2013年03月31日
「ピンクフラミンゴ」
カルトムヴィーといえばこの作品が一番有名かもしれない『ピンクフラミンゴ』。これもずっと持っていたが「持っている」という安心感でずっと何年も観てなかった作品。
カルトとはいえ「物凄く有名なカルト」として広く知られている作品だし、一目見れば忘れられないデヴァインの強烈な印象もあって、なんだか既に観ているような気分でずっと過ごしてしまっていた。
「カルト」というのは後々そういう評価になった、というだけで要は低予算で作られた映画なので1時間半くらいじっと画面を観ているのは中々に辛かったりする。それは『エル・トポ』でも『死霊の盆踊り』でも『俺は園子温だ!!』でも基本的に一緒だ。
そもそも『ピンクフラミンゴ』自体はだいぶ前から知っていたものの、特別興味を持ったのは『ミッドナイト・ムービー』という、ロメロやホドロフスキーやデイヴィット・リンチが当時で言う「ミッドナイト・ムービー」、今となっては「カルト映画」と言われる作品について監督たちのインタビューを当時の時代背景と共にドキュメンタリー映画としたものを観ていて、ジョン・ウォーターズの素晴らしい変態紳士っぷりに惚れ惚れしてしまったのがキッカケだ。私はやはり一番は作者に興味があるのだろう。
このDVDにも監督自ら解説する未公開シーンというのがあるので、少しはその人となりが見て取れるとは思うが、もしこの映画が好きになったのなら是非『ミッドナイト・ムービー』も観てほしい。
まぁそんな感じだったのにずっと後回しにしていたのだが、今回やっと観た。
「悪趣味の帝王」「世界一のお下劣合戦」とはいうが、極端に下品な言葉ばかりを詰め込んだセリフはともかく、登場人物や建物、小道具などには美意識がバリバリに感じられて楽しく観れた。
キチンとニセモノのブロンドのハリウッドグラマーみたいなのがいたりするし、対抗しているお下品夫妻は今観ると普通にカッコいい。というか原宿辺りには普通にいそうな格好だ。それは今の日本がおかしいのだが。ディバインの化粧なんか今やちょっとしたレディ・ガガともいえるし。
陰鬱で抑圧的な美しさの「ソドムの市」なんかに比べると、いい時代のアメリカ感があって、アメリカン・ポップ・カルチャー全盛って感じすらあり、なんだかほのぼのとした気分で観てしまった。
『ソドムの市』はまともな子供の奴隷達と頭のおかしい主人達という対立構造があるから酷さが際立つわけだが、この映画ではたまに驚かされて逃げる人達以外はみんな変なので、これはこれで世界が成り立っている感じなのだ。キチガイのテーマパークであることは間違いないのだが、なんというか、見た目が普通なゴミ屋敷の主人より、キチンとゴミを分別するピアスとタトゥーだらけのパンク少年の方がはるかに良いわけで、格好や行動を極端にデフォルメしてお下劣「風」にしているが、なんというかこの世界は楽しそうだ。
ニワトリを含む3pで途中からニワトリが血まみれなのくらいかな、キツイの。キツイ部分って人によるけどね。それに対しても、「動物保護団体はニワトリの件を怒るが、普段食べてるニワトリだって自然死じゃない。映画に出演して3Pも楽しんだ上に食べてもらえたんだからね」と言いのける監督は素晴らしい。
基本的には安い制作費で作られたミッドナイトムーヴィーなわけだが、ゲイならではといっては失礼かもしれないが、一種独特の美意識が常に感じられる画なおかげで、低予算映画の映像であるにもかかわらず、最後までストレス無く観れた。さすがにストーリー展開とかに期待する人もいないだろうが、まぁそこは気にしてもしょうがない。
使われてる音や音楽のテキトウさ加減が凄く好きだったので久々にサントラ買っちゃうかも。出てんのかな?
しかしやっぱり映画が終わった後に、未公開シーンを紹介するために登場するジョン・ウォーターズが一番いけてるんだよね。カッコいいわぁ。
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