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FORWARD 「BURN DOWN THE CORRUPTED JUSTICE」





2015年から再始動したDEATH SIDEのボーカルでもあるISHIYAさん率いるFORWARD。
現在も精力的に活動中で、FORWARDですらもう20年以上活動を続けているし、DEATH SIDEから数えるともう30年・・・凄すぎるわ。

これは2004年作の2ndアルバム。
1発録りの勢いがそのまま封じ込められた、非常に迫力のある1枚です。

オリジナルギタリストが復帰し、ツインギターになった為か非常に音が分厚く、音圧がある。
メタルの影響はほとんど感じないのに、メタリックな印象も感じる強靭な音はこの世代のハードコアバンド独特のものだろう。

アルバムタイトルが「堕落した正義を焼き尽くせ」、1曲目が「FUCK BUSH!!」と非常にストレートなメッセージが込められており、当時の状況が思い出される。
昔から一貫した反権力的な姿勢とメッセージだが、特にこの時期は直接的に言いたい事があったのだろう。

その姿勢や音楽はもちろんなのだけど、歌詞の英語訳をブックレットに載せてたり、全体のCDとしての作りがしっかりしていて、音楽を届けようとしている姿勢が素晴らしい。

やっぱ凄いわ。




While You Alive

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FORWARD、アマゾンにほとんど無い・・・。




THE METEORS 「PSYCHO DOWN!」





現在は再結成したため、ラストアルバムでは無くなった一枚。

サイコビリーのオリジネーターの一組であり、キング・オブ・サイコビリーとも称されるMeteors。
正直、サイコビリーはそんなに馴染みが無い。
私にしてもだが、ポピュラーミュージック界は今やブラックミュージックがベースにある。
ブルース、ゴスペルなんかからはじまり、ジャズやロックンロール、現在のヒップホップに至るまで、全てブラックミュージックがベースにある。
アメリカのチャートなんかモロにそうで、R&Bかヒップホップとカントリーに2分されている印象だ。
そんな中で、ロカビリーとパンク、ガレージロックの色が強いサイコビリーはとても「白い」音楽に思える。

パンク、ハードコアは大好きだし、サイコビリーにも興味はあったのだが、独特のファッションやコミュニティーの為、近いようで接点が無く、中々手が出ないままだったのだけど、なんとなく買ってみた。

ハイが強くナチュラルオーバードライブな感じの独特のギターサウンドとウッドベース、軽快なドラムのインストからはじまる。
リンク・レイとかDick Daleとかを思い出しつつ、その後も50年代60年代を思わせる曲に濁声のボーカルが乗る楽曲に、けっこうノリノリになる。
しかし、1曲目だけイヤにシャンシャンしているのはなんだろう?ちょっと耳に痛い。2曲目からはわりと普通なのに・・・。

81年からやっているオリジネーターだからこそなのだろうが、サイコビリーの特殊性みたいなものは感じなかったが、普通に楽しめる良いアルバムだった。

活動休止前のラストアルバムだということで、たぶんこれがベストな状態ではないのだろうから、もっと良いアルバムもあるんだろうけど、いいバンドであることはよくわかりました。

もっとサイコビリー感が強い最近のバンドを今度は聴いてみようかな。

全盛期ってこの辺かな?勢いがあるね、楽しそう。


Psycho Down

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クーロン黒沢 「怪しいアキバ漂流記」





マイプチブーム中のクーロン黒沢3冊目。

自身の生い立ちと共に、パソコン(マイコン)の歴史を辿る一冊。

歴史を辿る・・・は言いすぎか、でもマイコン時代からディープに関わっている人なので、とても興味深く、面白かった。でも、業界に入るまでのクーロン黒沢の自伝って書いた方がしっくりくるかな。

ノイマン云々、ミサイルの弾道計算云々、IBM云々、ジョブス云々ではなく、あくまで『ゲームセンターあらし』の影響からマイコンを買った少年時代から話がはじまるのがとても身近な感じ。ゲーセンでゲームを知り、マイコンを買えばゲームが出来る、作れる、という事で購入し、そこからズブズブとハマっていくのだ。
それも早いうちからディープな部分に関わっている。
昔はガードが緩く、ソフトはコピーし放題で海賊版だらけ、なんていうのはよく言われることだが、その海賊版屋で働いてコピーの作業を任されていたのが中学時代という早熟さ、というか巻き込まれっぷりなのだ。
そこからはもう転がる石というか、そのうちに香港などの海外にも行くようになり、それが仕事になり・・・というクーロン黒沢のプロフィールに載っているような事になる。

