価格:1,324円 |
■長く裁判官をやってきた私ですが、2014年に弁護士登録をしました。沖縄県名護市辺野古で計画されている、米軍基地の建設計画に関する訴訟の代理人になるためです。基地は「敵国」の人々を殺すために存在します。人は、殺すことも殺されることも許されていないのです。
また、サンゴやジュゴンのいる海で、コンクリートの航空基地を造れば、それらは死んでしまいます。「戦争をしない世界を実現し、この海をきれいなままに残したい」という思いで、弁護団の一人に名を連ねたのです。
私は、この海が戦争の道具である基地には決してなり得ないということを知っています。それが、この美しい大自然を想像した大宇宙の意志だからです。
たとえば、宮古島の大神島で周辺道路がどうしてもできなかったという事実がその一例です。もし仮に工事を強行したとしても、300年たてば、コンクリートは波ではがれ、その上にまたきれいなサンゴが卵を産み、必ず元に戻っているでしょう。
私はこの考え方をネイティブアメリカンから学びました。「あなたたちは居留地に追いやられて、ひどい目に遭いましたね。北米では白人が移住してきてから、原生林の95%が切られ、5%しか残っていないそうですね」と私がいうと、「ああ、大丈夫ですよ、そんなこと。必ず元に戻りますから」といって彼らは笑っていました。私は、短期間のことだけ考えて、くよくよすることはないのだと、そのときわかりました。
辺野古も同じです。「そんなことやめなさいよ」とはいいます。しかし、それ以上は争わないのです。万が一工事が強行されても、300年後に生まれてくる子供たちは、再生した美しいサンゴの海を見ることができるでしょう。
■たまたま近くの養鶏場を見学に行ったところ、ニワトリが身動きできないほど狭いケージに入れられているのを見て、鶏肉と卵も食べられなくなりました。身動きできずに、苦しみ抜いて一生を過ごしたニワトリの肉や卵には、怒りと哀れみのエネルギーがこもっていると感じたからです。(P21)