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「黄金のメロディ マッスル・ショールズ」



レンタル屋にある音楽やドキュメンタリーのDVDってグッと減った気がする。元々多くはなかったんだけどね。入れ替わりも激しいから、観たかったら早め早めで観ないとって思っている。

『バックコーラスの歌姫たち』と同時期に入荷していて、どっちも観ないとな、と思っていた1枚。先に『コーラスの歌姫たち』を観ていたのだけど、かなり近いテイストというか、こっちはスタジオ/プロデューサー/リズムセクション(専属のスタジオミュージシャン)という、同様に裏方(こっちのがよりハッキリと裏方だけど)の話だ。
同時代の話なので思い出を語るメンツも似ている。目玉としてミックやキースが出てくる感じも。

こちらはマッスル・ショールズという南部の田舎町に作られたスタジオの話だ。
そこを作ったのは一人の男で、その男リック・ホールはプロデューサーとしても優秀で、田舎町から全米ナンバー1ヒットを何曲も作った。

みたいな。

予告編みたいな話を書いてもしょうがないので、印象に残った話を書くと、そこのリズムセクションという専属のスタジオミュージシャンたちが、2代目まで全員白人なんだよね。
アレサ・フランクリンの一連のヒット曲とか、バックが白人だとは全く思わなかったんでビックリした。それは皆そうだったらしく、「あの黒人のバックバンド使いたいんだけど」と言われる事も多かったみたい。
あんな「ファンキーだぜ!ブラックミュージックぱねぇ!」みたいに言ってて、ブラックネス云々言ってた(いや、言ってないけどさ)のにマジかっていう。
「黒人特有のリズム感が〜」とかってほとんど信仰に近いよな、やっぱ。
それも、人口8000人の小さな町で、そんなに競争があったとも思えないんだけど、まぁノビノビと存分に練習できたんですかねぇ・・・なんかそう考えると、ホント場所とか関係ないんだよな・・・。

しかも映画後半で語られて、もっと驚くのは、アメリカ南部のアラバマ州にあるマッスル・ショールズでは、60年代までバリバリに人種差別が残ってたってこと。
そんな時代に、いい歌だからって全員白人でやってるスタジオでガンガンブラックミュージックのヒット曲を生み出すわけです。
普通に皆で曲作って、一緒に曲アレンジして、録音して。それでいて休憩時間に食堂行くと、黒人は差別的な視線にさらされるっていう。そんな時代によくそんなことが出来たなぁ、って。
バンドみんな白人で、黒人の歌やりたいって奴(ドアマンとか)の歌聴いて、「これはいける!」っつってレコード作ったら大ヒットって。もう笑いますよ。
それも、現在でもみんな聴けば知ってるレベルの名曲なんだよね。
本当に、スタジオの中だけが音楽によって治外法権となるっていう、夢物語ですよ本当に。

さらに驚くことに、2代目リズムセクションはリック・ホールの手を離れて他のプロデューサーとスタジオ作るんだよね。しかも人口8000人の小さな町マッスル・ショールズで。
で、2つのスタジオともその後もちゃんとヒット曲を出し続けるっていう・・・。

もう、今書いてて嘘なんじゃねぇかって思うくらいですよ。なんだよそれって。

いやー、今ってさ、パソコンあれば本当にどこでも一緒っちゃ一緒なんですよ。ちょっと前に『デスメタルアフリカ』って本を読みましたけど、ちゃんとしてるバンドは欧米と遜色ないんです。
昔だってそうだ、と強弁すればばそうなんでしょうけど、映画を観て当時の状況を知るにつれ、これは本当に革命的なことだよなぁ、と。

音楽のドキュメンタリー、ということを超えて、公民権運動とか生き様とかにまで思いを巡らせられる、素晴らしい映画でした。
『バックコーラスの歌姫たち』とテイストが近い、って最初に書いたけど、『バックコーラスの歌姫たち』はハッキリと音楽の力を、こちらはそれももちろん踏まえているんだけど、さらに大きい視点で観られるという意味で、全然違う方向でした。
どっちも素晴らしいからみんな観たほうがいいと思う。


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ゲッツ板谷 「超出禁上等!」



一時期、まとめて読んだ西原理恵子やゲッツ板谷の本もご無沙汰だなぁ、と思って久々に手に取った1冊。文庫になってたし。
SPA!で連載していた、簡単に言うと場違いなところに行ってみて、文句言ったりビックリしたり、意外と楽しかったり、
という本なのだが、ゲッツ板谷なので、コラムを読んだ事があるなら分かるとおり、何かしらのきっかけがあればあのゲッツ板谷特有の文体で出てくるものはあるわけで、どの本読んでも一緒といえば一緒なのだが、これは特に週1連載、毎回シンボさん(お馴染みの編集者)からのネタ振りもあり、という事でコンパクトにテンポよく進んでいくので、特に読みやすい。
その分、他のコラム集や、旅行記で読めるような濃さは無いのだが、これはこれで面白いと思う。

