学科試験問題 [ No.01 ] 〜[ No.14 ] 解答・解説
平成 30年 11月 11日(日)
※ 問題番号[ No.1 ]〜[ No.14 ]までの 14 問題のうちから9問題を選択し、解答してください。
[ No. 1 ]
湿度及び結露に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 露点温度とは、絶対湿度が 100% になる温度である。
2. 冬季暖房時に、室内側から入った水蒸気により壁などの内部で生じる結露を内部結露という。
3. 冬季暖房時に、室内の水蒸気により外壁などの室内側表面で生じる結露を表面結露という。
4. 絶対湿度とは、乾燥空気 1 kg と共存している水蒸気の質量である。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
露点温度とは、絶対湿度を一定に保ちながら空気を冷却した場合に、相対湿度がが100%になる温度のことである。
2.◯
冬季暖房時に、室内の水蒸気により壁などの内部で生じる結露を内部結露という。
3.◯
表面結露とは、冬季暖房時に、室内の水蒸気により外壁などの室内側表面で生じる結露をいう。
4.◯
絶対湿度とは、乾燥空気 1kg当たりに含まれている水蒸気の質量、すなわち、空気と水蒸気の質量比をいう。乾燥空気(DA:ドライエア)1kg当たりの水蒸気量(kg)で表す。重量絶対湿度ともいう。
[ No. 2 ]
照明に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 光源の光色は色温度で表され、単位はK(ケルビン)である。
2. 一般に直接照明による陰影は、間接照明と比べて濃くなる。
3. 照度は、点光源からある方向への光の強さを示す量である。
4. タスク・アンビエント照明は、全般照明と局部照明を併せて行う方式である。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
色温度の単位は K(ケルビン)である。色温度とは、光を完全に吸収する黒体の温度放射により生じる光の色を用いて、色合いを絶対温度で表示したものをいう。
2.◯
直接照明とは、光源の光を被照射面に直接照射する照明方式、間接照明とは、光源の光を反射させて被照射面に間接的に照射する照明方式のことをいう。一般に直接照明に生じる陰影は、間接照明と比べて濃くなる。
3.×
照度とは、被対象面に単位面積当たりに入射する光束の量と定義されている。
4.◯
タスク・アンビエント照明とは、局所照明(タスク照明)と全般照明(アンビエント照明)を併せて行う方式で、作業灯で作業場所を照らし、天井照明で室内全般を照らす照明方式のことである。
[ No. 3 ]
色に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 色の膨張や収縮の感覚は、一般に明度が高い色ほど膨張して見える。
2. 同じ色でもその面積が大きいほど、明るさや、あざやかさが増して見える。
3. 補色を対比すると、同化し、互いにあざやかさが失われて見える。
4. 暖色は、寒色に比べ一般に近距離に感じられる。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
一般に明度が高い色、すなわち明るく感じる色ほど、膨張して大きく見える。膨張色といわれる。
2.◯
一般に同じ色でもその面積が大きいほど、明るさや鮮やかさが増して見える。面積効果という。
3.×
補色の関係にある二色を対比させると、互いに強調しあい、鮮やかさが増して見える。
4.◯
色の温度感覚には、赤色などの暖かみを感じる暖色や、青色などの涼しさを感じる寒色と、それらに属さない中性色があり、距離感は暖色系が近く進出色といい、寒色系が遠く後退色という。
[ No. 4 ]
木造在来軸組構法に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 構造耐力上必要な軸組の長さの算定において、9 cm角の木材の筋かいを片側のみ入れた軸組の軸組長さに乗ずる倍率は3とする。
2. 構造耐力上主要な部分である柱の有効細長比は、150 以下とする。
3. 3階建の1階の構造耐力上主要な部分である柱の断面は、原則として、小径 13.5 cm 以上とする。