本人の好奇心や行動力、そしてバブル期、黎明期特有の熱といいかげんさによって、こんなにも遠くまで行ってしまう・・・恐ろしいもんだ、と思うと同時にとても羨ましい気もする。筆者とは15歳差か、70年代のロックや、80年代のバブルと共に、90年代にはコレがあったんだなぁ。
しかし本人の熱意も当然だが、あまりの濃いキャラクター達が次々登場し、そしてドンドン巻き込まれていく様の見事さに驚き、そして他人事なので超面白い。

日本での身近なコンピュータの歴史を知り、「そういえば祖父母の家にカセットで記録するタイプのパソコンあって、ゲームしたなぁ・・・その頃にもっと興味を持っていれば・・・」とか思いつつ、とても面白く読めました。

あとは、『誰が音楽をタダにした?』では音楽の話だったので、ネット回線が高速化したのも一因だと思っていたが、当時からパソコンソフトのコピーをパソコン通信でやる奴はやってた、というのがコレを読んでわかったのも良かったかな。
どの道もマニアは恐ろしいもんだ。
特にコレは最初が電話のタダ掛けからだもんな。

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「無垢の祈り Innocent Prayer」





平山夢明のあの名作『独白するユニバーサル横メルカトル』の中の一編が映画化されてた!
クソー!知らなんだー!

というのも当然というか原作を読めばわかるが、内容が内容なので上映できる所が中々無かったっぽく、上映館がとても少ない。幼児虐待からDVなどの暴力から殺人、宗教絡みの事まで、R指定はもちろんのこと色々と問題になりそうなものばかりがぶち込まれた作品だからしょうがないけど。
東京だとアップリンク渋谷くらいか。でも今年の初めまでやってるの知ってたら、観に行ったのに・・・。
メインキャストにBBゴロー(稲川淳二のモノマネの人)、下村愛(2015年までは穂花)と凄くいい感じだし、これは観たい。

こうなったら早くDVDにならないかな。超観たい。平山さんの小説は映像化したら凄そうなのバッカリだもんな。



あ、CGアニメなら以前にこれもあったね。雰囲気はいい感じだけど、どうなんだろ?


追記
ここで観れるね↓
https://vimeo.com/ondemand/uplinkcloud072jpn

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クーロン黒沢/梅本善郎/リン外川 「怪しいアジアの怪しいニュース」





クーロン黒沢のプチブームがきている私。2冊目。


とりあえずテキトウに買ってみたら、クーロン黒沢の単著ではなく3人での共著で、しかもアジアの危なかったり面白かったりするニュースを集めたものだった。

ということで若干の物足りなさはあったものの、サラッと読めてけっこう楽しめた。

この本の出版からもう15年程が経ち、タイなんかはすっかり発展してしまい、物価なんかも日本とほとんどかわらないようになってしまったらしいけど、この本の頃はまだけっこうアジアといえば発展途上国の感じあったもんな。

とはいえ、最近でも『中国嫁日記』とか読んでると(情報が漫画からってのもアレだけど)、ちょっと田舎に行くといまだに電力の供給が不安定だったり、イロイロあるみたいだけどね。

まぁそんなアジアの、死体をノーモザイクで載せるような特殊な新聞をはじめ、各新聞から日本ではありえないようなニュースを集め、解説も交えながら紹介していく感じの本。

こういうのも全部ネットに取って代わられたな・・・とか思いつつ、まだ日本が悪くなったといいつつギリギリ景気良くて、アジア諸国との差がかなりあった古き時代の感じを懐かしがりつつ読みました。