何で読まなくなったんだっけ?とか考えると、まぁ時間の流れというか、西原理恵子と一緒にやる仕事も減り、小説が映画化されたりして仕事の幅が広がり、毎回爆笑のネタ元となっていた板谷家が1人減り2人減り3人減り、自分が中心になってきてしまい、コラムでもお馴染みの周りの友達の世話もしようと言う事でHPを立ち上げ、大病を患い、幸運にも復活し・・・という流れの中で、まぁ徐々に興味が薄れたんだわな。
勝手に読んでるだけの消費者の無責任さで言わせてもらえば、「全盛期は過ぎたなー。『情熱チャンジャリータ』読み直
そっと」(これだけはずっと持ってていまだにたまに読む)、という感じ。

で、久々に読んだんだけど、うん、面白いよ。これは病気をするちょっと前くらいの時期の本なんだけど、十二分におもしろい。
ファンの贔屓目なんだろうけどね。うん。
週間連載で、常に締め切りがあるせいで、本っ当にツマンナくて書く事ないんだな。と思わされる回もあるんだけど、
そこを力技でどうにかしてるなー、って。だいぶ疲れてパワーダウンしてる感じも読み取れるけどね。
でもまぁ、週刊誌に載ってたら毎回楽しみに読むんだろうけど、まとめて本になると、こればっかずっと読んでるのは
ちょっとツラかったかな。それは前作の『出禁上等!』でわかってた事だけどね。
正月の長い休みに、ぼんやり風呂で読むにはちょうどよかったな。

最新作って何になるんだろう?久々に買おうかな。

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「ハウス・オブ・カード 野望の階段 SEASON 1」





「『セブン』から20年― 今度は<欲>と<復讐>にまみれた13時間の映画だ」
という文句は物凄く惹かれる。
何度か書いた通り、デヴィット・フィンチャーのファンなので、これは観ないとね。製作総指揮&主演はケヴィン・スペイシーで、アメリカの政治、ホワイトハウス内の話ですよ、これはどう考えても面白いでしょー。

ということで、「13時間って書いてるけど、棚にシーズン2が見えるな・・・」などと思いつつもレンタル。

おー、いかにもデヴィット・フィンチャー、って感じの画だし、話なんだけど、どうもなかなか難しい部分があって、アメリカの政治の話なわけですよ、だからこう共和党とか出てくるわけですな、で、「アメリカも二院制だけど、日本と違って民主党と共和党で・・・どっちが保守寄りの政策なんだっけ?」とか、「そうか総理大臣じゃなくて大統領か。この周りのメンツが内閣的な存在・・・だよな?」とか考えてしまう。
「バックグラウンドとなる歴史や文化がわからなくても、お話自体が面白いから関係ない。普遍的なことは変わらない。」
と言うことは違う文化圏の作品に触れるときには必ず言われる事だが、それも作品によりけりで、このドラマはちょっと
キツイかも。
大統領の座を狙う政治家と出世のためにそれに近づく記者がメインで、ホワイトハウス内の駆け引きとかメディアも含めた表も裏も含めた戦略で、ライバルを失脚させ、自分の評価を上げ、みたいな話なので、なにも知識がないまま観ても、
何をやっているのかがわからないと思うのだ。
そりゃ若くて美しい記者を利用したりされたり愛人にしたり、手に入れられる力が強大な為、いい年の政治家達が本気で
キレたり右往左往する様というのはドラマ的に面白いのだけど、それだけで観ていられるものでもない。
現代的なツイッターやフェイスブック、youtubeなんかまで含めたメディア、世論のあり方や、それによる素早い反応とかの描き方が今っぽいし、それはとても上手く描かれているんだけど、基本はフェイストゥフェイスの会話劇であり、それは政治の話だ。
正直、私もギリギリだな、と思って観ていた。ちゃんと理解出来ているかは自信がないな、と。

だからいわゆる、海外ドラマのパターンの、「1話観たらハマッちゃって、一気に全部借りた」という感じにはならなかった。
「結局デヴィット・フィンチャーのファンだからなぁ、きっと途中から爆発的に面白くなるはずだって思いつつ借りていくか
な」と、観ていった。
そりゃ凡百のドラマなんかとは比べ物にならないですよ?でも、「海外ドラマって面白い!」みたいな感じで観てはいられなかった。
私が今まで観てたのはコメディが多いってのもあるんだけどね。

だから本当に宣伝文句の通り、「13時間の映画」として観た方がいいんだと思う。ドラマだと、どうしてもキャラクターに感情移入して、もっと知りたくなるというか、友達みたいな錯覚を覚えるんだけど、このドラマだと、本当に腹の中が読めないキャラクターばかりで、そんな事とは程遠いから。
そう考えると、映画と海外ドラマって観方が違うんだな。不思議だ。
あ、でも感情移入って感じじゃないけど、側近のダグラス・スタンパーには惹かれたかな。断酒会での話はかなり個人的にきた。この場面を一番観直したい。

