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「ピンクフラミンゴ」




カルトムヴィーといえばこの作品が一番有名かもしれない『ピンクフラミンゴ』。これもずっと持っていたが「持っている」という安心感でずっと何年も観てなかった作品。
カルトとはいえ「物凄く有名なカルト」として広く知られている作品だし、一目見れば忘れられないデヴァインの強烈な印象もあって、なんだか既に観ているような気分でずっと過ごしてしまっていた。
「カルト」というのは後々そういう評価になった、というだけで要は低予算で作られた映画なので1時間半くらいじっと画面を観ているのは中々に辛かったりする。それは『エル・トポ』でも『死霊の盆踊り』でも『俺は園子温だ!!』でも基本的に一緒だ。
そもそも『ピンクフラミンゴ』自体はだいぶ前から知っていたものの、特別興味を持ったのは『ミッドナイト・ムービー』という、ロメロやホドロフスキーやデイヴィット・リンチが当時で言う「ミッドナイト・ムービー」、今となっては「カルト映画」と言われる作品について監督たちのインタビューを当時の時代背景と共にドキュメンタリー映画としたものを観ていて、ジョン・ウォーターズの素晴らしい変態紳士っぷりに惚れ惚れしてしまったのがキッカケだ。私はやはり一番は作者に興味があるのだろう。
このDVDにも監督自ら解説する未公開シーンというのがあるので、少しはその人となりが見て取れるとは思うが、もしこの映画が好きになったのなら是非『ミッドナイト・ムービー』も観てほしい。

まぁそんな感じだったのにずっと後回しにしていたのだが、今回やっと観た。
「悪趣味の帝王」「世界一のお下劣合戦」とはいうが、極端に下品な言葉ばかりを詰め込んだセリフはともかく、登場人物や建物、小道具などには美意識がバリバリに感じられて楽しく観れた。
キチンとニセモノのブロンドのハリウッドグラマーみたいなのがいたりするし、対抗しているお下品夫妻は今観ると普通にカッコいい。というか原宿辺りには普通にいそうな格好だ。それは今の日本がおかしいのだが。ディバインの化粧なんか今やちょっとしたレディ・ガガともいえるし。
陰鬱で抑圧的な美しさの「ソドムの市」なんかに比べると、いい時代のアメリカ感があって、アメリカン・ポップ・カルチャー全盛って感じすらあり、なんだかほのぼのとした気分で観てしまった。
『ソドムの市』はまともな子供の奴隷達と頭のおかしい主人達という対立構造があるから酷さが際立つわけだが、この映画ではたまに驚かされて逃げる人達以外はみんな変なので、これはこれで世界が成り立っている感じなのだ。キチガイのテーマパークであることは間違いないのだが、なんというか、見た目が普通なゴミ屋敷の主人より、キチンとゴミを分別するピアスとタトゥーだらけのパンク少年の方がはるかに良いわけで、格好や行動を極端にデフォルメしてお下劣「風」にしているが、なんというかこの世界は楽しそうだ。
ニワトリを含む3pで途中からニワトリが血まみれなのくらいかな、キツイの。キツイ部分って人によるけどね。それに対しても、「動物保護団体はニワトリの件を怒るが、普段食べてるニワトリだって自然死じゃない。映画に出演して3Pも楽しんだ上に食べてもらえたんだからね」と言いのける監督は素晴らしい。
基本的には安い制作費で作られたミッドナイトムーヴィーなわけだが、ゲイならではといっては失礼かもしれないが、一種独特の美意識が常に感じられる画なおかげで、低予算映画の映像であるにもかかわらず、最後までストレス無く観れた。さすがにストーリー展開とかに期待する人もいないだろうが、まぁそこは気にしてもしょうがない。
使われてる音や音楽のテキトウさ加減が凄く好きだったので久々にサントラ買っちゃうかも。出てんのかな?