うん、悪くない。1回読んだらもういいし、やっぱどう考えてもネットに取って代わられてるけど。

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卯月妙子 「人間仮免中つづき」





「あの卯月妙子が復活!?」
と驚いたあの『人間仮免中』のタイトル通り、つづき。

元々、卯月妙子の漫画のファンであったので、その復活は大いに驚くと同時に喜んだし、その復活作の『人間仮免中』がまたとんでもない作品で、精神状態の悪化や薬物による(又はその断薬による)トリップや妄想をここまで渦中の人間が直接的に表現できた例というのは少ないだろう、というアウトサイダーアート作品として素晴らしかった。
90年代サブカルのバッドテイストブームの中で漫画家としてデビューし、お手軽な「AV女優本人が書きました」的なエッセイや漫画を吹き飛ばす圧倒的な表現で名を上げ、行き着くところまで行ってしまい作品は未完になりお蔵入りになり、やがては漫画以外の活動もなくなり・・・という復活が考えられない状態からの復活、しかもこんどはアウトサイダーアート持ってきやがった!という興奮が、前作にはとにかくあった。

当時も書いた↓自分語りが長すぎるけど・・・。
https://fanblogs.jp/gateofdoom/archive/57/0

と同時に、いわゆる「感動の作品、こんなにも壮絶な愛がどうの」みたいな宣伝文句とは違う感想しか持てなかったのも事実。

漫画が描けなくなって以降の小劇団やパフォーマンスアートの世界での評判や、本人のブログ(web日記)、それを受けての2chのヲチスレの住人との不毛な争いなど、正直褒められたものではなく、自己顕示欲を持て余しているように感じた。
ここは難しいところだけどね。私もフリージャズが好きだけど、まがいなりにも13年くらい音楽やっててほぼ理解されたことがないし、そもそものパイが小さすぎてどうにもならんし、だからといって「あれって下手な人が逃げる道で、デタラメなんでしょ?」と言われるとそりゃ反論もしたくなるってのもわかるし・・・。
それでも、端的に「周りの人は大変そうだな・・・」というのが感想で、個人的に10年ほど付き合いのあった精神病者の友達を思い出してウンザリしたりしていた。

そして、この本に関しては、正直面白くなかった。
2度読んだがこの先読み返すことはないと思う。

前作のヘタウマという域を超えた、アウトサイダーアート的な線の震えなどの絵の狂い方はかなりおとなしくなり、内容もボビーとの平穏な日々の話だ。
勿論、卯月のファンや前作を読んでいる人なら分かる通り、病気のこともあるし平穏ではないのだけど、仕事にも煩わされず田舎でどうにかやってます、という感じ。

平穏なのは悪くないし、2人で幸せに暮らしているようなのでおめでたいのだけど、この普通のエッセイ漫画的な出来事(ボビーと派手に喧嘩しちゃった、とか)の裏に、周囲の多大な労力が掛かっているのが散見されて、上っ面しか読まされていないように感じる。

病気でも絵を描くと、はい、何億の値がつきました、という草間弥生のような天才はさておき、それ以外の大多数というのは総じてそういうものであって、その中で平穏なフリをされても・・・という。喧嘩も、病気が悪化して病院に行く事になった事がその「平穏」の中に入るのも当然で、むしろそれを作品に入れるに至る、なんというか本を面白くする為の作為というか、そこは選んで入れたのね、という感じがなんとも・・・。
それに、私は短歌や俳句に詳しかったりはしないけど、挿入される短歌が、取るに足らないような評価しか受けないであろう事はなんとなくわかる。そういう評価の低さなんかに逆ギレしていたのが過去のネット上のあれこれだったと思うし、変わってないんだな、と思ったり。


結局の所、私が読んでいて一番グッと来て息が詰まったのは、具合が悪くて病院に行くも、パニックが来そうな気配がしていて、結局幻聴とパニックが来てしまう、という話だった。
だからといって、バッドテイスト的な部分を求めてるわけではないんだけどなぁ・・・なんか『新家族計画』の没部分ばかり読まされているような感じでした。
「作品より本人の方が面白い」というタイプの作家は多くいるし、卯月妙子もその中の1人だとは思ってたんだけど、こうも本人の自己愛みたいなものだけを出されると、読むのがしんどかった。

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トマス・ハリス(著)菊池光(翻訳) 「羊たちの沈黙」




今更だけど『羊たちの沈黙』。
殺人鬼の本読んでたら読みたくなっちゃった。
映画は勿論観ているものの小説を読むのは初めて。

今は訳者が変わった版になってるのか

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私が読んだのは旧訳版。スペンサーシリーズも手がけている菊池光訳。私はこの人の訳、硬い感じで好きだけどね。

