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飯村淳子(翻訳)「世界のギター・ヒーロー50人に聞いた500の素朴な質問」




なかなか評判が良いというのは知っていたんだけど、「いっぱい入っているのは良んだけど50人って多いな、そこまで好きじゃ無い人も多いしな」と思ってスルーしていた一冊。時間がある時にふっと古本屋で目に入ったのでなんとなく購入。

さて、確かこの本の売りは「あのギターヒーローに(ライターや音楽評論家ではなく)読者が素朴な疑問をぶつける」という事だったと思うんですよ。まぁそういう、いわゆる利害関係があったら直接的には聞き難いだろうな、というような質問をしてたりして、そこは確かに興味深くはあります。たまに後発の有名バンドのメンバーからの質問があったりするのも面白いし。
ただ、基本ファンからの質問なんで、そんなに変わった質問は出ないんですよね。意外と普通なのよ。そりゃそうだよね、ファンなんだもん。そして、その質問に対して、大して面白い解答も返ってきてないんですよね。正直、今思い出せないですもん全然。
だから読み進めるうちに「これ普通のインタビュー集じゃね?」ってどんどん思うようになってしまうんですよね。だったらこの本の価値は何だ?、と。普通のインタビュー集だとすると一個一個のインタビューは短いし浅いんですよ、何せ質問は10個だけだし、質問してるのが素人なんで。難しいですけどね。全く興味ない人がメイクしたバンドに「いい歳して恥ずかしく無いの?」とか質問してもしょうがないわけだから、塩梅がね。
思ったほど売りである素人質問が面白いわけではないんだけど、これだけの有名ギタリストのインタビューがまとめて読める本は珍しいと思うので悪くはないです。ただ、それもメンツがHR/HMに大分寄っちゃってるんですよね。ギターヒーローっていうとそういう80年代の煌びやかな時代を思い起こすのは確かだけど、ちょっと多過ぎると思いました。

本として悪くはないんだけど、それほど質問に個性があるわけではないし、ギタリストのインタビュー本としてもDokkenのジョージ・リンチとGrateful deadのボブ・ウェアが一緒くたに「ギターヒーロー」って括られてて両方喜んで読むやつがどれだけいるのかね?って思ってしまいましたね。

私の中で最近のでギターヒーロー集合感があったのはコレかな。

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Sylvie Simmons(原著),田村 亜紀(翻訳)「セルジュ・ゲンスブール ジタンのけむり -ねじれた男への鎮魂歌」




ん?これアダルト商品なの?Amazonで見たら警告出て「本›アダルト›小説・サブカルチャー」のカテゴリに入ってるんだけど。普通のアーティストの伝記だったけどなぁ......まぁ流石っすね!ってことで。

イメージといい意味で違うというのはこういう本を読む読む時の醍醐味でもあるのだけど、とてもいい意味で裏切られた一冊。
本自体はゲンスブールの人生を割と淡々と描きながら進む、というか才能のある人で、基本裏方で曲の提供や脚本家、CMプランナーなどで多方面で常に活躍しているのである種安定はしているのだ。基本的には皆が頭に描くあのスタイルで(途中で一度スタイルを変えたが、皆が思い描くのは変えた後のスタイルだろう)ずっと作品を出し続けているのだ。
意外だったのは彼がひどいあがり症で、だからこその飲酒であり、結局ステージに上がることを止めてしまいカムバックまで十数年かかっていた事。そして恋愛面ではプレイボーイではなく誠実だった事、酒とタバコと無精髭のイメージからだらしないように見えて潔癖であった事。
しかし世界的に有名な、ある種アイコニックなアーティストなのに私を含めてぼんやりとしか知らないのは、なにより使用言語がフランス語であったためだろう。英語圏の人達への波及の仕方が鈍く、非英語圏の人間にしたら更にわかりにくいのだが「言葉わかんねぇけどあのクソエロい雰囲気の曲の作者かよ!」とか、自己破壊的というか退廃的でありながら高尚な感じのする雰囲気やパフォーマンスが後のニューヨークパンク勢に人気があったのもわかるし、更にそれはバブル期の日本にさえ繋がっていくのも理解できる。そして映画やCMにも出ているので分かりにくいのだが、先述した通り基本は裏方の人間だということだ。



