13章 屋根及びとい工事
2023年12月22日
13章 屋根及びとい工事 1節 一般事項
01節 一般事項
13.1.1 適用範囲
この章は屋根の金属板葺、粘土瓦葺及びとい工事を対象としている。
なお、金属板葺は長尺金属板葺と折板葺とに分かれる。
13.1.2 基本要求品質
(a)「標仕」では、屋根及びとい工事に使用する材料のうち主要なものはそれぞれのJIS規格が指定されている。また、補助材料については、材質や表面処理等について必要とされる内容が具体的に規定されている。基本要求品質としては、これらの指定された種類の材料が工事に正しく使用されたことを容易に証明できるようにしておく必要がある。
(b) 屋根及びといは、「標仕」で示された以外にも使用する部材が多く、その形状・寸法も多種多様であり、工事現場において加工し取り付けられる部材もある。このため、「所定の形状及び寸法を有する」とは、設計図、施工図等で示された部材が、その仕様どおり取り付けられていることを求めたものである。したがって、部材の施工方法、精度、管理の方法について「品質計画」で提案させ、それにより施工し、管理したことを証明できるようにしておく。
「所要の仕上り状態」としては、使用する建物の重要度や使用箇所、所在地の環境等を考慮して、全体として有害な傷がないこと、特に見え掛り部分に使用上問題となる汚れ、ねじれ、反り、色むら、へこみ、欠け等がなく、また、耐久性上問題となる傷がないことである。具体的には、屋根の専門工事業者による施工管理記録を活用すればよいが、あらかじめ具体的に限度を定めておき、この限度内に納まっていることと考えればよい。これらの限度を定めるに当たっては、同時に限度を外れた楊合の処理方法についても明確にしておく。
とい工事にあっては、使用材料が適正であり、加工寸法の管理が適切であればおおむね所定の形状及び寸法を確保できると考えられることから、(a)による使用材料の確認と適切な施工図、加工製品の確認のほか、取付け状態の確認記録を整備するようにする。
といの仕上り状態としては、ルーフドレンとといの取合いだけでなく、仕上げの防露巻きも含めて、出来上りの状態の限度と確認方法を定めておき、この記録を整備する。
(c) 「標仕」13.1.2(c)でいう「漏水がない」とは、9章の防水工事と同様に水張り試験による確認を要求しているわけではなく、漏水のない品質をつくり込むという考えが重要である。具体的には、施工のプロセスとして下地から屋根材、とい材料の取付けに当たって、何をどのように管理するのかを「品質計画」として提案させ、これを実施させた結果として「漏水がない」ものと考えればよい。屋根材にあっては、この取合い部の検討において、特に耐風圧性及び施工後のきしみ等の有害な震動をなくするように検討を行うことが重要である。
(d) 屋根に加わる外力の主なものは、風と雪である。風については「屋根ふき材及び屋外に面する帳壁の風圧に対する構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算の基準を定める件」(平成12年5月31日 建設省告示第1458号)に基づき算出した風圧力に対して、雪については建築基準法施行令第86条に基づき算出した積雪荷重に対して、それぞれ構造耐力上安全であることを確かめなければならない。
施工に当たっては、設計で考えられた構造耐力性能を実現するために必要な監理を行う。また、「有害な振動がない」ようにするためには、屋根材と下地材の取合い、下地材と構造体の取合いを適切なものとする必要がある。いずれも監督職員の承諾を受けた施工計画書どおり施工が行われたことを管理記録等により証明できるようにするとよい。
なお、風圧力については「Eの数値を算出する方法並びにV0及び風力係数の数値を定める件」(平成12年5月31日 建設省告示第1454号)に「局地的な地形や地物の影響により平均風速が割り増されるおそれのある場合においては、その影響を考慮しなければならない」とされており、想定される要因としては、地表面の状況(無障害物平坦地)、傾斜地(崖地、傾斜地等)、風の通路(運河、水路、谷あい等)、局地風.ビル風等がある。
とい工事にあっては、ルーフドレンとコンクリート躯体の取合いを含め、各部材の接続が確実に行われることが重要であり、施工記録により証明できるようにするとよい。
13.1.3 施工一般
(a) 「標仕」では、降雨・降雷、強風等屋根に悪影響を及ぼす自然条件の場合は、施工を行わないとされている。安全面から考えても施工は取りやめるべきである。また、下地(野地板)の乾燥が不十分な場合にも施工を行わない。下地が十分に乾燥していないと、施工後の結露の発生のほか、下地の種類によっては、留付け用部品の下地との保持力の低下が懸念されるからである。
(b) 下葺材施工の際に下葺材を折り曲げることがあり、気温が著しく低い気候条件下では下葺材が破断するおそれがある。また、改質アスファルトルーフィング下葺材(粘着層付タイプ)は粘着層の十分な接着性が得られない場合があるので、気温が著しく低下した場合には施工を行わない。
13章 屋根及びとい工事 2節 長尺金属板葺
02節 長尺金属板葺
13.2.1 適用範囲
(a) この節は、折板葺を除く長尺金属板による横葺、瓦棒葺、立平葺、ー文字葺等の屋根葺形式を対象としている。
なお、瓦棒葺は心木なしの場合を対象としている。
(b) 作業の流れを図13.2.1に示す。
![図13.2.1_長尺金属板葺の作業の流れ.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.1_E995B7E5B0BAE98791E5B19EE69DBFE891BAE381AEE4BD9CE6A5ADE381AEE6B581E3828C.jpeg)
図13.2.1 長尺金属板葺の作業の流れ
(c) 施工計画書の記載事項は、おおむね次のとおりである。
なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。
屋根葺形式ごとの具体的な品質管理項目は、表13.2.5を参照されたい。
@ 専門工事業者名及び施工管理組織
A 工程表(着工及び完了の時期)
B 下葺(材料及び工法)
C 鋼板類(種類、厚さ)
D 谷、棟、軒先、けらば等の納まり
E 折曲げ及び小はぜ掛け
F 壁との取合い等の工法
G 付属材料
H その他専門業者の工法の仕様
I 風圧力及び積雪荷重に対応した工法、作業のフロー、管理の項目・水準・方法、品質管理体制・管理責任者、品質記録文書の書式とその管理方法等
(d) 金属屋根工事の計画立案から施工管理まで担当する専門技術者の一例として、(-社)日本金属屋根協会では、昭和61年度より「金属屋根工事技士」の育成・教育を行っている。
13.2.2 材 料
(a) 平成25年版「標仕」では、屋根葺材に使用する長尺金属板の種類、塗膜の耐久性の種類、めっき付着量、厚さ等は、耐久性や耐風圧性を考慮して、設計者がすべて特記することとされた。
長尺金属板葺の場合は、一般的に、従来「標仕」で標準とされていた JIS G 3322(塗装溶融 55%アルミニウムー亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯)による CGLCCR-20-AZ150が使用されることが多い。
なお、長尺金属板の表示記号の意味を図13.2.2に示す。
![図13.2.2_長尺金属板.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.2_E995B7E5B0BAE98791E5B19EE69DBF.jpeg)
図13.2.2 長尺金属板の表示記号
(b) 屋根葺材の厚さ
上記のように、屋根葺材の厚さは構造計算等の結果を踏まえて特記されるが、めっき鋼板及び塗装鋼板では、耐久性を考慮して、最低寸法を0.4mmとする。ただし、ポリ塩化ビニル被覆金属板及び耐酸被覆鋼板においては、金属板原板の厚さが示される。
(c) 表13.2.1に金属屋根材料の概要、表13.2.2に金属屋根材料と屋根葺形式の関係を示す。
表13.2.1 金属屋根材料の概要(その1)
![表13.2.1_金属屋根材料の概要(その1).jpeg](/archicome/file/E8A1A813.2.1_E98791E5B19EE5B18BE6A0B9E69D90E69699E381AEE6A682E8A68128E3819DE381AE129.jpeg)
表13.2.1 金属屋根材料の概要(その2)
![表13.2.1_金属屋根材料の概要(その2).jpeg](/archicome/file/E8A1A813.2.1_E98791E5B19EE5B18BE6A0B9E69D90E69699E381AEE6A682E8A68128E3819DE381AE229.jpeg)
表13.2.2 金属屋根材料と屋根葺形式の関係
![表13.2.2_金属屋根材料と屋根葺形式の関係.jpeg](/archicome/file/E8A1A813.2.2_E98791E5B19EE5B18BE6A0B9E69D90E69699E381A8E5B18BE6A0B9E891BAE5BDA2E5BC8FE381AEE996A2E4BF82.jpeg)
(d) 金属屋根材料とその特徴等を次に示す。
(1) 長尺めっき鋼板
(i) 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯(JIS G 3302)
@ 材質、用途により16種類に分けられる。屋根用には種類の記号の末尾に Rが付けられている(例:SGCCR)。現在では無塗装のまま使用されることは少ない。
A めっきの種類は非合金化めっき(亜鉛めっき)と合金(亜鉛と鉄の合金層)に分けられ、めっきの最小付着量(g/m2)は両面の合計で 60〜600g/m2である。屋根用には非合金化 Z25、Z27が使用されることが多い。耐食性は亜鉛の付着量に比例する。
B酸、アルカリ溶液及びガスに侵されやすいので、使用環境に注意する。
(ii) 塗装溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯(JIS G 3312)
@ 溶融亜鉛めっき鋼板の表面をりん酸化成処理をし、熱硬化性合成樹脂塗料を両面又は片面(裏面はサービスコート)に焼付け塗装したもので一般にカラー亜鉛鉄板等と呼ばれている。
A 原板は溶融亜鉛めっき鋼板の冷延原板を使用しており、材質は8種類に分類される。屋根用は種類の記号の末尾にRが付けられている(例:CGCCR)。
B 屋根用の裏面の色はベージュである。
C 塗膜の耐久性は表13.2.3に示すように3種類に分類されているが、屋根には2類及び5類(2コート、2ベーク)以上を使用する。塗膜はアルカリに弱いため(特に1類及び4類)モルタルが付着した場合、水洗い等により取り除いておく必要がある。また、釘、鋼板の切り粉(切削屑)等の鋼が塗膜の酸化を促進させるおそれがあるので、屋根面に残さないようにする。
表13.2.3 塗膜の耐久性(JIS G 3312 : 2013)
![表13.2.3_塗膜の耐久性(JISG3312_2013).jpeg](/archicome/file/E8A1A813.2.3_E5A197E8869CE381AEE88090E4B985E680A728JISG3312_201329.jpeg)
(iii) 溶融アルミニウムめっき鋼板及び鋼帯(JIS G 3314)
@ 鋼板に溶融したアルミニウムをめっきしたもので、耐高温性、熱反射性、耐酸性に優れている。
A 耐熱用と耐候用の2種類に大別され、屋根用には耐候用を使用することが多い。耐候用は純アルミニウム液を用いアルミニウム層、合金層はともに耐熱用に比べて厚い。