しかしやっぱり映画が終わった後に、未公開シーンを紹介するために登場するジョン・ウォーターズが一番いけてるんだよね。カッコいいわぁ。

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DEFTONES「Around The Fur」




デフトーンズの2ndアルバム。ここに来て圧倒的に進化している。
1stの感想で書いたが、「リフメイカーではない」というところに引っかかって私も長い間スルーしてきた。それはつまりラウドロックに何を求めるか?というところだが、このバンドの場合はシューゲイザーの一種として聴けばとてもいい。ブラックメタルでありながら限りなくシューゲに近づいたAlcestなどにも近いだろう。少し前に「ニューゲイザー」なんてのも流行ったが、ただのシューゲイザーフォロワーが新しい機材を買った、という以上の価値を出せずに大きなムーブメントにならなかった。それに比べて、むしろこれらのバンドの方が私は正統な進化だと思う。
そうなればそうなるほど日本では受け入れられにくいとは思うが、いいスピーカーで、ある程度長い曲でもゆっくり寝そべるかなんかで聴ける時間と環境さえあれば良さがわかるはずだ。

「リフメイカーではない」と書いたが、この頃のリフはいい。というより、低音ゴリゴリのリフにコードも合わせ始めたからだろうか。メタル的なリフを止めて、ポストハードコアっぽさも伺えるようなリフになっているし、この頃にはまだ攻撃的な部分も潜んでいてかなりいいバランスだ。
不用意に不協和音を使う場面がまだあり、いわゆるわかりやすいヘヴィ/ラウド系であろうとはしていて、噛み合う時と噛み合わない時があり、そのせいでクオリティの幅はまだあるもののもうこの時点でデフトーンズサウンドはほぼ完成されている。
そして音が格段に良くなってる。前作より更にクリアでデジタルでハイファイ。このバンドはやっぱりハイファイな方が良さが出ると思う。
ゆったりとしてグルーヴィになっている曲が多いし、静と動の落差も増している。
ギターだけでなくドラムの特異性もじょじょに出ている。「around the fur」なんかのドラムのみでのイントロもこの先で散見される特徴だ。イントロのドラムのみで自分たちの世界に持っていけるところがこのバンドの大きな強みである。
ボーカルはラップが減ったものの、威嚇するようなわかりやすいシャウトがまだ多い。後期の特徴である泣きじゃくるようなシャウトを含む多彩なヴォーカル表現も出てきてはいるがまだ発展途上という感じ。
ギターがまだ試行錯誤している感がある。名曲もあるが、あっさり流しているようにも聴こえるところがあり、アレンジがつめ切れていない印象。

2枚目にして、独自のスタイルを作り上げたうえに既に名曲を作り上げている事には驚きだが、通して聴けるかというとまだかな、と思う。まだラウドロックに未練がある感じ。幅があるというか、単純にクオリティに差がありすぎてツライ。どうあがいてもこのバンドはゴリゴリなラウドロックにはなりえないのだろう。ゴリゴリなサウンドにしてもメタル感もハードコア感もないのがその一因かな。というかむしろ何故こんなにヘヴィーな音楽をやっているのか不思議なくらいだ。KORNやFEAR FACTORYなど、明らかにうるさい音楽以外の音楽性も感じられる曲を作るバンドもいるが、その中でもやはり異質だ。
このアルバムも名盤ではないかもしれないが、少なくとも「My Own Summer」「Be Quiet and Drive (Far Away) 」の2曲だけでもおつりが来ると思う1枚だ。

もう何回聴いたことか...何百回、どこにも行けないって絶望しながらすがる様に聴いたことか。
「車で連れてってくれよ ただ遠くへ どこでもいいから」

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DEFTONES 「Adrenaline」





何故か最新作のタイトルが日本語だったデフトーンズの1stアルバム。
つい数年前まで全然聴いていなかったのだが、好きになってからはずっぽりハマッたバンドだ。何故か日本では不当なほど評価が低い、というかまぁ言ってしまえば、欧米と違ってアッチは日本ではかなり厳しいもんね。サイケデリックとかも解りにくいよ、そりゃ、といった所なのだが。
KORNに「同じ様なクラブで演奏していた同士」みたいな言い方をされ、セカンドではゲスト参加もしているし、いわゆるラウドロック/ヌーメタルと言われるムーブメントの中心的なバンドの1つで、当然海外では大ヒットなのだがが、他のバンドと比べてあまりに知名度が低いバンドだ。
まぁ解りにくいっちゃ解りにくいバンドだし、ティーンが暴れる専用ミュージックと化したラウド勢の中では地味だし、ボーカルは小太りだし、ゆったりとウネル様なサウンドなのでしょうがないとは言える。しかしその分一度ハマるととことこんハマッてしまう中毒性がある。
一般的に名作とされる「White Pony」「Deftones」ばかり聴いていたが、今回は1stからじっくり聴いてみた。