この本で何より感心したのは、彼のあのスタイルを「『二流の画家になるより一流の作曲家になった方がいい』という考えで選んだ道なのだろう。そして、ポップスやロックのスターにはそういう傾向を持つものが意外と多い」みたいな記述で分析していたことだ。これはすごく納得したな。急になんでこんな事し出したの?ってアーティストは多いですからね。そして、彼がフランスを愛していたのも事実だろうが、それが英語圏を目指さなかった一因だろう。
厭世的というか、そういう自分に対しても自嘲的になって、酒の影響も相まってお札を燃やすパフォーマンスしちゃったりして賛否両論になる感じもすごくわかる。
音楽的にもフレンチポップというのは馬鹿にされるような部分もあるのだが、パンクに接近したり、ジャマイカに行って世界的に有名になる前のスライ&ロビーとアルバムを作っていたりと幅広い。「夢見るフランス人形」と「ジュテームもアノンプリュス」のイメージしか無かった自分はもっと聴いてみようと思いました。
あ、モーツアルトなんかの才能のある芸術家にありがちとも言えるんだけど、タブーに挑戦というより肛門期という感じのアナルカントばりの曲タイトルも意外だったかな。唯一書いた小説もタイトルが「スカトロジー・ダンディスム」だし。

もっと早くこの本を読んでゲンスブールにハマってたら大学の第二外国語のフランス語の授業もっとちゃんと受けてたのにな、とも思うが、アンダーグラウンドな音楽ドップリだった時期だとやっぱり否定したかな。
まぁハイブランドショップの警備で、ゲンズブール気取りのイタいただのヤニ臭い不健康そうなメタボオジさんもいっぱい見たから、あれもどうかと思うしね。

いい本でした。ほぼ知識無くても面白かったですよ。
しかし、まぁ一番は言語の問題だけど、文化が違うな〜って凄く思うね、ヨーロッパは。この人もそういうのの一つの象徴だけど、ホント生活臭はしないというか、それは自分の人生においてのプライオリティが低い感じ。憧れるけどちょっと無理だよなー。

これとかメチャメチャ格好いい。

あ、これアダルトカテゴリだから広告貼れないじゃん。代わりに他の本を貼っときます。

セルジュ・ゲンズブール バンド・デシネで読むその人生と音楽と女たち

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山川健一「ブルースマンの恋」




ちょっと村上龍の『恋はいつも未知なもの』に印象が近いな、と思ったら、この本の著者である山川健一も一年違いで群像新人文学賞を獲っていた。
村上龍は『映画小説集」の中で「基地の街にいるとブルースが音楽の王様だと素直に思えたが、都会に出るとそう思えなくなる」というような事を書いていた。そして、『恋は〜』の中ではジャズの事を「暖かくいつも変わらず受け入れてくれるもの」として書いている。
2人とも同様にブルースに衝撃を受けているが、良くも悪くも基地の街で黒人兵と色々と共有してきた村上龍と違い、著者は浪人〜大学生時代にレコードを聴いて想像を膨らませながら文学と音楽に揺れる青年という感じだ。この本はただただ好きなブルースに関するエッセイという感じで。女性誌での連載だからかタイトル的にはラブソングにフォーカスしているように見えるが、特にそこに限定しているわけではない、というか「あいつは行っちまった〜」「いい女だった〜」もたいなのはブルースでよく出てくる歌詞なんで、まぁ普通にブルースに関するエッセイ集という感じ。
文庫やKindleでも買えるが、単行本にはなんと本に出てくるミュージシャン達のコンピレーションCDがついていて、これがブルースの入門盤としてめちゃめちゃ良いので見つけられたらそっちを買った方がいいと思う。むしろ本は長いライナーノーツとして考えてもいいかもしれないくらいだから。
得た知識を元に「こうだったんじゃないか、ああだったんじゃないか」と自分の境遇と重ねたりしながら当時の状況やブルースマンの生活を想像していく様は本当にブルースファンという感じで、何でも情報が揃っていて些細な間違いすら瞬時に訂正される今となっては懐かしく感じる文章だ。小説家であり音楽評論家であり自分でもバンドをやってたりする著者が素直に書いているような本。
なんかブルースファンの友達と話しているようで心地よく読めました。
ちょっと前に『27クラブ』の感想で「いいのよ、伝説は伝説で。」って書いたけど、あまりにも情報がガッチガチに揃ってて検証されちゃうとやっぱちょっと息苦しいんだよね。想像する余地が欲しくなる。↓
https://fanblogs.jp/gateofdoom/archive/799/0

