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小出斉 「意味も知らずにブルースを歌うな! ご丁寧に歌詞とコード譜とイラストに加え、ちょっと怪しい英語フレーズ付き」




ブルースっていうのは、今やポップミュージックの根幹であるブラックミュージックの大元になっている。
しかし、それが元々音楽というより文化人類学的な興味から、未開の部族の民族音楽のように、まだ人権の無かった黒人の文化の「採集」というような形で録音されたのがはじまりであり、歴史を辿るのは難しく、残されているのは写真1枚と10曲のみ、なんてのも珍しくない。
故に、ブルースの歌詞というのは、地元の仲間内の流行り言葉やジャーゴンだらけのラップ以上に歌詞の解読が難しい。録音物はあっても当時の録音技術の悪さから歌詞の聞き取りが難しかったり、定型が決まる前のブルースだと尺も様々、歌詞もフリースタイルと言うか、録音ごとに変わったり、カヴァーされる毎に足されたり引かれたり、そもそもオリジナルヴァージョンというのがどれか?初録音は?一番有名なヴァージョンは?などと、事はより複雑になっていく。

しかし、それこそラップのようにボーカルミュージックであるブルースを深く理解するには、歌詞の理解が不可欠だと言える。

ということでブルースの歌詞を、しっかりと解説付きで翻訳されているこの本はとてもありがたい。

解読が難しい、とはいえ、さすがに現代では高く評価され、研究され、次々と新発見があり、事実が整理され、発掘音源がCD化されているので、はっきり言ってそこまで目新しい事はなかった。当然、超有名曲が選ばれているから、というのがあるのだけど。
コンパクトにまとめられた解説と共に、歌詞とコードが書かれておりとても便利だし、本としても面白かった。
いい本ではある。

なんか歯切れが悪くなってしまうのは、和訳が一部のみで歌詞が全部書かれているわけではない事や、単行本にしては載っている曲数が少なく感じられ、「だったら、後半の変り種ブルースより取り上げるべき曲があるんじゃ?」という気になる事だ。

ギター雑誌では定期的にブルース特集が組まれるし、『ブルース&ソウル・レコーズ』も健在だ。この本で得られる情報は、けっこう点在している。というかもう、ちょっと興味を持ったら即ググって、youtube掘ってって出来るし、英語が解れば海外のサイトで歌詞解説なんていっぱいあるしねぇ。良くも悪くもそういう時代なんで、入門編としてはとても素晴らしいのだけど、この挑戦的なタイトルなら、もっと深く広くお願いしたいなぁ・・・と思っちゃったなぁ。

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立川談四楼 「そこでだ、若旦那! 」






「なんでまた唯一BURRRN!で読んでない部分が単行本化なわけ?ただの広瀬の趣味だろあのコラム」

なーんてメタラー上司と悪口言ってたわけですが、コレが読んだら面白い。
ちょうどタイミングも良かったんですけどね。『昭和元禄落語心中』読んで、落語ってもんに興味を持ちはじめたんで。
昔から伊集院光のラジオが好きで、あの人は元落語家で、いまでも師匠である現在の円楽(当時は楽太郎)と交流があって、ちょいちょい話に出てきて気にはなってたし、自分が今同じ先生にギター習ってもう6年以上なんで、師弟関係ってものに興味が出てきたり(私は違うんで余計ね)。

まぁそんなこんなで、いざ読み始めたらメッチャ面白くて一気読みっていう。

立川流という、落語の世界でも特殊な流派に属する著者がその分わかりやすく、外部からの視線も持ちつつ書く落語の世界のあれこれというのはとても興味深く、面白い。
『粋』ってのは何か?『師弟関係』とは?『芸』というのは?
『落語』っていうのは何か?『立川談志』とは?