13時間あるのに、というか13時間あったせいでという感じで、展開がはやいというより詰め込まれすぎた話がこぼれてしまったようにも感じる。
どんどん話が展開していく上、「え?ここで?」という中途半端なところでシーズン1が終わるのだ。「13時間の映画」だったんじゃないんかい、とツッコミたくなる。

私はこういうブログを書いている事からも解るとおり、考えるのが好きだし、頭を使わされる会話劇は大好物だ。しかもデヴィット・フィンチャーだと知っていたから、最初から全部観る気でいた。
でもそうじゃない人は、1巻をレンタルしたあとが続くかなぁ?と思う。
アマゾンでのDVDの値段が結構な勢いで下がっているのはそういうことの表れなんじゃないかな?なんだかんだ言って、私は面白かったし、何度か観たいので買うから好都合だけど。

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ジェイムズ・ギャビン(著)鈴木玲子(翻訳) 「終わりなき闇 チェット・ベイカーのすべて」




最近、ミュージシャンの伝記ばかり読んでいる。
音楽を聴いて、「これは何だ!?凄い!これを弾きたい!」という欲求だけでなく、「この人はどういう人なんだろう?」という事を知りたい欲求に駆られる。
自分も音楽をやってたりするので、良くも悪くもだなぁ、と思ったりするのだが、まぁだからこそこんなブログを書いていられるんだろうけど。

という事でチェット・ベイカーを書いた本の中でも決定版ともいえる本。分厚い。とにかく凄い情報量だ。
トランぺッターとしてもだが、私の中ではやはり一番強いのは「my funny valentine」なんかの悲しい恋の歌を歌う影のある美青年、という感じのイメージ。
「chet baker sings」はやはり定期的に聴きたくなるし、その時はオールリピートでプレイヤーに入れっぱなしだ。
だが、その物憂げな歌声から連想される通り、まさに『終わりなき闇』に落ちていくように、やつれ果てた酷いジャンキーのまま何十年も過ごし、過去の人扱いされながら金のために無数にアルバムを出し、最後にはアムステルダムのホテルで孤独に不審死するという悲劇的な人生を送ったことでも知られる。

とにかく事細かに、何年の何月何日にこういう事があってというのを積み重ね、当時の発言や周辺人物への取材なんかも丁寧にしているので、読みごたえがある。
物凄い乱高下が続く人生なのだが、やはり特に気になっていたのが、全盛期を過ぎてなお、活動をつづけた後半だったのだが、予想以上だった。
有名なエピソードとして、ドラッグディーラー(犯人が捕まってないので推測だが)に暴行され、トランぺッター/シンガーの命である歯を折られた、というのがある。
人気が無くなって、生活保護を受け、実家に戻り、嫁と子供3人いて、ヘロインにハマって、という状態で歯を折られた、というのを読んで「うわー」なんつって本を置いてコーヒー啜って、ふと本に目をやると、まだ半分もいってなくて、「えー、この状態でまだ人生の半分なのかよ・・・」と思ったりしながら読み進めました。
ジャズの巨人マイルス・デイビスの、一時期はライバルとして扱われ、2年だけだが人気投票で彼を破って世界一のトランペッターとなったチェットがここまで落ちるのだ。
そしてまだまだ人生は終わらないという・・・。
そのマイルスだったり、まぁよくある破天荒なロックスターエピソードでありがちなのが、何年もジャンキーとして生死の狭間で漂ったが、素晴らしいアルバムを出して華々しく復活して、というのがあるのだが、それはチェット・ベイカーの人生にはなかった。
当然、才能が枯れたわけではなく、活動は続けているのだが、ヨーロッパではまだ人気、とか良いミュージシャンたちと良いセッティング(ドラッグの効き具合も含めて)がハマった時にチラッと名演をみせる、という按配で、再評価の波が来ることは無かった。
毎日数百ドル分のヘロインを使用する状態だったチェットは金に困っていたので、いわゆるアメリカの有線で流れるような、当時でいう「エレベーターミュージック」という名のスーパーのBGMのようなインストを録音したりする。ビートルズが流行ればビートルズのカバーを録音、という感じ。Blood, Sweat & Tearsのカバーアルバムで、「blood, chet & tears」というのが作られた、というのは読んで笑ってしまった。駄洒落じゃねぇか、っていう。

本当に天才で、その天才性でのみ人生を渡っていった人で、この本で初めて知ったのだが、ヒッピーというかボヘミアンという感じの生き方を貫いていた人で、まぁ税金を取られるのが嫌だったからというのもあるのだろうが、銀行口座も持たなかった為、印税を受け取らず、買い取りの契約でアルバムを出していたのだ。
そりゃ粗製乱造にもなるというか、しかもそれがたいして売れないから、参加ミュージシャンの質も落ちて・・・という繰り返し。