4. 圧縮力を負担する木材の筋かいは、厚さ 1.5 cm 以上で幅9 cm 以上とする。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
構造耐力上主要な部分である柱の有効細長比は、150以下とする。
2.◯
構造耐力上主要な部分である柱の有効細長比は、150 以下とする。
3.◯
地階を除く階数が2を超える建築物の1階の構造耐力上主要な部分である柱の断面は、原則として、小径13.5cm以上とする。(建築基準法施行令第43条第2項)
4.×
圧縮力を負担する木材の筋かいは、厚さ3cm 以上で幅9 cm 以上としなければならない。(建築基準法施行令第45条2項)
[ No. 5 ]
鉄筋コンクリート構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 鉄筋は、引張力だけでなく圧縮力に対しても有効に働く。
2. 梁のせん断補強筋をあばら筋という。
3. 柱のせん断補強筋は、柱の上下端部より中央部の間隔を密にする。
4. コンクリートの設計基準強度が高くなると、鉄筋のコンクリートに対する許容付着応力度は高くなる。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
鉄筋は、引張力だけでなく圧縮力に対しても有効に働く。
2.◯
梁のせん断補強筋をあばら筋という。
3.×
柱のせん断補強筋は、柱の中央部より上下端部の間隔を密にする。
4.◯
鉄筋のコンクリートに対する許容付着応力度は、鉄筋の位置及び設計基準強度 22.5N/mm2以下の場合、22,5N/mm2を超える場合に応じて異なる式が掲げられている。(建築基準法施行令第91条第1項、平成12年建設省告示第1450号)設計基準強度 22.5N/mm2を超える場合の方が、22.5N/mm2以下の場合よりも許容付着応力度は高くなる。
[ No. 6 ]
鉄骨構造の接合に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 高力ボルト摩擦接合は、高力ボルトで継手部材を締め付け、部材間に生じる摩擦力によって応力を伝達する接合法である。
2. 普通ボルトを接合に用いる建築物は、延べ面積、軒の高さ、張り間について、規模の制限がある。
3. 溶接と高力ボルトを併用する継手で、高力ボルトを先に締め付ける場合は両方の許容耐力を加算してよい。
4. 隅肉溶接は、母材の端部を切り欠いて開先をとり、そこに溶着金属を盛り込んで溶接継目を形づくるものである。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
高力ボルト摩擦接合は、高力ボルトで継手部材を締め付け、部材間に生じる摩擦力によって応力を伝達する接合法である。
2.◯
普通ボルトを接合に用いる建築物は、延べ面積、軒の高さ、張り間について、建築基準法施行令第67条1項に規模の制限がある。軒の高さが 9m以下で、かつ、張り間13m以下の建築物(延べ面積が3,000m2を超えるものを除く)にあっては、ボルトが緩まないように所定の措置を講じれば使用することができる。
3.◯
溶接と高力ボルトを併用する継手で、高力ボルトを先に締め付ける場合は両方の許容耐力を加算することができる。
4.×
母材の端部を切り欠いて開先をとり、そこに溶着金属を盛り込んで溶接継目を形づくる溶接は、突合せ溶接である。隅肉溶接とは、部材の入隅部に溶着金属を盛り込んで溶接継目を形づくる溶接をいう。
[ No. 7 ]
地盤及び基礎構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. 直接基礎は、基礎スラブの形式によって、フーチング基礎とべた基礎に大別される。
2. 水を多く含んだ粘性土地盤では、圧密が生じにくい。
3. 洪積層は、沖積層に比べ建築物の支持地盤として適している。
4. 複合フーチング基礎は、隣接する柱間隔が狭い場合などに用いられる。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
基礎は、直接地盤に支持させる直接基礎と、杭に支持させる杭基礎に大別される。直接基礎は、基礎スラブの形式によって、フーチング基礎とべた基礎に大別される。
2.×
圧密とは、地盤の上に荷重がかかることによって、水がしぼり出されて体積が収縮する現象をいう。水を多く含んだ粘性土地盤では、圧密が生じやすい。
