(午後の部)令和5年6月11日(日)
※問題番号[ No.55 ]〜[ No.60 ]までの6問題は応用能力問題です。全問題を解答してください。
問題は五肢択二式です。正解と思う肢の番号を2つ選んでください。
[ No.55 ]
鉄筋の加工及び組立てに関する記述として、不適当なものを2つ選べ。ただし、鉄筋は異形鉄筋とし、dは呼び名の数値とする。
1.D16の鉄筋相互のあき寸法の最小値は、粗骨材の最大寸法が20mmのため、25mmとした。
2.D25の鉄筋を90°折曲げ加工する場合の内法直径は、3dとした。
3.梁せいが 2mの基礎梁を梁断面内でコンクリートの水平打継ぎとするため、上下に分割したあばら筋の継手は、180°フック付きの重ね継手とした。
4.末端部の折曲げ角度が135°の帯筋のフックの余長は、4dとした。
5.あばら筋の加工において、一辺の寸法の許容差は、±5mmとした。
答え
2,4
[ 解答解説 ]
1.◯
鉄筋相互のあきは、次の値のうち最大のもの以上とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編535(4))
@ 粗骨材の最大寸法の1.25倍
A 25mmとした。
B 隣り合う鉄筋の平均径(異形鉄筋の呼び名の数値)の1.5倍
設問の場合、
@ 20mm × 1.25 = 25mm
A 25mm
B 16mm × 1.5 =24mm
となり、25mmのあき寸法は適切である。
2.×
D25の鉄筋を90°折曲げ加工する場合、鉄筋の種類がSD295、SD345の場合、4d以上。SD390、SD490の場合、5d以上とする。
3.◯
基礎梁の梁せいが 2m以上となり、基礎梁断面内でコンクリートの水平打継ぎを設ける際、あばら筋に重ね継手を設ける場合は、異形鉄筋でフック付きとする。
4.×
あばら筋・帯筋・スパイラル筋の末端は、原則として135° フックとする。末端部の135° フックの余長は 6d(d は異形鉄筋の呼び名の数値)以上とする。 (鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説)
5.◯
あばら筋の加工については、幅、高さの加工寸法の許容差をそれぞれ ±5mmとする。
[ No.56 ]
普通コンクリートの調合に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。
1.粗骨材は、偏平なものを用いるほうが、球形に近い骨材を用いるよりもワーカビリティーがよい。
2.AE剤、AE減水剤又は高性能AE減水剤を用いる場合、調合を定める際の空気量を4.5%とする。
3.アルカリシリカ反応性試験で無害でないものと判定された骨材であっても、コンクリート中のアルカリ総量を3.0kg/m3以下とすれば使用することができる。
4.調合管理強度は、品質基準強度に構造体強度補正値を加えたものである。
5.調合管理強度が21N/mm2のスランプは、一般に21cmとする。
答え
1,5
[ 解答解説 ]
1.×
ワーカビリティーはコンクリートの運搬、締固め、仕上げ等の作業のしやすさのことをいう。粗骨材の粒径が揃っておらず、偏平した骨材や角ばった骨材を使用すると、ワーカビリティーがよくならないため、球形に近い骨材を使用する。
2.◯
JASS5の寒中コンクリートの項に「使用するコンクリートはAEコンクリートとし、空気量は特記による。特記の無い場合は、4.5〜5.5%の範囲で定め、工事監理者の承認を受ける。」と規定されている。したがって、AE剤、AE減水剤または高性能AE減水剤を用いる普通コンクリートについては、調合を定める場合の空気量を4.5〜5.5%の範囲で定める。
3.◯
国土交通省「アルカリ骨材反応抑制対策(土木・建築共通)」において、下記のように記述されている。構造物に使用するコンクリートは、アルカリ骨材反応を抑制するため、次の3つの対策の中のいずれか1つについて確認をとらなければならない。
@コンクリート中のアルカリ総量の抑制
アルカリ量が表示されたポルトランドセメント等を使用し、コンクリート 1m3に含まれるアルカリ総量をNa2O換算で3.0kg/m3以下にする。
A抑制効果のある混合セメント等の使用
B 安全と認めらる骨材を使用。