B 表面が軟らかく傷つきやすいので、運搬時等での取扱いに注意する。加工時にめっき層に亀裂が入った場合は、犠牲防食作用が期待できないので早目に補修する。
亜鉛めっきが施された鉄であれば、万が一キズが発生し素地の鉄が露出してしまった場合でも、イオンになりやすい亜鉛が鉄よりも先に溶け出して電気化学的にキズ周辺を保護し、鉄の腐食は進行しなくなる。この作用を犠牲防食という。
(iv) 溶融亜鉛–5%アルミニウム合金めっき鋼板及び鋼帯(JIS G 3317)
@ 機械的性質は溶融亜鉛めっき鋼板と同等であるが、めっき層に約5%のアルミニウムを含むため、亜鉛、アルミニウムの複合酸化物被膜を形成し、亜鉛の溶出速度を抑制するため、より高い耐食性を有する。
A めっき層の加工性は溶融亜鉛めっき鋼板に比べて優れている。無塗装のまま屋根に使用されることは少ない。屋根用は種類の記号の末尾にRが付けられている(例:SZACCR)。
(v) 塗装溶融亜鉛ー5%アルミニウム合金めっき鋼板及び鋼帯(JIS G 3318)
@ 塗装溶融亜鉛めっき鋼板よりも原板の耐食性が優れ.加工性も優れている。
A 塗膜の耐久性は塗装溶融亜鉛めっき鋼板と同じである。屋根用は種類の記号の末尾にRが付けられている(例:CZACCR)。
B 屋根用の裏面の色はベージュである。
(vi) 溶融55%アルミニウムー亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯(JIS G 3321)
@ 鋼板の表面に質量比でアルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン 1.6%の合金めっきを施している。通称ガルバリウム鋼板と呼ばれ無塗装のまま使用することが多い。
A アルミニウムの特性(耐食性、加工性、耐酸性、耐熱性、熱反射性)と亜鉛の特性(犠牲防食作用)を兼ね備えている。アルカリには弱いので、コンクリート、モルタル等との接触は避ける。
B 異種金属との接触により接触腐食を起こすことがあるので、留付け金具にはステンレス製あるいは亜鉛めっき等により絶縁処理されたものを使用する。シーリング材は、シリコーン系、変成シリコーン系等を用いる。シリコーン系は汚染が生じることがあるので、使用部位に注意する。
(F) 塗装溶融55%アルミニウムー亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯(JIS G 3322)
@ 原板に前記鋼板を用いているため、JIS G 3312、JIS G 3318に比べ耐食性に優れる。
A 鋼板の塗膜の耐久性は、JIS G 3312と同じである。屋根用は種類の記号の末尾にRが付けられる(例:CGLCCR)。
B 屋根用の裏面の色はベージュとグリーンの2種類がある。
(G) ポリ塩化ビニル被覆金属板(JIS K 6744)
溶融亜鉛めっき頒板や電気亜鉛めっき鋼板にポリ塩化ビニル(塩ビ樹脂)を積層又は塗り付けたもので、一般に塩ビ鋼板と呼ばれている。塗膜は、塗装溶融亜鉛めっき鋼板と比較すると厚く、より高い耐久性を有する。「標仕」では屋根用として、用途による種類がA種(高耐食耐候性外装用)で下地鋼板がSG(溶融亜鉛めっき鋼板)を使用することにしている。
(ix) 耐酸被覆鋼板
@ 溶融亜鉛めっき鋼板等を原板として、その両面に無機繊維と合成樹脂とを数層厚膜に被覆するか、合成樹脂のみを膜厚に被覆したものである。
A 耐酸性、耐アルカリ性、耐塩水性に優れ、熱・電気等に対する絶縁性がある。
B 被覆が厚いため、加工時の曲げ角度は鈍角にするほか、切断面は補修塗装する。保護フィルムが付いている場合はそのまま加工し、積置きする際にも、塗膜同士の接着を防ぐため、保護フィルムを挿入する。
(2) ステンレス鋼板
ステンレス鋼板はJIS G 4305(冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)、JIS G 3320(塗装ステンレス鋼板)があるが、一般にコイルが使用されている。
@ ステンレス鋼板は鉄にクロム、ニッケル等を配合した合金であり、多くの鋼種があるが、建材製品に使われる代表的な種類については、14.1.5(c)(1)を参照のこと。このうち屋根用には一般的にSUS 304、SUS 316が用いられる。
なお、最近は塩害等に対する耐食性を高めた製品(SUS445等)も屋根用として使われている。
A 特 性
1) 耐食性に優れ、錆びにくい。これは合金中のクロムが酸化保護被膜(不働態被膜)を形成するためである。
2) 衝撃に強い。鋼、銅、アルミニウム等に比べて強度が大きく衝撃に強い。
3) 耐熱性に優れ、溶融温度が高く、高温下での強度が大きく、高温耐火性に優れている。
4) 熱伝導率が比較的小さく、熱膨張率もアルミニウムより小さい。
B 使用上の注意
1) 材料の貯蔵時等で鉄板やアルミ等の異種金属と直接接触させない。接触部分に水分が入ると接触腐食を起こすことがある。
2) 表面に鉄粉等を放置するともらい錆が発生するので、よく清掃する。
3) ステンレス構板にけがき線を入れる場合は、けがき釘等は錆を誘発するので赤鉛筆や筆や専用用具を用いる。
4) 普通鋼に比べてスプリングバックが強いので、折曲げ等加工時に注意する。
(3) 留付け用部材等
小ねじ、ドリルねじ及びボルト類は亜鉛めっき又はステンレス製品とする。留付け用部材等の長さ、太さ、形状等は屋根葺工法、野地板の種類等に合わせたものとする。
平成22年版の「標仕」より木下地に関する規定が削除されたことから、屋根葺材等を木下地に留め付けるために使用する釘に関する記述を削除した。しかし、役物の取付け等の特殊な部位で釘を使用することもあるので、表13.2.4に使用例を示してある。
表13.2.4に留付け用部材の例を示す。
表13.2.4 留付け用部材の例
![表13.2.4_留付け用部材の例.jpeg](/archicome/file/E8A1A813.2.4_E79599E4BB98E38191E794A8E983A8E69D90E381AEE4BE8B.jpeg)
(4) 下葺材料
(i) 「標仕」では、下葺材料は、JIS A 6005(アスファルトルーフィングフェルト)によるアスファルトルーフィング940、又は平成25年版から採用された改質アスファルトルーフィング下葺材を使用することとされている。改質アスファルトルーフィング下葺材の品質は、「標仕」表13.2.2に適合するものとされている。下葺材の種類は特記によるものとされているが、「標仕」では、コンクリート下地のように釘又はステープルが打てない下地に下葺材を直接施工する場合は、改質アスファルトルーフィング下葺材(粘着層付タイプ)を使用することとされている。
(ii) アスファルトルーフィング940の構成及び改質アスファルトルーフィング下葺材(一般タイプ、複層基材タイプ、粘着層付タイプ)の代表的な構成を図 13.2.3に示す。
@ アスファルトルーフィング940の表面は、着色塗料を塗布したものと塗布しないものがある。
A 改質アスファルトルーフィング下葺材は、アスファルトに合成ゴムや合成樹脂を添加した改質アスファルトを使用したルーフィングで、アスファルトルーフィング940に比べて、ステープルや釘打ち部の水密性に優れており、また、低温性状や高温性状が改良されている。用途によって様々な材料構成があり、アスファルトルーフィング940と同様な基材に、改質アスファルトを被覆し、表裏面に鉱物質粉粒を付着させた一般タイプのほか、鉱物質粉粒の代わりに、表裏面に合成繊維、プラスチックフィルム、紙等を用いて、軽量化を図るとともに高温時の施工での表面のべたつきを改善した複層基材タイプ、裏面に粘着材層を配置し、下葺材施工時の仮止めにステープルや釘等が不要で、ステープルや釘打ち部の水密性が更に優れた粘着層付タイプがある。
![図13.2.3_代表的な下葺き材料の構成(Asルーフィング940).jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.3_E4BBA3E8A1A8E79A84E381AAE4B88BE891BAE3818DE69D90E69699E381AEE6A78BE6889028AsE383ABE383BCE38395E382A3E383B3E382B094029.jpeg)
(イ)アスファルトルーフィング940
![図13.2.3_代表的な下葺き材料の構成(一般改質Asルーフィング).jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.3_E4BBA3E8A1A8E79A84E381AAE4B88BE891BAE3818DE69D90E69699E381AEE6A78BE6889028E4B880E888ACE694B9E8B3AAAsE383ABE383BCE38395E382A3E383B3E382B029.jpeg)
(ロ)改質アスファルトルーフィング下葺材(一般タイプ)
![図13.2.3_代表的な下葺き材料の構成(複層基材タイプ).jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.3_E4BBA3E8A1A8E79A84E381AAE4B88BE891BAE3818DE69D90E69699E381AEE6A78BE6889028E8A487E5B1A4E59FBAE69D90E382BFE382A4E3839729.jpeg)
(ハ)改質アスファルトルーフィング下葺材(複層基材タイプ)
![図13.2.3_代表的な下葺き材料の構成(粘着層付改質Asルーフィング).jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.3_E4BBA3E8A1A8E79A84E381AAE4B88BE891BAE3818DE69D90E69699E381AEE6A78BE6889028E7B298E79D80E5B1A4E4BB98E694B9E8B3AAAsE383ABE383BCE38395E382A3E383B3E382B029.jpeg)
(ニ)改質アスファルトルーフィング下葺材(粘着層付タイプ)
図13.2.3 代表的な下葺き材料の構成
(5) その他の材料
(i) 付属材料:面戸、唐草、けらば包み、棟包み等
(ii) 留め金具:ステープル、アンカーボルト等
13.2.3 工 法
(a) 屋根葺形式は、建物の意匠等にかかわるため、「標仕」では特記とされている。心木なし瓦棒葺、立平葺及び横葺の例を図13.2.4〜6に示す。
なお、横葺については建設省の「建設技術評価制度」による「中層建築物における耐風型勾配屋根の開発」に基づき、評価書を受けている製品がある。
![図13.2.4_心木なし瓦棒葺.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.4_E5BF83E69CA8E381AAE38197E793A6E6A392E891BA.jpeg)
図13.2.4 心木なし瓦棒葺
![図13.2.5_立平葺.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.5_E7AB8BE5B9B3E891BA.jpeg)
図13.2.5 立平葺
![図13.2.6_横葺.jpg](/archicome/file/E59BB313.2.6_E6A8AAE891BA.jpg)
図13.2.6 横葺