この頃はまだ後のスタイルを思わせるところもあるが、基本的にはその頃流行の7弦使いラウドロックといった感じ。ミドルテンポの曲が多く、当然の如く絶叫とラップがセットで使われているのだが伸びやかでメルティな歌声はこの頃から健在。若さなりのこなれてなさも感じるがやはり魅力的だ。
ただ、まだドラムの独自性も出ておらず、ギターも後のシューゲイザー的なコードとエフェクター方面に向かっておらず、あくまで低い音のパワーコードなリフで押そうとしている。はっきり言ってメタル的なリフメーカーとしては2流だろう。印象に残る、掴まれるようなリフは皆無だ。クリーントーンの使い方や動と静の落差の使い方はやはりデフトーンズと思わされるし、まだこの段階では成功しているとは言いがたいが各種エフェクトで多彩な世界を作ろうとしている所は、早い段階で他の凡百のバンドとは違うゴールを見据えていたということで空恐ろしい感じはする。ラウドロックは、やはりリズムの音楽だと思うのだが、それを捨て去っていくのは並大抵のものじゃない。
最後の「Fist」なんかは完全にその後の姿が少し見えかけている曲だ。一聴して、「この頃はダメだな。ホワイトポニー聴こう」というのも1つのやり方だとは思うが、ここで聴けるまだ育ちきっても統合できてもいない未成熟な断片を感じて、その後聴くのも一興だと思う。
名盤ではけしてないし必聴でもないが、そうするとこのバンドのどこが特異で何が凄いのかという事がよくわかると思う。

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岩井志麻子 「チャイ・コイ」



私にとっては岩井志麻子といえば、高須クリニックの院長なんかと同じく、西原漫画のキャラクターというイメージが強い。
おそらく1番有名であろう「ぼっけえ、きょうてぇ」がホラー小説だという事だったのもあって、小説家として名前は知っていたにもかかわらず、ずっと1作も読んでいなかった。
今回は図書館に行った時にリサイクル本(タダで持って帰っていいやつ)として出されていたのを見かけたので、いい機会だと思って持って帰ってきたのだ。

イメージ通り、というか先に知っていた岩井志麻子のキャラクターとピッタリくる30代後半の女性小説家という主人公の一人称視点、彼氏の怪我のために急に一人旅となったベトナムでの現地ウェイター青年との情事、ということでスンナリ話に入れた。というか、半ばエッセイとして読んでいたような気もする。

『その癖、私は小説家の目でも愛人を見ようとしている。ただやりたいだけなのに、物語を付属させようとしている。』

という一文が出てくるが、そのものというかなんというか、「あまりに主人公と重ねて読んでもなぁ」などと思いつつ「それで面白く読めたならいいか」と開き直って読んだ。
やはり性的な表現になると非凡なものがあるな、と思うが、この作品ではそれ以外の部分はそれほど際立ってはいないように思う。
やたら出てくる比喩表現を使った風景描写や心象描写にはそれほどの価値が感じられない。ただ、それさえも『ただやりたいだけなのに』と時に書くことに通じているのかもしれないと考えてしまう。
本当に、まだ肌を合わせる前から「愛人」と呼ぶ青年以外にはほとんど興味が無く、外国旅行での何事もを彼に繋げてしまう感じなんかはリアル、とも言えるし、嫌いな人はあっさり放り投げてしまうだろう。
ただ、「日本人女性の外国でのアバンチュール(死語)願望」をただ満たす為だけに存在するようなハーレクイン的なモノとは違う所は、やはりこの著者本人ならではといえる表現であろう。
タイトルの「チャイ・コイ」というのはベトナム語で「果実」という意味なので、この本でも使われている通りいくらでもセックスに関連付けていけるし、「アダムとイブ」「生と死」みたいなところにキレイに着地させる事も出来るのだろうが、それすらせず、やはり『ただやりたいだけなのに』に戻っていく所などは、さすが岩井志麻子としか言いようがない。
女性作家でこのテーマだと、私はおそらくイライラするだけなのでまず読まないのだが、この本は素直に良かった。面白く読めた。ただどう考えてもこの著者の最高傑作なんかではないのはわかるし、書いた時にただ本当に似たような事があって舞い上がってたんだろうな、と思わされもするのだが。
もちろん、単に女性向けポルノ小説として読むとしても結構イイ感じだとは思う。というかそういう用途で買う人が多そうだ。
私はあんまりそういう趣味は無いから、他の本の方が面白く読めそうだから次は素直にぼっけえ、きょうてぇ」読もうかな。でも、趣味ではないテイストの本でも面白く読めたのは、さすがだなぁと思うわ。
やっぱりどうしても私は、小説を読んでいても行間から著者を覗き見ようとしてしまうので、岩井志麻子ならなんでも面白く読めてしまいそうだけど。

