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「デビルズ・メタル」




めっきり減ったレンタルビデオ屋の中で唯一残ってる、近所とは言い難いくらいの距離のレンタル屋でさえ、ゲームやコミックに押されてCDは扱いが無くなり、DVDコーナーも規模を縮小し、レンタル落ちのDVDがセール中。

ということで、「返さなくていいレンタルDVD」くらいの気持ちで200円くらいで買って、観てなかったやつをやっと観た。
タイトルでもう買うのは決定だったんだけど、どう見てもバカ音楽スプラッタ映画なわけで、マジでなどうでもいい時用に積んでたんですな。で、「もう今日はマジでなんもしねぇ!」と妙な気合が入った時が来たから観たんですな。

いやー、長々とこんな事を書いてるのはですね、普通に面白くてよく出来た映画だったからなんですね。
ナメきってダラダラ観てたら面白くてねぇ、これが。

とりあえずね、この映画作った人、マジでコアなデスメタル/ブラックメタルファンです。
音楽関連の映画って私も好きでかなり観てるんだけど、大体さ、音楽知識甘々なんですよ。
もうホント、いまだにホテルの窓からテレビ投げるシーンを自慢げに入れて「どうだ!ロックだろ!」みたいなレベル。
バンドが出てきても、メタルっつってんのに一番ビッグな出演者がアリス・クーパーとかさ、カリスマとしてジミヘン持ってきちゃうみたいな。
コメディ要素入ってるとオジーがコウモリ食うとかね、わかるけど...いまだにそれ!?っていう。

はい、そこでこの映画。
主人公が準主人公クラスのバンドメンバーに初めて会うレコード屋の場面、意気投合するのがDevourmentとAutopsyのレコード選んでですよ。
おいおい、ガチガチやがな、と。
お約束としてPOISONのレコード見てオエー、みたいなのも当然ありつつね。

いやー、もうここで掴まれましたよ。こりゃあちゃんと観ようって。

で、そのあともバンドでやるのがブラックメタルのような、デスメタルのような、演奏ぐちゃぐちゃでグラインドコアっぽくなっちゃったりする感じとか。とりあえず
森でPVとかね、もうエクストリームメタルあるあるだらけですよ。
他にもネタ満載で、好きな女の子に「あなたの好きな音楽が知りたいわ」なんつって言われてバックパックからCD出して見せたら、「C...Cattle Decapitation......Anal Cunt!?」とかさ、仲間割れしてブッ飛ばして捨て台詞が「Death to false metal!」、敵のケツにチェーンソウ突っ込んで攻撃しながら「Metal Up Your Ass!」ですよ。
全編この調子でね。


すげーよく出来てるし、メタル愛溢れるいい映画でした。
変な言い方だけど、逆に映画としてよく出来すぎててちょっと物足りないくらい。
それもそのはず、観終わった後に「ガチガチのメタルヘッズ映画やったがな...」と思ってパッケージ観たら、「『ロード・オブ・ザ・リング』のスタッフが贈る、青春爆音スプラッター!」って書いてあってビックリしましたよ。


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「DENKI GROOVE THE MOVIE? -石野卓球とピエール瀧-」

やっと観れた。先延ばしにしていたのだけど、やっと。
Amazonビデオバンザイ。

やっと観た感想なんだけど、そもそも私は電気の大ファンなので、まぁ2人が出てて喋ったりじゃれたりライブしたりていればもう全然観ていられるので何でもいいといえばいいのだけど、コレが普通に良かった。

とりあえず、なぜかナレーションが英語。
これは賛否あるだろうけど、片言な感じとか、ロボ声、機械音声みたいな電気っぽいセンスをやろうとして単純に大根監督がスベッたんだと思う。
『WE ARE X』みたいですね、って言っとけばイイんじゃないかな。
まぁ半分はスベッたジョークで、半分は本気で世界中の人に観て欲しいと思ったんだと思うんだけど。そういう愛に溢れた映画だと思った。
だからこその、ストレートで客観的な、バイオグラフィー的な映画になったんだと思う。

