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ZAZEN BOYS 「Matsuri Session Live at Nagoya」




好きそうで好きじゃない時代が長かった向井秀徳。
そもそも私はメタラーだったわけで、ゼロ年代というくくりの大人気バンド勢を見ながら地下に潜ってデスメタルなんかやってたりして完全スルーだったのだ。偽アルビニじゃん、みたいな。
しかし、初々しさや勢いがなくなった頃にアイデアの貧困さを機材で埋めるようになり、やがて消えていったバンドたちとは違って生き残った、そして今だに「これは今の世代の『透明少女』だ!」みたいなポップをCD屋で見かけるほどあの頃のブームの象徴となったナンバーガールを、メチャメチャ後追いながらも「聴かない」という選択肢はやはりなかった。
ナンバーガールは好きな曲は大好きだがアルバム1枚通して聴くことは無い、という感じなのだが、はっきり言ってZAZEN BOYSは最初好きではなかった。
なんというか、ナンバーガール後期に色濃く漂っていた向井の嫌な部分の結晶のように感じられたのだ。まぁ向井のやりたいようにやる為のバンドなので当たり前なのだけど。
ブルーハーブの影響を受けたと公言し、文字数の多いラップをするが結局いままでと同じようなことしか言えなくなっている上に、やりたいことに対してメンバーの力量も足りていないように感じて、「やりたいように」出来てさえいないように見えるのにやけに強気だなぁ、ファンもよくついて行くなぁ、などと思っていたのだ。
なんだかんだでたまにyoutubeとかでチェックはしていたのだが、好きになっていったのはメンバーが変わったのがきっかけで、変わったとは聞いていたがこんないいドラムが(バッファロー・ドーターの人だってわかって驚いた)、ベースが、となったのだ。
ニュー/ノーウェーブ、ファンク、テクノ、フュージョンとどう考えても「80年代」という自身のルーツを忠実になぞっていったと思われる流れを確実にこなせる力量を持つメンバーチェンジの甲斐あって、実にのびのびとやっているように見える向井は楽しそうで、その曲自体の好き嫌いとは別にしても、才能のある一個人のアーカイブとして楽しめた。
その後決定的に好きになったのはディレイ好きの私にピッタリきた「Honnouji」。だからまぁ、アルバムで言うと「ZAZEN BOYS4」かな。他のアルバム持ってないけど。
その程度のファンなのだけれど、ちょうどその時期のライブDVDが安く売っていたので買ってみた。
会場限定販売ということで言ってみればオフィシャルブート的なモノ。でも元々派手なステージを見せるタイプでもないのでこのくらい荒い感じの映像の方が私は好き。
ライブだと余計リズム隊の良さが出ている、というかドラム単体でお金の取れる人なのだ。彼だけ見ていても楽しい。まぁでもCDでよかったかな。ずっと映像を観てるのはちょっとしんどいわ。音聴いてる分には楽しいけど。
しかし、やはり私が惹かれるのは後から入ったリズム隊で、そう考えると向井色が随分薄くなったように感じた。なので好きにはなったが、それは果たしていいことなのか?いい聴き方なのか?とか考えてしまった。
しかしこう、ライブをフルで、家で冷静に映像として見ていると、意外とフレーズの引き出し少ないのかもなぁ・・・とか思っちゃうんだよね。
ちなみに実は向井は80年代にサブカルっ子だった普通の人なんじゃないかと思い始めているので、最新作から先行公開された「ポテトサラダ」聴いて、本当に言うことがなくなったんだな、っていうかビール飲みながらアメトーク見てたりして、とか考えました。
てかこれも1年以上前の話か、時間が経つのは早いなぁ、とか毎年年末になると思います。