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MANOWAR「LIVE IN BULGARIA 2007」




持っているCDやDVDがある程度以上に増えると、よく謎のCDRやDVDRが出てくる。大抵が、どっかで買ったデモCDかブート屋で買ったものなのだが、ディスクだけだとよくわからないのでとりあえずパソコンに突っ込むと一応再生はされるがなんてバンドかさっぱり思い出せない。まして、友人からのお勧めCDRや外付けHDDを買う以前にアホほど自分で焼いていたRだと、本当に意味がわからないものがたくさんある。

何度目かの引越しの際に思い切って全部捨てたのだが、まだたまに出てくる。今日見つけたそんな1枚がこれ。↑ジャケはネットで探した。
Rなので再生するまでわからなかったが、どう見てもMANOWARだ。おそらくブート屋でパッケージ無しのワゴン品とかだったんだろう。そういえば西新宿も行かなくなってしまったなぁ。

このDVDはブルガリアでのライブ。何故か前座っぽいバンドも10分づつくらい収録。2バンド収録されているが、Holyhellってたしかライノのいるバンドだよな。
MANOWARのライブは12曲と短め。フェスだったのだろうか?
実はMANOWARをそんなに好きではない私なので、じっくり聴くのも観るのも初めて。もちろん、元メタルキッズなのでよく知ってはいるのだが、このバンドは大好きになるか、大嫌いになるか、それともネタとして消費するかくらいしかないバンドで、「たまに聴くよ〜」って感じでもないのだ。
自分的には「何年かに一度youtubeとかで何曲か観ればいいや」って思ってアルバムも買ったことが無い。
とはいえ、やはり観るたび聴くたびにある意味圧倒されるのは事実で、「好き」か「嫌い」かでいえば断然「好き」だ。
やはりMANOWARはライブだ。このDVDでもよくわかるが、呆れるほど「メタル」だ。
冷静に観るとヴォーカル以外はそんなに上手くないし、いわゆるバンドでのグルーヴみたいなモノもそんなに感じないのだが、「メタル」として観ると120点だ。
なんせ「Other bands play, Manowar kills(ほかのバンドは演るがマノウォーは殺る)」なのだ。
なぜか普通セキュリティが立ってるはずのステージ前の空間にグルーピー的なおねえちゃんがいて踊ってたり、1曲目が終わってすぐクソ長いギターソロがはじまったり、フォーメーションを組んでポーズしたり、どこをとってもコミカルでさえあるくらい「メタル」なのだが、このDVDでは特別派手な演出も無く、淡々と演奏が進んでいく。
しかしジョーイ・ディマイオはレミーばりに歪ませてるんだな、ギターソロの間もバッキングが聴こえてくるので、「ギターもう1人いたっけ?」と思ったらベースなんだもん。あの細いネックといい、なぜベース弾いてるんだろうこの人は?いや、カッコいいけど。
エリック・アダムスは安定しているし凄く上手い。「メタル」のヴォーカリストとしては、確実にトップクラスだろう。
ギターは、まぁ今となっては悪い意味で「メタル」に見えてしまうかな、安定はしているがあまり考えずに速弾きしてしまっているように思う。テクニック的にも今やそう上手い方でもない。
ドラムは特に際立った所は無いかな、けっして上手くは無い。
全体として上手いバンドではないんだけど、なんとなく許せてしまうのはキャラクターゆえだろう。
アナクロなバンドだと思っていたが、ギターの音などはかなり現代的で驚いた。サウンドの作りは昔風にしているが、機材は確実に最新鋭ではないだろうか。ギネスに載るほどデカイ音で知られるバンドだけに、そこは抜かりないのかな。俺はマーシャルがアホみたいに積んである方が、ステージとしても音的にも好きなのだけど。

追記
なんとなく、AIRSとかまだあんのかな?と思って検索したら、4年以上前に閉店してるのね。まぁyoutube登場以降は時間の問題だったとは思うけど、そうかぁ...。多分他でも書いたけど、私くらいがお小遣い握りしめて西新宿に行ってた最後の世代なんだろうなぁ。「ジミー・ペイジがサイン1つでごっそり持っていった」とかBURRN!で読んで笑ったなぁ。

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うーん、まぁなんだかんだ言いつつ結構楽しめたかな。
これでまた何年か観ないだろうけど、やっぱ貴重だなこのバンドは。ずっと続けて欲しいもんだ。


