KOHHの「セカンドアルバム」。
何故カッコで囲んだかというと、発売されたアルバムとしては初なのだが、実は既にファーストアルバムを作り終えていて、その発売前に出すEPとして企画されたものが膨らんだのでアルバムとして先に出した、という形らしいからだ。
まぁ詳しくはインタビューを↓
http://musicshelf.jp/pickup/id10725/http://amebreak.ameba.jp/interview/2014/08/005016.htmlというわけで、複雑ではあるのだがKOHHの2ndアルバム。
最初に知ったのはご多分に漏れず、当時小学生の弟がラップし、PVまで作られたLIL KOHHの「YOUNG FOREVER」がきっかけ。そこから「MY LAST HEART BREAK」で、おっ、と。これはチェックしとかないとな、って感じになった。若干22歳という年齢ながら貫禄のある落ち着いたフロウと、今までに聴いた事のないくらいストレートに猥褻な歌詞で、明らかに日本語ラップ界にニューキャラクターが誕生した瞬間だったと思う。
しかしながら、その時点ではどちらかというとトラックの方が興味深かったのも事実。絶対にオフィシャルでは発売できないであろう宇多田ヒカル使いのトラックなのだが、あの特徴的なブレスをよく捉えているサンプリングで素晴らしかったし、いわゆる「大ネタ使い」っていうのを初めて日本語ラップでリアルに感じた瞬間でかなり興奮したのだ。
これが広く聴かれれば、日本人が一発でサンプリングってモノを理解するのに!と悔しくなるような出来で、キャラクターは面白いと思ったものの、まだ「今後面白くなりそうだからチェックしとこう」くらいの感じ。
「YELLOW T△PE」は買ったものの、その評価はあまり変わらずだったのだが、実は今のところ1番好きな曲というのがこの時に出てきている。「Far Away」だ。
これがまためんどくさいのだが、たしか私はZAKAIで買ったのだが、特典CD-Rに入ってるなんですな。というかこの特典のCD-Rに入った2曲が1番気に入ってしまってこっちをずっとリピートしてたんですな。
どうも他でも、少なくとも「Far Away」は特典として聴けるっぽいのだが、またしても「いやいや、こっちだよー!!絶対こっち推したほうがいいよー!!なんで特典のみなんだよー!!」なんてもどかしく思ってたのです。
そして「JUNJI TAKADA」でブレイク。「iPhone 5」「HELLO KITTY」とかどの順番か忘れましたが、とにかくこの後しばらくの方向性が明確に見えた時期。「FAMILY」「Far Away」などが好きだった自分にはちょっと寂しく。「YELLOW T△PE 2」は大ヒット。
いや、好きよ、ここら辺も勿論。「JUNJI TAKADA」はまたしても日本では初めて特定の人物を曲にしたと思うしね。企画モノっぽくもなくやったのは初めてじゃないかな?「like a(まるで)〜」みたいな言い回しはあっても1曲ってのはね。いや超面白いよ?超聴いてた。でもさ、俺はさぁ・・・っていう。
そこからフィーチャリングに引っ張りだこになってるのは凄かったし、どこでもちゃんと傷跡を残していく様は見ていて痛快だった。concrete green、Zeebra、ANARCHY、AKLO、T.O.P.、DJ KEN WATANABE、DJ SOULJAH他、全部良かった。でも、ある種キャラクターを決められ過ぎてる気がしてたのも事実。
元々、シリアスな部分をもっと聴きたいと思ってたからなんだけど、こういう感じで受け入れられちゃったらしばらく無理かなぁ、とか思ってました。
で、このアルバム。
はいきた。シリアス路線。待ってました!
アルバム出るんだー、でもどうせ・・・と思いながらPVを観たのですが、まず「Fuck Swag」ってタイトルで、ビックリ。いや、散々SWAGSWAG言ってる人達の客演してたやん、と思って聴いたら、こうきたか、と。でもまだわからん、と思いながらインタビュー読んで、「貧乏なんて気にしない」のPV観て、・・・もう特典CD-Rの未発表曲も気になるけど、我慢できなくて近所のタワレコ走ったね。
いやー、買ってから結構な回数聴いてるけど、いいわ。求めてたものがこうドンと出てきて嬉しい限り。Kダブに影響を受けてるってインタビューで言っているけど、俺も大好きなKdubの「理由」に近いものを感じるわ、確かに。
チャラいイメージでなければ、生い立ちみたいな所を言われる事も多いし、VICEでの特集もそんな感じだったけど、ANARCHYの「成り上がってやる」って言うのとも違う、例えば
「貧乏なんて気にしない」の
”働いて稼いだ金を自由に使って買いたいものを買ったら誰かにあげたい 貰ったらお返しをするズルい損得はいらない”
「やるだけ」の
”やりたいことやるだけなんて無理なんだよ そう思ってたらそうなるし無理なんだよ あんたも あんたも 一緒に頑張ろう ”
「 I’m Dreamin’」
”やっぱり地位名誉金欲しいよ キレイごとは嫌いじゃないからしてる(不明。いい子、かな?) もし俺が金持ちになっても誰かは貧乏 自分ひとりだけじゃなくて いろんな人達 幸せになるのが理想”
など、歌詞カードが付いてないから聴き取りだけど、そんな所に滲み出る人の良さ。というか、まぁ青さとも言えるんだけど、惹かれるんだよなぁ。
難しい表現は一切ないし、直接的なんだけど、これを「中二病」とかいう奴はZEEBRAに怒られればいい。宇多丸でいえば”要は超エラそうなほどいいんだろ?”って話だ。
厳しい事をいえば、やっぱりまだ曲のクオリティにバラつきがある気もするが、初期の般若と同じく「適当適当」と言いながら、毎日1曲は録るような勤勉っぷりなので、まだ習作として考えてもおかしくないんじゃないかな?
それにしてはクオリティが高いんで、このアルバムも凄く好きなんですけどね。
こんだけ客演して、アルバムまで出てるのに、まだ次を期待してしまうラッパーって本当に久しぶりなんだよなぁ。凄いわ。
般若、ANARCHYのニューアルバムでの客演は未聴なんだけど、どうもシリアス路線っぽいんだよな。うーん、聴きてぇ・・・金無いから来月かな。