今のベースもハードコア感あって好き。

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「ブラックパワー・ミックステープ アメリカの光と影」





到底「解る」とは言えないが、ガキの頃からずっとマイノリティとしての自覚があり、当然嫌な事も山ほどあったわけなのでやはり興味はある。
私にとっては黒人の公民権運動もヘンリー・ダーガーなどのアウトサイダーアートも根本的には同じように考えていて、「少数(マイノリティ)対多数(マジョリティ)」という構造に見えるのだ。
Minor Threatに「Guilty of Being White」という曲があるが、これは別に白人至上主義なわけではなく、黒人の多い地域に育ったので奴隷制のことでよく責められた、俺の生まれる100年も前の事なのに、という歌なのだが、まぁ総じてこんなものなのだろうな、という思いだ。

当然、人種差別問題はとても複雑な上、日本人の自分にはわかりかねることも多々あるので難しいなぁと思いながら傍観している感じ。
スウェーデンのテレビ局フィルム倉庫に眠ったままだったというこのフィルムは、そんな感じで見ている自分にはうってつけだった。
今となってはとても貴重な記録であるこのアメリカの公民権運動のフィルムを見ながら、ミュージシャンなどのアフリカ系アメリカ人の著名人が語る、という構成なのだが、「ドキュメンタリー」というより「記録」といった感じがして、無理に何かの結論に導こうとするでもない感じが良かったです。
キング牧師やマルコムXはもちろん知っていたし、ブラックパンサー党もなんとなく知ってはいたが、内部にこんなに自然に入っていっている映像も珍しいだろう。どこか遠い中東で行われていたワケではなく、アメリカという一国の中で独立国のように存在していた事は強烈なインパクトがあったし、当時の主席であるストークリー・カーマイケルのキャラクターも興味深かった。いわゆる黒人のコメディアンの原型と言われるワッツタックスに出てくる喋りまくるオッチャンと真逆のイメージで、シニカルで理知的で相手を挑発する、攻撃的な人物だ。「差別されてかわいそうな黒人の抵抗」という公民権運動のイメージを大きく裏切るだろう。

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Paul Gilbert 「Alligator Farm」




ポール・ギルバート、2000年リリースのソロとしての3rdアルバム。
前に書いたと思うが、もともとは苦手だったポール・ギルバートのソロアルバムだ。
とはいえ、メタラーでギタリストなら避けて通れるはずもなく、レーサーX、Mr.Big、ソロと相当数買っている。途中からは「好き」とは言い切れないものの「尊敬」という感じで聴くようになったのだが、思い出すとその前からもちょくちょくチェックしていた。まぁそのくらいの存在感のある人だ。
ヤングギター誌を愛読していると、飛び抜けて親切で適切な奏法解説が本人から語られているし、それは練習フレーズの宝庫なわけで、テクニカル系ならポールのコピーが一番の近道だと思うしね。
という訳で意外と数聴いている中で1番好きでいまだに愛聴する一枚。