音楽理論の勉強などはせず、耳で聴いて吹く、ということの繰り返しで世界一のトランぺッターになってしまった。シンガー志望では全くなかったのに、その世界一のトランペットと同等、もしくはそれ以上に評価されてしまった。
天才なんだよね。
ジェリー・マリガンのバンドにいた頃の話なんていい例で、必死こいて勉強して曲書いてってやってるマリガンと、海で遊んでるチェット、でもチェットの方が人気出ちゃって、という。

ただ、ソングライターではないし、天才ならではの副作用で潰しが効かない。
天才かつ、とても頑丈な体を持っていたので、ジャンキーのまま30年以上も活動が出来てしまったため、特異な人生になったんだよね。

ここまで羨ましくない天才というのも珍しいんだけど、愛さずにはいられないわな。


この本、素晴らしいんだけど絶版っぽいんだよね。もったいないなぁ、文庫に出来るような容量でもないけど、これはちゃんと買えるようにしてほしい。

これが死の前年の来日公演ですね。大丈夫?ってなりつつ、やっぱ色気があるよなぁ。

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「バックコーラスの歌姫たち」



一応、音楽を齧っている・・・しゃぶって・・・ペロッと舐めるくらいの感じでいる私ですが、テクニカル志向ではないので、巧い演奏とかにはあまり興味をそそられない。でも、世界には異常に巧い人はいて、それはもう否応もなく惹きつけられる。

でも、歌はねぇ・・・好き嫌いありますやん?あたし、マライヤ・キャリーが4オクターブ出しててもそーんなにだっせ?
なんて思ってたんですが、コーラスガールのお話しということで、それなら興味があると、脇役に感情移入しちゃうほうですよ、と。

そしたらねぇ・・・自分でびっくりしちゃうくらい感動しまして、ただただ異常に歌が巧いっていう事に。
このドキュメンタリー映画に出てくる主要人物の一人で、唯一ソロアーティストとして成功したリサ・フィッシャーって人なんですが、ええぇぇーって画面に近付いちゃいましたもん、思わず。
いやー、この人を知れただけでもこの映画観た価値があったわ。

じゃあこの映画はそういうコーラスガールは歌うまいねー、って映画なのか?というとそれは違うんですな。
邦題だとそう勘違いも出来るんですが、原題は「スターダムからの数歩」みたいな感じの意味で、どんなに歌がうまくて美人でも、センターマイクの前に立つ事が出来るわけではないというショービズの残酷さ、というか。もちろん才能があるから舞台の上に立ってて、センターまでもう数メートルなんだけど、その数メートルが埋まらないという・・・うん、邦題難しいね確かに。

というわけで、それをふまえれば大体内容は予想がつくし、まぁ言ってしまえばそのまんまな内容なのでけど、とにかくねぇ、みなさん物凄く歌巧いんだよね。しかも、コーラスなので他人と合わせるという前提なわけですよ。物凄い技術職でもあるわけです。それをウットリ観て聴いているだけでも十分なのですが、歴史的な部分も大いに語られているので、ブラックミュージックの歴史の勉強にもなる。

まず「歌いだしたきっかけ?父親が牧師で・・・ありきたりね」というのが、あるある的なジョークとして出てくるのだが、キリスト教の信者が大半のアメリカに比べ、無宗教の国の日本人としては(私は偶然カトリックの学校だったんですが)、全然あるあるじゃないというのにまず気がついた。スタート地点がそこか。聖歌隊、黒人霊歌、つまりゴスペル、コーラス、あーなるほどねっていう。
いきなりデッカイバックグラウンドがそこにあるんだよなぁ、と。
「だから黒人は〜」みたいな30年前の言説を繰り返すようなアホな事はしないが、でも日本で歌の上手い子供っていうと、物凄い形相で歌う合唱団とか演歌や民謡教室で可愛がられてるようなこまっしゃくれたガキが浮かぶしな。最近の子だとあれか、アクターズスクールとかエグザイル的なダンススクールとかがあるのか。でもそれまんまブラックミュージックだしな。
大本としてそれがあって、ブルース/R&B/ソウル/ファンクがあり、ブリティッシュ・インベンションが起こって本人たちも自覚していたのではっきり書いていいのだろうが、「ブラック風の味付け」としてロックバンドにもよばれるようになり、ブラックミュージックがベースの音楽が主流になり最盛期を迎えるが、ソロデビューしても上手くいくことはほとんどなく、機材の進化によって仕事が無くなっていき・・・というのが大まかな流れ。
これは粗筋もクソもないと思うからいいやね。ただの音楽の歴史だ。

ストーンズのコーラスガールとして帯同してるんだけど、デュエットを任されると完全にミック喰ってる存在感のリサ・フィッシャーは痺れたなぁ・・・。
あと、アイク&ティナ・ターナー。歌ももちろんだけどダンスもすごかった。「超テクニカルなメロリンQ(山本太郎)みてぇ・・・」って思っちゃいました。セクシーっつうかセックスそのものみたいなダンスだよね。あと関係ないけどアイクの存在感の怖さね。スヌープに似てるよね、アイク。目の死にっぷりとか。
「20年ぶりねー」とか言って、普通の太ったおばちゃんにしか見えない3人が一発で完璧にハモったりとかね、神業ですよ。