佐々木則夫 「なでしこ力」





サッカーは昔から好きだが、女子サッカーには詳しくない。「なでしこジャパン、ワールドカップ優勝、そして世界一おめでとう!」なんて当時はそれなりに思ったわけですが、ダイジェストをyoutubeで観たくらいのもんで1試合もフルで観てないし、2、3選手しか名前もわからない。国内も海外も、プロリーグが出来たり無くなったりで大変だなぁ、と思ったりするがまぁ興味としてはそんなもん。ただ世界一というのはどう考えても凄い事だし、サッカー関連の本ならとりあえず手に取って見たくなる性分なのでためしに購入。

うーん、どうなのかなぁ、これ・・・。
監督本人が書いている本なので、まぁ選手の事をライターなりなんなりがドラマチックに描く感じとは大きく異なっていて当然なのだが、どうも薄い、というかサラッとしすぎというか・・・。
特別ドラマチックでもなく、プライベートや内情が伺えるわけでも無く、サッカーの事を特別詳しく書くわけでもなく、自身の哲学やマネジメントについてじっくり語るわけでもなく・・・なのだ。
ちょこっと、ほんのちょこっと選手やチームや自身について語った後、淡々と新聞やニュースみたいな試合の経過が書かれるというのの繰り返しで、なんだか面白みに欠けるとしか言いようがない。おそらく本人がキチンと書いている文自体も特別どうという事も無い、普通だ。
あえていえば、「女性選手を率いる男性監督として」みたいな事が書かれているのが特徴といえばそうだが、正直たいしたことが書いてあるわけではない。「身だしなみに気をつけよう」とかそのレベルだ。というかそれなら表紙の写真のまばらなアゴヒゲはオッケーなのだろうか?
「さぁ、一緒に世界一になろう!」という言葉を掲げてワールドカップに参加し、言葉通り世界一になったのは素晴らしいし、それだけでもう本は売れるし、ということで内容は関係ないのだろう。アマゾンのレビューでも絶賛ばかりだ。
「身だしなみのしっかりした」「いい人で」「みんなで仲良く頑張ろう」くらいのことしか書いていないのに、「必読の組織マネジメント論」とか裏に書かれているのはどうかと思うが、まぁ筆者が結果を出した、ということで凡百の自己啓発本よりはちょっとだけマシかなぁ。

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KEI 「チカーノになった日本人」





出た当初から気になっていたが、「いつか古本屋で見たらでいいや」と思って忘れていたのが、古本屋で見つけて思い出して購入。
本を読まないまま、インタビューを読んだりyoutubeで動画を見ているうちになんとなく読んだ気になっていたのだったが、さんざん情報を仕入れた後の今更ながら読んでも面白かった。
一言で言ってしまうと「頭のいい不良の話」という事になるのだが、いわゆる日本のアウトローの回顧録と違うのが、舞台がアメリカの刑務所だという事、しかもそれが最初の一時期以外は最高ランクの重い刑に服している囚人たちの集められる刑務所だという事だ。
「海外の刑務所は日本より自由だ」「日本なんてつい最近まで明治時代に作られた監獄法を使ってたんだ」なんて言われるわけだが、自由な分危ないわけで、よく映画や小説で描かれるように人種やグループに別れ、抗争をし、刑務所内でさえ頻繁に殺し合いがあるわけなのだ。
そんな中で唯一の日本人として10年という長い期間を過ごし、「生還」したというだけではなく、チカーノと仲間になり、コネクションを作り、出所後にビジネスに繋げるというのは本当に凄い。
そんな、「頭のいい不良」っぷりをこの本でも遺憾なく発揮していて、読み易いながらなかなかに「読ませる」文章だ。
物凄い経験をしたという人は数あれど、キチンとそれを自分で文章に出来る人はなかなかおらず、チカーノとの交流を通じて更正した部分と、元々の著者のキャラクターなのか淡々とした語り口もあって、衝撃的でありながらエンターテイメント性もあって最後まで楽しく読めた。

とはいえ、アウトロー作家というのはなかなか次の作品が続かないというのがあるので、どうかなぁと思っていたのだが、関連書籍っぽい本と本人の過去についてのDVD、チカーノ系の音楽やDVDや写真集という2本立てで、しばらくは安泰だったようだ。最近の情報がないのが気になる所だがどうなんだろう?