シュラプネル出身のギタリストのソロ、というとインストでピロピロ弾きまくりメタルかフュージョン、あとはリッチー・コッツェンやヌーノ・ベッテンコートみたいなボーカルも取れる器用さを使った渋い路線とかがほとんどだと思うが、こうポップに出来る人も珍しい。
「歌おうと思ったらジェフ・マーティン(Racer X)みたいなメタルっぽいハイトーンは出なくてガッカリしたけど、ポップスやロックなら歌えると思ったんだ。ちょっとジョン・レノンみたいな感じでね(笑)」
みたいな事をインタビューで言ってたのを読んだ記憶があるが、ここまでうまいことやれるってのは本当に凄い。
Mr.Bigを聴けばわかるが元々ポップスもブルースも大好きな人だし、当然といえば当然だが、自分の持ってる武器だけでここまで出来る人はそうはいない。
とはいえ、1st、2ndアルバムは好きな曲もあるがイマイチ、というか印象に残る曲が少なく、いわゆる「歌モノに挑戦したギタリストのソロアルバム」という枠から出ていなかったように感じたのだが、ここに来て大きく飛躍した感がある。
あらゆる種類の音楽が好きで、笑ってしまうほどの引き出しがあるポールだが、その「なんでも巧く出来てる感」の調整の難しさが前のアルバムで出てしまっていたのだと思うが、ここでは全て奇跡的に上手くいっていると思う。
1曲目「俺はお前よりいいコード知ってんぜ!」と歌う1分ちょっとのパンクソング「Better Chords」から5曲目までの、テクニカルになり過ぎないながらもちょっとずつヒネったリフと、ポップなメロディー、そしてさすがのギターソロを兼ね備えた、疾走感のあるポップロックを揃えた前半を一気に聴いてしまうと、次に来るのはシットリとしたSPICE GIRLSのカバー「2 Become 1」、軽いお遊びの楽しそうな雰囲気の「ランセロット・リンク」、もう1曲シットリ目のミッドテンポでコーラスもいい感じの「Rosalinda Told Me」を挟み、ハードなインストの「Let the computer decide」、中国の琴をフィーチャーしたオリエンタルな「Koto Girl」、ちょっとオアシスみたいなスケール感のある「Dreamed Victoria」、オシャレな感じのカッティングのAORっぽい1分半ほどの「Six Billion People」、幼き頃のポールにギターの手ほどきをしたジミーおじさんとのギターバトルを長めに押さえた「The Ballad Of The Last Lions」、そして最後におなじみとなったクラシックのギターアレンジ曲「Whole Lotta Sonata」(お題はモーツァルトのピアノソナタ・第10番・第3楽章)。

今までのキャリアの総括であり、良い曲が揃っている。そして何より吹っ切れた明るさが感じられ
、聴いていて爽快だ。何度も繰り返し聴きたくなるアルバム。
アホなジャケットや「ポール・ギルバート」という名前で敬遠せず、ぜひ聴いてみて欲しいアルバムだ。
バックのメンバーも良かったのであろう。特にMike Szuter(B, THE SZUTERS)とJeff Martin (Dr, RACER XではVo) が良かった。演奏やコーラスはもちろん素晴らしいのだが、なんか変なプレイヤーとしてのエゴが出るわけでもなく、お仕事でもなく、いい距離でプレイしている感じがする。楽しい雰囲気はこのメンバーだからこそだろう。
次の4thアルバム「バーニング・オルガン」も同じ路線で好きなのだが、やっぱり曲の出来の良さと雰囲気の良さでこっちが1番かな。最高。

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清野とおる 「バカ男子」





「定価では買う気がしない」と言いつつwebでの連載を読んだり古本屋で探してしまうので、単に私が貧乏なだけかもしれません。そんな清野とおるの本。
平山夢明からも心配されるほど、ピュアに変な人と関わってしまう清野さんの原点というべき「男子」だった時代の思い出話。
自分もちょっとそうだし、友人にかなりそうな人がいたので解るが、変な人や事柄に出会う確率が異常に高い人というのが世の中にはいるのだ。そしてついて行ってしまう癖がある人がこうなる。ラジオ聴くと、伊集院光さんとかがそうだと思うんだけど。
実感する方法として一番簡単なのは、とりあえず何事も一番安いのを選ぶ事だろうか。私も適当に安い順に選んだ結果、最初に一人暮らしした部屋は一階がパブで自分の上が893の建物の7階だったし、次に引っ越したのは新興宗教の建物の真隣で日に2度太鼓入りのお祈りが聴こえてくる部屋だった。その次がボロボロのアパートなのに何故か電気と水道代が定額制で使い放題という謎物件。
どれも駅から近くて安かったが、人によっては絶対無理だと言うだろう。私はテキトウなのでどこも2年以上住んだけど。思い出すと今が一番まともだなぁ。

まぁこの本に出てくるエピソード自体は初見で読んだほうがいいと思うので書かないが、この人の本はどれも同じ感じです。好きな人は好きでしょう。
ただ、「男子」時代ならではのピュアさや馬鹿さ、無駄なアクティブさや、「先生や親に怒られる」というこの時代ならではの縛りがあって、これはこれで面白い。
まえがきやあとがきで結構まともっぽい事を書いているが、絶対この人一生こんな感じだし、なんとも思ってないと思う。今「東京都北区赤羽」とかで書いていることと一緒だもの。