やっぱり印象に残ったのはとにかく音楽の場面なんだよね。普段は音楽のドキュメンタリーでも裏話とかの貴重な証言とか、インタビューの場面の方が印象に残ったりするもんだけど。出演者は豪華なのにこの映画はそっちはあまり印象に残っていない。
とにかく歌うめー・・・って口開けててもいいし、音楽の勉強にもなるし、脇役に感情移入しちゃうタイプの人も必見です。
脇役っていうには実力あり過ぎなんだけどね。

いい映画でした。DVD買おう。

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「ボビー・フィッシャー 世界と闘った男」



前にも書いたと思うが、私は昔から隠遁願望がある。
偶然、家から近いからという事で最初に決めたバイトが接客業だった為、じゃあついでに直すか、コミュ力(あの頃そんな言葉なかったけどね・・・)つけるか、みたいな感じで気がついたら10年ぐらい頑張ってやってて・・・ストレスのせいで体中に湿疹出たりしたんで、もう二度としないって結論に至ったわけですが。
という事で、やっぱり隠遁してーな。と思いつつ、無茶な有休の使い方をして連休を引き延ばしたりしてる現在ですが、おそらくそろそろクビでしょう。
最初に意識したのはたぶん村上龍の『音楽の海岸』の中に出てきた、「どこかの大きいコンクールで優勝したのに、そのあと失踪して、何十年も経った後に見つかった時にはダウンタウンの汚いバーでピアノを弾いていたらしい」みたいな一文だったと思う。
まぁよくある、「駆け落ちして場末の温泉街で射的屋を・・・」みたいなやつの、一人かつ才能あるバージョンなんですがね。

というわけで、そうなると当然気になるボビー・フィッシャー。「隠遁」でググるとかなり早めに出てくると思います。
チェスの世界チャンピオンで、防衛せずに失踪して、20年くらい公の場に現れませんでした。
感じとしては数学者とかに近いのですが、対戦相手がいて、はっきりと勝負がつくという点で、まだ話が通じるかというか・・・ラマヌジャンみたいに「夢で女神が数式を教えてくれた」とか言われてもねぇ・・・大好きですけどね、さすがに接点ゼロっていう。
日本はチェスに似た将棋があるし、後に旅券法違反で拘束されたのも日本だし、ということで日本にも関わりがあるんで、いくつか本も出ています。

この映画はそのボビー・フィッシャーの生涯を追ったものです。
父親がおらず母は政治活動家という家庭環境の中で、孤独だった幼少期にチェスにのめり込み、15歳ですでに全米チャンピオン。
そして当時なにかにつけて争っていたソ連とアメリカの関係の中、知能の高さの証明として国策としてチェスのチャンピオンを育成していたソ連に対する刺客として現れた若き孤高の天才のボビー・フィッシャーが、天才特有の我が儘やクレイジーっぷりを見せつつ、巌流島の宮本武蔵みたいな事をしつつも、きっちり世界チャンピオンの栄冠を奪い取り・・・。
という全盛期が映画前半。というかボビー・フィッシャーの29歳まで。

チェスの世界チャンピオンとして、そしてなによりソ連を倒した国家的英雄として祭り上げられ、そこからは、上がった分加速度をつけてどんどん転落していく。
元々おかしかった、というか映画には書かれていないがこの後の失踪の前にも何度か引退したり戻ったりをしていた事実があり、まぁ世界戦前後の言動の無茶苦茶ぶりからここで大きく躓いたのはわかるのだが、なるべくしてなったとしか言いようがない。
「チェスの名手はおかしくなる人が多い」と映画でも何人も例をあげられるが、まぁ頭使う事で秀でるってそういうことだわな・・・。
防衛戦にイチャモンをつけ続け、結局不戦敗扱いになり、またも栄冠はソ連に戻る、そしてボビー・フィッシャーは新興宗教にのめり込む。
その後はどんどんおかしくなっていき、新興宗教も教祖の予言が外れたことで離れ、今度は陰謀論にハマり、両親ユダヤ人なのに反ユダヤ主義思想に染まったりしつつ、周りの人間も去っていき、表舞台から消える。



うーん、けっこうあらすじ書いちゃったな。その後は復活したりするんだけど、もうとっくに全盛期は過ぎているし、狂ったままだしで、でも周りに支えられてそれなりに長生きするんだけどね。

ぶっちゃけねぇ・・・あんまり自分的にはチェス云々は興味が無くてさ、失踪していた時の生活とかが知りたかったんですよ。原題「bobby fischer against the world」ですよ?期待もしますよ。まぁ陰謀論にハマってたってだけで別になにもしていないんだろうけどさ、アイスランドにも日本にも事実婚状態の女性がいたわけで、そこの話が聞きたいんですけどっていう。
全盛期はもちろんのこと、復帰後〜晩年の映像までちゃんと入っているので、見る価値は間違いなくあるんだけど、自分的にはちょっと物足りないかな・・・一方的ではあるけど話はしてくれるんだから、もっとインタビューを入れてほしかった、彼自身の話を聞きたかったな。

