支点間の距離の 1/15 以上とする。ただし、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。(建築基準法施行令第77条第五号)
3.◯
腰壁やたれ壁が付いた短柱は、地震発生時にせん断破壊を起こしやすい。
4.◯
大梁は、せん断破壊される前に曲がるよう、せん断破壊よりも曲げ降伏が先行するように設計する。
[ No. 5 ]
鉄骨構造の一般的な特徴に関する記述として、鉄筋コンクリート構造と比べた場合、最も不適当なものはどれか。
1.骨組の部材は、工場で加工し、現場で組み立てるため、工期を短縮しやすい。
2.骨組の部材は、強度が高いため、小さな断面の部材で大きな荷重に耐えることができる。
3.構造体は、剛性が大きく、振動障害が生じにくい。
4.同じ容積の建築物では、構造体の軽量化が図れる。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
鉄骨構造の骨組の部材は、工場で加工し、現場で組み立てるので、現場での加工が不要なため、工期を短縮しやすい。
2.◯
鉄骨構造の骨組の部材は、鉄筋コンクリート構造の部材に比べて、部材の断面積当たりの強度が高く、小さな断面の部材で大きな荷重に耐えることが可能である。
3.×
鉄骨構造の構造体は、鉄筋コンクリート構造の構造体に比べて、剛性が小さく、振動障害が発生しやすい。
4.◯
鉄骨構造の構造体は、鉄筋コンクリート構造に比べて、小さな断面の部材で大きな荷重に耐えることが可能なので、同じ容積の建築物では構造体の軽量化が可能である。
[ No. 6 ]
鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.ガセットプレートは、節点に集まる部材相互の接合のために設ける部材である。
2.添え板(スプライスプレート)は、梁のウェブの座屈防止のために設ける補強材である。
3.ダイアフラムは、柱と梁の接合部に設ける補強材である。
4.合成梁に用いる頭付きスタッドは、鉄骨梁と鉄筋コンクリート床スラブが一体となるように設ける部材である。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
ガセットプレートは、節点おける部材相互の接合に用いられる部材である。
2.×
添え板(スプライスプレート)は、柱や梁の継手の接合に用いられる部材である。梁のウェブの座屈防止のために設ける補強材は、スチフナーである。
3.◯
ダイアフラムは、柱と梁の接合部に設ける補強材である。
4.◯
頭付きスタッドとは、鉄骨と鉄筋コンクリート構成される合成梁において、鉄骨に対するコンクリートの付着性をよくするために設けられる部材である。
[ No. 7 ]
杭基礎に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.場所打ちコンクリート杭工法には、アースオーガーを使用するプレボーリング拡大根固め工法がある。
2.SC杭(外殻鋼管付きコンクリート杭)は、一般に継杭の上杭として、PHC杭(遠心力高強度プレストレストコンクリート杭)と組み合わせて用いられる。
3.鋼杭は、地中での腐食への対処法として、塗装やライニングを行う方法、肉厚を厚くする方法等が用いられる。
4.既製杭工法には、鋼管の先端を加工した鋼管杭本体を回転させて地盤に埋設させる回転貫入工法がある。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
アースオーガーを使用するプレボーリング拡大根固め工法は、現場でコンクリートを打設する場所打ちコンクリート杭工法ではなく、既製コンクリート杭を挿入する既製杭工法である。
2.◯
SC杭(外殻鋼管付きコンクリート杭)は、一般に、杭を継いで用いる継杭の上部の杭、上杭としてPHC杭(遠心力高強度プレストレストコンクリート杭)と組み合わせて用いられる。
3.◯
鋼杭の地中での腐食防止方法には、塗装やライニング(被覆)を行う方法や、腐食による減肉を見込んで鋼杭の肉厚を厚くする方法等がある。
4.◯
既製杭工法の回転貫入工法は、鋼管の先端を翼状に加工し、鋼管杭を回転させて地盤に鋼管杭を貫入、埋設させる工法である。
[ No. 8 ]
建築物の構造設計における荷重及び外力に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.固定荷重は、建築物各部自体の体積にその部分の材料の単位体積質量及び重力加速度を乗じて計算する。
2.積雪荷重は、雪下ろしを行う慣習のある地方では、低減することができる。
3.地震力は、建築物の固定荷重又は積載荷重を減ずると小さくなる。
4.風圧力は、地震力と同時に作用するものとして計算する。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
建築物の各部の固定荷重を当該建築物の実況に応じて計算する場合は、建築物各部の体積にその部分の材料の単位体積質量と重力加速度を乗じて算定する。
2.◯
雪下ろしを行う慣習のある地方においては、その地方における垂直積雪量が1mを超える場合において、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができる。(建築基準法施行令第86条第6項)
3.◯
建築物の地上部分の地震力は、当該部分の固定荷重と積載荷重との和に当該高さにおける地震層せん断力係数を乗じて計算しなければならないため、固定荷重又は積載荷重が小さくなると地震力も小さくなる。(建築基準法施行令第88条第1項)
4.×
短期に生ずる力の応力の組み合わせにおいて、風圧力と地震力、多雪区域を除いた積雪荷重は同時に作用しないものとして、積雪時、暴風時、地震時それぞれを計算する。(建築基準法施行令第82条第1項第二号)
[ No. 9 ]
図に示す単純梁に集中荷重P1及びP2が作用したとき、支点Aの鉛直方向の反力の値の大きさとして、正しいものはどれか。