もっと、『スチャダラパーの悪夢』みたいに演出を入れてフィクショナルに面白くしたり、現在の電気の2人のインタビューや過去のレア映像満載のファン向けの映画にはなってるかと思ったら、ここからも入れる、むしろ入門編として最適な映画になっていると思う。

単純にもう25年以上の歴史を持つバンドで、その歴史の全てを2時間の映画にまとめるのは至難の業なわけで、方向性はハッキリ決めないと成り立たないし、子供の頃、学生時代や2人の出会いから振り返るのは、以前のテレビでのドキュメンタリーやCDの特典DVDでやっているし、この映画はこの映画で凄くいいんじゃないだろうか。

元メンバーや関係者のインタビューと過去映像、ライブ映像、ちょっとしたオフショットで構成されているので、2時間あるがサラッと観られる。
逆にそれ故に、元々が露出の多い電気なので、ファンとしては2時間観ても「自分の知らない電気」みたいなものは出てこないという不満はあるかも。
思ったより電気の2人が映ってる時間が少ない、って感じはあった。まりんがすげー喋ってるのは貴重で嬉しかったが。

なんにせよ、コレはコレでいいと思うし、いいドキュメンタリーだと思う。
ちょこっと不満はあっても、エンドロールで瀧に爆笑する卓球を見て、自分も思わず笑って、幸せな気分になりました。



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「ジャニス:リトル・ガール・ブルー」

エイミー・ワインハウスのドキュメンタリー、『AMY エイミー』にはなかなか厳しい感想を持ったが、これはとても良かった。
ちなみに『AMY エイミー』の感想↓
https://fanblogs.jp/gateofdoom/archive/609/0

どちらも、志半ば(というにはキチンと評価されてはいるが)で急逝してしまった女性シンガーで、片や大ヒットしたセカンドアルバムに続くアルバムが待たれている中、片やBig Brother and The Holding Companyを離れ、ソロでのアルバムを作っている途中で、共に27歳でドラッグとアルコールの問題を抱え、それが原因となった死だった。

まぁそういうことは、陰謀論含め散々語られているのでいいとして、単純に映画として、やはりこちらの方がはるかに良かった。

親族と疎遠な感じで、地元の友達が2、3人出てきて語るくらいで過去の話がほとんど出てこなかったエイミーに比べ、家族に手紙を送り続け、謝罪や感謝をしたためているジャニスは、残された楽曲やスキャンダラスな言動以外にも語られえる事がたくさんある。

誰もが心を痛めるであろう、とても残酷な里帰り同窓会シーンは本当に哀しくなる。「有名になったって何も変わらない」「田舎の保守的な人間にとっては無いものとして処理される」というような事がリアルすぎる事象として映し出される。
インタビューアーも、普通の質問のつもりでとどめをさすような質問するんだよね...。

豪快なパブリックイメージの裏側の、繊細で寂しがりな1人の女性としての部分が強く出てて、手紙や家族の証言をはじめ、資料も豊富な上、夭折して45年という積み重ねもあり、ジャニスという人物を知る上でドキュメンタリーとして決定的なものが出たと思う。

まぁ逆に、あまりにそこを強調しすぎているというか、あんまり手紙とか公表してやんなよ...という気分には多少なったし、ファンとしてはもうちょっとアーティストとして神格化してもいいんじゃないか、くらいの気分にはなったけど。

すげーメンツ↓


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「パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト」





佐村河内守のドキュメンタリーの『FAKE』と比べるのはあまりにもだけど、続けて観ちゃったからどうしてもね。
やっぱり結局音楽の質だよなって思うね。

もう、小学生くらいの時の映像を観て演奏を聴いただけで、本物だってわかるもの。

ちなみに

-1967年、初のリーダー・アルバム『La Fabulosa Guitarra De Paco De Lucia』を発表。そのテクニックは日本でも知られることになるが、パコは楽譜の読み書きができず、ホセ・トレグロサが楽譜の作成を手伝い、共作者としてもクレジットされている。- (wikiより)