落語に興味があって、とりあえず入門書かなんかないかな?と思ってる人には凄くいいんじゃないかな。
私にとっては、より落語に対する興味を持たせてもらえた本として、凄く良かったです。
BURRRRN!誌上で読む気には中々ならなかったし、それは変わりそうに無いけど、こう単行本にまとまっていると凄く面白かったなぁ。
いい単行本化でした。

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ジョエル・セルヴィン/サミー・ヘイガー(著)中村 有以(翻訳)  「サミー・ヘイガー自伝 RED 俺のロック人生」





Van Halenについては、あまり知らない。
ロックを聴きはじめの中1の時に聴いた1stは確かにカッコよかったし、凄かったんだけど、私がテクニカル志向にならなかったハッキリとした分起点だったと思う。
単純に明るいアメリカンロックな感じより、ブルージーなガンズだったり、ヨーロピアンなメタリカの方が好みだったのもあるが、まぁなんにせよそれ以降はそんなに気に留めていなかった。
特にデイブ時代が黄金期とされているのは、現在再結成したヴァン・ヘイレンが好意的に受け止められている事からも伺えるのだけど、今回の本は2代目ボーカリストのサミー・ヘイガー。

最高の前座、みたいな扱いのMontroseでボーカリストとしてデビューし、その後もソロとしてヒットを出し、そしてヴァン・ヘイレンに加入後にはバンド史上最大のヒットを出し、モンスターバンドとなった時期のボーカリストでありながら、なんだか印象は薄い。
デイブの良くも悪くも圧倒的なロックスターっぷりと、衝撃的だったライトハンドタッピングが合わさった初登場時のインパクトが強すぎるが故の事なのだが、まぁ考えてみるとおかしな話ではある。

そして、それを自覚しているのがありありの本でした。

幼少期から音楽への目覚め、初めてのバンド、デビュー、荒れたロックバンドでのツアー生活、崩壊する家庭と新たな出会い、ヴァン・ヘイレン加入と世界一のロックバンドの表と裏、そしてテキーラビジネスでも手腕を発揮し・・・。
という、まぁありがちなロックバンドのメンバーの自伝で、自分の事はよく言い、他の人の事はリスペクトはあるといいつつクサし、みたいなところもありがち。
ただまぁ、この人はずっと大人なんだよね。ソングライターであり、ギタリストであり、ボーカリストであり、ソロとしても自立してて、ロックバンド的な放蕩もほどほどにビジネスもしっかり出来るっていう。

そこら辺がね、老いてハゲちらかしても以前と変わらぬMr.ロックスターとして振舞う「ダイアモンド」デイヴィッド・リー・ロスや、音楽以外には全く興味が無く、革新的なアルバムを大ヒットさせながら借金まみれで、起きてる間はずっと煙草吸って酒呑んでるエディー&アレックスの兄弟なんかより、イイんだけど・・・なんかロックじゃねぇ・・・みたいな。中坊みたいな感想ですが。

やっぱりなんだかんだ言っておもしろいのは、ヴァン・ヘイレン時代の兄弟のぶっとんだエピソードで、この人自体のあれこれにはそんなに興味は持てないんだよねー。

今回初めてサミー時代のアルバムを聴いてみたんだけど、私の好みとしてはこの時代の方が好きなんだよね。エディーのギターもより構築されていて、いちいち気のきいたリック満載で飽きないし、本でも書いてある通りデイブと違い「キチンと歌えるボーカリスト」である、ロバート・プラントの系譜のサミーのボーカルも素晴らしい。ロックバンドの歌詞にそこまで求めてはいないし、きっと詩集なんかは出ないであろうけど、デイブ時代より中身のある歌詞だし。
イイんだわ。クオリティが高い。
でもまぁ、悪く言えばAORっぽくなったともいえるって言うか・・・まぁ年齢的に正常な進化だったんだろうけど。

うん、この本に関してもね、ミュージシャンの自伝、しかも本人が書いているものの中では抜群に読みやすく、本として面白かった。
でも読み返したくなるのはヴァン・ヘイレン兄弟のエピソードなんだよなー。

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マーティン・パワー(著)細川真平(監修)前むつみ(翻訳)  「ジェフ・ベック 孤高のギタリスト」





上下巻組の大作。
四半世紀どころか半世紀に渡る、この人のキャリアからすれば当然とも思えるが、まぁ長いです。

ヤードバーズからキャリアがはじまり、世界3大ギタリストの1人として尊敬を集め続けるジェフ・ベック。
だが、奇しくもヤードバーズで交わったあとの2人。レッド・ツェッペリンでハードロック/ヘヴィーメタルの礎となった巨人ジミー・ペイジや、ヤードバーズ、ジョン・メイオール・ブルースバンド、クリームなどで名を不動のものとし、ソロでも活躍、後にもアンプラグドブームを引き起こして大ヒット曲を出したブルースの伝道師エリック・クラプトンに比べると、認知度は一段二段落ちる。

