2011年10月27日
Brutal Truth 「Sounds of the Animal Kingdom」
へヴィーミュージックの極北。ブルータルトゥルース3rdアルバム。
言うこと無しの名盤。
10年くらい前に初めて聴いて、久々に今回書く前に聴いて、やっぱり惚れ惚れしている。
簡単に言ってしまうとごった煮グラインドコア。
そういわれるバンドは今の時代ごまんといるが、彼らは何が違ったんだろう?何故こんなにも俺は彼らに、特にこのアルバムにこんなに惹かれるんだろう?
まずバックグラウンド的なことで言うと、ベースのダン・リルカは元Anthrax、元NUCLEAR ASSAULT、元S.O.Dでメタル/ハードコアの超エリートである。
今、調べていて戦慄している。1983年に『フィストフル・オブ・メタル』、1985年に『Speak English or Die』、Nuclear Assaultの『Game Over』が86年、brutal truthの1stの『Extreme Conditions Demand Extreme Responses』が92年か・・・。
まさにヘヴィーミュージックの鬼っ子である。何が彼をこんなに追い立ててたんだろう。ダンの抜けた後のAnthraxも結構音楽性を変えているが、それはトレンドに媚びているという印象しか残っていない。事実、「スラッシュ四天王ツアーやるならanthraxよりmachine headのがよくね?」という声が聞かれたくらいだ。器用さ、視野の広さの現れだと思うが、正直俺は乗れなかった。
しかしダンは違った。ドンドンドンドン速く、重く、激しく、切れた音楽を追及している。今もだ。
そしてケヴィン・シャープ。最初はデス声だったが、この3rdではシャウト中心、この人の叫び声は本当にカッコいい、そして歌詞がけっこう聞き取れる。トッツァンの追悼ライブでS.O.Bのボーカルやってたのは泣けた。
ケヴィンはだんだんと、「あ、この人メタル畑の人じゃないな」って感じが強まり(ハーフパンツにテンガロンハットだったりね)、調べてみるとジョン・ゾーンとやってる動画なども見つかり、フリージャズ/アバンギャルド/ノイズ的な感じの源泉はここなのかな?という感じ。
そしてリッチ・ホーク!
彼が加入したとたん、ファーストにあったカッチリとしたデスメタル然とした姿は消え去り、よりラフで獰猛な姿になった。
もっとも、ファースト時のドラマーもブラスト時に音量がだんだん落ちるなどの問題もあったが、リッチはなんだろう・・・ヘタウマというか・・・上手いんだけどね、たぶん頭の中で1.2倍速で叩いてる自分がいて、それを追っかけてるみたいなドラムです。なんか独特。
やっぱりどうしても再結成した今もいるこの3人に注目してしまうかな。
サードアルバムであり解散前のラストアルバムでもある今作は、解散も当然と思うほどに突き詰めたという印象の強いアルバムだ。
初期はモロにデスメタルで、その後はハードコア寄りになり、ノイズやドゥームっぽい要素も見え隠れしていたが、このアルバムにきてそれらを血肉化した彼らが生身で全てを表現してしまったのだ。
そう、SE風のものを除くと、全部、普通の編成のバンドが、特別な飛び道具無しに作ったものであることに気が付く。
特別誰々っぽい曲ががあるわけでも、ジョン・ゾーンのNaked Cityのようにカットアップの手法を使った情報過多な印象も無い、それなのに、このアルバムからは無数の、彼らが影響を受けたであろうアンダーグラウンドなへヴィーミュージックが聴こえてくるのだ。
そして、普通の編成のバンドであるにも関わらず、個々の楽器の印象があまり無く、バンドとしての一塊がそのまま襲ってくるような印象を受ける。いわゆる、ロックバンドに多い、「大体まずギターがリフ持ってきて〜」といった作り方に聴こえないのだ。
ためしに何曲かコピーしてみたが、なんかギター1本で1人で弾いてても虚しい。なんか違う・・・と思いつつCDと一緒に弾くとちゃんとかっこよく聞こえる、といった次第なのだ。
不思議だなぁ、と聴くたびに思ってしまう。
そして、やっぱり音がナチュラルで疲れない。デジデジした同じ音のアルバムなんかもうたくさんなんだよ。
そういえば、1stから3rdの間に、KORNとかデビューしてて、ラウドロックブームとか来てるのか・・・ブレないなぁ、この人達。
長くなった。
何度聴いても発見がある。久々に聴いて思った。
今は『kill trend suicide』とのセットで、訳詞の付いた日本盤が出ている。
思わず私も買いなおしてしまった。
つかもうちょっとしたら来日か。
迷うなぁ・・・再結成後はあんまりピンときてないんだよなぁ・・・。
追記
この時の来日かな?結局、フェアウェルツアーには行けました。ギリギリセーフ。S.O.B/Brutal Truth/Napalm Deathという素晴らしいメンツで、最高のライブでした。
観れる時に観とかないとね。最近の異常事態を思うと、本当にそうだよね。
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