■健康診断は受けない(P193)
体を臓器別に検査する健康診断や特定の部位を検査する検診は、有体に言えば病人を製造するシステムです。健診や検診の結果、血圧が高い、血糖値が高い、メタボだ、レントゲンで肺に影が見えた、と医者は脅してきます。さあ大変、投薬だ、手術だと、ということになります。けれども、
薬には必ず副作用があり、手術で臓器を切除すると必ず身体のどこかに変調をきたします。飲まなくてもいい薬を投与され、しなくてもいい手術をした結果、QOL(Quality of life:生活の質)が低下したり、寿命を縮めたりするケースはたくさんあるのです。
胸部エックス線撮影やCTによる放射線被ばくで、発ガン率は上昇します。(CTはより危険)
■私自身のことを言うと、例外として心臓ドッグと脳ドッグは定期的にうけています。(P197)
■クスリと書いてリスクと読む(P188)
大学病院の医局は製薬会社と深い関係にあります。製薬会社は研究費という名目で医局に多額の寄付をし、医局は製薬会社の意向に沿って薬を増やす研究や売れる薬の研究をしていという実態があるのです。したがって、たくさん薬を使う研究はしても薬を減らすという研究はしません。しかも、医薬品を管轄する
厚労省は製薬会社と医師の味方です。例えば、血圧、血糖値、メタボなど健康に関する標準値(正常値)は厚労省の要請で学会幹部の医者が決め、臨床の現場の医師は標準値から外れた受信者に薬剤をバンバン投与する、すると製薬会社は儲かる。大雑把にいえばそういった仕組みです。
■すべてを疑え(P176)
日々生起する事象をマスコミはニュースとして取り上げて論評し、テレビのワイドショーでは、コメンテーターがもっともらしい意見を述べています。そして大部分の読者や視聴者、つまり大衆がそれを鵜呑みにすることにより、世間の常識らしきもの、社会の空気のようなものが醸成されていきます。「財政難の原因は高年者の存在にある」といった常識などその典型でしょう。
けれども、あらゆる事象は立体的であり、正面から見るだけでなく斜めからみたり、裏側に回ってみたりしなければ、その輪郭の総体を正確に捉えることはできません。また、ある判断をする際には、常にエビデンスをチェックするという姿勢がとりわけ重要です。
「水は低きに流れ、人は易きに流れる」と申します。わかりやすく受け入れやすい言説は、脳に負担がかからず楽です。しかし、そういった言説に接する時には、眉に唾をつけながら読んだり聞いたりするのが精神の正しい構え方だと私は考えています。・・・
皆が同じ方向を向き社会の「気分」のようなものが出来上がり、少数派が排除される、すなわち
ポピュリズムは時としておおきな災厄を招くことは歴史が教える通りです。
例えば、太平洋戦争を後押ししたのは大新聞をはじめとするマスコミと大多数の国民の熱狂でした。軍部とマスコミと大衆が互いに影響を及ぼし合いながら亡国戦争に突き進んだというのがあの戦争の実態です。首相東条秀樹の自宅には一般国民から「早く戦争しろ、腰抜け」「非国民、戦争が怖いのか」といった脅迫状まがいの手紙が大量に届けられたそうです。また、大衆の熱狂に迎合した大新聞は、こぞって戦争推進の大キャンペーンを張っています。こうした
権力とマスコミと大衆の共犯関係の本質は、現在でもそれほど変わっていません。