税金を払わずに生きてゆく逃税術【電子書籍】[ 大村大次郎 ] 価格:1,100円 |
■小泉純一郎内閣時代に総務大臣を務めた竹中平蔵氏も、かつてアメリカで研究をしていた時期があり、そのときにアメリカに住所を移していた。しかし当時、彼は日本の大学で教鞭をとっており、日本で仕事をしていた。竹中氏は住民票をアメリカに移しているので、当然、日本で住民税は払っていなかった。大臣になったとき、国会で「アメリカにはときどき滞在していただけではないか」「実質的には日本に住んでいたのではないか」と追及された。・・・
竹中氏は国会で「住民税は日本では払っていないが、アメリカで払った」と主張した。それを聞いた野党は「ならばアメリカでの納税証明書を出せ」と追及した。でも竹中氏は、最後まで納税証明書を国会に提出しなかった。(P23)
■海外に住民票がある人で、日本から収入がある人には「源泉徴収税」だけでよい。日本国内に住んでいる日本人であれば、年末にすべての所得を計算しなおして、所得の総額に対して所得税が課せられる。
たとえば、売れっ子作家などはこの仕組みによって大幅に税金が安くなる。著書の印税の源泉税というのは、原則として20%である。だから、海外に住んで数億の収入があっても、20%の源泉徴収だけでいいのだ。
2007年、「ハリーポッター」シリーズの翻訳者が居住地をスイスにして、日本で確定申告をしていなかったことがある。しかし、この人物は「実際は日本に住んでいる」とされ、国税当局から約7億円の追徴課税をされた。(P16)
■少子高齢化は政府の無策の結果だ(P205)
現在、日本は世界第3位の経済大国であり、国民一人当たりの外貨準備高は、ダントルの世界一である。
これだけお金を稼いでいるのの、なぜ我々の生活は苦しいのか?
ほとんどの日本人は、夫婦で共働きをしても、子どもを一人か二人育てるのがやっとである。夫しか働いていない場合は、子供一人がギリギリである。
頑張って子供をつくっても、預ける保育施設さえ、ままならない。こんな国は、世界にほとんど存在しない。
世界中のほとんどの地域では、夫婦のうちどちらかが普通に働いていれば、子供の一人や二人は育てれれる。発展途上国や、貧しいとされている国でも、そうである。
日本がこのような生きづらい国になったのは、社会のシステムが壊れているからである。
少子高齢化問題も、実は政府の無策がもっとも大きな要因であり、「人災」とさえ言えるものなのだ。・・・
男性の場合、正社員の既婚率は約40%だか、非正規社員の既婚率は約10%である。
派遣社員の男性のうち、結婚している人は1割しかいない。「派遣社員ではなかなか結婚できない」のだ。
「派遣社員が増えれば増えるほど未婚男性が増加し、少子化も加速する」
この「派遣社員の急増」という現象は、実は経済界の要請を受けて政府が労働法などを改悪したために生じたのである。
95年、経団連は「新時代の"日本的経営"」として、「不景気を乗り切るために雇用の流動化」を提唱した。
「雇用の流動化--というと聞こえはいいが、要は「いつでも正社の首を切れて、賃金も安い非正規社員を増やせるような雇用ルールにして、人件費を抑制させてくれるということである。
これに対し政府は、財界の動きを抑えるどころか逆に後押しをした。
99年には、労働派遣法を改正した。それまで26業種に限定されていた派遣労働可能業種を、一部の業種を除外して全面解禁したのだ。
2006年には、さらに派遣労働法を改正し、製造業でも解禁された。
これにより、非正規雇用が爆発的に増大したのである。
90年代半ばまでは20%程度だった非正規雇用の割合が、現在では35%を超えている。
先進国の中でこれほど非正規雇用が増えているのは日本だけなのだ。フランスでは非正規雇用の割合は20%以下であり、イギリス、ドイツなどもほぼ同じ水準だ。
競争社会のアメリカでさえ、総労働に占める割合は27%である。先進国の中では、日本だけが突出していると言える。
それは、政府が「非正規雇用を増やすこと」を容認したからののである。