2016年11月26日
吉田豪「吉田豪の空手★バカ一代」
年末休み用に買おうと思ったが、我慢できなくて購入、即読破。
安心の吉田豪クオリティ。これ、路線が変わってしまって読むのをやめていた『BUBKA』で連載してたのね。
えーと、要は前に出ているプロレスラーのインタビュー集の『喋る!!道場破り』の空手家版です。表に出て、言葉やパフォーマンスも含めて表現することが仕事のプロレスラーに比べ、「武道家」というのはインタビューが盛り上がるかわからないし、また事によってはシャレにならない事態も発生するだろうし、なかなか難しい事もあるとは思うが、そこは吉田豪。
そして、表紙に大山倍達が思いっきり載っているので解るとおり、ほとんどが極真空手出身の人間のインタビューだ。極真出身ではないのは風間健と、出版やプロデュースの方の谷川貞治、山田英司のみ。
プロレスラーと違って、派手なパフォーマンスで世間を騒がせるわけではない、とはいえ
「どちらもファンタジーに包まれながら、世の中になめられちゃいけないってルールで生きていた人たち」
-あとがきに代えて より-
という共通点もあり、正直な所、読むまでは半分くらいは知らない人だったのだけど、とても面白かったし、読み終わった後は全員に興味がわいた。さすが吉田豪仕事、という感じ。
『BUBKA』での連載という事もあって、技術論とか無しのわかりやすく面白いインタビューで、そこには「大山倍達/梶原一騎」という太っとい軸があり、更にプロレスやK−1や柔道、少林寺なども関わってくる。
『空手バカ一代』をはじめ、それなりにイロイロ読んだり観たりしているが、そこまで「大山倍達/梶原一騎」にそこまで強い興味が無い私には、読み始めたときには「そのあたりの話ばっかかなぁ?だとちょっとツライかな」と思っていたが、読み進むにつれてドンドン引き込まれ、そこを軸にする意味と言うのも解っていった。
数々の武勇伝も凄かったし、演武(試割り)の裏話とか、大山倍達にニコラス・ぺタスが言われた「空手家は話し合いに向いてないよ!」って話とか最高に面白かったなぁ。
しかしさ、身近に伝統派空手二段の奴がいたんで、イロイロ話を聞いてるんだけどさ、これ別に「極真で、しかも何十年も前の過激だった頃の話」とかじゃないんだよね。そいつは二十歳そこそこなんだけどさ、全然今でもあるっていう。
普通に「この傷は、試合の時に肘ではらったら、相手の歯が何本か腕にくっ付いてきて、こっちもザックリ切れちゃって・・・え?あぁ反則っすよ。相手も反則なのにしつこく掴んできたんでいいんす」とか「小学生のとき、180くらいある外人の女との組手で、踵落としクラって気絶させられましたね。そんなん見えないっすもん」とか、「酒飲んでっからいけるかな、と思って師範に挑んで、金的とか関節蹴りとか狙ったンすけど、やっぱ強いっすねー。無理でした」とか、そんな話いくらでも出てくるっていう。
武道ってやっぱ凄いわ。
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