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渋谷直角 「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」





久々に清々しい程思いっきりサブカルな漫画。
絵も話もいかにもサブカルっ子な感じで、最初の印象通りっちゃ通りでそれ以上ではないんだけど、ここまでクリアにサブカルの痛さを描いたものは中々ないんじゃないだろうか。タイトル読むだけでもう降参な感じ。
悪意とかではなく、ひたすらクリアな見も蓋もなさ。
いちいち、部屋に転がる雑誌やCD/DVDのタイトルが期待通り「サブカルあるある」になってたりの、気のきき方とかもまさにって感じ。
サブカル者の、自虐的に見せながらも最終的には『ピュアな自分』みたいなものを必要以上に大事に守るという急所をガッツリ削られるので、まさに作者のあとがき通り、「主観と客観の円環。笑うあなたにブーメラン。描いてる僕にもブーメランが突き刺さるというらせん構造」になっている。

この作者、いままでしらなかったんだけど、おもしろいなぁ。これは何度も使える手じゃないから、次からはまた別の方法を考えないといけないだろうけど。

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「ステロイド合衆国 〜スポーツ大国の副作用〜」





「カシム・ザ・ドリーム」と同じシリーズでDVD化されたドキュメンタリー映画。
「ステロイド合衆国」という、わかり易さとインパクト優先の邦題から、半笑いで避けられてしまうと嫌だなぁ、と思うくらい素晴らしいドキュメンタリー。「Bigger, Stronger, Faster」って原題、かっこいいのになぁ。
あくまでメインは『ステロイド、そしてその他薬を乱用するアメリカ』みたいな感じのテーマではあるんだけど、ストーリー的には家族の話が進んでいく。なのでタイトルの通り、固いドキュメンタリーではなく笑って感心して憤ったりして、そして意外と胸を熱くさせられたりするエンターテイメントになっていて驚く。この監督、これが初監督作品らしいけど、単純に映画として凄く面白い。まぁ、このテーマ以外も撮れそうなのかって訊かれると無理っぽいけど、少なくともいきなり初打席でホームランを打っているのは間違いない。
いわゆるドキュメンタリーの一番の売りである「衝撃的な」場面は初見でビックリする用にとって置いた方がいいので書かないが、ポイントはやはり家族の話って事だ。
ステロイドを使用して夢を追うが既にいい歳の兄と弟、いかにもアメリカっぽい太っちょで優しい母親、現実的で鋭い指摘をする父親、そしてステロイドを使用しない「いい子」であるが故に高校以来、目立った活躍の出来ない自分(監督)。
この父親のコメントがいちいち鋭くて、映画の中のいいスパイスになってるんだよなぁ。ただの「ステロイドでマッチョだー!イェイイェイ!VSステロイドは危険!犯罪だダメダメ!」っていう二極化の構図ではなく、もっと奥の人間の欲望みたいなものを、親子関係の中でキチンと汲み取って語るから、ただの「記録」じゃなくて「映画」として成り立ってるんだと思うんだよね。ちゃんと現実に引き戻してくれるって言うか。
ドキュメンタリーでありながら、アメリカン・ニューシネマ的な香りすらして、単純化された「アメリカはとにかく何でもデカくてエラそうでグローバリゼーションでバカ」というレッテルの裏にどういう病理があるかの一端が見られる。
まぁそんな難しい見方しなくても普通に面白い映画だしね。
ちょっと長めで、後半多少ダレる感じもあるし、「傑作ドキュメンタリー映画!」って感じで万人に紹介する感じでも無い気はするんだけど、ハマる人にはばっちりハマる、良い映画だと思います。スポーツとか格闘技好きな人、自分でやんなくても「ロッキー」とか「エクスペンダブルズ」みたいなアクション映画、「刃牙」とか「喧嘩商売」とかの格闘漫画好きな人は是非観て欲しい。
レンタル屋でまず借りてみる、ってのが出来ないのがサブカル映画のつらい所で、いきなり購入ってのは中々ハードル上がるっちゃ上がるんだけどね・・・。その価値はあるよ。