あ、っていうか清野とおるのブログ見てみたら再録が結構あるな。というかブログを元にして本に出来そうなものだけまとめた感じかな?うん、とりあえずブログ読もう。で、面白いと思ったら買えばいいのか。

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「ロック・ミュージシャン名言集」





youtubeどころかインターネットも無かったガキの頃は、金がなくてほとんどCDは買えず、古本屋で音楽雑誌を買ってはインタビューやディスクレビューを「いつかこれとこれを買って聴くんだ!きっとこれは凄い音楽のハズだ!」と思って1日中眺めているような感じだった。
とりあえず安ければどんな音楽雑誌でも買っていたが、とくに読んだのは「BURRN!」と「rockin'on」だ。発行部数からいってもやっぱり、と言っていいだろう。
今でも、年上の音楽好きと話す時に話題に困らないのはこのおかげだし、むしろ古本を買ってたせいで、世代が違ってもバッチリ同じ号を読んでいるという不思議な感覚だ。

今回のこの本は「CROSSBEAT PRESENTS」と書いているのでCROSSBEAT誌からの単行本なのだが、CROSSBEATは最近休刊になってしまい、この雑誌もまたよく読んでいたのでびっくりしたのだが、まぁ順当かな、という感じで納得出来てしまった。
「BURRN!」の酒井康、「rockin'on」の渋谷陽一、松村雄策のような象徴的な存在はおらず、他誌と差別化できているわけでもなく、特別面白い連載があるわけでもなく、インタビューに特徴があるわけでもなく、なんとなーく私の中でも「ロッキンオンみたいな違うやつ」という扱いで、版型も同じだったために本気で間違えて買ってしまって家で気がついたりしたくらいだ。
なんでこんなことを長々と書いているかというと、この本もまたなんの特徴も無い、普通に面白くない本だったからだ。
名言集というのはここ何年か流行ってるし、ロックミュージシャンの発言はどの時代も世間を騒がせるものだ。こんな本もよくある、というかたしか似たような本が同じCROSSBEATから出ているはずだ。
聞いた事があるようなすごく有名な名言は別にCROSSBEAT誌から発信したものではなく、だからといっておそらくCROSSBEATでのインタビューからテーマに合わせて抜粋したものはとても平凡。発言を並べているだけで、解説も何もないし、ここには何も無いに等しい。
凄く字数の少ない本であるにもかかわらず、つまらな過ぎて徐々にしか読めなかったくらいだ。

私にとっては、HipHop専門誌の(これも休刊してしまったが)「FRONT」〜「blast」がCROSSBEATの増刊からはじまった、というのが唯一のCROSSBEATの価値だ。

まぁ休刊した以上はこうやって切り売りしていくしかないのだろう。せめてもっと巧くやって欲しいが。
あー、しかし音楽雑誌買わなくなったなぁ。ここ数年は音楽雑誌が近いバイトなんだけどな。

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ANARCHY 「DGKA (DIRTY GHETTO KING ANARCHY)」





