私は今まで、ピアノ(ガキの頃にいやいや3、4年ほど)→クラシックギター(いやいや1年ほど)→エレキギター(MIのギター課に1年半。担当の先生はほぼブルース/ロック系)→エレキギター(個人レッスン。フュージョン系の先生に2年程、継続中)という感じでやってきました。
自分でも唖然とするほど長くやってますが、早々にメタル/ハードコアにはまり、若くして組んだバンドが私の力以外の要因でなんとなくうまくいってしまったため、学校に行っている時期に理論をちゃんと学ばず、その後はサブカル方面やフリージャズや音響系、アウトサイダーミュージックにハマってしまい、変に口が上手いせいでなんとなく褒められたりで、気がつくと、「デレク・ベイリーの本は読んでいるが、メジャー7thコードすらよく分からない」、「アウトサイダーミュージックと電波ソングの類似点を現代日本と社会学を絡めて長々と語れるが、ギターソロは延々とペンタで誤魔化している」、「演奏者と聴取者の関係性と即興演奏のあり方みたいなことばかり家で考えているだけなので、実際のライブに客を1人もよべない」など、ひどいありさまでした。
さすがに20代の半ばでこのままではヤバイと気がつき、現在はちょっとずつ音楽理論とそれの実践の演奏を習ってます。
そんな私は古本大好きなサブカル野朗なので、今まで大量の理論書や教本を買ってはいたのですが、めんどくさがりやな私は流し読みして捨ててました。わかる所は簡単すぎるし、わからない所は急に全くわからなくなるからです。
結局、ほとんどの本は無駄になり、「いい歳こいた大人になってからの個人レッスン」という逃げ場のない状況を自分で作ってから徐々に理解できるようになりました。
さてこの本、「音感」という理論以前のことを扱った本です。ロックをやっていると、ガキの頃にピアノを習ってたせいで絶対音感のある元吹奏楽部のアホボンボンなどが、「お前絶対音感あるの?」などと言ってくるのですが、だいたいが単音の音当てゲームが出来るといった程度の絶対音感なので、最相葉月の本を持ち出すまでもなく、「いや、クラシックと違って曲のキー変えるなんてしょっちゅうだからなぁ、『移動ドが気持ち悪い』とかタルイこと言ってらんねぇし。まぁとりあえずブルースでもジャムる?」などと言うとブツブツ言いながら逃げるのですが、『なんでも持ってるほうが持ってないよりはいい』という理屈からいうと絶対音感はあったほうがいいだろうし、まぁ正直イライラはするわけです。
バイト先で流れる有線などを聴きながら、「大体こんな感じかなぁ?」と頭で組み立ててみても、まぁ合ってたり間違ってたり。ソロを弾くときなど、ちょっとでも違うとメチャメチャ不協和音になる可能性もあるのでテキトウにはできないし、なかなか難しい。
この本は「聴くだけで音感が育つCD付き」だと書いていたので、MP3プレイヤーに入れといたらいつでも聴けるし、手軽に続けられそうでいいかな、と思って購入。
だが、うーん・・・ちょっと微妙だな。
CDを聴きながらの音感トレーニングがメインで、本はその補助だと思っていたのだがそうではない。この手の教本の難しいところではあるが、本の6〜7割のページは単なる初歩的な音楽理論の説明になってしまっている。しかもその文章が、ある程度理論がわかっている私でも、どうも読み進めにくいシロモノだ。読みながら「あれ?そうだっけ?」とちょこちょこ引っ掛かり、それもあって読み進めにくかったのだが、やはり間違った記載が多くあるようだ。教本ではありがちとはいえ、情報が溢れている現代に出す本としてはどうかな、と思う。
長年ダメな生徒として音楽を習ったり教本を買い続けて来た結論は、『理論をある程度勉強する(丸暗記する)→好きな曲のアナライズ、コピー、その曲でジャムる(ただの暗記が理解へ)→わからない部分が出て来る→勉強を進める』しかない。
ただ、上手くカリキュラム通り好きな曲が出てきてはくれないので、『勉強』としてツライ感じでやる部分がでてきちゃうよねー、ってことで。
その意味で、音楽理論以前である『音感』を、この「聴くだけで音感が育つCD」を繰り返し聴く、と言う形でトレーニングできるなら便利だと思っていたのだが、結局やることは同じだ、という結果だった。アイデアは良いと思うしこのCD自体は結構使えるっちゃ使えるので、惜しいとは思うが、「アイデア一発を薄めて本にしちゃったなぁ」という印象。
CDに入れているような内容を、本当に全部のパターンを網羅するくらいの勢いで入れて、本当に音感のみに特化した内容にすればよかったんじゃないかな。