ただ、ボビー・フィッシャーを題材にした作品の決定版だと思うから、興味があるなら間違いなく観るべきだと思う。

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Heidi Siegmund(原著)ICE T(原著)フードゥーフシミ(翻訳) 「オレの色は死だ―アイスTの語るLAジャングルの掟」




「アート・オブ・ラップ」でも「あれ好きなんだよ、リアルだよな『6'n the morning' police at my door〜』」と歌う場面が何度かあったように、いわゆるギャングスタラップの雛型を作った一人であり、ラッパーかつ俳優という中では最も成功している人間でもあり(フレッシュ・プリンス=ウィル・スミスは置いといて)、いち早くBody Countとしてロックの世界に入っていき後のミクスチャーの先鞭をつけ、そして優秀なビジネスマンでもあるIce-T。
この本が刊行されたときはまさにギャングスタラップが全盛だった頃だ。
ゲットーとは?ギャングとは?ストリートとは?そしてそこを生き抜いてきた自分が今考えることとは?ということを示した本。だからIce-Tの自伝・・・ではないんだよな、
何だろう、簡単に言うと自分の出自や思想を明らかにする的なやつ。
特にその頃はまだ理解が進んでいなかったわけだからね。

とはいえ今読んでも十二分に面白い。中流家庭に育った日本人の私にはやはりなかなか理解できないことが多いですからね。
特に印象に残ったのは、

「フッド全体は医者のジョン先生が気に入っている。ストリートに住んでいて、なおかつ成功した人だ。だが、道路の向かいに住む男はヤクで一文無し。
するとこの男が略奪者になる。
中略
遅かれ早かれ、ジョン先生はコミュニテイを去らねばならなくなるんだ。先生は絶望のど真ん中に置かれた貯金箱みたいに見えるんだよ。いるべき場所じゃない。」

「車を持っていないから車のかわりがスニーカーなのさ。なんで黒人のキッズはスニーカーを洗うのか、不思議に思うだろ。もってる全てだからだよ。」

などで、わかりやすくリアルで、とても面白く読める。この人、本当に多才だわ。

・・・・と思ったのが本の前半で、その後は、ヒップホップの世界で元々あるファイヴ・パーセンターズという思想(イスラムから派生した、黒人の5%だけが正義を理解すると信じる、みたいなやつ)にひっかけて「俺の宗教は1パーセンターだ」とか言うのだが、うーん、思いつきだろうなーという感じだし、女性云々恋愛云々とかね、その後どんどんツマンナくなっていっちゃうんだよな。
まぁしょうがないけどね。こういう本ってまず企画ありきだろうし。KRS-ONEの本も途中からアレー・・・?ってなったし。

でも確実に前半はかなり面白いし興味深い。
ゲットーやストリートについて知りたければ、この本が一番いいんじゃないかな?
大体が、ゲトーはヤバい!か、でも実は絆が強い!あたたかい信じられるファミリー/仲間!のどちらかに寄りすぎる中、一番いいバランスだと思います。


まぁ、結局経験しないとわかんないんだけどね。個人的に

「絶望のど真ん中に置かれた貯金箱みたいに見えるんだよ。いるべき場所じゃない。」

って一文が、10年前より5年前より3年前よりずっと重い。どんどん重くなってくる。
名パンチラインだわ。さすが。

オレの色は死だ―アイスTの語るLAジャングルの掟

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菊地成孔/大谷能生/DOMMUNE  「JAZZDOMMUNE (DOMMUNE BOOKS 0008)」



DOMMUNEの本を読むのは2冊目。でもほとんど観た事が無い。
昔っから、決まった時間にテレビの前にいるということが出来たためしがないダメ人間なんですな、私。
観れたのは例外的にYOUTUBEに上げられた鎖グループのやつくらい。

1冊目の本でどういう感じなのか大体のところはわかったので「まぁいいや、どうせ観れないし。しかし宇川さん相変わらず凄ぇーなぁ」と思いつつ、FREEDOMMUNEの1回目が中止になったくらいで、すっかり忘れていた。
例によって、古本屋で安く見つけたからという理由で購入。
うん、菊地成孔の本はほぼ全部読んでる私でも、心から古本で買ってよかったと思った。
いやー、単に文字起こししただけなんだもん。そりゃチョコチョコっと写真は載ってるけどさ、それ以外は本当に単なる文字起こしだからなぁ・・・。
「菊地/大谷でやっていたWANTED!ってラジオの感じなんだろうなぁ、このJAZZDOMMUNEも」と思いながら読んでて、まぁそりゃツマンナくはないけどさ、やっぱ観ないとね・・・、せめて音くらいは無いとちょっとツライわ。さらっと読めていいっちゃいいけど、それはたんに情報量が少ないだけのことで・・・。