本の帯(というか印刷だが)が根本敬なのに今更ビックリしたのだが、このシリーズの総合監修が根本敬だったと本の最後でわかった。あまりこういう系に関わっているのを見たことがなかったので不思議だったが、次にでるシリーズ2冊目がエメラルド・カウボーイこと早田英志だということで納得。

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津田直士「すべての始まり -エックスという青春-」




ヴィジュアル系には興味が無いのだが、やはりX-JAPAN、ひいてはYOSHIKIについては興味は尽きない。表舞台に出てこず「エックス解散と共に消えた」と言われた時期もあったが、現在では日本の音楽界で1番の成功者といっても過言では無いほどだし、システムそのものを作ってしまったパイオニアだからだ。
ヴィジュアル系に関しては私見を述べると、資金力とクラシックの素養のあるメンバーの有無、というのが重大なポイントだと思っているのだが、YOSHIKIに関してはビジネスセンスから何から底知れなくて興味深いのだ。

なので、エックスと名の付く本は結構チェックするのだが、この本もそんな本のひとつ、いわゆるひとつの「俺が育てた」的な本。だが多くの本とは違い、実際にバンド側から「津田さんがいるからソニーに決めた」と言われるほどで、インディーズ後期〜東京ドームでのライブまで深く関わっていたので、育てたまでいかなくても「共に闘ってきた」というのも過言ではないのだろう。
表紙に写る「X(エックス) PRODUCE PLAN」と書かれたレポート用紙のような紙でも解るが、ソニーの人間としてバンドの対外的なことを全て引き受け、同時にメンバーとプライベートでも深く付き合い、音楽的なサポートまでしていた人物の、まぁ要は思い出話だ。
なんで2009年の今ごろ出版?というと、まぁ再結成特需にあやかろうとしたんだろうなぁ、という感じしかない。
エックスが大スターになる前からの付き合いという事で色んなエピソードを書いているのだが、ファンであればある程度知られている話ばかりだし、「エックスへの愛」といえば聞こえがいいが、ウザいポエムめいた語り口が気持ち悪い部分も多々あり、「・・・」と行間空けのオンパレードで文字数も少なく、薄っぺらい印象がある。また、自分でも書いているがエックスのプロデューサーでありながらロックには疎いらしく、2009年に書いてるのにいまだに「YOSHIKIのツーバスの速さはおそらく世界一」「通常の人間ではほぼ不可能なドラム」などと寝言をのたまっているあたりにはウンザリ。当時の内部資料やなどが目当てだったので載っているのは嬉しいが、本当にちょこっとだけだったのも不満だった。
新しい発見はほんの少しの内部資料と、メジャーデビュー後の全国ツアーの前にYOSHIKIが「これからのエックスの為に一般人に絡まれても手は出さない」という宣言から、その後のTAIJI脱退までの流れが少し想像できる、という事くらいでしょうか。

ソニー側の人間からみたエックス、というのを期待して読んだら、拍子抜けでした。ファンにとってはそう悪い本でもないとは思いますが。
先に「YOSHIKI/佳樹」という決定的な本を読んでしまっていたからでもあるけどね。

追記
『WE ARE X』にも出てましたね。インタビュー↓
https://mora.jp/topics/interview/we-are-x/

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CARCASS 「Wake Up and Smell the... CARCASS」





CARCASS唯一の映像作品であるビデオがDVD化されたもの。
しかし考えてみると、とても変でとても凄いバンドだ。
まず初期に後にゴアグラインドと言われるようなサウンドの始祖となり、「Heartwork」でメロディックデスメタルというジャンルをメジャーにする超名盤を作り、メンバーですら認める迷作である最終作である「Swansong」でさえ、ハードロック+デスボイスという、後にファニーなグラインドコア(グラインドロックともいわれる)バンドがよくやるスタイルの先駆けになってしまっているのだ。
そのバンドヒストリーは一貫して、「早過ぎて時代が追いついてなかった」という評価と「とことんシリアスなのに、何故か醸し出されるファニーさ」に彩られている。これも特殊だ。
クラストコア流れのポリティカルな意識も強く「ハートワーク」録音時には全員ヴェジタリアンだったこともあるバンドで、グロジャケ死体ジャケの第一人者でもあり、初期は歌詞に医学用語を多用していた事もあるのだが、それが過剰すぎるが故にギャグ的にとらえられたり、単にキワモノとしての扱いを受けたりで、正当に評価されたのは結構経ってからだったりする。
名作「ハートワーク」でさえ、「日和った、セルアウトした」と叩かれていたりしたのだ、そりゃ初期からみりゃそうだが、いまだに言う人いるもんなぁ。

