★監理技術者とは
1級建築施工管理技士資格が資格要件として規定されている監理技術者とは何か?
何によって規定され、他にどういう資格の者が監理技術者となれるかということについておさらいをする。
まず、はじめに
監理技術者とは日本の建設業において現場の技術水準を確保すべく配置される技術者のこと。
建設業法の規定により、
特定建設業者が元請として外注
総額4000万円以上となる工事を発注者から
直接請け負う場合、現場に配置しなければならない技術者のことである。
元請であっても同4000万円未満の現場、下請工事などには主任技術者の配置で良い。
なお、4000万円の金額区分は、
建築一式工事の場合は6000万円となる。
建築士法で規定される工事監理者とは異なる。
工事監理は、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認すること。(建築士法2条7)であり、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に注意を与え、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。(建築士法第18条4)
というもので、現場サイドとは違う第3者の視点で工事を監理する。
現場側が設置する「工事監理技術者」と建築主が別に契約する「工事監理者」とでは、いずれも「監」(取り締まるという意味)という文字が使われているが、取り締まるべき内容と視点が違うことに注意する。
監理技術者というとき、おおよそ次の3つをさしている。
1 特定建設業者が監理技術者を必要とする現場に配置できる技術者
2 監理技術者資格者証と監理技術者講習修了証を所持している技術者
3 実際個々の工事に監理技術者として配置されている技術者
資格要件監理技術者資格者証を取得するには、次のいずれかの資格が必要である。
@1級国家資格者 業種によって違うが、おおむね一級建築士、1級建設機械施工技士、1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士、1級電気工事施工管理技士、1級管工事施工管理技士、1級造園施工管理技士などの国家資格が必要である。
関連した分野の技術士でも認められる分野がある。
>>
1級国家資格等による監理技術者の資格要件建設工事に関しては、
1級建築施工管理技士(1建施)又は
一級建築士(一建士)
である必要がある。
A大臣特別認定者 大臣特認(とくにん)とも呼称される。
特定の業種で経過措置で認定された資格者であるが、監理技術者講習を有効なまま継続して受講していることが必要である。
1級国家資格を取得するまでの救済とされている。
※
現在この新規認定は行われていないので新たに取得する事は出来ない。また資格者証には「認定」と記載される。
B実務経験者 指定建設業以外の業種においては、所定規模以上の元請工事に従事した期間を満たした実務経験者にも認められる。
選任義務個人住宅を除いて、請負金額3500万円(建築一式工事の場合は7000万円)以上の場合は、その現場に配置された監理技術者は専任常駐の義務があり、他の工事との兼任はできない。
主任技術者でよい現場、下請工事であっても同様。
アルバイト、名義貸しは建設業法で禁止されている。
歴 史1988年 6月 公共的工事の専任制を把握する必要から
監理技術者制度が導入
2004年 3月 講習実施機関が登録制となり、
資格者証取得のための講習開講が民間開放
2008年11月 民間工事において専任の監理技術者には
資格者証と講習修了証所持が義務付け
2016年 6月 監理技術者の配置が必要な金額要件及び
公共性工事の専任性に対する金額要件が緩和
監理技術者講習監理技術者として現場に配置するときは、監理技術者資格者証を所持した技術者(所属会社の社員に限る)の内、工期のどの期間から見ても
前5年以内に受講済みを証した
監理技術者講習修了証を所持した者をあてなければならない。
配置された技術者は資格者証と講習修了証を携帯し、発注者の求めに応じいつでも提示できるようにしなければならない。
平成16年3月から、
資格者証取得の要件から講習受講義務が切り離されたので、資格者証は前述の資格があれば取得できる。
同年同月から講習実施機関は、指定制から民間開放され、登録制となった。
従前講習実施していた機関は爾後、資格者証の発行のみとなった。
平成20年11月下旬から、公共発注工事のみ課せられていた5年内有効の講習修了証所持・提示義務が、民間工事においても経過措置なく拡大適用された。
実施される講習内容・実施機関は次の通り。
講習科目
1 建設工事に関する法律制度
2 建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理
3 建設工事に関する最新の材料、資機材及び施工方法
4 修了試験
監理技術者講習の実施機関
(平成29年5月1日現在)
・一般財団法人全国建設研修センター
・一般財団法人建設業振興基金
・一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会
・株式会社総合資格
・株式会社 日建学院
・公益社団法人日本建築士会連合会