ANARCHYのニュー・アルバム、しかも今作はフリー・ダウンロード作品ということで↓
http://anarchyjp.com/
より無料でダウンロード出来る。

あのANARCHYのニューアルバムということで早速ダウンロードして聴いているのだが、どうも少しモヤモヤしている。
もし「ANARCHYを中心としたR-RATEDのオムニバスがフリー・ダウンロードで!」ということで聴いていたら、「凄い!」と素直に高評価になっていたのだろうが、これが「ANARCHYの正式なニューアルバム」ということになると、少し話が違ってくるのだ。
いつの間にかオールダーティーみたいな髪型になったのと同じく、最新のビートに合わせるようにフロウも変わっている。そのせいだけではないのだろうが、どうもANARCHYのアルバムを聴いている気がしないのだ。1曲目に置かれた「Gangstar」、先行曲の「Super Bad」、PVになった「For My Ladies」と冒頭の3曲でがっちりとは掴まれなかったせいだろうか。
いつもの、私が待ってたANARCHY像と少し違ってしまったのだ。フロウの変化のせいであの暑苦しいまでの熱さが感じられない、そうなると巧みとは言えない比喩や言葉選びが気になってきてしまう、フロウだけで持っていかれるほどではない、悪くはない、だけどこれまでのアルバムと違って引き込まれるほどではなかった。
残念ながら、私にはこれが最後まで続いてしまった。
前半は一人で、後半にフィーチャーリング曲が入っているのだが、むしろ印象に残るのはフィーチャリング勢で、MACCHOとANARCHYの2大巨頭に挟まれたT.O.P.はハマリ役のテーマだったこともあってか力を120%出しているような感じで今までの悪い印象とは違ってカッコよく思えたし(「聴け大衆!」は笑ってしまったが)、最近あちこちに引っ張りだこのKOHHもフックも含めてらしさが出ていたし、トラックにも手馴れた感じで乗っかっていて存在感があった。

もちろん、全体を通して出来は悪かろうはずもない、高品質で最新のトラックにANARCHYのラップだ。この言葉は何度も使ってしまうが、さすがR-RATEDとしか言い様がない。
私のファン心理として、「Rの看板でありながらも孤高の存在」として過剰で捻じ曲がった期待をしていたのかもしれない、妙に「もし仲間がいなくなれば 2秒でやめます」というラインが引っかかっているし。

ということで私にはニューアルバムとしては受け入れられないが、フリーダウンロード作品ならではの遊び/実験/若手フックアップと考えれば素晴らしい試みかつ成功だと思えた。
ゲットーからストリートそしてスターダムへと上り詰める階段の、次の跳躍のための踊り場。そう考えればいいのだろうか。

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平山夢明 「DINER」





あの平山夢明の新刊、しかもめちゃめちゃ美味そうなハンバーガーの表紙、ということで前のバイト先である古本屋で単行本を見た瞬間から買おうと思っていたのだが、イロイロあってすっかり忘れていていた。最近本屋で文庫版を見かけて、やっと購入。
すっかり忘れていたくせにナンなのだが、本屋で見た瞬間から期待で胸がドキドキし、家に帰ってからは風呂やトイレにまで持ち込んで貪るように一気に読んだ。

「ひょんなことから、プロの殺し屋が集う会員制ダイナーでウェイトレスをする羽目になったオオバカナコ。
そこを訪れる客は、みな心に深いトラウマを抱えていた。一筋縄ではいかない凶悪な客ばかりを相手に、
カナコは生き延びることができるのか? 次々と現れる奇妙な殺し屋たち、命がけの恋──。

人の「狂気」「恐怖」を描いて当代随一の平山夢明が放つ、長編ノワール小説。
                                          Amazonの内容紹介より」

という、どう考えても今までの平山夢明の集大成になりそうな感じの紹介文と、美味そうな表紙、そして単純にページ数の多さから期待は高まる。
しかし内容的にはこの紹介の通りなのだが、そこからしていた期待ををさらに裏切った上で満足させられる、という、私の中でなかなか高くしてしまったハードルを超えてきた作品だった。
ストーリーにケチをつけようと思えばいくらでもつけられるだろうし、昔観た映画を想起させられるシーンもちょくちょくある、何より今までの平山作品では見られなかったラストになっているのだが、それでも「平山夢明」という天才に強引に押し切られるというか屈服させられるかのように満足させられる。
本人は「殺しにかかってくる」「窒息させるほど楽しませようとする物語」とあとがきで書いていたが、まさにそうなった形だ。