しかし女性誌でこんなモロにブルースの連載できたなんていい時代だよなぁ。

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クロスビート編集部「ミュージシャンの履歴書」




クロスビートのお手軽な過去記事再利用系のムック本。と言い切ってしまうとアレだが、まぁそんな感じの本。過去インタビューを適当に摘んだだけの「ミュージシャン名言集」とかさ、色々出てる感じのやつの一つですね。wikiでいいような情報とちょっとしたインタビューからの引用で、1人につき半ページから1ページで紹介し、ちょいちょいコラム的なものを挟む構成。

まぁやっぱ最初「イラネ」って思ったんだけど、立ち読みしたら意外と読み進んじゃって結局買いました。
たいした情報ないなー、って思いつつも、ここまでカタログ的に並べられるとイロイロ発見はあるもので意外と面白い。
「あの人達同い年なん︎?」とか「同じバンド内でこんな年齢差あったの︎か」とかね。生い立ちとかもそこまでファンじゃなきゃ追わないじゃない?だから2、3曲ヒットしたのを知ってるくらいの人達の生い立ちとか読んで「へー」とか思ったり。
正直、こんなちょっとの情報でどうすんだよ?って思ってたんだけど、このくらいでちょうどよかった。元からファンだったら既に知ってるから改めて読む必要ないし、ファンじゃない人の人生をあんまり長々と書かれても飽きちゃうしね。
サラッと読めて、ちょっと興味をそそる部分もあって、うん、悪くなかったです。
単純なようでこの切り口って珍しいかもね。〜年代にこのシーンで活躍したミュージシャン達みたいな括り方はよくするけど、ホント単純に年齢っていうのは。

最初に書いた通りお手軽にサラッと作った本だろうし、言ってしまえばwikiで十分なんだけど、こうやってカタログ的に100人以上も、輸入盤のレコードレビューみたいに短くまとめてあると読みやすいし、自分でいろんな事を発見できると思います。

てか今転職活動で自分が履歴書書いてるからなんかねー...やっぱ皆さん相応のバックグラウンドがありますよね。

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「27クラブ」ハワード・スーンズ(著)萩原麻理(翻訳)




私は今まで一体何回カートとジミヘンの27年間の短い人生について読んだだろう。
いまだに年に数回は雑誌の表紙で見かけ、関連書籍が発刊され続ける天才ミュージシャンについて。
大半は同じような話で、最初に広く報じられた事と後に判明した事実の違い、各種陰謀論まで覚えている。
例によって本や雑誌はほとんど読んでいるし、映画も観ている。陰謀論丸出しの「ソークト・イン・ブリーチ〜カート・コバーン 死の疑惑〜」「ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男」も楽しく観て感想も書いた。なんなら「Last Days」すら最後まで観た。あれはさすがにつまらなかったけど。
「ソークト・イン・ブリーチ」感想↓
https://fanblogs.jp/gateofdoom/archive/490/0
うぉ、当時の俺、ちょっと信じそうになってるじゃん。


なので「またその類いの本か。うわー、分厚くて高ぇ!」としか思わず、しばらく買わなかった。
正直に言ってしまうと、まぁその類いの本で間違いない。そして、著者本人が後書きで書いているが、「エイミー・ワインハウスの本を書きたかったが、彼女の短い人生だけでは本にならないので、いわゆる『27クラブ』の面々の人生と対比させた」という本だ。原著のタイトルは「Amy 27: Amy Winehouse and the 27 Club」だからモロですね。
彼女は確かに衝撃的な人生ではあったんだけど、アメリカに入国出来ず、世界中をツアーを精力的にまわるような生活でもなかった彼女の行動範囲は凄く狭くて、あまりネタが無かったんだろうね。

ブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリクス、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリソン、カート・コバーン、そしてエイミーの順に逝去した彼らの栄枯盛衰をうまく時期ごとに対比させている。
確かにこの手の本としては決定版だろう。めちゃくちゃよく調べて書かれているし、陰謀論までまとめて、ちゃんと調べて否定している。
微妙に違う部分もあるけどね。例えばヘンドリクスの除隊はパラシュート降下訓練の際にわざと失敗して足を骨折して除隊したと言われているが、この本では「軍医に自分はホモセクシュアルであると嘘をついて除隊する事に成功した」みたいに書いてある。まぁ些細な違いだけど。



