学科試験問題 [ No.01 ] 〜[ No.14 ] 解答・解説
平成 30年 6月 10日(日)
※問題番号[ No.1 ]〜[ No.14 ]までの14問題のうちから9問題を選択し、解答してください。
[ No.1 ]
換気に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.室内空気の二酸化炭素の濃度は、室内の空気汚染の程度を表す指標として用いられている。
2.室内外の空気の温度差による自然換気では、温度差が大きくなるほど換気量は多くなる。
3.事務室における必要換気量は、室の容積でその値が変動し、在室者の人数に関係しない。
4.第1種機械換気方式は、地下街や劇場など外気から遮断された大きな空間の換気に適している。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
室内の空気汚染は、室内の人の呼吸や体臭、喫煙などで進行する。居室に必要換気量は、一般に、
二酸化炭素濃度を基準に算出される。二酸化炭素の許容濃度は、0.1%(1,000ppm)である。
2.◯
室内外の空気の温度差による自然換気では、温度差が大きくなるほど、空気密度の差が大きくなり、換気量は多くなる。
3.×
事務室の必要換気量は、在室者の人数によって算定され、室の容積には直接関係しない。在室者の人数が増えると必要換気量の量は増える。
4.◯
第1種機械換気方式は、給気、排気ともに送風機(ファン)などの機会換気を用いる換気方式で、地下街や劇場など外気から遮断された大きな空間の換気に適している。
[ No.2 ]
採光及び照明に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.照度は、単位面積あたりに入射する光束の量である。
2.天窓採光は、側窓採光よりも採光量が多い。
3.人工光源は、色温度が高くなるほど赤みがかった光色となる。
4.輝度は、光源からある方向への光度を、その方向への光源の見かけの面積で除した値である。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
照度とは、壁面などの面において光を受ける程度を示す測光量で、単位面積あたりに入射する光束の量をいう。水平面の照度を水平面照度、鉛直(垂直)面の照度を鉛直(垂直)面照度という。単位は、lx(ルクス)である。
2.◯
建築基準法施行令第20条第2項より、天窓に採光量は、鉛直面の窓(側窓)の採光の3倍として算出する。
3.×
色温度とは、光色を数値で表したもの。
色温度が高いと、青白く、明るくさわやかで活動的な空間に適し、高い照度でも快適な雰囲気が得られる。逆い、色温度が低いと、赤味がかった光となり、落ち着きのあるくつろいだ雰囲気になり、低い照度の空間に適する。
4.◯
輝度とは、光源面をある方向から見た場合の見かけの明るさをいう。光束発散面のある方向への単位投影面積当たりの光度を表す。単位は、cd/m2(カンデラパー平方メートル)である。
[ No.3 ]
音に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.1点から球面状に広がる音源の場合、音源からの距離が2倍になると、音の強さのレベルは約6dB減少する。
2.残響時間は、室内の仕上げが同じ場合、室の容積が大きいほど長くなる。
3.同じ機械を同じ出力で2台運転した場合、1台を止めると、音の強さのレベルは約3dB減少する。
4.単層壁の透過損失は、同じ材料の場合、厚さが厚いものほど小さくなる。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
特定の1点から球面状に広がる点音源の場合、音の強さは距離の2乗に反比例し、距離が2倍になると音の強さは1/4になり、音の強さのレベルは 6dB減少する。
2.◯
残響は、室内で音えお発したとき、室の壁や床、天井などによる反射を何回も繰り返すことにより、音源が停止した後にも室内に音が残る現象をいう。残響時間は、音源が停止してから室内の音圧レベルが 60dB低下するまでに要する時間をいう。残響時間は、室内の仕上げが同じ場合、室の容積が大きいほど長くなる。
3.◯
同じ音の出力の2点の音源のうち、1つの音源を止めると、音の強さのレベルは約3dB減少する。
4.×
単層壁の透過損失は、音が透過する時に生じる音のエネルギー損失をいい、透過損失が大きいほど、エネルギー損失が大きくなり、音が透過しにく。一つの同じ材料の壁を単層壁といい、厚さが厚いものほど透過損失が大きく、防音効果がよい。なお、面密度(単位面積当たりの質量)が高いなるほど、透過損失も大きくなる。(防音効果がよい)