なんて記述があったりします。ちょっとした繋がりね。
映画の中で、スーパーギタートリオをやりだした当時は即興演奏が出来なかった、って言ってたし。
それなのに、今聴ける音源なんかで聴けるのは恐ろしく素晴らしい演奏だからね・・・モノが違う。

凄いんだわ・・・神童、しかもそのまま最後まで現役で、クオリティを落とさずにいたからね。

私はやっぱりスーパーギタートリオのイメージが強いけど、元々は完全にフラメンコギタリストなんだよね。
パコの父親もフラメンコギタリストで、この世代のミュージシャンには少なくないけど、やっぱりミュージシャンってのはまだ、貧しくて低い身分の人がなるもので、そこから這い上がってきてるんだよなぁ・・・。
神童なんだけど、そんなに小さい頃から働かなきゃいけなかったって事でもあるわけで。

そして天才ならではの、伝統派からの批判や、孤独。
初期なんて、「ギタリストが踊り手より目立っていいのか」なんて葛藤があったらしいから、驚いてしまった。

勿論、この映画の監督が息子のクーロ・サンチェスで、脚本やプロデューサーも娘なので、それを強調する事も無いかもしれないけど、なんか孤独な感じというか、影があるんだよな。
ツアーを続け、あのレベルの演奏家として一流であり続ける困難さってのは想像に難くないしね。

ただ、映画としては、演奏シーンの素晴らしさや緊張感に比べて、そのほかのシーンは弱いと言わざるをえない。
正直、ちょっと眠かったくらい。
しょうがないけどね、相手があのパコの演奏じゃ。
でもちょっとウトっとして、演奏で覚醒、ってのが2、3度あったからな。悪くはないんだけど。

だからまぁ、これきっかけでもファンにはなるだろうけど、まずはライブ映像とか観て、ファンになってからじゃないとツライ部分はあるかも。

演奏シーン入りの予告編だとこれかな。フィンガーピッキングの正確さが異常だよ・・・↓

「FAKE」




あの佐村河内守のドキュメンタリーを森達也が撮る、というだけで期待が高まる作品。
なんだけど端的に言うと、やっぱりいつもの森達也の映画。
要は「自分で考えろ」って事。
森さんのいつものスタンスだし、本来どれもそういうもので、宗教じゃないんだから。本1冊読んで、映画1本観て、それを全部信じるって方がおかしいわけで。
イロイロ観て、イロイロ読んで、自分で考えるべきですよ。

そもそも「ドキュメンタリーは嘘をつく」だぜ?
原一男の本の帯にも「ドキュメンタリーはフィクションだ」ってあったしねぇ。

森さん自身も何度も言っているし、今回も

-「FAKE」は映画です。そして僕は映画監督です。これまでジャーナリストなどと肩書きを自称したことは一度もないはずです。正式な肩書は「作家・映画監督」。作る人です。伝える人ではありません。 
 映画は表現です。主観です。-
(Facebook 【神山典士氏の発言に対する反論】より)
と書いている。

ご存知の通りの事件、というか騒動があっての作品なわけですが、まず、あの騒動の私の感想って言うのは、「よくあることじゃん。っていうかあの指示書めちゃよく出来てると思うけど」って感じ。
作曲のクレジットなんか権力のある奴が取る、ってのはバンドだとよくある話なんですよね。
ジェイク・E・リーがいた時期のオジーバンドの曲は、クレジットはオジーだけど全部ジェイクが作曲してた、とか。
Fight時代、ロブ・ハルフォードが全部作曲のクレジット持ってったけど、「テープに鼻歌が入ってるだけのやつを、コード進行とかリフ考えて曲にしたのは俺らだよ」ってインタビューでメンバーが苦笑してたり。
それ以外でも、ミリ・ヴァネリなんか歌ってなかったのにグラミー賞の最優秀新人賞を獲っちゃったり。そういうのはけっこうあるんだよねぇ・・・。弟子の曲パクる師匠とか。