映画の出来が良過ぎたので、原作が読まれなかった本の1つなんじゃないかな?とか言い訳したりして。
『ファイト・クラブ』とかがそうだと思うんだけど、映画が良過ぎるとそこで完結しちゃうよねっていう。

ということで読んだんだけど、面白いね。
すーごい普通の感想だけど、むしろコレをよくあんな映画に出来たわ、って感じ。

いや、面白いのよ。凄く。
でも、堅物だけど自分に目をかけてくれてる上司とかさ、学生なんだけど能力を認められて捜査に参加とかさ、凄く知能の高くてエレガントな犯罪者とかさ、ありがちっちゃありがちなわけで。
凄くよく出来たサスペンス小説だと思うんだけど、あそこまで見事に映画にされるとね、むしろその印象が強くなって原作がちょっと物足らなくなるというか。
収監されている犯罪者に今起きている犯罪についてアドバイスを求める、みたいな設定での雛形になった小説なんだろうとは思うけど。

映画が良過ぎて引っ張られるっていうのはこの前読んだ『ファイト・クラブ2』でもそうだと思うんだけど、このシリーズの作者も次作の『ハンニバル』はジョディ・フォスターに当て書きしたのに、エログロ過ぎて断られるハメになったりと迷走したみたい。

そういえば『ハンニバル』観てないな・・・でも観ないだろうな、評判悪いし。つーかなんか若い頃の話をドラマでやってたりもするっしょ。もう追いつける気しないしなぁ。

『セブン』でも『メンタリスト』でもそうだけど、こういう頭のいい犯罪者との会話での駆け引き、好きだな。
現実では皮肉すら通じない人がほとんどだから。

やっぱりこれだよね。

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目黒殺人鬼博物館(編集) 「殺人王 -世界殺人鬼ファイル-」





定期的に殺人鬼の本は買う。
これはアングラサブカルの必須教養であり、バッドテイストブームもあって(私は古本屋に『週刊マーダーケースブック』が捨て値だった、遅れてきたサブカル世代)、ストーンズからグラインドコアまでが引用する話題でもある。
悪しき事ではあるのだけど、極端な事をした人間への興味はとてもある。何度かこのブログでも記事を書いたと思う。

『死の腕(ハンド・オブ・デス)―ヘンリー・リー・ルーカス物語』↓
https://fanblogs.jp/gateofdoom/archive/285/0
とか
平山夢明の『異常快楽殺人』↓
https://fanblogs.jp/gateofdoom/archive/477/0
とかね。

そういう中の1つ。
この本の広告はアレ系の雑誌やムックでよく見た気がするんだけど、読んだのは初めて。でも2002年発行か、そういう中では遅めだね。

内容は、花くまゆうさくの表紙を見たらわかる通り、いかにもバッドテイストものでーす、みたいな感じで、扇情的でポップな殺人鬼のイラストと共に各殺人鬼のプロフィールや事件の概要を簡潔に紹介し、関連する書籍や事件がモチーフになっているであろう映画も共に紹介されている。

1つ1つの紹介は短いし、今となってはあやしい情報もあるが、なにせ紹介されている人数が多い。そして、関連書籍、映画が紹介されている所が珍しく、ブームに乗って雑に作っているようでいて、実はよく出来ている。

今やネットでいくらでも調べられるが、ここまでまとまっているなら1冊持っていてもいいと思う。

今はこういうのがいくらでも見られるから、価値は減っちゃったんだろうけど↓


殺人王―世界殺人鬼ファイル

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柳澤健 「1976年のアントニオ猪木」




なんだかモヤモヤする。
レビューを読んでもそういう人はいるようだ。というか怒っている人も少なくない。
あ、ちなみに読んだのは単行本の方。もう文庫で出てたのね。

だいぶ前に出た売れた本だし、評論も多く出ているので本の内容は飛ばして、例え話をする。


例えば音楽で言うと、
「一昔前のジャズ評論家には、ジャズ喫茶のマスターが多い」
という事実に、疑問を持つかどうか?というのが似ていると思う。
「ジャズ喫茶を経営されるくらいだからお詳しいんでしょ?一日中ジャズを聴いているわけだし」
と思うか、
「ある程度は音楽理論とかわかってないと、即興性の強いジャズなんて理解できなくね?つか現場行ったり、インタビューすらしてないの?英語できないの?」
と思うか、どっちだと。