(b) 屋根葺工法は、構造耐力上の性能にかかわるため「標仕」では特記とされている。具体的には、葺板の寸法・厚さ、下地(野地板の種類、形状、強度)、留付け方法(吊子の種類・取付け方法、留付け用釘等の種類・強度)等である。
(c) 長尺金属板葺の耐風性能確保、施工方法等については、(独)建築研究所監修「鋼板製屋根構法標準」、(-社)日本金属屋根協会「金属屋根の施工と管理」、同「風と金属屋根 - 改訂版」、同「金属屋根の性能確認」が参考になる。表13.2.5に主な屋根葺形式の設計・施工上の要点を示す。
表13.2.5 屋根葺形式の設計・施工上の要点(風と金属屋根 - 改訂版より)
![表13.2.5_屋根葺形式の設計・施工上の要点(風と金属屋根-改訂版より).jpeg](/archicome/file/E8A1A813.2.5_E5B18BE6A0B9E891BAE5BDA2E5BC8FE381AEE8A8ADE8A888E383BBE696BDE5B7A5E4B88AE381AEE8A681E782B928E9A2A8E381A8E98791E5B19EE5B18BE6A0B9-E694B9E8A882E78988E38288E3828A29.jpeg)
(d) 長尺金属板葺の工法
(1) 下葺材
(i) 防水を主な目的とする下葺材の施工は、水下側の下葺材が水上側の下葺材の上に重ならないように行う。軒先からこれに平行に張付けを開始し、隣接する下葺材を上下(流れ方向)は100mm以上、左右(長手方向)は200mm以上重ね合わせる。
下葺材の左右(長手方向)の継目は、図13.2.7に示すように、継目(◯印)相互が接近しないようにする。
![図13.2.7_下葺材の施工例.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.7_E4B88BE891BAE69D90E381AEE696BDE5B7A5E4BE8B.jpeg)
図13.2.7 下鋼材の施工例
(ii) アスファルトルーフィングの仮留めは、作業効率と安全性の面から必要に応じて行うものでむやみにステープルを打ち込むことは、下葺材を貫通する孔が増えるだけで防水機能面では好ましくない。仮留めを行う場合は、図13.2.7に示すように、下葺材の重ね部分で300mm程度の間隔、その他の部分は必要に応じて900mm以内の間隔とするのが通例である。
一方、改質アスファルトルーフィング下葺材(粘着層付タイプ)の場合は、裏面のはく離紙等をはがしながら施工することで、粘着層による下地への仮止めができるため、ステープルを用いないで施工する(図13.2.8参照)。
![図13.2.8_下葺材の施工例(粘着層による仮留め例).jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.8_E4B88BE891BAE69D90E381AEE696BDE5B7A5E4BE8B28E7B298E79D80E5B1A4E381ABE38288E3828BE4BBAEE79599E38281E4BE8B29.jpeg)
図13.2.8 下葺材の施工例(粘着層による仮留め例)
(iii) 棟部はその形状から破断を起こしやすい部位であるため、図13.2.9に示すように棟の両側に250mm以上折掛けとしたのち.棟頂部から一枚もので左右 300mm以上の増張りを行う。増張りは下葺材と同材を用いる。
(iv) 谷部は水が集まる箇所であり、比較的漏水を起こしやすい部位であるため、図13.2.10に示すように左右300mm以上の下止材の一枚ものを先張りし.その上に下葺材を左右に重ね合わせ,谷底から250mm以上延ばす。
谷部に下葺を行うとき、下葺材が下地に密着するようにする。下葺材が下地から浮いた状態で張り付けられると破断しやすくなる。更に、谷底にはステープルによる仮止めは行わない。
![図13.2.9_棟部の下葺材施工例.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.9_E6A39FE983A8E381AEE4B88BE891BAE69D90E696BDE5B7A5E4BE8B.jpeg)
図13.2.9 棟部の下葺材施工例
![図13.2.10_谷部の下葺材施工例.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.10_E8B0B7E983A8E381AEE4B88BE891BAE69D90E696BDE5B7A5E4BE8B.jpeg)
図13.2.10 谷部の下葺材施工例
(v) 壁面との取合いは、屋根面から下葺材を張り進め、壁に250mm以上、かつ、雨押え上端部より50mm以上立ち上げる。仮留めは屋根面と同様に下葺材の種類に応じてステープルや改質アスファルトルーフィング下葺材(粘着層付タイプ)の場合は粘着層にて行う。また、この部位は谷部同様下葺材が下地から浮いた状態で張り付けられると破断しやすくなるので下地に密着するよう張り付ける。
また、施工後躯体の動きによって当該部位の下葺材の破断も起きやすい。したがって建物の構造や気象条件によって柊113.2.11に示すように増張りを行う場合もある。
![図13.2.11_壁面との取合い部の下葺材施工例.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.11_E5A381E99DA2E381A8E381AEE58F96E59088E38184E983A8E381AEE4B88BE891BAE69D90E696BDE5B7A5E4BE8B.jpeg)
図13.2.11 壁面との取合い部の下葺材施工例
(vi) 棟板(あおり板)、瓦棒・桟木等及びけらば部の水切り金物を取り付ける前に下葺を行う。これらを取り付けてしまうと、下葺材を留め付ける下地の不陸が大きくなり破断するおそれがある。
(vii) 両面粘着防水テープを使用する場合又は改質アスファルトルーフィング下葺材(粘着層付タイプ)を使用する場合は、しわ又はたるみが生じないように張り上げる。
(G) 軒先は、図13.2.12に示すように、下葺材を軒先水切り金物の上に重ね、両面粘着防水テープで密着させる。
なお、改質アスファルトルーフィング下葺材(粘着層付きタイプ)を用いる場合は、両面粘着防水テープを使用しなくてもよい。
![図13.2.12_軒先部防水テープ施工例.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.12_E8BB92E58588E983A8E998B2E6B0B4E38386E383BCE38397E696BDE5B7A5E4BE8B.jpeg)
図13.2.12 軒先部防水テープ施工例
(ix) 鉄骨造の場合、屋根の軒及びけらばの槌当たり箇所は.図13.2.13に示すように下葺材をあらかじめ屋根下地材(垂木等)と壁の間に先張りする。先張りした下葺材に重ねる下葺材の重ね顛は,水下から水上へ張り上げる。
RC造等の場合で、当該部位に隙間がない場合は当該処置は必要ない。
![図13.2.13_軒先壁当たり部施工例.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.13_E8BB92E58588E5A381E5BD93E3819FE3828AE983A8E696BDE5B7A5E4BE8B.jpeg)
図13.2.13 軒先壁当たり部施工例
(x) 下葺材が破損した場合は.図13.2.14に示すように、破損した部分の上側部の下葺材の下端から新しい下葺材を差し込み補修する。ただし、改質アスファルトルーフィング下葺材(粘着層付タイプ)の場合は、破損した部分の上に同材で増張り補修する。
![図13.2.14_下葺材補修方法例.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.14_E4B88BE891BAE69D90E8A39CE4BFAEE696B9E6B395E4BE8B.jpeg)
図13.2.14 下葺材補修方法例
(2) 加 工
(i) 長尺金属板のロール成形機等による機械加工が多くなっているが、現場等での折曲げは十分曲げ半径を取り、切れ目を入れずに塗装、めっき、地肌に亀裂が生じないように行う。箱形の隅等は特に注意し、形に合わせて加工する。
ポリ塩化ビニル被覆金属板及び耐酸被覆鋼板を冬期に加工する時は、塗膜に亀裂が生じやすいので、材料を加温してから加工する。
(ii) 小はぜ掛け
@ はぜ組みには、巻きはぜ(二重はぜ.ダブルはぜ)とこはぜ(一重はぜ、シングルはぜ)がある。巻きはぜはダクト等で用いられることが多く、屋根では銅板葺での屋根本体の板と板とのはぎ合せ、防水上特殊な部位に用いられる。図13.2.15に示す2種類がある。
![図13.2.15_巻きはぜ.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.15_E5B7BBE3818DE381AFE3819C.jpeg)
図13.2.15 巻きはぜ
A 小はぜは主として屋根本体の板と板及び軒先、けらば部分のはぎ合せに使用される。小はぜは、図13.2.16のように加工し 3〜6mm程度の隙間をつくり、防水上の毛細管現象を防ぐ(図13.2.17参照)。ただし、隙間のない方が風による吹上げに強いので、隙間が大きくならないように注意する。
![図13.2.16_小はぜ.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.16_E5B08FE381AFE3819C.jpeg)
図13.2.16 小はぜ
![図13.2.17_小はぜの折返し幅の例.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.17_E5B08FE381AFE3819CE381AEE68A98E8BF94E38197E5B985E381AEE4BE8B.jpeg)
図13.2.17 小はぜの折返し幅の例
(3) 取付け
葺板の取付け方法は、屋根葺形式ごとに異なるため、ここでは心木なし瓦棒葺(通し吊子)の例を示す。
@ 溝板を下葺材上の所定の位置に並べ、各溝板の間に通し吊子を入れる。
A 通し吊子は、母屋に留め付ける。
B キャップは、構板になじみよくはめ込ませ、均一、十分に締め付ける。
(4) 棟、軒先、けらば、壁との取合い部及び谷の納まり
屋根の各部の納まりについて、心木なし瓦棒葺(通り吊子)の例を示す。
@棟(図13.2.18参照)
1) 棟納めは、溝板の水上端部に水返しを付け納めたのち、キャップ掛けを行う。
2) 棟包み固定金具をキャップに取り付けたのち、棟包みを棟包み固定金具に留め付ける。両端は、瓦棒の形状寸法に切りそろえて溝板底部まで折り下げる。
3) 継手は、棟板両端を各々折り返し、重ね継ぎとする。継手内には定形シーリング材をはさみ込み、間隔30mm以内に留め付ける。継手の位置は、瓦棒に可能な限り近い位置とする。
![図13.2.18_棟の納まりの例.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.18_E6A39FE381AEE7B48DE381BEE3828AE381AEE4BE8B.jpeg)
図13.2.18 棟の納まりの例
A 斬先(図13.2.19参照)
唐草は、各通し吊子の底部にドリルねじ留めとし、唐草の継手は、通し吊子の位置で重ね継ぎとする。
![図13.2.19_軒先の納まりの例.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.19_E8BB92E58588E381AEE7B48DE381BEE3828AE381AEE4BE8B.jpeg)