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「ヘドバン vol.4」





はい、ヘドバン。昔ながらのメタラーは微妙な顔してると思います。私も最近まではそうでした。

創刊号が出た当初は、おそらく多くのおっさんメタラーと同じく
「ん?バーンの増刊かな?昔あった『炎』みたいなやつだろ?最近はバーン本誌もメタリオンも買う気しないしなぁ・・・BABYMETALにX再考かぁ、メタルで商売は難しいもんなぁ・・・・・・あ、吉田豪のデーモン小暮とテリー伊藤インタビューあるやん!!!!」
という感じで、まぁ立ち読みしよっかな、という程度だったのですが、アイドルファンによって売り切れ→中古価格高ぇなおい状態にすぐなり、ムックなので再販難しいかなぁ、という感じでした。
そしてまさかのvol.2が出て、
「BABYMETAL人気凄いな、今度はMETALLICA特集か、好きだけど『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』はそんなに・・・ライブ観たいよ、それなら。つうか『セイント・アンガー』以降ちゃんと聴いてないや・・・・・・スラッシュ・メタルのファースト・アルバム特集!!フラットバッカー再評価!!!!!」
という感じで、相変わらず引っ掛かる記事はあるものの、買うほどでもなく。
よく出たな、と思うvol.3。大体雑誌って3号くらいでキツくなってくので、やはりここにきて表紙がBABYMETALになる。「細かいネタ記事はそんなに・・・だし、BABYMETALは好きだけど、写真見たりインタビュー読んだりって感じでもないんだよなー。歌謡メタルみたいなのは散々スベッたじゃないすか、勘弁してよ・・・・・・クロスオーバー特集!!トラッシュ・メタル・ハンティング2014!!!!」
とまた気になるが買いはせず。

そしてこのvol.4。
発売日(職場が本の問屋なんで、本当は2日位前)から、メタル仲間の上司から
「今度のヘドバンはヤバイよ!!GASTUNK特集だよ!!!!!表紙は高崎晃でLOUDNESS特集も!!!!バカ売れ確実!!!!」
と朝礼の前に勢い込んで教えられ、
「いや、売れないっしょ!・・・・俺は買うけど!!!」
と、メタル本が発売される度に毎回決まってする会話を楽しみながら、今回は買う事を決意。
今回は顕著してたメタラーも買ったほうがいいと確実に思える内容でした。
BABYMETALはライブレポとちょっとした記事のみだし、正直この分量ならあって嬉しい記事。
そして本題の“(メタル)日本代表"特集。ラウドネス特集、ザ・マッド・カプセル・マーケッツ特集、そしてメタル要素は薄いが、最もDIYなのに一番活発な海外遠征を繰り返しているギターウルフのインタビュー!!!!Boris、チャーチ・オブ・ミザリーにS.O.B!!!ガスタンク再評価!!!!
掟ポルシェのCARCASS愛が伝わってくる来日ツアー(ほぼ)全通日記!!!
で、今回は他の記事もとても良い。Xの、プレ値のせいでなかなか読めなかった昔の『バーン・ジャパン』に載ったインタビュー完全再録をはじめ(これはメインの『BLUE BLOOD』再考の一部だが)、ジェント入門、凄テクな職人サポートミュージシャンのロングインタビューも珍しくて面白かったし、ラウパのトリに決まったMANOWARの記事も良かった。
ネタ記事は最後のほうに数ページあるだけで、今回はかなり厳ついメタル雑誌になってる。
はっきり言って、完全に後ろ向きに爆走しだした(それはそれで、おっさんの私は前よりは読めるようになってきたが)、BURRN!より全然ちゃんとメタル雑誌だわ。
「アイドルで儲ける気なんだろっ、へっ」とかスネた事言ってないで、今回は素直に買った方がいいです。

この感じでいけば毎号買うんだけど、今回が厳つすぎるから、しばらくまたBABYMETAL頼りな感じになるかなー?まぁAldiousなんかよりはよっぽどいいんだけど。

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「カシム・ザ・ドリーム 〜チャンピオンになった少年兵〜」