まぁホント雰囲気だけでも味わって、名前だけでも覚えていってくださーい、って感じだね。


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ギター・マガジン編集部 (編集)  「雷神〜Rising 高崎晃 自伝」





最近、メタル雑誌もギター雑誌も、ロッキンFまでも復活してラウドネスが表紙になっている。
素晴らしい事だし、私も勿論ファンだから嬉しいし、読んでいる。
ただ、この最近のフィーバーっぷりはあくまで「『Thunder in the east』発売30周年アニバーサリーイヤー」ということで、最新作がバカ売れとかそういうことではない。
今年30の私は、リアルタイムの中学生の時にはいわゆる「インド3部作」の時代で、「悪くはないけど、うーん・・・パンテラっぽい・・・かなぁ・・・」くらいの微妙な感じで、
「いや、日本最高のメタルバンドだから名作と言われている過去のアルバムは凄いはず!」と思って「Disirusion」を聴いたらクソカッコよくてぶっ飛ばされました、という。
当時一生懸命練習したんで、今でも「Crazy Doctor」完コピ余裕なくらいです。
まぁ年上のメタラーと話してもそういう人は多いやね。
「マイク・ヴィセーラ時代までは買ってた、TAIJIが入ったアルバムくらいまでは記憶がある・・・しばらく柴田直人いたよね?」
的な。
「最近のアルバムもけっこう聴くよ」と言う人が残念ながら身近にいないのですが、本人も「クラシック・ロック」という扱いに馴染んだ感じなので、まぁいいんですかね、マイペースな感じで。

というわけで、なんだかんだで発売が告知された時点からメタラー仲間の中で話題になり、とても楽しみにしていた1冊。
なーんーでーすーが・・・・・・・・・・・。
ちょっと酷いかな、正直。
手に取った瞬間思ったんですよ、「薄っ!チャチぃ!」って、嫌な予感したんですけど。
私、音楽本読むの好きで、特にミュージシャンの自伝本は大好きで、見つけちゃ買って、古本屋で安く投げ売られていると音楽聴いた事なくても買って、自伝きっかけでファンになったりするくらいなんですよ。グレン・グールドとかはじめてクラシックのCD買ったっていう。
でも正直これは最低クラスです。
誕生日が3日違いで同世代な上に気の知れている、ラウドネスをデビューライブから観ている増田勇一相手に、時に酒を酌み交わしながら、数度インタビューをして、ということでこの本が出来たらしいのだが、「だろうね」と言うしかない内容の薄い本。
ここ2ヶ月くらい、さんざんインタビュー読んでるわけです、こっちは。音楽雑誌、楽器雑誌、メタル雑誌、いろんな切り口でインタビューされてます。あのね、その後に出る決定版だと思って読んだんです。そしたらもう・・・全然です。口語体、というか本当にインタビューみたいな文章で、筆者の意見とか考察などは一切入らない。
私が本読むの速いほうだとはいえね、1時間半であっさり読み終わりましたよ。で、特に読み返したいと思わない。
凄いよ、さすがに『Thunder in the east』の事は結構長く話すけど、その後二井原脱退までの2枚のアルバムについては半ページくらいであっさりまとめるから。そんな感じでどんどん最後まで飛ばしていく。ヴィセーラ時代は3ページくらいだったかな?本当にもう・・・。
「『Thunder in the east』発売30周年アニバーサリーイヤー」関連商品を急いで作ったんだな、としか思えないなぁ・・・。

「TAIJIの脱退のときは変な感じで、第三者の思惑が云々で、そいつは深夜に電話してきて何時間も宇宙の話をするような奴で・・・でもこれはここでするような話じゃない」って感じで、めちゃめちゃ興味深いポイントはダンマリだし。まぁ確かにこの本で書くような事でもないけどね・・・謎が多いから今でも気になって情報が出そうになると期待してしまう。

バンドとして、ミュージシャンとしては比べ物にならないが、本としては、まだIZAMの『ホームレスヴィジュアル系』の方が面白かったかな。
面白くなくても、何かしらの新発見とか、罵倒する楽しみとか、違う角度で眺める楽しみとかあるんだけど、これはただただ悲しい。
あのさぁ、高崎晃だよ?
30年経っても誰もその後に続くバンドがいない、いまだに誰も超えられない、エキゾチズムとか関係なしに音楽だけでビルボードに入った、唯一の日本のバンドのギタリスト/メインソングライターよ?
その自伝がこんな雑な本でいいの?

凄く強引に肯定する方向で言うと、まぁバンドの本じゃなくて高崎晃本人の本だからまぁこれでも・・・ねぇまぁ、あんなテクニカルプレイを編み出すには練習ばっかしてたと思うから、「ずっと練習してました」で本作るわけにも・・・・ってそんなことあるかよ!やっぱダメだ!っていうかちょろっと写真載ってるだけで機材関連の事全然書いてないし!