「音楽は魔法ではない」(大森靖子)し、作曲っていうのは、完全に無からなにかを生み出すっていうものでも無いし。
新垣さんのwikiに出てる、著作からの抜粋も、おおむねそんな感じの事を書いてるしね。
ここら辺↓

「彼の申し出は一種の息抜きでした。あの程度の楽曲だったら、現代音楽の勉強をしている者だったら誰でもできる。どうせ売れるわけはない、という思いもありました」、「自分が作曲した作品が、映画音楽であれゲーム音楽であれ、多くの人に聴いてもらえる。その反響を聴くことができる。そのことが純粋に嬉しかったのです」などと語っている。

代作の実態については「彼は実質的にはプロデューサーだった。彼のアイデアを実現するため、私は協力をした」、「彼が依頼し、私が譜面を作って渡すという、そのやり取りだけの関係」、「彼と私の情熱が非常に共感し合えた時もあったと思う」などと語った
-新垣隆 wikiより-

佐村河内守さんは勿論なんだけど、新垣隆さんも特異なキャラクターなのがまたね・・・その後のバラエティー番組で観るとメチャメチャ面白いし。
なんというか、やり方はゲスいし、人間的にはアレなんだけど、佐村河内の自己プロデュースは上手くて、話題になりすぎたから、新垣隆さんが先手を打ったって感じだと思うんだよねぇ・・・告発ではなくバレてたら共犯扱いだったろうし。
まぁ、分岐点はやっぱりNHKのドキュメンタリーだろうなぁ・・・あそこでやりすぎた感じ。


で、映画自体は、本当に淡々と現在の日常生活を写しだしながら進む、いつもの森達也のドキュメンタリー。『職業欄はエスパー』を思い出す感じ。
そこにテレビ局の人間が出演交渉に来たり、断ったら新垣さんが出て、笑いをガンガンとってたりするのを見ている所をまた撮る。
私最初はけっこう下世話な感情で観てたし、その下世話な興味も満足出来る、ネタ満載の映画でもあるんだけど、これ、やっぱり考えさせられる作品なんだよね。

とりあえず、私はそりゃ医者でもなけりゃ本人でもないから本当の所はわからないけど、話してる所を見ると、聴覚障がいのある人特有の喋り方だと思うし、そこはもう追求してもしょうがないと思うんだよね。
本人が基本、ナルシストで中二病がかった人だとは思うし、なまじ妻などの理解者がおり、評価されてしまった事で、調子に乗っちゃった部分もあるとは思うんだけどねぇ・・・。詐病も立派な病気っていうかさ、例えば「歩けない」って思い込んで10年歩かなかったら、筋肉も衰えて本当に歩けない人になっちゃう、みたいなもあるしさ。
海外のメディアからのインタビューでも「この文章から音楽になるのがわからない」「何で楽譜の書き方を学ぼうとしなかったのか」という質問があったけど、職業作曲家への発注なんてもっと雑だし(ヒャダインの情熱大陸とか観るとわかりやすい)、楽譜なんて書けなくてもとりあえず問題なく仕事できてりゃ学ぶ気にならない(ブルースやロックのミュージシャンには珍しくない)のも普通だしね。
にしても3年あったら言い訳の為に必死こいて楽譜の書き方もピアノも学んでおけばいいのに・・・ってのをやらないのも佐村河内さんなんだよね。

『職業欄はエスパー』では「(森さんが)信じてる人だと思ってるから(ダウジングが当たった)」に「信じてないですよ」と返すラストだったが、今回は「僕のこと信じてくれますか」に対して「信じてないと撮れませんよ」だったのがちょっとビックリしたかな。でも最後に自分がしていたことは「信じているフリかもしれない」と佐村河内さんに言ってもいるんだよね。