図13.2.19 軒先の納まりの例
B けらば(図13.2.20参照)
1) けらば納めは、溝板端部を唐草に十分つかみ込む。
2) けらば端部の長さは、働き幅の1/2以下とする。
![図13.2.20_けらばの収まりの例.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.20_E38191E38289E381B0E381AEE58F8EE381BEE3828AE381AEE4BE8B.jpeg)
図13.2.20 けらばの納まりの例
C水上壁との取合い部(図13.2.21参照)
1) 水上部分の雨押えの一方の端は棟納めに準じ、他方の端は 120mm程度立ち上げて胴縁に留め付ける。
2) 継手の施工は棟納めの継手に準ずる。
![図13.2.21_水上壁取合い納まりの例.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.21_E6B0B4E4B88AE5A381E58F96E59088E38184E7B48DE381BEE3828AE381AEE4BE8B.jpeg)
図13.2.21 水上壁取合い納まりの例
D 壁との取合い部(13.2.22参照)
雨押えの一方の端は溝板の底まで折り下げ、他方の端は120mm以上立ち上げて胴緑に留め付ける。
![図13.2.22_壁取合い納まりの例.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.22_E5A381E58F96E59088E38184E7B48DE381BEE3828AE381AEE4BE8B.jpeg)
図13.2.22 壁取合い納まりの例
E 谷(図13.2.23参照)
谷板は稲妻谷とし、原則として、継手を設けない。葺板の溝板を谷板につかみ込んで納める。
![図13.2.23_谷の納まりの例.jpeg](/archicome/file/E59BB313.2.23_E8B0B7E381AEE7B48DE381BEE3828AE381AEE4BE8B.jpeg)
図13.2.23 谷の納まりの例
13章 屋根及びとい工事 3節 折板葺
03節 折板葺
13.3.1 一般事項
(1) この節は、JIS A 6514(金属製折板屋根構成材)を使用する屋根を対象としている。
(2) 作業の流れを図13.3.1に示す。
![図13.3.1_折板葺の作業の流れ.jpg](/archicome/file/E59BB313.3.1_E68A98E69DBFE891BAE381AEE4BD9CE6A5ADE381AEE6B581E3828C.jpg)
図13.3.1 折板葺の作業の流れ
(3) 施工計画書の記載事項は、概ね次のとおりである。
なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。
具体的な品質管理項目は、表13.3.1を参照されたい。
@ 専門業者名及び施工管理組織
A 工程表(着工及び完了の時期)
B 折板(種類、厚さ、構成部品)
C 各部の納まり工法(棟、けらば、軒先、壁との取合いの各部)
D タイトフレームの取付け方法
E その他専門工事業者の工法の仕様
F 付属材料
G 風圧力及び積雪荷重に対応した工法、作業のフロー、管理の項目・水準・方法、品質管理体制・管理責任者、品質記録文書の書式とその管理方法等
(4) 金属屋根工事技士については、13.2.1(4)を参照する。
13.3.2 材 料
(1) 折板は、「標仕」13.3.2 (1)で、JIS A 6514に基づくものと定められており、形式、山高・山ピッチ、耐力及び材料による区分並びに厚さは特記される。JISでは所定の性能を確保するため、折板と主要な構成部品を一体にしているので、受人れの際に注意する。
(2) 折板葺用に用いる材料は、「標仕」13.3.2(2)及び(3)によって特記によるとされている。
(3) タイトフレームの材料は、JIS A 6514に基づき、原則として、JIS G 3302(溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯)とされている。
(4) パッキンは、「標仕」13.3.2(4)で厚さ5mm以上のブチルゴム製又はクロロプレンゴム製、厚さ6mm以上のアスファルト製又はポリプロビレン樹脂含浸ポリエステル繊維フェルト製と定められている。ただし、耐火構造とする場合は、構造認定により、使用できるパッキンの材質に制限があるため注意する。
(5) 軒先面戸板の使用は、特記される。使用する場合は、折板と同じ種類の材料とする。面戸板には軒先面戸板のほかに止面戸(棟面戸)、エプロン、換気面戸、はぜ面戸等がある。
(6) 折板に裏張りする断熱材の種別等は特記される。断熱材には、ポリエチレンフォーム、難燃化ポリエチレンフォーム、無機質高充填フォームプラスチック、ガラス繊維シート、ロックウールフェルト、セラミックファイバーフェルト等があり、厚さは2.0〜10.0mm程度のものが多い。
(7) 折板屋根は、折板のほかに結合用部品、補強用部品、その他の付属部品等によって構成されるが、折板は製作所によって各部に微妙な相異があるため、構成部品は折板の製造所が指定したものを使用する。ただし、ボルト・ナット、固定金具及びタイトフレームはJIS A 6514に規定されたものとする。
(8) JIS A 6514(金属製折板屋根梢成材)の抜粋を次に示す。
1. 適用範囲
この規格は、金属製折板屋根を構成する折板及び構成部品について規定する。
備考1.
折板は、金属板と裏打材で構成されたもの及び金属板だけのものとする。
2. 用語の定義
この規格で用いる主な用語の定義は.次のとおりとする。
(1) 折板
金属板をV字、U字又はこれに近い形に折り曲げて,屋根材として使用する部材。
(2) 構成部品
折板屋根を構成するための部品。
3. 各部の名称
各部の名称は、次による。
(1) 折板屋根
折板屋根の各部の名称は、図1、図2及び図3の例による。
![JIS A 6514_図1_重ね形折板屋根の例.jpg](/archicome/file/JIS20A206514_E59BB31_E9878DE381ADE5BDA2E68A98E69DBFE5B18BE6A0B9E381AEE4BE8B.jpg)
図1 重ね形折板屋根の例
![JIS A 6514_図2_はぜ締め形折板屋根の例.jpg](/archicome/file/JIS20A206514_E59BB32_E381AFE3819CE7B7A0E38281E5BDA2E68A98E69DBFE5B18BE6A0B9E381AEE4BE8B.jpg)
図2 はぜ締め形折板屋根の例
![JIS A 6514_図3_かん合形折板屋根の例.jpg](/archicome/file/JIS20A206514_E59BB33_E3818BE38293E59088E5BDA2E68A98E69DBFE5B18BE6A0B9E381AEE4BE8B.jpg)
図3 かん(嵌)合形折板屋根の例
(2) 折板
折板の各部の名称は、図4、図5及び図6の例による。
![JIS A 6514_図4_重ね形の例.jpg](/archicome/file/JIS20A206514_E59BB34_E9878DE381ADE5BDA2E381AEE4BE8B.jpg)
図4 重ね形の例
![JIS A 6514_図5_はぜ締め形の例.jpg](/archicome/file/JIS20A206514_E59BB35_E381AFE3819CE7B7A0E38281E5BDA2E381AEE4BE8B.jpg)
図5 はぜ締め形の例
![JIS A 6514_図6_かん合形の例.jpg](/archicome/file/JIS20A206514_E59BB36_E3818BE38293E59088E5BDA2E381AEE4BE8B.jpg)
図6 かん合形の例
(3) 構成部品
構成部品は、次のとおりとする。
(a) タイトフレーム
はりと折板との同定に使用し、ボルト付きタイトフレームとタイトフレームだけのもの及び端部用タイトフレームとする。
(b) ボルト及びナット
折板又は固定金具とタイトフレームとの固定に使用する。
(c) 固定金具
はぜ締め形又はかん合形折板とタイトフレームとの固定に使用する。
![JIS A 6514_図7_構成部品の例.jpg](/archicome/file/JIS20A206514_E59BB37_E6A78BE68890E983A8E59381E381AEE4BE8B.jpg)
図7 構成部品の例
(4) タイトフレームの各部の名称
タイトフレームの各部の名称は、図8の例による。
![JIS A 6514_図8_タイトフレームの例.jpeg](/archicome/file/JIS20A206514_E59BB38_E382BFE382A4E38388E38395E383ACE383BCE383A0E381AEE4BE8B.jpeg)
図8 タイトフレームの例
4.種類及び記号
折板の種類及び記号は形式、山高・山ピッチ、耐力及び材科によって次のとおり区分し、( )内に記号を示す。
(1) 形式による区分
形式による区分は、次のとおりとする。
(a) 重ね形(K)折板の重ねをボルトで結合する形。
(b) はぜ締め形(H)折板をはぜで結合する形。
(c) かん合形(G)折板をかん合で結合する形。
(2) 山高・山ピッチによる区分
山高・山ピッチによる区分は、表1のとおりとする。
表1 山高・山ビッチによる区分
![JIS A 6514_表1_山高・山ピッチによる区分.jpg](/archicome/file/JIS20A206514_E8A1A81_E5B1B1E9AB98E383BBE5B1B1E38394E38383E38381E381ABE38288E3828BE58CBAE58886.jpg)
(3) 耐力による区分
耐力による区分は、表2のとおりとする。
表2 耐力による区分
![JIS A 6514_表2_耐力による区分.jpg](/archicome/file/JIS20A206514_E8A1A82_E88090E58A9BE381ABE38288E3828BE58CBAE58886.jpg)
(4) 材料による区分
材科による区分は,次のとおりとする。
(a) 鋼板製(S)
(b) アルミニウム合金板製(A)
8. 材 料
8.1 折板に使用する材料
折板に使用する材料は、表9に規定するもの又は使用上これと同等以上の性能をもつものとする。
表9 材 料
![JIS A 6514_表9_材料.jpg](/archicome/file/JIS20A206514_E8A1A89_E69D90E69699.jpg)
8.2 構成部品に使用する材料及び表面処理
構成部品に使用する材科及び表面処理は.表10に規定するもの又は使用上これと同等以上の性能をもつものとする。
表10 材 料
![JIS A 6514_表10_材料.jpg](/archicome/file/JIS20A206514_E8A1A810_E69D90E69699.jpg)
8.3 裏打材
折板に裏打板を使用する場合は、受渡当事者間の協定による。
11. 製品の呼び方
製品の呼び方は、次の例による。ただし耐力、長さ及び厚さについては受渡当時者間の協定によって省略することができる。
![JIS A 6514_11.製品の呼び方.jpg](/archicome/file/JIS20A206514_11.E8A3BDE59381E381AEE591BCE381B3E696B9.jpg)
12. 表 示
折板及び構成部品の包装には、次の事項を表示しなければならない。