1.4kN
2.5kN
3.6kN
4.8kN
答え
3
[ 解答解説 ]
支点Aにおける反力をPAとすると、P1、P2の反力であるPAは上向きの力が生じる。支点BにおけるモーメントをMBとすると、モーメントのつり合いより
MB = 0
である。
モーメントの方向を、時計方向を正、反時計方向を負とすると、MBは次のようになる。
MB = +PA ×( 1 + 2 + 2 ) −P1 ×(2+2)–P2 × 2 = 0 [ kN・m ]
P1 = 5kN、P2 = 5kN より
+ 5PA ~ 5 × 4 − 5 × 2 = 0
PA – 4 − 2 = 0
PA = 6 [ kN ]
[ No. 10 ]
図に示す単純梁に等変分布荷重が作用したときの曲げモーメント図として、正しいものはどれか。ただし、曲げモーメントは、材の引張側に描くものとする。
答え
3
[ 解答解説 ]
単純梁に等分布荷重が作用したときの曲げモーメントは次のようになる。
両端はピン構造なので、モーメントは 0
したがって、この単純梁への荷重(応力)が偏って、等変分布荷重になった場合はの曲げモーメントは次のようになる。
ゆえに、正解は3となる。
[ No. 11 ]
鋼の一般的な性質に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.鋼は炭素含有量が多くなると、ねばり強さや伸びが大きくなる。
2.鋼は弾性限度内であれば、引張荷重を取り除くと元の状態に戻る。
3.鋼は炭素含有量が多くなると、溶接性が低下する。
4.鋼は熱処理によって、強度などの機械的性質を変化させることができる。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
鋼は、鉄に炭素を加えたの合金であり、炭素の含有量が多くなると、ねばり強さや伸びが小さくなる。
2.◯
鋼に引張荷重を加えると伸びるが、加えられた引張荷重が鋼の弾性限度内であれば、引張荷重を取り除くと元の状態に戻る。
3.◯
鋼は、炭素の含有量が増加すると溶接性が低下し、溶接しにくくなる。
4.◯
鋼は、焼入れ、焼きなましなどの熱処理によって、強度などの機械的性質を変化させることができる。
[ No. 12 ]
木材の一般的な性質に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.木材の乾燥収縮の割合は、年輪の接線方向が最も大きく、繊維方向が最も小さい。
2.木材の強度は、繊維飽和点以下では、含水率の減少とともに低下する。
3.木材の強度は、繊維方向と平行に加力した場合が最も高い。
4.針葉樹は、広葉樹に比べ、一般的に軽量で加工がしやすい。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
木材は、乾燥すると内部の水分量が減少して、体積が減少、すなわち収縮する。木材の乾燥収縮の割合は、円形状の年輪の接線方向が最も大きく、繊維方向が最も小さい。
2.×
木材の強度は、繊維飽和点以下においては、含水率の減少とともに上昇する。なお、繊維飽和点とは、細胞壁内以外の水である自由水が完全に消失するときの含水率をいう。
3.◯
木材の強度は、繊維方向に対して平行な力を加えた場合に、最も高くなる。
4.◯
一般に、スギなどの針葉樹は、ブナなどの広葉樹に比べて、軽量で加工しやすい。
[ No. 13 ]
JIS(日本産業規格)に規定する建具の性能試験における性能項目に関する記述として、不適当なものはどれか。
1.開閉力とは、開閉操作に必要な力の程度をいう。
2.水密性とは、風雨による建具室内側への水の浸入を防ぐ程度をいう。
3.遮熱性とは、熱の移動を抑える程度をいう。
4.結露防止性とは、建具表面の結露の発生を防ぐ程度をいう。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
開閉力は、開閉操作に必要な力の程度と規定されている。(JIS A 1513)
2.◯
水密性は、風雨による建具室内側への水の浸入を防ぐ程度と規定されている。(JIS A 1513)
3.×
遮熱性は、日射熱を遮る程度と規定されている。熱の移動を抑える程度は、断熱性として規定されている。(JIS A 1513)
4.◯
結露防止性は、建具表面の結露の発生を防ぐ程度と規定されている。(JIS A 1513)
[ No. 14 ]
防水材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.アスファルトルーフィングは、有機天然繊維を主原料とした原紙にアスファルトを浸透、被覆し、表面側のみに鉱物質粒子を付着させたものである。
2.網状アスファルトルーフィングは、天然又は有機合成繊維で作られた粗布にアスファルトを浸透、付着させたものである。
3.ストレッチルーフィングは、有機合成繊維を主原料とした不織布原反にアスファルトを浸透、被覆し、表裏両面に鉱物質粒子を付着させたものである。
4.アスファルトフェルトは、有機天然繊維を主原料とした原紙にアスファルトを浸透させたものである。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
アスファルトルーフィングとは、有機天然繊維を主原料とした原紙にアスファルトを浸透、被覆し、裏表全面に鉱物質粒子を付着させたものをいう。
2.◯
網状アスファルトルーフィングとは、天然(綿、麻)又は有機合成繊維で作られた網目状の粗布にアスファルトを浸透、付着させたものをいう。
3.◯
ストレッチルーフィングとは、有機合成繊維を主原料とした不織布原反にアスファルトを浸透、被覆し、表裏両面に鉱物質粒子を付着させたものをいう。
4.◯
アスファルトフェルトは、有機天然繊維を主原料とした原紙にアスファルトを浸透させたものをいう。
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