でまぁ、「言わないでください」っていう衝撃のラストが・・・もう結構前の作品だから書いちゃうけど、実際にシンセで曲作るんだよね。カメラの前で普通に弾くし。
実際出来た音楽は、クラシックと言うよりはゲーム音楽に強く影響を受けたものに聴こえるから、そういう意味で共作者として新垣さんって人選も頷けるんだけど。
森さんからの「音楽作りましょうよ。本当に音楽好きなんですか?」という挑発に答えた形だけど、森さんは佐村河内宅へ通い詰めるのをしばらくやめているのとかもね、たぶんワザとだと思うんだよな。ワザと全部撮らないで、ズルをする余地も残す(したかどうかはわからない)っていうやり方。
ある程度シンセ弾けるってのは本に書いていた事だし。
でまた曲が凡庸でねぇ・・・。


なのでこの映画で論争が起きるのは当然の事なんだけどさ、やっぱズレてるんだよね。
意見が対立してるって言うか、ズレてる。
ポップスとクラシックの差とかさ、最初に書いた、ジャーナリストと作家の差とか。全ろうなのか、ちょっとは聴こえているのかとかさ。
途中で、記者会見での記者とのやりとりについて、障がい者団体の方が「あれは全国の障がい者にけんかふっかけてるようなもんだと思う」という所とかもっともな感じなんだけど、ちょっと調べると、ただの個人間の喧嘩な感じだし(あの言い方や、そのやり取りをヘラヘラ笑う周りのメディアは良くはなかったと思うけどね)。
インパクトのある登場と発言だった前川修寛さんという人も、ググってみると「レイキ・ヒーラー」って肩書きもあったりしてなかなかね・・・。

なんにせよ、なんであれそんな二元論で簡単に言える事じゃないのになぁ、って。


ただ1つ確かなのは曲が凡庸だっていう、その一点。
音楽映画や、音楽家の出ている作品なら、そこがよければもうオールオッケーになるんだけどね。
ならなかったねぇ・・・森さんもわかっててエンディングテーマに使ってると思うしね。

当時、音楽本の問屋に勤めてたからさ、一気に売れて、一気に回収になったのは目の前で見てたけど、なんかねぇ・・・これももう何年も前なんだねぇ。



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「ベンダ・ビリリ! もう一つのキンシャサの奇跡」




コンゴのバンド「スタッフ・ベンダ・ビリリ」のドキュメンタリー。
何故それがキンシャサの奇跡なんて邦題がつくのかというと、路上生活者であり、小児麻痺の症状で障がいがある車椅子4人と松葉杖1人やストリート・チルドレンを含むバンドだからである。
彼らは路上にダンボールを敷いて寝る生活をしながらストリートミュージシャンとして観光客などからチップを貰って金を稼いでいる。
そんな彼らを偶然みつけたフランスの映像作家が協力し、彼らにレコーディングをさせ、CDを出し、ミュージシャンとしてやっていけるようになるまでのドキュメンタリーだ。
ジャケットに書かれた煽り文を読んでも、実際に映画を観て映し出される風景も、どこをとっても驚きばかりなのだが、まず楽器を見て驚いてしまった。ゴミ置き場にあっても拾う人がいなそうな物凄いボロボロの楽器である。ギターに弦が1本しかないなんて事を気にする人間なんかいない。そのときあるもので、集まったメンバーと楽器で、時には楽器でさえない物を叩きながら音楽のループを作り出し、その上に路上生活や小児麻痺での苦しみや悲しみ、そしてそこから出る忠告や、その先にあると信じる希望を歌うのだ。まるで民族音楽とポップスの融合のようで、ブルースはこうやって出来ていったのかな・・・なんて思わされる。
しかし、こんなひどい状況にありながらとにかく陽気なのが凄い。映画冒頭の、まだレコーディングもなにもはじまっていない状況で「この音楽で世界を驚かせて大金持ちだ!」みたいなことを平気で言っている。「金を稼ぐ」ということがストレートに出てきながら、イヤラシイなんて気が全くしない。金を稼がないと死に直結するのが見えているから。
私が一番興味をひかれたのはやはりロジェ君。自作楽器サトンゲ(ブリキ缶に木の棒を付け、両端を金属ワイヤーで留めた1弦ギター)を弾く彼は、最初に映画に登場した時はまだ少年なのだが、
一度レコーディングが数年中断し、再開後に登場すると立派な青年になっている。働かない家族に「アンタが稼がないとダメなんだからしっかりやるのよ」とか言われながら必死でやっている。そういうバックグラウンドだけじゃなく、サントゲの音色はスライドギターに近く、大きな会場でアンプから音を出すと非常にカッコよくて惹かれるものがある。寝転がったりしながらの激しいアクションでソロをとるところなんてロックスターそのものだ。
このバンドのおかげで若くしてミュージシャンとして成功した彼は、映画の最後の方でこの先もずっと、自分がスタッフ・ベンダ・ビリリを継続させていくと誓う。若く、実力もあり、評価もされ始めた彼は、正直危うく見える。今まで見た事も無かったであろう誘惑はそこかしこにあるからだ。
彼の今後も続く成功を強く願う。

