2011年11月14日
小林勝行「神戸薔薇尻」
みんなが待ってた、俺も待ってた。小林勝行(ex.神戸薔薇尻)待望の1stアルバム。
なのだが...
難しいなぁ、書くの。正直、うきうきしすぎて発売日前日にフライングゲットするくらい楽しみで、もう「絶対名盤!クラシックになるに決まってる!」と意気込んで、その日の内に感想を書き上げようと思っていたのだが...もう言おう、俺にはイマイチでした。
ただやたらとハードルを上げ過ぎただけで、悪いアルバムではないです。事前情報無しで聴いたら、「あ、おもしろいな、神戸のラッパーなんだ、ライブ見てみたいな」ってなると思う。
ただ、アホほど「絶対いける」や「Here Is Happiness」をリピートして聴いていて、絶対この人がアルバムを出したら凄いことになる、とワクワクしてた私の気持ちは次のアルバムまで持ち越されるようになってしまった。
あまりにも期待と違ってしまい慌てた俺は「しばらく待って、他の人のレビュー見てから書こう」という卑怯な作戦で待っていたが、発売からもう10日以上経ったが、レビューはほぼ見当たらず、変な話2ちゃんねるのスレも伸びず、という、「いくらなんでもここまでhiphop人口少なくないはずだよね?」という事態になっている。
予想するに、みんな困っているんだと思う。
だって絶対、絶対名盤だと思ってたんだもん。
こんなに1stアルバムの発売でワクワクすることは最近無かった。
リアルタイムで天才が現れるかもしれない、同世代に生き、悩み苦悩しながらも成長する天才を見て、後々「全盛期のライブを俺見たぜ」って言えるかもしれない、って、そういうチャンスだと正直思った。期待してた。
みんなずっとループしてるんだと思う、リリックをめちゃめちゃ読んで解読しようとしてると思う。
だけどごめん、俺にはイマイチでした。
いい加減ちょっとずつでも理由書くか。
とりあえず、1曲目の『108 bars』は凄くよかった、名盤の匂いはここではまだある。いいオープニングだ。
いわゆる自分の半生をラップする曲、「あー、ヤンキーのあるあるネタでしょ?」って言ってしまえばそうだが、言葉の選び方がやっぱりおもしろい、迫力もあるし、「普段の口喧嘩の延長でラップするようなのじゃないと〜」みたいな言説の回答としてはアナーキーよりこっちのほうが正しいかも、なんて思いながら聴いていた。
ただ、心配にはなっていた。
「親への感謝」「元彼女への愛情、懺悔」みたいなものが入っていたからだ。
まぁ1曲目だからな、と嫌な予感を振り払ってその先を聴くんだけど・・・。
印象的な曲が無いままアルバムは進み、長くて苦痛だと思い、必死で自分の気に入るラインを探しながら聴くが、アルバムは終わってしまった。
嫌な意味で何度もアルバムを流した、自分の意見を変えないために、角度を変えればさっきまでの自分のふくらんだ期待にこたえるものが得られるかもしれないと思いながら。
が、ギブアップだ。
悪くは無い、悪くは無いが、悪(元悪)を売りにするラッパーの昔の話や、親や彼女への感謝や懺悔、あぁ次は子供だね、それでも夢をあきらめちゃいけないね・・・といったお決まりのトピックはまるで、男の子用のケータイ小説みたいだ。
インタビューを読んでみると、影響を受けた音楽3点が尾崎、長渕、カッツェと、ぴったり私の嫌いなものにハマるので、実は元から合わなかったのかもしれない。
でも、それらが嫌いな俺が好きになってしまうような曲を作ってきたんだよ、この人は。そのはずなんだよ。
願わくは、ここで過去は出し切ったことにして、2ndアルバムで1人のラッパーとしてのスキルのみで勝負したものを聴きたい。
まだ、もっと期待したい。
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(追記)
やはりと言っていいのか、このタイプのアーティストによくあるように病気などもあって活動は順調にはいかなかったが、やはりその才能故に注目はされていて、昨年にはドキュメンタリー映画「寛解の連続」も公開された。
難しいよね、その特殊さ(特別さ)故に注目されるわけだけど、それは当然生活していく上ではデメリットでしかなく、スターみたいに稼げるならそれは「破天荒な私生活」で済まされるけど、そんな稼げる人は一握りだからね。