したがって、アルカリシリカ反応性試験で無害でないものと判定された骨材であっても、コンクリート中のアルカリ総量を3.0kg/m3以下とすれば使用することができる。
4.◯
コンクリート調合管理強度は、調合強度を管理する場合の基準となる強度で、品質基準強度(設計基準強度と耐久設計基準強度の大きい方)に構造体強度補正値を加えた値とする。(JASS5)
5.×
調合管理強度が21N/mm2の普通コンクリートのスランプは、18cm以下とする。(JASS5)
コンクリートの強度は、調合管理強度で管理するが、調合管理強度とは、
調合管理強度 = 設計基準強度 + 構造体補正値(S値)
である。
一般には、
呼び強度(発注強度)= 調合管理強度
となる。
[ No.57 ]
鉄骨の溶接に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。
1.溶接部の表面割れは、割れの範囲を確認した上で、その両端から50mm以上溶接部を斫り取り、補修溶接した。
2.裏当て金は、母材と同等の鋼種の平鋼を用いた。
3.溶接接合の突合せ継手の食い違いの許容差は、鋼材の厚みにかかわらず同じ値とした。
4.490N/mm2級の鋼材の組立て溶接を被覆アーク溶接で行うため、低水素系溶接棒を使用した。
5.溶接作業場所の気温が−5℃を下回っていたため、溶接部より100mmの範囲の母材部分を加熱して作業を行った。
答え
3,5
[ 解答解説 ]
1.◯
溶接部の表面割れの範囲を確認した上で、その両端から50mm以上をアークエアガウジングではつり取って船底型の形状に仕上げ、補修溶接する。
2.◯
裏当て金の材質は、原則として母材の鋼種と同等のものを使用する。裏当て金は母材に適し溶接性に問題のない材質で、溶落ちが生じない板厚のものを使用する。一般的に、裏当て金は、板厚9mmの平鋼が用いられる。
3.×
溶接接合の突合せ継手の食い違いの許容差
鋼材の厚みが 15mm以下の場合
管理許容差 限界許容差
e ≦ 1mm e ≦ 1.5mm
鋼材の厚みが 15mmを超える場合
管理許容差
e ≦ t /15 かつ e ≦ 2mm
限界許容差
e ≦ t /10 かつ e ≦ 3mm
4.◯
490N/mm2級以上の高張力鋼の組立て溶接を被覆アーク溶接で行う場合には、耐割れ性、耐気孔性、耐衝撃性に優れた低水素系溶接棒を使用する。(公共建築工事標準仕様書建築工事編7.6.5(4)(オ))延性や靱性等の機械的性能も良好であり、重要構造物や、良好な耐割れ性が要求される高強度鋼や低合金鋼、厚板の溶接等にも広く使用さえれている。
5.×
気温が低いと溶接部の冷却速度が速くなり、溶接部に割れが生じやすくなるので、溶接作業場所の気温が−5℃を下回る場合は、溶接を行ってはならない。なお、溶接作業場所の気温が−5℃から5℃までの場合は、溶接部より100mmの範囲の母材部分を加熱して溶接することができる。(公共建築工事標準仕様書建築工事編7.6.8(1)(2))
[ No.58 ]
シーリング工事に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。
1.ボンドブレーカーは、シリコーン系シーリング材を充填するため、シリコーンコーティングされたテープを用いた。
2.異種シーリング材を打ち継ぐ際、先打ちしたポリサルファイド系シーリング材の硬化後に、変成シリコーン系シーリング材を後打ちした。
3.ワーキングジョイントに装填する丸形のバックアップ材は、目地幅より20%大きい直径のものとした。
4.ワーキングジョイントの目地幅が20mmであったため、目地深さは12mmとした。
5.シーリング材の充填は、目地の交差部から始め、打継ぎ位置も交差部とした。
答え
1,5
[ 解答解説 ]
1.×
シリコーン系シーリング材を充填する場合、ポリスチレンテープのボンドブレーカーを用いるのが一般的である。(JASS 8 )
2.◯
ポリサルファイド系シーリング材に後打ちできるシーリング材には、変成シリコーン系、シリコーン系、ポリウレタン系等がある。(JASS8)
3.◯
ワーキングジョイントに装填する丸形ポリエチレン発泡体は、目地幅より20〜30%大きい直径のものを選定する。(JASS8)
4.◯
ワーキングジョイントの寸法、打継ぎ目地及びひび割れ誘発目地は、幅20mm以上、深さ10mm以上とする。