うん、凄い本だと思う。でも知ってる話なんだよ、やっぱり。
通ってたバーやホテルの名前とか、正確な日時とかさ、まぁどうでもいいディティールとかはともかくさ、やっぱり知ってる話なんだわ。
エイミーに関しては私は大ファンとは言えないし、そんなによく知らなかったけどね。でも曲聴いて、ゴシップサイトの記事読んで、映画くらいは観てるしねぇ。まぁ大筋は知ってるのよ、やっぱり。
「AMY」感想↓
https://fanblogs.jp/gateofdoom/archive/609/0
「ジャニス:リトル・ガール・ブルー」感想↓
https://fanblogs.jp/gateofdoom/archive/637/0

さっきも書いたけど、やはり「エイミー・ワインハウスと27クラブ」って本だからエイミーの事に一番紙面を割かれているので、そこまで彼女に興味が無いわたしはちょっとツラい部分もあった。恐らくそういう人が多いと思われるので邦題は「27クラブ」になったんだろうしね。
でもいい本でしたよ。これ以上ないくらい誠実に6人の人生を書いていると思います。


うーん、なんかね、柳澤健とか田崎健太とかの本ってさ、取材力も凄いし、好きだけど、読むと「あー本当に終わっちゃった」とちょっと悲しくもなるんだよな。そんな感じがちょっとこの本でもした。

いいのよ、伝説は伝説で。

「あー、ギター上手くなりてー」
「そこの十字路で悪魔に魂売ってこいよ」
「もう三十過ぎてっけど買ってくれっかなぁ」
とかのアホな会話で楽しめれば。

ってちょっと思っちゃった。

あ、あとさすがに税込み4000円近くは高いよな。

久々に聴いた。ストーンズはあんまり好きじゃないけど、まぁやっぱカッコいいわな。

27クラブ: ブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョップリン、ジム・モリソン、カート・コバーン、エイミー・ワインハウス

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掟ポルシェ「豪傑っぽいの好き」




要は人物紹介のコラム集なんだけど、やはり人選がさすがの掟ポルシェです。
俺、2021年にこんなに花形ハヤシの話読むと思わなかったよ、20年前にQuick Japanを古本屋で買って以来だよ…。

本当にもう、理屈抜きに笑えるコラム集ですね。登場する人物は知ってる人も知らない人もいましたけど、全部面白いです。
やはり同業であるミュージシャンが多く登場し、私は増子直純や木幡東介、吉村秀樹などの話が特に好きでしたが、本当に多岐にわたる人選になっています。
今パッとAmazonの商品ページの内容紹介の所読んでて、[豪傑さんリスト]って登場する人物名があがってるんだけど、「…山口明
、Perfume、鳥肌実、ジグ・ジグ・スパトニック 、オジー・オズボーン 、ウチのマネージャー 、カーカス 、ごみ収集に来た男…」って凄い並びだな…。

はい、もう別に書くこと無いっすね。面白いので最高の暇つぶしになります。で、すぐ忘れて、私これ買うの2回目だって読み終わってから気がつきました。「あーなんかそんな話聞いたことあるなぁ。しかしこの人ぶっ飛んでるな〜」とか思いながらなんの問題もなくもう一度楽しく読めたんでOK!

昔はこういうのはエロ本の白黒ページとかで読めたんだけど、今ないからなぁ。ホントこういうのなんですよね、疲れたときに読みたいのって。

なんとなく検索したら、花形ハヤシ、フォロワー数711か↓......うん、思ったより多い。
https://twitter.com/hanagata884

たまに観たくなる↓

豪傑っぽいの好き

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ISHIYA「ISHIYA私観 ジャパニーズ・ハードコア30年史」




FORWARD/DEATH SIDEのボーカリストであるISHIYA氏のnoteでの連載の書籍化。『関西ハードコア』の感想の時に書いてたやつですね。なにせ30年史で400ページ超えてますから、辞書くらいある厚さに躊躇して中々手を出せないでいましたが、やっと読めました。
内容はとりあえず最高。著者にしか書き得ないであろう本であることは間違いなく、『関西ハードコア』と並んで貴重な記録であり、今後のパンクスにとっては必読書になると思う。
内容としてはいわゆる歴史を年代順に辿っていくものではなく、共に時代を過ごしたバンドや来日した時に交流を持ったバンドについての話、著者が見たハードコアシーンの移り変わり、著者が活動しているにら子供〜DEATH SIDE〜FORWARD〜DEATH SIDE再結成に至るバンドの歴史、ハードコアが盛んだったり思い出に残っている地域の紹介、海外ツアーを行うようになったバンドの話、東日本大震災とハードコアパンクの関わりなどで構成されている。
やはり歴史に残る素晴らしいハードコアバンドの話が読めるのは嬉しいし、なんといってもDEATH SIDEについては当然最も深く語れる創始者なので、その文章が読める本はこれしかない。みなさん気になっているであろうCHELSEA氏との話も勿論たっぷりあります。
局地的で刹那的でありながらいまだに全世界にファンが多くいる日本のハードコアをここまで深く、そして広く書けるのは著者しかいないだろう。