ヤードバーズは勿論、自身のバンドにボーカリストが居た時もあるものの、基本的にインストである事や、途中からフュージョンやエレクトロニックな方向に行ったりして、変化を続けた事によって以前のファンが離れてしまったりした事もあるのだけど、残念ではある。

と言っている俺からして、そんな感じ。

素晴らしいギタリストだと思うのよ。本当に。でも、ソングライターではなかったんだよねぇ。で、長く続いたバンドもメンバーも無く、望んだのかそうでないのか「孤高」って感じになっちゃったんだよね。
だからまぁ、端的に言ってアルバム単位で聴くのはちょっと辛かったり。
ライブ映像が一番いいかなっていう。

はい、そんな感じなんですが、この本。
おもしろいです。ちゃんとしている、というか、自伝ではなく、インタビューを元にちゃんと作家が書いているのでちゃんと読み物として面白いです。ちょっと皮肉ったユーモアがちょいちょい入っている所も、さっき書いたような所のあるジェフ・ベックの自伝として合っている。

この時代のミュージシャンは、まず楽器を「自分で作る」ところからはじまるので、似たり寄ったりになりがちな音楽に目覚めた子供の頃の話はとても面白く読めたし、唯一といっていいほどロック的な荒くれた時期のアンプ壊しまくりのヤードバーズ時代も刺激的だった。
しかし、その後はそんなに劇的な事は起こらないんだね。
サミー・ヘイガーの自伝の事をちょっと前に書いたが、それ以上に起伏が無く、本当にギターいじるか車いじるかくらいしか興味のないジェフが、メンバーや音楽性を変えながらアルバムを出し続け、評価は高いが売り上げが・・・みたいな話がずっと続く。
ギタリストとしての評価は常に高く、セッションやスタジオ仕事には常によばれ、名演として語られる演奏も多いのだが、オリジナルの「ヒット曲」ってのが長い事、アニバーサリーでジョークとしてふざけて演奏するくらい気に入っていなかった、嫌々ながらに自身でボーカルを取ったソロデビューシングルだったりするような状態。
そんなにも売れてないと思わなかったなぁ。まぁ売れてないっつっても先の2人のような大ヒットではないって事だけど。「ヒット曲」って言われても思いつかないのは確かだけど。
ただ、流動的とはいえメンバーはみな超一流なので、そのメンバーの話とかはやっぱり面白いね。コージー・パウエルの無茶苦茶さとか。

しかし、こう全部読んでみて思うのは、ジミ・ヘンドリックスって色んな人を狂わせてるなぁ・・・って事。
もちろん今聴いても凄いんだけど、当時の人間は想像を遥かに超えるインパクトを喰らったんだろうな、って。
ジェフ・ベックが自身が好きなブルースやロカビリー、ロックンロールからの変化を求め続けたのも、エリック・クラプトンの「ブルースマン」を目指すのではなく「ブルースの伝道師」たり得ようとしていくように見える道程も、ジミの影響に思えるのだ。
若かりし頃からスタジオ仕事をこなし、ベーシストとしてヤードバーズに参加しつつも後のヴィジョンを明確に持ち、ビジネスマンとしても優秀で、「バンド」としての単位で考えていたジミー・ペイジだけが辛うじてそれを避けられたと思うんだよね。でも、レッド・ツェッペリン以外では無理だと思ってると思うんだ。だからあんなにツェッペリンにこだわってるんだと思う。

はい、思いっきり横道それまくりでほとんど本の事を書いてませんが、まぁーファン向け。それもコアな。ってのは確か。
バイオグラフィーとしては超優秀だし、今はyoutubeとかあるから、「何年の誰々のセッションで弾いた何とかって曲のソロが秀逸」って書いてあったらすぐに聴けるわけで、そういう意味では大ファンでも新たな発見があっていいと思うけどね。
私にはちょっと重かったなぁ。

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馳星周 「不夜城」





なんかイキナリふっと頭の中にタイトルが浮かんだ。
そういうのは、だいたい自分に大きな影響を与えている作品だ。
小説も、映画も多分中学生の時。映画は珍しく映画館で観た記憶がある。本を読み始めたばっかりだった私は大いにハマリ、馳星周の作品を買い集めた。

いつから読まなくなったんだろう?コレがデビュー作で、そのあと続編の『鎮魂歌』があって、何作か小説があったあと、金子達仁とサッカーの事を語る人に・・・くらいまでは覚えてるんだけど。