『松嶋×町山 未公開映画を観るTV』という奇跡のような番組があったのはもう3、4年前になり、あまりテレビを観ない自分でも何本かは当時楽しみにテレビの前でスタンバって観ているし、見逃したものも、DVDが出たものはレンタルして観ている。
レンタルで観れてしまったので油断していたのだが、実はサブカルものは旧作としてそのまま店の棚に収まることなく、しばらくすると製作会社に返却されてしまうことが多いのだ。
久々に観返したいなぁ、と思ったら既に店になく、我慢できずに購入。まぁね、下手すると中古やオークションしか選択肢がなくなるのがサブカルの厳しいところなんで。

さて、この映画は簡単にいうと、カシム”ザ・ドリーム”オウマというボクサーのドキュメンタリーなのだが、サブタイトルで表されているるように、彼は元少年兵のチャンピオンだ。
カシムはウガンダ出身で、6歳で誘拐され少年兵としてウガンダ国民抵抗軍の訓練を受け、少年のころから兵士として拷問や殺人の経験をさせられたという、現代の話とはとても思えない経歴を持っている。
その後、クーデター成功、正規軍としての立場でやったボクシングの才能の開花からの脱走兵としてアメリカ亡命があっての成功なのだが、当然、家族をはじめ、全てを祖国に置いてきている。戻ると脱走兵として処刑される。
無事に祖国に戻るにはチャンピオンとなって、ウガンダの英雄として恩赦を受けてでないと不可能。という試練に打ち勝った偉人だ。
とにかく、一度は出来るだけ余計な情報を入れずに観てほしい作品。
普段はファンキーで、過去の事を語るときは感情を見せないカシムが慟哭するさまは、観ていて深く胸を打ち、私は初見のとき号泣した。

・・・・・・・ここからは、余計な考えかもしれない。
過酷な運命に打ち勝ったカッコ良くて強いチャンピオン、映画自体もいい作品で、私も号泣した。DVDも買った。これから何度も観るだろう。
ただ、初見のときに検索して、あまりの情報の少なさに首をかしげたのだが、今冷静に観るとわかることがある。
『チャンピオン』という表現は、間違ってはいないのだが、誤解を招きかねない。当時「IBF」の、その後「NABA」の、『チャンピオン』なのだ。
はっきり言ってしまうと、WBAやWBCのタイトルには届かなかったボクサーなのだ。よく言えば通好み、悪く言えば1流半のボクサーだ。
例えば、当時のカシムと同級のスーパーウェルター級(ジュニアミドル級)には、あまりボクシングに詳しくない私でも知っているデラホーヤ、メイウェザーという怪物がいる。
当たり前だが、いくらカシムが少年兵という経歴があってメンタルが強く、才能があり、ハードトレーニングをこなす素晴らしいボクサーであるからといっても、その事実に変わりはない。

いろいろな意味で恐ろしく、残酷な映画だ。

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NAS 「I Am...」





NASの3rdアルバム。
1stが名盤、2ndは悪くはないものの少し困ってしまう作品・・・という感じ。

前作は大ヒットしたものの後に失敗作だと認めた、というのが頷ける力作。ある種のストイックさ、というか切羽詰った感すら漂っている作品で、それはパフ・ダディをはじめとする大物ゲストの存在感すら薄れさせるほどのものだ。
ヒップホップ史上に燦然と輝くファーストアルバム、そのプレッシャーの中で出した2ndアルバムはヒットしたものの自分でも納得いかず、ディスられたり、セルアウトしたと囁かれてしまい、ここで改めて実力を見せつけないといけないという気概が全編に漲っている。
もはやセルフパロディと化した顔芸のジャケットとは違い、内容はただただファーストを踏襲しただけではなく、2ndで見せた無理矢理な成熟ではない順当な成熟が見られ、初期のスタイルとしての頂点という感じも受ける。
ただ、やはりこれが最高傑作という感じはせず、やはり「illmatic」での輝きには及ばない。
難しいなぁ、と思うのだが、ある種のマジックというか、ファーストならではの遊び心、フレッシュさ、勢い、理由はいくらでも上げられるとは思うが、あの輝きはないんだよなぁ・・・難しいものです。

天才が本気でストイックに作ったらそりゃいいものが出来るわな、でも、凡人の俺が1枚通して聴くとちょっと疲れるかな、という感じでしょうか。

I Am...