映画としてみたら特別名作でもなんでもないが、元気が出るいいドキュメンタリーだと思うし、実際に劇中で作られ、流れる音楽が素晴らしいので、音楽映画としては凄くいいと思う。
予告編↓

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「UPSIDE DOWN 〜アップサイド・ダウン:クリエイション・レコーズ・ストーリー〜」





クリエイションレーベルの始まりから終わりまでを描くドキュメンタリー映画。

シューゲイザー好きな私には中々思い入れのあるレーベルであるクリエイションレーベル。マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの伝説として、「『Loveless』のレコーディングに金をかけすぎてレーベルを倒産させた」というものがあり、そのレーベルがこれだ。

映画はCEOのアラン・マッギーという、プライマルスクリームのボビーの子供の頃からの友達であり、酒とドラッグにレーベルの従業員ごとまみれるロック野郎でありながら、ジーザス&メリー・チェインを、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインを見つけ出し、シューゲイザームーブメントを起こし、さらにオアシスを見つけ出してチャートの1位にオアシス、2位にプライマルスクリームを送り込んでる状態でレーベルを辞めた伝説の男を中心に語られる。

よくあるといえばよくある話だと思ってました。地元で一緒にぶっ飛んでた友達とバンドやりました、自分は裏方になりました、ロックだから入った金でさらにハイになりました、会社潰しました、だと。
しかし、アラン・マッギーという天才で物凄く運のいい人物にかかると、全然違いました。
まず先見の明がありすぎです。まったくどこにも相手にされていなかったバンドや、バンドをはじめてまだ数回目のバンドをパブで観て契約し、ヒットさせるのだ。
そして驚いたのが、サイケデリック、アシッドハウス、といえばつきもののドラッグがやはり、というかCEOが率先して配り、金曜の夜から会社の地下でパーティーが始まるようなレーベルなのに、みんな生きてて元気そうに話しているのだ。同時期にイギリスをツアーしててよく会っていたと語られるNIRVANAなどのいわゆるグランジ周辺と比べるとよく分かります。

ヒットしたバンドをいくつも抱えながら、それをレコーディングに、そして酒やドラッグや、友達を連れてきてそのままレーベルで働かせるなどの体質も作用して、いつも金がなかったと語られるのは、予想通りですが、完全インディーズ、自由な環境を求めていたアランの思想から、メジャーとの関わりを拒否してレーベルを運営していたはずが、前述の「Loveless」にとどめを刺されソニーと提携をしますが、その後さらにOASISを見つけ出し、世界1のバンドにまでしてしまうのです。
アランのドラッグのやり過ぎでの入院などを経て、徐々にクリエイションレーベルは侵食され、終わりを迎えますが、ほとんどのインディーズ、アンダーグラウンドと言われるものが、単にアマチュアで、上昇志向は満々にあるくせにクオリティが低いから売れないだけ、という状態にある中、この映画はとても励まされるものでした。

