令和4年度 2級建築施工管理技術検定(後期)
第一次検定問題 [ No.01 ] 〜[ No.14 ] 解答・解説
令和4年11月13日(日)※問題番号[ No.1 ]〜[ No.14 ]までの
14問題のうちから、9問題を選択し、解答してください。
[ No.1 ]
冬季暖房時の結露に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.外壁の室内側の表面結露を防止するためには、室内側の表面温度を露点温度以下に下げないようにする。
2.室内側の表面結露を防止するためには、外壁や屋根等に熱伝導率の高い材料を用いる。
3.外壁の室内側の表面結露を防止するためには、室内側表面に近い空気を流動させる。
4.室内側が入隅となる外壁の隅角部は、室内側に表面結露が生じやすい。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
表面結露とは、冬季暖房時に、室内の水蒸気により外壁などの室内側表面で生じる結露をいう。また、露点温度とは、大気中に含まれる水蒸気が液体に変わる時の温度のことをいう。露点温度を下げると、水蒸気が飽和し凝結していくため、室内側の表面温度を露点温度以下に下げないようにする。
2.×
熱伝導率とは、熱の伝わりやすさを表した値で、熱伝導率が高ければ、外部へ熱を通しやすくなる。そのため、熱伝導率が低い材料を用いて室内側の表面結露を防止する。
3.◯
室内側表面に近い空気を流動させることで、外壁の室内側の表面結露を防止することができる。
4.◯
室内側が入隅となる外壁の隅角部は、外気の影響を受けやすく、冷えたり室内の空気がうまく循環しない場所のため、表面結露が生じやすくなる。
[ No.2 ]
照明に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.光束は、視感度に基づいて測定された単位時間当たりの光のエネルギー量である。
2.輝度は、光源の光の強さを表す量である。
3.天井や壁等の建築部位と一体化した照明方式を、建築化照明という。
4.照明対象となる範囲外に照射されるような漏れ光によって引き起こされる障害のことを、光害という。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
光束とは、人の視感度に基づいて測定された単位時間あたりの光のエネルギー量と定義されている。
2.×
光源の光の強さを表す量は、光度である。輝度とは、ある方向への光源の単位投影面積あたりの光度と定義され、人が感じるまぶしさを表す量である。
3.◯
建築化照明とは、照明を建築物の一部として天井や壁などの部位と一体化した照明をいう。
4.◯
良好な照明環境の形成が、漏れ光によって阻害されている状況又はそれによる悪影響は光害と定期されている。
[ No.3 ]
色に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.純色とは、各色相の中で最も明度の高い色をいう。
2.色彩によって感じられる距離感は異なり、暖色は寒色に比べて近くに感じられやすい。
3.印刷物や塗料等の色料の三原色を同量で混色すると、黒に近い色になる。
4.明度と彩度を合わせて色の印象を表したものを、トーン(色調)という。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
純色とは、各色相の中で最も彩度の高い色をいう。色相とは、彩度、明度とともに、色の3要素のひとつで、色合いを意味する。明度とは、色の明るさを示す。彩度とは、色の鮮やかさを示すものである。
2.◯
色彩は、いろどりや色合いを示し、色によって感じられる距離感が変わる。一般に暖色系は、寒色系に比べて近くに感じられやすい。
3.◯
三原色とは、青緑色(シアン)、赤紫色(マゼンダ)、黄色(イエロー)を示す。該当3色を同量で混色すると、黒色に近い色になる。
4.◯
トーン(色調)とは、明度と彩度を合わせて色の印象を表したものをいう。
[ No.4 ]
木造在来軸組構法に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.床等の水平構面は、水平荷重を耐力壁や軸組に伝達できるよう水平剛性を十分に高くする。
2.胴差は、垂木を直接受けて屋根荷重を柱に伝えるための部材である。
3.筋かいをたすき掛けにするためにやむを得ず欠き込む場合は、筋かいに必要な補強を行う。
4.筋かいの端部は、柱と梁その他の横架材との仕口に接近して、ボルト、かすがい、釘その他の金物で緊結する。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