(1) 折板の包装表示
(a) 種類の記号(製品の呼び方の例による。)
(b) 製造業者名
(c) 製造年月
(2) 構成部品の包装表示
(a) 名称
(b) 寸法及び使用材料
(c) 製造業者名
(d) 製造年月
JIS A 6514: 1995
13.3.3 工 法
(1) 折板葺の耐風性能確保、施工方法等については、13.2.3(3)で示した図書が参考になる。表13.3.1に折板葺の設計・施工上の要点を示す。
表13.3.1 折板葺の設計・施工上の要点(風と金属屋根ー改訂版より)
![表13.3.1_折板葺の設計・施工上の要点.jpeg](/archicome/file/E8A1A813.3.1_E68A98E69DBFE891BAE381AEE8A8ADE8A888E383BBE696BDE5B7A5E4B88AE381AEE8A681E782B9.jpeg)
(2) 折板は、屋根の棟から軒先までを一枚の板で韮くことを前提に開発されたものなので、長さ方向には、原則として、継手を設けない。折板は長尺材であるため、道路交通法上の運搬制限や道路事情等により、工事現場での加工(現場成型)を行うことがある。この際、加工スペース等の制約から所定の長さの製品を加工できないことがある。このような場合にやむを得ず、流れ方向に継ぎ目を設けることが考えられるが、本来避けるべきことであり、計画段階から対応を考えておくべきである。
(3) タイトフレームの取付け
(ア) タイトフレームは、取付け位置の心に合わせ通り良く下地に接合する。台風時の折板屋根の被害には、タイトフレームの接合不備に起因するものが多いため、接合は入念に行わなければならない。
(イ) 「標仕」では、風による紐返し荷重による緩みを防ぐため、ボルト接合でなく、隅肉溶接と規定しているが、接合不備とならないよう溶接接合は入念に行う。
(ウ) 隅肉溶接に際しては、必要な溶接の隅肉サイズ、有効溶接長さ等の確認を行うとともに、ショートビードやアンダーカット等の溶接不良が発生することがあるため、溶接状態についても注意を払う。
なお、タイトフレームの有効溶接強度の確認方法については、(-社)日本金属屋根協会「風と金属屋根ー改訂版」が参考になる。
(エ) 溶接後は、スラグを除去し溶接部分及びその周辺に「標仕」表18.3.2[亜鉛めっき鋼板の錆止め塗料の種別]のA種の錆止め塗料を途る。
(4) 折板の取付け
(ア) 重ね形折板の施工
(a) 折板は、各山ごとにタイトフレームに同定し、折板の流れ方向の重ね部に使用する緊結ボルトの間隔は600mm程度とする。
(b) 折板の端部の端空き寸法は、50mm以上とする。
(イ) はぜ締め形折板の施工
はぜ締め形折板は、タイトフレームにボルト締めされた固定金具を介してはぜ締めする。固定金具の位置及び固定金具間は、手動はぜ締め機を用いて1mm間隔程度で部分締めする。
本締めは、専用の電動シーマー等で完全にはぜ締めする。
(ウ) かん合形折板の施工
かん合形には、片側を引掛けかん合する片かん合形と、キャップを上部よりはめ込みかん合する両かん合形とがある。
(5) 各部の納まり
(ア) けらばの納まり
(a) けらばの納めは、特記による。特記がなければ、けらば包みによる方法とされている(図13.3.2参照)。この方法は、けらば包み及び端部の折板を固定するための下地が必要である。間隔 1m程度とするこの下地は、鉄骨工事の段階で取り付けられる必要があるので、屋根葺作業に入る前に所定のものが取り付けられているか確認する。また、けらば包みの継手の位置には端部用のタイトフレーム等の下地を設ける必要がある。
なお、けらば包みを用いた場合は、変形防止材を用いないのが一般的である。
(b) 重ね形折板では、最端部の折板の上底で留める方法もある。この場合、最端部の折板には、図13.3.3に示す変形防止材を付けなければならない。
![図13.3.2_けらば包みによるけらばの納まりの例(けらば断面).jpg](/archicome/file/E59BB313.3.2_E38191E38289E381B0E58C85E381BFE381ABE38288E3828BE38191E38289E381B0E381AEE7B48DE381BEE3828AE381AEE4BE8B28E38191E38289E381B0E696ADE99DA229.jpg)
![図13.3.2_けらば包みによるけらばの納まりの例(重ね部分).jpg](/archicome/file/E59BB313.3.2_E38191E38289E381B0E58C85E381BFE381ABE38288E3828BE38191E38289E381B0E381AEE7B48DE381BEE3828AE381AEE4BE8B28E9878DE381ADE983A8E5888629.jpg)
![図13.3.2_けらば包みによるけらばの納まりの例.jpg](/archicome/file/E59BB313.3.2_E38191E38289E381B0E58C85E381BFE381ABE38288E3828BE38191E38289E381B0E381AEE7B48DE381BEE3828AE381AEE4BE8B.jpg)
図13.3.2 けらば包みによるけらばの納まりの例
![図13.3.3_変形防止材によるけらばの納まりの例.jpg](/archicome/file/E59BB313.3.3_E5A489E5BDA2E998B2E6ADA2E69D90E381ABE38288E3828BE38191E38289E381B0E381AEE7B48DE381BEE3828AE381AEE4BE8B.jpg)
図13.3.3 変形防止材によるけらばの納まりの例
(イ) 棟の納まり
(a) 棟の納まりは、棟包みによる納まりを原則とする。
なお、図13.3.4に示す重ね形のほか、折板を棟位置で折り曲げる加工(ラジアル加工)もある。
(b) 棟包みは、折板の各山間にエプロンをなじみよく切り合わせ水漏れのないように留め付ける。
(c) はぜ締め形では、折板上部にはぜがあるため、ドリルねじ等による棟包みの固定が困難である。このため、棟取付け用のねじ受け金具等を用いる方法が一般的である。
![図13.3.4_棟包みによる棟の納まりの例.jpg](/archicome/file/E59BB313.3.4_E6A39FE58C85E381BFE381ABE38288E3828BE6A39FE381AEE7B48DE381BEE3828AE381AEE4BE8B.jpg)
図13.3.4 棟包みによる棟の納まりの例
(ウ) 軒先の納まり
折板の軒先は、先端部分下底に尾垂れを付ける。尾垂れはウェブと下底のりょう線部分を切らずに「つかみ」で曲げる(図13.3.5参照)。
![図13.3.5_軒先の尾垂れ.jpg](/archicome/file/E59BB313.3.5_E8BB92E58588E381AEE5B0BEE59E82E3828C.jpg)
図13.3.5 軒先の尾垂れ
(エ) 壁取合い部の納まり
雨押えは、150mm以上立ち上げる。水上部分の納まりの例を図13.3.6に示す。
![図13.3.6_水上壁取合い部の納まりの例.jpg](/archicome/file/E59BB313.3.6_E6B0B4E4B88AE5A381E58F96E59088E38184E983A8E381AEE7B48DE381BEE3828AE381AEE4BE8B.jpg)
図13.3.6 水上壁取合い部の納まりの例
13章 屋根及びとい工事 4節 粘土瓦葺
04節 粘土瓦葺
13.4.1 一般事項
(1) この節は、粘土瓦を使用した屋根を対象としている。
なお、平成22年版「標仕」から、12章[木工事]の「小屋組」及び「屋根野地、軒回りその他」が削除されたため、13章においても適用される下地から木造下地 が削除されている。しかし、本書の12章では、「標仕」以外の工法として、平成 19年版「標仕」の「小屋組」及び「屋根野地、軒回りその他」の仕様及びその解説を残してあること、瓦葺は木造下地に施工される場合が多いことなどから、この節では木造下地関係の記述も参考に残した。
(2) 作業の流れを図13.4.1に示す。
![図13.4.1_粘土瓦葺の作業の流れ.jpg](/archicome/file/E59BB313.4.1_E7B298E59C9FE793A6E891BAE381AEE4BD9CE6A5ADE381AEE6B581E3828C.jpg)
図13.4.1 粘土瓦葺の作業の流れ
(3) 施工計画書の記載事項は、概ね次のとおりである。
なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。
@ 工程表(着工及び完了の時期)
A 瓦の種類、製造所
B 施工業者及び施工管理組織
C 揚重及び小運搬計画
D 役物及び留付け用釘・緊結線・金物等の種類
E 風圧力及び地震力に対応した瓦等の留付け工法、管理の項目、品質管理体制・管理責任者、品質記録文書及びその管理方法等
(4) 粘土瓦葺の施工水準の確保と施工の信頼性向上を図るため、(-社)全日本瓦工事業連盟では、「瓦屋根工事技士」資格制度を設けており、瓦屋根工事に関する知識及び技術の維持・向上、施工管理、安全管理等の能力を有する資格者を育成し、技術者の認定登録を行っている。
13.4.2 材 料
(1) 粘土瓦は、JIS A 5208(粘土がわら)により製造されたものとする。
(ア) 粘土瓦の種類、大きさ、産地等は設計図書に特記される。
(a) 粘土瓦の基本形となる桟瓦の形状及び寸法を、図13.4.2 及び 表13.4.1に示す。
![図13.4.2_桟瓦の形状.jpg](/archicome/file/E59BB313.4.2_E6A19FE793A6E381AEE5BDA2E78AB6.jpg)
図13.4.2 桟瓦の形状(JIS A 5208 : 1996)
表13.4.1 桟瓦の寸法(JIS A 5208 : 1996)
![表13.4.1_桟瓦の寸法.jpg](/archicome/file/E8A1A813.4.1_E6A19FE793A6E381AEE5AFB8E6B395.jpg)
(b) 粘土瓦は、日本の三大産地として、愛知県三河地方の三州瓦、島根県の石州瓦、兵庫県淡路島の淡路瓦があるが、日本各地(原料の粘土の産する所)で土質・焼成等の特質を生かした瓦が生産されている。
(イ) 役物瓦は、使用箇所ごとにその種類が設計図書に特記される。また、雪止め瓦を使用する場合についても特記されることになっている。
J形の役物瓦の種類及びその使用箇所を、図13.4.3に示す。
![図13.4.3_屋根の各部.jpg](/archicome/file/E59BB313.4.3_E5B18BE6A0B9E381AEE59084E983A8.jpg)
![図13.4.3_桟瓦と主な役物の名称.jpg](/archicome/file/E59BB313.4.3_E6A19FE793A6E381A8E4B8BBE381AAE5BDB9E789A9E381AEE5908DE7A7B0.jpg)
図13.4.3 屋根の各部及び桟瓦と主な役物の名称
(ウ) 「標仕」では、瓦の、JIS A 5208に基づく凍害試験等を行う楊合は、特記によるとしている。JISによる凍害試験は、凍結融解及び観察の操作を1回とし、その繰返し回数は「当事者間の協定による」とされているが、一般的には、繰返し回数は 5〜10回程度であり、寒冷の程度に応じて定めた繰返し試験成績書により確認する。
