2014年10月17日
「ニルヴァーナとグランジ革命」 ギターワールド誌(著)/川越和歌子(訳)
表紙に思いっきり「NIRVANA」ってデッカく書いてあるし、写真もカートですが、まぁおそらくそれは売るための戦略で、意外とバランスよくPEARL JAM、SOUNDGARDEN、ALICE IN CHAINSのギターワールド誌での記事も載っています。若干NIRVANA多めではあるけど。
元が海外雑誌なので馴染みは無いですが、この本と、バックナンバーの表紙画像を見る限りでは、ヤングギターとプレイヤー、ギターマガジンの間くらいの印象。
インタビュー中心なのですが、ギター雑誌だけあって機材面にも突っ込みつつ、まぁいわゆる「予期せぬグランジのブレイクに驚くやら、呆れるやら、変化に戸惑うやら。でも俺は俺」的な感じを中心に集めている。
『グランジ/オルタナティブ』という、今口に出すのはなんだか恥ずかしくなる言葉が表しているものっていうのは実は凄くあいまいで、そもそも代表とされている上記4バンド(+元祖としてMELVINS、Mudhoney)でさえばらばらな音楽性を持っており、音楽性を指す言葉としての『グランジ/オルタナティブ』というのはかなり無理があるのだ。
そして、話を複雑にしてしまっているのが、その中で飛びぬけてカリスマ性を持っていたNIRVANA、ひいてはカート・コバーンの存在で、こう・・・はっきり言ってしまえば天才であったがためにカッコつけたまま亡くなることができたというか・・・・・・・。私も例に漏れず学生時代にハマッたので関連書籍を漁るように読んでいるのだが、「実はメチャメチャ有名になりたくてインタビューの予行練習しまくり」「初めて行ったライブは自己申告ではブラック・フラッグだが、本当はサミー・ヘイガー」「というか全体的に有名なエピソードはかなり脚色有り」「アンダーグラウンドぶりたくて仕方が無い感じだが、それほど交流も無ければ、自身の音楽性もかなりポップ」という感じで、その矛盾を含んでいるところがこれだけのヒットの要因であると思うので、それはそれで微笑ましく、今でも私は好きなのだが・・・・信者ともいえるファンがしんどくてねぇ・・・。いや、妄想や切り抜き集めはいいからもっと掘れよ、読めよって話で。つか下手すりゃ「NEVERMIND」しか聴いてねぇよこいつ、みたいな。
なんでこんなにビートルズとニルヴァーナって神格化されてるかねぇ?素晴らしいバンドだけどさぁ、他にもいっぱい素晴らしいバンドはあるよ?つか元ネタめっちゃ割れてるよ?っていう。
長々と愚痴を書きましたが、例えばガンズVSニルヴァーナ(HR/HM VS オルタナ)っつったってアリチェンとサウンドガーデンとガンズはツアーしてるし、80年代のポップなヘアメタル勢を潰したのは実のところラフでブルージーなガンズなんだよね。グランジは汚らしく、ラフでヘヴィーってイメージだけど、上記4バンドのボーカルは全員イケメンで歌超上手いです。少なくともSOUNDGARDEN、ALICE IN CHAINSは普通にメタルの要素けっこう有ります、いいギターソロも弾きます・・・・とまぁ、結構色々イメージとの違いがあるよなぁ、という・・・はぁ、好きなバンドも多いジャンル(と呼べれば)だけに、色々書きたくなっちゃうんだけど、まぁそういう理解の一端としてはそれなりにいい本だと思います。意外とインタビューをまとめたモノって出難いし、ギター雑誌だからか変に話をドラマティックにしようともしないし。チョコチョコ入る皮肉っぽいジョークがスベッてるのが軽く気になるくらい。
でも逆に『ニルヴァーナとグランジ革命』ってタイトルで出すには内容薄過ぎるとは思うけどね。
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