ということで、久々に思い出したのだが、映画も観たかったのにレンタルビデオ屋にDVDは無く、ブックオフで108円で転がってた文庫を買った。

歌舞伎町のチャイニーズマフィアを描いたハードボイルド小説、と書くと、もはや懐かしさすらあるのだが、当時は完全に異世界で衝撃的だった。
数年後に、バイト先の同僚がほぼ全員外国人で、仲良くなってよく飲むようになり、コリアンチャイニーズの彼女が出来て、彼女の母親が不法滞在で捕まって・・・・みたいな経験をするとは思わなかったね。

そんなわけで、今読むと「あるわー、わかるわー」と思う所もありつつの感じなのだけど、あれだけドンハマリした作品を10年ぶりくらいに読んでそういう感想だと、なんだか昔から自分の行く末が決まってたみたいな変な感じだ。
どこにも属せない半端もので、上手く立ち回っているつもりでもドンドン深みにはまってしまう、上手く使えていたつもりの人間の暴走に生活を壊される。誰も信用していないのに、信用しようとした自分の愛した人間に裏切られる。

もう、書いてて嫌になるわ。

大いに学べたし、自覚する事も出来た。
何より、やっぱおもしれーな、この小説。久々に馳星周作品読み直すかなー。
しかし、映画の『不夜城』って近くのレンタル屋になくて、DVDは中古でもそこそこの値段して、アマゾンプライムだっけ?あれではタダで観れるっていう・・・こういう微妙な位置のやつってなかなか難しいなー。

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「リアル鬼ごっこ」





元気が無い時、たいしてお金がないと出来る事は限られている。
コンビニやスーパーで惣菜やジュースを買い込んで、レンタルビデオでも借りて、眠くなったら眠る。
おいしいものも、パッと飲みにも、マッサージや美容院、新しい洋服、というわけにもいかなくなった。

頻繁にレンタルビデオ屋に行っては、ぼんやりと棚を隅々まで眺める。
棚のラインナップはたいして変わらない。
ふと改めて観たくなった一昔前の映画はよっぽど有名なタイトルでなきゃ無い。サブカル臭いミニシアター系はほとんど無い。ドキュメンタリーも限られている。音楽DVDなんてほぼ無い。
いつもずっと棚を眺めては、何度も観た映画を保険に、なんとなく借りた映画をろくに観ずに返す。

これもそんな1本のはずだった。
「何度も映像化されてたのに、また・・・あーでも可愛い女の子が制服で、たぶん『バトルロワイヤル』みたいな感じだよな・・・これでいいか」
と事前情報一切なしで借りたのだ。
小説の『リアル鬼ごっこ』は、あまりにも文章が酷い、という事で話題になっていたので買ったのだけど、本当に酷くて3分の1ほどで読むのをやめてしまった。

映画冒頭イキナリの大殺戮っぷりなのだが、モロCGなことと、半分になったバスに乗る血だらけのトリンドル、というのが『リンカーン』とかのバラエティ番組にしか見えなかったのも相まって笑ってしまい、一気に興味が出た。
15分も観る頃には「これ、ぜってー園子温だ・・・」としか思えない映像に苦笑。
それからはいつもの園子温監督映画なのだけど、原作を無視して、ゲームという設定を作ってなんでもありにし、自分の好きな映像を詰め込んでいった、というような足し算足し算で刺激的な映像が続いていくので、飽きずに一気に最期まで観れた。
園子温については、「最初に知った十何年前から、いや、デビューからずっと未完の大器のままの人」という感じで、嫌いじゃないけど、いい加減文句なしの名作を撮ってくれよー才能あるンだからー、と勝手な事を思っている。
どの映画を観ても、いやー、才能の片鱗が、とかはもういいからさぁ・・・と思うばかりで、最近のは観ていなかった。
でも、この映画は、なんかお仕事っていうか、三池崇的なパッと作った感じがあるのに、一番良かったくらい良かった。ポップな『紀子の食卓』って感じ?