(2) 瓦桟木は、瓦の掛止め用等に使用するもので、その材質・寸法は設計図書に特記される。しかし、湿気による腐朽防止のため、「標仕」12.3.1による防腐処理を施した杉を標準としている。また、それらと同等の性能を有すると認められる人工木材、金属製品等も市販されている。
(3) 棟補強用心材は、冠瓦の取付け等に用いられるもので、その材質・寸法は設計図書に特記される。しかし、湿気による廊朽防止のため「標仕」12.3.1による防腐処理を施した杉が一般的に使われている。また、それらと同等の性能を有すると認められる人工木材、金属製品等も市販されている。
(4) 瓦緊結用釘又はねじ、緊結線、棟補強用金物等
(ア) 「標仕」では、瓦緊結用釘又はねじは、ステンレス製で、胴部の形状は振動等で容易に抜けないものとし、種類、径及び長さは特記によるとされている。
また、「標仕」13.4.3 (1)では、瓦緊結用釘又はねじの有効長さの最小値は、先端が野地板厚さの2分の1以上に達する長さ又は野地板の裏面(下地)まで貫通する長さとし、特記によるとされている。
![図13.4.4_瓦緊結用釘又はねじの例.jpg](/archicome/file/E59BB313.4.4_E793A6E7B78AE7B590E794A8E98798E58F88E381AFE381ADE38198E381AEE4BE8B.jpg)
図13.4.4 瓦緊結用釘又はねじの例
(イ) 補強に使用する釘、ねじ及びパッキン付きねじは、ステンレス製とする。
なお、パッキン付きステンレスねじのパッキンは、耐亀裂性及び耐候性を有し、かつ、ねじを締めても頭部から飛び出さない材質及び形状のものとする。
![図13.4.5_瓦補強用ねじの例.jpg](/archicome/file/E59BB313.4.5_E793A6E8A39CE5BCB7E794A8E381ADE38198E381AEE4BE8B.jpg)
図13.4.5 瓦補強用ねじの例
(ウ) 緊結線は、合成樹脂等で被覆された径1.0mm以上の銅線又は径0.9mm以上のステンレス製とする。
(エ) 棟補強等に使用する金物等は、ステンレス製又は溶融亜鉛めっき処理を行った鋼製とし、材質、形状及び寸法、留付け方法は、特記による。
![図13.4.6_山形金物、心材受け金物プレス一体型.jpg](/archicome/file/E59BB313.4.6_E5B1B1E5BDA2E98791E789A9E38081E5BF83E69D90E58F97E38191E98791E789A9E38397E383ACE382B9E4B880E4BD93E59E8B.jpg)
![図13.4.6_山形金物+心材受け金物付きボルト一体型.jpg](/archicome/file/E59BB313.4.6_E5B1B1E5BDA2E98791E789A92BE5BF83E69D90E58F97E38191E98791E789A9E4BB98E3818DE3839CE383ABE38388E4B880E4BD93E59E8B.jpg)
![図13.4.6_棒鋼受け型.jpg](/archicome/file/E59BB313.4.6_E6A392E98BBCE58F97E38191E59E8B.jpg)
![図13.4.6_心材受け型.jpg](/archicome/file/E59BB313.4.6_E5BF83E69D90E58F97E38191E59E8B.jpg)
図13.4.6 棟補強材取付け金物の例
![図13.4.7_棟瓦の例.jpg](/archicome/file/E59BB313.4.7_E6A39FE793A6E381AEE4BE8B.jpg)
図13.4.7 棟瓦の例
(5) 下葺材は、一般的に二次防水として使用されるものであり、「標仕」では、標準としてJIS A 6005(アスファルトルーフィングフェルト)に基づくアスファルトルーフィング940又は改質アスファルトルーフィング下葺材とし、種類は設計図書に特記される。
なお、緩勾配で漏水のおそれがある(J形瓦では、屋根勾配が4寸未満で流れ長さが10mを超える)場合は、防水性能の優れた「標仕」9.3.2 (1)に規定する改質アスファルトシートの使用について検討する必要がある。
(6) 葺土は、棟や壁際で冠瓦やのし瓦を安定させるために用いるもので、次による。
(ア) 「標仕」では、モルタル、山砂又は真砂土と消石灰をふのりの煮汁と適量の水で、丁寧に練り上げたものを使用するとしている。
(イ) 既調合のものを使用する場合は、信頼できる機関の試験成績書又は使用実績等により品質を確認する。
13.4.3 工 法
(1) 屋根葺材、外装材等は、建築基準法施行令第39条において「風圧並びに地震その他の震動及び衝撃によって脱落しないようにしなければならない。」と規定されている。
なお、風圧力の計算方法や風圧等に応じた取付け工法等については、(-社)全日本瓦工事業連盟等で2021年改訂版「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」等を作成しているので参考にするとよい。
(2) 下葺の工法
(ア) 下葺材を野地板等の下地に留め付ける場合、通常、タッカーを使用してステープルで留め付けるが、しわ、破れ、浮き等の損傷が生じないよう注意する。特に重ね部分については漏水が生じるおそれがあるため、施工に当たってはステープル等を必要以上に深く打ち込まないようにするなど十分な注意が必要である。
ステープルを使用しない工法には、接着工法、釘にシール用パッキンを組み合わせた工法等がある。
(イ) 棟、谷部分は、平部分に比べ変形による動きが大きく、損傷しやすいため防水性の高い下葺材(13.4.2 (5)参照)の使用についても検討することが望ましい。
(3) 瓦桟木の取付け
(ア) 瓦の取付け工法によって桟木の取付け位置が異なるため施工計画書に記載する。桟木の取付け位置は、軒瓦の出寸法及び登り寸法並びに桟瓦の働き寸法を割り付け、これに基づいて墨打ちを行う。
切妻の瓦割付けの例を図13.4.8に示す。
![図13.4.8_切妻瓦割付けの例.jpg](/archicome/file/E59BB313.4.8_E58887E5A6BBE793A6E589B2E4BB98E38191E381AEE4BE8B.jpg)
図13.4.8 切妻瓦割付けの例
(イ) 木材以外の下地として一般的によく行われているのは、コンクリートにパーライトモルタルを塗った下地で、下地面の仕上り精度が高く、桟木の留付けはモルタルが固まらないうちであれば、木下地用の釘が使用可能である。その施工例を図13.4.9に示す。
![図13.4.9_パーライトモルタル下地の施工例.jpg](/archicome/file/E59BB313.4.9_E38391E383BCE383A9E382A4E38388E383A2E383ABE382BFE383ABE4B88BE59CB0E381AEE696BDE5B7A5E4BE8B.jpg)
図13.4.9 パーライトモルタル下地の施工例
(4) 平部の工法は、「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」では、次のような方法が示されている。
(ア) 全ての桟瓦は、1本以上の釘で瓦桟木に留め付ける。
(イ) 全ての軒瓦は、上端重ね部(尻部)の2か所を釘又は緊結線で留め付け、さらに、桟山をパッキン付きステンレス鋼製ねじ若しくは緊結線で補強するか又は重ね部の端をステンレス鋼製7形釘で補強する。
(ウ) 袖瓦は、瓦の形状に応じて以下の方法で緊結する。
(a) J形瓦は、尻部の2か所を釘又は緊結線で留め付け、さらに、桟山や袖部の垂れ際をパッキン付きステンレス銅製ねじ又は緊結線で補弛する。
(b) S形瓦は、垂れ部の2か所をパッキン付きステンレス鋼製ねじで緊結し、さらに、山部(尻部)にステンレス鋼製釘等で緊結する。
(c) F形瓦で、桟瓦に垂れが付いた一体型袖については、尻部に釘1本以上と露出部の軒際をパッキン付きステンレス鋼製ねじ1本で補強する。後付け袖については、平部1か所と側面2か所をパッキン付きステンレス鋼製ねじ1本で緊結する。
(5) 棟の工法は種々の工法があるため、「標仕」では特記によるとしている。
「標仕」では、標準的な棟の工法として、7寸丸伏せ棟、F形瓦用冠瓦伏せ棟(三角冠伏棟)及びのし積み棟の三つの工法の仕様が規定されている。平成31年版「標仕」から、のし一体棟工法は、近年の生産量の減少から、削除された。
その三つの工法の例を図13.4.10に示す。
![図13.4.10_標準的な棟の工法の例.jpg](/archicome/file/E59BB313.4.10_E6A899E6BA96E79A84E381AAE6A39FE381AEE5B7A5E6B395E381AEE4BE8B.jpg)
図13.4.10 標準的な棟の工法の例
13章 屋根及びとい工事 5節 とい
5節 と い
13.5.1 一般事項
(1) この節は、雨水排水用の各種雨どい(とい)を対象としている。
(2) 施工計画書の記載事項は、概ね次のとおりである。
なお、赤文字を考慮しながら品質計画を検討する。
@ とい(軒どい、たてどい)の材種と大きさ
A とい(軒どい、たてどい)の継手の工法
B とい(軒どい、たてどい)の受金物の形式と取付け工法並びに建物の納まり
C とい(軒どい、たてどい)の排水勾配
D 軒どいの製造業者による軒どいの取付け方法(硬質塩化ビニル雨どい)
E ルーフドレンの位置、高さ、取付け工法
F ルーフドレンの形式(防水種別及び使用箇所等による形式)
G たてどいの防露の工法(床貫通部分を含む)
H たてどい掃除口の有無
I 施工の確認方法
13.5.2 材 料
(1) 「標仕」では、表13.5.1で、といその他に適用する材種等を示している。次にその特徴を示す。
(ア) 配管用鋼管
JIS G 3452(配管用炭素鋼鋼管)は、圧力の比較的低い蒸気、水(上水道を除く。)、油、ガス、空気等の配管に用いるもので、黒管と白管(亜鉛めっき)があり、「標仕」では白管を用いることとしている。試験水圧は2.5MPaである。種類の記号 はSGPである。
(イ) 排水管継手
JPF DF 001(排水用ねじ込み式鋳鉄製鋼管継手)は、SGPを用いた排水配管に使用するねじ込み継手19種類、呼び11/4〜6について規定したもので、鋳鉄製又は可鍛鋳鉄製である。90゜エルボ、Y等には流れ勾配が付いている。鋳放し品、溶融亜鉛めっき品及び内面樹脂コーティング品があるが、「標仕」では溶融亜鉛めっき品を用いることとしている。
(ウ) 硬質ポリ塩化ビニル管
JIS K 6741(硬質ポリ塩化ビニル管)は、一般流体輸送用の管で、呼び径と厚さの組合せによって、VP、VM及びVUの3種類がある。水圧試験値はVPが 2.5MPa、VMが2.0MPa、VUが1.5MPaである。呼び径はVPが13〜300、VMが350〜500、VUが40〜600であり、同じ径でも肉厚が異なり、VPは、VUの 2倍程度の肉厚となっている。管の色は灰色で、定尺は4m、種類の記号はVP、 VM、VUである。
「標仕」表13.5.1では、使用圧力の大きいVPを使用することになっている。また、屋内に硬質塩化ビニル管を使用しない理由は、建築基準法施行令第129条の2の4第1項第七号に該当する防火区画等を貫通する排水管は、その貫通する部分及び前後 1mを不燃材料でつくらなければならないためである。
(エ) 硬質ポリ塩化ビニル管継手
JIS K 6739(排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手)は、硬質ポリ塩化ピニル管の VP管を使用する排水配管の冷間差込み接合に用いる継手で、エルボ、Y、両Y、ソケット等14種類がある。
(オ) ルーフドレン
