2013年04月25日
George Benson 「Absolutely Live」
ジョージ・ベンソンといえばやはり「ブリージン」以降のイメージで、どっぷりショウビズの世界に行ってしまった人という印象があったのでBGM的にしか聴いてこなかったのだが、マイルスを集中的に聴いていた時に特に自分が気に入った「Miles in the Sky」にギタリストとして参加しているのに気がついて、また興味が沸いてきた。なんせこの作品は初のエレクトリック・ジャズ作品なわけなので、そこに呼ばれるというのはかなりの事だ。しかもその後のフュージョン期にも「Weekend in L.A.」などの名作がある事もわかり、俄然気になる存在になったのだ。ストレート・アヘッドなジャズ→フュージョンまではよくいるが、その後ヴォーカル物でも人気を博すなんてちょっと異常だ。
さて、そんなジョージ・ベンソンの2008年リリースのライブDVD。アイルランドでのライブで、ジョー・サンプルやビッグバンド、オーケストラと共に演奏をしている非常に豪華なライブ。
まずいきなり驚いた。何故こんなにも真っ白なのか?舞台上も、客席も。「リッチ・オールド・ホワイト」という、クラシックの客層を皮肉った言葉すら思い出してしまったほど。両者の間にそこまで密なリハーサルがあったとも思えない演奏で、まぁ豪華だし、演奏もベンソンの歌も特に文句はないけど、なんだかよそよそしい感じがする。
3部構成のライブになっているので一度舞台からいなくなり衣装チェンジ、今度はジョー・サンプルらのバンドと一緒に出てきた。それを観て、演奏がはじまるとなんだかホッとしてしまった。別に人種でどうこうは無いのだけれど、こっちの方が格段にいいのはどう聴いても間違いないだろう。
グラミーアーティストだし、ヴォーカルも一流なのでどう考えても悪かろうはずもないのだが、さっきまでの演奏みたいなショービズどっぷりな感じはさすがに抵抗を感じてしまう。スタンダップコメディアンかつ、ディナーショウもやれる人、みたいに見えてしまう。
そんな感じでちょっと嫌な感じがしながら見ていたのだが、やはりギターを抱えた途端に目が離せなくなってしまう。上手すぎるよ、やっぱりこの人。端正で流麗なフレーズ、完全に洗練されたオクターブ奏法、ギターと一体になったかのようなスキャットと同時に盛り上がっていく様はやっぱり興奮させられるし、見入ってしまう。今となってはフュージョンではなく、きちんと「ジャズ」の感じが出せる人も貴重だ。
この人はその天才さ故にものすごく出来る事の幅が広く、果てはポップスの世界まで突き抜けた人気を博してしまったがために、個人的にはまぁちょっとこれはどうかな?と思ってしまう部分も無いではないが、うーん、やっぱり文句が出ないわ。素晴らしい。
今度はバリバリフュージョン期のを買おう。
Absolutely Live [DVD] [Import] 新品価格 |