まぁ私にとっては元々好きな作家であり、ラジオ聴いたりインタビュー読んだりと作品以外にも触れているうちに単純に本人のファンになってしまっているので、物わかりが良すぎる読者なのかもしれないが、凄く面白い作品であることに間違いはないだろう。
徹底的に後味が悪い作品や、スプラッターやゴアな感じを求める人は今回は少し違うかもしれないが、本人が連載分からも、単行本からも書き直したほど総力をかけた平山流のエンターテイメント大作は、やはり素晴らしい。相変わらず残酷表現は満載なのだが、下手すると菊地秀行みたいになれるのでは?とさえ思ってしまった。
しかし作中に出てくる食べ物が全部美味そうだぁー。どのジャンルでも、食べ物を美味そうに書ける人って才能があるよなぁ。

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池田暁子 「うっかり結婚生活 一緒に暮らす2人のルール 8」





私は結構コミックエッセイは好きで読むのですが、よく考えると結構消極的な理由で読んでいます。
「半身浴の時に暇だけど本気で読みたい本は湿気にさらされるのが嫌だから」とか「寝る時に面白すぎる本を読み出すと興奮して起きちゃうから」とか、まぁ西原理恵子なんかは別格として(コミックエッセイって感じでもないけど)、ほとんどがそういう扱い。漫画より字が多くて読み物っぽく、日常的で展開が少なく、絵も書き込む感じじゃなくて目も疲れない、ちょっとタメになる風(だいたい読み終わったら忘れる)だったりなので、暇つぶしには最適に思っているのだ。
古本屋で100円くらいで買っては風呂や布団の中で読んで、また古本屋へという感じで、ちょっと前からこのスタイルの本がヒットして増えているのもあって相当数読んでいるのだが、まぁあまり記憶に無い。
今回は、2chに何ページかが貼られていて興味が出たので買ってみた。それは、作者の貧乏時代の話で、「何故お金が貯まらないんだろう?」と悩むやつで、お金に関する典型的なダメッぷりがそのまま書かれていて面白かったのだ。

さて、「あの作者のヤツならなんでもいいや、とりあえず1冊読んでみよう」と古本屋に行って、あったものを買ってきたのだが、これが大失敗。なかなかにひどかった。
『結婚生活』とタイトルにあるので、「あー、いろいろなダメさを克服して結婚までしたんだ」と思ったのですが、どうも違和感ばかりが残る本でした。
「ちょっと変わった我が家の結婚(家族)生活」なんてのは定番のネタで、『インド夫婦茶碗』、『監督不行届』とか『イタリア家族 風林火山』などは普通に面白く読んだし、「ダメな私(克服)本」→「私でも結婚できました」→「子育て本」なんてのはよくあるパターンだ。
『うっかり』と付いているが、「40近くなってなんとなく身近の人間と結婚しました」というのもサブカル界ではよく聞くフレーズなので、まぁまた典型的な感じなのかな?と思っていたのだが、どうも変だ。
まず何故か「片付け本」でヒットした作者の夫の部屋がゴミ屋敷でそこを掃除するシーンからはじまり、次の章で夫との馴れ初めを語るのだが、これが全く「馴れ初め」と言えるものでもなく、それ以前の関係性すらよくわからなくてただひたすら「なんで?」としか言いようがない。ゴミ屋敷を掃除してあげるくらいの愛情があるはずなのに、その関係性が全く見えてこない。
当然、これではその後の夫婦の生活の中でのすれ違い、まぁほとんどが元ゴミ屋敷住人な夫のズボラさへの不満なのだが、それを解決していく過程みたいなモノもよくわからない。というか読んでいてひたすら「なんだそりゃ」としか言いようがないことばかりだ。
元ゴミ屋敷住人で、当然家事を一切やらず、そのくせ食事などには文句を言い、この本ではうっすらとしか書かれていないが無職で生活費も最低限しか入れない、という夫を受け入れて結婚したわけでもなく、当然の如く予想される事態にただ苛立ち、「私は出来る(ようになった)のに」と愚痴るばかりである。
何だこの本?
という感想しかない。
「WEBコミックエッセイ劇場」での連載の単行本化のようだが、途中から始まり途中でぶった切って終わったかのような構成は、ヒット本が出たことによるこの「コミックエッセイ量産工場」のような所で単行本化に必要な分が出来たら、以前のヒットの余波で売れるうちに即本にするというシステム故なのかな?とか思ったり。
まぁそういう意味では見事。

