「X51.ORGが書籍化!」というニュースにワクワクしたのは何年前だろう。もともとサイトをよく見ていたし、もちろん発売日に買ったが、何度かの引越しの間に売ってしまった気がする。amazonで見たら新装版っぽいのが売ってる。でも前の方がカッコよくて好き。
古本屋で安く見つけたので再び購入。ちなみに表紙は前の。やっぱおもしろいわ。
というか、この本が、ある種このジャンルを終わらせちゃったんだろうな、という気がする。
オカルト本、UFO本、未確認生物本などは私も子どもの頃どっぷりハマり、元々本好きだったこともあって、図書館のその棚を全て読んでしまうほど好きだったのだが、年齢とともにいつの間にか離れてしまった。
霊感も無いし、UFOもネッシーもツチノコも見たこと無いし、超能力も無い。
あ、南千住の超能力たこ焼き屋には行ったな。↓これね
http://portal.nifty.com/2010/10/13/a/
本当に味変わったからビックリしたなぁ。まぁ暗示にかかったって事なんだろうけど、実際にそれっぽいことに触れたのはそれだけだな。久々に思い出したが、あそこのたこ焼き普通に美味いんだよな。
まぁ好きといっても何かを信じていると言うわけではなく、森達也や大槻ケンヂの本を読んで、「だよな〜なるほどね〜あはは〜」と納得したりしている感じです。そういう話おもしろいよね、って。
さてこの本なんですが、基本は同じようなスタンスです。ですが大きく違うのは「実際に行ってみている」ということだろう。しかもテレビなどではなくバックパッカーのような感じでの単独の取材、ということで、制限も無く(年に数ヶ月も取材に・・・というのはもうそう言っていいだろう)ライフワーク的に取材をしてて、「とにかく実際に自分の目で見る」ということを目標としているというのはやはり画期的だ。
何か研究成果をあげるでもない、インチキだと責めるでもない、ただただ現地に行き、実際に見て、現地の人に話を聞くのだ。
そしてここが大きなポイントだと思うが、すごく現代的だ。
もともとX51.ORG自体が海外の不思議ニュースを日本語で紹介、という部分に需要があったように日本はもちろん海外の文献も網羅し、妥当な結論というべきものを当然前提として持っているのだ。イタズラに信じて見に行くわけじゃない、地域の土着的な信仰、精神的な病気、ちょっとした嘘の種明かしをしないまま亡くなってしまって・・・・いくらでも仮説は出せるし、妥当だろうと思える結論や、仕掛けた人が白状するケースも増えてきた、でも全てではない。誰かが見た、聞いた、感じたものを、他人が感じることは出来ないのだ。だから絶対に嘘とは誰にも言い切れない。だから見に行くというのだ。
X51.ORGはこの本が出てから更新を止めた。最初は「本出したからって・・・」と憤ったが違った。
著者がインタビューで言っていたように、もうネットが発達して、誰でも簡単に情報が見れるようになったから、同じようなサイトは今は無数にあるのだ。動画すら簡単に撮れて公開できる、海外のものも自動翻訳してくれる現代だ。
だからこそ現地取材なのだろう。結局そこに戻るのだ。簡単に誰でも見れるが、実際に見ることは現場に行かないと出来ないのだから。
これはオカルト本を終わらせた本であり、とても優れた紀行文だ。
UFO、ロズウェル事件、チュパカブラ、イエティ、ヒトラー生存説、雪男、一度でも通った人は読むべきだろう。
これ以外だともう、読むべきなのは超能力者自身に密着取材した森達也の「職業欄はエスパー」くらいだろう。最近続編の「オカルト」が出たようだし。
昔興奮した、ピンボケの写真に強引にオカルト成分をまぶしたキャプションをつけるような、いかがわしい本もいい思い出だけどねー。