早急に、ばっちり豪華本の凝りまくったラウドネスの本を作ったほうがいいよ絶対。
こんなのに1800円出すなら、ちゃんと作られた豪華本に5000円出したい。
あとヤングギターで『100%高崎晃』作ってくれ。

雷神〜Rising 高崎晃 自伝

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トニー・アイオミ(著)三谷佳之(監修)T.J.ラマーズ(構成)(編集)前むつみ(翻訳) 「アイアン・マン トニー・アイオミ」




ブラック・サバスのトニー・アイオミの自伝。
これはね、読むでしょ。当然。

大体において、ミュージシャンの自伝の最初の30ページくらいって言うのはどうでもい子供時代のあれやこれやだったり、よくわかんないポエトリックな自己満足の文章だったりでつまらないものなのだが、この本は違う。
いきなり、指を失ったときの事からはじまるのだ。
しかもそれは、はじめてプロフェッショナルなバンドでツアーに行く直前で、仕事の最終出勤日。しかも昼まででバックれようとしたら母親に怒られて仕事場に戻ったときの事で、同僚が休んだせいで慣れない作業にまわされ・・・という何重にも偶然が重なった時に起こった事。
それで、プレス機に挟まれて右手(彼は左利きなので弦を押さえる方)の指を2本失ってしまう。
それが最初にくるのだ。
いやー、ガーンときますよね。本の構成としてベスト。一応ギタリストの端くれとして、こんな恐ろしい事ってないんですよ本当に。

そこからは、もう夢中で読んでしまったのだが、基本的なトーンは淡々としていて、一つ一つのエピソードは2ページから10ページほどで短くまとまっており、無口な男がポツポツと昔の事を語っているような感じだ。
しかしそこは当然ブラック・サバスのトニー・アイオミなわけで、急に物凄く柄が悪くなって汚い言葉を使い出したり、イギリス人らしい皮肉めいたジョークを繰り出したりして、なんだろう、映画に出てくるいつキレるかわからないマフィアの親分みたいな感じだ。

勿論、淡々としてはいてもぶっ飛んだエピソードには事欠かないわけで、とくにドラマーのビル・ワードへのいたずらは度を越している。

泥酔してグッタリしているビルに偶然見つけた金色のスプレーで全身真っ金々にして、しばらくしたらビルが吐きまくって震えだしたので救急車を呼んで、「それで彼の容態は?」と訊かれ、
「ええと・・・吐いていて・・・全身金色なんです・・・・」
と答えたり。そして到着した救急隊員に「あなた彼を殺すところでしたよ!」と凄く怒られたり。

ビルの髭にライターで火をつけるのはもう日常で「ビル、火をつけていいか?」「いや、今は忙しいから後でな」みたいな会話が普通に交わされるくらいなのだが、ある日、火をつけたうえにスタジオにあったクリーナーかなんかをゲラゲラ笑いながら吹きかけ続けていたら、燃え上がりすぎてヤバくなり
「マズい!私のドラマーが焼け死んでしまう!」
って自分でやっといて思ったりしているのだ。

とはいえ、オリジナルメンバーが一人になってもブラック・サバスをやり続け、ロニー・ジェイムス・ディオやデヴィット・カヴァデール、イアン・ギランなんかの同世代の大物から、トニー・マーティンみたいな新人までもを含めた複数のラインナップでアルバムを作り続けたという歴史は揺ぎ無く凄く、当時のエピソードもとても興味深い。オジー時代と、『Heaven&Hell』くらいしか聴いていなかった私も、一度は全部聴いてみないとな、思った。

貴重なエピソードが盛りだくさんなのだが、こうやって読んでみると意外に思う事も多々ある。
Led ZeppelinとDeep Purpleという二台巨頭があまりにもでか過ぎて、距離感というか歴史観が私のなかで若干狂っているのだが、普通にBlack Sabbathも同世代なんだよね。ジョン・ボーナムとは結婚式で付添い人を頼んだりするくらいの親友だし、Deep Purpleはチャート争いをするライバルだったと書いているし、更にストーンズの「ロックンロール・サーカス」にはジェスロ・タルの助っ人として参加している。
初期のブラック・サバスの衣装はカラフルなテロテロした衣装だったし、指を切断しなければツアーに参加するはずだったバンドの写真を見ると綺麗めなシャツに七三分けで写っている。

そこからの、ブラック・サバス、ひいては「Black Sabath」のあのリフ、あの曲なんだよな。やっぱり凄いわ。革命だよな、確実に。

というわけでメチャメチャ面白い本でした。こういう本ってファンじゃなきゃ読まないし、ファンでもあの厚さだと躊躇すると思うんだけど、読みやすい口語体だし、語り下ろしに近いんじゃないかな?意外なくらいサラッと読めました。内容はそりゃ当然のごとく興味深いしね。
あ、ただまぁ、監修の人があとがきで書いている通り、ほとんどギターとか機材関連の事には触れてないです。そこ期待するとちょっとあれかもね。

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