建築家の学歴を考えると...
他のジャンルなら、表現者であろうとする者は、大学へ行かなくなる。
場合によっては、中途退学をしてしまう。
建築業界は違う。表現者であろうとする者は、しばしば大学院へ進学する。
この差はいったい何なのでしょうか?
彼がコンクリートの肌ざわりに魅了されたのは、
ルイス・カーンのソーク研究所を写した写真が手がかりになったという。
さらに洗練の度合いを高めていった。
コンクリートはかたくすると、エッジは引立つが、ジャンカは防ぎにくくなる。
やわらかいコンクリートだと、ジャンカはでにくいが、エッジがしまらない。
現在は、「パネコート」という型枠が開発され、平滑に仕上げやすくはなっているが・・
それでも、絹ごしの豆腐とさえ評される「安藤のコンクリート」をまねることは難しい。
打ち放しのコンクリートは、汚れやすいという難点もある。
外気にさらされる部分は劣化がはやい。
ほうっておくとたちどころに色あせる。
・フォートワース美術館
・ホンブロイッヒ
・ランゲン美術館
安藤忠男の建築は結果的に自分の作品をまもる計画となっている。
コンクリート打ち放しをガラスに閉じ込めた例
いわゆる「ダブルスキン」のガラス
伝統建築であってもそのようです。
・プンタ・デラ・ドガーナ再生計画
伝統建築の中にコンクリートの躯体を入れた例
古建築に覆われて、風雨からまもられている。
また、「のらりくらり」建築ともいわれている。
安藤の商業施設は
みな、非店舗部分をたっぷりとっている。
ひろい階段と通路を組み合わせ、
中庭や吹き抜けの見せ場にしてしまう。
→ 施主の打算を如何にしてうらぎって空間演出するか?
また、関西を拠点としてきた安藤は、
「村野の衣鉢(いはつ)をついでいる」
とよく言われるそうだ。
関西財界とのつきあいぶりで、言われるようだ。
「村野が長年かかって練り上げた建築家と資本のありようを・・・
安藤が踏襲した。」(「近代主義を超えて」松葉一清 -1983)
近代主義を超えて―現代建築の動向
恐るべし、安藤忠男 ☆//