[ No.4 ]
鉄筋コンクリート構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.片持ちスラブの厚さは、持出し長さの1/10以上とする。
2.コンクリートの長期の許容圧縮応力度は、設計基準強度の1/3とする。
3.腰壁や垂れ壁が付いた柱は、地震時にせん断破壊を起こしにくい。
4.耐震壁は、上階、下階とも同じ位置になるように設けるのがよい。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
片持ちスラブの厚さは、持出し長さの1/10以上とする。
2.◯
コンクリートの長期の許容圧縮応力度は、設計基準強度の1/3とする。
3.×
腰壁や垂れ壁が付いた柱は短柱となり、地震時にせん断破壊を起こしやすい。
一般に、腰壁や垂れ壁の柱際にはスリットで縁をきるケースがある。
4.◯
耐震壁は、上階、下階とも同じ位置に設置するのが望ましい。
[ No.5 ]
鉄骨構造の一般的な特徴に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.圧縮材は、細長比が小さいものほど座屈しやすい。
2.柱脚の形式には、露出形式、根巻き形式、埋込み形式がある。
3.鉄筋コンクリ−ト構造に比べ、同じ容積の建築物では、構造体の軽量化が図れる。
4.トラス構造は、比較的細い部材で三角形を構成し、大きな空間をつくることができる構造である。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
座屈とは、細長い材の材軸方向に圧縮力が生じているとき、その力がある限界を超えると、その材が安定を失って曲がる現象をいう。また、細長比(λ)は次式で与えられる。
細長比(λ)= 座屈長さ(ℓk)/ 断面二次半径( i )
座屈長さが大きくなるほど、また、断面二次半径が小さくなるほど、細長比が大きくなる。すなわち、細長い圧縮材となり、細長比が大きいほど、座屈しやすい。
2.◯
鉄骨の柱脚の形式には、露出形式、根巻き形式、埋込み形式等がある。
3.◯
鉄筋コンクリ−ト構造に比べ、同じ容積の建築物では、構造体の軽量化が図れる。
4.◯
トラス構造は、比較的細い部材で三角形を構成し、大きな空間をつくることができる構造である。
[ No.6 ]
鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.厚さの異なる板をボルト接合する際に設けるフィラープレートは、板厚の差によるすき間を少なくするために用いる。
2.柱と梁を接合する接合部に設けるダイアフラムは、梁のフランジ厚さと同じ板厚のものを用いる。
3.ボルト接合の際に部材間の応力を伝達するために設けるスプライスプレートは、母材に添えて用いる。
4.鉄骨梁と鉄筋コンクリート床版を一体とする合成梁に設ける頭付きスタッドは、梁へスタッド溶接して用いる。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
厚さの異なる板をボルト接合する際に設けるフィラープレートは、板厚の差によるすき間を少なくするために用いる。
2.×
柱と梁を接合する接合部に設けるダイアフラムは、梁のフランジ厚さの1サイズもしくは2サイズ以上厚いものを用いる。
(例)梁フランジ厚 ダイアフラムの板厚
19(16< t ≦ 19)→ 22mm(1サイズアップ)
又は
25mm(2サイズアップ)
3.◯
スプライスプレートは、ボルト接合の際に部材間の応力を伝達するために用いられ、母材に添えて用いるので添え板ともいわれる。高力ボルト接合による摩擦接合の場合は、所定の摩擦力が必要である。
4.◯
頭付きスタッドとは、鉄骨梁と鉄筋コンクリート床版を一体とする合成梁において、鉄骨に対するコンクリートの付着性をよくするために設ける。
[ No.7 ]
杭基礎に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.アースドリル工法は、オールケーシング工法やリバース工法に比べ、狭い敷地でも作業性がよい。
2.既製コンクリート杭のセメントミルク工法は、伏流水がある地盤に適している。
3.鋼杭は、地中での腐食への対処法として、塗装、ライニングを行う方法や肉厚を厚くする方法などがある。