床等の水平構面は、地震力、風圧力等の水平荷重を耐力壁や軸組に伝達できるよう十分な剛性や耐力を確保する。床などの水平構面の剛性及び強度の確保は重要であり、構造用合板などの面材や鋼製の水平ブレースにより水平構面を固める手法がある。
2.×
胴差は、木構造の軸組において、2階以上の床の位置で柱を相互につないでいる横架材である。垂木を直接受けて屋根荷重を柱に伝えるために用いられる部材は桁である。
3.◯
建築基準法施行令第45条第4項に「筋かいには、欠込みをしてはならない。ただし、筋かいをたすき掛けにするためにやむを得ない場合において、必要な補強を行ったときは、この限りでない。」と規定されている。
4.◯
建築基準法施行令第45条第3項に「筋かいは、その端部を、柱とはりその他の横架材との仕口に接近して、ボルト、かすがい、くぎその他の金物で緊結しなければならない。」と規定されている。
[ No.5 ]
鉄筋コンクリート構造の配筋に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.梁の幅止め筋は、腹筋間に架け渡したもので、あばら筋の振れ止め及びはらみ止めの働きをする。
2.梁は、全スパンにわたり主筋を上下に配置した複筋梁とする。
3.柱の帯筋は、柱の上下端部より中央部の間隔を密にする。
4.柱の帯筋は、主筋を取り囲むように配筋したもので、主筋の座屈を防止する働きをする。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
梁の幅止め筋とは、腹筋間に架け渡した鉄筋をいい、あばら筋の振れ止めとはらみ防止のために用いられる。
2.◯
建築基準法施行令第78条に、「構造耐力上主要な部分であるはりは、複筋ばりとし、これにあばら筋をはり丈の4分の3(臥梁にあっては、30cm)以下の間隔で配置しなければならない。」と規定されている。
3.×
柱の帯筋(せん断補強筋)は、柱の中央部より上下端部の間隔を密に配置する。
4.◯
柱の帯筋(せん断補強筋)は、フープとも呼ばれ、主筋を取り囲むように一定の間隔で配筋したもので、主筋の座屈を防止する働きをする。
[ No.6 ]
鉄骨構造の接合に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.高力ボルト接合の形式には、摩擦接合、引張接合、支圧接合等があり、このうち摩擦接合が多く用いられる。
2.支圧接合とは、ボルト軸部のせん断力と部材の支圧によって応力を伝える接合方法である。
3.完全溶込み溶接とは、溶接部の強度が母材と同等以上になるように全断面を完全に溶け込ませる溶接である。
4.隅肉溶接の有効長さは、隅肉溶接の始端から終端までの長さである。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
摩擦接合は、高力ボルトを大きな力で締め付けて得られた材間圧縮力による摩擦抵抗を利用した接合方法で、多く用いられている。引張接合は、大きな材間圧縮力を打ち消し合う形で、ボルトの軸方向の応力を伝達する方法である。支圧接合は、ボルト軸に垂直な方向の応力を、ボルト軸とボルト孔壁との間の支圧力及びボルトの軸部のせん断力によって伝達させる方法である。
2.◯
支圧接合とは、ボルト軸部のせん断力と部材の支圧によって応力を伝える、ボルトによる鉄骨の接合方法をいう。
3.◯
完全溶込み溶接とは、溶接部の強度が母材と同等以上になるよう、全断面を完全に溶け込ませる溶接をいい、突合せ継手などの溶接に用いられる。
4.×
隅肉溶接は、ほぼ直交する2つの面を接合する三角形状の断面をした溶接方法である。その溶接長さは、全長が定められており、有効長さよりは長くなる。始端から終端までの溶接長さ = 有効長さとはならない。隅肉溶接の有効長さは、溶接の全長から隅肉のサイズの2倍を差し引いた値とする。
[ No.7 ]
杭基礎に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.場所打ちコンクリート杭工法には、アースオーガーを使用するプレボーリング拡大根固め工法がある。
2.アースドリル工法は、オールケーシング工法やリバース工法に比べて、狭い敷地でも作業性がよい。
3.節部付きの遠心力高強度プレストレストコンクリート杭(節杭)は、杭本体部に外径が軸径よりも大きい節部を多数設けたもので、主に摩擦杭として用いられる。
4.外殻鋼管付きのコンクリート杭(SC杭)は、大きな水平力が作用する杭に適している。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
アースオーガーを使用するプレボーリング拡大根固め工法は、現場でコンクリートを打設する現場打ちコンクリート杭工法ではなく、既製コンクリート杭を挿入する既成杭工法である。