結局、可愛い女の子、制服、パンチラ、巨乳、格闘、血だらけ、爆発、壮大っぽいテーマ、なんか深そうなセリフなんていう、みんなが好きなものをぶち込んで、かつ中二病の一言で済まされないちゃんとした映画にする所が、みんなが園子温を好きな所なんだろうなぁ。

この映画は全部入ってて、言い訳やキレイごとの部分が少なく、グロテスクだったりシュールだったりするんだけど、そのぶん量とテンションでドンドン進んでいくので逆にポップですらある。
普通におもしろい。
という評価が、園子温映画には珍しくつくんじゃないだろうか。

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磯部涼 「ヒーローはいつだって君をがっかりさせる」





おそらく書くのは2回目。まぁ売って、最近また買っちゃったからさ、いいのよ。

”ティーンエイジャーという概念がもともとはマーケティング用語だったことからもわかるように、オレたちはそもそもが負けっぱなしである”
-『blast』03年4月号のMSクルー特集より

という一文からはじまる文章が時折無性に読みたくなる。『blast』本誌自体も持っているので、2冊を何度も読み返している。

私はもう今年31歳だ。ティーンエイジャーなんて随分昔の話。
昔と同じバンドTシャツを着て、同じバンドを聴き、同じようにギターを弾いている。
ジャズを5年以上習った結論は、「俺ジャズ好きじゃない」というもの。「好きじゃない」というより、「ここは俺の居場所じゃない・・・」という違和感。
だからといって、昔と同じ音楽を、本当に同じように楽しんでいるか?というと、それも嘘だ。
「俺はクレイジーでロックでパンクで前衛で、どこにも居場所が無い」という人たちが、あっさりサブカル村やロック村に住み着くのを横目に、「お前は違う、お前は頭がおかしい」と自称狂人の彼らから石を投げられていた私にはいまだに居場所が無い。
それを意識させられる出来事にあうと、この文章をいつも思い出す。
私が好きになったのはなんだったのか?真に受けた私が悪かったのだろうか?


”「アンダーグラウンドって今すごいことになってるんだね!」なんて言う奴には、バカ、<現場>はこんないいもんじゃないぞ、と言ってやりたい。これは絞りカスからかろうじて残っていた可能性を拾い集めた、そう、<編集>されたもの”
-『Homebrewer's vol.2』発売記念対談より


「この現場以外に本場なんてのは存在しない」
とはライムスター宇多丸のパンチライン。
そう、その通りだと思う。だから現場に行った。アンダーグラウンドにしか自分の好きな音楽が鳴ってなかったからそこに行った。
観たいバンド1つを観るために、観たくないバンドを4つも5つも観なければいけない日々。
そう、そんなにいいもんじゃなかった。
思い出話は、いつも編集されている。

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雲田はるこ 「昭和元禄落語心中 9〜10巻」




うまくいった『はちみつとクローバー』かな・・・?とか思ったり。

8巻まで読んで、「なるほどおもしろいけど変わった漫画だなぁ。これからは主人公を中心に展開していくのだろう」と思っていたら・・・あっさり終わった。
全部読んで思うのは、主人公は別にちゃんといるものの、やっぱり師匠の話だったなぁ、という感じ。

「あなたには人を狂わせる魅力がある」
「・・・自覚はあるんですよ」

というやり取りがあったのだけど、結局の所、3世代にわたってその魅力に狂わされた人々の話、という感じがした。
そういう意味でも、「本人が努力型の作家なので、主人公の天才を書くのに失敗した」と言われる『はちクロ』のうまくいったバージョンにも思える(芸術ではなく芸事だし、天才というより名人という感じではあるが)。

派手で目立つ特徴の塊のような主人公の印象があまり無い、というのは果たして成功なのか?と考えると難しいのだけど、ちゃんと面白かったしねぇ・・・。
このラスト2巻は師匠の最期と黄泉の国、そしてその後、という感じなのであまり盛り上がる所はなかったのだけど、まぁこう、この漫画は師匠の話だと考えると、10巻で上手くまとめたとも言えるかな。

そして、この前ブックオフに行ったら、この漫画はやっぱりBLコーナーにあった。
掲載誌はそれ系でもないっぽかったけど、出版社的な分けかただとそうなるのかな?
まぁ「でしょうね」としか思わなかったけど。

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「ソークト・イン・ブリーチ ~カート・コバーン 死の疑惑~」





