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「ベンダ・ビリリ! もう一つのキンシャサの奇跡」




コンゴのバンド「スタッフ・ベンダ・ビリリ」のドキュメンタリー。
何故それがキンシャサの奇跡なんて邦題がつくのかというと、路上生活者であり、小児麻痺の症状で障がいがある車椅子4人と松葉杖1人やストリート・チルドレンを含むバンドだからである。
彼らは路上にダンボールを敷いて寝る生活をしながらストリートミュージシャンとして観光客などからチップを貰って金を稼いでいる。
そんな彼らを偶然みつけたフランスの映像作家が協力し、彼らにレコーディングをさせ、CDを出し、ミュージシャンとしてやっていけるようになるまでのドキュメンタリーだ。
ジャケットに書かれた煽り文を読んでも、実際に映画を観て映し出される風景も、どこをとっても驚きばかりなのだが、まず楽器を見て驚いてしまった。ゴミ置き場にあっても拾う人がいなそうな物凄いボロボロの楽器である。ギターに弦が1本しかないなんて事を気にする人間なんかいない。そのときあるもので、集まったメンバーと楽器で、時には楽器でさえない物を叩きながら音楽のループを作り出し、その上に路上生活や小児麻痺での苦しみや悲しみ、そしてそこから出る忠告や、その先にあると信じる希望を歌うのだ。まるで民族音楽とポップスの融合のようで、ブルースはこうやって出来ていったのかな・・・なんて思わされる。
しかし、こんなひどい状況にありながらとにかく陽気なのが凄い。映画冒頭の、まだレコーディングもなにもはじまっていない状況で「この音楽で世界を驚かせて大金持ちだ!」みたいなことを平気で言っている。「金を稼ぐ」ということがストレートに出てきながら、イヤラシイなんて気が全くしない。金を稼がないと死に直結するのが見えているから。
私が一番興味をひかれたのはやはりロジェ君。自作楽器サトンゲ(ブリキ缶に木の棒を付け、両端を金属ワイヤーで留めた1弦ギター)を弾く彼は、最初に映画に登場した時はまだ少年なのだが、
一度レコーディングが数年中断し、再開後に登場すると立派な青年になっている。働かない家族に「アンタが稼がないとダメなんだからしっかりやるのよ」とか言われながら必死でやっている。そういうバックグラウンドだけじゃなく、サントゲの音色はスライドギターに近く、大きな会場でアンプから音を出すと非常にカッコよくて惹かれるものがある。寝転がったりしながらの激しいアクションでソロをとるところなんてロックスターそのものだ。
このバンドのおかげで若くしてミュージシャンとして成功した彼は、映画の最後の方でこの先もずっと、自分がスタッフ・ベンダ・ビリリを継続させていくと誓う。若く、実力もあり、評価もされ始めた彼は、正直危うく見える。今まで見た事も無かったであろう誘惑はそこかしこにあるからだ。
彼の今後も続く成功を強く願う。

映画としてみたら特別名作でもなんでもないが、元気が出るいいドキュメンタリーだと思うし、実際に劇中で作られ、流れる音楽が素晴らしいので、音楽映画としては凄くいいと思う。
予告編↓

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