2.◯
場所打ちコンクリート杭工法の一つであるアースドリル工法は、同じく場所打ちコンクリート杭工法であるオールケーシング工法やリバース工法に比べ、狭い敷地でも作業性がよいという特徴がある。
3.◯
節部付き遠心力高強度プレストレストコンクリート杭は、地盤との摩擦力を高めるために節部を多数設けた杭で、主に摩擦杭として用いられる。
4.◯
SC杭は、外殻鋼管の付いた既成コンクリート杭で、外殻鋼管によりじん性に富み、水平方向に大きな力が作用する場所の杭に適している。
[ No.8 ]
建築物の構造設計における荷重及び外力に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.積雪荷重は、雪下ろしを行う慣習のある地方では、低減することができる。
2.風力係数は、風洞試験によって定める場合のほか、建築物の断面及び平面の形状に応じて定められた数値とする。
3.風圧力は、地震力と同時に作用するものとして計算する。
4.地震力は、建築物の固定荷重又は積載荷重を減ずると小さくなる。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
建築基準法施行令第86条第1項に「積雪荷重は、積雪の単位荷重に屋根の水平投影面積及びその地方における垂直積雪量を乗じて計算しなければならない。」また、第6項に「雪下ろしを行う習慣のある地方においては、その地方における垂直積雪量が 1mを超える場合にうおいても、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を 1mまで減らして計算することができる。」と規定されている。
したがって、雪下ろしを行う習慣のある地方では、積雪荷重を低減することができる。
2.◯
風力係数は、風洞試験によって定める場合のほか、建築物又は工作物の断面及び平面の形状に応じて国土交通大臣が定める数値によらなければならない。(建築基準法 施行令第87条第4項)
3.×
短期に生ずる力の応力の組み合わせにおいて、風圧力と地震力、多雪区域を除いた積雪荷重は同時に作用しないものとして、積雪時、暴風時、地震時それぞれを計算する。(同法 施行令第82条第1項第二号)
4.◯
建築物の地上部分の地震力は、当該部分の固定荷重と積載荷重との和に当該高さにおける地震層せん断力係数を乗じて計算しなければならないため、固定荷重又は積載が小さくなると地震力も小さくなる。(建築基準法施行令第88条第1項)
[ No.9 ]
図に示す単純梁ABに等分布荷重ωが作用するとき、支点Bにかかる鉛直反力の値の大きさとして、
正しいものはどれか。
1.2kN
2.4kN
3.8kN
4.12kN
答え
2
[ 解答解説 ]
等分布荷重は集中荷重に置き換えて考える。
ω = 4 kN/m の等分布荷重が 4mであるので、
4 kN/m × 4 m = 16 kN
の荷重が A点から2mの地点に作用する。
A点でのモーメントMAは、MA = 0 であるので、
MA = 2m × 16kN − 8m × VB = 0
VB = 4 kN
よって、選択肢2の 4kN が正解となる
ちなみに、VAを求める場合は、
鉛直荷重のつりありより
VA –16kN +VB =0
となるので、
これに、VB = 4kNを代入すると、
VAは 12 kNとなる。
[ No.10 ]
図に示す単純梁ABの点Aにモーメント荷重Mが作用したときの曲げモーメント図として、
正しいものはどれか。ただし、曲げモーメントは、材の引張側に描くものとする。
答え
1
[ 解答解説 ]
モーメントとは、物体を回転させようとする力(回転力)のことをといい、作用点からある距離に離れたところに働く力によって生じる。トルクともいい、単位は、[ N・m ]または[ kN・m ]などである。
この問題は、作用点にモーメントが働いており、上記の定義とは逆に、作用点からある距離離れたところに力が働く。A点近傍が最大モーメントで、B点にいくに従ってそのトルク値は小さくなり、ピン支点であるB点では、0となる。
時計回りのモーメントにより、梁材の下側に引張力が発生する。
ゆえに、選択肢1が正解となる。
[ No.11 ]
コンクリートに関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.コンクリートの引張強度は、圧縮強度に比べて著しく小さい。
2.コンクリートの線膨張係数は、常温では、鉄筋の線膨張係数とほぼ等しい。
3.コンクリートは、大気中の炭酸ガスやその他の酸性物質の浸透によって徐々に中性化する。
4.コンクリートは、不燃性であり、長時間火熱を受けても変質しない。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
