2014年07月24日
ジョージ川口「ドラム・ソロは終わらない−私の履歴書」
大ボラ吹きってのは迷惑だけどやっぱり面白く、いつの時代も当然のごとくアーティストの中には一定数いるわけなのだが、その中でも有名な大ボラ吹きの一人。ジョージ川口。
大ボラ吹きのミュージシャンで私がすぐ思い浮かべるのは、「指の骨が見えるまで練習した」「アンプの出力が大きすぎて皆吹き飛んで電柱に引っ掛かっていた」でお馴染みの寺内タケシと、このジョージ川口。最近だと菊地成孔かな。
しかしよく考えたら意識して音聴いた事ないんだよな、さすがに時代が離れすぎてて・・・偉人なのはわかるけど。
というわけで、特別CDを買う気はしないが、本なら読んでみようかなと思って買った1冊。
これは日本経済新聞に連載されている「私の履歴書」という読み物をまとめたものなのだが、硬い新聞の中で、政治家とか大企業の社長さんが出るようなコーナーだと思っていたのだが、最近でも山下洋輔が出て「即興ラプソディー」になったのでたまにはミュージシャンも出るようだ。・・・というかこの人も法螺話感あるんですけど、いったいよりによってなぜこの人選なんだろう?
この本は、多少加筆はあるようだが基本的にはそのまま連載をまとめたものらしく、1ヶ月間毎日の連載という事で、1回分が新聞に載る量なので短くまとまっていて、それが30回分なのでサクサク読み進められる。
うん、ハッキリ言おう。スカスカだ。
これは私がよく使う表現なのだが、「余白を切り取ったらそのまま文庫サイズになる」感じ。しかも字が大きめの。
とはいえ、1927年生まれの大先輩なので戦争も経験した上で日本ジャズの礎となった偉人で、破天荒なエピソードには驚かされ、時代を感じ、いやはや凄いモンですなと本を閉じたのだ。
さていい加減ドラムプレイも聴いてみないとな、などと思っておもむろに「ジョージ川口」をググり、とりあえずwikiって感じで開くとそこには思いっきり「ほら吹きジョージ」という項目が。そしてそこにはついさっき感心していたエピソードが思いっきり載っているという・・・。あんた日経新聞でも嘘つくんかいと、あっぱれですなと。
今youtubeで観てみてるけど、いいすね、バディ・リッチみたいで。オールドスタイルだけど派手で。
なんというか、こういう人は「芸術」だけじゃ生まれないと思うんだよなぁ。ジャズにおける「芸術」と「芸能」が不可分な時代だったからこそのスターだと思うんだ。この後で言うと、村上ポンタ秀一とか(この人の自伝も最高でした)。
私は原理主義的なものも「お芸術」したものも好きなんですが、この感じってのも中々に得がたくて好きで。ただこのラインって本当になかなか出てこないから凄く貴重なんだよなぁ。
現代を生きる私にとっては、アメリカのヒットチャートに顔を出してるヒップホップのアーティストとかにそれを感じたりしているわけですが、うーん、ジャズだったんだよなぁ、この時代は。
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