...なのだけど、あくまでISHIYA氏の「私観」で、しかもnoteでのDIY的な連載なので、正直読みにくい部分や首をかしげてしまう部分もあった。『関西ハードコア』の時はロフトブックスからの出版でルーフトップ(編集)という表記があったのだけど今回は無いので、おそらくほぼ編集者の手が入っていないと思う。バンド名のスペルなどの誤記や文章的におかしいところもちょいちょい見受けられるし、構成のせいでただのコラム集のような感じに思えてしまう所もある。この本は著者がnote上で書いていた物の書籍化なのでかなりラフな所はラフで、データ的な所は「覚えていない」「知ってるやつは教えてくれ」的な感じだったりするのでそういう本ではあるのだけど、せっかくこういう本を出すならデータ的な所や本の構成は編集者にまかせれば...とは思ってしまった。DIY、著者のキャラクターといえばそれまでなんだけど。
それに例えば「ブラストビートもデスボイスも日本のハードコアバンドが発祥」のような事を書いているが、正直Lärmは?Siegeは?Repulsionは?と思ってしまった。以前にも書いたが、それらはスピードやアグレッションの要求から同時多発的に起こった事で、正規リリースの前にアンダーグラウンドのテープトレーディングで広まっていたので、どこベースで議論するにもよるし...あくまで「私観」だと言われればそれまでだが、「知り合いの海外のバンドに聞いたところによると〜」みたな感じで書かれた根拠の無い話でしかない。
あとは何度も「日本ハードコア界最重要バンド」と回りくどい書き方をしながら、ハリポタの「名前を呼んではいけないあの人」みたいな扱いをしているバンドがあったり...。想像はつくが、著者は誰でもなくISHIYA氏なのに書けないんだね。

そんなこんなで、間違いなく素晴らしい本だとは思うのですが、ちょこっと引っかかるところも感じてしまいました。
いやでもホント、日本のハードコアについて書くのは大変なんだな...と感じましたね。ISHIYA氏でも書けない事がいっぱいあるんだな...と。そう考えればおそらくこれ以上の本は出ないと思います。
昔仲良くなったブート屋のおっちゃんも「日本のハードコアは怖いんで扱ってないんですよ」って言ってたし、いろんな意味でいまだに幻想が膨らむのは凄いわ。

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大島暁美(監修)「hide word FILE (カリスマの言葉シリーズ # 21) 」




私が12歳の時にhideは夭折してしまい、初めてお小遣いで買ったCDがトリビュート盤になってしまった私は、よく考えたらほとんどhideのインタビューを読んだ事がなかった。
関連本は何冊も本は読んでいるし、ラジオやテレビ出演はYouTubeなんかで見ていたが、インタビューとなると読んでいない。雑誌で先にインタビューを読んでファンになる事も多かった私にしては珍しいが、雑誌のインタビューというのは中々再録されないし、死後にお蔵出し的に出てくることも稀だから当然だとも言える。
なので、こういう風に「word file」という感じでいいとこを抜き出してまとめられているとありがたい。
内容は様々な発言が写真と共に載っている他、監修の大島暁美による「軌跡」と題されたhideのバイオグラフィーやJ、INORAN、PATA、I.N.A.、DIEのインタビューが収録されている。皆長くhideと付き合いのあった、hideの事が大好きな人だけの、ある種幸せな本だ。
この前記事を書いた弟でありパーソナルマネージャーだった裕士氏の本なんかだと、良くも悪くもいろんな面が描写されるし、最期の事も言葉を選びながらも事実は事実として、そしてファンを刺激しないように書くことになる。
それに比べるとこの本は「最後に会ったのは?」「今会ったら何て言う?」「生きてたらどうなってたかなぁ?」と、楽しく思い出話をする友達同士の会話みたいな感じ。
やはり一抹の寂しさや、「死の商人」的な感覚を少しは感じてしまう他の本に比べて、明るく楽しく軽く読める本でした。
どうしても重くなりがちで、彼の遺産を、彼の意志を…となりがちだけど、正直このくらいの方がいいね。
ちなみにこの本はもう無くなっちゃったセブン&アイ出版ってとこから出ているんだけど、コンビニ売りの本だったのかな?「カリスマの言葉シリーズ」って凄いな。これが普通に2018年にコンビニに並んで、そこそこ売れてたならやっぱりちょっと異常な人気だよな。
いい本だったから復刊すればいいのに、と思ったらプレジデント社から今年されててビックリした。

