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■「資本主義は本当に終わるのでしょうか?次の大きな時代に転換していくであろうことは理解できます。しかし、資本主義は姿を変えながら存続していくのではないでしょうか?」講演会では必ずこの質問が発せられる。私は、こう答えることにしている。
「もっともな質問であると思う。たいていの方は感覚的に資本主義を市場経済とまったく同義に捉えておられるし、資本主義をどう定義するかによって、結論も変わってくるだろう。私は、資本主義とは本質的に資本の自己増殖と利潤の極大化を目指すものであるとする立場である。投資して、回収する。その運動を単純に永遠に繰り返すものだと考える立場であった。そうである以上、日本を始めとする先進資本主義国のほとんどが、「ゼロ金利・利潤率ゼロ」となっている現実を眼前にしては、資本主義の死亡診断書を書かざるをえない。
イエス・キリストがゴルゴタの丘に貼りつけにされた当時の原始キリスト教と現在のものとは大きな隔たりがある。それでも「キリスト教」として一般には認識されている。ガウタマ・シッダールタがインドで悟った当初の仏教の教えと今日の日本の仏教にも同じことが言える。その伝で言うなら、資本主義は今後も市場経済とともに存続できると強弁できるかもしれない。だがそのとき、資本主義は誕生した当初から本来的に備えていた本質をもはや失ってしまっている。これをもし、「変化変容した資本主義」と捉えるか否かは、観る者の知的背景にも因るだろう。繰り返すが、私はその立場はとらないのである」(P105)
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