評論にも種類があって、「自分がどう感じたか」という事を書く小林秀雄のような方向性もあるので一概には言えないのだけど、一時は影響力を持っていたジャズ評論家にジャズ喫茶経営者が多かったのはやはり私は疑問に思う。
極端に言うと、ある程度理解していないと聴いていても細かい差異がわからず、総じて「ジャズっぽいな」としか思えないからだ。ハッキリ言って、これはジャズギターを習う以前の自分にも当てはまる。
それまで10年ギターを弾いて、メタルで契約まで行った事もある自分ですらこの程度だったのだ。
でも当然といえば当然なのだ、「ルールが違う」から。


こんな例えを出したのは、おそらくよく比較されているであろう『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』の増田俊也が自身もかつて競技者であったのに対し、この本の作者である柳澤健はただファンであり、編集者であった、という違いかな、と思ったからだ。


「じゃあお前がやってみろ」とか「評論家なんてのは所詮夢を実現できなかった奴がいちゃもんつけてるだけだ」っていうのは、小説だろうと音楽だろうと映画だろうと格闘技だろうとスポーツやお笑いだろうとあるものだ。

成功したとたん手の平を返す。評価する、教える側になったとたんコロッと態度を変える。どちらもある。


なんでこんな事を書いているかというと、なんというか、とてもよく取材していて資料的な価値はあるだろうし、間違いなく文章はおもしろい。
・・・・でもなにかひっかかる。
対象に対する、「愛」とか、それこそ「夢」でも「憎悪」でも「呪い」でもいいんだけど、そういうものが伝わってこない。
「よく調べられた資料の1つ」としか思えないのだ。
それも、プロレスファンがUWF幻想を通過した後にUFCショックを受けて、そのまま離れてしまったような、良くも悪くも活字が好きでサブカルタイプのファンの作った資料。

アントニオ猪木へのインタビュー依頼の手紙の中に「調査報道」という言葉が出てきて、あぁ、そうか、「調査報道」なんだな、と腑に落ちた。
そして、「調査報道」の割には主観入りすぎだな、と思った。それなら著者がどう思ったかなんて必要ないのだ。

そう考えていくと、「じゃあなぜ本として出版するんだ?」とまで思ってしまう。

売れる本を書こうとした、という以外の理由が見つからない。
それは経済活動としては当然で、実際売れたので万々歳なんだろうけど・・・なにか偽装されたような、不快な気分になる。
ここまで綿密に取材し、素晴らしい文章力で書かれているから尚更だ。

これが、例えば毒々しい表紙のコンビニ売りのムックかなんかで、プロレス好きの三文フリーライターが書いたのなら、なんとも思わなかったかもしれない。
上手すぎる、なのに、そこに熱を、ソウルを感じない。
こんなに悲しい事は無い。
フリーランスになって、1冊目。鉄板ネタで行きました。っていう感じしか受けない。


アントニオ猪木は全てを語らない。
モハメド・アリは全てを語らない。
誰だってそうだ。


文庫ではアントニオ猪木のインタビューも収録されたようだが、絶対「プロレスはショーだ」なんて言うわけが無いし、そう言質を取ったからといって、どうなるもんでもない。
人の言う事なんかあてにならない、だからこその「調査報道」の取材でしょ。「調査報道」などというなら、もっと冷徹にそれにだけ拘ったら良かったんじゃないだろうか。

このインタビューで↓
https://allabout.co.jp/gm/gc/212938/2/
「プロレスメディアではできないでしょ? 猪木さんにリアルファイトを挑むなんて。
プロレスメディアは猪木さんのファンタジーを守ろうとしている。僕はプロレスメディアではないから守らない。それだけのこと。」

なんていまだに言っているのがもうね・・・。そんなん『徹子の部屋』とか『ここがヘンだよ日本人』でもあったわ。「韓国プロレスにはアントニオ猪木がいない」ってテリー伊藤が言っとるわ。