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「パブリック・エナミー イット・テイクス・ア・ネイション ライブ・イン・ロンドン 1987」





バイト先の若い同僚に借りたCDシリーズを書いているが、今日は私が貸したほう。
パブリック・エナミーの87年のロンドンでのライブを中心としたドキュメンタリーDVD。
87年、PEは名作セカンドアルバムの「It Takes a Nation of Millions to Hold Us Back」を出す直前で、まさに爆発寸前GIG(ちなみにXね)、そして初のヨーロッパツアーという自身の哲学を海外にも伝える格好の機会で、まさにここを観たかったと思うような映像が満載。
まだチャックDもデカイ時計をぶら下げているような初期のエネルギッシュなライブ映像も当然必見だが、今思うと不思議な気分にさえなってしまうS1Wという存在や、PEというグループの哲学をイギリスのメディアに向けてしっかりと伝えようとしているインタビューは、今まで「黒人の権利を・・・って言われても俺関係ないからなかなか感情移入できねぇな」と思っていた私にもわかりやすく入ってきて、今までより自然にPEを聴けている気がする。
ドキュメンタリー自体は50分足らずと短いのだが、ライブ自体が数グループでの合同ツアーで、しかもそのなかで前座の位置だったのでライブ自体も短かったようだし、ライブ以外のインタビューなどの映像も、グループの紹介と活動表明のような感じでとても濃く、だらだらバックステージを映すようなことはしていないのでかなり観応えがある。フレイヴァー・フレイヴのおちゃらけでホッと一息つく以外は、かなりの緊張感が画面からも伝わってくる。
ちなみに同僚は「チャックDが汚い言葉とか一切使わないところが逆に怖くて・・・インテリヤクザッすよね、あれ」と言ってました。
メインのドキュメンタリーは短めだが、チャックDによるオーディオコメンタリーがとても良かったので倍楽しめるし、2003年のライブ映像や、昔のフォトギャラリーも少しある。おまけのCDも付いてくるし、「Fight the Power」「Don't Believe the hype」なんかの有名曲が入ってないとはいえ、これは入門編としても凄くいいわ。「Bring the Noise」は入ってるし。

「2年間で5000人の黒人政治活動家を出すことが目標だった」と語り、そのために衆目を引き付けるようにヴィジュアルから何からを考えていったという発言からして、根本的に他のグループと違っていたんだな、と思わされるし、だからこそ取っ付き難かったりもするのだが、その理解のために、このDVDはとても良い助けになると思う。

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NAS 「It Was Written」





NASの、名作「illmatic」に続く2ndアルバム。
まとめて借りたのでこうやって聴き比べていく事ができて中々おもしろい。
今回は借りて聴いたのだが、実は以前も聴いている。ずーいぶん前のまだヒップホップなんてろくに知らない頃、凄く安く見つけたので、「お、これが有名なNASか」と買ってみたのだ。
当然、まだ自分の中にヒップホップに反応する準備ができておらず、「ふーん」くらいで終わってしまった記憶がある。
後に「ONE MIC」「ETHER」というキャッチーな曲の入っている「STILLMATIC」の時にはまだメタラーだったにも関わらず、すぐ反応出来たこととは真逆だ。
ということで、HIPHOPファンになった今ならこのアルバムも好きになるんじゃないかという期待をこめて聴いた1枚。

うん、悪くない。というか、いい。凄くいい、といってもいいと思う。
タイミングさえ合って思い入れが生まれればこのアルバムが大好きになったりもするだろう、と思えるクオリティなのは間違いがなく、それも『けっこういい』という次元ではなく、『凄くいい』といっていいと思う。
でも、NASが聴きたくて手に取るアルバムじゃないかなー、という感じ。

よりメロウではあるが売れ線って程じゃない落ち着いたトーンのトラックに(まぁThe Messageのスティングネタは狙った感があるけど)、哀愁がより強調されたラップという、あまりにステレオタイプに『成長/成熟』というものを見せようとしすぎたのかな?
というのが、後追いの特権でディスコグラフィーを俯瞰して見た後の感想。

ただやっぱり悪くはないんだよな。
前作が名作過ぎたせいで、デビューから2、3作まででは確実に「illmatic」を手に取るし、その後なら本当に成熟した姿を聴けるわけだし多彩なアプローチから好みの音を選べる。
結果、影が薄いよねこのアルバム、となっちゃうんだな。

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