コンクリートは圧縮強度に比べて、引張強度が著しく小さい。
2.◯
線膨張係数とは、単位温度上昇当たりに膨張する長さの割合をいう。コンクリートと鉄筋の線膨張係数は、常温ではほぼ同じであるので、鉄筋コンクリート構造が成り立つ。
3.◯
コンクリートはpHが12〜13の強アルカリ性であるが、大気中の二酸化炭素やその他の酸性物質の浸透によって徐々にアルカリ性を失う。これをコンクリートの中性化といい、アルカリ環境で鉄筋に形成されていた不動態皮膜が破壊され、鉄筋の腐食が始まり、コンクリートの劣化が進行していく。
4.×
コンクリートは、不燃材料であるが、長時間火熱を受けると変質する。
[ No.12 ]
木材に関する一般的な記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.木材の強度は、含水率が同じ場合、密度の大きいものほど大きい。
2.針葉樹は、広葉樹に比べて軽量で加工がしやすい。
3.節は、断面の減少や応力集中をもたらし、強度を低下させる。
4.心材は、辺材に比べて腐朽菌や虫害に対して抵抗が低い。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
空隙が少なく実質部分の多い木材、つまり、密度の大きな木材は強度が大きい。心材と辺材では心材の方が密度が大きいため強度が大きい。
2.◯
一般に、スギなどの針葉樹は、ブナなどの広葉樹に比べて、軽量で加工しやすい。
3.◯
節とは、木材に残る枝の跡をいい、断面の減少や応力集中をもたらし、強度を低下させる。
4.×
樹木の中心部の心材は、樹木の外周部の辺材と比べ、腐朽菌(木材を腐食により劣化させる菌)や虫害に対して抵抗が高い。
[ No.13 ]
日本産業規格(JIS)に規定するセラミックタイルに関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.表張りユニットタイルとは、多数個並べたタイルの表面に、表張り台紙を張り付けて連結したものをいう。
2.裏あしは、セメントモルタル等との接着をよくするため、タイルの裏面に付けたリブ又は凹凸のことをいう。
3.素地は、タイルの主体をなす部分をいい、施ゆうタイルの場合、表面に施したうわぐすりも含まれる。
4.タイルには平物と役物があり、それぞれ形状は定形タイルと不定形タイルに区分される。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
ユニットタイルとは、施工しやすいように、多数個のタイルを並べて連結したものをいい、表張りユニットタイルと裏連結ユニットタイルとがある。表張りユニットタイルとは、タイルの表面に表張り台紙を張り付けて連結したものという。表張り台紙は、施工時に剥がす。
2.◯
裏あしは、セメントモルタル等との接着をよくするため、裏面に付けたリブ又は凹凸をいう。
3.×
素地は、タイルの主体をなす部分をいい、施ゆうタイルの場合、表面に施したうわぐすりは含まれない。
4.◯
タイルには平物と役物があり、それぞれ形状は定形タイルと不定形タイルに区分される。平物とは、建物の壁又は床の平面を構成するものをいう。役物とは、一つの面又は複数の面で構成されたもので、開口部または隅角部に用いるタイルをいう。それぞれ、定形タイルと不定形タイルに区分される。
[ No.14 ]
防水材料に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.シート防水には、合成ゴム系やプラスチック系のシートが用いられる。
2.網状アスファルトルーフィングは、天然又は有機合成繊維で作られた粗布にアスファルトを浸透、付着させたものである。
3.塗膜防水は、液状の樹脂が塗布後に硬化することで防水層を形成する。
4.砂付あなあきアスファルトルーフィングは、防水層と下地を密着させるために用いるものである。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
シート防水とは、シート状の防水を下地に接着して行う防水のことをいう。シート防水には、合成ゴム系やプラスチック系、塩化ビニル系、ステンレスの材料等が用いられる。
2.◯
網状アスファルトルーフィングとは、天然(綿、麻)又は有機合成繊維で作られた網目状の粗布に、アスファルトを浸透、付着させたものをいう。
3.◯
塗膜防水とは、液状の樹脂が塗布後に硬化することで防水層を形成し、塗り重ねて連続的な膜を作り出すものをいう。ウレタンゴム系やゴムアスファルト系の塗膜防水材がある。
4.×
砂付あなあきアスファルトルーフィングは、全面に穴を開けたもので、防水層と下地を絶縁するために用いる。