こんなにロックな思想持ち続けながら成功したレーベルがあったでしょうか?
「現代最高のロックレーベル」といわれる理由が分かりました。

いい映画です。
音楽好き、特に裏方の人に見て欲しいです。


アップサイド・ダウン:クリエイション・レコーズ・ストーリー【エクスターミネイテッド・エディション】Blu-ray

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「全身ハードコア GGアリン」




歌う
客に殴りかかる
倍返しにされる
ステージ上でクソをして全身に塗りたくる
マイクで自分の顔を殴り血まみれにする
再び客席へ
逃げ惑う観客

GGアリンのライブはこんな感じである。
何を箇条書きにしてるんだろう、俺は。
伝説のロッカー、パフォーマーであるGGアリンのドキュメンタリーDVDだ。まさか日本盤が出て、字幕つきのものが観られるとは思ってもみなかった一品。
説明は不要だろう、知らなきゃ検索すればいい。逆に検索によってこっちに来るんだろうから、まぁどうでもいいか。
知ってる人はとっくに知っていて、頭の中で幻想がものすごいことになっているだろう。
俺は何年も前から知っていた。インターネット以前から、古本屋で当時すでに埃をかぶっていたサブカル雑誌や、エロ本の白黒ページ(昔はサブカル情報の塊だった、特にスーパー写真塾)で何度も目にし、断片的な、「ステージで脱糞する超変態ロッカー」「自分の体を傷つけ続け、ハードドラッグに溺れ、公開自殺ライブの前に道路で変死した」「ライブは毎回暴動」などの情報と、無数に出ているレコード、CDで聴く、意外と普通の、ガナってはいるがハードコアまでいかない感じのパンクロック、ロックンロール、フォークソング。
よくある、英語の出来ないサブカル好きのジレンマだ。CDはろくに聴いていない。速くてストレートなパンクにのせて、自分の少ない語彙力でもすぐわかるほどの酷い歌詞のものは好きだが乗り切れない、インターネットで情報を検索しても、出てくるのは前に読んだことのあるエピソードばかり。
そんな中での、やっと日本盤発売!字幕があるんです!字幕が!

前置きが長くなったが、このDVDはGGのライブと、バンドメンバーやファンや親、同級生のインタビュー、出演したTV番組などで構成されている。

冒頭ジョン・ゲイシーの言葉から、自身の犯した犯罪のせいで州からでられないはずが、監督が連絡するとあっさり州を越えて会いに来るGGのエピソードが語られ、GGのライブ映像がスタート、歌詞に字幕が付くのに感激していると、50分少々の短いドキュメンタリーは一気に過ぎていく。
いままで断片的に知っていたエピソードが、すべて本人や周辺の人間のインタビューやニュース映像とともに語られているのでとても嬉しい。ドキュメンタリーとして、飽きさせないし、GG以外にも、GGを語る人がいちいち魅力的なキャラクターなので、50分少々という短さもあって、何度も見てしまう。必見、そして買いだ。

特典映像として、10分ほどライブをやったあとは、30分くらい警察から逃げてるだけのラストライブや、やっぱり全然変わってないバンドメンバーの最近のインタビューなどもあり、大満足。

最後の方に1曲と、エンドロールで流れるフォークブルースみたいな曲の弾き語りが、なんか沁みるんだよなぁ・・・。


裸のドラマー、ディーノ。今何してるのか超気になる。


追記
今でもお兄さんとお母さんはお元気で、こんな映画も公開された↓

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