(a) ルーフドレンは、日本鋳鉄ふた・排水器具工業会規格の「JCW 301-2018(ルーフドレン)」(ろく屋根用T型)を使用し、ルーフドレンの張掛け幅を 100mm以上とする。これは、アスファルト防水や改質アスファルトシート防水における防水層の重ね幅(100mm以上)と同程度の張掛け幅とすることで、ルーフドレンに防水層を確実に張り掛けるためである。この張掛け幅の規定は、アスファルト防水及び改質アスファルトシート防水だけでなく、合成高分子系ルーフィングシート防水にも適用するとしている。
なお、張掛け幅以外の内容も、JCW 301-2018に準拠している。
![図13.5.1_ルーフィング類の引掛け幅(たて形).jpg](/archicome/file/E59BB313.5.1_E383ABE383BCE38395E382A3E383B3E382B0E9A19EE381AEE5BC95E68E9BE38191E5B98528E3819FE381A6E5BDA229.jpg)
図13.5.1 ルーフィング類の張掛け幅(つばの幅)100mmのたて形ルーフドレンの例
![図13.5.2_ルーフィング類の引掛け幅(横形).jpg](/archicome/file/E59BB313.5.2_E383ABE383BCE38395E382A3E383B3E382B0E9A19EE381AEE5BC95E68E9BE38191E5B98528E6A8AAE5BDA229.jpg)
図13.5.2 ルーフィング類の張掛け輻(つばの幅)100mmの横形ルーフドレンの例
(b) ルーフドレンについては、「標仕」で要求する品質を満たすものとして、(-社)公共建築協会の「建築材料 設備機材等品質評価事業」(1.4.4 (5)参照)で評価した製品があるので参考にするとよい。
(c) ルーフドレンは防水種別に応じたものとする。「アスファルト防水 シート防水用」と「モルタル防水・塗膜防水用」を用意している製造所が多い。
(d) 近年のゲリラ豪雨対策として、排水量を増やせるサイホン式の排水システムの採用が見うけられる。サイホン式の排水システムは、従来の空気と水が混在した重力方式の雨水排水システムに対し、とい管内を満流状態にすることにより、細い管で高速に排水するシステムである。特殊なルーフドレンとシステム設計が必要であるが、JIS等で規格化されていないため、詳細については製造所に確認するとよい。採用に当たり主な留意事項は以下のとおりである。
@ ドレン径、配管径、合流などのシステム設計については、製造所の仕様による。
A サイホン作用を利用するため、中継ドレンを設けない。
B 取り付け高さの異なるドレン、通常の重力方式のドレンを同一系統に接続しない。
C 満流、非満流の繰り返し脈動となるため配管の支持方法、ピッチ等を個別に検討する。
D ルーフドレン近くでは、満流、非満流の切り替わり時の音が懸念されるため、静粛性が求められる室の近傍では、ドレン直下の竪樋・ドレン下部に遮音シート巻きを検討する。
E 流速が早く、流量も多いので、外構の桝接続部分では雨水が溢れないよう、桝のサイズ等を調整する。
(カ) 硬質塩化ビニル雨どい
硬質塩化ビニル樹脂を成型して作られた雨どいで、JIS A 5706(硬質塩化ビニル雨どい)に適合するものとする。ただし、JISによるものは、主に住宅に用いられる丸型のものである。非住宅用の形式の例を図13.5.3に示す。
![図13.5.3_非住宅向け硬質塩化ビニル雨どいの例.jpg](/archicome/file/E59BB313.5.3_E99D9EE4BD8FE5AE85E59091E38191E7A1ACE8B3AAE5A1A9E58C96E38393E3838BE383ABE99BA8E381A9E38184E381AEE4BE8B.jpg)
図13.5.3 非住宅向け硬質塩化ビニル雨どいの例
(キ) 表面処理鋼板
といに使用する塗装鋼板及び被覆金属板は、鋼板の両面に塗装又は樹脂被覆が施されたもので、「標仕」では、JIS G 3312、JIS G 3318、JIS G 3322及びJIS K 6744の4種類のものが規定されている。
(ク) ステンレス鋼板
「標仕」では、といに使用するステンレス鋼板は、JIS G 3320(塗装ステンレス鋼板)又はJIS G 4305(冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)としている。
(ケ) アルミニウム製雨どい
アルミニウム製雨どいは、「標仕」では規定されていないが、美観性の良さや優れた耐久性等を理由に、実績が増えている。アルミニウム製雨どいは、JIS H 4100(アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材)による押出形材でできており、外表面は陽極酸化塗装複合皮膜処理がされている。内面は表面処理を行わなくても20年以上の大気暴録で孔食深さが 0.3mm以下であり、十分な耐食性がある。また、エポキシ樹脂塗装等でさらに防食性を高めているものもある。高強度支持金物を用いることで、とい受金物の支持間隔を通常より大きくすることが可能な製品もある。
(2) とい受金物
とい受金物は、軒どいやたてどいの形状に合わせて数多くの種類が作られている。
「標仕」表13.5.2は、といの材種、といの種類及びとい径によるとい受金物寸法、取付け間隔を示している。
軒どい、たてどいの受金物は、といに加わる荷重や衝撃に十分耐えうる形状、寸法のものとし、とい材料の耐候性、耐食性に見合った材質又は防錆処理としたものとする。具体的には、JIS H 8641(溶融亜鉛めっき)のHDZT49以上が望ましく、近年ではステンレス製やJIS G 3323(溶磁亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板及び鋼帯)等を用いる場合もある。
なお、「標仕」では、とい受金物及び足金物の材種、形状及び取付間隔は、特記によるとされており、特記がなければ、表13.5.2により、溶融亜鉛めっきしたものとされている。ステンレス製のものも製造されている。
(3) 防露材
(ア) 「標仕」では、一般部分の保温筒はJIS A 9511(発泡プラスチック保温材)のEPS-C-3(ビーズ法ポリスチレンフォーム保温筒の3号)を使用し、とい径に応じて厚さ20mm又は40mmのものを粘着テープで巻くこととしている。 EPS-C-3は、ホルムアルデヒドを放散しない材料である。
また、防火区画等の貫通部分では、JIS A 9504(人造鉱物繊維保温材)のロックウール保温筒を使用し、とい径に応じて厚さ20mm、25mm又は40mmのものを亜鉛めっき鉄線で巻くこととしている。ロックウール保温筒のJISにおけるホルムアルデヒド放散による区分には、F☆☆☆☆、F☆☆☆及びF☆☆がある。「標仕」では、特記がなければ、F☆☆☆☆と定めているので注意する。
なお、一般部分においても、保温筒の使用箇所が 70℃以上となる場合は、ロックウール保温筒を使用する。
(イ) 粘着テープは、JIS Z 1525(包装用ポリ塩化ビニル粘着テープ)による1種で、厚さ0.2mmのものを使用するとよい。
粘着テープは、支持体によって分類される。種類、記号及び厚さを表13.5.1に示す。
表13.5.1 粘着テープの種類、記号及び厚さ
![表13.5.1_粘着テープの種類、記号及び厚さ.jpg](/archicome/file/E8A1A813.5.1_E7B298E79D80E38386E383BCE38397E381AEE7A8AEE9A19EE38081E8A898E58FB7E58F8AE381B3E58E9AE38195.jpg)
(ウ) 合成樹脂製カバーは、合成樹脂を使用した難燃性の樹脂製カバーとし、JIS A 1322(建築用薄物材料の難燃性試験方法)に規定する防炎2級に合格したものとし、板厚 は0.3mm以上とする。
(エ) アスファルトルーフィングは、製品の単位面積質量の呼びが 940以上のものがよい。
(オ) ビニルテープは、JIS Z 1901(防食用ポリ塩化ビニル粘着テープ)に準ずる金属の防食性があるもので、厚さ0.2mmの不粘着性で半つやのものがよい。
13.5.3 工 法
(1) 鋼管製といの工法
(ア) 継手は、原則として、排水管継手とする。径が大きいものでも、なるべく溶接継手は避けるようにする。径が80mm以下のものは細いため、溶接により溶着金属が管内にはみ出し、ごみ等が付着し、管が詰まる可能性があるため、溶接継手は不適当である。
排水管継手を使用すると、継手部分が膨らんで意匠上好ましくない場合は、「標仕」13.5.3(1)(ア)で、径が80mmを超える管についてだけ溶接継手を認めることとしている。この場合、溶接工法が適切であるかどうかを確認する。
(イ) 管の接続後のねじ切り部、溶接部には、亜鉛めっき面の錆止め塗料として、「標仕」表18.3.2の変性工ポキシ樹脂プライマーを塗り付ける。
(ウ) 建築基準法施行令第129条の2の4第1項第七号に該当する防火区画等を貫通する排水管は、その貫通する部分及び前後 1mを不燃材料でつくらなければならない。また、同施行令第112条第20項で、貫通する部分の隙間をモルタル等の不燃材料で埋めなければならないと規定している。
(エ) 「標仕」では、といの下がり止めは、厚さ6mm程度の金物2個を、上下端のとい受金物及び中間1本おきのとい受金物ごとに、また、屋内で各階にスラブがある場合はスラブごとに取り付けるよう規定しているので注意する。
(オ) とい受金物をコンクリートに取り付ける場合は、図13.5.4のように行う。
![図13.5.4_とい受金物をコンクリートに取り付ける場合(屋内埋め込み).jpg](/archicome/file/E59BB313.5.4_E381A8E38184E58F97E98791E789A9E38292E382B3E383B3E382AFE383AAE383BCE38388E381ABE58F96E3828AE4BB98E38191E3828BE5A0B4E5908828E5B18BE58685E59F8BE38281E8BEBCE381BF29.jpg)
![図13.5.4_とい受金物をコンクリートに取り付ける場合(屋内スラブ受金物固定).jpg](/archicome/file/E59BB313.5.4_E381A8E38184E58F97E98791E789A9E38292E382B3E383B3E382AFE383AAE383BCE38388E381ABE58F96E3828AE4BB98E38191E3828BE5A0B4E5908828E5B18BE58685E382B9E383A9E38396E58F97E98791E789A9E59BBAE5AE9A29.jpg)
![図13.5.4_とい受金物をコンクリートに取り付ける場合(中継のある場合).jpg](/archicome/file/E59BB313.5.4_E381A8E38184E58F97E98791E789A9E38292E382B3E383B3E382AFE383AAE383BCE38388E381ABE58F96E3828AE4BB98E38191E3828BE5A0B4E5908828E4B8ADE7B699E381AEE38182E3828BE5A0B4E5908829.jpg)
図13.5.4 とい受金物をコンクリートに取り付ける場合
(2) 鋼管製といの防露巻工法
「標仕」表13.5.4の防露巻きについて図解すると、図13.5.5のようになる。