さてこのDVDだが、ビデオをまんまDVDに移しただけっぽいのでビデオを持ってるなら、買い換える理由は「便利だから」位の意味しか無いが、便利な事は確か。
まずPVだが、「ハートワーク」期の2本以外は露骨に低予算の酷いもので、後に観るライブがけっこうマンマ入ってたりするし、「スワンソング」期はもうバンドが解散状態だったためにしょうがなく素材(ホームビデオも含まれる)を継ぎはぎしただけの粗末なモノだ。
しかし、「ハートワーク」期のPVはやはり何度見てもカッコいいし、他のビデオもただメンバーが映ってるだけで結構観れてしまうので、立ち姿が様になるバンドだなぁ、と再認識。
次に92年の「Gods of Grind Tour」でのライブ映像。マイケル・アモットも含めたラインナップでのライブだ。カメラワークは単調だが画質はいい、音は最初バランスがひどいがじょじょに良くなる、ただずっとマイケルの音は小さい。とはいえ、この時代のアンダーグラウンドなバンドにまともな映像が残ってるだけでも御の字だろう。超ロングヘアで顔すらまともに見えない、まだやぼったい格好のプレイもまだ荒い若きアモットと、不思議な格好とギリギリ感溢れるドラムのケン、ボーカルを取る機会が減ってギターに集中するビル、中でも特に長いドレッドを振り回してベースを弾き、髪をかき分けながら唄うビル・スティアは惚れ惚れするほどカッコいい。本当にステージに立つ姿が様になるバンドだ。演奏は荒いが勢いがあるし、ケンも思ったほど悪くない。
最後は89年の「GRINDCRUSHER TOUR」の時の映像。Morbid Angel、Napalm Death、BOLT THROWERとの共演という今ではメチャ貴重なオールスターバンド達のでのツアーの映像さえろくに残すお金が与えられなかった時代なのだなぁ、と思ってしまう映像のクオリティ。とはいえそこそこ観れるくらいではある。まぁ同ツアーでMorbid Angel、Napalm Deathが残している映像の方がかなり良い映像なのは確かだし、あんまり盛り上がってないし、バックドロップがケンの真上という変な所にあることから、前座感が出てしまっているが・・・。
プレイはかなり荒いがトリオ時代の貴重な映像なのだが、トリオ時代はみんな忙しそうだ。ビルも頻繁にボーカルを取るし、ギターソロもずっと1人で弾くし、なにより初期は突っ走っている曲ばっかだし、ジェフも2本のマイクを使い分けているなど試行錯誤が見れて面白い。ケンはいつも通り頑張っている、が、この時期はマジで下手だ。でもカッコいいんだよな、やっぱり。
ジェフがピッチシフターかかってる方のマイクで「サンキュー」と言う所はちょっと笑ってしまったけど。
しかしよくこんな事この時代にやってたなぁ。時代的に観れなかったものの1つだが、観たかったなぁ・・・・と心から思う。

いやー、難しい本を続けて読んだ後だったからか、なんか観たくなって久々に見直したけどいいわぁ〜、カッコいいわ〜。「スワンソング」以外は全部好きだし、理想のバンドの1つっていっていいくらいファンな私の感想ですがね、カーカスファンはマストバイですよ。
再結成したけどさ、俺は下手でも頑張ってる、そしてちょっとテンパッてるケン・オーウェンが観たかったんだよ!



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東浩紀 「動物化するポストモダン」





何度も書くが、私は「オタク論」を考えるのが好きだ。それは「どうも自分はオタクらしい」と自己認識があったのに周りからも違うと言われるし、言われてみると確かにいわゆるコミケに行く人達とはどうも違うみたいだ、と思いはじめたからだ。それからは色んな本を読んで、時には岡田斗司夫のトークライブまで行った。自分なりになんとなく結論は出たが、色んな事情でどんどん自分にオタクっぽい所が無くなってきたことと、いわゆるオタク論客の人々が皆変な方向に行くのを見て最近はあまり意識しなくなった。
わざわざ「オタク論」を語るのはそもそもが自身がオタクだからなわけで、自身への言い訳でも安易なオタク向け商売でもなく、「オタクきもーい」というだけのアホなコメンテーター的感情論でもない、という事で中原昌也/高橋ヨシキ/海猫沢めろん/更科修一郎による外部からの意見である「嫌オタク流」は正確さ原の暴言を欠いている、中などから攻撃を受けて「俺らを全然わかってねぇ!」と言われているこの本だが、私はかなり支持している。「俺らを全然わかってねぇ!」からこそ見えることもあるからだ。
ひろゆきの「アニオタは声がでかいだけでおもしろくない、だからニュー速のアニメスレは解禁しない」というのと同様、身も蓋もない外部(ひろゆきはなんに対しても外部でいようとするし)の意見という意味でやはり貴重だし、はっきりしている。「わかってる」奴は身内トークしかしないし、いまだに岡田が「オタクの地位向上を!」というスローガンの下に確信的についたウソを信じてしまっているように思う。