5.×
シーリング材の打継ぎ箇所は、目地の交差部及びコーナー部を避け、そぎ継ぎとする。シーリング材の打始めは、原則として、目地の交差部あるいは角部から行う。(公共建築工事標準仕様書建築工事編9.7.4(4)(キ))
[ No.59 ]
内装ビニル床シート張りに関する記述として、不適当なものを2つ選べ。
1.寒冷期の施工で、張付け時の室温が5℃以下になることが予想されたため、採暖を行い、室温を10℃以上に保った。
2.床シートは、張付けに先立ち裁断して仮敷きし、巻きぐせをとるために8時間放置した。
3.床シートは、張付けに際し、気泡が残らないよう空気を押し出した後、45kgローラーで圧着した。
4.熱溶接工法における溶接部の溝切りの深さは、床シート厚の1/3とした。
5.熱溶接工法における溶接部は、床シートの溝部分と溶接棒を180〜200℃の熱風で同時に加熱溶融した。
答え
2,4
[ 解答解説 ]
1.◯
施工時の作業環境温度が5℃以下になると、床タイルは硬く下地になじみにくくなり、割れ・欠けが生じるものもある。さらに接着剤のオープンタイム、張付け可能時間が極端に長くなるので、ジェットヒーターなどで寒冷期の施工で採暖を行い、室温を10℃以上に保つようにする。(JASS26)
2.×
ビニル床シートは、施工に先立って温度20℃以上の室温にて仮敷きし、24時間以上放置して巻きぐせをとる。
3.◯
床シートの張付けは、床シートを送り込みながら圧着棒を用いて空気を押し出すように行い、その後45kgローラーで圧着する。
4.×
接合部の処理は、特記がなければ、熱溶接工法とし、溝は、V字またはU字とし、均一な幅に床シート厚の2/3程度まで溝切りする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編19.2.3(2)(ウ)(b))
5.◯
熱溶接工法におけては、熱風溶接機を用いて床シートの溝部分と溶接棒を180〜200℃の熱風で溶融し、余盛が断面両面にできる程度に圧着溶接する。
[ No.60 ]
仕上工事における試験及び検査に関する記述として、不適当なものを2つ選べ。
1.防水形仕上塗材仕上げの塗厚の確認は、単位面積当たりの使用量を基に行った。
2.シーリング材の接着性試験は、同一種類のものであっても、製造所ごとに行った。
3.室内空気中に含まれるホルムアルデヒドの濃度測定は、パッシブサンプラを用いて行った。
4.アスファルト防水下地となるコンクリート面の乾燥状態の確認は、渦電流式測定計を用いて行った。
5.壁タイルの浮きの打音検査は、リバウンドハンマー(シュミットハンマー)を用い行った。
答え
4,5
[ 解答解説 ]
1.◯
施工に先立ち、見本帳または見本塗板を監督職員に提出する。なお、見本塗板は、所要量または塗り
厚が工程ごとに確認できるものとする。所要量等の確認方法は、防水形の仕上塗材の場合、単位面積当たりの使用量によることを標準とする。
2.◯
シーリング材は、同一種類のものであっても、製造所ごとに組成が異なっていて性能に問題が起こる場合があるので、接着性試験は製造所ごとに行う。
3.◯
室内空気中に含まれるホルムアルデヒド等の化学物質の濃度測定を実施する場合には、パッシブ型採取機器を用いるパッシブ法と吸引ポンプなどの動力を用いて強制的に採取するアクティブ法が用いられる。
4.×
アスファルト防水下地となるコンクリート面の乾燥状態は、次のような方法によって判断する。(建築工事監理指針)
@ 高周波水分計による下地水分の測定
A 下地をビニルシートやルーフィングで覆い、一昼夜後に結露の状態を確認
B コンクリート打込み後の経過日数
C 目視による乾燥状態の確認
過電流式測定計は、アルミニウム製外壁パネルの陽極酸化被膜の厚さの測定に使用される。
5.×
屋外及び屋内の吹抜け部分等の壁タイル張上げ面は、施工後2週間以上経過した時点で、全面にわたりタイル用テストハンマーを用いて打音検査を行い、浮きの有無を確認する。リバウンドハンマー(シュミットハンマー)はコンクリートの表面を打撃したときの反発度を測定し、その反発度音から反縮強度を推定するための機器である。
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