『NWA&EAZY-E キングオブコンプトン』と一緒に借りて、どっちかというとこっちの方が期待していなかったんだけど、これがどうして、面白かった。

要は陰謀論、というか、「カートは自殺じゃない!コートニーが殺したんだ!」というお話。
元々当時から、本気で信じてるのか辛らつなジョークとしてなのかはともかくそういう話はあって、NIRVANAにはまってた中高時代に無数に読んだカート・コバーン本の中にもその前提の本はあった。
詳しくは覚えてないんだけど、それは疎遠になったコートニーの父までインタビューを受けて「娘ならやりかねない」みたいなコメントをしている、要は「あのビッチならやりかねねぇよな」という世間の下世話な陰口を具体化したような本で、地元の売れないミュージシャンが「コートニーに金でカート殺害を持ちかけられた」とか言っている。
それはさすがに「おもしろいけど、さすがに信用出来ないメンツしか出てこねーじゃん」という感じで、真に受ける事は無かった。

しかし、今回の映画がね、よく出来てるんですよ。出来すぎているくらい。
『NWA&EAZY-E キングオブコンプトン』と大違い、インタビューの映像や再現映像がよく出来すぎててちょっとデヴィッド・フィンチャーっぽかったりする。凄いよ。インタビューをわざわざ屋根裏部屋みたいなとこでやってて、窓越しに見える外が豪雨とか、やりすぎスレスレ。
で、やっぱりショッキングなのはね、実際の録音テープがあるって事。コートニーにカートの捜索を頼まれた私立探偵が、あまりのコートニーの惨状(ヤク中真っ盛り)に「危ないからやりとりを全部録音しとこう」という事にしていたのだ。
再現映像にのっけてその録音テープ流すんだけど、リアルでねぇ。
しかも、1つ1つ証拠を細かく分析していて、ちゃんと専門家からのコメントも取っている。冒頭で私立探偵自身が「陰謀論という人もいるが・・・」みたいに言う事からも、キチンとわかって作っているのだ。
遺書は実は偽造されたもので、その証拠として、カートの筆跡の癖を練習したと見られる紙も存在する。そこで練習していたアルファベットが、遺書の偽造されたと見られる部分にピッタリはまる所とかね、ちょっと鳥肌立ちました。

面白いし、映像のクオリティは高いし、安易にスルー出来ないくらいのモノである事は確かです。昔読んだ本の時は素直に笑えたけど、こっちは口が重くなる。
現実は面白くないし、偶然を繋げてもっともらしくこじつけて、面白く創作する事はいくらでも出来る。
「陰謀論は確かに面白い→しかし、それは創作だから面白いんだ」
という理屈。

にしても・・・という感想が残る。

なんにせよ、カリスマの死、というのはあらゆる方面に、とても長い時間影響を与える。
この私立探偵も、自身が言う通り「コートニーから電話が来た時から私の人生は変わった。永遠に・・・」なのだ。

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「N.W.A & EAZY-E: キングス・オブ・コンプトン」





『ストレイト・アウタ・コンプトン』の大ヒットを見込んで、あわてて作った感がパッケージからも溢れ出ていたんだけど、まぁいうてもNWAだし、って事で鑑賞。

うわー、安ッペー。

としか言いようが無い。ドレー、キューブの脱退組の成功と比べるとかなり悲しい。
とりあえずもう、オープニングに出てくるEAZY-Eの写真を背景のなんかキラキラみたいなやつと合成したやつがもう・・・90年代?みたいな安さ。
NWAの曲も動画も、おそらくドレーが押さえてるんでしょう。PV1つ、ライブ映像1つ出てきません。MTVかなんかのインタビューとかニュース映像みたいなのがちらっと出てくるだけ(これしかないからって、2度3度出てくる悲しさね・・・)。
あとは、メンバー含む関係者インタビューと再現映像(これも安い感じ)のみ。
まぁね、ドキュメンタリーってインタビューで構成されてることも多いし、いいんだけどさ、ブルーバックでインタビューして、背景にフリー素材の都会の夜景画像はめこんだみたいなのばっかでさぁ・・・。とにかく酷い、というかもう凹むよ、なんか。

貴重な話は聞けた。スティーブ・ヤノさんとかはじめて知ったし、面白くはあった。
ただ、いくらなんでも安いよー。ドレー、キューブ組の『ストレイト・アウタ・コンプトン』の成功が見えてるヨコで、これ観てるのキツイわー。
画像すら何度も使いまわし、しかもジャケ写とか有名なアー写ばっかりで、正直、映画として観る意味がよく解りませんでした。
雑誌の特集クラスの情報量だねー、うん。

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