「なんでこんな作者の本が売れてるんだ?」と不思議に思って検索してみると、この本からおかしくなったらしく、この本のレビューから酷評が増えている。しかも最新刊がこの続編で、夫が新型うつだの離婚だので、「でしょうね」としか言いようがなく、内容も同様にひどいようなので、まぁ「ハズレ引いたなー」って感じかねぇ。



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「R-RATED TV VOLUME 02 -ANARCHY LIVE-」





ANARCHYの2007年に開催された、1stアルバムである「ROB THE WORLD」のリリースパーティーの模様を収録したライブDVD。
「ライブの模様を完全収録」「特典映像に原宿のショップ「AGITO」で開催された「ANARCHY STORE LIVE」の模様を収録」とあるがチャプター分けはされているものの、メインメニューからチャプターリストに行けるわけではなく「再生」のみで、完全収録のライブ映像のど真ん中に特典のライブ映像が入っているという、ちょっと謎な構成。
1stアルバムのリリパとはいえRUFF NECK結成が2000年なので十分キャリアを積んでおり、「初期アナーキー」ともいえないが、この後すぐに1st、2ndと年間ベストアルバムに選出されて、日本のラップ界の大スターとなっていく直前の、ブレイク寸前の最も勢いのあったであろう時期の記録だ。
正直言って、私は1stは発売当初に買ったのにも関わらず、良さが解らなくてすぐに売ってしまった口で、「Fate」のPVを偶然観るまではあまり好きではなかった。
一番好きなアルバムは「Diggin’ Anarchy」で、遡って2nd、1stと聴いた回数は少なくなっていく。どっちかというとRUFF NECKの古い音源の方が聴いてるかもしれない、くらい。好きな曲は好きなんだけど、曲単位で聴いてしまう。
まぁただ大ファンになってしまった今となっては、 貴重な映像で必見な事に変わりは無い。偶然ブックオフで捨て値で見つけたが、何気にプレミア付いてるんだなぁ。コアなジャンルは一期一会なところがあるから気になったらその時に買わないとこういう事になるから怖い。

さて内容だが、まだアナーキーもR-RATEDもこれから、という勢いはあるが内容はまだ発展途上という感じ。
まだ若くて細いアナーキーが、RUFF NECKのフロントマン4人が並ぶといっぱいになってしまうような狭いステージで、今より言葉数の多いスタイルで唄う。声もまだ若干若い。
やはり今見てもカッコいいのだが、「カッコいいヒップホッパー/クルー」という印象で、「ANARCHY」という固有のアーティストとしてぶっ飛ばされた、その後の成長した姿と比べるとやはり物足りなさは感じる。
ショップでのライブを足してもトータルタイムが47分という短さもあるし、メインのライブでさえ撮影機材もまだ充実しておらず画も単調、サウンドも観客の声が拾われておらず入場制限まで出たというはち切れそうな観客のテンションも伝わってこない。やはり過渡期の「記録」として観てしまうが、そう思って観るにはカッコ良過ぎるというこのもどかしさ・・・。
RYUZOも、まだギンギラギンじゃないAK−69も若い。うーん、たしかこの時って完全に日本語ラップ冬の時代に入ってるんだよな、それでもこんな熱いってのはやっぱり凄いわ。
R−RATEDは好き嫌いが出やすいと思うけど、機材が不十分であってもちゃんとカメラ何台も使ってるし編集もキチンとしていて、ちゃんと売り物として成立している。いろんな意味で興味深いDVDだなぁ。品番から見て、2本目の映像作品だもんな、十分凄いよ。
まぁミーハーと言われようと正直シングル曲は入れて欲しかったし、どっちかと言うと特典映像の方がフルで観たくなった、というのはあるけど、やっぱとにかくファンは必見です。

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