こわいほどよくわかる 新型コロナとワクチンのひみつ [ 近藤誠 ] 価格:1,430円 |
■「検査病」になったインフルエンザ(P178)
インフルエンザと診断された人は1997年には8800人(1959年には100万人もいた)と、1万人を割りこんでいます。この時は、医師たちは「症状がふつうの風邪とはちがう」、「冬場に発症したことからしても、インフルエンザだろうと」と判断していたのです。
ところが、1999年に新しい検査方法として、「綿棒検査」が導入されると、インフルエンザの患者数は、6万5000人と激増し、翌年には77万人になりました。
昔のように激しい病状を呈する人はすくなく、たいていはふつうの風邪症状で受診して、綿棒検査で「インフルエンザ陽性」となるわけです。
■2020年11月からインフルエンザ患者が激減(P81)
2020年は、感冒症状があっても(新型コロナが怖くて)医療機関へ行かないし、仮に受診しても、先にコロナ検査がなされ、それが、「陰性」とわかる頃には症状も落ち着いて、インフルエンザの綿棒検査がなされすに終わっているようです。
■コロナ禍の2020年、日本人の「総死亡数」が減っていたという事実は、人びとがコロナ感染を恐れ、医療機関への受診を自粛したからのようです。
これまでにも医師たちがストライキをした国では、その間、死亡者数が減るのです。医療行為を原因とする傷害や死亡、つまり「医原病」が減るからでしょう。コロナは図らずも、わが国でも「医原病」で大勢がなくなっていることを教えてくれたようです。(P4)
■否定されたインフルエンザワクチンの有用性(P171)
1970年になって、イギリスの「寄宿学校」に在籍する男子を対象に、インフルエンザワクチンに関する(簡略した)「比較試験」が実施されました。
すると試験を始めた年には、インフルエンザを発症した子は、非接種グループが14・8%で、接種グループが、2・9%でした。ワクチンは有効だったのです。
比較試験はその後も続けられました。もちろん、各シーズンに流行しそうなインフルエンザの「型」を予想し、それ用のワクチンを使うのです。
都合3回の流行があったところで、試験は打ち切られ、データが集積されました。
そして、ワクチンをうけた回数によって@1回、A2回、B3回のグループとC一度もうけなかったグループに分けられました。
すると@〜Cまでのすべてのグループで「累積」発症率は、40〜50%の範囲に収まったのです。
なぜそうなるのか、おそらくこういうことです。
まず、(イ)ワクチン接種によっては、ワクチンに使われた「型」のウイルスに対する免疫しか得られない。そのため(ロ)ワクチンの「型」が、その年に流行したウイルスの「型」と一致したときだけ、発症の予防効果がある。(ハ)一致していれば症状の発症率を減らせ、「ワクチン有効」と判断される。
(ニ)けれども、複数年にわたって何度接種しても、ワクチンで使われなかった「型」のウイルスに感染し発症するのを予防する力は乏しい。
これに対し、インフルエンザウイルスに「自然感染」した場合には、将来感染するであろう「別の型のウイルス」に対する免疫も得られるケースが増える。自然感染だと「交差免疫」が働きやすいのでしょう。 ではこの試験で、3回の流行があったのに、ワクチンをぜんぜん打たなかったケースの約半数が、寄宿舎という「密」な環境において、一度もインフルエンザ様症状を発症しなかったのはなぜか。
比較試験が始まる前から、3つの型のウイルスに対する免疫を得ていた可能性があります。もしそうだとすれば、それも「交差免疫」によるものでしょう。
交差免疫を生じさせた病原体の候補としては、別の型のインフルエンザウイルス、従来型コロナなどの風邪ウイルス、さまざまな細菌などいろいろ考えられます。
新型コロナの場合にも、日本人の多くに、交差免疫が生じている可能性があります。それが日本人の重症化率が低い原因なのかもしれません。
■交差免疫とは、おる病原体に対して生ずる「免疫状態」が、別の病原体にも(ある程度)通用する状態です。
つまり以前に生じた感染症のあとに残った「メモリー細胞」によってつくられる「抗体」が、新たにやって来た別の病原体に「結合」することができるケースがあります。その場合には、症状が軽くすむ(もしくは無症状で終わる)わけです。(P70)
新型コロナは遺伝子の「塩基配列」が従来型の4種のコロナウイルス(風邪ウイルス)に似ています。したがって交差免疫が生じややすいと推測されます。つまり、これまで風邪を引いた回数が多いほど、新型コロナに打たれ強くなっているはずです。
■副作用(P209)
ファイザーとモデルナのワクチンは、どちらも(インフルエンザワクチンとは比較にならないほど)接種後の副作用が強烈です。
というのも9割以上に、注射部位の疼痛、頭痛、筋肉痛、倦怠感、吐き気、発熱などが見られます。そのうち数%〜10%は、耐えられないほどの症状で、発熱も39℃から40℃となります。
基礎疾患がある人や、虚弱な高齢者ではほとんど試されていないので、副作用がどうなるかは未知の領域です。なお副作用が強いのは、RNAと一緒に投与する「脂質」が「アジュバンドとして働くからのようです。
さらに心配になるのが、長期的な「後遺症」です。
実際に(試験を中断するほどの)副作用が見られています。
2020年9月、アストラゼネカが開発中の、チンパンジーのアデノウィルスを用いたワクチンの第三相試験で「横断性脊髄炎」が1例、発生しています。めったに自然発生しないタイプの「マヒ性疾患」なので、ワクチンの副作用でしょう。
またそれが報道されたあと、以前に「多発性硬化症」を発症したケースがあって。試験を一時中断していたことが明らかになりました。「多発性」というので、脳の複数箇所に異常(炎症)が生じたことがわかります。こちらも、ワクチンの副作用でしょう。
会社は横断性脊髄炎が生じたあと、いったんは試験を中止しましたが、とくに説明せずに再開しています。
また製薬大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が、最終段階に入っていた臨床試験を一時中断したことが、2020年10月に明らかになりました。
J&Jは「説明のつかない病気が参加者にでたため、すべての治験で参加者への接種を一時中断した」と。どういう「病気」かについては発表がありません。
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