3.◯
洪積層は、沖積層に比べて地盤が安定しており、軟弱地盤の傾向のある沖積層に比べて、建築物の支持地盤として適している。
4.◯
複合フーチング基礎とは、2本以上の柱をまとめて一つのフーチングで支える形式の基礎をいう。複合フーチング基礎は、隣接する柱間隔が狭い場合などに用いられる。
[ No. 8 ]
部材の応力度及び荷重の算定とそれに用いる係数の組合せとして、最も不適当なものはどれか。
1. 引張応力度の算定 ──── 断面二次半径
2. 曲げ応力度の算定 ──── 断面係数
3. せん断応力度の算定 ── 断面一次モーメント
4. 座屈荷重の算定 ───── 断面二次モーメント
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
引張応力度(σt)は、
σt = P/A
である。
P:引張力、
A:断面積
断面二次半径は、断面二次モーメントを断面積で割った値の平方根をとったもの。
2.◯
曲げ応力度(σ)は、
σ = M/Z
である。
M:曲げモーメント
Z:断面係数
断面係数は、断面二次モーメントより算定される。
3.◯
せん断応力度(τ)を求める式としては 2つある。
平均せん断応力度は、 τ = Q/A であるが、
一般には
τy = QSx/Ixb
である。
Q:せん断力
Sx:y部分におけるX方向の断面一次モーメント
Ix:y部分におけるX方向の断面二次モーメント
b:断面の幅
4.◯
座屈荷重は、ヤング率、断面二次モーメント及び座屈長さから求まる。
P = π2 × E × I /ℓk2
E:ヤング率
I :断面二次モーメント
ℓk2:座屈長さ
[ No. 9 ]
図に示す片持ち梁に等変分布荷重が作用したとき、C 点に生じる応力の値として正しいものはどれか。
1. せん断力は、3 kN である。
2. せん断力は、9 kN である。
3. 曲げモーメントは、4.5 kN・m である。
4. 曲げモーメントは、13.5 kN・m である。
答え
4
[ 解答解説 ]
等分布荷重を集中荷重に置き換えると下記のようになる。
B点におけるモーメントMBを求める。
- 3 kN/m × 3m /2 × 4m =18 kN・m
これより、モーメント図は下記のようになり、C点におけるモーメントを求めると下記のようになる。
18 kN・m × 3/4 = 13.5 kN・mとなる。
ゆえに、正解は4となる。
[ No. 10 ]
図に示す片持ち梁に集中荷重P が作用したときの曲げモーメント図として、正しいものはどれか。ただし、曲げモーメントは材の引張側に描くものとする。
答え
1
[ 解答解説 ]
問題の片持ち梁の節点を下記のように設定する。
曲げモーメントは材の引張側に描くものとするとあるので、
AC間の部材は、下端部の引張側は左側に発生する。
ゆえに、1又は4に限定できる。
また、図の力が加わるとAB間の部材は下側が弓状になるこことが想像できる。よってAB材には下側の部分に引張力が発生する。同じモーメント力がそのまま伝わるので正答は1となる。
モーメントが途中で反転し、0になるようなことはない。4とはならない。
[ No. 11 ]
コンクリートに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. コンクリートは、不燃材料であり、長時間火熱を受けても変質しない。
2. コンクリートの圧縮強度が高くなるほど、ヤング係数は大きくなる。
3. コンクリートは、大気中の炭酸ガスやその他の酸性物質の浸透によって徐々に中性化する。
4. コンクリートの線膨張係数は、鉄筋とほぼ同じである。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
コンクリートは不燃材料であるが、長時間火熱を受けると変質する。
2.◯
ヤング係数とは、ひずみと応力の関係を示す係数で、ヤング係数が大きいほど、ひずませるのに大きな応力を要し、変形しにくい硬い性質となる。コンクリートの圧縮強度が大きくなると、ヤング係数も大きくなる。
3.◯
中性化とは pHが12~13の強アルカリ性であるコンクリートに、大気中の二酸化炭素(CO2)が侵入し水酸化カルシウム等のセメント水和物と炭酸化反応を起こすことによって細孔溶液のpHを低下させる劣化現象こと。
4.◯