![図13.5.5_鋼管製といの防露巻き.jpg](/archicome/file/E59BB313.5.5_E98BBCE7AEA1E8A3BDE381A8E38184E381AEE998B2E99CB2E5B7BBE3818D.jpg)
図13.5.5 鋼管製といの防露巻き
(3) とい受金物の工法
(ア) とい受金物の形式を、図13.5.6及び図13.5.7に示す。
![図13.5.6_たてどい受金物の例(木造用).jpg](/archicome/file/E59BB313.5.6_E3819FE381A6E381A9E38184E58F97E98791E789A9E381AEE4BE8B28E69CA8E980A0E794A829.jpg)
![図13.5.6_たてどい受金物の例(コンクリート用).jpg](/archicome/file/E59BB313.5.6_E3819FE381A6E381A9E38184E58F97E98791E789A9E381AEE4BE8B28E382B3E383B3E382AFE383AAE383BCE38388E794A829.jpg)
![図13.5.6_たてどい受金物の例(コンクリート用あと施工).jpg](/archicome/file/E59BB313.5.6_E3819FE381A6E381A9E38184E58F97E98791E789A9E381AEE4BE8B28E382B3E383B3E382AFE383AAE383BCE38388E794A8E38182E381A8E696BDE5B7A529.jpg)
![図13.5.6_たてどい受金物の例(鉄骨造用).jpg](/archicome/file/E59BB313.5.6_E3819FE381A6E381A9E38184E58F97E98791E789A9E381AEE4BE8B28E98984E9AAA8E980A0E794A829.jpg)
図13.5.6 たてどい受金物の例
![図13.5.7_軒どい受金物の例(木造、鉄骨併用).jpg](/archicome/file/E59BB313.5.7_E8BB92E381A9E38184E58F97E98791E789A9E381AEE4BE8B28E69CA8E980A0E38081E98984E9AAA8E4BDB5E794A829.jpg)
![図13.5.7_軒どい受金物の例(木造用).jpg](/archicome/file/E59BB313.5.7_E8BB92E381A9E38184E58F97E98791E789A9E381AEE4BE8B28E69CA8E980A0E794A829.jpg)
![図13.5.7_軒どい受金物の例(やむを得ずスレートに直接取り付ける場合).jpg](/archicome/file/E59BB313.5.7_E8BB92E381A9E38184E58F97E98791E789A9E381AEE4BE8B28E38284E38280E38292E5BE97E3819AE382B9E383ACE383BCE38388E381ABE79BB4E68EA5E58F96E3828AE4BB98E38191E3828BE5A0B4E5908829.jpg)
図13.5.7 軒どい受金物の例
(4) 硬質ポリ塩化ビニル管製といの工法
(ア) 継手は、原則として、JIS K 6739(排水用硬質ポリ塩化ピニル管継手)とする。管と継手は、ビニル系接着剤等を用いて行う冷間接合とする。接合部には、接着剤をつけ過ぎないようにする。
(イ) 継いだといの長さが10m以上になる場合は、製造所の指定するエキスパンション継手等で伸縮を吸収する。
(ウ) 配管用鋼管との接続は、鋼管用アダプターやTSバルブ用ソケット等を利用して行う。
(エ) といの下がり止めは、「標仕」では、といの製造所の仕様により固定するとしている。製造所の仕様には、といと同じ材質の部材(例えば、たてどいを輪切りにしたものや、それを細かなピースに切断したものなど)をたてどい受金物の上部のたてどい本体に接着剤を用いて固定する方法等がある。
(5) 硬質塩化ビニル雨どいの工法
硬質塩化ピニル雨どいの取付け方法は製造所の仕様によるが、次の事項に留意する。
(a) 軒どい
@ といの継手、水止め及び曲がり等は、専用の部品を接着剤で取り付ける。
A 受金物は、所定の流れ勾配をとる。
B 受金物とといは、1.2mm程度の金属線又は別の方法(金物の金属つめ等)で取り付ける。
C とい1本の長さは10m以内とし、伸縮は集水器部分で吸収するようにするか、製造所の指定する長さ、方法で吸収する。
(b) たてどい
@ 継手は専用の部品を用い、接着剤を用いて継ぐ。
A 継いだといの長さが10m以上になる場合は、製造所の指定するエキスパンション継手等で伸縮を吸収する。
(6) 鋼板製雨どいの工法
鋼板製雨どいの取付け工法は、次の事項に留意する。
(a) 軒どい
@ といの両端部分は、丸型は耳巻き、角型は折曲げ又は耳巻きとする。
A 継手を設けないことが原則であるが、やむを得ない場合は、重ね代40mm程度とし、相互に力心を差し込みはんだ付けするか又は製造所の指定する方法による。大型のといの場合はリベット留めとする。
リベットをブラインドリベットとする場合は、シールドタイプとする。
なお、継手は漏水の原因となるので止水の処理を確実に行う。
B 塗装及び被覆鋼板をはんだ付けする場合は、塗膜等のはく離と、そのあと処理に注意する。
C といは、所定の流れ勾配をとり、伸縮は集水器、あんこう部分で吸収する。
(b) たてどい
@ 継手は小はぜ掛けとし、はぜの緩止めを行う。
A 長さ方向の継手は、上にくるたてどいを下のといに直径寸法程度又は60mm程度差し込んで継ぐ。
(c) 谷どい
@ 谷どいは、大量の雨水を処理すると同時に、じんあい、土砂等もここに流れ込んでくる。したがって、雨水やじんあい等の的確な処理のために必要な大きさ、勾配及び形状が大切な点となる。さらに谷どいは、ややもすると雨水とじんあい、土砂が一緒にたまりやすく、そのため屋根以上に腐食が早い。また、谷どいと屋根の接合部分からの漏水は、即室内への雨漏りとなるので、この部分の納め方が非常に難しくなる。納め方は屋根工法によって変わる。さらに、寒冷地域や積雪地域で一般地域と同じ方法で谷どいを納めると、氷や雪のため息わぬ漏水事故を引き起こす結果になるため注意する。
A 谷どいは、落ち口と落ち口の間又は落ち口とエキスパンションの間を1枚の板で所定の形状寸法に加工する。
B 継手を設けないことが原則であるが、やむを得ない場合は、水上に設け、50mm以上重ね合わせ、リベット、薄板用小ねじ等で2列に千烏に留め付ける。
リベットをブラインドリベットとする場合は、シールドタイプとする。
なお、継手は漏水の原因となるので止水の処理を確実に行う(図13.5.8参照)。
C 継手部分は、重ね合せ部にシーリング材を入れて留め付ける。
D 受金物は、谷どいの底幅に合わせて、表13.5.2により間隔500mm以下で取り付け、勾配は1/200以上とする。
![図13.5.8_谷どいの継手.jpg](/archicome/file/E59BB313.5.8_E8B0B7E381A9E38184E381AEE7B699E6898B.jpg)
図13.5.8 谷どいの継手
表13.5.2 谷どいと受金物
![表13.5.2_谷どいと受金物.jpg](/archicome/file/E8A1A813.5.2_E8B0B7E381A9E38184E381A8E58F97E98791E789A9.jpg)
E 谷どいの長さが15m以上になる場合は、エスキパンション継手を設ける。谷どいの水上端部に水止め板をリベット、簿板用小ねじ等で取り付け、両端部間は20mm程度開け、エキスパンション継手のキャップは水止め板につかみ込み取り付ける。水止め板は谷どいと同材とする。
リベットをブラインドリベットとする場合は、シールドタイプとする。
なお、やむを得ず異種金属の組合せとなる場合は、両者間に硬質プラスチックフィルム(厚さ0.5mm以上)を挟み込み、電気的に絶緑させる。
F 概して、寒冷地域や積雪地域で谷どいを設けることは少なく、とりわけ北悔道では皆無に近い。その理由として、各部が氷結したり、雪のため、谷どいが埋もれて、とい本来の機能が発揮されないことが多いためである。したがって、上記の地域で谷どいを施工する場合は、融雪ヒーターを取り付けるなどの対策が必須である。
(7) ルーフドレンの工法
(ア) 「標仕」13.5.3(5)では、ルーフドレンの取付けは、原則としてコンクリート打込みとしているので注意する。ルーフドレンが傾いてしまうと排水管の接続が困難となるため、ルーフドレンが水平となるよう確実に固定する。取付けに際しては、ドレンのつばの天端レベルを周辺コンクリート天端より30〜50mm程度下げ、コンクリート打込み時の天端均しでは、半径600mm前後をドレンに向かって斜めにすりつける。
なお、「標仕」では、構造スラブ厚が確保できない場合等、必要に応じて図13.5.9のようにコンクリートで増打ちを行うこととしている。
![図13.5.9_たて形ルーフドレンのコンクリート増打ち.jpg](/archicome/file/E59BB313.5.9_E3819FE381A6E5BDA2E383ABE383BCE38395E38389E383ACE383B3E381AEE382B3E383B3E382AFE383AAE383BCE38388E5A297E68993E381A1.jpg)
図13.5.9 たて形ルーフドレンのコンクリート増打ち
(イ) 防水施工及び押えコンクリート打込みに際しては、ルーフドレン内にアスファルトやセメントペーストが流入、付着しないよう養生等を行う。
(ウ) 横形ルーフドレンを設置する場合、その直下には梁がある場合が多いので、適切な勾配を取るために、 ドレンをスラブ天端から 30〜50mm程度下げて固定するためには、梁天端を下げる必要がある。また、鉄骨鉄筋コンクリート梁では、鉄骨梁も下げることになり、十分な調整が必要となる場合が多い。さらに、場合によっては、階高を上げなければならないこともあるため、注意が必要である(図13.5.10参照)。
![図13.5.10_横形ルーフドレンによる梁天端下がり.jpg](/archicome/file/E59BB313.5.10_E6A8AAE5BDA2E383ABE383BCE38395E38389E383ACE383B3E381ABE38288E3828BE6A281E5A4A9E7ABAFE4B88BE3818CE3828A.jpg)
図13.5.10 横形ルーフドレンによる梁天端下がり
(エ) 縦形ルーフドレンを、パラペットの立上り部分に接近して取り付けると、ストレッチルーフィングやシート類の切張り補強、シート類の重ね張り作業が不確実となり、不具合を起こす原因になる。したがって、これらの施工が確実にできるように、立上り部からある程度離す必要がある(表13.5.3参照)。
表13.5.3 ルーフドレンの下地の形状・寸法
![表13.5.3_ルーフドレンの下地の形状・寸法.jpg](/archicome/file/E8A1A813.5.3_E383ABE383BCE38395E38389E383ACE383B3E381AEE4B88BE59CB0E381AEE5BDA2E78AB6E383BBE5AFB8E6B395.jpg)
(8) 清掃、その他
ルーフドレン及びといの取付け完了後、清掃を行う。
なお、取付け完了後の通水の確認は、通常の建物では降雨時又はドレンからの水の流し込みにより、管の接続部、横引き部等を目視で漏水のないこととする。
参考文献
![参考文献.jpeg](/archicome/file/E58F82E88083E69687E78CAE-5b5b9.jpeg)