4.既製杭の工法には、打込み工法、埋込み工法、回転貫入工法などがある。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
.アースドリル工法は、敷地境界から杭芯までの施工に必要な距離を比較的小さく設定することができ、オールケーシング工法やリバース工法に比べ、狭い敷地でも作業性がよい。
2.×
既製コンクリート杭のセメントミルク工法は、孔壁の崩壊を杭周固定液で保護するので、伏流水がある地盤には適していない。
3.◯
鋼杭の地中での腐食への対処法には、塗装やライニング(被覆)を行う方法や、腐食による減肉を見込んで鋼杭の肉厚を厚くする方法などがある。
4.◯
既製杭の工法には、打込み工法と埋込み工法があり、埋込工法にプレボーリング工法、中掘り工法、回転工法などがある。
[ No.8 ]
建築物の構造設計における荷重及び外力に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.風圧力は、その地方における過去の台風の記録に基づいて定められた風速に、風力係数を乗じて計算する。
2.地上階における地震力は、算定しようとする階の支える荷重に、その階の地震層せん断力係数を乗じて計算する。
3.床の構造計算をする場合と大梁の構造計算をする場合では、異なる単位床面積当たりの積載荷重を用いることができる。
4.雪下ろしを行う慣習のある地方では、積雪荷重を低減することができる。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
風圧力は、速度圧に風力係数を乗じて計算しなければならない。(建築基準法施行令第87条第1項)
2.◯
建築基準法施行令第88条第1項に「建築物の地上部分の地震力については、当該建築物の各部分の高さに応じ、当該高さの部分が支える部分に作用する全体の地震力として計算するものとし、その数値は、当該部分の固定荷重と積載荷重との和(第86条第2項ただし書きの規定により特定行政庁が指定する多雪区域においては、更に積雪荷重を加えるものとする。)に当該高さにおける地震層せん断力係数を乗じて計算しなければならない。」と規定されている。したがって、地上階における地震力は、算定しようとする階の支える荷重に、その階の地震層せん断力係数を乗じて計算する。
3.◯
建築基準法施行令第85条第1項に「建築物の各部の積載荷重は、当該建築物の実況に応じて計算しなければならない。ただし、次の表に掲げる室の積載荷重については、それぞれ同表の(い)、(ろ)又は(は)の欄に定める数値に床面積を乗じて計算することができる。」と規定されている。(い)は床の構造計算をする場合、(ろ)は大梁、柱又は基礎の構造計算をする場合、(は)は地震力を計算する場合である。したがって、床の構造計算をする場合と大梁の構造計算をする場合では、異なる単位床面積当たりの積載荷重を用いることができる。
4.◯
雪下ろしを行う慣習のある地方においては、その地方における垂直積雪量が1mを超える場合において、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができる。(建築基準法施行令第86条第6項)
[ No.9 ]
図に示す単純梁に等分布荷重が作用したとき、支点に生じる鉛直反力VA及びVBの値の大きさの組合せとして、正しいものはどれか。
1. VA=2.0kN、VB=4.0kN
2. VA=2.5kN、VB=3.5kN
3. VA=3.0kN、VB=3.0kN
4. VA=3.5kN、VB=2.5kN
答え
2
[ 解答解説 ]
等分布荷重を集中荷重に置き換えて示すと下記のようになる。
鉛直方向の力のつり合いより、
VA + VB = 6 kN ( = 2 kN/m × 3m )・・・@
B点におけるモーメントのつり合いより
MB = 6m × VA + 2.5m ×(–6kN )= 0
∴ VA = 2.5 kN
@に代入して、VB = 3.5 kN
よって、正解は 2となる。
[ No.10 ]
図に示す単純梁にモーメント荷重Mが作用したときの曲げモーメント図として、正しいものはどれか。
ただし、曲げモーメントは材の引張側に描くものとする。
答え
1
[ 解答解説 ]
題意のモーメント荷重Mが作用する単純梁の変形を極端に作図すると下記のようになる。
点Mより左側は梁の下端が引張となり、右側は梁の上側が引張となる。
従って、解答は 1となる。
[ No.11 ]
鋼の一般的な性質に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.鋼は、弾性限度内であれば、引張荷重を取り除くと元の状態に戻る。