hide word FILE 「言葉」から振り返る、カリスマの魂

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「GUTZINE ガットジン」




これも忘れてた。

gutzine.jpeg

パッと見た感じ、Zineだと思うとメチャメチャ豪華、雑誌だと思うとさすがに薄い。ただ、マジで執筆者も豪華だしいい紙だしで気分がいいです。文章は良くも悪くもファンジンって感じですね。わからなければわからないで言い切らずに曖昧にするし、趣味丸出しで偏った好みの元で書いている。でもその方が面白いよね。

巻頭のHUMAN GASの記事はすごく良かった。ジャパコアは本当に深い。名前くらいしか知らないバンドだったけど今回YouTubeで聴いたらめっちゃカッコいいのね。
私は今回(Butcher ABC/GRAVAVGRAV/Obliteration records/はるまげ堂)関根さんのFMDの記事目当てで買いました。FMDのはじまりからの歴史を知れたのは良かったけど、もっといろんな音源紹介とか含めて長く読みたかったなぁ。昔、FMDの音源をかなり多くレビューしているHPがあったんだけど、今検索しても見当たらないんだよな。ほとんど嘆いてるみたいなレビューで面白かったんだけど。記事自体はとても良かった。長い間第一線に居続ける関根さん以外書けない事ってメチャメチャあるよな。

あまり興味がなかったKeep it true festivalというドイツの小規模な海外フェスのレポはとても興味深かった。こういうのこそ痒い所に手が届くZineならではですよ。ドイツの田舎の2000人規模のフェスで再結成するB級バンド達、ルックスが変わり果てても期待に応えるバンドもいれば、リハやったのかよ金返せレベルのバンドまで悲喜交々という。人生ですね。

音源レビューなども現代はいくらでもネットで見られるのだけど、逆にありすぎるからこそ「誰が」「何を」というのが大事になってきますよね。狂ったように詳しく財力もある個人のHPも面白いですが、「自前のメディアで印刷する必要がある」と判断して紹介するのは全然また覚悟が違いますからね。

という事でなんだかんだで全ページじっくり楽しんで読みましたね。どのページも濃いんで、ページ数は少なくても満足感が凄いです。季刊くらいでこれからも出して欲しいなぁ。
編集長もつAさん( CAASSIMOLAR / Corbata)→https://twitter.com/AnaCorpora
Princess Army Wedding Combat現役なんか...。

AmazonにないんでButcher ABC貼っときます。ファンなんで。

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「ヘドバン vol.28」




何故か書いた後ずっとほったらかしにしてたやつ。もったいないので載せとこう。気が付けばもうヘドバンvol.31まで出てるやん。


ヘドバンももうvol.28なんですね。
発刊になった時に音楽本の問屋にいたんで、メタラー上司とはしゃいだ記憶がありますが、時が経つのは早いですね。
ということで、まぁ間違い無くBabymetalの大躍進によって続いている雑誌だとは思いますが、にしても凄いですよね。というかベビメタがこうなるとは流石に誰も思わなかったと思います。
個人的には初期のメタル元ネタ当て+アイドルみたいなのが楽しかったので、ネタ曲って感じがオリジナル志向になった後はそこまで追って無いんですよね。とはいえBring Me To Horizonにfeatされてるなら当然チェックします。しかしまたこのBMTHというのもドンドン変化していく語り難いバンドだったりして、曲者ですな。
そしてこの号だとゴアグラインド特集とCarcassニューアルバム発売という事で当然掟ポルシェが語りまくっているだろう連載が目当てだったんですが、大満足でした。
しかし、相変わらずだと思ってても時代が移り変わってる感ありますね。全ページ舐めるように読んでいた以前とは違う自分もいるんだけど、まぁやっぱこの雑誌は続いて欲しいですよ。バブル期のエロ本にあった白黒ページの自由みたいなものが、ベビメタによって担保されているという奇跡的な状態なんだから。

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