完本 1976年のアントニオ猪木 (文春文庫)





クーロン黒沢 「デジタル・スーパースター列伝」




『プロレススーパースター列伝』をもじったタイトルってけっこうあるな。

はい、ご存知クーロン黒沢。
コンピュータ、アジア関連の書籍でサブカルっ子にはお馴染み。web連載の記事も多いし、キンドルストアで発売中の電子出版雑誌『SiX SAMANA』も注目を集めている。

シックスサマナ 第26号 ニッポン異国めぐり




改めて最近また読んでいるのはこの記事で興味を持ったから↓
https://nihonzine.com/kowloon-kurosawa-inoue/

隠遁願望のある私には本当に衝撃的でね。惜しくもその後亡くなってしまったけど。


ということでまた読みはじめたんだけど、今回のこの本が凄かった。
『さわやかインターネット ネットの達人』というやたらプレミアの付いている本に繋がるような本(私は『さわやか〜』は未読)らしい。
内容はパソコン、ネットの世界でのアングラなスーパースターたちの話。

とはいえ、ミスターPBXのように『ハッカージャパン』誌などで連載を持っていたような人は他におらず、あとは一般人でありながら自宅で自分の帝国を築いている人達。
さすがに続かないのか、後半は秋葉原などのディープスポット紹介や『性生活報告』誌なんかの話も入っている。

すっごいテキトウにまとめるとデジタルに寄ったゴミ屋敷の住人の言い分...みたいなものでもあったりするんだけど、気持ちがわかるものもあって心惹かれる。

スティーブ・ジョブスの活動が電話のタダ掛け機からはじまったのは有名だけど、同じくそれをきっかけに電話にはまりまくったミスターPBXをはじめ、合法だった時期から地下に潜った現在まで蒐集の手を緩めないペド男爵、広大な敷地に建つ家をアナログシンセ(初期のものは本当に巨大)をはじめデカイものばかり集める
物置にしていまう人物、「ファイル共有→ダウンロード→ディスクに焼く」をひたすら毎日1万6千枚以上続けながらも内容に関してはほぼ把握できていないダウンロード伯爵、逆にほとんど働かずにタダでネットやゲームをし懸賞応募で生きるニート、ブログの有名人とネット上だけで愛を育んだせいでいろんなことに巻き込まれる婚活女...物凄いメンツで驚くばかりなんだけど身に覚えがないではない。

初めての携帯電話の興奮も、エロ本や動画の収集も、デカいアナログ製品への偏愛も、ファイル共有や自分でCDを焼いた時に得たデータ保存の安心感も、無作為に生きるニートの快楽も、SNS以前のブログでの出会いも、全部解る。
というかオタクでサブカルっ子(あー、ロマン優光の本読んでから、こういうこと書くときにイチイチ気になる...)なら収集癖も大体においてくっ付いてくるし、アナログからデジタルに、一気にパソコンやインターネットが一般化した世代には、コレがすでにあった今の若い世代と違った大きな驚きがあった。
サイズはビデオやテープより小さく、容量は大きくなって収集はキリが無くなった。

私は19歳のときに持っているCDが2千枚を超え「じっくり気に入ったのは何度も聴いてたら、全部聴き返すのは死ぬまでかかっても無理だ...」と思ってから、何度かの引越しや金欠もありほとんど売り払ってしまって、今は全く所有欲が無くなってしまったが、そこを突っ走り続けている人の話はなんだかとても心地よい。


しかし驚くのは、こうやって書くとほぼ狂った廃人のようなのに、キチンと職を持って働きながら寝る間を惜しんでこういう行動をやっていたり、相続した遺産をふんだんに使ってやっていたりする事だ。
そして恐ろしい事に最近の様子も↓などで確認できる事だ。ちなみに下はダウンロード伯爵。全く変わっていない。この本から早6年、全く変わっていない。
http://sixsamana.com/2016/01/14/%E4%BC%AF%E7%88%B5ikebukuro-japan-360-legendary-room/

あらゆる意味で私は中途半端だな、と思うが、ここまでは無理だ...。
アウトサイダーアートに近いんだろうな。

デジタル・スーパースター列伝 ([テキスト])

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