そして、この本はやっぱり特殊だ。東浩紀という新進気鋭の若手思想家/批評家/哲学者が、本人がアニオタであるという事で書いた本だからだ。よくある、知識人がしれっと「こういう最近のものも知ってるぜ」みたいな感じでアニメや漫画を引用するのではなく、根っこがうる星やつらの再放送を訴える集会に出るほどのアニオタが、偶然メチャメチャに頭が良かった、という奇跡の元でできた本なのだ。
実はこの本は「オタク論」としての本ではない、しかしどう考えても「オタク論」を語る際に外せない本だ。今まで読んでいなかったのは昔、出版から10年ほど経った古本として買ったQJに東浩紀が竹熊健太郎とエヴァを語ってたのを読んでいたのが十数年前の中学生時代で、ある程度余裕が出てきたときには、東にちょうど表立った活動があまり無くなった時期で、その後に久々に顔を見たら、太った怪しい感じになっていて、ちょっと引いてしまっていたのだ。
今回久々に思い出して買って読んでみたが、とても読み易く、解り易く書かれた良い本でした。
「ポストモダンという視点からオタク系文化の現状を分析する、あるいはその逆に、オタク系文化の分析を通してポストモダンの本質を探る」という目的で書かれたと書かれているのだが、非常に良い。
正直、80〜90年代に青春を送っていない自分にとって、ポストモダン的な言説は全部胡散臭く感じていたのだ。おそらく、「中身の無さを誤魔化すためにそれっぽい単語を連発していながら言ってる自分もよくわかっていない」様な人がたくさんいたからだろう。後、よく読んでた宮台真司がいなくなった後にそのポジションに次の人が入ってこなかった事かな。女子高生持ち上げても何にもならなかったしね。
この本で特に繰り返される「データベース消費」「動物化」というのは、まぁ当たり前というか身も蓋も無く言ってしまっただけともいえる。「男は皆おっぱい星人だ」みたいなこととほとんど変わらないからね。「お前いっつも地味でメガネの図書館司書みたいな女と付きあってんな」とか。もっといえば、「年上好きっていうより飯食わせてくれるからっしょ?」とか「要は共依存じゃん、下らない」みたいなこと。それに対して「いや、愛してるんだ!俺と彼女の事に口を出すな!」と言い出す感じも同じ、そもそものはじまりが「〜は最高だ、こんな風にこんな風に」というノロケなのもだ。
先ほどの例にも同じだが痛いところを突かれると当然嫌だし、「愛」だの「プライベート」だのと言われてしまえばそこまでなのだが、だけどまぁ当たってるわけで。熟年離婚とかが話題になった時に「したかったけど今までは経済的に出来なかっただけですよ」という、至極当たり前な結論になったのと同じだ。「愛」という大きな物語、「お見合い」「恋愛半径は自分の周期五メートル」的な妥協の「小さな物語」、から「金」「おっぱい」「デカ目メイク」「今風の服、化粧」「雰囲気イケメン」というデータベース、「ホスト」「風俗」「メイド喫茶」という動物化へ。というのは論理の飛躍が過ぎるだろうか。
まぁだから当然、当事者たちには嫌われるし否定されるわな、と思う。オタクというか被差別的なジャンルは往々にして閉鎖的だし。「外部」「他者」の不在、なんて日本を否定する時に散々言われてた事と同じだ。

というわけで至極当たり前なことを、キチンと筋道立てて書いている普通にいい本です。本人がいまだに現役アニオタというのもいいのだろう。なにより、ポストモダンの事を勉強するいいきっかけになったわ。ここまで解り易く書けるってことは本当に頭がいいんだろうなぁ、感心するわ。

最近やった、ゲンロンカフェ作った事とか岡田斗司夫との対談とか観ると、なんか基本真面目な良い人っぽいんだよね、本当に頭のいいオタクの兄ちゃんって感じで。憎めない感じで好きなんだけど、宮台真司みたいにバリバリに表に出てくることって無いのかなぁ。打たれ弱そうな感じはあるけど。

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

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