線膨張係数とは、1℃の温度変化を受けて生じた変形量ΔLと元の長さLの割合を表し、コンクリート及び鉄筋の線膨張係数は、1 × 10-5(1/℃)程度である。
[ No. 12 ]
日本工業規格(JIS)に規定するセラミックタイルに関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. セラミックタイルの成形方法による種類には、押出し成形とプレス成形がある。
2. セメントモルタルによる外壁タイル後張り工法で施工するタイルの裏あしの形状は、あり状としなくてもよい。
3. 裏連結ユニットタイルの裏連結材は、施工時にそのまま埋め込む。
4. うわぐすりの有無による種類には、施ゆうと無ゆうがある。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
セラミックタイルの成形方法による種類は、押出し成形(A)とプレス成形(B)がある。(JIS A5209)
2.×
有機系接着剤によるタイル後張り工法で施工するタイルには、裏あしがなくてもよいが、セメントモルタルによる外壁タイル後張り工法で施工するタイル等、外装タイル及び外装タイル以外で屋外の壁に使用するタイルの裏あしの形状は、あり状とする。裏あしとは、セメントモルタル等との接着をよくするために裏面につけたあし、リブ又は凹凸をいい、あり状とは、裏あしの形状の一種をいう。
3.◯
裏連結ユニットタイルとは、裏面の連結材によりユニット化されているタイルをいい、裏連結ユニットタイルの裏連結材は、タイル張り時に剥がさないでそのまま埋め込んで施工する。
4.◯
うわぐすりの種類には、うわぐすりのある施ゆうと、うわぐすりのない無ゆうがある。
[ No. 13 ]
シーリング材に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. ポリウレタン系シーリング材は、施工時の気温や湿度が高いと発泡のおそれがある。
2. シリコーン系シーリング材は、耐候性、耐久性に優れている。
3. アクリルウレタン系シーリング材は、ガラス回り目地に適している。
4. 2成分形シーリング材は、施工直前に基剤、硬化剤などを練り混ぜて使用する。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
ポリウレタン系シーリング材の1成分形は、気温・湿度が高いときには発泡のおそれがある。また、硬化後タック(粘着性)が残るものがり、ほこりに注意する。
2.◯
シリコーン系シーリング材は、表面への塗装の付着性は悪いが、耐候性、耐熱性、耐寒性及び耐久性に優れている。
3.×
アクリルウレタン系シーリング材は、耐候性に欠けるために露出できないので、ガラス回り目地に適していない。
4.◯
2成分形の材料は、施工直前に基剤、硬化剤などを練り混ぜて使用すように調整したものである。
[ No. 14 ]
ボード類の一般的な性質に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1. インシュレーションボードは、断熱性に優れている。
2. シージングせっこうボードは、普通せっこうボードに比べ吸水時の強度低下が少ない。
3. ロックウール化粧吸音板は、吸音性、耐水性に優れている。
4. 木毛セメント板は、断熱性、吸音性に優れている。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
インシュレーションファイバーボード(インシュレーションボードともいう。密度0.35g/cm3未満)は、畳床用、断熱用、外壁下地用等があり、難燃性を付与したものもある。(建築工事監理指針)
2.◯
シージングせっこうボードは、防水加工したせっこうボード用原紙で被覆され、かつ、せっこう中に適量の防水剤を混入して耐湿性を向上させたボードである。普通せっこうボードが使用できない多湿な場所や水廻りの下地に使用する。
3.×
ロックウール化粧吸音板は、人造鉱物繊維のロックウールを結合材及び混和材を用いて成形し、表面を化粧加工した吸音板をいう。吸音性には優れているが、耐水性はない。
4.◯
木毛セメント板とは、リボン状に細長く削り出した木材をセメントペーストで圧縮成形したもので、断熱性、吸音性に優れている。
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