2.鋼の引張強さは、250〜300℃程度で最大となり、それ以上の高温になると急激に低下する。
3.鋼は、炭素含有量が多くなると、破断までの伸びが大きくなる。
4.鋼のヤング係数は、約2.05×105N/mm2で、常温では鋼材の強度にかかわらずほぼ一定である。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
鋼に引張荷重を加えると伸びるが、加えられた引張荷重が鋼の弾性限度内であれば、引張荷重を取り除くと元の状態に戻る。
2.◯
引張強さとは、物体に張力が加えられるとき、破断に至るまでの最大の応力をいう。鋼の引張強さは温度によって変化し、250〜300℃程度で最大となり、それ以上の高温になると急激に低下する。
3.×
鋼は、鉄に炭素を加えたの合金であり、炭素の含有量が多くなると、ねばり強さや伸びが小さくなる。
4.◯
鋼材のヤング係数は、約2.05 × 105 N/mm2で、常温では鋼材の強度にかかわらずほぼ一定である。
[ No.12 ]
木材に関する一般的な記述として、最も不適当なものはどれか。
1.繊維に直交する方向の引張強さは、繊維方向の引張強さより小さい。
2.心材は、辺材に比べて腐朽菌や虫害に対して抵抗が低い。
3.節は、断面の減少や応力集中をもたらし、強度を低下させる。
4.木材の乾燥収縮の割合は、年輪の接線方向が最も大きく、繊維方向が最も小さい。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
繊維に直交する方向の引張強さは、繊維方向の引張強さより小さい。
2.×
心材に比べて、辺材の方が含水率が高くて軟らかく、腐朽菌や虫害に対して抵抗力が低い。
3.◯
節は、断面の減少や応力集中をもたらし、強度を低下させる。
4.◯
木材は、乾燥すると内部の水分量が減少して、体積が減少、すなわち収縮する。木材の乾燥収縮の割合は、円形状の年輪の接線方向が最も大きく、繊維方向が最も小さい。
[ No.13 ]
日本工業規格(JIS)に規定する建具の性能項目に関する記述として、不適当なものはどれか。
1.耐衝撃性とは、衝撃力に耐える程度をいう。
2.断熱性とは、熱の移動を抑える程度をいう。
3.開閉力とは、開閉操作に必要な力の程度をいう。
4.耐候性とは、環境の変化に対して形状寸法が変化しない程度をいう。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
耐衝撃性とは、衝撃力に耐える程度と規定されている。(JIS A 1513)
2.◯
断熱性とは、熱の移動を抑える程度と規定されている。(JIS A 1513)
3.◯
開閉力は、開閉操作に必要な力の程度と規定されている。(JIS A 1513)
4.×
耐候性とは、構造,強度,表面状態などがある期間にわたり使用に耐え得る品質を保持している程度と規定されている。環境の変化に対して形状寸法が変化しない程度は、形状安定性のことである。(JIS A 1513)
[ No.14 ]
防水材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
1.アスファルトルーフィングは、有機天然繊維を主原料とした原紙にアスファルトを浸透、被覆し、表裏全面に鉱物質粉末を付着させたものである。
2.網状アスファルトルーフィングは、天然又は有機合成繊維で作られた粗布にアスファルトを浸透、付着させたものである。
3.砂付ストレッチルーフィングは、原反にアスファルトを浸透、被覆し、表裏全面に鉱物質粒子を付着させたものである。
4.アスファルトフェルトは、有機天然繊維を主原料とした原紙にアスファルトを浸透させたものである。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
アスファルトルーフィングとは、有機天然繊維を主原料とした原紙にアスファルトを浸透、被覆し、裏表全面に鉱物質粒子を付着させたものをいう。
2.◯
網状アスファルトルーフィングとは、天然(綿、麻)又は有機合成繊維で作られた網目状の粗布にアスファルトを浸透、付着させたものをいう。
3.×
有機合成繊維を主原料とした不織布原反にアスファルトを浸透、被覆し、表裏両面に鉱物質粒子を付着させたものはストレッチルーフィングのことである。
4.◯
アスファルトフェルトは、有機天然繊維を主原料とした原紙にアスファルトを浸透させたものをいう。
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